日本臨床麻酔学会誌
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原著論文
症例報告
  • 前田 幸貴, 荒井 理歩, 大石 博史, 吉田 仁
    2022 年 42 巻 2 号 p. 131-135
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    症例は女児.胎児期に仙尾部奇形腫と診断されたが,心不全や胎児水腫などの合併症はなかった.34週に帝王切開が施行され,出生後気管挿管され新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit:NICU)で呼吸循環管理が行われた.日齢11日に仙尾部奇形腫摘出術に対し全身麻酔管理を行った.術中は早期に栄養動脈を切り離したが,腫瘍摘出前後に予想を上回る大量出血をきたした.循環血液量の評価に難渋したため,血圧や脈拍,尿量,大泉門の緊張度を指標とし急速輸血やカテコラミン投与を行うことで循環動態の維持に努めた.また頻回な体位変換に対して厳重な呼吸管理を要した.

  • 吉川 凌太郎, 山田 梨香子, 小林 賢礼, 石田 裕介, 内野 博之, 大瀬戸 清茂
    2022 年 42 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    37歳男性.数年前より腰痛が出現し,L4/5の椎間板ヘルニアと診断された.当科初診4カ月前に椎間板内コンドリアーゼ注入療法を受けるも改善はなく,当科紹介受診となった.腰部全体にNRS(Numerical Rating Scale)7程度の疼痛を認めた.初診1カ月後に右側洞脊椎神経パルス高周波療法(radiofrequency:RF)を施行し,翌月に左側を同様に施行し,腰痛はNRS 2まで改善した.近年わが国では椎間板性疼痛に対する椎間板内コンドリアーゼ注入療法が可能となったが,一部の患者には効果が乏しい.洞脊椎神経ブロックはこのような疼痛に対し有効な可能性があり,今回文献的考察を加えて報告する.

  • 武田 敏宏, 別宮 小由理, 白神 豪太郎
    2022 年 42 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    アスピリン喘息は,非ステロイド性抗炎症薬などの薬剤や種々の食品添加物などを誘因に,重篤な喘息発作をきたす慢性炎症性気道疾患である.MTPブロックは,胸椎横突起の肋骨付着部付近で上肋横突靱帯背側に薬液を注入することで,傍脊椎ブロックと類似した効果を得る手技である.全身麻酔下手術時の複数回の喘息発作既往があるアスピリン喘息患者の上腕内側軟部腫瘍切除術を区域麻酔+鎮静で計画した.上腕内側は内側上腕皮神経と肋間上腕神経に支配されるため,同部位の手術は,腕神経叢ブロックのみでは鎮痛不十分である.腕神経叢ブロックとMTPブロックの併用で,良好な鎮痛を得ながら周術期に喘息発作を生ずることなく管理できた.

短報
  • 小坪 創, 天日 聖, 谷口 巧
    2022 年 42 巻 2 号 p. 148-151
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    ポストポリオ症候群(PPS)は急性灰白髄炎罹患後の患者が数十年の安定期を経た後に,筋力低下や慢性疼痛等の多彩な症状を発症する疾患である.今回,PPS患者の眼窩底骨折に対する緊急手術での麻酔管理を経験した.全身麻酔で管理し,筋弛緩モニタリングを行った.手術終了後,患者は良好に覚醒し,術後合併症なく退院した.PPSは筋弛緩薬等の麻酔薬への感受性亢進や呼吸機能障害,睡眠時無呼吸,嚥下障害など周術期の注意点が多い疾患であるが,その重症度はさまざまである.本症例は緊急手術であり,術前検査が限られる中で十分な病歴聴取と適切な筋弛緩モニタリングを行い,PPS患者を安全に管理することができた.

日本臨床麻酔学会第40回大会 シンポジウム ─高齢者・超高齢者における周術期麻酔管理の特徴と問題点─
日本臨床麻酔学会第40回大会 シンポジウム ─術後痛管理─その実際と最新の知見──
  • 濱口 眞輔, 濱田 宏
    2022 年 42 巻 2 号 p. 167
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー
  • 紙谷 義孝, 栗田 秀一郎
    2022 年 42 巻 2 号 p. 168-174
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    脳神経外科手術(開頭術)後の術後疼痛管理の方法としては一般的にアセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬が用いられるが,しばしば不十分な鎮痛となることがある.頭皮に対する局所浸潤麻酔や頭皮に分布する末梢神経に対する神経ブロック(いわゆる頭皮ブロック)は,100年以上前から報告がある古典的な方法だが,近年覚醒下開頭術が広く行われるようになるに伴い見直されつつある周術期鎮痛法である.頭皮に対する局所麻酔の応用は術中のオピオイド鎮痛薬の必要量を減じ,術直後の疼痛を緩和することが可能だが,現状では局所麻酔薬の効果が切れた後の疼痛対策が必要であるため,マルチモーダルな疼痛管理法を検討すべきである.

  • 山中 恵里子, 山口 重樹, 椎名 佐起子, 濱口 眞輔
    2022 年 42 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    当院は地域の基幹および教育病院で,特定機能病院にも指定されている.当科では周術期管理はもちろん,ペインクリニックや緩和ケアにも力を注ぎ,急性痛,慢性痛,がん疼痛などのさまざまな痛みの診療を日々行っている.麻酔管理のみならず,ペインクリニックや緩和医療の専門医としての薬物療法や区域麻酔に精通しているスタッフが多いのが当科の特徴であるが,残念ながらこれまで術後痛管理(acute pain service:APS)チームの設立には至っていなかった.本稿では,APSチームのない当施設での術後痛管理の過去と現在を振り返り,未来を見据えたAPSの在り方,特に本施設独自の全人的苦痛に対応できる専門的APSの可能性について概説した.

  • 松尾 輝政
    2022 年 42 巻 2 号 p. 181-186
    発行日: 2022/03/15
    公開日: 2022/05/13
    ジャーナル フリー

    近年,経カテーテル的大動脈弁留置術など低侵襲心臓手術が普及している.胸骨正中切開と比べ創部は小さいが,術後の疼痛コントロールは依然として重要である.術後痛は患者の全身状態を悪化させる主要な因子であり,呼吸・心血管機能などに影響を及ぼしたり,遷延性術後痛をもたらしたりする.患者の生活の質を保つためにも,術後痛管理は非常に重要である.心臓外科手術の術後痛対策として,最近胸壁の神経ブロックが注目されている.出血等の合併症に注意しながら,これらのブロックを活用することで,心臓外科手術においてより良好な術後鎮痛を提供できる可能性がある.

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