日本臨床細胞学会雑誌
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20 巻 , 4 号
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  • 青木 正, 今村 和子, 本江 博子, 鈴村 博一
    1981 年 20 巻 4 号 p. 607-614
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, IUDの子宮内膜に及ぼす影響について, 細胞学的に追究し, さらに, IUD装着者の細胞診による管理方法を検討するために行われた.
    著者らは, 厚生省のどおりにIUD装着者の定期検診を行い, IUDの子宮内装着状態および副作用を点検するとともに, 細胞学的検索は, IUD装着前 (control) と各定期検診時に, vaginal pool smear, endocervical scraping smear, endometrial aspiration smear, 抜去したIUDのtouch smear等の細胞採取を130例に実施した. その結果, IUD装着後の細胞診では, foreiga-body type giant cellの出現は20例に, calcified bodyは9例に, 異型腺細胞は9例に認められ, そのち1例に核の肥大, クロマチン増量, 核小体の肥大, 細胞の重積性と配列異常が著明な腺癌を思わせる細胞所見が得られた. control群では, 全例, これらの細胞所見は認められなかった. また, 異型腺細胞が出現した9例中6例は, endometrial aspiration smearで認められた.
    以上より, IUD装着者には, IUDの装着状態を定期的に検診するとともに, endometri alaspiration smearを含めた細胞診管理が必要であろうかと考えられた.
  • 八木 弥八, 笠原 正男, 渡辺 是久
    1981 年 20 巻 4 号 p. 615-626
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    乳腺腫瘍について, 細胞学的診断の立場から, 良・悪性所見の境界を解明する目的で, 一般的Papanicolaou法と併用し, 加水分解酵素であるAlkaline phosphatase, Acid phosphatase, β-Glucuronidase等の3種を用いて検索した. 材料は腫瘍からの吸引, 擦過細胞診, さらに手術材料を用いた.
    第一実験群として, まず組織レベルの検索を, 15例の悪性腫瘍と15例の非癌例について行い, 第二実験群としては, 浸潤癌12例と非浸潤癌1例の癌群13例, 非癌例13例について, 細胞診と組織診とを併用し検索した.
    その結果, Alkaline phosphatase反応は, 悪性腫瘍の組織型に関係なく, すべての癌胞巣は陰性反応を呈し, 細胞診学的にはPapanicolaou法による悪性異型細胞の大部分は活性の消失と著しい減少がみられた. 1例の非浸潤癌では弱い活性細胞が混在していた. 非癌例では乳腺症, 線維腺腫等に関係なく明らかな陽性活性反応が認められた.
    Acid phosphatase, β-Glucuronidase等の反応は, 癌例, 非癌例と出現した異型細胞については, 活性の差はほとんどなく, 組織学的には, Apocrine metaplasia, adenosisなどの上皮に強い活性がみられた.
    以上, 乳腺腫瘍の良・悪性異型細胞の診断には通常のPapanico1aou法とAlkaline phosphatase反応の併用により, その境界病変の解明に意義ある一つの方法であることが結論された.
  • 山田 喬, 佐藤 豊彦, 鈴木 容子, 堀江 昌平, 島田 晃一郎, 松村 公人, 岡本 一也, 土井 久平, 藤森 勲, 川根 哲, 小林 ...
    1981 年 20 巻 4 号 p. 627-637
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    呼吸器細胞診を施行した約10,000例のうち, 以下に示すごとき特殊な細胞像ないし, 診断上, 特殊な状態を認めた31例の細胞診標本をretrogradeに集めて検討した (1. 肺原発性重複癌, および化生に伴い複数の癌細胞の出現した例. 2. 肺原発性の稀な腫瘍として, カルチノイド, 肺芽腫悪性黒色腫, 悪性中皮腫. 軟骨腫, 硬化性血管腫等の良性腫瘍. 3. 隣接臓器の腫瘍よりの直接浸入ないし圧排病変. 4. 転移性肉腫. 5. 潜在癌の肺転移).
    これらの例の細胞像を示し, その診断上における種々の問題を提起し, 肺の特殊腫瘍の細胞診の実際には, その臨床的ならびに臨床病理学的背景を特によく知ることの重要性を強調した.
  • 斉藤 泰紀, Anusak YIENPRUGSAWAN, 赤荻 栄一, 須田 秀一, 佐藤 博俊, 橋本 邦久
    1981 年 20 巻 4 号 p. 638-647
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    肺腺癌35例の喀痰中の腫瘍細胞集団の計数的解析を行った. 便宜上, 単個細胞は1個の細胞集団として扱った. 喀痰はサコマノ氏液 (50%エタノール, 2%カーボワックス水溶液) により固定し, 1, 800 r. p. m. 3秒間から, 18,000 r. p. m. 1,000秒間までの種々の条件下で攪拌し, 鏡検した. 腫瘍細胞集団の攪拌による解離の程度は, 腫瘍細胞集団数の腫瘍細胞数に対する比 (n/N) により適切に反映された. 18,000 r. p. m. 30秒間の攪拌条件下では, 低分化型腺癌のn/N値は, 中分化あるいは高分化型に比較して有意に高値を示した (P<0.01). 以下の式による, 構成する細胞数 (i) 別の細胞集団の期待される出現度数 (ei) は, 実測によって得られた出現度数ときわめて近い値をとり, 適合度検定により, 実測した76標本中63標本が容認された. この式によって表現される細胞集団の解離の様式は, n/N値によってのみほぼ規定されている.
    ei=n{(1-g(i-1)/N)n-1-(1-g(i)/N)n-1}ただしg (i) =2.6 (i-0.4) 0.6, i=1, 2, 3…N g (o) =0
  • 工藤 浩史, 鎌迫 陽, 飯塚 保夫, 古賀 成昌, 喜安 佳人, 谷田 理, 佐々木 義夫
    1981 年 20 巻 4 号 p. 648-656
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    最近3年間の胃悪性疾患に対し, 生検材料を用いて塗抹細胞診を行い, 同一材料による組織診と細胞診両者の成績を比較, 検討した. 対象症例は進行胃癌115例, 早期胃癌45例, 胃肉腫3例の計163例であった. 進行癌では, 細胞診88%, 組織診で87%の正診率で両者併用では90%の正診率であった. 早期癌では, 細胞診で78%, 組織診で69%の正診率で, 両者併用では82%の正診率であった. 全症例163例中, 細胞診, 組織診ともに正診が得られたのは124例 (76%) であり, 14例 (8%) では細胞診でのみ正診が得られ, 6例 (4%) では組織診のみで正診が得られ, 19例 (11%) では細胞診, 組織診ともに誤診であった. このように, 胃悪性疾患に対しては, 細胞診の方が高い正診率が得られたが, 細胞診と組織診の併用で正診率はさらに向上した. この原因は組織診で判定できなかった少数の悪性細胞が細胞診で判定されたものと思われる. 一方, 両者いずれかが誤診例では生検採取材料数が少ない傾向にあることなどから, 適切な材料採取が必要と思われる.
  • 武藤 邦彦, 高田 悦雄, 横田 勝正, 池口 祥一, 信田 重光, 佐藤 豊彦, 鈴木 容子, 山田 喬
    1981 年 20 巻 4 号 p. 657-669
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    われわれの教室では, 昭和53年1月より, 腹部腫瘍に対し超音波誘導下に穿刺吸収細胞診を施行してきたが, 今回は, 肝, 膵, 胆嚢の腫瘍について検討した. すべての症例について穿刺前に他の形態学的検査を行い, ある程度の診断を下してから, 質的確定診断を目的として穿刺吸引細胞診を行っている. 症例は, 肝腫瘍10例, 膵腫瘍10例, 胆嚢腫瘍および腫瘤25例の計45例である. 細胞学的確定診断率は, それぞれ100%, 90%, 84%であった. 偽陰性例は, 膵腫瘍の1例にあったが, 1.5×2.0cmの腫瘤で, 的確に穿刺されなかったものと思われる. 胆嚢腫瘤の4例では, 細胞成分が採取されず判定不能となったが, 胆嚢内洗浄等による細胞採取が必要である.
    それぞれの臓器の正常および悪性の穿刺吸引細胞像の特徴を述べ, 数例の症例を提示した. また, この方法に対して, 細胞採集方法, 穿刺針を誘導する超音波装置の現況, 検体の処理, 細胞判定, 臨床上の成績の判定, 合併症等につき, 現在までわれわれの教室で経験した結果と文献に述べられている事項とを対比しつつ考察を加えた.
  • 相馬 雅行, 石渡 千恵子, 塚田 尊, 柴田 文雄, 高橋 恵美子, 藤島 美恵子, 横須賀 由美, 石渡 勇
    1981 年 20 巻 4 号 p. 670-674
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    卵巣の充実性腫瘍のなかで莢膜細胞腫は非常に稀な腫瘍であり, エストロゲン等の性ステロイドホルモンを産生するなど機能性腫瘍としても注目されている. われわれは78歳のエストロゲン産生腫瘍と考えられる巨大卵巣のう腫化莢膜細胞腫を経験したので腟細胞診における扁平上皮細胞のMI (0/18/82), EI (79/21) 等の内分泌学的細胞環境と, 腫瘍捺印細胞像, 腫瘍内容液細胞像について検討した. 葵膜細胞腫の細胞診標本は, 背景が非常に清浄で出現する細胞の形, 大きさ, 核染色質所見等が一様である. すなわち細胞像の特徴を列記すると以下のごとくである.(1) 核径10~25μmの類円形, 裸核の細胞が孤立散在し, ときに細胞集塊がみられることもあるがブドウ房状配列, rosette様配列等の特有な細胞配列はみられない.(2) 核染色質は細あるいは微細顆粒状で均等に分布し, 核縁は比較的整である.(3) 核小体はほとんどみられない.
  • 伊藤 耕造, 大内 和子
    1981 年 20 巻 4 号 p. 675-681
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    甲状腺のfollicular carcinomaに続発した卵巣のendodermal sinustumor (以下ESTと略) 合併例を経験したので, これまで報告の少ないESTの捺印細胞診所見と治療経過中における血清中α-fetoprotein (以下AFPと略) の経時的変動について検討し若干の考察を加えたので報告する. 捺印細胞診所見では, 細胞形は立方状または不規則円柱状で, Pap. 染色で細胞質は淡緑色に染まり空胞状で, 核は円形ないし類円形, NC比大, クロマチンは細網状~細粒状で中等度増量し, 核小体は大型で明瞭なものを2~3個認め, 柵状や腺腔形成を示し, 一部不規則重積性を示す細胞集団も存在し, EST細胞に特徴的なhyaline globuleを細胞質内に有したものも認められた. また背景は出血や壊死物質が多い事よりもESTを反映する腺癌細胞所見が得られ, 術中の卵巣の良, 悪性を判断する材料として, 迅速凍結標本とともにその捺印細胞診は有用性があると思われる. またtumor markerとして血清中のAFPは付属器摘出術と術後の抗癌剤の投与により, 約10週で正常値に復し, その後異常上昇を認めていない. 血清AFPはESTの再発, 転移, 治療効果を判断する上で非常に有用なmarkerであり, ESTの予後をfollow upしていく上には, AFPの微量定量の連続測定が不可欠である.
  • 室久 敏三郎, 吉野 純爾, 内村 正幸, 武藤 良弘, 脇 慎治, 林 輝義, 鮫島 恭彦, 山田 秀雄, 岡本 一也, 土井 久平, 藤 ...
    1981 年 20 巻 4 号 p. 682-689
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    患者は48歳の男性で多尿と口渇を訴えて来院. 腹部単純撮影で膵に一致して著明な石灰化を認め, PS testで3因子低下, その細胞診で悪性腫瘍の合併を疑われた症例である. 膵癌の診断で開腹, 術中の膵管造影で膵頭部主膵管の一部に狭窄を認め, その部分の穿刺吸引した1個所に悪性細胞が認められ, 膵頭, 十二指腸切除が行われた. 膵頭部主膵管の狭窄の一部に長さ数mmと推定される微小癌が発見された. 術後は糖尿病のコントロール以外には経過良好で仕事に従事していたが, 約4年目にVirchowのリンパ節の腫大で来院. 入院後約3週間で死亡した. 剖検によると残存膵, とくに体部実質は癌の浸潤でほとんど認められず, 体部原発を示していた. 本症例は膵における重複癌を確認し得た貴重な症例であり, とくにその一つの原発巣は初期の状態で発見し得たにもかかわらず, 同時あるいは異時に発生したと思われるもう一つの癌病巣の進展により死に至ったものである.
  • 1981 年 20 巻 4 号 p. 715-812
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
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