日本臨床細胞学会雑誌
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20 巻 , 1 号
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  • 矢谷 隆一, 草野 五男, 村林 嘉郎, 太田 昌親, 伊藤 忠弘, 斎藤 みち子, 柴田 偉雄
    1981 年 20 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    顕微分光測光法による核DNA量の定量は, 簡便でかつ正確な定量が可能になったため, 現在では基礎および臨床の各分野で広く応用されている. ここでは甲状腺結節性病変の核DNA量を定量し, その診断的意義について検討した. 結節性病変のうち, 結節性甲状腺腫, 濾胞状腺腫および乳頭状腺癌例を対象としたが, これらの病変のいずれにも単峰性および多峰性のDNA分布を示す症例が認められる. しかし乳頭状腺癌においては多峰性を示す症例が多い. 最頻値は, 結節性甲状腺腫および濾胞状腺腫例においては低2倍体から3倍体にみられるが, 乳頭状腺癌例は低2倍体から低4倍体と幅が広く, 3倍体以上の症例はすべて乳頭状腺癌例であった. DNA定量の結果から各種病変を診断することは困難であるが, 3倍体以上の症例は癌腫例の可能性が強く, またクロマチン量という1つのパラメーターを客観化するという意味から, DNA量の測定はもっと実用化する必要があると考察される.
  • 阿部 庄作, 井上 勝一, 大崎 饒, 村尾 誠, 荒川 三紀雄, 遠藤 隆志, 赤間 正義, 田村 浩一, 井出 肇
    1981 年 20 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    甲状腺腫穿刺細胞診の診断率は他の臓器に比して必ずしも高率とは言い難く, 良性・悪性の鑑別の困難なことが多い. 悪性細胞の特性をより客観的な指標でとらえるために, 甲状腺腫穿刺吸引細胞の核内Feulgen DNA量を測定し, そのヒストグラムパターンより, 良性甲状腺腫と悪性甲状腺腫の差異について比較検討した. 良性甲状腺腫の穿刺吸収細胞の核内Feulgen DNA量のヒストグラムは2c域に主分布がみられるパターンで4c域を越える細胞の出現頻度は12%を示した良性濾胞腺腫の1例を除いて全例4%以下であった. 悪性甲状腺癌の穿刺吸引細胞の核内Feulgen DNA量のヒストグラムは3c域に主分布がみられ, 広範囲に分布するパターンを示した. 4c域を越える細胞の出現頻度も39~60%と多く, 良性疾患とはまったく異なるヒストグラムパターンを示した. 核内Feulgen DNA量の測定により, 細胞診で比較的判定困難な場合でも, ヒストグラムパターンを分析することにより良性・悪性の区別が可能であることが示された.
  • 谷本 一夫, 梅井 民子
    1981 年 20 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    腫瘍細胞が比較的に小型で, 集団として見られることが多いなど形態学的に類似している甲状腺癌9例, 乳癌10例および卵巣癌13例の原発巣腫瘤スタンプ標本, 転移リンパ節スタンプ標本あるいは体腔液塗抹標本の腫瘍細胞および対照として良性疾患5例の体腔液の細胞に6種類の水解酵素染色を施し検討した. 体腔液の細胞の良・悪性の鑑別に今回検討の酵素染色は役立たなかったが, アルカリホスファターゼおよびロイシンアミノペプチダーゼ活性は原発臓器による違いが明らかで, リンパ節や体腔液などの転移巣の腫瘍細胞の酵素活性から原発巣を推定できる結果を得た.
  • 曾根 啓子, 宝来 威
    1981 年 20 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌で, 化学療法剤の効果を予測し, 治療をより有効に行う目的で, 小細胞癌細胞の形態学的解析を行った. 治療前に気管支鏡下病巣擦過法で得られた小細胞癌細胞の形態学的特徴と, cyclophosphamideの治療効果との相関を検討した.
    cyclophosphamide治療での著効群では, クロマチンが密に分布し, 核が明るくみえる細胞が多く出現した. 一方無効群では, クロマチンが粗く密に分布し, 核が暗くみえる細胞と, クロマチンの分布が疎で不均等な細胞が多く出現した. 著効群に多く出現した細胞を化学療法に対する効果の良い細胞 (response-good cells), 無効群に多く出現した細胞を化学療法に対する効果の悪い細胞 (response-poor cells) とし, これらの細胞の出現率から, 治療前に化学療法に対する効果の予測を行い, 多剤併用による化学療法を行った. これらの効果の予測は実際の化学療法の効果とよく一致し, 小細胞癌細胞の細胞形態からの化学療法の効果の予測は, 多剤併用療法にも十分応用ができる.
  • 宮本 宏, 井上 勝一, 阿部 庄作, 村尾 誠, 安田 悳也, 坂井 英一, 清水 哲雄
    1981 年 20 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌18例について, 気管支鏡下擦過による細胞形態像が予後と関係があるかどうか調べた. 多くの小細胞癌には種々な形態をもった細胞が混在しており, 小型核 (10μ 以下) と大型核 (11μ以上), 円形核と多辺形核, 濃染核と淡染核, クロマチンパターン, および核小体について観察した. 極めて予後の不良な例 (4ヵ月以内死亡) では, 予後の良い例 (2年以上生存) と比較して, 小型核, 円形核, および濃染核の割合が多く, また粗クロマチンパターンおよび濃縮核の出現が多かった.
    一方, 予後の良い例では予後の極めて悪い例と比較して, 大型核, 淡染核, および多辺形核の割合が多く, 細クロマチンパターンの出現がより多かった. 小細胞癌の細胞像は予後と関係があると思われる.
  • 佐竹 立成, 夏目 園子, 青木 毅, 中川 武夫, 尾関 俊紀, 鬼頭 みち子, 林 正人
    1981 年 20 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    名古屋市南部のいわゆる大気汚染地域に居住する慢性閉塞性肺疾患患者312名を対象にして喀痰細胞診を施行し, その結果について報告した.
    喀痰中に含まれる化生, 塵埃, 気管支上皮細胞, クルシュマン螺旋体および癌細胞の有無, 出現の程度と, 年齢, 喫煙歴等の臨床事項総計76項目をコンピュータで処理し, 喀痰成分と臨床事項との相関, 喀痰成分相互の出現率についての相関, 大気汚染と喀痰成分との関わり等について調査し考察した.
    (1) 臨床事項と喀痰成分出現率との関係では, 血中と喀痰中の好酸球の出現頻度が正の相関を示した.
    (2) 喀痰成分相互の関係では, 塵埃細胞出現の程度が, 他の成分の出現頻度と相関しており, 大気汚染は塵埃細胞だけでなく, 螺旋体, 気管支上皮細胞, 化生細胞の出現頻度をも左右する因子となり得ることが推測された.
    (3) 肺癌は5名発見されており, この集団は肺癌High risk groupといえる. 肺癌の早期発見とともに大気汚染との関係を明らかにしていくためにも, 今後の追跡調査が必要である.
  • 土屋 真一, 中川 仁, 藤原 睦憲, 田久保 海誉, 山田 邦雄, 大谷 恵美子, 花岡 ふみ子, 畠山 重春, 高山 昇二郎
    1981 年 20 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    乳癌は, 近年, その発病率の上昇につれ現在まで, 多くの研究がなされてきているが, 特に電顕の導入により, その細胞微細形態が詳細に検討されるようになってきた. われわれは乳癌細胞に比較的特異的に見出される細胞質内小腺腔 (Intracytoplasmic lumina: ICLs) の形態学的特徴と, 正常乳腺から乳癌各組織型に至るICLsの発現頻度を電顕的に検索し, 悪性化するほどICLsが増加することを報告してきた.
    現在, 細胞診検査におけるその確診率は70~80%で, 特に良性乳腺疾患 (線維腺腫, 乳腺症) と硬癌との鑑別には, しばしば苦慮することが多いが, 検索した症例132例 (正常乳腺4例, 良性乳腺疾患23例, 癌105例) の細胞診について, 電顕で明らかにされたICLsを検討した結果, 正常乳腺; 0.0%, 乳腺症; 6.7%, 腺維腺腫; 0.0%, 乳頭腺管癌; 10.0%, 髄様腺管癌; 8.6%, 硬癌; 33.3%の症例にICLsを認めた. このように, 癌症例は, 非癌症例に比べてICLsの発現頻度が高く, 従来言われてきた乳腺細胞診断基準に加えてICLsの存在を見出すことが, 悪性としての確定診断の一助になると思われた.
    また, 転移癌の原発巣検索に関して, このICLsがみられた時は乳腺の精査を行うことが肝要であると考える.
  • 松尾 武, 林田 蓉子, 穴見 正信
    1981 年 20 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    157例の肝疾患につき, 主として穿刺吸引細胞診の成績を検討した. その内訳は, 肝細胞癌35例, 肝芽腫1例, 胆管癌6例, 転移性肝癌47例, 悪性リンパ腫3例, 肝硬変症19例, その他28例であった. 肝細胞癌35例のうち, 細胞診で30例を肝細胞癌, 4例を疑陽性, 1例を陰性とした. 胆管癌6例のうち, 胆管癌と診断したのは1例, 他は肝細胞癌や転移癌とし, 1例は陰性であった. 転移性肝癌47例のうち, 42例を陽性と診断したが, 原発巣を決定するのは困難であった. 肝硬変症19例のうち, 18例を陰性としたが, 誤陽性1例があった. 悪性腫瘍の診断率は87%であった.
    肝細胞癌の細胞像の特徴は,
    (1) 輪郭が不鮮明な広い泡沫の胞体, (2) 核の大小不同, (3) 巨大核, (4) 胞体内胆汁色素, (5) 好酸性胞体内封入体等であり, N/C比は小さかった. 胆管癌の細胞像は, 一般の腺癌細胞と異なるところはなかった. 肝硬変症でみられる再生異型細胞は, 大型で核や核小体も増大し, 肝細胞癌の細胞との鑑別が重要と思えた. 本邦の肝細胞癌が, よく肝硬変に伴って発生する事実や, 原発性肝癌に対する外科手術の進歩から, 手技が簡単で, 危険性の少ない肝穿刺吸引細胞診の価値は大きいといえよう
  • 山田 章吾, 武田 鉄太郎, 山形 淳, 磯野 晴一, 高相 和彦, 新沢 陽英, 佐藤 裕美子, 長谷 とみよ, 鈴木 真喜子, 石岡 国 ...
    1981 年 20 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    制癌剤の体腔内直接注入による体腔液中腫瘍細胞の変化を観察することによって, 制癌剤の最も有効な投与量, 投与方法を検討した. 胃癌28例, 乳癌9例, 卵巣癌6例, 大腸癌4例, 肺癌3例, 膵癌3例の計53例の癌性胸腹水例を対象とした.
    使用した制癌剤はMMCが最も多く, ステロイド剤を併用した例もあった.制癌剤注入前後の標本について, 癌細胞集団の小型化・散在化, 癌細胞の膨化, その他の癌細胞変化の3項日を中心に比較検討し, 次の結果が得られた.
    (1) 割癌剤直接注入により癌細胞集団の小型化・散在化および癌細胞の膨化が著明に観察された. その他の癌細胞変化核濃染, 核形異常, 空胞形成などは比較的に軽度で, しかも発現時期が多少おくれる傾向があった.
    (2) 制癌剤注入による細胞変化は3日日から出現し, 制癌剤の有効持続期間は2週間前後と考えられた.
    (3) 制癌剤の効果は1回注入量より累積量と相関する傾向があった.
    (4) ステロイド剤併用は, 特に細胞集団の散在化という点で制癌剤の作用を増強する傾向があった.
  • 椎名 義雄, 武田 敏
    1981 年 20 巻 1 号 p. 69-77
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    尿中封入体細胞の出現については, これまでにも多くの報告がみられ, 特にウイルス性疾患に特異的か否かを論ずるものが, その中の大半を占めている. しかし, 本細胞とウイルス性疾患の関係を追求するには, ウイルス性疾患・非ウイルス性疾患の対照のとり方に大きな問題があるように思われた. つまり, 健康人を含む非ウイルス性疾患では, 確実にウイルス感染が無とは断言できなく, 不顕性感染までもチェックすることは事実上不可能である. そこで今回は同一健康人を長期間検索し, 健康時とウイルス感染症を含む有症時における封入体細胞数の変化を調べ, 本細胞とウイルス感染との関係を追求した.
    今回行った濃集法においては, 健康時は10個以下の出現にとどまるのに対し, 明らかなウイルス感染症では著明な増加を示した. 風邪症候群の大部分はウイルスが原因とされているが, 今回の検索でも本症では鼻汁, クシャミ程度の症状を呈す時期でもすでに増加を示した.また臨床症状の出現する12時間前に, 封入体細胞の増加も認められ, 症状が重いほど本細胞も多数出現した. しかし, スポーツ等により著しく体力を消耗した時の封入体細胞効は, 健康時と同様に10個以下の出現にとどまった.
  • 高橋 道子, 笠松 達弘, 上井 良夫
    1981 年 20 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌放射線治療後の追跡診における, 細胞診の検査結果と予後との関係について, 検索した.
    すでに, 治療後5年以上経過している236例から, 5年間に採取された腟スメアは, 1, 863件であった。追跡診中に疑陽性以上の細胞診断を示したものは, 47.9%に当たる113例であり, それらの65.5%に癌の存続や再発が認められた. 疑陽性以上の組胞診断を示した113症例の死亡率は, 63.7%であり, 陰性を示した123症例の死亡率48.0%との問に有意の差がみられ, 追跡診中の疑陽性以上の細胞診断については注意すべきと考えられた.
    癌の局所再発した67例のうち, 73.1%に当たる49例が疑陽性以上の細胞診断を示したが, そのほかの18例は, 腟スメアに異常が認められておらず, 今後, 細胞の採取方法などに, 工夫がなされるべきと考えられた.
  • 三輪 治子, 増淵 誠夫, 藤本 郁野, 山口 規, 福田 耕一, 谷口 一郎, 都竹 正文, 増淵 一正
    1981 年 20 巻 1 号 p. 85-91
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    (目的) 子宮頸癌検診の際, 初診時細胞診において疑陽性を示した症例のうち, 特に診断の困難であった例について, 確定診断を得る目的でエストロゲンテストを行った。
    (方法と結果) 1975年1月より1979年10月までの約5年間に当院外来において施行した細胞診総数77, 955例中, 疑陽性は760例であり, そのうちの40例について検討した.
    estrogen (premarin錠1.25mg 1錠/日) を14日間連続投与し, 服用終了後3日目に再度細胞診を行った. 良性病変を疑った12例では陰性11例 (慢性頸管炎), 陽性1例 (浸潤癌) となり, 悪性病変を疑った28例では, 陰性10例 (慢性頸管炎), 疑陽性2例 (異型上皮), 陽性16例 (上皮内癌12例, 浸潤癌4例) となった.
    (結語) 初診時細胞診で特に診断の困難であった40例において, エストロゲン投与後の細胞診により100%の確診率を得た. 投与期間がやや長期にわたることなど, さらに改良せねばならない点もあるが, 閉経後婦人に有用な診断法と考える.
  • 渡辺 克一, 飯藤 容弘, 佐野 隆, 鐘 坤井, 植木 実
    1981 年 20 巻 1 号 p. 92-99
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    子宮頸部境界病変の診断は組織学的に行われているが, 形態学だけでこれらの病変のもつ良性, 悪性などの生物学的性質のすべてを知ることはできない. そこで子宮内膜症を合併する異形成や上皮内癌において, EP合剤による偽妊娠療法やdanazol療法で内膜症を治療するとともに, 頸部病変の変化を剥離細胞診によって観察し, 組織学的異形度と各病変の生物学的性質との関係をhormone反応性の面から検討した. さらに異常上皮における鑑別診断や治療法としての可能性について考察した.
    その結果, 異形成や上皮内癌は外因性steroid hormoneの影響により形態的変化を示した. danazol療法では変化は少ないが, 偽妊娠療法では中等度異形成以下の病変と一部の高度異形成ではregress, 大部分の高度異形成と上皮内癌ではstable, 一部の上皮内癌ではprogressする傾向を認めた. このように偽妊娠療法を行って治療前後の変化を観察することは単に組織形態観察では知りえない各境界病変の良性, 悪性などの性質をhormone反応性に基づいて比較的短期間に判定することができ, したがって, これらの鑑別手段や軽度~中等度異形成の治療法としての可能性があると思われた。
  • 千綿 教夫, 松隈 孝則, 佐藤 伸子, 石田 禮載, 杉下 匡, 天神 美夫
    1981 年 20 巻 1 号 p. 100-108
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    東京都がん検診センターにおける最近6年6ヵ月間の子宮癌検診受診者総数は98, 664名, 発見された子宮頸癌は287名である. そのうち細胞診のみ陽性, コルポ診生検組織診ともに陰性で, 手術によって診断の確定された症例は9例 (上皮内癌5例, 早期癌2例, 異型上皮2例) であった. 上皮内癌の5例においては, 病巣は頸管内に存在し比較的小範囲のものが多く, 腺腔内で強い増殖を示していた。
    細胞診断学的には, 次のごとき特徴が認められた.
    (1) 追跡細胞診の経過中に細胞診成績は容易に陽性から陰性へ, 再び陽性へと変動推移した.
    (2) 追跡経過の終期にみるclass Vは異型性ある変性無構造核所見を主としていた.
    (3) 頸管内擦過細胞診においていっそう強い陽性所見がみられた.
    (4) 細胞診上に異型性扁平上皮系細胞による腺腔様模様が明瞭に認められた.
    早期癌に進展した場合は, 多彩な悪性像を呈し, 上皮内癌にみる特徴は失われていた.
    細胞診単独陽性例においては上記諸所見に留意し, 頸管内の病変について対応を誤らぬように注意する必要があろうと思われた.
  • 清水 秀光, 佐藤 英五, 岸野 喜保, 五十嵐 優子, 杉田 道夫, 土田 正祐, 杉下 匡, 天神 美夫
    1981 年 20 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    過去11年間に, 外子宮口より膣内へ脱出した懸垂型子宮筋腫8例と重症トリコモナス腔炎2例の細胞診に, 悪性細胞と誤認した剥離細胞を経験した. そこで, それらの症例の組織標本をもとに, 剥離細胞の母地組織を精査観察し, いわゆる変性した再生上皮に起因することを知った. よってかかる疾患の細胞診判定に際しては, 十分注意するとともに悪性の判定基準と比較検討する意味においても, 重要な参考所見として報告する.
    特に, 細胞診において, 再生上皮の変性に関する論文はほとんどみあたらず, その所見をまとめてみると, 次のごとくである.
    核所見では, 核腫大, 核の大小著明, ときに巨大裸核, 核小体著明, 細網または細穎粒状クロマチン, 不規則な類円形などが挙げられる. 細胞質所見では, 紡錘形, 辺縁融解と境界不鮮明, 異染性などがあり, 全体として化生細胞様, あるいは再生上皮様であり, なかには剥離細胞が腺腔様配列を呈することもある. そしてその成因は, おそらく腔内へ脱出した筋腫表面の剥離再生, 変性の繰り返しにより上皮の損傷, 修複が不完全に継続する結果, いわゆる悪性細胞に酷似した変性型再生上皮となり, その剥離細胞を検鏡する結果となる.
  • 斎藤 泰紀, 天野 謙, ジュンプルクサワン アヌサク, 赤荻 栄一, 須田 秀一, 佐藤 博俊, 大久田 和弘, 橋本 邦久, 仲田 祐, ...
    1981 年 20 巻 1 号 p. 115-122
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    液状検体の細胞診602件に対してサコマノ氏集細胞法を応用した。採取された検体は, 50%エタノール・2%カーボワックス混合液により直ちに固定されるため, 細胞変性はごくわずかで, 細胞の軽度の収縮はあるが, 細胞の微細構造の観察は容易であつた.
    また, 固定された細胞の比重は, 1.24から1.28の間で, きわめて高比重となるため, 沈降速度が著しく大となり, 髄液など細胞が少数の検体でも, 軽い遠心操作で十分な沈渣を得ることができた.
    さらに, 乾燥した未染標本には適宣特殊染色を行うことができ, 容器に注入した検体を移し替えずに, 合理的な標本処理を行うことが可能な変法を考案し, 602件の診断成績は, 満足すべきものであった.
  • 岩 信造, 由谷 親夫, 増田 一吉, 呉 聡栄, 久城 英人, 児玉 順三, 宮下 士, 山口 武典, 平田 幸夫, 下村 克朗
    1981 年 20 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の女性で, 職業はビル清掃で, 10年前より高血圧を指摘されていた.
    今回, 原因不明の心のう炎, 胸膜炎を伴い, 臨床的にはconstrictive pericarditisと診断された, その後, 脳血管障害により死亡し, 剖検を行った結果, 心のう膜原発性の悪性中皮腫を確認し, 腫瘍の捺印細胞診を実施した.
    腫瘍は腺腔形成の腺癌様部分と紡錘形細胞からなる肉腫様組織の混合型である. 各細胞は大小不同, 核異型等が著しく, 核小体もみられ, 心外膜, 心筋への浸潤もみられた.
    腫瘍細胞の特徴的所見として, 腺癌様細胞と線維肉腫様細胞が混在しており, 細胞間結合は密である. 細胞は20μから300μのものまでみられ, 細胞質は微細空胞状でBlister様の突出もみられる. 核膜は平滑で, 核縁の肥厚は軽度で, クロマチンは増量し, 顆粒状で均等分布を示し, 所々にクロマチンの凝集塊もみられる. 核小体も3μから5μのものまでみられ, 赤く明瞭に染色されている. さらに電顕所見でもグリコーゲン顆粒, 線維束, 細胞間橋, 細絨毛等が観察され, 原発性悪性中皮腫と診断し得た.
  • 武藤 良弘, 室久 敏三郎, 内村 正幸, 脇 慎治, 林 輝義, 鮫島 恭彦, 岡本 一也, 土井 久平, 山本 幸夫, 藤森 勲, 川根 ...
    1981 年 20 巻 1 号 p. 129-133
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌を細胞レベルで診断する目的で胆嚢穿刺吸引細胞診を行った. 方法はX線テレビ透視下に胆嚢を穿刺し, 吸引内容液や洗浄液を細胞診の材料として用いた. 胆嚢穿刺の対象症例として50歳以上で胆嚢造影陰性例を用いた. その中61例を細胞診対象とし, 6例が胆嚢癌であり, 6例中4例が細胞診で確診を得た. 4例中2例は乳頭腺癌, 1例は腺扁平上皮癌, 残りの1例は粘液癌であったが, これら症例の細胞像と組織像について述べた.
    確診できた4例はいずれも癌病巣は大きく, 良好な細胞採取が可能であったが, 診断できなかった2例はともに癌病巣は微小で, 細胞採取が不可能であった. 胆嚢穿刺吸引細胞診は緒についたばかりであり, 有効で適切な細胞採取の工夫と細胞読解への努力が必要と考える.
  • 林 逸郎, 勝田 弥三郎, 永井 義丸, 園田 文孝, 西 国広
    1981 年 20 巻 1 号 p. 134-139
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    58歳, 女性が左乳房上外側に発生した急速に増大する有痛性腫瘤のため九州がんセンターに入院した. 1979年5月に左乳房切断術が施行された. 腫瘍の大きさは3.5×4cm, 球状, 黄灰白色で, 弾性硬であった, 腫瘍はosteoclast様多核巨細胞と異型 “間質細胞” からなっており, “osteoclastoma-like giant cell tumor of breast”と診断された. 多核巨細胞の核は50個以上にも達し, それらの核は小さく, 多形性に乏しく, 細胞質の中央側に位置していた一術後経過は順調であったが, 転移のため再入院し, 1980年1月10日他界し, 剖検がなされた. 剖検時の胸水細胞診では大型多形細胞, リンパ球様小型円形細胞, 線維肉腫または平滑筋肉腫様の異型核を有する紡錘形細胞よりなる異型 “間質細胞” と少数の多核巨細胞が認められた. 多核巨細胞の大きさは70~170μ, 核の大きさは約20μで, 円形~卵円形を呈し, それらは細胞質の中央側に位置していた.
  • 竹村 正, 西浦 治彦, 武田 守弘, 大熨 實
    1981 年 20 巻 1 号 p. 140-144
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    卵巣腫瘍の存在を指摘されてから10年後に発生した41歳女子の卵巣類皮嚢胞癌の1例について, その細胞像および組織像を検討した. 細胞像は腹水, 腫瘍割面捺印ともに扁平上皮型および腺型の悪性細胞が認められ, 粘液類表皮癌の組織像を裏づけた. 組織発生としては卵巣類皮嚢胞癌, 特に本例のような粘液類表皮癌は類皮嚢胞腫中に含まれる気管支上皮から発生する可能性がある. 従来, 類皮嚢胞腫中の内容物のコレステロールが類皮嚢胞癌の発癌に関与していると言われているが, 同様にコレステロールが発癌に関与すると示唆される腫瘍として胆嚢癌に言及した.
  • 黒川 和男, 松木 佐紀子, 小塚 恒弘, 青笹 克之, 山本 茂生, 大内 和子, 野田 定
    1981 年 20 巻 1 号 p. 145-148
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    急性骨髄性白血病に緑色腫が発生することはよく知られているが, それが子宮に発生することは極めてまれとされている. 今回, 著者らは42歳の婦人の子宮頸部に原発したと思われる緑色腫を経験し, その子宮腟部擦過スメア中の細胞像を検討し得たのでここに報告する. なお著者らの観察した細胞所見は次のごとくである.
    すなわち, 細胞形は円形~類円形を示し, 細胞質はライトグリーンに淡染し, 核形は円形~不整形で, なかには切れ込みを有するものも認めた. 核縁は薄く, 核クロマチンは細網状~細顆粒状で微細なクロマチンが密に配列し, 円形~不整形で小型の核小体を1~数個認めた.
  • 国井 兵太郎, 国井 勝昭, 鈴木 洋子, 鈴村 博一
    1981 年 20 巻 1 号 p. 149-155
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    黄色帯下を主訴として来院した54歳の主婦に, 子宮体部のcarcinosarcomaがみられた. 初診時の診察では壊死状の腫瘤が子宮口から突出し, 組胞診ではsarcomaが考えられ, 試験切除標本ではleiomyosarcomaと診断された. 手術により摘出したところ, 子宮内腔に鵞卵大の腫瘤を形成しており, 組織学的には大部分が肉腫組織で, その中に島状に扁平上皮癌の部分と腺癌を疑わせる部分とがあった.
    内腔からの吸引細胞診標本を詳細に検討してみると, 次の三種の異型細胞が見い出された.
    1) 大型で線維状または紡錘状をしており, 核は濃染し, 核小体も大きな細胞.
    2) 平面的な排列をなし, 広く厚い細胞質を持ち, 不規則な形をした核を有する細胞.
    3) 大きな細胞質空胞をもった細胞群で, clusterとして出現し, 核の染色質は増量して赤染する核小体をもつ.
    これらの細胞は組織標本と比べて検討したところ, それぞれ, 肉腫由来のもの, 扁平上皮癌由来のもの, 腺癌の疑われる細胞, と考えられた.
  • 北崎 光男, 草薙 鉄也, 岡和田 昌弘, 伊東 英樹, 渡辺 亘, 工藤 隆一
    1981 年 20 巻 1 号 p. 156-163
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    今回われわれは比較的まれな症例と考えられ, その臨床経過や放射線感受性にっいても通常の子宮頸部純粋腺癌とは異なったentityに属すると考えられるadenoma malignumを経験したので, その細胞学的, 透過電顕的および組織培養所見について検討し, 放射線感受性の問題ならびに本腫瘍の組織発生的問題について考察した.
    症例は51歳, 多量の粘液性帯下を主訴として過去4年間, 他大学病理教室において良性と診断されていた. 当科初診時, コルポ診では凹凸不正で, ゴム様硬度を呈し, 組織診では一見benignとみなされたが, 細胞診では細胞の集積性の異常, 軽度の核異型性, 核小体の増大・増加が特徴的な腺癌typeであり, この細胞所見と臨床所見から悪性と確診した. 組織診の再検討ではcellular atypiaに乏しいが, scirrhousな増殖パターンや小型の腺構造などstructural atypiaを示した. リンパ節転移巣には, 原発巣と同様なadenoma malignumとともにadenosquamous carcinomaの共存を認めた. しかも電顕的には同じリンパ節内に, 分泌様顆粒とtonofibrilsを同時に含む移行型とも考えられる細胞が存在した. また初代組織培養では1,000 rads試験照射前および後の各組織とも良好なoutgrowthを認め, 放射線感受性が低い可能性を示唆した.
  • 1981 年 20 巻 1 号 p. 164-168
    発行日: 1981年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
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