多臓器不全を有する急性腎不全患者の血液透析中に, 3種類の透析膜(cuprophan 膜, EVAL膜, PMMA膜) を用いて, 透析膜が, 補体 (C3a, C4a, C5a), 好中球数, 好中球エラスターゼ, および肺の酸素化能に及ぼす影響を検討した. 好中球数は, cuprophan 膜使用時, 透析開始20分後に有意の減少を示し, 補体は, cuprophan 膜, EVAL膜でC3a, C5aの上昇を認め, 好中球エラスターゼは, cuprophan 膜で透析開始60分後, 120分後に有意の増加を認めた. 呼吸指数は, PMMA膜使用時のみに透析開始40分後にやや増加を認めた. この結果, 透析膜による好中球数の減少, 補体の活性化, 好中球エラスターゼの増加の点から考察すると, 透析膜はPMMA膜が望ましいと考えられる.
しかし, 透析中の肺の酸素化能の変動に関しては, 呼吸指数からは透析膜による差は明らかではなかった.
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