日本臨床細胞学会雑誌
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24 巻 , 2 号
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  • 飯野 孝一, 野沢 志朗, 高山 泰子, 栗原 操寿, 稲葉 憲之, 高見沢 裕吉
    1985 年 24 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部扁平上皮癌患者より得た病理組織標本および当研究室にて樹立した子宮頸癌培養株の異種移植腫瘍の組織切片を用いて, 免疫組織化学的に胎盤蛋白であるPP5, PP10, PP12の局在を検討した.
    全細胞中の10%以上のものが染色されている症例を陽性とすると, 非癌扁平上皮ではPP5: 0%, PP10: 38.5%, PP12: 50%の症例が陽性であった.また, 扁平上皮癌細胞をその分化度により, 小型癌細胞・大型非角化型癌細胞・角化型癌細胞に分類し, 各胎盤蛋白の陽性率を比較検討すると, PP5は43~57%, PP12は約40%に陽性で, その陽性率は分化度に関係なかったが, PP10は, 小型癌細胞を含む症例の7.1%, 大型非角化型癌細胞を含む症例の35.7%, 角化型癌細胞を含む症例の54.5%に陽性であり, 角化傾向の強い癌細胞ほど高い陽性率で染色された.子宮頸癌培養株の移植腫瘍でもおおむね同様な傾向がみられた.以上のデータから, これら3種の胎盤蛋白の子宮頸癌の腫瘍マーカーとしての有用性に関して言及した.
  • 佐藤 智子, 水内 英充, 工藤 隆一, 橋本 正淑, 赤間 正義, 石山 好人
    1985 年 24 巻 2 号 p. 124-131
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞採取器のオネストブラシと増淵式吸引チューブを用いて2,756例について比較検討を行い以下の成績を得た.
    1) ブラシ法では吸引法より圧倒的に大量の内膜細胞採取が可能だった.
    2) 標本上の赤血球の混入はブラシ法に多かったが, 読影が困難となるものはごくわずかだった.
    3) 頸部由来細胞の混入はブラシ法の方が少なかった.
    4) 標本の粘液による汚染や組織球の混入は, 両者の問でほとんど差が認められなかった.
    5) パパニコロークラス分類において吸引法の方がブラシ法より低いクラスに診断されるものが一部の症例に認められた.
    6) 内膜細胞診実施可能率は, 吸引法で91.8%, ブラシ法で95.5%と大きな差は認められず, 高齢層ではブラシ法の方が可能率が高かった.
    7) ブラシ法施行に伴う痛みや出血はごく軽度のものが大部分を占め, 従来考えられていたほど大きな欠点とは考えがたい.
    以上, オネストブラシはスクリーニングに用いる器具として非常に有用であると考えられる.
  • 野沢 志朗, ウィジャヤ ツォクロ, 新井 宏治, 塚崎 克己, 宇田川 康博, 飯野 孝一, 栗原 操寿
    1985 年 24 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    電子線が試料に入射した時, 細胞内より発生する反射電子を利用して培養細胞内部の所見を, 超薄切片を作成することなく観察し得たのでその方法論および結果について報告する.
    (1) 培養基質としては耐熱耐薬性プラスチック製カバースリップとカーボン蒸着ガラスカバースリップを比較したが, 前者では光顕観察が可能であり, 取り扱いもより容易であった.
    (2) 固定法としてはエタノール単独固定, エタノールおよびオスミウム蒸気二重固定, グルタールアルデヒドとオスミウムの二重固定の3通りの方法を試みたが, グルタールアルデヒドとオスミウムの二重固定法で最も良い像が得られた.
    (3) 上記結果に基づいて観察すると, 超薄切片を作成することなく培養細胞内の核や核小体のほかに, ミトコンドリアやライソゾームやミクロフィラメントのような細胞内小器官の全体像の観察が可能であった.
  • 高岡 聰子, 小松原 利文, 倉山 英生, 信田 重光
    1985 年 24 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    糖尿病, 肝線維症, 動脈硬化などに治療効果が認められているエラスターゼの作用を, 細胞レベルで調べた.
    糖尿病の実験系としては, ラット膵ラ氏島細胞を培養し, その培地中へのインスリン産生量を指標として, エラスターゼ添加の影響をみた.結果は, エラスターゼを添加することによってラット膵ラ氏島のインスリン産生量が著明に促進され, 培地内の糖濃度を高めてもその促進現象は持続した.
    高度にコラーゲン線維を形成するラット肝由来株を, エラスターゼ添加培地で9ヵ月以上培養したところ, その線維形成が強く阻害された.
    培地にツィーン80を添加することにより, 脂肪変性の状態にした細胞を, エラスターゼで短期間処理したところ, 脂肪変性細胞が選択的に剥離した.
  • 福井 巖, 横川 正之, 大和田 文雄, 五十嵐 一真, 当真 嗣裕, 関根 英明, 山田 拓己, 青木 望, 伊東 佐知子, 山田 喬
    1985 年 24 巻 2 号 p. 144-149
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1976年より1983年の8年間における膀胱腫瘍212例について尿細胞診と病理組織像との比較検討を行った.尿細胞診の判定基準としては核異型の程度, 剥離細胞の出現様式および大型悪性細胞の有無などを考慮にいれ, パパニコラウの診断基準に修正を加え新しい分類を作製した.クラスIII, IV, Vにはそれぞれaとbの亜分類を設けた.
    細胞診の分類が高くなるほど悪性度の高い腫瘍の比率が増加した (P<0.005).核異型が軽度ないし中等度で, 主として細胞集団で剥離した移行上皮細胞をみるときクラスIIIとしたが, IIIa (軽度の核異型) とIIIb (中等度の核異型) の間に組織学的背景に差はなく, いずれもgrade1と2の乳頭状腫瘍が多くを占めた.小型悪性細胞のみをみるときクラスIVとしたが, その散在性の剥離細胞 (IVb) は集団状の剥離細胞 (IVa) に比し有意にhigh gradeの癌 (grade3乳頭状癌, CIS, 浸潤癌) の比率が高かった (P<0.01).大型悪性細胞をみるときをクラスVとしたが, 大型悪性細胞が少数 (Va) と多数 (Vb) ではVbに有意に深部浸潤癌の頻度が高かった (P=0.05).このように新しい細胞診の判定基準は膀胱腫瘍の病理組織学的背景の推測に有用であった.
  • 山本 玲子, 野口 左内, 竜田 正晴, 春日井 博志, 岡野 弥高, 和田 昭, 田村 宏
    1985 年 24 巻 2 号 p. 150-156
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肝疾患患者31例 (原発性肝癌17例, 転移性肝癌1例, 良性肝疾患13例), 膵疾患患者23例 (原発性膵癌18例, 良性膵疾患5例) に対して, ヘパリン処理細径穿刺針を用いて, 超音波映像下に腫瘍組織を採取し, ゲル状の卵白アルブミンを用いて組織小片を相互接着し, cell-blockを作製する方法を考案した.
    卵白アルブミンは, 上昇エタノール中で, 急速に凝縮, 硬化し, 包含する組織小片を強力に接着・支持するため, 試料の損失はほとんどみられなかった.
    本法によるcell-block作製率および正診率は肝疾患例はそれぞれ90.3%, 100%で, 膵疾患例ではそれぞれ95.7%, 95.5%であった.
    固定法については, Bouin, Zamboni液固定が, 各種染色への応用範囲が広く, また, グリコーゲン保存には, 2.5%glutaraldehyde液固定が最良であった.
    本法は, 細径穿刺針を用いた腫瘍穿刺材料のcell-block作製法として, 極めて有用な方法と考えられた.
  • 古山 信明
    1985 年 24 巻 2 号 p. 157-164
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大腸擦過細胞診を施行した早期癌22例, 進行癌51例をPapanicolaou染色により細胞学的に検討し, 次の結論を得た.
    1) 大腸早期癌細胞の核の大きさ (長径×短径) は, 進行癌細胞の核の大きさよりも有意に小型であった. 核の形態 (短径/長径) でも両者の問に有意差を認めた.
    2) 進行癌細胞は, 早期癌細胞に比べ核の大小不同が強く, 核構造は多彩で, 核縁の不均等肥厚の率も高く, 核小体の増多が特徴的であった.
    3) 早期癌細胞, 進行癌細胞に腺腫細胞を加え, その核の大きさ, 形態, 分布を検討した結果, 腺腫細胞の核のほとんどが楕円形を呈し, 早期癌では核が細長化して大きくなり, 進行癌に至るとさらに短軸方向へも大きさを増し類円形化するという悪性化に伴う核の変化の過程が推定された.
    4) 細胞診での正診率は, 早期癌91%, 進行癌96%であった.診断成績を向上させるためには, 左半結腸では細胞の読みに注意を払うこと, 右半結腸では細胞採取を十分に行うことが必要である.
    5) 大腸擦過細胞診は, 微小病変や生検の難しい症例では有力な診断法と考えられる.
  • 鈴木 兼一, 宇賀神 作次郎, 西田 一己, 山本 秀伸, 泰野 直, 山田 喬, 正和 信英, 本間 浩一
    1985 年 24 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診, 生検により非乳頭状膀胱癌の1例を見い出した.その細胞像は主として多数の炎症性細胞とともにdyskaryoticな扁平上皮細胞であったretrospectiveに見なおすと, ごく少数の扁平上皮癌を思わせる角化した異型細胞も混在していた.手術的摘出標本の検索により, この癌はごく一部に微小浸潤を伴う上皮内扁平上皮癌であり, その組織像はBowen病を思わせる所見であった.
  • 笹生 俊一, 高山 和夫, 浅沼 貴美子, 阿部 佳子, 小幡 和郎
    1985 年 24 巻 2 号 p. 171-173
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    顎下腺の腺様嚢胞癌が頭蓋内転移を示した報告は見当たらず, また, それがGarcin症候群を示した報告もない.著者らはGarcin症候群が顎下腺腺様嚢胞癌の頭蓋内転移によるものであることを脳脊髄液細胞診で明らかにすることができた例を経験した.本例は, 58歳女性で, 左顎下腺の腺様嚢胞癌摘出2年後に左側多発性脳神経麻痺 (Garcin症候群) が出現した.腺様嚢胞癌の頭蓋底転移を疑って脳脊髄液細胞診が行われ, 癌細胞が検出された.癌細胞の核は, 大型で類円形, クロマチンは顆粒状, やや密で, 核縁はうすく, 平滑であった.核小体は小型, 不整で, 数個みられた.細胞質は淡く豊富であった.
  • 仲間 健, 松井 克明, 伊藤 悦男, 崎原 永敬, 平良 浩章
    1985 年 24 巻 2 号 p. 174-177
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    直腸生検でアメーバ性大腸炎の疑診を受け, 超音波映像下肝穿刺吸引細胞診で赤痢アメーバを証明し, アメーバ (アメーバ性肝膿瘍) と確診された1症例を報告した.
    肝穿刺吸引物の塗抹標本では赤痢アメーバの数が少なく, また, パパニコロー染色ではその検出は容易ではない.他方, PAS染色では赤痢アメーバは強陽性に染まり, 40倍の低倍率で鏡検しても検出することが可能であった.
    肝の穿刺吸引物が茶褐色ないし赤褐色の粘稠で濃厚な液体であればアメーバ性肝膿瘍を疑い, 必ずPAS染色を施し鏡検することが肝要である.
    超音波映像下穿刺吸引細胞診の腫瘍診断における有効性についての報告は散見されるが, 非腫瘍性疾患であるアメーバ性肝膿瘍でもその有効性が確認できた.
  • 岩 信造, 増田 一吉, 由谷 親夫, 今北 正美, 植田 初江, 徳田 良三, 小林 忠男
    1985 年 24 巻 2 号 p. 178-182
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    髄液細胞診で悪性細胞の存在を胃原発の3症例につき証明することができた.その細胞診所見と病理組織学的所見を比較検討した.
    症例1の髄液細胞像は孤立散在性で, 結合性も弱く, 重積性はない.細胞質は青緑色一部空胞形成がみられ, N/C比は大である.細胞径は10~20μ, 核径は12~13μで.比較的小型である.核小体は大きく丸い.症例1については病理解剖を実施し, 胃原発巣を大彎側幽門側に認め, 8×7×2cm大のBorrmann III型の腫瘍であった.組織学的には印環型腺癌であった.電子顕微鏡像は腫瘍細胞間の接合斑はみられず, 腺管形成がみられた内腔に粘液はなく, また, 微絨毛も明瞭でなかった.症例2の髄液細胞診は症例1とほぼ同様の所見を呈した.手術時に大彎側幽門側に直径5cmのBorrmann III型の腫瘍を認めた.組織学的には中等度分化型腺癌の浸潤部位と極めて分化度の低い腫瘍細胞の2つの細胞像が観察された.症例3では, 胃角部, 食道下端にBorrmann IV型の腫瘤の存在を認めた.病理組織診断は印環型腺癌であった.髄液細胞診は症例1および2と同様の細胞像を呈した.症例2および3についてはPAS染色を実施し, 原発巣推定に有用であった.
  • 斎藤 龍生, 土屋 智, 東 正明, 平井 利和, 三瓶 善康, 坂部 子一, 山田 喬, 大久保 幸俊
    1985 年 24 巻 2 号 p. 183-189
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    第1例は, 縦隔洞, 気管支リンパ節などが腫脹し, 胆道閉塞症状が出現した例であるが, 喀痰細胞診で典型的な角化扁平上皮癌細胞が発見されたため, 胆道原発癌と, 肺原発扁平上皮癌の重複癌が考えられた症例である。病理解剖検査の結果, 胆道に原発性腺扁平上皮癌が発生し, 扁平上皮癌の部分のみが, 上記胸部リンパ節に転移し, これから肺実質内に進展した例であり, 原発性肺癌は存在しなかった.
    第2例は気管支洗浄そして気管支ファイバースコープを用いて採取した細胞は腺癌を思わせ, 肺生検材料では, 大細胞癌と診断された例である.病理解剖検査の結果, 肺には原発性の分化型腺癌があり, これとは別に, 腎盂原発の乳頭状の移行上皮癌が肺に転移し, 両者が肺内で一部衝突した例であった.そして生前に採取された癌細胞および癌組織は, いずれも転移性の移行上皮癌由来であることが判明した.
  • 1985 年 24 巻 2 号 p. 229-392
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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