日本臨床細胞学会雑誌
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22 巻 , 2 号
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  • 杉森 甫, 高尾 みつ江, 佐藤 晶子, 原之園 邦子, 藤 幸子, 樋口 千鶴子, 手紫 美佐枝, 小森 恵子, 宇留島 美恵, 重松 峻 ...
    1983 年 22 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    福岡県対ガン協会で昭和43~52年の10年間に検診した38,620名について検討した.延71,302回の検診により, 2,293名の要精検者が検出され, 浸潤癌81例, 上皮内癌57例, 異型上皮88例を発見した.上皮内癌を含む癌発見率は0.19%である.検診を繰り返すと, 浸潤癌, 上皮内癌は減少するが, 異型上皮はほぼ一定の割合で検出され, 新規発生をうかがわせた.異常検出者のほとんどが細胞診によって検出されているので, 視診による要精検者の指定は不必要と考えられた.前回受診との間隔別の癌発見率は, 受診間隔1年と2年とではあまり差がみられなかったので, 2年までは間隔をあけても良いのではないかと考えられた.一方, 5年以上間隔が空くと, 初診時同様の頻度で癌が検出された.また, 癌発生率は24人/10万人/年, 細胞診誤陰性率は14.7~17%と推定された.これより, 癌の見落しをなくすには, 少なくとも連続3回の検診受診が必要と判断された.
  • 小倉 和子, 馬渕 義也, 横田 栄夫, 細道 太郎, 西 陽造, 赤山 紀昭
    1983 年 22 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮癌検診で, とくに早期癌や境界病変の細胞を, 医師の臨床の力量やテクニックとはあまり関係なく, より的確に採取できる方法を検索しようとした.このために多数の医師が参加して行われている和歌山県の子宮癌行政集団検診で採取器具 (綿棒か木製スパーテル) を任意に選択してもらい, 両方法を比較検討した.
    1) 昭和51年度の和歌山県の子宮癌行政集団検診受診者は, 6,132名で, 受診率は2.97%であった.要精検者は96名 (要精検率1.57%) で, このうち93名を精検して, 上皮内癌20名 (0.33%), 浸潤癌7名 (0.11%) が発見され, 癌検出率は0.44%であった.
    2) 上記6,132名のうち細胞の採取法が不明な250名を除いた5,882名についてみると, スパーテル法3,146名中の要精検者77名 (2.26%) から上皮内癌16名 (0.47%) と浸潤癌5名 (0.15%) が発見されたのに対して, 綿棒法2,466名中の要精検者13名 (0.53%) からは上皮内癌4名 (0.16%), 浸潤癌2名 (0.08%) が発見されたのみで, 明らかに子宮頸癌, とくに上皮内癌の発見がスパーテル法に多かった.
    以上から, 多数の医師が参加して行われる子宮癌集団検診では, 綿棒よりスパーテルで細胞採取を行う方が子宮頸癌, とくに早期癌を見逃すことが少ないことがわかった.このことから推して, 日常の外来臨床での子宮頸癌検診でも綿棒よりスパーテルで細胞の採取を行う方がより確実, 安全であると推測された.
  • 高階 俊光, 遠藤 俊明, 堀 保彦, 田村 元, 寒河江 悟, 水内 英充, 神谷 博文, 工藤 隆一, 橋本 正淑
    1983 年 22 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    原発性卵管癌はまれな疾患であり, 本邦では自験例を含めて109例報告されている. そのなかで術前に細胞診がなされたのは49例であり, このうち21例42.9%陽性であった. 以下自験例を含めた文献的検討結果を述べる.
    2) 腟頸管細胞診の特徴は背景がきれいで, 出現する悪性細胞数は少ないが, 出現様式はシート状, 小球状であり, 細胞質は微細空胞状, レース状で, 細胞辺縁は一般に不明瞭である.
    3) 子宮内膜細胞診は8例施行され, 7例が陽性である. このうち2例が腟頸管細胞診陰性であった. 子宮内膜細胞診は腟頸管細胞診より陽性率が高い. 採取法としては吸引法がすぐれている.
    4) 子宮内膜組織検査は26例中7例26.9%陽性である. 術後摘出子宮内膜標本で内膜への浸潤率は14.3%であった. 細胞診陽性例で, 子宮内膜の病変が否定された場合には卵管癌を第一に考え, さらに卵巣癌および腹腔内臓器癌についても考慮すべきである.
    原発性卵管癌の術前診断にとって, 細胞診は有用な診断法の1つであり, 今後腟頸管細胞診, 子宮内膜細胞診をルチーンに行うことにより, 術前の診断率を増加させることができるだろう.
  • 足立 謙蔵, 高階 俊光, 田中 恵, 浜松 美穂, 遠藤 俊明, 田村 元, 堀 保彦, 塚本 勝城, 水内 英充, 工藤 隆一, 橋本 ...
    1983 年 22 巻 2 号 p. 164-173
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    未分化胚細胞腫は若年者に好発し, 予後は比較的良好といわれる.しかし再発死亡例も珍しくない.再発例の組織像は初回手術時のそれと相違はないといわれるが, それらの細胞像に関する比較検討による報告は少ない.著者らは純粋なDysgerminomaを7例経験しているが, これらについて細胞像, 組織像および電顕像の観察を行い, 若干の知見を得た.
    1) 組織像は結合織により, 索状, 胞巣状あるいは髄様状のパターンをとり, これらの組織像と予後の関係はないようであるが, 再発例には髄様性に配列することが多い傾向にある.
    2) 再発死亡した症例の電顕所見では細胞質に無構造物質を入れ, 限界膜に包まれた円形のdenseな構造物が一見粘液顆粒に類似して多数観察された.
    3) 再発例の初回手術時のimprint smearおよび再発時のimprint smearと予後良好な症例の細胞像を比較すると, 両者を厳格に区別することは困難である.しかしながら核径が小さく, 核縁の肥厚が目立ち, 核小体の増大が顕著で, クロマチンが増量して粗大顆粒状を呈する症例では予後に対し, 厳重な注意を払わねばならない.
    4) 抗癌剤が著効した症例の腫瘍細胞の形態的変化は核径の縮小, 核内構造の消失とスリガラス状の変化など, 核の変化が主体であった.
  • 奥村 晃久, 衛藤 政志, 八木 幸夫, 萩尾 覚, 佐藤 栄一, 朔 敬
    1983 年 22 巻 2 号 p. 174-181
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌では, まれならず扁平上皮化性が観察され, 扁平上皮癌の発生が食道以外の消化管の癌に比して多い. 著者らはこの点に注目し, 表皮細胞に存在するケラチン蛋白が正常の胆嚢粘膜に認められるか否か, また病変により出現するか否か, さらに細胞診に応用できるか否かにつき免疫酵素抗体法を用いて検索した. 検索材料は外科切除標本と捺印細胞, PTCDによる胆汁や腹水などである. ケラチン蛋白は胆嚢炎では証明されなかったが, 胆嚢癌で15/20 (75%) に認められた. ケラチン蛋白はそのほか胃癌2/30 (6%), 大腸癌3/24 (12%), 膵臓癌6/8 (75%), 胸膜悪性中皮腫3/3 (100%), に認められた. しかし, 肝硬変症の腹水の中皮細胞には証明されなかった. 興味ある知見として胃と大腸の一部の非癌粘膜でもケラチン蛋白が観察されたことである. 間質組織などの中胚葉由来の組織では証明されなかった. 次に同じ標本でCEAが検出されるか否かを調べた. 胆嚢癌, 大腸癌, 膵臓癌は全例に, 胃癌は27/30 (90%) に認められたが, 胸膜悪性中皮腫では証明されなかった. 以上より, 胆汁や腹水の細胞にケラチン蛋白やCEAを証明することは臨床細胞診断学的に意義のあることである.
  • 山太 玲子, 竜田 正晴, 和田 昭, 田村 宏
    1983 年 22 巻 2 号 p. 182-191
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    小口径穿刺針 (22ゲージ) を用いた超音波映像下肝穿刺法による検体採取およびその処理に工夫を加え, 細胞診と組織診の併用が可能な方法を考案した.すなわち, あらかじめヘパリン処理した穿刺針および注射器を用い, 採取した検体の凝固を阻止することにより, 積極的に集細胞を行い, 良好な細胞学的標本の作製と検鏡に十分耐えうる良好な病理組織標本の作製ができるようになり, 採取検体の多角的な観察が可能となった.その結果, 肝癌の診断成績は一層向上し, 肝穿刺を施行した21例のうち9例の肝悪性腫瘍はいずれも正しく診断され, 偽陽性はなく, この方法は極めて信頼性の高い手技と考えられる.
  • 蒲 貞行, 村瀬 和子, 布施 清子, 黒木 須雅子, 木島 悦子, 栗田 宗次, 鈴木 亮而, 須知 泰山
    1983 年 22 巻 2 号 p. 192-201
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    愛知県がんセンター病院で実施されたリンパ節捺印細胞診において, 非ホジキンリンパ腫 (NHL) の成績を中心に検討した.対象は良性病変34例, NHL60例, ホジキン病6例, 転移性腫瘍8例, 計108例であり, いずれも細胞診と同一材料での組織診断, 免疫細胞学的検索がなされている症例である.細胞診断は, おもにメイギムザ標本で行った.組織診と細胞診の一致率は89.8%(良性88.2%, NHL91.7%, ホジキン病83, 3%, 転移性腫瘍87.5%).NHLについての各成績は, 亜型分類一致率43.3%, 増殖様式一致率83.3%, T・B表面形質推定一致率75.0%などであった.
  • 山田 喬, 高木 道生, 本間 浩一, 佐藤 豊彦, 岡本 一也, 土井 久平, 田中 昇, 池田 栄雄
    1983 年 22 巻 2 号 p. 202-208
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    血管肉腫の原発巣から7例 (頸部3, 大腿2, 下腿1, 胸壁1) および転移巣から4例, 合計11例からの剥離細胞とその組織学的背景について検索した.
    大量の出血が共通の所見であるが, その剥離肉腫細胞像はかなり幅があり, 大別すると血管内皮細胞由来と血管周皮細胞由来の肉腫細胞がみられ, その他各種の細胞像があり, 以下の細胞成分ならびに配列がみられた.
    (1) 紡錘状ないし線維状の異型細胞 (hemangiopericyte type),(2) 内皮細胞由来の異型細胞 (endothelial cell type),(3) 大小の組織球様細胞 (histioid cells) で, ヘモジデリンあるいは赤血球を食食した細胞および多核巨細胞,(4) 血管様配列を形成し, その内腔に血球を含む細胞配列.
    これらの所見から細胞学的特徴を提唱した.
  • 牟禮 一秀, 山下 幸紀, 林 博章, 佐川 正, 清水 哲也, 清野 邦義
    1983 年 22 巻 2 号 p. 209-217
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    妊娠性絨毛癌細胞株 (BeWo, GCH-2) および胃原発絨毛癌細胞株 (SCH) に対して, 細胞形態, 増殖動態, HCG, β-HCGの産生動態を比較し, かつMethotrexate (MTX) 添加によるそれらの変化を観察した.いずれの細胞株もPapanicolaou染色では, 細胞質は淡青色でうすく, 核は巨大で100μ にも及び, 多数の核小体を有していた.増殖速度は, BeWo, GCH-2, SCBの順に速く認められた.HCG, β-HCG産生は, ほぼ平行して推移し, いずれの株も, 増殖遅延期に一時亢進し, 対数増殖期には減少, 定常増殖期に再び産生亢進した.その産生量はBeWo, GCH-2, SCHの順に認められた.10-5M-10-8M MTXを培養4日目に24時間添加したが, 10-5M, 10-6Mで細胞数の著明な減少が認められ, 10-7M, 10-8Mでは, その効果は一時的ですぐに増殖の開始が観察された.HCG, β-HCGの産生は, MTX添加により一時的に亢進し, 臨床的に観察される, いわゆる “細胞効果” が細胞学的にも確かめられた.これらの結果から, 3株は程度の差は認められるとはいえ, いずれも共通した細胞学的特性を備えていることが明らかにされた.
  • 椎名 義雄, 沢田 好明, 川生 明, 武田 敏
    1983 年 22 巻 2 号 p. 218-227
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Methanol-ether湿固定, 乾燥後methanol-ether固定, Papanicolaou脱色, May-Giemsa脱色の各種スミアに酵素抗体間接法を用いIgM, CEA, hCGの検出を試みた.そして同時に, 特異免疫反応を増強させる目的でpronase消化法を導入し, 非消化群と比較した.免疫反応は固定方法により反応の強さおよび局在性が異なった.特にCEAは, 湿固定およびPapanicolaou脱色標本で十分な免疫反応を示したが, その陽性所見はび漫性であった.乾燥後methanol-ether固定したものは間接法で著しく反応は低下したが, 0.01%pronaseで45秒間20℃で消化することにより免疫反応が増強し, 局在性も良好であった.May-Giemsa脱色標本ではいずれの抗原も反応は著しく減弱し, 消化効果も少なかった.hCGは乾燥により免疫反応が著しく低下した.
    Pronase消化条件は抗原により異なるが, 0.01%, 20°C ではリンパ球は5秒, CEA, hCGは45秒ほどで良好な結果を示した.
  • 阪口 耀子, 杉田 道夫, 室谷 哲弥, 杉下 匡, 佐藤 和子, 天野 悦男, 松信 堯, 天神 美夫
    1983 年 22 巻 2 号 p. 228-234
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    近年, 医学や生物学の分野において, flow-cytometryの応用研究が著しい.臨床医学の分野では, 癌の診断, 化学療法および放射線療法の効果判定法としても利用されている.
    特に, 婦人科領域では検体に種々の細胞が混入することが多くFCMに適さないことが多い.その訳は, 解析されるヒストグラムがいずれの細胞を示すのか不明瞭であり, したがってあらかじめ判明している組織細胞を用い, 細胞とヒストグラムを同定することが研究のための必要条件となる.そこで, 子宮筋腫などで剔出された子宮の扁平上皮領域のみを分散細胞化する技術の開発が必要となり, われわれはelectrokeratotome, dispase, super high speed blender, urtrasonic waves, metal meshes, などを用いることによって, 上皮と間質の分離, 固形組織の細胞分散化に成功した.この結果, 剥離細胞のヒストグラムの同定, 固形癌の細胞分散および癌細胞核DNAなどの解析などが可能となった.
  • 久保田 浩一, 山内 一弘, 河西 十九三, 武田 敏, 高見沢 裕吉, 橋爪 壮, 堀内 文男, 林 敏, 石川 明
    1983 年 22 巻 2 号 p. 235-242
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診にて, クラミジア感染に特徴的な細胞質内封入体 (Intracytoplasmic inclusion以下ICIと略す) を認め, 遠心培養法により, クラミジア陽性と診断された2症例について, その臨床所見, 細胞所見について検討した.
    1) 臨床症状としては, 症例1で帯下, 外陰掻痒感を訴えたが, 症例2では無症状であった.
    2) 宿主細胞としては扁平上皮化生細胞, 頸部円柱上皮細胞, 労基底型細胞を認めた.
    3) 炎症性細胞の出現は必発ではなく, 宿主細胞には明らかな異型は認められなかった.
    4) ICIにはそのライフサイクルの初期にみられる好酸性または好塩基性の“Coccoid bodies”から中期以後にみられる宿主細胞の細胞質をほとんど占拠するものまであり, 多彩な像を呈した.
    5) ICI内部は強拡にて, 好紫青色に染色される円形または秤状の“Chromatoid particles”が認められ, クラミジアそのものと考えられた.
  • 千綿 教夫, 杉下 匡, 石田 禮載, 天神 美夫
    1983 年 22 巻 2 号 p. 243-249
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    集団検診時コルポ診で発見されたcondyloma acuminatum 3例9標本について, 細胞診断学的検討を行った.
    これら小部分の病巣の場合, 細胞診には特徴的な所見は少なかった.典型的なkoilocyteは全く認められず, dyskeratocyteの出現も少なかった.両染性化生型労基底細胞は, 不鮮明な核構造をもった円形腫大核, 両染性の細胞質, 化生型の配列によって比較的特異な像を呈した.
    集検においても, コルポ診の併用に伴って, 今後, condyloma acuminatum症例の漸増が予想される.その細胞診所見としてkoilocyte, dyskeratocyte, 両染性化生型労基底細胞の3つを基本としつつ, dyskeratocyteには一般的な所見としてeosinophilic backgroundを, koilocyteにはその不全型として不規則なhalo形成を対応せしめ, 同時に平凡な型の2核細胞の増加に注目しつつ検鏡することは, 細胞像の理解を容易ならしめるものと思われた.
  • 本間 滋, 田中 耕平, 岡田 久, 児玉 省二, 小幡 憲郎, 半藤 保, 竹内 正七, 永井 絵津子
    1983 年 22 巻 2 号 p. 250-254
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は52歳の女性で, 腫瘤は左小陰唇外側にあり, 自潰し, 軽度の出血がみられたが, 周囲組織との境界は明らかで, また, 鼠径部リンパ節の腫大も認められなかった.
    腫瘍表面からの擦過スメア所見で, 最も目立つのはシート状配列をなし, ライトグリーン淡染性で, やや広い多稜体の胞体をもつ細胞で, N/C比は中等度, 核は楕円形で, 細顆粒状のクロマチンを有し, 1-数個の核小体が認められた.また集合性, 重積性をなし, 比較的小型で, N/C比がやや大きい細胞や核が偏在し, 腺構造を窺わせる配列を示す細胞群もみられた.しかし, いずれも悪性を示す細胞とみられず, 良性のものと判断され, 局所麻酔下で単純切除を行った.
    組織学的には, 単層-2層の円柱上皮より構成された大小さまざまの乳頭状-管状の腺腫様増殖像が主体で, 上皮に線毛は認められず, 胞体は好酸性で断頭分泌もみられ, papillary hidradenomaと診断された.
    術後1年10ヵ月経過したが, 再発などの異常は認められていない.このまれな疾患は, 腺癌との鑑別が重要とされており, そのためには組織診断に際し, 細胞診所見を十分に参考にすることが有用であると示唆された.
  • 林 逸郎, 勝田 弥三郎, 西 国広, 園田 文孝, 永井 義丸, 野村 雍夫, 田代 英哉
    1983 年 22 巻 2 号 p. 255-259
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    60歳, 女性, 乳腺の腺様嚢胞癌の細胞所見を報告する.
    左乳房の腫瘤の吸引細胞診において中等度異型の小型円形細胞の集簇と数個の粘液球体が赤血球を背景に認められた.
    形状, 大きさとも均一で, 核は中等度濃染, 核クロマチンは繊細で, 分布は均等であった.細胞質は乏しく, パパニコロウ染色にて軽度ライトグリーンに淡染性であった.
    粘液球体の辺縁に腫瘍細胞が並ぶ傾向が認められた.そして一部に腺管状配列を示した.
  • 畠 栄, 津嘉山 朝達, 中川 定明
    1983 年 22 巻 2 号 p. 260-264
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は2歳男児.血尿, 尿意頻数と発熱を主訴として近医を受診した.急性出血性膀胱炎と診断されて治療を受けたが軽快せず, 精検の目的で当大学泌尿器科を受診した.
    受診時, 左側腹部に5横指径の辺縁明瞭な硬い腫瘤を認めた.腹部大動脈造影で左腎動脈の著明な下方偏位, 腎の下極血管の高度な乱れ, 不整血管などの像が認められた.
    尿の遠心沈澱の塗抹標本には赤血球, リンパ球を背景とするなかに腫瘍細胞が集合性および散在性にみられた.
    集合性の腫瘍細胞は小型で, N/C比が大きく, 細胞境界はやや不明瞭で, 細胞質はライト緑に淡染, 核は円形から楕円形, クロマチンは顆粒状または濃縮状で, 核小体は認められず, 未熟な上皮細胞様の像であった.
    散在性の腫瘍細胞は類円形または紡錘形を呈し, やはりN/C比が大きいが, 細胞境界は上記の集合性細胞よりも明瞭であった.核・クロマチンなどは集合性の細胞と同様の所見であったが, これらの細胞は, 散在性であるという点では間質細胞に似ていた.
    以上のように2つのパターンを示す腫瘍細胞がみられたということから, Wilms腫瘍と診断した.そこで泌尿器科医は, 他の諸検査所見もあわせて判断し, 左腎摘出術を行った.
    摘出された腫瘍組織は, 全般に比較的小型の未熟な腫瘍細胞からなっていた.一部では管状配列またはロゼット様パターンを呈していたが, 紡錘形, あるいは星芒状の細胞からなる間質細胞様配列を示すところが多かった.これらの像から, nephroblastoma (Wilms'tumor) の腎芽型, 小巣亜型と診断した.
    化学療法と放射線照射によって軽快退院し, 現在, 術後2年6ヵ月で再発の徴候はなく, 経過良好である.
  • 1983 年 22 巻 2 号 p. 321-483
    発行日: 1983/04/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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