日本臨床麻酔学会誌
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原著論文
症例報告
  • 平田 陽祐, 藤村 高史, 清水 薫, 有馬 一, 末永 啓人, 山﨑 武則
    2019 年 39 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    大動脈瘤は破裂すると致死的な疾患であり,瘤形成の主な原因として動脈硬化が挙げられる.今回われわれは,未分化多形肉腫による下行大動脈瘤切迫破裂をきたした非常にまれな症例を経験した.症例は50歳,女性.背部痛を認め,胸部下行大動脈瘤の切迫破裂が疑われた.直ちに緊急下行大動脈人工血管置換術が施行された.術前造影CT所見および術中所見では大動脈壁の不整を認め,病理診断の結果,未分化多形肉腫と診断された.第20病日に縦隔内残存腫瘍に対して全身麻酔下縦隔内腫瘍摘出術が行われた.2度の手術およびICUでの集学的治療により術後経過良好にて,第30病日に独歩退院となった.

  • 部村 公香, 清水 一好, 金澤 伴幸, 廣井 一正, 小林 求, 森松 博史
    2019 年 39 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    55歳,男性.左房浸潤を伴う肺癌に対し,右上葉切除,S6切除および人工心肺を用いた左房部分切除術が予定された.人工心肺使用症例であることから,両側の脳局所組織酸素飽和度(rSO2)をモニターした.胸壁への癒着剥離の際,hemi-clamshell開胸開始後から右rSO2値のみ低下を認めた.胸壁のつり上げに伴い腕頭動脈が狭窄し右脳血流が著明に低下したことが原因と考えた.つり上げ程度の調整により右rSO2値は速やかに改善した.術後は神経学的後遺症なく経過した.本症例ではrSO2測定により術操作に伴う脳血流異常を検知・対応でき,神経学的後遺症を回避できた.

  • 中尾 秋葉, 吉崎 真依, 柴田 伊津子, 吉富 修, 前川 拓治, 原 哲也
    2019 年 39 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    下大静脈(IVC)原発性平滑筋肉腫(LMS)はまれな腫瘍であり,外科的切除が治療の第一選択である.今回,IVC中部から右房内まで進展した巨大なLMSに対し,人工心肺(CPB)と肝臓の自家移植を併用することで肉眼的な完全切除を行った症例を経験した.CPB中の管理は通常の心臓手術に,CPB離脱後の管理は肝移植術に準じて行うことで,非定型的な高侵襲手術であったが,止血を含め良好に管理できた.術前のキャンサーボードを通して得られた診療科間の連携が,麻酔・周術期管理計画の作成に有効であったと考えられた.

  • 大西 健太, 久保田 亮平, 川上 正晃, 伊東 久勝, 廣田 弘毅, 山崎 光章
    2019 年 39 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    薬物治療でコントロール不良なバセドウ病合併妊娠に対し,妊娠中期に胎児心拍数モニタリングをしながら甲状腺全摘術を施行した.全身麻酔により胎児心拍数の基線細変動は消失したが,高度な徐脈は生じなかった.また術後急性期には,母体の甲状腺機能が一過性に亢進したが胎児心拍数は変化しなかった.そして術後に母体に使用したランジオロールは胎児心拍や子宮収縮に明らかな影響を与えなかった.本症例では手術侵襲や全身麻酔,甲状腺ホルモン,β遮断薬などさまざまな要素が胎児の安全性を脅かす可能性があったが,胎児の状態や子宮収縮への影響を監視,評価する上で胎児心拍数モニタリングは簡便かつ有用であった.

短報
日本臨床麻酔学会第37回大会 教育講演
  • 足立 裕史, 黒岩 香里
    2019 年 39 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    舌扁桃は麻酔導入時の気管挿管に際して,挿管困難を生じる要因の一つと考えられるが,咽頭部腹側に存在するため,一般的な喉頭展開では観察が困難で,あまり注目されて来なかったと考えられる.近年,ビデオ喉頭鏡が普及し始め,従来に比べると発見が容易になった.著しく肥大した舌扁桃は,麻酔導入症例の3~4%に合併していると考えられるが,具体的な挿管困難症との関係は不明のままである.今後,喉頭展開時に舌扁桃の観察を積極的に行うことで,新たな知見が得られると期待される.

日本臨床麻酔学会第37回大会 シンポジウム ─最先端外科:外科医の求める麻酔管理と答える麻酔科医─
  • 内野 博之, 稲垣 喜三
    2019 年 39 巻 1 号 p. 47
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー
  • 菅原 亜美, 国沢 卓之
    2019 年 39 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    喉頭フレームワーク手術は,喉頭枠組み軟骨の形態や位置を変化させ,間接的に声帯の位置や緊張度を調節する音声外科手術である.当院では,喉頭フレームワーク手術の麻酔方法は,Monitored Anesthesia Care(MAC)を選択している.MACでは術中に発声テストを行うことができ,局所麻酔のみの場合と比較して,患者の精神的負担を軽減することができる.一方で呼吸抑制に注意しなければならず,局所麻酔のみの場合と比較すると完全覚醒までに時間を要するため,薬物の投与調節を適切に行わなくてはならない.また,外科医が求める麻酔管理は良好な発声テストと術中に体動などがないなどの手術の進行しやすさである.当院では薬物の予測血漿濃度などを算出しながら鎮痛薬,鎮静薬の投与量を調節しており,手術中に外科医とコミュニケーションをとることで外科医が求める麻酔管理を達成できるように努めている.

  • 森山 直樹, 稲垣 喜三
    2019 年 39 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    ロボット支援胸腔鏡手術(RATS)は胸腔鏡手術(VATS)と比べ,手術時間がやや長くなるが,ラーニングカーブが早いことや操作性に優れている.保険適応となったため,今後症例数の増加が予想される.麻酔管理上の注意点には①確実な筋弛緩を得ること,②二酸化炭素送気による合併症に注意すること,③視野外でのイベントに注意すること,④緊急時の対応に備えることなどがある.また,術者は術野と離れているため,よりコミュニケーションをとりやすい環境を構築することが重要となる.ロボット支援手術では,患者中心のチーム医療を重視した医療安全の取り組みが求められる.

  • 入嵩西 毅
    2019 年 39 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    本邦における経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)は2013年に始まった.以来,手術件数は着実に増加し,実施施設は全国に拡大した.このTAVIの普及には,デバイスの進化に加えて,手術チームの経験の深まりが大きく貢献したと考えられる.麻酔科医は手術チームの一員として,安全な手術の遂行と術後の早期回復,そして,手術室の効率的な運用の面でも大いに期待されている.

  • 内田 篤治郎
    2019 年 39 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    腹腔鏡下肝切除術は,近年の方法論の進化により,出血量も減少傾向にあり,また術後の回復において有利な点から,普及が進んでいる.手術に際しては,切除する腫瘍の大きさや位置,肝機能評価などから手術の難易度を推定し,術中管理においては出血のコントロールが最重要課題であり,中心静脈圧を低めに設定する必要がある.切除中はPEEPレベルを最小限に抑え,切除操作が終了した段階で,リクルートメント手技を積極的に行う.無気肺,乏尿,空気塞栓などの合併症が発生する可能性があり注意を要する.乏尿(<0.3mL/kg/hr)に対しては早期から腎血流維持を目的とした介入について考慮すべきであり,今後の検討が待たれる.

  • 板橋 俊雄
    2019 年 39 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    ロボット支援手術は術後の回復が早く低侵襲であるが,術中は特殊な麻酔管理が必要となる.また,外科医が手術に集中し,患者の安全を高めるために,麻酔管理が貢献できる点もある.特殊な体位による合併症や,機械類の患者への接触を避けるだけでなく,良好な術野の確保にも麻酔管理が寄与する.昨今,前立腺摘除術でのロボット支援下手術が急速に国内で広まった.ロボット支援下手術は,泌尿器科領域の腎部分切除や膀胱全摘,他に産婦人科や消化器外科などさまざまな手術でも始まっている.前立腺摘除術での経験をもとに,新たな広がりを見せるロボット支援下手術の麻酔管理について,検討し普及していかなければならない.

日本臨床麻酔学会第37回大会 シンポジウム ─「重症患者院内搬送」─ガイドラインそしてシミュレーションまで─
日本臨床麻酔学会第37回大会 特別企画 ─はじめての臨床研究:立案~データを読み解くまで─
  • 山蔭 道明
    2019 年 39 巻 1 号 p. 86
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー
  • 江木 盛時
    2019 年 39 巻 1 号 p. 87-90
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    臨床研究のテーマに出会うには,日頃から疑問を持ちながら診療を行う必要がある.施設独自のルールや予測指示などは,その正当性を過去の論文や教科書で調べることで,研究テーマに出会うきっかけになり得る.診療ガイドラインは,診療に不慣れな医療者に対する道標であると同時に,いまだわかっていないことがある領域を示したリストでもあり,今後の研究が必要な分野を示している.また,症例報告はn=1の臨床研究でもあり,患者さんから得た経験や知識を体系化していく過程で,臨床研究のテーマに出会うこともまれではない.本稿では,臨床研究のテーマに出会うための方法をいくつか紹介する.

  • 張 京浩
    2019 年 39 巻 1 号 p. 91-99
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    現在の医療においてEBMを意識しない日はないと言ってもよいだろう.一方,近年は,そのピラミッドヒエラルキーの最上位に位置するRCT(無作為化比較対照試験)の結果のみが強調される風潮がある.しかし,そもそもRCTの結果のみに依存して日々の臨床をこなしていけるだろうか.また本来,EBMとは,エビデンスとしての臨床試験のデータ・医師の経験と技量・患者の特性の三つを考慮して,個々の患者に最適の医療を提供することに本質があるはずである.そこで本稿では,EBMをよりよく活用していくためにも,これまでのRCTの具体的事例を題材として,RCTの強さと限界を論じたい.

  • 澤田 敦史
    2019 年 39 巻 1 号 p. 100-104
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    多施設共同研究のメリットは複数の施設で研究を行うことにより,一定の期間内に対象症例を数多く集めることができる点である.さらに,単一施設での研究では対象症例に偏りが出る場合があるが,多施設共同研究では対象症例の偏りを回避できる.多施設共同研究を始める際の注意点として,研究テーマの選定がある.単施設にしか当てはまらない研究テーマを選んでしまった場合,思うように協力施設が集まらず研究自体が頓挫してしまう危険性がある.本稿では,当講座で実施した単一施設研究を基盤に行った多施設共同研究を例に,多施設共同研究における研究テーマの選定,計画の立案,研究の運営について概説する.

  • 浅井 隆
    2019 年 39 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 2019/01/15
    公開日: 2019/02/14
    ジャーナル フリー

    研究に関する論文が著名な雑誌に受理されるかどうかは,研究開始前に適切な計画書を作成したかどうかにより決まる.そのため,研究計画書作成時点において,詳細なデータ解析法と結果報告に必要な項目などを“完璧に”書き,それに基づきデータ解析および結果報告の作成をする.まず研究目的を明確に決め,研究目的に合った主要評価項目を決める.また,仮説を検証するのに必要十分な対象者数を算出し,対象者の選択基準と除外基準を適切に設定する.そして,仮説を検証するのに適切な統計処理を用い,主要評価項目に関する結果から結論を導き出す.これらの過程を経た論文は,必ずや雑誌に掲載されるであろう.

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