日本臨床細胞学会雑誌
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23 巻 , 3 号
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  • 小松 彦太郎, 上野 喜三郎, 川村 光夫, 米田 良蔵, 石原 尚
    1984 年 23 巻 3 号 p. 351-358
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌の気管支擦過標本を用い, その細胞所見, 核内DNA量と化学療法に対する反応性, 予後との関係を検討した.化学療法に有効な症例は, 無効例に比較しあきらかにその予後は良好であり, 細胞診によりあらかじめその反応性を予測することは重要であると思われる.クロマチン所見から腫瘍細胞をI型: 腫瘍細胞が小型 (9μ前後) で粗顆粒, II型: I型より大型で粗顆粒, III型: 網状不均等, IV型: 細顆粒状均等, V型: 微細顆粒状均等, の5型に分類した.化学療法に有効な症例ではIV, V型の割合が多く, 無効例にはI, II型の割合が多かった.核内DNA量と腫瘍細胞の大きさとの問には相関関係がみられた.化学療法に有効な症例は, 無効例に比較し大型の細胞が多く, 核内DNA量もやや多い傾向がみられた.
  • 杉田 直道, 窪田 与志, 寺田 督, 西田 悦郎
    1984 年 23 巻 3 号 p. 359-369
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    副腎性Androgenの主要分画であるDehydroepiandrosterone (以下DHAと略す) の腟上皮への生物学的作用の一端を窺い知る目的で両側卵巣別除後の成熟雌ラットにDHA-acetate 5mg/dayを連続14日間投与し, その腟腔内吸引Smearを経目的に観察し, 光顕組織ならびに電顕所見と比較検討した. その結果DHA投与とともに, 萎縮していた腟上皮はしだいに増殖をはじめ7日後Peakに達し, とくに上方の腟腔に面する数層において典型的粘液形成化 (Mucification) が認められた. Smear像では粘液産生円柱形細胞の集団がみられPAS染色, Alcian-blue染色とも陽性であった. また電顕所見ではとくに透過型において粘液空胞の腟腔への分泌, 細胞内粗面小胞体, Golgi装置などの強い発達が認められた.
    以上よりDHAのラット腟上皮に及ぼす主たる作用は増殖を伴った粘液形成化であり, その発生のメカニズムの基本はGolgi装置系に求められ, その成分分析でも酸性ムコ多糖類を含む蛋白体の可能性が示唆された.また粘液形成の程度を簡単にとらえる方法としてSmear法があり, もっと工夫することにより臨床への応用の道がひらかれるものと思う.
  • 寒河江 悟, 早川 修, 田村 元, 藤村 保文, 工藤 隆一
    1984 年 23 巻 3 号 p. 370-377
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部腺癌endocervical typeを組織分化度によって, 高分化型 (いわゆるadenoma malignum)(以下HDA), 分化型 (以下WDA), 中等度分化型 (以下MDA), 低分化型 (以下PDA) の4つの亜型に細分類して, 各々の細胞所見の特徴と核質量を検討した.
    その結果, 大別してHDA, WDAとMDA, PDAの3つに所見分類された.
    HDAでは, きわめて正常頸管円柱上皮に類似し, 細胞質は豊富で高円柱状を示し, 核の大小不同, 過染性はごく軽度の場合が多く, 細胞集団は平面的・柵状に出現し, 構成細胞数は最小であった.
    WDAとMDAは, 一般的な頸部腺癌の細胞所見とほぼ一致していた.
    PDAでは, 孤立散在性ないし不規則重積性に細胞は出現し, 粗大顆粒状のchromatinを持ち, 大小不同の目立つ核で, 核小体も著明化していた.
    核質量測定では, 分化度が低くなるにつれ, そのmodeは右方偏在し, 高倍体の細胞が増加した.
    したがってこれらの特徴的所見を認識することによって, ある程度組織亜型推定に役立つと考えられ, それとともに頸部腺癌そのものを発見診断するための重要な細胞所見と考えられた.
  • 千綿 教夫, 杉下 匡, 石田 禮載, 天神 美夫
    1984 年 23 巻 3 号 p. 378-383
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    コルポ診で明瞭にcondyloma acuminatumの診断のつけられたwarty atypia 10例と, 細胞診上koilocytotic atypiaが認められbiopsyでflat condylomaの確かめられた12例について, 両型の細胞診断学的な比較検討を行った.
    warty atypiaでは, koilocytotic atypiaの出現は30.0%(3/10) と低かったが, 両染性化生型労基底細胞の出現率は60.0%(6/10) と, flat condyloma 25.0%(3/12) より高かった.
    dyskeratocytesはcondyloma acuminatumの細胞診では最も出現頻度の高い所見であり, 両型に90%以上にみられた.
    binucleation, eosinophilic backgroundの頻度は60~75%で, 両型に差は認められなかった.
    コルポ診で明らかなwarty atypiaの症例では細胞診上にkoilocytotic atypiaが存在しないことも多い.また細胞診上に明らかなkoilocytotic atypiaがみられる症例には, flat condylomaのことが多く, しばしば臨床上該当所見なしとされる場合がある.これらのことを臨床的特徴として, また細胞診断学的特徴として理解しておく要があると思われる.
  • 宮崎 義彦, 長谷川 和男, 小林 理章, 早藤 雅也, 大津 文子, 武内 久仁生
    1984 年 23 巻 3 号 p. 384-390
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    初期浸潤癌を上皮内癌および浸潤癌と鑑別するための細胞学的診断基準を設定し, その意義について検討を行った.初期浸潤癌については病理組織学的に腫瘍細胞の間質内侵入様式からM・PF・EB・NG・EC・ES型の6病像に分類した.
    この基準によると, 上皮内癌および浸潤癌に対する診断率は高率であった.一方, 初期浸潤像ではM・PF型が上皮内癌と推定されることが多く, EC・ES型は浸潤癌と診断される比率が高かった.しかし, EB・NG型においては高率に初期浸潤癌として細胞学的に診断されていた.
    初回狙い生検診と最終病像の一致率は上皮内癌, 浸潤癌において高く, 初期浸潤像ではこれらに比してやや低率であった.しかしながら, これら病像の生検診過小診断例に対してこの細胞診断基準を適用したところ, 上皮内癌, 浸潤癌はもとより初期浸潤像においても生検診による過小診断の補正を高率になしていることが認められた.
    以上のことから, この細胞学的診断基準は, われわれの提唱する初期浸潤像のEB・NG型を推定診断するうえでかなり有効なものと考えられた.
  • 杉森 甫, 藤 幸子, 原之園 邦子, 佐藤 晶子, 高尾 みつ江, 樋口 千鶴子, 手柴 美佐枝, 小森 恵子, 柏村 正道
    1984 年 23 巻 3 号 p. 391-394
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    福岡県対ガン協会では, 子宮癌集団検診において昭和42~56年の問に頸部腺癌19例を発見した.これは周期的に発見した頸部浸潤癌434例の44%に相当した.このうち10例 (5a6%) は初診で発見されていたが, 4回目に発見されたものも2例あった.細胞診Class IIIとして検出されたものが10例あり, これらの細胞像は定型的腺癌標本に比し, 核異型が弱く核小体が明瞭でないなどの差がみいだされた.異型腺細胞の集塊は核腫大, 大小不同性等の所見に乏しくとも慎重に検鏡する必要性が示唆された.
  • 佐藤 伸子, 石田 禮載, 千綿 教夫, 松隈 孝則, 室谷 哲弥, 杉田 道夫, 杉下 匡, 天神 美夫, 佐藤 英五
    1984 年 23 巻 3 号 p. 395-402
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体癌の細胞診におけるより有効な判定基準の一助となるべく, 新しい点数法の開発を試みた.対象は, 1973年より1979年までの7年間に東京都がん検診センターにおいて発見された子宮体癌10例である. 細胞診はJetWash法で採取しPapanicolaou染色した標本を用い, その顕微鏡写真を基に検討した.
    方法は, 核の大小不同, 核小体, 核クロマチン, 細胞の重積性, 細胞の出現形式を観察項目として, その程度により0から2点までを採点し, 判定法とした.
    成績3および結果は, 正常内膜と子宮内膜増殖症例をcontrolとして比較観察した結果, 正常例 0~3 (4) 点
    内膜増殖症 4~6 (7) 点
    子宮体癌 7~10点
    であった.
    子宮体癌の細胞診の判定基準を, 唯一のpatternで決定することは, きわめて困難であり, さまざまな所見の組み合わせpatternが実際にはみられることが多く, 少なくとも, 5項目の組み合わせによる総合的判断をすることが, より現実的であり好ましく思われた.
  • 入江 康司, 杉島 節夫, 入江 砂代, 笹栗 靖之, 森松 稔, 小宮 節郎, 北城 文男, 山中 健輔
    1984 年 23 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    整形外科領域における細胞診に関する報告は少ない. われわれは針生検吸引細胞診による診断を目的とし, 骨肉腫5例の腫瘍捺印細胞像について検討した. Dahlinによる組織学的分類によると骨形成型2例, 骨形成型+軟骨形成型2例, 軟骨形成型1例であった. 細胞は大小不同が強く, 多形成に富み, 細胞型出現頻度は多辺形型35~56%, 紡錘形型12~23%, 円形型9~22%, 奇怪細胞型4~15%, 多核巨細胞型5~15%であった. 核の長径は7~27μ, 類円形~ 長楕円形でクロマチンの増量をみ, ときに核内偽封入体を散見した. 背景には組織型を反映し, 骨形成型にライトグリーン好性の無構造物としての類骨組織をみ, また軟骨形成型に赤紅色のメタクロマジーを呈した軟骨基質を認めた. 光顕的細胞型と電顕像を対比するに多辺形型細胞は悪性の骨芽細胞と軟骨細胞に, 紡錘形型は悪性の筋線維芽細胞と骨芽細胞に, 円形型は悪性の骨芽細胞と軟骨細胞に, 奇怪細胞および多核巨細胞型は, 悪性の骨芽細胞, 筋線維芽細胞と軟骨細胞にそれぞれ相当するものと考えられた.
  • 植田 初江, 由谷 親夫, 今北 正美, 岩 信造, 増田 一吉
    1984 年 23 巻 3 号 p. 409-414
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は労作時呼吸困難胸痛を主訴とした25歳の女性で一般検査, 肺シンチグラム, 肺血管造影, 血管内圧測定, 血液ガス等の検査結果から肺塞栓症と診断された.
    上記主訴が出現する約1年前に下腿の軟骨肉腫の診断で腫瘍摘出術を受けたが, 術後経過中再発所見は認められていなかった.肺塞栓症に対してウロキナーゼ, ヘパリン等の内科的治療が全く改善傾向を示さないため, 入院後18日目に肺塞栓の塞栓摘出術を行った.塞栓子の術中捺印細胞診と, 凍結標本による組織診を行ったところ塞栓子は細胞質に空胞をもち, N/C比の高い, 核小体明瞭な異型のある軟骨細胞とPAS, Alcian Blue染色陽性の豊富な軟骨基質であったことから軟骨肉腫による肺塞栓症と診断された.
    術後, 肺高血圧症は改善されず術後12目目に死亡した.剖検の結果, 下腿原発巣に鶏卵大の腫瘍再発が認められたが, 転移は肺動脈内のみであり, 肺実質その他の臓器転移は全く認められなかった.
  • 衣笠 松男, 金岡 明博, 田中 登美子, 三宅 秀一, 鷹巣 晃昌, 大月 均, 中安 清
    1984 年 23 巻 3 号 p. 415-420
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    67歳女性の左下腿外踝下縁に発生した再発性Kaposi肉腫の細胞学的所見を報告した.再発腫瘍は10×12cm大で暗赤色調のタコイボ状隆起を呈し, 2箇所に不整形の潰瘍を伴っていた.組織学的には赤血球を容れたvascular slitsやvascular channelsを構成する紡錘形細胞の増生像が主体をなし, 新旧の出血巣, 多量のヘモジデリン沈着を認めた.またパラフィン包埋切片にて血液凝固系第VIII因子関連抗原に対する免疫組織化学的検索 (PAP.法) を施行し腫瘍細胞に陽性所見を得た.塗抹細胞診上, 腫瘍細胞の多くは紡錘状ないし線維状を呈し, 一部に類円形のものもみられた.胞体は, Pap-染色では淡緑色にそまり, その辺縁は不明瞭であった.核は類円形ないし楕円形で小型の核小体を通常1~2個有していた.核縁は明瞭でほぼ均等な肥厚を示し, 多形性には乏しく, 分裂像は稀であった.また所々にPAS染色陽性の細胞質内封入体を認めた.細胞診上類似疾患との鑑別では特異的な所見はみいだし得なかったが, 病歴, 病理組織像や免疫組織化学的所見を考慮すれば, Kaposi肉腫の診断は容易であると考えられた.
  • 奥山 隆三, 今井 俊介, 螺良 義彦
    1984 年 23 巻 3 号 p. 421-424
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    89歳の男性に発生した左側頭部頭皮原発の内皮細胞型血管肉腫の1症例につき, その細胞学的特徴について検討を行った.
    この症例の細胞学的特徴としては,
    1) 壊死物質や赤血球を背景として, 悪性腫瘍細胞が集団的にも, また散在的にも認められた.
    2) 腫瘍細胞は, 細長い線維状の異型細胞が一部分認められたが, 大部分幅広い扁平な細胞質を有する不整形の細胞質で占められていた.
    以上, 本症例に出現した上記異型細胞は, 山田らの報告している内皮細胞由来の異型細胞とほぼ一致していた.また, 電顕所見においても内皮細胞の特徴であるWeibe1-palade bodyが認められ, この血管肉腫の症例が内皮細胞型であることが確認できた.
  • 森田 恒之, 加藤 孝男, 古川 記志子, 伊藤 由美子
    1984 年 23 巻 3 号 p. 425-429
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    60歳, 女性胃粘膜下腫瘍の診断のもとに摘出した胃病理組織所見は線維性組織球腫で, 手術時腫瘍は胃および胆嚢領域にみられた.術後5ヵ月, 肝床下に嚢胞を形成し再発した.超音波断層誘導のもとに, この部から穿刺吸引したPapanicolaou染色による細胞像は, 膠原線維様糸状物, 炎症性細胞とともに著明な核小体を有する多核巨大組織球様細胞など悪性所見を具備した細胞の出現がみられ, 悪性線維性組織球腫と診断した.腫瘍細胞は細胞形状とその核の大小および数から組織球様細胞4種と紡錘形細胞2種に分類した.いずれの腫瘍細胞も形態的に, 核と細胞質に組織球細胞との移行性が認められまた貧食能を認めた.
    患者は術後7ヵ月目脳転移様症状にて死亡した.
  • 南 修二, 中西 功夫
    1984 年 23 巻 3 号 p. 430-433
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    60歳男性の直腸カルチノイドを経験したので, その捺印細胞所見を中心に報告した.捺印細胞診では, 腫瘍細胞は重積性または敷石状の細胞集団をとり, まれにロゼット様配列を示した.個々の腫瘍細胞は, 淡緑色泡沫状の細胞質と粗顆粒状クロマチンの均一円形な核をもつ特長を備えていた.さらに, 散在性に濃染核をもつ小型異型細胞も混在していた.核小体は明瞭でなかった.腫瘍は大きさ1.6×1.3cm, 広基性の隆起を示す粘膜下腫瘍であった.組織学的には固有筋層内にまで浸潤する混合型のカルチノイドであり, 労直腸リンパ節1個に転移が認められた.電顕的検索で, 腫瘍細胞の原形質内に直径100~300nm大の限界膜で囲まれた電子密度の高い分泌顆粒が確認された.なお, 本症例は尿中5HIAA, 血中serotonin値は正常でありカルチノイド症候群を呈さなかった.
  • 佐竹 立成, 夏目 園子, 新福 正人, 平野 みえ, 山本 雅史
    1984 年 23 巻 3 号 p. 434-437
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の男性.左睾丸腫瘤を主訴に来院し, 生検でimmunoblastic lymphomaと診断された.喀痰および胸腹水の細胞診標本中にも同様な腫瘍細胞が認められ, 胸膜生検および剖検でimmunoblastic lymphomaの細胞であることが確認された.
    Papanicolaou染色された喀痰細胞診標本中には多数の腫瘍細胞が孤在性に認められた.腫瘍細胞は略円形で, 大きさは長径が10μから14μ, 核は円形で中央にあるか偏在している.核クロマチンは細顆粒状ないし粗大顆粒状で, やや肥厚した核縁に付着して認められるものもある.核小体は顕著で細胞質は淡明である.
    これらの腫瘍細胞と鑑別すべきものとして, 小細胞癌があるが, 後者の核クロマチンは, より繊細でかつ濃染する点や, 核縁の肥厚が目立たない点等が鑑別点と思われた.
    悪性リンパ腫の肺への浸潤の多くは, 全身臓器への浸潤の一部分症であることが多く, これらの場合は得られる臨床所見や検査成績も豊富で, 細胞診標本中の腫瘍細胞の同定は比較的容易である.しかし肺原発の悪性リンパ腫では困難な場合があり, とくにPapanicolaou染色による腫瘍細胞像を知っておくことが正診の第一歩といえよう.
  • 井嶋 昭彦
    1984 年 23 巻 3 号 p. 438-442
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    原発性卵管癌はまれな疾患で, 術前に診断された例は少ない. 症例は46歳.血性帯下を主訴とし, ダグラス窩に栂指頭大の腫瘤を触れた. 膣細胞診では腺癌か扁平上皮癌か区別しにくい所見であったが, 頸管細胞診および体内膜吸引細胞診では蜂の巣状, 乳頭状の腺癌細胞集団がみられた. 子宮内膜組織診では悪性所見はなく, 子宮卵管造影法で左卵管膨大部に腫瘍像を認め, 術前に診断し得た.
  • 五十嵐 俊彦, 後藤 明, 児玉 省二, 小幡 憲郎, 半藤 保, 竹内 正七, 永井 江津子
    1984 年 23 巻 3 号 p. 443-447
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌に著明な色素沈着を示した転移性外陰癌の2症例を経験した.第1症例は, 初回治療後3年目に外陰部黒色病巣を示し, 第2症例は, 初回治療時に外陰部黒色病巣が認められた.
    外陰部腫瘍表面からの擦過細胞診上, シート状配列をした扁平上皮癌細胞中に, メラニン穎粒を有する細胞が多数認められた.また樹枝状突起を有するメラニン穎粒含有細胞も認められた.外陰部組織診上, 上皮内癌および, 癌病巣境界部皮膚にメラニン穎粒含有細胞が多数認められた.
    子宮頸癌の外陰部転移病巣の発見に, 黒色病変および細胞診が重要であると考えられた.
  • 武内 康雄, 加藤 一夫, 田中 卓二, 大林 太, 高橋 正宜, 藤井 雅彦
    1984 年 23 巻 3 号 p. 448-454
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは, 子宮頸部に発生した小細胞癌の1例を経験した.
    症例は, 31歳の主婦で, 子宮頸癌IIb期の臨床診断により, 広汎性子宮全摘術および所属リンパ節の廓清術が施行されたのち, 5,000radの60Coと化学療法をうけたが, 労大動脈リンパ節に転移し, 術後約1年半で死亡した.組織学的には, 腫瘍はリンパ芽球様の細胞または, 紡錘形の細胞よりなる未分化な癌で, 電顕的検索では, neurosecretory-like granuleが認められた.細胞診では, 腫瘍細胞は小型で, N/c比が高く裸核状で, きわめて疎な上皮性結合を示していた。また, 核は類円形または紡錘形で, 核膜の肥厚はみられなかった.
    小細胞癌は, きわめて悪性な腫瘍で, 本腫瘍の早期診断の重要性が注目された.
  • 井上 正樹, 稲福 貞光, 岡野 錦弥, 南川 淳之祐, 森 浩志
    1984 年 23 巻 3 号 p. 455-460
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部のsmallcellcarcinomaは従来よりsquamous cell carcinomaの1亜型に分類されているが, 最近はAPUD系腫瘍との関連性が注目され, carcinoidとして報告されつつある.
    われわれは, 40歳3経妊1経産婦に発生し, 電顕的にneuro-secretory granuleを有する子宮頸部carcinoidの1例を経験した.組織学的には, 腫瘍の大部分はsmall cell carcinomaで占められるが, 一部にwell-differentiated adenocarcinomaおよび1argecellnon-keratinizing squamous cellcarcinoma成分を伴っており, smallcellcarcinomaと連続的移行像も認められる. ほかにsquamousdysplasiaも存在する.本腫瘍のhistogenesisとして, 多分化能を有する未熟上皮細胞由来の可能性が示唆される.
    剥離細胞像の特徴としては, 大部分を占めるsmallcellcarcinoma由来細胞のみで, 多数の小型腫瘍細胞を主として散在性に認める. 腫瘍細胞質は極めて乏しく, 核は円形ないし卵円型で一様である. 核クロマチンは増量し, 粗大穎粒状で, 核小体は不明瞭である.
    膣細胞診におけるこれらの小型腫瘍細胞はリンパ球と混同されやすく, また本腫瘍は極めて予後不良であることからも, 細胞診に際しては特別の注意を要する.
  • 畠 栄, 太田 節子, 鐵原 拓雄, 福屋 崇, 津嘉山 朝達, 中川 定明
    1984 年 23 巻 3 号 p. 461-466
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    75歳不正性器出血のため近医を受診し, 子宮内膜癌を疑われて当大学産婦人科に転院受診時, 著明な貧血がみられた.外陰部, 膣は異常なく子宮は前屈でこぶし大, 子宮膣部は全周性に著明な発赤を示していた.CTで膀胱背部に10cm大のhigh density massが認められた. 細胞診と組織学的検索を子宮膣部で行いendometrial stromal sarcomaが疑われた. 化学療法, 放射線照射により転快退院したが, その後下腹部膨隆をきたし再入院.腹水にも悪性腫瘍細胞が出現し全身衰弱, 呼吸困難をきたし, 昭和57年12月16日死亡.剖検はゆるされなかった.
    子宮膣部擦過標本では, 出血性で少数の好中球, リンパ球を背景とするなかに, 小型の細胞が孤立散在性に認められた. 細胞質は乏しく, 境界はやや不明瞭.核は一部紡錘型のものがみられ, また一端が細長くなったいわゆるcomet cellを認めた. クロマチンは細顆粒状を呈し, 小型核小体を1~2個認めた. 腫瘍生検の捺印標本でもほぼ同様な像を示し, 腹水細胞診では小型, 類円形細胞が弱い結合性を示して出現していた.
    組織像は未分化な子宮内膜問質細胞に類似した細胞がびまん性に増殖し, 特別の配列や構築はみられなかった.核分裂像も20/10HPF以上認められた.
    以上の所見からendometrial stromal sarcomaと診断された.
  • 宮脇 義隆, 前田 隆義, 佐野 隆, 岡村 信介, 植木 実
    1984 年 23 巻 3 号 p. 467-473
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    表皮下床にエクリン汗腺癌を合併した外陰部Paget病の1例について, 細胞学的所見を中心に形態学的検索を行った.
    症例は80歳の経産婦で, 外陰部掻痒感を主訴として来院した. 組織診にて汗腺癌を伴うPaget病と診断した.
    細胞学的には大小2種類の異型細胞を認めた.大型の細胞は孤立散在性に出現し, 胞体は豊富で明るく, 細胞境界は明瞭で核周囲にはhalloが存在する. 核は中央に存在し, 類円形で核縁は菲薄であった.核クロマチンは細穎粒状で, 核小体は明瞭で大きかった. 一方, 小型の細胞はシート状あるいは柵状に配列し, 細胞境界が不明瞭で, 胞体はレース状に淡染した.偏在傾向を示す核は円形または卵円形を呈し, 核縁は軽度肥厚を認めた.核クロマチンは粗題粒状で, 核小体は数個存在した. これらの細胞はmicroviiliの充満した小管腔を形成し, 原形質内には高電子密度の球状小体が存在するという電顕所見から, その細胞起源をエクリン汗腺由来と考えられた.
  • 鈴木 光明, 関口 勲, 玉田 太朗, 小林 誠一, 川井 俊郎
    1984 年 23 巻 3 号 p. 474-479
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    自験例の原発性腟癌4例 (上皮内癌2例) を対象に, その細胞所見を検討した. その結果, 上皮内癌では細胞診背景は比較的きれいで, 中層および深層型のdyskaryotic cellが多数出現するなかに, 核クロマチンの増量したN/C比の高い悪性細胞が孤立散在性に認められた.悪性細胞は比較的小型のものが多く, 子宮頸部の上皮内癌に比べ, 典型的なthird typeの出現は少なかった. 一方, インディアナインク様の濃縮核をもつ小型の異型細胞が多数集塊を成して出現した. この点に関しては, むしろ子宮頸部初期浸潤癌の細胞像に類似点がみられた.
    浸潤癌では, 背景は壊死物質ならびに炎症性細胞浸潤が著明で汚かった.核クロマチン増量著明な大型の悪性細胞が多数出現したが, 核小体は, さほど目立たなかった. またfiber typeやtadpole typeの角化型悪性細胞が目立ち, 子宮頸部角化型扁平上皮癌に極めて類似した.またオレンジ好性の細胞質を有する無核の“Ghostce11”の目立つ症例も認められた.
  • 1984 年 23 巻 3 号 p. 481-487
    発行日: 1984/07/25
    公開日: 2011/11/08
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