日本臨床細胞学会雑誌
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21 巻 , 3 号
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  • 垣花 昌彦
    1982 年 21 巻 3 号 p. 469-475
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    四肢の軟部組織腫瘍を術前に正確に診断することは, 過不足のない適正な手術を行う上で必要であり, このために穿刺生検細胞診が導入されて, 現在, 症例を重ねながら診断体系を作りつつある現状である.
    腱鞘巨細胞腫 (G. C. T. T. S.) は多くは指趾に生ずる腫瘍で組織球様細胞, 泡沫細胞, 線維芽細胞様細胞からなる多彩な組織像を示す疾患で, その発生母地, 本態について多くの議論や問題点がある. このような疾患に対して穿刺吸引細胞診を行う場合, いかなる問題があるか?, 剥離細胞像の観察が組織学的問題点にどこまで関与することができるか? などにつき文献的考察を加えながら論じた.
    (1) G. C. T. T. S. 剥離細胞像も組織球様細胞, 線維芽細胞様細胞, 泡沫細胞, 多核巨細胞からなり, この分析からも本疾患は線維性組織球腫に属すると考えられる. (2) 剥離細胞像および組織培養所見からみると組織球様細胞と線維芽細胞様細胞はたがいに類似, 移行があり発生母地は多方向に分化する能力のある細胞から生じたのではないかと推察した. (3) 巨細胞の成因はfusionのみでなく無糸核分裂, 核の分芽形成も否定できない. (4) G. C. T. T. S. のごとき多彩な組織像を示す腫瘍の穿刺吸入する場合は方向, 場所を変えて2~3回刺入し, すべての形の細胞を採取することが必要である.
  • 椎名 義雄, 沢田 好明, 武田 敏, 堀内 文男, 植草 正, 畠山 良紀, 計良 恵治
    1982 年 21 巻 3 号 p. 476-487
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    尿中に出現する封入体細胞 (細胞質内)(intracytoplasmic inclusion-bearing cell, ICIB細胞) の形態学的分類を試み, 臨床診断と対比し検討した.
    ICIB細胞の形態は連続的変化を示し, ウィルス性疾患にみられる多数のICIB細胞と, 健康時尿に極めて少数出現するICIB細胞は, 形態学的に本質的な差異を認めなかった. しかし, 以下に示す所見は注目された.
    急性膀胱炎では他の疾患に比べてICIB細胞が小型であった.
    ICIB細胞は一般に2核細胞の頻度が高い. しかし, 急性膀胱炎では単核の細胞が増加した.
    ウィルス性疾患では, 濃縮したクロマチン周囲がハロー状になるものと, その部位が灰色がかった染色性を示すもの, およびその中間の所見を示すICIB細胞が増加した. また, 一ICIB細胞中に1個のICIBを有する細胞も増えた.
    5核以上の多核ICIB細胞は, 流行性耳下腺炎や麻疹にみられたが, その数は少なかった.
    今回の成績からICIB細胞の由来を考えると, 上皮性細胞に限るより遊走系のmacrophageやmonocyteも含まれる可能性が強く, 今後免疫複合体処理に関する観点からの解明が必要と思われる.
  • 社本 幹博
    1982 年 21 巻 3 号 p. 488-494
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    骨髄穿針液のMay-Giernsa染色で一細胞が他細胞をその胞体内に取り込んでいる現象に遭遇した場合, この現象がすべてphagocytosisであるとはかぎらない. Emperipolesisである可能性もあるからである. 両現象を鑑別するためには電顕的に, 取り込まれている細胞の変性の有無取り込んでいる細胞にlyscsomeなどが存在するか否か, さらに取り込んでいる側の細胞に貪食能力があるか否かの検索, また電顕的に細胞膜染色を施すことも良い方法である. 位相差顕微鏡観察も, 取り込んでいる細胞, 取り込まれている細胞ともに生きているか否か, また取り込まれている細胞の取り込んでいる細胞内での運動状況が良くわかり, 鑑別するための有力な手段となる. これらの方法を用いemperipolesisとphagocytosisとを比較検討した.
  • 武藤 邦彦, 谷 恒明, 横田 勝正, 池口 祥一, 信田 重光, 佐藤 豊彦, 鈴木 容子, 山田 喬
    1982 年 21 巻 3 号 p. 495-502
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    胃癌と診断されても, 重症合併症や患者の拒否により手術不能の場合がある. これらの症例に対して種々の治療法が試みられているが, われわれは経内視鏡的局注療法を行ってきた. 使用抗癌剤は, 癌細胞のDNA合成および細胞分裂阻害の作用機序を有し, その抗腫瘍効果が濃度依存性により発揮されるといわれているNeocarzinostatin (NCS) である. 使用方法は, 経内視鏡的に局注針を用い, NCS 2,000U/2mlを1回量として胃癌内に分割注入した. 現在まで, 進行胃癌12例, 早期胃癌9例の計21例に施行し, NCSによる腫瘍の形態的変化, および細胞学的変化を経時的に観察した. 癌細胞の変化についてみると, 局注後1週目および2週目あたりから細胞の変化が認められるが, 全体的にみると局注前の癌細胞の特徴が優位であった. 3週目以後になると細胞膜の不明瞭化, 細胞形態の多形性化, 染色性の多様化, 不透明, 不均一が増大し, 大空胞を伴う細胞質が増加してくる. また核縁の不整, 蛇行, クロマチン像の粗大顆粒状, 粗大網状が疎となり, 核型の不整, 核小体の膨大が著明となり癌細胞は壊死におちいるようである.
  • 山田 喬, 本間 浩一, 高木 道生
    1982 年 21 巻 3 号 p. 503-509
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    皮膚および粘膜, その他から発生した悪性黒色腫25例の剥離細胞像を検索し, その特徴を求めた. この腫瘍には形態学的にかなり幅があるので, round, pleomorphicそしてfibrousの三型に分けて分析したところ以下の結論を得て, 従来のわれわれの提案した本腫瘍の特徴を再確認した.
    1. メラニン色素が容易に剥離細胞に検出される例は, 20/25例であり, 5例の色素の少ないか, あるいは無い例が鑑別診断上間題となった.
    2. この腫瘍細胞の非上皮様形態と, 類上皮様配列の混在するparadoxicalな形態を再確認したが, それはpleomorphic型の悪性黒色腫細胞に最も典型的にみられ, fibrous型細胞には乏しかった.
    3. この腫瘍細胞のひとつの形態学的特徴である核内空胞は, 全体として10/25例に見い出され, とくに低あるいは無メラニン黒色腫の鑑別診断に役に立ち得ることがあることを確認した.
  • 松井 亮, 堀 隆, 舘野 政也, 北川 義彦, 舌野 徹, 林 義則, 中曾根 敬一, 福村 健, 林 喜代志, 松田 稔
    1982 年 21 巻 3 号 p. 510-515
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    Wistar系メスラットに大量のMethotrexateを投与して葉酸欠乏状態を作り出し, その腟スミア中の葉酸欠乏細胞を探した. その結果, 多核大型細胞, 細胞質内空胞の所見が認められた. しかし葉酸欠乏症に特徴的とされる好中球の核過剰分葉現象は認められなかった.
    またMethotrexateを投与している乳癌患者の腟スミアを観察したところ, 大型細胞, 細胞質内空胞, 細胞質のしわが認められた.
    ラットにあらわれた細胞変化の程度はヒトにあらわれた細胞変化より強かった. これはラットに投与されたMethotrexateの量が極めて多かったためと思われた. ラットの場合もヒトの場合も細胞の変化が日ごとに増強していく印象はなかった.
  • 小池 昇, 樋口 龍夫, 坂井 義太郎
    1982 年 21 巻 3 号 p. 516-519
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    東京都養育院付属病院では, 健康寮, いわゆる老人ホームに入寮するもの全員に, 健康診断のひとつとして婦人科細胞診を実施しているが, 今回その成績検討を行った.
    過去8年間の細胞診受診者は575名で, 平均年齢は72.3歳細胞診陽性は (疑陽性再検後陽性を含め) 9例 (1.6%) で, 細胞学的に全例扁平上皮癌を推定し, 病理組織診により確認された. 内訳は, 頸癌8例, 腟癌1例で, 頸癌のうち浸潤癌3例, 上皮内癌1例, 浸潤不明が4例であった. また全例初診時に, 細胞診が陽性であること以外は, 臨床的に悪性所見を指摘されたものはない.
    症例数は少ないが, 対象群は日常生活者の老人に該当し, 老年者の婦人科細胞診の重要性が強調される.
  • 森沢 孝行, 蔵本 博行, 上坊 敏子, 加藤 良樹, 脇田 邦夫
    1982 年 21 巻 3 号 p. 520-526
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    子宮内膜の新しい擦過細胞診 (Endocyte) を吸引チューブ法と併用して247例に行い, その有用性を検討した. (1) Endocyte (以下End.) は190例 (76.9%) に挿入容易, マルチン使用で可能は44例 (17.8%) だったが, 13例 (5.3%) は挿入不能であった. (2) 使用時に軽い疼痛を68例 (29.1%) が訴え, 23例 (9.8%) に軽度の出血が認められた. (3) 内膜採取は良好で, 71例 (51.1%) はチューブ法に比べ多量の内膜が採取された. (4) 標本上に内膜細胞が採取されていなかった症例はEnd.法3例 (2.2%), チューブ法では出血の4例を含む7例 (5.0%) であった. また両者ともに挿入可能であった閉経後患者の比較では, 14例中11例はEnd.法に多量の内膜細胞が認められ, 本法は出血や閉経後の症例に優れていた. (5) 標本上の扁平上皮混在率はEnd.法51例 (36.7%), チューブ法115例 (82.7%), 同様に組織球のそれは, 15例 (10.8%), 47例 (33.8%) で, ともにEnd.法に低率であった. (6) 細胞像としては, End.法では正常の場合でも, より大型の重積する細胞集塊を作りやすく注意を要するが, 細胞個々の保存は良好である. 体癌ではブドウ房状形態よりは, 組織により近い腺管構造の断片として現れやすい.
  • 蔵本 博行, 上坊 敏子, 森沢 孝行, 加藤 良樹, 秦 和子, 大野 英治, 今井 忠朗
    1982 年 21 巻 3 号 p. 527-534
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    当院産婦人科外来で, 子宮腔内吸引細胞診を3, 788例に施行し, 以下の成績を得た.
    1) 疑陽性は130例3.4%, 陽性は43例1.1%であった. これらには頸癌19例, 異形成上皮5例が含まれており, 頸部病変除外後の疑陽性, 陽性率はそれぞれ3.2%, 0.7%となる.
    2) 年代別陽性率は39歳以下0.7%, 40歳代0.3%, 50歳代1.1%, 60歳代3.9%, 70歳以上6.1%で, 50歳以上では高齢化とともに高率となった.
    3) 検査対象を (1) 無症状癌検診, (2) 不正出血, (3) 術前検査, (4) その他, の4群に分けて検討したところ, 疑陽性, 陽性率は不正出血群で6.2%, 1.7%と高かった. 他群は総合して2.2%, 0.4%, と低く, なかでも無症状検診群では体癌は1例も発見されなかった.
    4) 本法で, 体癌13例中12例, 92.3%を診断し, 旧来のブラシ法等に比べ良結果を得た. また良性・異型内膜増殖症を7例発見した.
    5) 卵巣癌8例を診断した.子宮に転移がなくとも, 腹水中に癌細胞が存在し漿液性癌の場合, 本法が有用であることを指摘したい.
    6) ホルモン期別診断の適中率は, 増殖期77.1%, 排卵期60.0%, 分泌期63.6%であった. 医療施設での本法の適応につき考察した.
  • 青木 正, 今村 和子
    1982 年 21 巻 3 号 p. 535-540
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    IUDと女性生殖器における放線菌感染との関係を究明する目的で, IUD装着者105例と非装着者100例を対象とし, 細胞学的検索によって放線菌検出率を, IUD装着者と非装着者別, IUDの種類別, 細胞採取部位別に求め, さらに放線菌検出群と非検出群のIUD装着期間を比較した. 加えて, 放線菌感染の細胞診所見の特徴を観察した. その結果, 放線菌検出率は, IUD装着者14例 (13.3%), 非装着者0例 (0%) であり, IUDの種類別では, 差は認められず, 細胞採取部位別では, 腟スメア105検体中8検体 (7.6%), 頸管スメア105検体中12検体 (11.4%), 内膜スメア50検体中0検体 (0%), IUDのタッチスメア50検体中2検体 (4%) に放線菌が認められた.放線菌検出群は非検出群に比し, IUD装着期間は長かった. 腟, 頸管スメアのPapanicoloau染色で観察される放線菌は, 黒色, 褐色ないしは灰青色の菌塊として存在し, 形は不定, 中心部は菌糸状, 顆粒状 (sulphur granuies) を呈し, 周辺に向かって放線状のfilamentを延ばしている.
    以上より, IUD装着者の腟, 顎管には, 放線菌が特異的に感染するが, 子宮腔内での放線菌増殖はまれであると考えられた.
  • 田崎 民和, 石田 禮載, 天神 美夫
    1982 年 21 巻 3 号 p. 541-549
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    子宮腟部punch biopsy施行前後における細胞診, coiposcopy上の変化についてbiopsy前とbiopsy後2週目とを比較検討し, 次の結論を得た.
    1) 良性例ではbiopsy後の修復は速やかで2週目ではすでに修復は終了し, repair cell等もみられない.
    2) 異常例 (異型上皮, 上皮内癌, 浸潤癌) ではbiopsy部位の修復は遅延するか, あるいは正常移行帯または扁平上皮より上皮が伸びて修復された.前者はコルポスコピー異常所見の中心をbiopsyした場合にみられ, 後者はコルポ診の異常所見が正常移行帯または扁平上皮と接している部位をbiopsyした場合に多くみられた.
    3) 浸潤癌を除く異常例における異常細胞の数はコルポ診の異常所見の占拠率に比例し, 特にbiopsy後はその差は顕著となった.
    4) 浸潤癌を除く異常例における異常細胞の種類はbiopsy後では, より分化型のものが増加した.
    5) 3), 4) よりbiopsy後は細胞診判定の下降がみられ, なかに細胞診陰性となるものがかなりみられた.
    6) 浸潤癌ではbiopsyによる影響は少ない.
  • 入江 砂代, 入江 康司, 笹栗 靖之, 森松 稔, 有馬 昭夫
    1982 年 21 巻 3 号 p. 550-558
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/06/07
    ジャーナル フリー
    円錐切除術の施行された上皮内癌12例, 微小浸潤癌6例の18症例について, 病理組織学的に腺侵襲癌巣 (G. L) の程度をIII度に分類し, その細胞像について観察した. G. I. の軽度は上皮内癌6例, 中等度は上皮内癌4例と微小浸潤癌1例, 高度は上皮内癌2例と微小浸潤癌5例であった. 軽度例では労基底型悪性細胞を主体とし, 中等度~高度例では中層型悪性細胞の増加をみ, さらにG. I. が高度になるに従い多数の悪性細胞の出現を認めた. 核の長径ではG. I. 軽度の上皮内癌に比較し, G. I. 中等度~高度の上皮内癌と微小浸潤癌例がより大型で, 大小不同をみ, 細胞の長径ではG. I. 中等度~高度の上皮内癌例が最も大きく, 微小浸潤癌例ではやや小型であった. N/C比では, G. I. 軽度の上皮内癌が高値を示したが, 上皮内癌例と微小浸潤癌例問には有意差はみられなかった. G. I. の程度別細胞所見では, G. I. が軽度例は労基底型悪性細胞を主体とするC. I. S. パターンで, G. I. が中等度~高度になると細胞に多形性を認め, G. I. 中等度~高度の上皮内癌例と微小浸潤癌例の細胞像は極めて類似していた. われわれの観察では, 微小浸潤の有無にかかわらずG. I. が高度になる, すなわち癌病巣の範囲が広くなるに従い, 細胞学的に細胞の多形性と出現状態に多様性を認めた.
  • 小野 聡, 坂本 且一, 新妻 和雄, 関本 昭治, 紺野 恵子, 木村 恭子
    1982 年 21 巻 3 号 p. 559-568
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    子宮頸上皮内新生物 (CIN) に対する保存的療法としてCO2レーザー療法を施行し細胞診, コルポスコピー, 狙い組織診を用い追跡管理を行った. 特に細胞診所見における経時的変化および出現するtissue repair cellに関し計量的細胞分析を試み, 本療法における細胞診の役割とその意義について検討した. 照射後細胞診上の特徴を経時的にみるとfiber-type cellの出現, tissue repair cellの出現, atypical tissue repair cell (仮称) の出現, metaplastic cellの出現および正常化である. 細胞診上重要なことは, (1) ほぼ全例に出現するtissue repair cell, (2) 約40%の例に出現するatypical tissuerepair cell, (3) 新生物 (CIN) 遺残例に出現するdyskaryoticcellの鑑別である. atypical tissue repair cellの形態的特徴は次のごとき結果を得た.(1) 集団的出現形式 (98.7%), (2) 細胞質染色性: cyanophilic (92.6%), (3) 著明な大小不同性核, (4) 核縁: 整 (92.7%), (5) クロマチン・パターン: 細顆粒状 (95.4%), (6) eosinophilicに染色される, 長径3.0μ以上の著明な核小体. CO2レーザーを用いて子宮頸上皮内新生物 (CIN) の治療を行う際にはこうした細胞診所見における経時的変化の特徴と, tissue repair cellに関する細胞分析所見はその追跡管理を行う上で重要なを示しうることが判明したので報告する.
  • Yoshiharu TSUKAHARA, Akiko NAKAYAMA, Toru FUKUTA
    1982 年 21 巻 3 号 p. 569-575
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    卵巣腫瘍はその種類が多く, 細胞診断学的に腫瘍の種類を診断したり, 腫瘍が悪性か否かを診断することは, 現在のところ決して容易ではない.
    今回26例のcommon epithelial tumorの捺印細胞を retrospective に検討し, 各腫瘍型の細胞像の特徴がどの程度まで実際の組織像と一致して読み取れるかを検討し, 以下の結論を得た.
    1. 細胞診断学的に各腫瘍型の診断はある程度可能である.
    2. その際, low potential malignancy と carcinoma との区別はやや困難である.
    3. また各腫瘍型の immature type と undifferentiated tumorとの鑑別は困難である.
    4. さらにmetastatic tumor は各種の臨床データを参考にして診断を実施する必要がある.
    5. これらの点に留意することにより, 卵巣のcomnmon epithelial tumor の捺印細胞診による迅速診断は可能と思われる.
  • 冨山 淳子, 宇多 弘次, 興梠 隆, 渥美 鈴恵, 加登 ヤヨイ, 窪田 徹, 田中 敏
    1982 年 21 巻 3 号 p. 576-581
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    症例は43歳の女性で, 右前縦隔洞下部に原発した悪性線維性組織球腫が, 右胸腔に拡大し, 心嚢に浸潤し, また腹腔内に播種をきたし, 早期に死亡した.
    胸水, 心嚢液, ならびに腹水に出現した腫瘍細胞と, 剖検時の腫瘍捺印標本の細胞像と組織像について報告する.
    各体腔液中の細胞形態と捺印標本の比較観察を行った. 体腔液中には, 組織球様細胞が多Rく認められ, 末期になるにつれ, 細胞形態の比率の変化を認めた. 捺印標本では, 紡錘形の線維芽細胞様細胞を多く認めた.
    組織球様細胞は, 核優勢の類円形で, 粗なクロマチンを持ち, 好塩基性の細胞質で, 空胞を持つものもある. 数個の核を持つ巨細胞や貪食像も, まれに認められた. 線維芽細胞様細胞は, 紡錘形の細胞質を持ち, 核優勢で粗な結節性クロマチンを有する.
    組織像は, 定型的なstoriform patternを示す線維性の部と, 多核巨細胞を含む類円形, ないし紡錘形細胞からなるpleomorphicの部が共在した.
  • 入江 康司, 杉島 節夫, 入江 砂代, 笹栗 靖之, 迎 利彦, 小宮 節郎, 森松 稔, 北城 文男, 山中 健輔
    1982 年 21 巻 3 号 p. 582-588
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    臀部腫瘤を初発症状とし, 針生検吸引細胞診でM. F. H. と診断され, 根治手術後の組織診断が多形性脂肪肉腫であった65歳, 女性の症例について報告した. その細胞像は, (1) 大小の重積性集塊で, 一部 storiform like pattem をみる, (2) 細胞質は淡くレース状で, 多数の小空胞をみ, 一部印環細胞様細胞を散見, (3) 核は楕円形~不整形で, 7~35μ大と大小不同が強く, 大型になるほど核縁の不整切れ込みをみる, (4) 核クロマチンは増量し, 細顆粒状密で, ときに核小体をみる, (5) 2~5核の奇怪多核巨細胞を散見, であった. 以上の像は, M. F. H. に極めて類似し, 組織学的にも多形性脂肪肉腫とM. F. H. が考えられた. 電顕学的には, 観察したすべての細胞は0.5~1μ, 類円形脂肪滴を有した単核ないし多核型の脂肪細胞系細胞で構成され, M. F. H. の電顕像とは異なり, 多形性脂肪肉腫と診断した.
  • 森 睦子, 鷺野 英麿
    1982 年 21 巻 3 号 p. 589-596
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    悪性中皮腫4例 (epithelial type2例, mixed type2例) の, 細胞形態, 染色態度を, 体腔液細胞診, 生検材料, 剖検材料について検索し, 文献的考察を加えた. 体腔液細胞診では, 腫瘍細胞は散在性または重積性に出現し, 円~楕円形の胞体はPAP染色で青緑色に染まり, 少数の不染性空胞も認めた. 核は偏在性または中心性, 核小体も著明で黒みがかった赤に染まった. PAS染色では, 症例1, 2, 4で, 胞体内に, 顆粒状またはびまん性に陽性物質を認め, 症例2では一部に塊状にも出現した. Alcian青またはコロイド鉄染色は, 4例の生検または剖検材料で, 間質と, 腫瘍細胞の辺縁部に線状に, または胞体内に塊状の陽性物質を認め, ビアルロン酸の存在が証明されたが, 陽性形態と, ヒアルロニダーゼ前処理による消化の有無と強弱には, 差異が認められた. また症例4では, 腫瘍中の酸性ムコ多糖類 (glyccseaminoglycan) の定量により, ヒアルロン酸と, コンドロイチン硫酸の共存を示した.
  • 高島 英世, 小野 吉行, 平池 秀和, 小松 弘昌, 田中 敏憲
    1982 年 21 巻 3 号 p. 597-608
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/01/25
    ジャーナル フリー
    外陰ページェット病の3例につき, 細胞学的研究を行ったので報告する. ページェット病変は第1例は左大陰唇, 第2例は右大陰唇, 第3例は外陰に広汎に認められたが, 第1例は尿道口周辺と子宮膣部に転移を認め, 第3例は所属リンパ節転移と右大陰唇真皮層癌浸潤を認めた. 表皮内ページェット細胞の剥離細胞所見は, 3例ともほぼ共通しており, 主として平面的または孤立散在性に配列し, 大型類円形核で, クロマチンは多くは細顆粒状を呈し, 核縁は菲薄であった. 核小体は著明で, 細胞質は豊富であり, 淡青色を呈した. 転移癌巣および真皮浸潤癌巣より得た剥離細胞所見は, 表皮内ページェット細胞所見に加うるに, 全体として異型の度を増して, 大小不同が著明となり, クロマチン粗顆粒状化や核小体複数化傾向を示した. またCell within a cellやdouble crescent nuclei with cell appositionもしばしばみられた. 表皮内ページェット細胞は細胞所見からは, 扁平上皮性か腺性かの鑑別はできなかったが, 電子顕微鏡的検索により, エクリン汗腺癌由来であることが示唆された.
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