日本臨床麻酔学会誌
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39 巻 , 3 号
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原著論文
症例報告
短報
日本臨床麻酔学会第38回大会 教育講演
  • 上嶋 浩順
    2019 年 39 巻 3 号 p. 282-286
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    声門上器具である「ラリンジアルマスク」の登場から約40年が経過した.ビデオ喉頭鏡などのさまざまな気道確保器具が登場しても,声門上器具の最も迅速に気道確保できる利点は現在においても変わりない.英国の手術室,救急室,集中治療室での1年間の麻酔中に発生した合併症を検討した「NAP4 study」の報告以降,誤嚥をできる限り予防する目的にて胃管アクセスが装備されている「第2世代」の声門上器具が推奨されている.手術室以外での気道確保においても声門上器具は迅速に気道確保できる器具として有効である.今後は内視鏡室を含めた手術室外での気道確保にも声門上器具の使用が望まれており,用途に合わせた声門上器具が開発されている.声門上器具は気道確保を行うための重要な器具として今後も進化を続けなければならない.

  • 小田 裕
    2019 年 39 巻 3 号 p. 287-295
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    脂肪乳剤による局所麻酔薬中毒治療のメカニズムは,scavenging effectとnon-scavenging(direct)effectに大別される.前者は従来lipid sinkとされたものである.Non-scavenging effectとして,容量効果,心筋へのエネルギー供給の改善,ミトコンドリアの保護作用,インスリンシグナリングの改善などが挙げられる.米国区域麻酔学会から発表されている「局所麻酔薬中毒治療のチェックリスト」第3版での主な改訂点は,体重70kg以上の患者に対しては,「bolusで100mL,その後200〜250mLを15〜20分かけて投与」とされた点である.代表的な副作用として肺障害と膵炎が挙げられる.

日本臨床麻酔学会第37回大会 シンポジウム ─麻酔科医は予後を改善できるか?─麻酔科医にできること──
  • 福田 和彦, 金 徹
    2019 年 39 巻 3 号 p. 296
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 孝浩
    2019 年 39 巻 3 号 p. 297-302
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    手術前の患者状態や手術中の患者管理,合併症コントロールによって,周術期の短期的予後に影響が出るのは当然のことである.しかし麻酔管理法によって患者の長期的予後にまで影響するのであろうか? 麻酔科医にとって身近で理解しやすい例としては,がん手術時の麻酔の影響に耳目が集まっている.がん治療においては手術による切除がmainstayであるが,手術中に生じるがん細胞の他組織への散布や手術侵襲に伴う細胞性免疫の抑制が,がん転移や再発に関与することは否めない.ましてや麻酔薬や麻酔法,その他手術中の患者管理が免疫抑制に拍車を掛けるとなれば,麻酔科医も患者予後に配慮した患者管理を心掛けるべく,新しい情報に敏感でなくてはならない.周術期の患者安全を守ることが麻酔科医のprimary missionであるが,患者の長期予後をもvisionに入れる必要性が出てきている.

  • 長谷川 麻衣子
    2019 年 39 巻 3 号 p. 303-307
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    術後急性期の痛みは組織損傷による炎症性疼痛が主因であり,不十分な鎮痛は遷延性術後痛への移行を助長する可能性が示唆されている.術後は侵襲によるストレス反応により免疫抑制が生じる上に,周術期に用いる吸入麻酔薬やオピオイドはそれ自体,免疫抑制作用を有している.そのため鎮痛目的で炎症を抑えてしまうことにより,術後感染や創傷治癒遅延といった術後回復のアウトカムに負に作用している可能性がある.本稿では,術後痛と免疫抑制の関連について最近の知見を紹介し,周術期鎮痛法の術後回復への影響を概説する.

  • 田中 具治
    2019 年 39 巻 3 号 p. 308-311
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    麻酔をはじめとする周術期管理が癌の予後に影響することを示唆する研究結果が積み重なりつつある.癌の再発に少なくとも月単位の時間を要することを考慮すると,周術期ははるかに短期間であるため,これらの結果は一見合理的でないように思われるが,近年の基礎研究により,周術期は,その後の癌の増殖に大きな影響を与えうる,いわば“特別な時間”であることが明らかとなってきた.本稿においては,なぜ周術期が癌の予後において重要と考えられるのかについての理論的背景を概説する.また,周術期管理が及ぼしうる影響に関する基礎ならびに臨床研究の結果を紹介し,今後麻酔科医が癌患者の予後改善のためになしうることについて提案したい.

日本臨床麻酔学会第37回大会 シンポジウム ─災害発生:その時,麻酔科医に求められる役割は?─
日本臨床麻酔学会第37回大会 シンポジウム ─手術室運営 効率化と安全性:医療経済学の観点から─
  • 横田 美幸, 鈴木 利保
    2019 年 39 巻 3 号 p. 326
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー
  • 三浦 倫一, 大嶽 浩司
    2019 年 39 巻 3 号 p. 327-334
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    日本の社会保障制度は急激な変化を求められている.1960年代に作られた現在の社会保障制度は,少子高齢化を特徴とする現代社会に適応していないからであるが,保健医療も,これまでの病院完結型医療から,医療の質という考え方を重視した地域完結型医療へと大きく変化していくだろう.麻酔科医師として,手術室を中心として急性期医療を充実させることが大事であり,そのために手術室チーム医療,集中治療,麻酔科術前外来,ERAS(Enhanced Recovery After Surgery),勤務時間制限のある医師の活用などさまざまな工夫を昭和大学手術室では試みている.

  • 田倉 智之
    2019 年 39 巻 3 号 p. 335-344
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    保険財政がひっ迫する医療分野は,診療の生産性向上がより一層期待されており,費用対効果を考慮した診療選択等も望まれている.麻酔・手術の生産性を論じる場合,技術の生産性と組織のそれを分けて整理を行うことが肝要である.麻酔・手術の医療経済学は,「診療行為の生産性(パフォーマンス:手技等の技術特性別の費用対効果)×組織経営の効率性(ボリューム:症例数や稼働率等の市場要因)=経済影響(インパクト)」で論じるのが適切となる.前者は,概ね診療報酬制度に資する議論であり,後者は比較的,病院経営の戦略に関わる内容といえる.今後の医療制度改革等では,両者のバランスをより一層論じることが望まれる.

  • 西山 純一
    2019 年 39 巻 3 号 p. 345-349
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    私立総合大学医学部である当施設は,学校法人収入で付属病院収入が学生納付金や補助金を上回っている.内訳では手術・集中治療の収益が高く,効率的手術室運営が大学経営に大きく寄与している.大学は元来収益性とは無縁だが,本学は付属病院の事業性を無視できず,経営が医療収入に依存した構造となっている.一方,手術・集中治療領域の収益は病院収入の多くを占め,多施設で手術室を有効利用し件数を増加させる工夫がされているが,近年,ロボット手術などの低侵襲手術やハイブリッド手術室などの高機能手術室が求められ,手術室運営の効率化ならびに手術患者の安全管理に,部屋・機器・人の限定や患者の高齢化・ハイリスク化といった新たな課題を投げかけている.

  • 佐和 貞治
    2019 年 39 巻 3 号 p. 350-355
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    術前入院期間の短縮や質の高い術前管理を目指して術前診察を通院外来レベルで行う術前麻酔科外来方式による術前管理は一般的となった.一方で,高難度新規医療技術や保険適用外手術の導入,ハイリスク高齢者手術の麻酔など,多様な麻酔対象症例に対して医療安全上の観点から適切なインフォームド・コンセントの提供が求められている.それには説明・同意書の準備,印刷,署名,スキャン保存など多くの作業ステップが求められる.病院情報システムと麻酔管理支援システムとの連携の観点から効率よく行うための工夫について,デジタルペーパーTM(Sony社)を導入し効率化を図ったわれわれの施設の取り組みを紹介する.

  • 風戸 拓也, 平島 潤子, 横田 美幸
    2019 年 39 巻 3 号 p. 356-359
    発行日: 2019/05/15
    公開日: 2019/06/19
    ジャーナル フリー

    近年,周術期管理チームプロジェクトを受け,チームの導入が始まっている.今回,麻酔科医を対象に,周術期管理チームについての具体的な職種構成とその進め方を考察するための意識調査をアンケート形式で行った.結果として,まず周術期管理チームの認知度については,32%が知らないと答えた.次に周術期管理チームの職種構成として,麻酔科医や看護師,外科系医師,臨床工学技士,薬剤師,歯科医師,事務員など多くの職種が挙げられ,他職種との協働の観点から現段階ですぐ実現可能な業務が評価の指標として多く選ばれていた.また,麻酔看護師のイメージについては麻酔科医の指示のもとでの補助的な業務が期待された.今後は周術期管理チームの定義を明確化し,各職種の役割と協働の標準化が望まれる.

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