日本臨床細胞学会雑誌
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20 巻 , 3 号
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  • 諏訪 敏一, 奥井 勝二
    1981 年 20 巻 3 号 p. 483-489
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    1961年から1974年まで経験した210例の早期胃癌のうち, 直視下採取細胞診を施行した99例と進行胃癌10例を対象とした.
    採取法別細胞診成績は, 直視下洗浄法は, 84.0%, 直視下生検塗抹法では87.5%であり, 総合成績では86.9%の陽性率であった.
    肉眼形態別の成績では, 陥凹型のものが隆起型よりも高い陽性率であった.
    早期胃癌細胞は, 隆起型の長径10.0±0.34μ (M±S.E.), 短径8.0±0.28μであり, 陥凹型の長径11.5±0.55μ, 短径9.1±0.68μに比べて小さい傾向であった. 隆起型の長径, 短径とも, 進行胃癌の長径15.2±0.93μ, 短径12.3±0.70μに比べ小型であった (それぞれP<0.01, P<0.001). 陥凹型の長径, 短径とも進行胃癌の長径, 短径と比べ小型であった (いずれもP<0.01). 深達度別では, m, sm間には有意差はみられなかった.
    早期胃癌の隆起型, 陥凹型について, 細胞径, 核径, 核内構造, 核小体, 悪性印環細胞の出現頻度, 細胞の形, について比較検討すると, 両者間に有意の差を見い出し得た.
    微小胃癌, 多発早期胃癌, 局在の必ずしもはっきりしない病変, Hb型早期胃癌に, 洗浄細胞診は有力な診断方法である.
  • 遠藤 隆志, 荒川 三紀雄, 井上 和秋, 井上 勝一, 宮本 宏, 阿部 庄作
    1981 年 20 巻 3 号 p. 490-494
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    生検, 手術, 剖検によって組織診の明らかな原発性肺癌, 132症例について組織診所見と細胞診所見の関係を比較検討を行うとともに不一致例については, その原因について検討をした. 細胞診断は喀痰, 気管支擦過材料についてのみ行った.
    組織診との一致例は, 細胞診陽性例123例中110例 (89%) で, 不一致例は13例 (11%) であった. 不一致例を手術例に限ってみると, 申分化および低分化の扁平上皮癌と腺癌を見誤った例が多く, 大細胞癌の一致率が最も悪かった. また, 不一致例は気管支擦過材料に多く, 特に腺癌を扁平上皮癌と見誤った例が多かった.
  • 椎名 義雄, 沢田 好明, 畠山 良紀, 武田 敏
    1981 年 20 巻 3 号 p. 495-503
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    乳腺の細胞診は他臓器に比べて, 疑陽性・誤陰性が多く, その大部分は異型性が少ない小型癌細胞と, 増殖の著明な線維腺腫または乳腺症で特にみられる異型細胞, との鑑別が困難であることに起因している. 今回はそれら細胞像を詳細に観察すると同時に, 同一症例にalkaline phosphatase 染色を応用し, 良・悪性細胞における本酵素活性の強さを比較した. 手術摘出物捺印スミアにおける正診率は89.5%で, 誤陰性は1.5%, 疑陽性は9.0%であった. 誤陰性の組織型は乳頭腺管癌で, ALP活性はI3型と良性の性格を示し, 細胞診およびALP活性ともに癌の診断はできなかった. 疑陽性例の組織型は乳頭腺管癌・硬癌・線維腺腫・管内乳頭腫各1例で, 乳腺症はadenosisの著明なものが2例であった, これらのALP活性は癌が2例とも陰性, 良性病変はいずれも活性を認めた. これらの結果からALP染色の併用は鑑別診断の困難な症例においては有益な方法と思われる.
  • 木寺 義郎, 岩坂 剛, 塚本 直樹, 松山 敏剛, 柏村 正道, 柏村 賀子, 井上 功, 滝 一郎, 手島 英雄, 杉森 甫
    1981 年 20 巻 3 号 p. 504-508
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    子宮体癌患者38例について, 治療前細胞診と病理組織診との関連性を検討した. 内膜スメアでは癌の分化度と異型細胞出現率との間に関連性はなく, 高分化型腺癌, 低分化型腺癌いずれにも高い出現率が認められたが, 頸管スメアでは低分化型腺癌ほど異型細胞出現率が高いという結果が得られた.
    癌の筋層浸潤度による異型細胞出現率の違いでは, 頸管スメア, 内膜スメアいずれにおいても筋層浸潤度と異型細胞出現率との問に関連性は認められなかった. しかし頸管浸潤のあるものでは, 高い異型細胞出現率が頸管スメアで得られた.
    体癌細胞診の特徴について, 細胞診の背景と正常内膜細胞の出現状態という点から検討を行った. 腫瘍性背景は頸管スメアよりも内膜スメアにおいて高い頻度でみられ, また頸管スメアでは腫瘍性背景を示しながら異型細胞が認められないものもあった. 閉経後体癌患者の頸管スメアでは, 比較的高頻度に正常内膜細胞が認められるものがあり, このなかには異型細胞が認められないものもあった.
  • 関本 昭治, 加藤 敬三, 小野 聡, 羽生 忠義
    1981 年 20 巻 3 号 p. 509-513
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    146, 492例の集団検診細胞診検体において10例に変性した巨大裸核状細胞 (仮称) を認め次のごとき一定の背景を有する症例にのみ出現することが判明した. (1) 1例を除きすべて閉経婦人で平均年齢56.7歳と比較的高齢者に属する. (2) コルポスコピー上すべてUCF例である. (3) 通常の狙い生検診では病巣捕捉は困難であり頸管内掻爬, 円錐切除, 単摘等により確認された病巣はすべて中等度異型上皮以上の所見を示す. この10例の細胞診追跡はのべ55回実施し巨大裸核状細胞は19回に出現した. 一方ectocervixに病巣を確認し得る, non-keratinizing large cell typeの7例 (すべてIa期) より採取した22枚の細胞診検体では1検体のみにしか出現をみなかった. すなわち巨大裸核状細胞は子宮頸管内に潜伏する子宮頸上皮内腫瘍に由来し異型細胞が頸管内に剥離する直前あるいは直後に変性膨化し裸核状形態をとり出現すると考えられた. こうした巨大裸核状細胞が出現した場合, 他に異型細胞が認められなくともクラスIIIbと解釈すべきものと考えられ, 高齢婦人に対する集団検診の一連の操作にあたっては特別の配慮を加えなければならない.
  • Ikuno FUJIMOTO, Shigeo MASUBUCHI, Haruko MIWA, Kohichi FUKUDA, Sadamu ...
    1981 年 20 巻 3 号 p. 514-522
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    癌研婦人科における子宮全摘術後患者の追跡検診で, 1970~1979年間に12例に腟細胞診で異型細胞を認めた. 2例の上皮内癌の細胞所見を呈した症例は, 子宮頸部上皮内癌術後であった. 異型上皮細胞を認めた6例のうち, 4例は頸部扁平上皮癌術後で, 他の1例は内膜腺癌術後で, 残りの1例は卵巣癌術後の症例であった. 子宮の良性疾患で手術した症例のなかでも4例に術後異型細胞の出現をみた. 細胞診所見上, いわゆる頸部の上皮内癌, 異型上皮の所見と極めて類似していた. 悪性, 良性を問わず, 子宮全摘術をうけた症例について, 終生定期的な追跡検診を行う事が, 腟上皮の異型性変化を早期に発見する上で大切な事であろう.
  • 岸上 義彦, 森下 哲雄, 野田 定, 橋本 良夫
    1981 年 20 巻 3 号 p. 523-531
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    Feulgen反応で染色した腟smearを完全自動でscreeningする装置, Auto-cyto-screenerを大阪府立成人病センターで開発した. しかし, 本装置を実用化するためには, 完全に分散した細胞を均一に分布するよう塗抹標本を作製しなければならない. このような塗抹標本の作製法について, すでに何回か報告しているが, いまだ, 完成の域に達していない. 今回, 下記の2点について再検討し, 改良することができたので報告する.
    1) 自動細胞診screening装置を実用化するためには, 腟smearから好中球, 赤血球, 細菌等を除去することが望ましい. この目的のため, 一層または多層のFicoll液の上にsmear suspension を重層し, 遠心ならびに静置沈澱の双方を試みた. その結果, 比重1.024のFicoll液の上に等量のsmear suspensionを重層し, 30分間静置後, 下層の細胞を全部回収する一層静置沈澱法がもっとも有効であることが判明した.
    2) Auto-smearによる遠心塗抹法について再検討した. その結果, 細胞ことに扁平上皮細胞の剥落を防ぐため, 遠心用cellとslide glassとの問には, ぜひ濾紙を使用すべきであり, さらに, 濾紙の強い吸引力で塗抹面上の細胞配列を乱すのを防ぐためには, smear suspensionをcellに注入した直後に遠心すべきであることが判った.
    slide方式の細胞診自動化を実現するためには, 以上の2点の他に, さらに, smear作製法を改良してゆく必要があると思われる.
  • 笠原 正男, 舟橋 正範, 村田 供爾子, 山岸 要範, 柳田 隆正, 八木 弥八
    1981 年 20 巻 3 号 p. 532-540
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    74歳男性, Vater乳頭部腫瘍生検にて, 角化扁平上皮癌と診断された症例に関し, 剖検時の膵頭部腫瘍からの捺印細胞と腹水悪性細胞について細胞学的ならびに病理組織学的に比較検討し, その組織型の成り立ちについて考察した. 腫瘍部全体を転移巣をも含め, 3つの領域に区分し, それぞれ30数枚の捺印標本を作製, 同一部を組織学的検索に用いた.
    腫瘍本体の細胞学的所見は, オレンジG好性胞体が多く, 層状構造, 核周囲明量形成があり, 核異型に富み, 核クロマチンは粗, N/C大. 組織学的には角化扁平上皮癌であった. 転移部十二指腸では, 胞体は円形あるいは楕円形で, ライトグリーン好性. 核辺の明暈帯が明瞭. 腺管様構造の配列が認められた. 組織学的には分化型腺癌であった. 腫瘍中心部より十二指腸にわたる中間部では, 胞体は多彩な形を呈し, ややライトグリーン好性が目立つ. 胞体辺縁明瞭, 核クロマチンの核膜辺縁への凝集化, 核切れ込みが顕著で, 核異型にも富む. 配列は敷石状ないし柵状を呈していた. 組織学的には低分化腺癌に類するものであった. 腹水異型細胞では, 腫瘍本体よりの捺印細胞所見と類似性があり, 扁平上皮癌と診断された. 他の膵所見として, 多発する排泄管上皮の異型性過形成と徴小癌胞巣が存在していたが, 細胞学的ならびに組織学的に, 扁平上皮化生は認められなかた. 膵原発性腺扁平上皮癌の組織発生は, 排泄管上皮よりの腺癌の扁平上皮化生によるものと考られる.
  • 武藤 良弘, 錦野 光浩, 栗田 雅史
    1981 年 20 巻 3 号 p. 541-544
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    胆嚢穿刺吸引細胞診でマッチ棒に類似する細胞がみられた2例の細胞像と胆嚢病変について報告した.
    細胞診でこの細胞は著しく細長く, 核も同様な形態を呈していて柵状ないし花冠状の配列をなし, 細胞質および核ともに均一性顆粒状変性を示していた. このマッチ棒細胞がみられた胆嚢は組織学的に軽度の炎症性変化が存在していて, その内腔にビ系石と黒褐色粘稠性の病的胆汁がみられた. しかも粘膜上皮に細長く変性を示す上皮細胞塊が点在していた. マッチ棒細胞は粘膜上皮細胞より剥離した細胞が, おそらく病的胆汁中で変性してマッチ棒形態を呈したと考えられる.
  • 中川 仁, 畠山 重春, 大谷 恵美子, 花岡 ふみ子, 土屋 真一, 田久保 海誉, 高山 昇二郎, 鈴木 文直, 山本 鼎
    1981 年 20 巻 3 号 p. 545-551
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    一般に気管支腺由来の腺癌は気管支粘膜に覆われているために, 喀痰細胞診は陽性になりにくいとされている.
    症例は69歳の元鉱夫で, 嚥下困難を初発症状として来院し, 喀痰細胞診で腺癌が疑われ, 精査の結果気管支腺由来の肺腺癌であったので喀痰細胞像, 捺印細胞像および組織像を中心に報告する.
    本症例を気管支腺由来とした根拠は, 組織像で, 気管支粘膜下にAdenoid cystic carcinoma, 印環細胞の増殖を伴い, Tubular adenocarcinomaの像への移行を示していた, かつ近傍には気管支腺に類似した腫瘍細胞の増殖が認められた事また本腫瘍が左上幹より発生したためである. さらに剖検時の全身的検索によっても他に原発巣らしきところは見当たらなかった.
  • 根本 則道, 根本 充弘, 登坂 朗, 小沢 尚男子, 川生 明, 桜井 勇, 田中 昇
    1981 年 20 巻 3 号 p. 552-558
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    原発巣確定以前に喀痰中に腫瘍細胞の出現した睾丸原発胎児性癌の1例を経験し, 剖検時採取された原発巣, 転移巣の捺印細胞像ならびに組織の免疫組織化学的検索所見を喀痰細胞像と比較検討した.
    喀痰中に出現した腫瘍細胞は20~40μの多形性を有する細胞であり核細胞質比は大, 核クロマチンは顆粒状散在性であり明瞭な核小体が1~2個観察された. これら腫瘍細胞は孤立散在性ないし10数個の細胞よりなる集簇巣として観察され, 剖検時採取された原発巣, 転移巣の組織およびその捺印標本との比較では組織学的特徴をよく反映していると考えられた. 免疫組織化学ではAFPは原発巣, 転移巣の定型的胎児性癌部分およびより未分化な細胞よりなる部分にも証明されたのに対して, HCGとそのサブユニットは原発巣においては短紡錘形ないし多形細胞に, また肝転移巣内に稀に存在するsyncytiotrophoblast様の巨細胞にのみその局在が証明された. CEAは原発巣, 転移巣ともに陰性であった.
    以上より喀痰細胞像は胎児性癌の組織学的特徴をよく反映し不規則な腺管様ないし乳頭状パターンに特徴づけられると考えられた. しかし, 胚細胞性腫瘍の診断には詳細な細胞学的検索はもちろん, 患者の性, 年齢, および血清中のtumor markerの検索が必須であると考えられる. さらに今後細胞診領域における免疫組織化学の応用は胚細胞性腫瘍の診断に有用な手段になると考えられる.
  • 水内 英充, 渡辺 亘, 伊東 英樹, 高階 俊光, 足立 謙蔵, 明石 英史, 工藤 隆一, 橋本 正淑
    1981 年 20 巻 3 号 p. 559-566
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    2例の腟原発と推定される悪性黒色腫を経験し, その剥離細胞の光顕, 走査電顕観察, および組織光顕, 透過電顕, 走査電顕観察を行った. 剥離細胞学的にはこの2例は対照的な細胞所見を示した. すなわち, 1例はmelanine色素は認められず, いわゆるmelanoma細胞が多数出現したが, 1例はmelanine色素を豊富に有し, melanoma細胞の出現は非常に少なかった. 剥離細胞の走査電顕観察ではmelanorna細胞の表面はsand paper状であり, 細胞から流出した表面平滑なmelanin顆粒が認められた. 組織の走査電顕観察では剥離細胞所見と同様所見が得られた. 転移巣の白色部分のmelanoma細胞の透過電顕的観察では, melanosomeは少なくPremelanosomeが数個認められるにすぎない細胞が多く, melanine生成が不活発である事が推察された.
  • 蔵本 博行, 森沢 孝行, 上坊 敏子, 泰 宏樹, 大野 英治, 今井 忠朗
    1981 年 20 巻 3 号 p. 567-571
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    1. 臨床的に膵臓原発と診断した転移性子宮体部腺癌の1例を報告した.
    2. 子宮に転移した膵臓癌の細胞像は, きれいな背景のなかにレース状の細胞質を持ち, 大小不同ある異型細胞が, 散在性または集塊を形成して出現する. 円形核には粗大顆粒状のクロマチンと, 1~2個の著明な腫大核小体を認め, 核縁も均等肥厚する. 粘液の貯留は一部であるが印環細胞様を呈することもある, 集塊部では, 腺腔様あるいは乳頭様に配列する.
    3. 原発性あるいは他の転移性子宮癌と比較すると, 細胞径, 核径は, 最も大きなS状結腸癌, また原発性頸部腺癌より小型である. しかし原発性子宮体癌や胃癌とは細胞計測上明らかな差は認められない. 核小体数では体癌に比し多数を有する細胞が多く, 印環細胞の出現では, その頻度が少ないことで印環細胞型胃癌と明瞭に区別できる. しかし, 腺管腺癌型胃癌とは鑑別困難である.
  • 大内 和子, 松尾 美材, 矢羽田 一信, 伏見 恵, 和田 昭, 野田 定, 植木 実, 鐘 坤井
    1981 年 20 巻 3 号 p. 572-577
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    58歳の主婦 (2回経妊, 1回経産) の子宮頸部擦過スミアで肺のoat cell carcinomaと類似の細胞を観察し, 細胞診断上, 子宮頸部のoat cell carcinomaとしたが, コルポスコピー下の狙い組織診はanaplastic carcinoma of the cervix, suspected of poorly differentiated squamous cell carcinomaとされ, 同時に採取した組織片で電顕標本を作製し検討したところ, 神経分泌顆粒等の証明によりoat cell carcinomaと確認された1例を経験したので報告する. なお著者らが本症例をoat cell carcinornaと診断した細胞所見は次のごとくである.
    1. 細胞配列は孤立散在性または集団状で, いわゆる対細胞, 封入細胞もみられる.
    2. 細胞は小形で円形または楕円形を示し, 細胞質に乏しく裸核状である.リンパ球よりはやや大きく, 細胞形に大小不同を認める.
    3. 核は淡染性, 濃染性のものがみられるが, 形は円形, 楕円形あるいは紡錘形である.
    4. 核小体は一般に著明でないが, 出現する場合は通常小さく数個みられる.
  • 安田 允, 天野 信人, 落合 和彦, 吉川 充, 芳岡 三伊, 乾 裕昭, 徳留 省悟, 森本 紀, 寺島 芳輝, 蜂屋 祥一
    1981 年 20 巻 3 号 p. 578-582
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    卵巣甲状腺腫は極めて稀な疾患であり, 日本産婦人科学会卵巣腫瘍登録委員会の統計によれば過去15年間26, 862例中26例, 0.09%の頻度を示すに過ぎず, 本腫瘍の細胞診所見に関する報告は筆者らの調べた範囲では見い出せなかった.
    最近, 腹水を多量に伴った本腫瘍を経験したのでその細胞診について報告する.
    症例は49歳主婦で腹部膨満感を主訴に来院, 手術を行った. 腫瘍は左卵巣より発生, 大きさはオレンヂ大で腹水は約1, 500m1貯留していた.
    病理組織所見: 腫瘍割面は約1/3が嚢胞部で残余は充実性であった. 充実部のほとんどは正常甲状腺組織に極めて類似した腫瘍細胞で占められていた.
    細胞診所見: 腫瘍細胞は円形で大型の細胞質を有し, 散在性に出現する細胞と, 比較的少量の細胞質で小型の核を有し蜂巣状構造を示す細胞の2種類が観察された. 大型細胞は濾胞内細胞で, 小型細胞は濾胞上皮を形成している細胞と推定され, 腹水細胞診からも, 卵巣甲状腺腫であると診断しうる可能性が示唆された.
  • 千綿 教夫, 中島 玉恵, 佐藤 伸子, 石田 禮載, 杉下 匡, 天神 美夫
    1981 年 20 巻 3 号 p. 583-588
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    子宮頸部Verrucous carcinomaは, 扁平上皮癌の稀有な一亜型である. 疣贅状腫瘤形成著明な悪性進展, 頻回の再発傾向, しかも稀な局所転移と, 全くみられない遠隔転移, コルポ診上の明らかな浸潤癌像に対し, 細胞診陰性, しばしば過少診断される生検組織診上の良性判定など, 特異な臨床像をもっている.
    50歳4妊2産婦の子宮頸部にみられた本症の1例を報告した. 細胞診には, 軽度の核異常細胞以上の悪性像は認められないが, 炎症, 悪性所見をみない比較的きれいな背景のなかの大きさ, 形状に全く統一性を欠いた無数の角化片, 真珠形成, 角化細胞, 中層型細胞の細胞質内空胞の存在, および頸部擦過細胞診と頸管内擦過細胞診とが全く同様な角化の強い所見であったことなどは, 留意すべき点であろうと思われた.
  • 1981 年 20 巻 3 号 p. 589-594
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
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