日本臨床麻酔学会誌
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原著論文
症例報告
  • 多田 周平, 杉山 卓史, 進藤 一男
    2021 年 41 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    二分脊椎とは骨性脊椎管の閉鎖不全を指し,腰仙部の脊髄や脊椎の構造異常が麻酔上問題となる.今回,潜在性二分脊椎患者の脊髄くも膜下麻酔を経験した.症例は20歳代女性で帝王切開術が予定された.術前MRIで腰椎領域に脊髄・硬膜の二分化や低位脊髄円錐を認めたが,第4/5腰椎間は正常構造であることを確認した.患者希望と胎児への影響を考慮し,脊髄くも膜下麻酔を第一選択とした.手術室入室後,超音波装置で第4/5腰椎間を確認し脊髄くも膜下麻酔を施行した.十分な麻酔域が得られ,手術は無事終了した.術前の画像検査により入念な穿刺部位の確認を行うことで,潜在性二分脊椎患者に対する脊髄くも膜下麻酔が安全に施行できた.

  • 鈴木 菜津希, 荒武 俊伍, 原田 真依, 仲本 博史, 杉山 貴康, 澤村 成史
    2021 年 41 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    Fontan術後合併症であるタンパク漏出性胃腸症(protein losing enteropathy:PLE)および鋳型気管支炎(plastic bronchitis:PB)に対して経カテーテル的にリンパ漏出部へアプローチするリンパ管塞栓術の麻酔管理を3症例(PLE2例,PB1例)経験した.いずれも気管挿管,陽圧換気下での全身麻酔を選択し,十分な補液と積極的なカテコラミンの使用で心機能を維持した.しかし,PB症例では鋳型粘液栓による気道閉塞から陽圧換気困難に陥り,手術中止とした.Fontan術後の非心臓手術においては,症例ごとに合併症を含めた念入りな術前評価と綿密な麻酔計画が必要である.

  • 坂本 翔太郎, 清水 優, 木下 真央, 石丸 俊貴, 笹川 奈央, 佐和 貞治
    2021 年 41 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    先天性フィブリノゲン異常症は極めてまれな出血性疾患である.本症例は血漿フィブリノゲン値52mg/dLと低値で出血のリスクが高いために,手術前に濃縮フィブリノゲン製剤を投与し血漿フィブリノゲン値を150mg/dL程度まで改善して手術を行った.標準的な凝固機能検査に加えて,全血凝固過程を総合的に把握できるローテーショナルトロンボエラストメトリー(ROTEM)を用いて投与前後の凝固能を確認した.周術期に出血,血栓・塞栓症の合併症は認めなかった.ROTEMによって必要な凝固能を同定し,凝固因子の過量投与による血栓・塞栓の合併症のリスクを減らすことができ,周術期管理の補助として活用できると考えられる.

  • 村山 誠弥, 中村 智之, 原 嘉孝, 川治 崇泰, 幸村 英文, 西田 修
    2021 年 41 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    左内頚静脈は右内頚静脈に比べ穿刺時および留置中の重篤な合併症のリスクが高く,通常は左内頚静脈アプローチでveno venous extracorporeal membrane oxygenation(VV ECMO)を行うことはない.右内頚静脈が血栓閉塞していた重症肺炎の64歳男性において,左内頚静脈アプローチで送血カニューレを留置しVV ECMOを行った症例を経験した.左内頚静脈アプローチを行う場合は,カニューレ挿入時に詳細な血管の走行や径の評価と,透視を用いた慎重な操作を行い,ECMO管理中の機械的合併症を回避するカニューレ先端位置の決定を行う必要がある.

  • 飽田 久扇子, 中嶋 健, 大吉 貴文, 棚平 千代子, 前川 謙悟
    2021 年 41 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    症例は71歳,男性.前医で急性冠症候群と診断され,当院に搬送後,緊急冠動脈バイパス術を行った.前医でアスピリンとプラスグレルを服用していた.気管挿管を含め麻酔経過に問題なく,挿管後29時間に抜管したが,直後より嗄声および嚥下機能障害を認めた.症状は改善しなかったため術後13日に喉頭内視鏡検査を行ったところ右声帯麻痺があり,声帯直下に白色の錠剤の付着と同部位の粘膜にびらん・潰瘍形成を認めた.転院先で嚥下訓練を行い,術後4カ月の再診時には嗄声は改善していた.遷延した嗄声の一因として,付着した薬剤による気管粘膜障害に伴う声帯麻痺が示唆された.

  • 五反田 倫子, 松岡 義和, 廣井 一正, 松岡 勇斗, 小林 求, 森松 博史
    2021 年 41 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    胸腔内に発症した慢性拡張性血腫は拡張に伴い縦隔偏位をきたし,呼吸不全,心不全の症状を示す.しかし根治術時の全身麻酔や人工呼吸はそれらの症状をさらに悪化させる可能性がある.本症例は,37年前の右肺全摘術後に発生した右胸腔内巨大慢性拡張性血腫により右心系が高度に圧排され,心不全症状を呈していた.そこで硬膜外麻酔下に血腫減量術を先行し,右心系の圧排を解除した後に全身麻酔下に根治術を行うことで,循環破綻させることなく麻酔管理し得た.

短報
〔日本区域麻酔学会〕症例報告
日本臨床麻酔学会第39回大会 教育講演
  • 加藤 果林
    2021 年 41 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    麻酔薬および麻酔関連薬は,直接的に自然免疫系および獲得免疫系の細胞機能を抑制し,手術侵襲は全身性炎症反応を惹起する.このため,不適切な行動・不十分な知識により清潔な環境・操作が守られない時,容易に患者体内への病原菌侵入を許すこととなる.感染症発症を最小限にするためには手術前・手術中・手術後における予防が適切に行われることが必要である.これらの対策の中で「手指衛生」は最も効果的かつ,単純で簡単で低コストで行うことが可能で,感染制御に不可欠である.さらに,手術室で勤務する医療関係者を職務感染から守るという観点で「サージカルスモーク」についても紹介する.

日本臨床麻酔学会第39回大会 シンポジウム ─カテゴリー1 緊急帝王切開術─
日本臨床麻酔学会第39回大会 シンポジウム ─新規医療プログラム・教育・材料の開発と苦悩─
〔日本医学シミュレーション学会〕第15回日本医学シミュレーション学会学術集会 特別講演
〔日本臨床モニター学会〕第30回日本臨床モニター学会総会 招待講演
  • 山崎 璃沙, 林 悠
    2021 年 41 巻 1 号 p. 116-120
    発行日: 2021/01/15
    公開日: 2021/02/19
    ジャーナル フリー

    約70年前のヒトにおけるレム睡眠の発見以来,哺乳類と鳥類においてはレム睡眠とそれ以外の二つの睡眠段階が存在することがわかっている.遺伝学の目覚ましい発展は睡眠研究に大きな進展をもたらし,睡眠制御に関わる神経回路が次々と解明されている.一方,睡眠機能についてはいまだ不明な点が多いが,学習・記憶に注目した研究などから,徐々に明らかとなりつつある.さらに,睡眠の健康への重要性も関心がもたれており,どちらの睡眠段階も認知症と大きく関係していることが明らかになりつつある.本総説では,主にレム睡眠に注目し,そのメカニズムや作用,さらに認知症との関連についての最新の研究成果を紹介する.

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