日本臨床細胞学会雑誌
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24 巻 , 1 号
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  • 海老原 善郎, 福島 範子, 朝隅 容子
    1985 年 24 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    体腔 (心嚢, 胸腔, 腹腔) 液中の剥離細胞所見を理解するために, 人体および実験動物で, いくつかの病的状態が惹起した漿膜の組織反応様式を病理組織学的に検討した.
    基本的な漿膜組織反応形式はA型: 上皮様細胞増殖型, B型: 間葉細胞増殖型, C型: AおよびB型の混合型, D型: 非特異性肉芽組織増殖型, およびE型: リンパ球浸潤型の5型に分類された.A型は主として肝硬変例の腹膜に, B型は制癌剤の体腔内注入例や腹膜切除後の再生過程に, D型は尿毒症性心嚢.胸膜炎, E型は結核症による反応性漿膜炎に特徴的であった.
    中皮細胞は剥離細胞診学的および組織学的にアルシアン青陽性, PAS陰性物質がsurface coatとして認められる以外に細胞質内空胞にも認められ, ヒアルロニダーゼで種々の程度に消化された.剥離中皮細胞の貪食能は, 毛細管内墨粒貪食試験で大食細胞より程度は弱いが確認された.さらに, この貪食能はin vivoで, 出血部周辺の中皮細胞にヘモジデリン顆粒がみられることや, 実験的には径1μのラテックス粒子を取り込むことからも裏づけられた.動物腹膜の切除後の再生過程で, 増殖する線維芽細胞様細胞層の表層部では上皮様中皮細胞への化生が確認された.
  • 今井 督, 佐藤 雅美, 永元 則義, 斉藤 泰紀, 須田 秀一, 岡田 信一郎, 太田 伸一郎, 橋本 邦久, 仲田 祐, 赤荻 栄一, ...
    1985 年 24 巻 1 号 p. 13-23
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺癌切除肺66例について, 在来の細胞染色および組織染色に加えて, さらにDiastase消化後のPAS-Alcian Blue粘液染色, 電顕的観察, 酵素抗体法によるCarcinoembryonic Antigen [(1) DAKO社polyclonal抗体と反応するもの (以下CEApと略す),(2) 持田製薬社monoclonal抗体と反応するもの (以下CEAmと略す)], Secretory Component (以下SCと略す), Keratin (以下Kと略す) の細胞組織染色を行い, 比較検討した.各物質とも細胞染色と組織染色間で, 非常に高い順位相関がみられた.分化度別に比較すると, 腺癌では染色性に有意差がみられず, 扁平上皮癌ではCEAmの染色性に有意差がみられた.腺癌と扁平上皮癌の問の染色性の差をみると, Mucin, SC, K, CEApの染色性に有意な差がみられた.低分化型腺癌と大細胞癌の間では, CEAmとCEApが, 低分化型腺癌と低分化型扁平上皮癌の間では, CEApとKが, 低分化型腺癌と小細胞癌の間では, K, SC, CEAmが, 低分化型扁平上皮癌と大細胞癌, 低分化型扁平上皮癌と小細胞癌, 大細胞癌と小細胞癌の問ではKが, それぞれ染色性の差がみられ有意であった.これらの物質の染色を行うことにより, 低分化型腺癌, 低分化型扁平上皮癌, 大細胞癌, 小細胞癌の組織型判定の一助となると結論した.
  • 斎藤 泰紀, 薄田 勝男, 菅間 敬治, 佐川 元保, 佐藤 雅美, 太田 伸一郎, 永元 則義, 今井 督, 須田 秀一, 橋本 邦久, ...
    1985 年 24 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    気管支鏡下に粘膜をブラシで擦過したのち, 日をあらため再度擦過して得た標本上に出現した異型細胞の所見を検討した.これらは気管支上皮の機械的傷害に起因する組織修復細胞と考えられ, ときには悪性細胞との慎重な鑑別を要した.擦過後の細胞所見は経時的に変化した.1日目に観察する機会はなかったが, 2日目には核分裂像が散見され, 異型高度で平面的な細胞集塊が多数出現した.核は大型で類円形, クロマチンは増量し, 核小体は巨大かつ不整形で数個あった.細胞質は好塩基性で扁平に拡がり小空胞状であった.3日目は, 2日目とほぼ同様な所見であったが, 核分裂像はなかった.4, 5日目は, 異型細胞の数が少なくなり, 異型も軽度であった.線毛のみられない円柱上皮細胞が多数あり, 一部に杯細胞や扁平上皮化生細胞への分化を示す細胞集団が混在した.7日目はほぼ正常な所見に復した.これらの所見は, 上皮の傷害後, 早期に細胞の分裂と, それに伴う活発な代謝があり, 未分化な異型に富む上皮となり, その後正常な上皮に分化し再編成されていくことを示すと考えられた.ほかに, 気道の慢性刺激によると考えられる類似の異型細胞が出現した症例があり, 臨床上注意が必要と考えられた.
  • 佐々木 功典, 荻野 哲朗, 高橋 学, 村上 知之, 長岡 栄, 川崎 祥二, 平岡 芙美子
    1985 年 24 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞周期による細胞蛋白量の変化をfluorescein isothiocyanate (FITC) とpropidium iodide (PI) とによる二重染色を行った指数増殖期にあるHeLa細胞において, flow cytometryにより測定した.FITCとPIとの螢光スペクトルは, 一部で重複する.そのため螢光量の一部を互いに差し引く補正装置が必要となる.X-Yドットプロット表示とgated analysisとにより, 細胞ごとの差は大きいものの, 細胞蛋白量は細胞周期の進行に従って増加し, 細胞分裂によって半分となることが示された.
  • 国井 勝昭, 国井 兵太郎, 大橋 洋子, 草苅 裕子, 大宮 善直, 宮田 礼輔
    1985 年 24 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内操作 (D. & C.) 後の異型細胞 (ERC) と子宮頸部, 体部腺癌細胞について細胞学的に比較検討を行い, 次のような鑑別点が得られた.
    ERCの特徴として,
    1) 背景がclean.
    2) 集塊の細胞配列がシート状.
    3) 細胞質の流れ状配列.
    4) 細胞質径, 核径は大きいがN/C比は小さい (豊富な細胞質をもつ).
    5) クロマチンの性状は細.
    6) 核小体0が少なく, 複数の核小体をもつものが多い.
    7) 核形不整が腺癌よりやや多い.
    8) 2.5μ 以上の核小体の割合が, 腺癌よりやや多い.
    9) 核小体赤色不整形, 周囲のクロマチンと連続しているようにみえるものがわずかに腺癌より多い.
    10) 核分裂像が腺癌よりわずかに多い.
    実際に鏡検するにあたっては, このほかにInformationにも注意すべきであると思われる.
  • 小池 昇, 樋口 龍夫, 坂井 義太郎
    1985 年 24 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    当院婦人科外来を受診した超高齢者 (90歳以上老人) 57例の細胞像およびその病理学的, 内分泌学的背景について検討を行った.
    1) 陽性は6例 (10.5%) で, その細胞像は分化型腺癌1例, 角化型扁平上皮癌3例, 非角化型扁平上皮癌1例, 変性のため組織型推定困難が1例であった.これらは生検および剖検でそれぞれ直腸癌1例, 子宮頸癌3例, 結腸癌1例が確認された.
    2) 疑陽性は3例で, このうち異形成を推定したものは1例 (1.8%) であるが, 組織診では確認し得なかった.なおその細胞像は中層および表層型の核異常細胞であった.
    3) 陰性例48例中'炎症性変化を示すもの18例を除くと, 中層細胞優勢の細胞像を示すものが18例と最も多かった.また表層細胞優勢のものも1例みられた.これらのうち剖検のなされている10例について病理所見, 薬剤投与歴などを検討したところ積極的に成熟指数 (M.I.) の右方移動を示唆する所見は得られなかった.
  • 和田 順子, 木村 裕子
    1985 年 24 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域における感染症のなかでも, ヘルペスはとくに注目視されている.急性感染, 再発感染, 産道感染に加え腫瘍領域においても何らかの関連性が指摘されているためである.ヘルペスの診断は, 日常の臨床レベルでは, 確実で迅速であることから細胞診の使用が実用的である.細胞診標本におけるヘルペスの特徴ある所見がどのように出現するのか, 培養細胞にヘルペスウイルスを感染させて, 経時的に, 形態学的に観察した.
    方法として, スライドチェンバーを使用し, Vero細胞にヘルペスウイルス2型を接種した.ここに2%仔ウシ血清加Eagle MEMを加え, 37℃ 炭酸ガス孵卵器で培養した.3時間おきにスライドチェンバーを取り出し, PBS (-) にて洗浄後, 95%エタノール液で固定, Pap染色を施して鏡検した.
    その結果, 6時間後に細胞は集合を開始し, しだいに円形になり, 多核巨大細胞に至る.ついで核内構造は, 9-12時間後にgray degenerationが認められる.この変性したクロマチンはしだいに核の中央に移動し, 凝集し, 18時間後には封入体を形成する.
    東京女子医大産婦人科におけるヘルペスの患者は0.11-0.50%の発生頻度である.
  • 川西 康夫, 稲富 五十雄, 西谷 定一, 森川 淑子, 古谷 悦子, 山田 建男, 田中 哲郎, 石原 八重, 岩井 裕子, 三宅 清雄
    1985 年 24 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胸部X線写真に腫瘍陰影を認め, 剖検で胸腺腫と診断された69歳女性の尋常性天疱瘡を検索中に, 喀痰塗抹標本に悪性腫瘍細胞に酷似した口腔粘膜由来のTzanck cellの混入を認めたので, Papanicolaou染色法で細胞所見を検討する一方, 螢光抗体直接法によって肺腺癌細胞を対照とした比較検討を行った.
    Papanicolaou染色標本ではTzanck cellは散在性あるいは集合重積し胞体に空胞をもつ細胞集団として出現した.核は類円形で肥大しN/C比増大, 核縁は肥厚, 核小体肥大が顕著であった.胞体には核周囲明庭や層状構造が認められた.また多核巨細胞も認められた.水疱床からの擦過塗抹標本にみられるTzanck cellとは出現形態が異なり, 標本観察上これらTzanck cellの細胞所見は十分留意されねばならない.
    螢光抗体直接法に対してTzanck cellはその胞体にびまん性の強い螢光の染着性を示したが, 対照とした肺腺癌細胞は細胞膜と核小体に染着性を示した.したがって螢光の染着部位の差異から両者の鑑別は可能である.
    本例は稀有な症例であったが, 最終的な診断が螢光抗体直接法によって得られたことを強調したい.
  • 斉藤 誠, 阿部 真也, 小野 寿太郎, 小中 千守, 林 永信, 加藤 治文, 早田 義博, 島 英明, 蜂谷 哲也, 佐々 弘
    1985 年 24 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Pneumocystis carinii肺炎が白血病等の血液疾患の化学療法中に合併することはよく知られているが, 最近では固形癌との合併が注目されている.
    本症例は臨床的に肺癌および縦隔リンパ節転移と診断された48歳の男性で, 化学療法施行中に肺浸潤を認め, 経皮吸引針生検細胞診を施行した.穿刺材料はただちにグロコット法で染色され, 類円形の壁の濃染した嚢子を認めた.剖検肺の組織像は, 浮腫, 巣状出血および硝子膜の形成を示し, それらの病変に混在して肺胞腔が泡沫状物質で充填されている像を認め, グロコット染色で肺胞腔内に典型的カリニの嚢子が確認された.全身のリンパ節, 骨髄および脾に腺癌の転移を認めたが, 固有肺葉内, 消化管に腫瘍性変化は認められなかったところから原発不明癌とされた.
    原発部位が不明の腺癌症例の化学療法中に生じた肺浸潤に対して経皮吸引針生検細胞診を施行し, カリニ肺炎と診断した症例を経験したので報告する.
  • 松本 房枝, 安達 博信, 自見 厚郎, 藤原 仁, 実藤 隼人, 城戸 優光
    1985 年 24 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性, 胸部および肩部痛・咳嗽・喀痰を主訴として来院.胸水・喀痰中に印環型を混じた腺癌細胞を認めた.そののち約1年の経過を経て, 胸腹水貯留が著明となり呼吸不全にて死亡した.病理解剖では, 右肺原発の肺癌で, 右胸膜に沿って浸潤増殖し, 左肺・肝・骨髄・リンパ節などへの遠隔転移をきたしていた.細胞学的・組織学的には印環型の腫瘍細胞を特徴とし, しばしば腺房様構造を呈し, 砂粒体を伴い, 組織学的には気管支腺由来腺癌とほぼ一致する染色結果を示した.肺原発の印環細胞癌は比較的まれなものであるので, その組織化学的所見を中心に考察を加えた.
  • 兼子 耕, 川井 俊郎, 小林 誠一, 久保野 幸子
    1985 年 24 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は, 78歳の男性.左限涙丘部に発生した脂腺癌の術中捺印細胞像について検討した.腫瘍細胞は, おおむね腺癌の性格を有し, 診断上最も有用な所見は, 広い泡沫状の細胞質がSudan III染色強陽性を示したことであった, 電顕および免疫組織化学的検索では, 腫瘍細胞にわずかながら重層扁平上皮細胞への分化を示す所見が認められた.
  • 入江 砂代, 杉島 節夫, 入江 康司, 笹栗 靖之, 森松 稔, 八塚 宏太
    1985 年 24 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    52歳, 女性. 良性葉状嚢胞肉腫の摘出術後, 再発し悪性化したと考えられる症例の針生検吸引細胞像に組織像と電顕像をあわせ報告した. 細胞量は多く, 血管を中心とする放射状配列を示す悪性間質細胞と良性乳管上皮細胞群を認め, 悪性細胞は紡錘形~類円形と多彩で, 多核細胞および奇怪細胞もみられ, 核分裂像も高頻度にみられた. 核は楕円形~長楕円形でクロマチン増量をみ, 不整形な核小体を有している.細胞質内にはギムザ染色で赤色顆粒をみ, 電顕像と対比するに粗面小胞体内の網状の中等度電子密度物質に相当しプロコラーゲンが疑われた. 電顕的には多数の筋線維芽系細胞と少数の線維芽系細胞がみられ, 本症例は悪性葉状嚢胞肉腫: 筋線維芽細胞型と考えられる. 術後1年5ヵ月の現在, 再発, 転移は認められていない.
  • 畠 榮, 広川 満良, 真鍋 俊明, 中川 定明
    1985 年 24 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    31歳男性の輪状甲状筋に発生した横絞筋腫 (adult type rhabdomyoma) の1例を経験した.心臓外横紋筋腫はまれな腫瘍で症例報告も少なく捺印細胞像の詳しい記載はいままでにない.
    自験例における捺印細胞像は,(1) 紡錘形から多角形の大型細胞が孤立性・散在性に比較的多く出現すること,(2) 200μを越す帯状, ラケット状の細胞も多数存在すること,(3) 細胞質内に明瞭な横紋構造を有すること,(4) N/C比は小で異型性に乏しい核は単核で偏在傾向を示していることによって特徴づけられ, 成熟横紋筋類似の像を示すことから横紋筋腫を推測させた. また, 横紋構造には規則性に欠けるところでうず巻き状線維様構造を呈した部や, 縦走する線維構造 (縦紋) を示すものも認められた.
    術後1年までの観察では再発の兆候はない.
  • 楠山 洋司, 吉田 恵, 土居 淳子, 細道 太郎, 馬渕 義也, 横田 栄夫
    1985 年 24 巻 1 号 p. 92-95
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    砂粒小体を伴った原発性子宮内膜癌1症例を報告する.
    患者は, 56歳主婦, 1年間の褐色帯下を主訴に受診子宮頸部擦過細胞診は陰性であったが, 内膜吸引細胞診にて砂粒小体と腺癌細胞をみた. 準広汎子宮全摘術および骨盤内リンパ節郭清術を行った. 術後の組織診では, 高分化型で, 一部乳頭状を呈する内膜癌で, 右総腸骨リンパ節に転移をみた. 子宮体部と転移したリンパ節には, 多数の砂粒小体を認めた. 子宮腟部および両卵巣には, 浸潤も砂粒小体もみられなかった.
    婦人科領域における砂粒小体の意義につき考察を行った.
  • 野田 信之, 秦 宏樹, 久保 久光, 都竹 正文, 平田 守男
    1985 年 24 巻 1 号 p. 96-101
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    放射線誘発癌の判定規準を満たした症例として, 今回, 子宮頸癌放射線治療後25年経て発生した子宮頸部肉腫の1例をとりあげ, その診断および治療効果判定に際して, 細胞診が有用であったことを報告する. 症例は65歳女性で, 25年前に子宮頸癌III b期 (非角化大細胞型扁平上皮癌) の診断で, 放射線治療を受け, 治癒, 経過は良好であった. 主訴は不正性器出血で, 肉眼診で子宮頸部に小鶏卵大腫瘤形成をみ, 細胞診で肉腫が強く疑われ, 組織診で紡錘細胞肉腫と診断された. 細胞所見は紡錘形, 楕円形ないし不整形の悪性細胞が孤立散在性に配列し, 核膜の肥厚は少ないが, 切れ込みのある不整を呈し, 核クロマチンは細顆粒状ないし細網状で均質増量し, 著明な核小体腫大を認め, 間質由来の悪性腫瘍が強く示唆された. 組織診では, 小型紡錘形細胞のみで占められ, 特徴的分化を示す細胞, 上皮由来の細胞の出現を認めなかったことから, 紡錘細胞肉腫と診断された. さらに放射線治療中に, 治療効果判定のため経時的に施行した細胞診, 組織診から, 本腫瘍の放射線による細胞変化は軽度であった.
  • 高橋 亨正, 河合 清文, 上田 稔, 諸星 利男, 上野 ミヨ子, 平田 守男, 岡島 弘幸, 鈴木 忠雄
    1985 年 24 巻 1 号 p. 102-107
    発行日: 1985/01/25
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    6年の潜伏期間をもち, 子宮頸部より発生した異時性絨毛癌の1症例を経験し, 内膜吸引および摘出材料について, 細胞診, 組織学的, 電顕的および免疫細胞化学的検索を行った.腫瘍は組織学的に合胞細胞より中間型細胞さらにLanghans細胞にいたるTrophoblast由来の一連の腫瘍細胞より形成され, 無構造浸潤性に増殖する. 量的には中間型腫瘍細胞が最も頻繁にみられた.細胞診上はむしろ異型の強い合胞細胞が多くみられた.免疫細胞化学的にはhCG陽性の腫瘍細胞もLanghans細胞様性格を示すものがみられた. 電顕的にもよりLanghans細胞に類似を求めることのできる腫瘍細胞がほとんどで, 典型的な合胞細胞およびLanghans細胞は認めることができなかった.
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