日本臨床細胞学会雑誌
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23 巻 , 2 号
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  • 秦 宏樹, 福田 耕一, 佐竹 公一, 増淵 誠夫, 増淵 一正, 長村 義之, 渡辺 慶一
    1984 年 23 巻 2 号 p. 111-117
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    婦人科悪性腫瘍患者より得た病理組織標本, 塗抹細胞標本を酵素抗体間接法を用いてCEAの局在を検索し, 原発部位・分化度によるCEA陽性率・局在部位などの差にっいて比較し, 細胞標本における酵素抗体法の応用技術・有用性を検討した.頸部腺癌では組織標本80%, 細胞標本100%のCEA陽性率を示したが, 体部腺癌では50%, 90%と低い陽性率を示した.
    また局在部位も前者は腫瘍組織中にびまん性に陽性であるのに対し, 後者は一部に, 特に化生, 変性部位に陽性である場合が多かった.血中CEA濃度との比較では組織内CEA局在より腫瘍の浸潤度に相関することが示唆された.術前・術後の採取標本の比較でも染色性に差は認められず, 術前採取塗抹細胞標本を用いたCEAの検索も十分可能で, さらに詳細なCEAの組織内および細胞局在を観察することにより, 細胞診断上有用な原発巣の推定などが可能であることが示唆された.
  • 小池 昇, 樋口 龍夫, 村田 松雄, 野口 泰子, 橋本 昭一, 武村 民子, 坂井 義太郎
    1984 年 23 巻 2 号 p. 118-126
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    老年者の子宮頸部上皮内癌の細胞像が若年者のそれと比べてどのような特徴があるかについて, P. D. Gardらの報告の追試的検討を行った.材料には子宮全摘後その手術材料から上皮内癌の確認されている60歳以上 (平均67.2歳) の女性10例および若年者対照として59歳以下 (平均42.7歳) の女性10例の術前スミアを用い, 細胞像を検討した.また手術材料の組織標本から組織像と腫瘍の拡がりを観察し同一患者の細胞像と比較検討した.
    細胞分布の検討結果からは, 老年者では妾基底型細胞が優勢ではあるが若年者に比較し多彩な細胞像を示す傾向がみられた.また標本背景は, 壊死物質などで汚れた背景を老年者のスミアにみた.術前の細胞診断では10例中6例が浸潤癌を推定されていた.若年者では浸潤癌を推定されたものはない.組織学的背景としては角化傾向を示すものが多く, 腫瘍の拡がりは, 頸管周囲の環状の拡がり, 腺管内侵襲ともに老年者に高度なものが多かった.また細胞像との比較では, 腫瘍の拡がりが大きいほど細胞像が多彩になる傾向がみられた.
  • 金子 義晴, 柳原 敏宏, 荻野 満春, 根本 昌夫
    1984 年 23 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体癌21例にっいて, 術前の後膣円蓋擦過スメア, 子宮膣部擦過スメア, 子宮頸管擦過スメアと摘出標本における病理学的所見との関連性を検討し, 次の結果を得た.
    1) 3種のスメアを組み合わせても, 異型細胞出現率は67%であり, 内膜スメアの88%の診断率に及ばなかった.
    2) 組織学的分化度が低くなるほど, 異型細胞出現率が上昇したが, 特に頸管スメァによる診断率が良好であった.
    3) 子宮筋層浸潤のない症例での異型細胞出現率は60%, 筋層浸潤のある症例でも73%であり, 筋層浸潤を有する症例でfalse negativeが27%もあった.
    4) 腫瘍が子宮腔の1/2以上を占める症例では, 頸管スメァ単独で70%の異型細胞出現率であったが, 1/2以下の症例では, 3種のスメアを組み合わせても55%であった.
    5) 閉経後の症例では, 異型細胞出現率が82%であったのに対し, 閉経前の症例では, わずか50%であった.
    以上の結果より, 頸管スメア, 次いで後膣円蓋スメアの体癌検出率が高いこと, 高分化型の診断が困難であることが判明した.
  • 坂本 穆彦, 木原 和徳, 鷲塚 誠, 河合 恒雄, 平田 守男, 都竹 正文, 原島 三郎
    1984 年 23 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    前立腺癌の治療は組織学的分化度によって選択が異なる傾向を示す例があるため, 分化度診断は重要である.本研究では組織学的分化度 (WHO分類) と細胞診所見とを比較検討した.
    検索対象は前立腺穿刺吸引細胞診と針生検が同時に行われ, かつ双方の診断が腺癌であった16例で, 細胞診所見は細胞集合性の特徴によりクラスター形成の顕著な密集型, 孤立した細胞からなる散在型'両者の中間の混在型にわけた.細胞異型度は軽度.高度に2分した.
    細胞集合性では密集型8例 (高・中・低分化癌各3・3・2例), 混在型7例 (低分化癌のみ), 散在型1例 (低分化癌) であり細胞異型は軽度8例 (高・中・低分化癌各3・2・3例), 高度8例 (中・低分化癌各1・7例) であった.
    前立腺癌細胞診では細胞配列が混在型・散在型の場合は低分化癌であると推定される.密集型の場合は細胞異型度によっても分化度を類推できず, 今後の課題である.
  • 望月 博, 守矢 和人, 久保田 浩一, 河西 十九三
    1984 年 23 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は41歳の女性で, 腫瘍は左小陰唇外側にあり, 周辺組織が堤防状に隆起し, 浅いクレーター内に乳頭状面を形成していた.
    腫瘍表面からの擦過細胞診で, 最も多くみられたのはシート状配列をした, ライトグリーン淡染性の胞体をもつ多稜形の細胞でN/c比は中等度, 核は円形または楕円形で, 細顆粒状のクロマチンを有するものである.また, 重積性を示す, 比較的大型の幅広い円柱状細胞で核は偏在し, 細胞質は泡沫状で核クロマチンはやや粗大顆粒状を呈し, 著明な核小体を有する細胞もみられた.
    コルポスコピーでは表面が子宮頸部円柱上皮領域にみられるvilliに類似した乳頭状構造を示し, 酢酸加工によっても異常コルポ所見は認められなかった.
    組織学的には1~2層の円柱上皮より構成された乳頭状~管状の腺腫様増殖を示し, 腺腔側では断頭分泌が, 基底側では筋上皮細胞がみられた.
    以上, 細胞診所見, コルポ診所見より, 良性病変と診断され, 組織学的所見より, 外陰部乳頭状汗腺腫と診断された.
    この疾患は組織学的に腺癌との鑑別が困難なことがあり, 組織診断に際しては, 細胞診所見, コルポ診所見をふまえて診断することが重要であると考えられた.
  • 木寺 義郎, 吉村 隆宏, 杉森 甫, 次富 久之
    1984 年 23 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    婦人科領域悪性腫瘍のなかで最もまれな原発性卵管癌の1症例を経験した.患者は51歳の女性で, 卵管癌に特有の症状とされている水様帯下があり, 内診所見では付属器領域に腫瘤が触知され, 術前に卵管癌が疑われた.しかし頸管細胞診の結果は, SCreening errorによるための偽陰性であった.
    開腹所見では左側の卵管腫瘍であり, 卵管はソーセージ様を呈し, 左側の卵巣および膀胱子宮窩に転移性腫瘤も認められた.手術は単純子宮全摘術と両側付属器切除術を行ったが, 摘出臓器の病理組織学的検査では乳頭状腺癌と低分化型腺癌の混在するpapillary-medullary型であった.
    術後に頸管細胞診を検討した結果, 異型細胞が検出され, 本症例は本邦では卵管癌における頸管細胞診陽性例の20番目に該当した.症例の報告と頸管細胞診で偽陰性をきたした原因について考察を行った.
  • 関 晴夫, 石塚 正博, 小川 英弌, 備前 美輝子, 真木 正博, 綿貫 勤, 小山 博美, 成田 粋子
    1984 年 23 巻 2 号 p. 148-152
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵管の上皮内癌や初期浸潤についての記載は, 卵管癌そのものが極めて少ないこともあり, まれである.診断基準もまだ確立されていない.炎症性変化などでも反応性の上皮増殖や核の異型性を伴うことが多く, 診断には慎重を要すると考えられる.
    今回, われわれは子宮腔内細胞診にて卵管性病変を疑い, 病理組織学的に初期浸潤癌と考えられる1例を経験したので, その細胞像, 組織像について報告する.
  • 堀 保彦, 早川 修, 藤村 保文, 高階 俊光, 工藤 隆一
    1984 年 23 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    莢膜細胞腫の1例を報告するとともに, その細胞像と類似しているといわれる顆粒膜細胞腫の細胞所見と比較検討した.
    莢膜細胞腫の出現様式はおもに孤立散在性であるのに対して, 顆粒膜細胞腫のそれは孤立散在性の他に, Call-Exner bodyに相当すると思われるロゼット状配列を呈したり, 重積性を示す集団の部位もみられる.このことは細胞像上, 莢膜細胞腫が非上皮性の性格を示しているが, 顆粒膜細胞腫は非上皮性とともに, 上皮性に類似する性格を有しているといえよう.さらに両者の細胞像を観察すると,
    1) 莢膜細胞腫では葵膜細胞に類似した細胞と紡錘形線維状細胞の2種類の細胞型がみられる.
    2) 顆粒膜細胞腫の核のなかには核溝あるいはくびれがあり, コーヒー豆, 腎臓形に類似しているものが散見される.
    3) 莢膜細胞腫のクロマチンは細顆粒状であるのに対し, 顆粒膜細胞腫では微細顆粒状である.
    4) 核小体は葵膜細胞腫では一般に目立たないが, 顆粒膜細胞腫では赤く目立つものも散見される.
    このように葵膜細胞腫および顆粒膜細胞腫の細胞像にはそれぞれ特徴があり, 両者の鑑別診断は比較的可能と考えられる.
  • 山際 裕史, 伊藤 房郎, 川原 重治
    1984 年 23 巻 2 号 p. 159-162
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    12歳女児が鼻出血のため来院し, 鼻汁の細胞診で悪性所見を指摘され, 生検によって01factory neuroblastomaと診断された.細胞診では, パパニコロー染色で濃青染する細胞質と, 濃染する核を有し, N/C比は大で, 数個ずつ集籏してみられ, ロゼット様配列を示すものもみられた.
    鼻腔内のolfactory neuroblastomaは同部の横紋筋肉腫, 悪性リンパ腫, 悪性黒色腫・形質細胞腫, 未分化癌などとの鑑別が問題となる.発生母地については諸説があるが, 嗅神経上皮の未分化細胞由来とする考え方が有力である.本腫瘍は本邦では1982年までに23例が報告されているにすぎない.
  • 鈴木 守男, 社本 幹博
    1984 年 23 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは, 精索水腫穿刺吸引細胞診検査より, 髄外造血を強く示唆する1症例を経験した.
    患者は, 精索部の腫脹を訴え来院した生後2ヵ月の男児で, 精索水腫を確認した.水腫液には骨髄中にみられる赤血球系, 穎粒球系, 栓球系の各種未熟細胞を含む全骨髄系の血液細胞がみられた.乳幼児期では, 髄外造血の頻度は成人に比べて高く, 主として月刊蔵, 脾臓, ときにリンパ節に髄外造血の形成をみるが, 本症例のごとく精索部に認められ, しかも水腫液からの証明はいまだ記載がない.なお患者は造血器疾患はなく健在である.
    精索水腫液の細胞診を報告し, 若干の文献的考察を行った.
  • 1984 年 23 巻 2 号 p. 201-344
    発行日: 1984年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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