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とくにショック死と麻酔医の責任
中谷 瑾子
1988 年 8 巻 4 号 p.
323-332
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
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気道確保の問題
布宮 伸, 天笠 澄夫, 鏡 勲
1988 年 8 巻 4 号 p.
333-338
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
進行する胸部大動脈瘤の増大により両側主気管支の狭窄を来した患者に, 種々の方法で気道確保を試みた.
右用ダブルルーメンチューブで右主気管支の狭窄を解消した後, 左主気管支に対しては, その狭窄部位を通過し得る最大径のカテーテル類を挿入して, 左右肺分離換気を中心とした呼吸管理を施行した. 狭窄が次第に改善して来てからは, 通常の気管内チューブ3本を組合せたものを左右の主気管支に挿入して呼吸管理を続けた. 末梢循環不全と, 気管内チューブのカフや大動脈瘤自体による圧迫のために, 食道-気管-気管支瘻が発生し, これからの出血により患者は治療開始42日目に死亡した.
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海老原 聡, 杉野 式康, 阿部 浩, 石井 博史, 森 秀磨
1988 年 8 巻 4 号 p.
339-342
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
各種薬剤治療及び従量式人工呼吸器の使用に抵抗を示した気管支喘息重積発作患者に対し, HFO (High Frequency Oscillation) を併用し、気道内分泌物の排出促進効果を得た. 喘息発作の重積化においては, 気道内に広範に存在する粘液充填がその重要な因子と考えられ, 本症例においてもこの粘液栓の除去が必須条件と考えられた. このため Servo Ventilator 900CのIPPVに, 駆動圧0.8kg/cm
2, 周波数12Hzの条件でHFOを重畳させ, 数時間後より気道内分泌物の粘性の低下, 著明な排出の増加がみられ, 呼吸状態の改善を得たので報告する.
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今泉 均, 角田 一眞, 渡辺 明彦, 升田 好樹
1988 年 8 巻 4 号 p.
343-347
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
虚血性心疾患の既往のない, 69歳男性の腹部大動脈瘤破裂の緊急手術前に, 中心静脈カテーテル挿入のため右内頸静脈穿刺時, 突然STの上昇と共に徐脈, 血圧低下を認めた. 腹部大動脈瘤患者では高率に冠動脈疾患を合併することから, 冠動脈硬化による冠動脈血管の tonus の亢進した状態下に, 中心静脈穿刺時の迷走神経刺激が誘因となって冠動脈スパズムが発生したものと考えられた.
明らかな虚血性心疾患の既往がなくても全身的に高度な動脈硬化性疾患を有する患者の麻酔管理においては, 冠動脈硬化病変の存在並びに冠動脈血管の tonus の亢進によって, 冠スパズムや重症な不整脈の発生し易いことを十分に念頭におくべきである.
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鈴木 尚志, 安本 和正, 土屋 真弓, 信太 賢治, 細山田 明義, 桑迫 勇登
1988 年 8 巻 4 号 p.
348-353
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
Hallopeau-Siemens 型栄養障害性表皮水庖症は, 軽微な外力により, 体表のみならず口腔, 咽頭, 食道などにも水庖, びらん, 瘢痕を生じるまれな先天性疾患であり, 麻酔管理上多くの問題点を有する. 本症を合併する7歳の女児にのべ3回の母指形成手術を施行したが, いずれもケタミン及びジアゼパムの間欠的静注とマスクを用いた酸素•笑気の吹送により, 自発呼吸下に麻酔を維持し, 無事手術を遂行した. 麻酔実施に当たっては, 術前よりの鉄剤投与などによる貧血の改善, 可及的な患児との機械的接触の回避, パルスオキシメーターによるモニタリングさらに局所浸潤麻酔の併用などの, きめ細かい管理が有用であった.
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池田 みさ子, 鈴木 英弘, 藤田 昌雄, 維田 隆夫, 村田 実
1988 年 8 巻 4 号 p.
354-359
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
WPW症候群の中でも, 副伝導路の順行性不応期の短い症例は high risk group と呼ばれ, 発作性心房細動から心室細動に移行し突然死を起こす危険なグループである. 今回, 運動時のみならず睡眠時にも心房細動や房室回帰頻拍発作を起こし, 抗不整脈薬の中止により心房細動から心室細動に移行した症例の副伝導路切断術の麻酔を経験した. 前投薬として scopolamine, pentobarbital, morphine, 麻酔は fentanyl と diazepam による導入, fentanyl と浅いGOF麻酔で維持した結果, 導入時に頻拍発作を起こしたものの, マッピングに際しΔ波を失うことなく, 無事 Kent 束切断術が施行し得た.
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静脈内投与と硬膜外腔投与の比較
小松 彪, 羽山 憬一, 生田 まち子, 留守 信興, 山岡 久泰
1988 年 8 巻 4 号 p.
360-367
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
上腹部手術 (n=185), 腹式単純子宮全摘術 (n=170) および乳房切断術•椎弓切除術•喉咽頭口腔手術 (n=96) 予定の症例, 計451名を対象に, GOE麻酔導入前に2~3μg/kgのブプレノルフィンを静脈内または硬膜外腔投与し, 術後鎮痛効果および呼吸抑制と嘔気•嘔吐の発生頻度を比較検討した. 術後鎮痛効果と嘔気•嘔吐の発生頻度は静脈内投与と硬膜外腔投与で有意の差はなかった. 呼吸抑制は静脈内投与でやや高度であった. 3μg/kgでは合併症が多く好ましくないと思われた. また, 2μg/kgの硬膜外腔投与は静注に比べて必ずしも優れているとはいえなかった. 腹部手術以外では2μg/kg未満で充分であると思われた.
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過去21年の経験から
松木 明知, 石原 弘規, 佐藤 裕, 村川 徳昭, 尾山 力, 伊在井 茂郎
1988 年 8 巻 4 号 p.
368-374
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
昭和41年以来21年間に弘前大学病院麻酔科および関連病院で経験した143例の抗精神薬長期服用精神分裂病の麻酔を経験し, その概要について報告した.
最初の4年間では術後死亡率が90%を越え, 次の5年間ではそれが15%に減じたが, その死亡はいずれもいわゆる突然死の形態をとるものであり, 術後2週間内に起こった.
このような事態に鑑み, 精神分裂病患者は術後重篤な合併症を起こしやすいことを念頭において, 術前, 術中, 術後の管理に検討を加え, 細心の注意を払った結果, 過去10年75例については心臓手術以外のあらゆる手術を行っているが, 突然死を含めて術後1ヶ月以内の死亡を経験していない.
このような死亡率の著明な改善について考察を加え, 併せて周術期の患者の管理の要点に言及した.
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岩本 亜津子, 木下 玲子, 岡田 邦子, 岩坂 日出男, 谷口 一男, 本多 夏生
1988 年 8 巻 4 号 p.
375-379
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
身体全体がシーツで被われてしまう頭頚部の手術では, 他部位の手術に比べ術中体温, 特に頭部温の上昇が多いと考えられる.
そこで, エンフルレン麻酔下に頭部及び顔面の手術を受けた6歳未満の小児を対象として, 術中の直腸温, 鼓膜温, 前額部深部温を測定した結果, 各部位での温度は, いずれも上昇を示し, 測定部位ごとの比較では, 直腸温の上昇に比べ, 前額部深部温,鼓膜温で有意に大きな上昇を示した. このような体温上昇は, エピネフリン使用時に好んで使われるエンフルレンの痙攣域値低下作用とあいまって熱性痙攣を誘発する可能性も考えられ, 頭頚部手術時の術中体温モニターとして鼓膜温の測定が有用と思われた.
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市來 あけみ, 石塚 邦夫, 松本 延幸, 丸野 仁久, 松本 勲, 堀 孝郎
1988 年 8 巻 4 号 p.
380-383
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
COUSINSらは, Hypoxic-Enzyme Induced Rat Model において, シメチジンが, ハロセンによる肝障害を予防することを実験的に明らかにした. 我々は, その実験にもとづき, 臨床的にも同様の効果をシメチジンが示すか否かを, 長時間ハロセン麻酔時の, シメチジン投与群 (11例) 非投与群 (15例) で検討した. 効果判定の指標として, 血清逸脱酵素の測定を行った. GOT•GPT•CPK•総LDH活性•LDH
4では, 両群間に有意差はみられなかったが, LDH
5に関しては, 非投与群で有意な上昇がみられ, 予防効果を持つ可能性が示された. しかし, 筋由来のLDH
5をかならずしも除外できず, 実験方法, 検査方法など, さらに検討を加える必要があると思われる.
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ニトラゼパムとの二重盲検比較試験
百瀬 隆, 伊東 和人, 榎本 尚美, 山田 満, 山崎 裕, 久家 輝義
1988 年 8 巻 4 号 p.
384-393
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
ベンゾジアゼピン系開環誘導体「リルマザホン」の術前夜睡眠と麻酔前投薬に対する有用性を, ニトラゼパムを対照として二重盲検比較試験で検討した. 手術前夜睡眠効果は, 有効率ではリルマザホン4mgはニトラゼパム5mgに比較して有意に優れていた. 有用率では群間に有意差は認められなかった. 麻酔前投薬効果では群間に有意差は認められなかったが, 健忘の出現率でリルマザホン4mgはリルマザホン2mg, ニトラゼパム5mgに比較して有意に高い出現率を示した. 以上を総合して試験薬剤の有用性の順位は, 手術前夜睡眠効果; リルマザホン4mg>リルマザホン2mg≒ニトラゼパム5mg, 麻酔前投薬効果; リルマザホン4mg>>リルマザホン2mg≒ニトラゼパム5mgと判断した.
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土生 晶子, 長谷 敦子, 橋田 啓, 森 正和, 谷口 一男, 本多 夏生
1988 年 8 巻 4 号 p.
394-398
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
40例の頭頚部腫瘍摘出術に伴う局麻下気管切開術症例を8例ずつ無作為にコントロール群, ブトルファノール1mg群, ブトルファノール2mg群, タラモナール
®1ml群, ベンタゾシン15mg群の5群に分け, 気管切開前に各薬剤を静注にて投与し, 動脈血ガス分析, 血圧, 心拍数, 呼吸数から呼吸に及ぼす影響と鎮静効果について検討した. コントロール群では呼吸数, 心拍数が増加しPaO
2の上昇も認められ, 鎮静の必要性が裏付けられた. 一方, 薬剤投与群では鎮静度の差は認められず, 多少の呼吸抑制は全群でみられたが, ブトルファノール群でのPaO
2の有意な低下が特徴的であり, 呼吸抑制の観点からはタラモナール
®1ml, ペンタゾシン15mgが適していると思われた.
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富 勝治, 朴 銘, 真下 節, 吉矢 生人
1988 年 8 巻 4 号 p.
399-404
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
グアネチジンによる Intravenous Regional Sympathetic Block は, Hannington-Kiff の報告以来, 広く用いられている. 我々は, グアネチジンに代り, slow channel blocker: ニカルジピンによる局所静脈内注入を, causalgia を含む5人の Reflex Sympathetic Dystrophy の患者に行なった. 投与量は, 手で1mg/20ml生食, 下腿では2mg/40ml生食とした. 除痛効果は, 約48時間持続した. 又手•指関節拘縮を有する患者には, リハビリテーション時の疼痛対策としても, 有効であった. グアネチジンの入手, 及び頻回投与に問題を有する点より, ニカルジピンの局所静脈内注入は, RSD疾患群の治療手段として期待し得る.
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太田 敏久, 又吉 康俊, 平良 裕子, 与座 浩次, 奥田 佳朗, 西田 育弘
1988 年 8 巻 4 号 p.
405-410
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
ASA分類1~2の鼓室形成術20例と眼科手術10例 (対照群) において, 術中の尿量, 尿電解質, 血漿•尿浸透圧, 血漿抗利尿ホルモン (ADH) を比較した. 対照群では尿量は全経過を通して変化しなかったが, 鼓室形成術群では, 尿量は執刀前値0.9±0.2ml/kg/hrから, 手術前半, 後半においてそれぞれ2.3±0.3, 2.1±0.3ml/kg/hrと有意に増加した. この尿量増加時, 尿電解質濃度の低下とそれに伴う尿浸透圧の低下を認めた. 血漿バゾプレッシン (PAVP) は対照群で, 0.93±0.23pg/mlから術中最大18.9±7.0pg/mlまでに増加したが, 鼓室形成術群では全経過を通して執刀前値とほぼ同じで, 変化しなかった. 以上から鼓室形成術時の尿量増加はPAVPが増加しないことによると考えられる.
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根岸 秀, 鈴木 尚志, 安本 和正, 細山田 明義
1988 年 8 巻 4 号 p.
411-415
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
呼吸器疾患を既往に持たない19乃至64歳の健康成人18名を対象に, 経穴群 (天突穴) と非経穴群に15分間の置鍼を行い, 鍼が呼吸機能に及ぼす影響を検討した, 両群ともに3番のステンレス鍼を15分間置鍼し, 置鍼前, 置鍼後, 1,5,10,15分, 更に抜鍼後5,10,15分に測定を行った. 経穴群では, 置鍼後1分より呼吸数は若干増加したが, 一回換気量は置鍼前の80%へと減少し, 分時換気量は, 置鍼後1分より減少した. 酸素消費量, 炭酸ガス産生量更に呼吸商などは置鍼1分後より有意に減少した. 一方, 呼気終末炭酸ガスには変化はなかった. 死腔率は, 置鍼後1分より増加し, 測定終了時までその値を保った. 非経穴群では, 全ての項目において有意の変動は示さなかった.
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下山 直人, 下山 恵美, 飯島 一彦, 水口 公信
1988 年 8 巻 4 号 p.
416-420
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
14例の持続温熱腹膜灌流法の麻酔に対し検討を加えた. 高温付加による中枢温の上昇を抑える目的で, 表面冷却による低体温麻酔が施行された. 麻酔薬としては, 酸素•笑気•エンフルレンが使用され, 低体温麻酔を施行する過程で, トリフルプロマジン1mg/kgが投与された. 合併症としては, 末梢循環不全が原因と思われる代謝性アシドーシス, 高温付加の刺激によると思われる頻脈, 心室性期外収縮, 術後に見られる一過性の肝機能障害, 低蛋白血症, 縫合不全などが見られた. 輸血, 輸液は, スワンガンツカテーテルによる肺動脈圧を指標に行われたが, 輸液量, 輸液の質については再検討が必要と思われた.
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術中出血量•輸血量を中心に
岩破 康二, 森本 昌宏, 浜 直, 稲森 耕平, 兵頭 正義, 梅垣 裕
1988 年 8 巻 4 号 p.
421-427
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
人工股関節全置換術 (THR) を施行された50症例の自験例につき, 全身麻酔と脊椎麻酔との比較を術中出血量•輸血量を中心に行った. 術中平均出血量は, 全身麻酔群1395.0±192.9(mean±S.D.)ml, 脊椎麻酔群766.0±66.0mlであった. 術中平均輸血量は, 全身麻酔群1212.4±926.6ml, 脊椎麻酔群673.6±370.0mlであり, 両者ともに脊椎麻酔群の方が有意に少なかった. 以上より, THR施行時には, 術中出血量•輸血量を節減し, それらによる合併症の発生を防止し得るとの点より, 脊椎麻酔による管理の方が有利であると考えられた.
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岡田 邦子, 木下 玲子, 谷口 一男, 本多 夏生, 御手洗 義信, 小林 迪夫
1988 年 8 巻 4 号 p.
428-434
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
肝疾患患者において耐糖能の低下がみられるといわれている. そこで上腹部手術患者60名を対象として, 肝機能, 麻酔法の違いによる糖負荷後の血糖, インシュリンの変化を比較検討した.
その結果, エンフルレン麻酔群の中, 肝機能低下群ではインシュリン分泌が肝機能正常群に比較して遅れる傾向があり血糖値が高値に維持される傾向にあった. 反面, 硬膜外麻酔•笑気群では, 肝機能に関係なくインシュリンの分泌は良好であり, 高血糖の持続は認められなかった.
以上より肝機能低下患者の麻酔においては, 血糖•インシュリンの反応から考えると硬膜外麻酔の方が適していると思われる.
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高崎 正人, 印南 比呂志, 大川 一美, 永井 博典, 河口 太平, 岡田 和夫
1988 年 8 巻 4 号 p.
435-439
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
全身麻酔 (G-O-E) 下の肥満患者15人を対象にアセチルサリチル酸 (ASA) のPaO
2に及ぼす影響を観察した. normocapnia の際, ASA投与前には, PaO
2は131±14mmHgであったが, ASA (10mg/kg) の静注後には, 138±15mmHgへと有意に(p<0.05) 上昇した. 又, PaCO
2を normocapnia から hypocapnia (約27mmHg) へと変化させた場合, PaO
2は, ASAの投与前には, 131±14から97±12mmHgへと有意 (p<0.001) に低下した. しかし, ASA投与後には, PaO
2は138±15から108±15mmHgまでしか低下せず, ASAが hypocapnia によるPaO
2の低下を軽減した. ASAは Hypoxic Pulmonary Vasoconstriction (HPV) を強める事が知られている. 従って, 本研究で観察されたASAによるPaO
2の改善作用は, 吸入麻酔薬や hypocapnia により弱められていたHPVをASAが増強し, 肺内でのVA/Q mismatching が改善されたためと考えられる.
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谷口 晃啓, 岡 憲史, 内田 貴久, 青木 基彰, 田辺 淳, 松井 喜彦
1988 年 8 巻 4 号 p.
440-445
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
ジャーナル
フリー
乳幼児の下腹部小手術120例を対象に脊椎麻酔の利点, 効果, および合併症について検討した. 120例中60例では, 0.4mg/kgのテトラカインによる脊椎麻酔を施行し, 術中はマスクでGOを投与して鎮静させた (脊麻群). 残りの60例では気管内挿管下にGOFの全身麻酔を施行した (全麻群). 脊麻群では術後の覚醒が全麻群に比して有意に, より速やかであった. また, 良好な術後鎮痛効果が得られた. その他, 脊麻によると思われる合併症は無かった. 脊椎麻酔は, 呼吸器疾患合併例や術後鎮痛が問題となるような乳幼児症例では良い麻酔法と考えられる. ただし安全性に関する確認のためには, さらに多くの症例数による検討が必要である.
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名取 淳, 河野 克彬, 岡本 健志, 奥谷 龍, 山口 正伸, 石田 博厚
1988 年 8 巻 4 号 p.
446-452
発行日: 1988/07/15
公開日: 2008/12/11
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単純子宮全摘術症例19症例を対象とし, Ca
2+拮抗薬ジルチアゼム (CRD) とトリメタファン (TMP) を術中に使用し, その降圧効果や腎機能への影響などを比較検討した. 麻酔はGOFとし術中収縮期血圧が140mmHg, あるいは麻酔前値より20mmHg以上上昇した時点でCRD (10mg静注後30mg/時), あるいはTMP (5mg静注後15mg/時) を60分間持続静注した.
血圧は両群とも至適域に維持されたがTMP群ではタキフィラキシス傾向が認められた. CRD群では心拍数が減少, 利尿効果が認められ, また耐糖能の低下がTMP群より軽度であったことから, 術中の降圧薬として有用であると考えられた.
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