日本臨床麻酔学会誌
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症例報告
短報
  • 菊池 佳奈, 加藤 崇央, 浅野 麻由, 小山 薫
    2019 年 39 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    【背景】内視鏡下経蝶形骨下垂体手術(eTSS)後は両側鼻腔パッキング(PNP)が必要であり口呼吸を余儀なくされる.われわれは閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)で経鼻的持続気道陽圧呼吸(nCPAP)導入中患者の周術期管理を経験した.【症例経過】50歳代,女性.BMI 38kg/m2.eTSSが予定された.麻酔導入時,挿管困難を認めた.手術室で抜管したが,術後出血によりCT室で意識障害から舌根沈下をきたした.高度の低酸素血症をきたし,長期入院を要した.【結語】本症例はnCPAP使用中のOSA・高度肥満患者であり,術後PNPが必要なことから,周術期の上気道閉塞のリスクが非常に高い.予防策としての経鼻エアウェイの使用・有用性についても今後検討が必要である.

紹介
  • 市川 順子, 笠原 彩, 西山 圭子, 小高 光晴, 小森 万希子
    2019 年 39 巻 4 号 p. 381-386
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    過去3年間の血液製剤使用拒否患者を対象とした手術について準備書面,手術・麻酔状況などを調査した.緊急手術の1名を除き,8名全員から術前に本人による輸血拒否と免責に関する証明書が提出された.術前の予測出血量は少量から500mLであり,7名がアルブミン製剤投与,2名が回収式自己血輸血施行を承認していた.術中の出血量は少量から350mLであり,血液製剤を投与された者はおらず,予測出血量が少ないため術中に出血対策を施行された者もいなかった.相対的無輸血という対応指針のもと,予測出血量が少ない症例に限り絶対的無輸血治療方針で対応していた.回収式自己血輸血や血液製剤使用など同意範囲の拡大に努める必要がある.

〔日本医学シミュレーション学会〕短報
日本臨床麻酔学会第37回大会 教育講演
  • 西川 精宣, 森 隆
    2019 年 39 巻 4 号 p. 391-399
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    局所麻酔薬中毒の発生率は非常に広い幅があるが,重篤な例はまれである.区域麻酔が選択される場合,局所麻酔薬中毒を起こしやすい病態でもありえることを認識し,投与量を必要最小限とし,厳重な観察と迅速に対応できる準備を行う.重症局所麻酔薬中毒に脂肪乳剤の投与が推奨されているが,エビデンスとして確立しておらず,エピネフリンの投与量に関しても議論がある.ベンゾカインやプロピトカインをはじめいくつかの局所麻酔薬ではメトヘモグロビン血症がまれに発生し,酸素投与でも改善しないSpO2の低下やチアノーゼを呈する.CO-oximetryで確定できるが,症候出現時やメトヘモグロビン30%以上ではメチレンブルーで治療する.

日本臨床麻酔学会第38回大会 教育講演
  • 山本 知裕
    2019 年 39 巻 4 号 p. 400-407
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    2004年に昭和大学を卒業し,地元である新潟県へ戻り,新潟大学病院研修医を経て,2006年から新潟大学麻酔科学教室でご指導いただいた.その後,2012年3月にドイツへ渡り,2018年3月までドイツ小児心臓センター兼アスクレピオス小児病院(産科併設)で麻酔科専門医として勤務した.2018年4月から再び新潟大学麻酔科学教室でお世話になっている.日本の医局や病院から給料をもらいながらの「見学留学」や,交代で派遣される「研究留学」ではなく,単なる「現地就職」であるので,いわゆる「留学帰り」ではない.その経験から,ドイツにおける麻酔科医について紹介する.

  • 高澤 知規
    2019 年 39 巻 4 号 p. 408-414
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    手術室で発症するアナフィラキシーショックは,発生頻度は低いものの,対応を誤れば生命に危険が及ぶため,迅速かつ適切に対応しなければいけない.原因薬剤としては,筋弛緩薬とその拮抗薬,抗生剤が多い.診断には臨床症状のほか,血液中のヒスタミン・トリプターゼの濃度測定が有用である.薬物治療の第一選択はアドレナリンである.原因薬剤の同定には皮膚テストがゴールドスタンダードであるが,in vitroで実施できる好塩基球活性化試験は有望な検査である.原因薬剤が同定されないまま放置されると,次の手術で患者を危険に晒す可能性があるため,アナフィラキシーの原因をつきとめておくことが麻酔科医の責任だと考える.

日本臨床麻酔学会第38回大会 シンポジウム ─臨床研究法にどう対応するか─
  • 廣田 和美
    2019 年 39 巻 4 号 p. 415
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー
  • 桑原 宏哉
    2019 年 39 巻 4 号 p. 416-422
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    臨床研究で生じたデータの操作や利益相反行為という不正事案を受け,臨床研究法が2018年4月1日に施行された.臨床研究を推進することと規制することのバランスを考慮し,臨床研究法は,臨床研究の実施に係る行動主体(当局,臨床研究を実施する者,認定臨床研究審査委員会,医薬品等製造販売業者など)及び行動主体間の関係について最低限のルールを定め,臨床研究の手続きの明確化と質の充実を図ったものである.今後も引き続き,信頼性の高い臨床研究が実施される環境整備を進めていきたい.

  • 齋藤 繁
    2019 年 39 巻 4 号 p. 423-427
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    社会環境の変化により病院や医療スタッフに期待される能力や配慮は大きく変わりつつある.かつては医療スタッフ側が診療行為・療養環境を選択決定し,受療側はそれを受け入れるか,あるいは別の選択肢を提示する他機関を探すというのが一般的であった.しかし,受療者の権利意識やそれが侵害された場合の補償要求も高まったことから,診療行為は受療者が医療者側から提供される情報に基づいて自由に選択するというプロセスが当然となっている.もちろん新規の薬剤や医療技術を検証するための研究活動においては通常の医療行為以上にきめ細かい配慮や厳密な手続きが必要であり,研究活動の是非を審査する部署,委員会には重い責任が負わされている.

  • 山本 洋一
    2019 年 39 巻 4 号 p. 428-432
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    臨床研究法では,利益相反はじめ書類手続きが複雑であり,かつ疾病等報告などの報告書類の提出期限が定められている.不遵守なく医師が実施するには負担が大きく,結果として介入試験が激減している.この現状を打破するには,臨床研究支援部門の役割が重要になる.阪大病院臨床研究センターでは,ブラッシュアップ会議を設置し,認定臨床研究審査委員会申請前に書類をチェックし,必要時に規制を遵守したプロトコールに仕上げる役割を担っている.さらに,臨床研究法の範囲かどうかの相談窓口,プロトコールの作成支援,臨床研究実施体制の構築等の役割をも担っている.今後,臨床試験の活性化には,こうした研究支援部門の充実と活用が不可欠である.

  • 鵜飼 万貴子
    2019 年 39 巻 4 号 p. 433-437
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    特定臨床研究においては,臨床研究法の施行により,従前の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」よりも,より厳格な審査が要求されることになった.他方で,臨床研究法は施行されて日も浅く,蓄積された件数も少ない上,厚生労働省作成の同法についてのQ&Aも非常にシンプルであるため,その解釈・運用には迷うことも多い.したがって,その解釈は手探りにならざるを得ないが,従前の臨床研究でも問題となり,引き続き臨床研究法の下でも問題となり得る点や,臨床研究法で固有に考えられる問題点について,非医療系委員の立場から考察してみたい.

日本臨床麻酔学会第38回大会 シンポジウム ─TAVI の麻酔管理(全身麻酔か局所麻酔か)─
日本臨床麻酔学会第38回大会 シンポジウム ─手術室火災─
  • 上農 喜朗
    2019 年 39 巻 4 号 p. 452-454
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    本シンポジウムの目的は,実際に手術室火災,特に「設備・備品火災」が発生した時に,日本の法律・条例,各ガイドラインでは対応できない点を指摘し,今後の法律・条例の改定のための問題点を議論するとともに,適切なガイドラインの作成の必要性を議論することである.

  • 児玉 貴光
    2019 年 39 巻 4 号 p. 455-459
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    手術室火災(Operating Room Fire)は遭遇する可能性が高い事案であり,重要な危機管理項目である.米国ではAmerican Society of Anesthesiologists(ASA)などがガイドラインを策定して,現場の医療従事者に対して適切な知識と技術を提供する教育の機会を実現している.その一方で,わが国においては病院や手術室での災害訓練に参加している麻酔科医は非常に少なく,手術室火災についてもほとんど教育が行われていないのが現状である.患者安全が最優先される手術室においては手術室火災の予防や対応について,学習の機会を設けることが不可欠である.

  • 鳥飼 宏之
    2019 年 39 巻 4 号 p. 460-466
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    手術室火災に対して病院内に消防法で設置が義務づけられているABC消火器を用いた場合,たとえ初期消火に成功したとしても,消火器から放出された微細な消火剤粉末が手術室全体に飛散し,ほとんどの医療機器が汚損する.その機器の汚損回避のためには,二酸化炭素消火器の利用が有効となるが,義務設置として導入することは難しい.ただし,消防法令に則って義務設置とされた消火設備等が適正に配置されている病院に対しては,自主設置として二酸化炭素消火器を導入することは可能である.二酸化炭素消火器を自主的に導入する場合,所轄消防に相談するとともに,使用者は消防訓練等を通してその操作法や危険性について理解することが大切となる.

  • 水本 一弘
    2019 年 39 巻 4 号 p. 467-471
    発行日: 2019/07/15
    公開日: 2019/08/01
    ジャーナル フリー

    われわれの施設では,無影灯配電盤漏電による小火発生を経験し,手術室内の火災対応を再検討した.患者の安全確保をするためには,医療スタッフの安全確保が前堤となる.そのためには,緊急時対応マニュアルとしてアクションカードの整備が必須である.初期消火で使用する消火器に関しては,既存のABC型粉末消火器の人体や医療機器に対する影響を理解すべきである.それを踏まえて,より安全性の高いウォーターベース消火器の追加配備を考慮すべきである.

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