肺癌切除肺66例について, 在来の細胞染色および組織染色に加えて, さらにDiastase消化後のPAS-Alcian Blue粘液染色, 電顕的観察, 酵素抗体法によるCarcinoembryonic Antigen [(1) DAKO社polyclonal抗体と反応するもの (以下CEApと略す),(2) 持田製薬社monoclonal抗体と反応するもの (以下CEAmと略す)], Secretory Component (以下SCと略す), Keratin (以下Kと略す) の細胞組織染色を行い, 比較検討した.各物質とも細胞染色と組織染色間で, 非常に高い順位相関がみられた.分化度別に比較すると, 腺癌では染色性に有意差がみられず, 扁平上皮癌ではCEAmの染色性に有意差がみられた.腺癌と扁平上皮癌の問の染色性の差をみると, Mucin, SC, K, CEApの染色性に有意な差がみられた.低分化型腺癌と大細胞癌の間では, CEAmとCEApが, 低分化型腺癌と低分化型扁平上皮癌の間では, CEApとKが, 低分化型腺癌と小細胞癌の間では, K, SC, CEAmが, 低分化型扁平上皮癌と大細胞癌, 低分化型扁平上皮癌と小細胞癌, 大細胞癌と小細胞癌の問ではKが, それぞれ染色性の差がみられ有意であった.これらの物質の染色を行うことにより, 低分化型腺癌, 低分化型扁平上皮癌, 大細胞癌, 小細胞癌の組織型判定の一助となると結論した.
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