日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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24 巻 , 3 号
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  • 及川 正道, 石岡 国春, 野田 明美, 菅原 登志子, 佐藤 泰, 榛沢 清昭, 武田 鉄太郎, 佐藤 明, 豊原 時秋, 梅津 佳英, ...
    1985 年 24 巻 3 号 p. 403-410
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    高分化肝細胞癌 (HCC) と肝硬変症 (LC) の細胞診による鑑別診断は, ときに困難な場合がある.そこで, これらの鑑別にどのような細胞所見が重要かを知る目的で, 病理組織学的に確認された, HCC7例とLC8例の圧挫塗抹標本について, 各症例100個の細胞を油浸1,000倍の拡大率で観察計測し, 比較検討した.
    その結果,(1) N/C比の増大と核の濃染は0.1%以下, クロマチンの不均一分布は1%以下の危険率でHCCに有意に多く, これらの所見は両群間で最も大きな差がみられた.(2) HCCでは, 核の長径は大きく, 細胞の長径, 短径, 面積は小さく, 粗顆粒状クロマチンが多く, 胞体内空胞は少なく, これらの所見は5%以下の危険率で有意差が認められた.(3) HCCでは, 核の短径, 面積, それらの標準偏差, 核小体の長径と個数, 高度の核形不整, 胞体内顆粒性の低下, 核内封入体は, 大きいかあるいは多く, また, 明瞭な胆汁色素, 2核細胞の頻度は, 少ない傾向がみられたが, これらの所見には有意差がなかった.(4) 核縁の肥厚は両群間に全く差がなかった.
    以上の結果より, 高分化肝細胞癌と肝硬変症の細胞診による鑑別診断には, N/C比, 核染色性, クロマチン分布が最も重要である.
  • 増田 豁, 奥井 勝二, 庵原 昭一, 鈴木 秀, 古山 信明, 花輪 孝雄, 堀中 悦夫, 上村 公平, 土屋 俊一, 塚本 剛, 正岡 ...
    1985 年 24 巻 3 号 p. 411-418
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大腸細胞診のよりいっそうの精度向上のために原点に立ち戻り細胞学的検討を行った. 材料は, 大腸ファイバースコープ下に鉗子生検した塗抹標本であり, Pap.染色, Giemsa染色を施行した. 正常粘膜細胞像: 腺上皮細胞は敷石状できれいであるが, 細胞質境界ははっきりしない. 核は明瞭で, 大きさ12±1μにほとんど分布し, 核小体も90%以上が1個であった. クロマチンは微細で分布均等である. 杯細胞は粘液が十分であり, まとまってみられる. 核は片方に偏在しPAS陽性である. リンパ結節由来の細網系細胞がまとまって確認されることがある. Tubular adenoma細胞像: 舟状細胞がわずかであるが出現する. 正常粘膜細胞と基本的には形態は同じであるが, クロマチンパターンが多彩で, 核の極性不揃い, 重積性が顕著であった. Villous adenoma細胞像: 線維状核, 蛇状核を認める. 短径は約12μであるが, 長径はその5~15倍もありこの疾患の特徴と考えた. 大腸細胞診では, 裸核で, 約50μの大きな細胞が出現する. 悪性細胞と見誤らないよう注意を要する.
  • 大田 喜孝, 伊藤 園江, 広松 晃子, 丸山 正人, 小松 良治, 山本 正士, 入江 康司
    1985 年 24 巻 3 号 p. 419-425
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    川崎病患児の尿中に細胞質内封入体細胞 (intracytoplasmic inclusion-bearing cell, ICIB細胞) が著明に増加することに着眼し, 細胞形態学的検索に加え臨床状態との関連について検討した.
    川崎病43例中40例 (93.0%) に尿中ICIB細胞の出現を認めた.川崎病のICIB細胞のPapanicolaou染色による形態は類円形でライトグリーン淡染性の細胞質を有し, 細胞核は2個のものがより多かった.封入体はおおむねエオジン好性であるが一部ライトグリーンに染まるものもみられ, 電顕的には無構造のelectron dense bodiesとして観察され, 対照としたウイルス感染症や泌尿器系疾患にみるICIB細胞形態と本質的な違いはみられなかった.ICIB細胞数は経病日的に観察を開始した初目がいずれの症例においてもピークを示し, その後急速に減少して行き10病日ごろにはほとんどの症例で10個/ml以下の出現にとどまった.
  • 垣花 昌彦, 大久保 靖, 浦崎 政浩, 野原 キクエ, 福島 範子, 朝隈 容子, 山田 喬, 田中 昇, 池田 栄雄, 岡本 一也
    1985 年 24 巻 3 号 p. 426-439
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    軟部組織の腫瘍の多くは多方向に分化する機能を持つ間葉から由来するので病理組織学的にも多彩な構造をとる腫瘍が多い.このことから細胞診上も種々の問題が生ずる.線維性・組織球性腫瘍に属する悪性線維性組織球腫の細胞診についても現在, 多くの難しさと問題点がある.そこで悪性線維性組織球腫を中心に隆起性皮膚線維肉腫, 線維性組織球腫, 線維肉腫, 偽肉腫様筋膜炎などの細胞像について比較検討を行った.
    線維性組織球腫, 悪性線維性組織球腫の細胞像の基本的な構成は組織球様細胞, 線維芽細胞様細胞, 多核巨細胞, 泡沫細胞からなる.しかし, 組織型や穿刺部位によってはその構成は一様ではなく, ときには1種類ないし2種類の成分しか採取できないことがある.
    また, 現在の診断基準による悪性線維性組織球腫の多くは穿刺吸引細胞像は異型が強いので細胞診断は比較的容易であるが, なかには細胞異型や組織異型で悪性度の決定ができない症例もみられるので, すべての症例を細胞診のみで診断できる段階ではない.臨床所見などを十分に参考にしなければならない.
  • 楠 洋子, 奥平 由美子, 佐々木 政臣, 川端 幸, 福岡 正博, 玉井 精雄, 高田 実, 根来 俊一, 古瀬 清行, 橋本 武志, 河 ...
    1985 年 24 巻 3 号 p. 440-450
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胸部X線上, 肺野末梢の腫瘤状陰影を呈する279例に経皮肺穿刺生検を299回施行した.悪性腫瘍182例中165例 (90.7%) に陽性所見を得た.
    得られた穿刺細胞像は, 原発性肺癌では, 喀痰細胞診や経気管支的擦過細胞診などの剥離細胞像と異なる所見もあり, 詳細に検討した.組織診との一致率は81.1%であった.転移性肺腫瘍では, 穿刺細胞診より大腸癌や腎癌の一部で原発巣推定可能な所見を得た.
    また, 陰性例19例 (延べ21回) についての検討を行い, その原因としては, 壊死物質しか得られなかったこと, 腫瘤の位置による手技的困難なことが考えられた.
    合併症については, 気胸21例 (7.0%), 血痰10例 (3.3%), 胸壁播種2例 (1.0%) であった.
  • 円谷 勝, 中島 孝, 寺崎 武夫, 児玉 哲郎, 下里 幸雄, 樋口 久晃, 上井 良夫
    1985 年 24 巻 3 号 p. 451-456
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺小細胞癌, 肺腺癌および網膜芽細胞腫培養株を用いて, そのLDHアイソエンザイムパターンを酵素細胞化学ならびに電気泳動法により検討した.酵素細胞化学的染色による尿素阻害試験では, 肺小細胞癌培養株7株, 網膜芽細胞腫培養株2株の全例が2.6M尿素に対し抵抗性を示したのに対し, 肺腺癌培養株2株はいずれも2.6M尿素でほとんどLDH活性が失われた.電気泳動法による分析では, 肺小細胞癌, および網膜芽細胞腫培養株はいずれも, LDH分画のIIかIIIにピークを有し, 非常に似たLDHアイソエンザイムパターンを示した.両培養株のM/H比はそれぞれ, 平均, 0.86±0.16と0.92±0.15で, ややH型優位のパターンであった.しかし, 肺腺癌培養株の2株ではLDH分画のIVまたはVが多いパターンを示し, M/H比は1.93, 2.11とM型優位のパターンを示し, 肺小細胞癌や網膜芽細胞腫培養株とは異なっていた.肺小細胞癌培養株のLDHアイソエンザイムパターンは肺腺癌培養株のものとは異なり, むしろ, 神経系腫瘍である網膜芽細胞腫培養株に類似していた.このことは, 神経内分泌系の性格を有するとされる肺小細胞癌の生物学的特性を示すものと考えられる.
  • 伊藤 正美, 宮本 宏, 高岡 和夫, 井上 勝一, 荒谷 義和, 磯部 宏, 堂坂 弘俊, 川上 義和, 遠藤 隆志, 荒川 三紀雄
    1985 年 24 巻 3 号 p. 457-462
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    切除された肺腺癌70例について光顕的に組織亜型分類を行い, 各亜型と予後との関連をみるとともに, 亜型分類と対応する気管支擦過細胞像の特徴について検討した.粘液非産生性気管支表面上皮細胞型: 結合性が強く重積性の浅い細胞集団で胞体辺縁は鮮明であり, 核は中~大で核縁は円滑, 核小体は不明瞭のことが多かった.杯細胞型: 粘液非産生性気管支表面上皮細胞型と似た形態像を示したが, 胞体に粘液空胞を認め, 核小体は不明瞭な例と明瞭な例があった.以上の2型は予後の良好な群であった.気管支腺型: 細胞の結合性は強く重積性が深く, 一部に腺管構造を認めた.核は小~中で核縁は円滑, 核小体は明瞭であった.この型は早期にリンパ節転移をきたし悪性度は高かった.クララ細胞型: 結合性と重積性は多様で, 集団の中心に芯様構造や胞体内に空胞・顆粒を認めることが多く, 核は大で核縁は円滑または不整を示し, 偏在性が強く核小体は明瞭であった.この型は手術時にはすでに微小転移を形成している可能性が高いと考えられた.以上より, 気管支擦過による肺腺癌の細胞形態像から, 腺癌の細胞型別分類を推定し, また予後を推定しうる可能性があると考えられた.
  • 国井 兵太郎, 国井 勝昭, 大橋 洋子, 草苅 裕子, 大宮 善直, 武田 雅身, 根本 啓治
    1985 年 24 巻 3 号 p. 463-471
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    I. U. D.装着症例152例のタッチスミヤ, 子宮内膜吸引スミヤ, 子宮腟部擦過スミヤについて細胞学的検討を行い, 次のような結果が得られた. 1) タッチスミヤ, 吸引スミヤには石灰化小体, 多核組織球が60%前後に認められ, 高度異型細胞は16.5%, 40%に認められた. 2) 腟部擦過スミヤにも石灰化小体, 多核組織球がそれぞれ31.3%, 17.4%にみられ, 高度異型細胞も18.3%と比較的高率に認められることより, 膣部擦過スミヤのスクリーニングに際しては, I.U.D.による異型細胞も一応念頭に置く必要があると思われる. 3) これらの出現率はI.U.D.装着年数と必ずしも相関しなかった. 4) I.U.D.装着者のスミヤの特長として, 次のようなことがあげられる. a) 背景がきれいで, b) 石灰化小体, 多核組織球の出現が多い, c) I.U.D.装着者の異型細胞の特長としては, i) 細胞が比較的小型で出現数が少なく, ii) 重積性, 空胞をもつことが多く, iii) 核縁が不整で, クロマチン粗の割合が比較的高い. また, 鏡検に際しては上記特徴を考慮に入れさらにInformationに注意することが大切であると思われる.
  • 依田 さつき, 椎名 義雄, 飯島 淳子, 沢田 好明, 武田 敏, 川生 明
    1985 年 24 巻 3 号 p. 472-477
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣の良・悪性疾患から得られた細胞標本48例と組織切片65例に酵素抗体法を用いてCarcinoembryonic antigen (CEA) の検出を試み, その診断学的意義について検索した.
    良性例において, 細胞, 組織標本ともにムチン性嚢胞腺腫のみがCEA陽性反応を示し, その局在は分泌側に限られていた.
    悪性例のムチン性嚢胞腺癌では, 細胞, 組織標本ともに細胞質と分泌側に中程度の反応を認めた.一方, 漿液性嚢胞腺癌は組織標本で陰性だったのに対し, 細胞標本では13例中8例 (61.5%) の一部の細胞に陽性反応を認めた.最も強いCEA陽性反応は転移性の印環細胞癌の粘液様部分に一致して得られた.
    したがって, 卵巣腫瘍においてその細胞標本に酵素抗体法を用いてCEAを検出することは可能であり, 良・悪性の鑑別に有効と思われる.
  • 家坂 利清, 井上 浩, 今井 昭満, 名古 純一
    1985 年 24 巻 3 号 p. 478-486
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    人工妊娠中絶術後に出現する異型細胞の起源と形態的特徴を調べる目的で, 妊娠2~3ヵ月の中絶後116例と非妊婦内膜掻爬術後12例の子宮内膜吸引細胞診の検討を行った.
    中絶術後の異型細胞は術後4時間より出現し始め, 4~5日に出現率のピークを形成し, 32日まで認められた.ピーク時には, 100%の検体に異型細胞が出現した.
    これら異型細胞は, 絨毛, 脱落膜細胞の変性に起因するのではなく, 下記の理由で子宮内膜再生細胞と考えられる.
    1.非妊婦内膜掻爬術後にも出現.
    2.再掻爬術後の反復出現.
    3.著明な核分裂に代表される活動核の存在.
    4.異型細胞は, 変性現象では説明の困難な, 特徴ある4期に分けられる.
    換言すれば, 異型細胞の特色ある経時的変遷とは, 再生細胞の子宮内膜修復過程そのものにほかならないと考えられる.
    4期の異型細胞のそれぞれの特徴に従って, 再生細胞を発生期, 分裂期, 成熟期, 退行期の4期に分類した.これらの区分は, 細胞形態学的に有意差をもって可能であった.
  • 椎名 義雄, 飯島 淳子, 依田 さつき, 沢田 好明, 武田 敏
    1985 年 24 巻 3 号 p. 487-493
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診でtrichomonas症と診断された自己採取スミア (103例), 綿棒擦過スミア (98例), 木製スパーテル擦過スミア (95例) で得られたPapanicolaou標本 (296例) を用い, chlamydia感染に特徴的な星雲状封入体 (nebular inclusion=NI) の検出率を比較した.
    1) NIは自己採取 (1.0%), 綿棒擦過 (3.1%) より木製スパーテル擦過 (11.6%) で高率に検出された.
    2) chlamydia感染宿主細胞の55.8%が化生細胞であったことは頸管スミアでNIを検出するために重要な指標となる.
    3) 木製スパーテル擦過で得られたスミア中にはNIばかりでなく多数のchlamydia類似の封入体がみられるが, それはPapanicolaou脱色標本に酵素抗体法を応用することにより鑑別できる. 以上のことから, 出血やコルポスコープにおいて観察不良といった欠点はあるものの, chlamydia感染の診断には木製スパーテル擦過スミアを用いることにより診断の向上が期待できる. そのため, 臨床的にchlamydia感染の疑われる症例では綿棒擦過よりスパーテル擦過が望ましい.
  • 石川 明, 小石川 裕子, 北田 美津子, 岡部 洋子, 早田 篤子, 山内 一弘, 上野 哲夫, 池田 栄雄, 田中 昇
    1985 年 24 巻 3 号 p. 494-499
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮がん細胞診スクリーニング自動化装置CYBEST6-12) の試験的実験応用について, 千葉県対がん協会において, 精密検査被検者を対象として, 細胞診のroutineで使われている綿球と, CYBESTのために考案されたスポンジを用いた細胞採取法との比較, およびその統計的解析を行い, 下記成績が得られた.
    1) 自動スクリーニング装置CYBESTには, スポンジ採取の方が, 不適合標本が少ない.
    2) 組織診にてdysplasia, CISと判定された例に対して, 綿球採取による標本はスポンジ採取のそれに比較して, 低異型に判定される傾向があった.
    3) 異型細胞含有率は, スポンジ採取によるものの方が, 綿球採取のそれに比較して, 高くなる傾向がある.
    以上の成績から, 細胞採取法として, 綿球に比較して, スポンジ使用の方が, より信頼性が高いと考えられ, CYBESTに用いてきたこの採取法が適切であったことが確認できた
  • 長谷川 寿彦, 高橋 峰夫, 秋葉 隆三, 西野 るり子, 佐久間 達朗, 筒井 章夫, 栗原 操寿
    1985 年 24 巻 3 号 p. 500-506
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    狙い組織診により診断された高度異形成上皮245例 (疑癌性異形成上皮を含む) を, 18ヵ月以上細胞診と腟拡大鏡診のみで追跡した. 平均年齢41.0歳, 平均追跡期間56ヵ月であった. 最終追跡結果は進行, 持続, 消失群それぞれ21.2%, 26.9%, 51.8%で, 再発群は20例8.2%であった. 進行群最終18ヵ月の細胞診推移は, 連続して異形成上皮由来細胞以上を認めるもの7.5%, 断続するもの2.5%であった. 18ヵ月以上細胞診有所見症例では45.9%が進行し, 38.8%が持続し, 消失は15.3%であった. 細胞診上高度異形成上皮以上を推定する細胞を18ヵ月以上連続して認められた症例では, 62.5%が進行し, 37.5%が持続し, 消失例は皆無であった. 持続症例中48.5%は細胞診所見が連続し, 51.5%は断続している. 消失例での細胞診陰性化は, 追跡開始1年で77.1%, 1年6ヵ月で87.5%に認められた. 再発症例の追跡結果は37.0%が進行し, 50.0%が持続し, 再消失したのは15.0%であった. 一度でも消失した群での再発率は13.9%であった. 以上の結果より, 高度異形成上皮の管理は, 18ヵ月間経過を観察し, 細胞診上異常が連続する例は治療し, 断続するものは厳重に追跡管理を行うべきと結論する.
  • 伊藤 園江, 大田 喜孝, 広松 晃子, 丸山 正人, 川野 芳朗, 入江 康司
    1985 年 24 巻 3 号 p. 507-512
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は61歳女性, 著明な石灰化小体を伴った胃の内分泌細胞癌を経験したのでその捺印細胞診を中心に電顕像を併せ報告した.
    Papanicolaou標本で腫瘍細胞は管腔様ないし腺房様構造を示す大小の集塊としてみられ, 細胞質はライトグリーン淡染性で狭く, 核は類円形-楕円形で9μ 前後が主体をなすが大型核の混在もみられた.核クロマチンは増量し, 顆粒状を呈し, 小型核小体を1-2個認めた.石灰化小体の多くは腫瘍細胞集塊内に介在してみられ, ヘマトキシリンに淡染し, 大きさは1-50μ までさまざまであった.Grimelius染色では細胞質内に多数の好銀性顆粒がみられ, 電顕学的検索においても100-200nmの神経分泌顆粒を多数認めた.また免疫組織化学反応では腫瘍細胞の一部がα-Fetoprotein陽性であった.
  • 畠 榮, 福屋 崇, 津嘉山 朝達, 中川 定明
    1985 年 24 巻 3 号 p. 513-517
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Von-Recklinghausen 病の17歳男性に伴発したmalignant Triton tumor と思われる症例を経験した
    自験例における捺印細胞像は紡錘形の繊細な細胞質をもつ細胞が多数みられ, これに混在して円形, 多稜形, 長紡錘形あるいは帯状, ラケット状を呈する細胞もみいだされた. 細胞質はライト緑に濃く染まり, 細胞質内にはうずまき状の線維物質あるいは明瞭な横紋構造がみられた. さらに核の偏在傾向とライト緑好性の円形胞体をもったいわゆる横紋筋芽細胞も認められたためTriton tumorの可性能を疑った.
    組織学的には悪性神経鞘腫に横紋をもつ短紡錘型細胞の混在があり捺印細胞診を裏づけるような所見を得た. 本腫瘍はまれな腫瘍であり, これの細胞像および酵素抗体法などもあわせ報告した.
  • 三宅 康之, 植嶋 しのぶ, 広川 満良
    1985 年 24 巻 3 号 p. 518-522
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    副腎皮質腺腫3例の捺印細胞像について報告した.その特徴は次のごとくであった.
    1) 捺印細胞数が多い.
    2) 裸核状に出現しやすい.
    3) 核の大小不同が著しい.
    4) 核クロマチンは細-粗顆粒状で均等に分布する.
    5) 核小体が明瞭である.
    6) 胞体は泡沫状で脂肪空胞を含む.
    7) 核内細胞質封入像がみられる.
    8) リポフスチン顆粒がみられることもある.
    9) 細胞質破壊により背景はびまん性に泡沫状である.
  • 亀井 敏昭, 室谷 里見, 西村 公恵, 永島 郁子, 高橋 睦夫, 山下 吉美, 石原 得博, 岩田 隆子
    1985 年 24 巻 3 号 p. 523-527
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    骨格筋や軟部組織に発生するまれな腫瘍であり, 特徴的な組織像を呈するalveolar soft partsarcoma (胞巣状軟部肉腫) の1症例を経験し, その捺印細胞診所見について検討を加えたので報告する.本症例の細胞所見では, 腫瘍細胞はclusterを形成して認められ, その細胞質内にはPAS陽性の顆粒状物質とともにhematoxylinの色調を示す桿状の封入体がみられた.この封入体はPAS染色陰性であり, 組織切片でみられる本腫瘍に特徴とされるPAS陽性の針状結晶とは組織化学的に反応態度が異なる.しかしながら, 電顕的観察では両者を明確に区別することはできず, 本質的には同様なものと考えられた.本腫瘍の細胞像の特徴としては, 集合性に出現し, 細胞の大きさが径100μ 以上と著しく大きく, 核小体の目立つ大型の核をもつ腫瘍細胞を認めること, また, 腫瘍細胞内にhematoxylinの色調を呈する桿状の封入体を認めること, そしてPAS陽性顆粒を認めることの3点が重要であるということができる.
  • 大岩 孝司, 斉藤 博子, 浜口 欣一, 長嶺 一男, 春日 宏元, 山田 国夫
    1985 年 24 巻 3 号 p. 528-533
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    気管支カルチノイドは悪性度の低い肺癌とされ, 周囲組織への破壊浸潤が少ないこと, 腫瘍細胞は小型で異型性に乏しいことより, 検体の採取の問題も含めてその細胞診断は必ずしも容易ではない.今回TBACにて診断をして切除し得た2例の気管支カルチノイドを経験したので, その細胞診断法を中心に報告した.本腫瘍に対して喀痰細胞診あるいはブラシ擦過法での細胞診断率は, 他の組織型の肺癌に比べて低率である.TBAC法は本腫瘍においても, 腫瘍細胞を多量に採取することが可能で, しかも検鏡に際しては気管支上皮などの夾雑物も少なく, 極めてすぐれた細胞診断法といえる.また本腫瘍の細胞所見の特徴としては,(1) 平面的な配列で結合は疎であること,(2) 細胞質はやや顆粒状を呈すること,(3) 核質は明るく, 核クロマチンは一部凝集を示すが, 核小体は不明瞭なことなどがあげられる.
  • 鈴木 利光
    1985 年 24 巻 3 号 p. 534-538
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胎生期の鰓裂に由来する鰓のう胞は側頸部に出現し, 臨床的には側頸部のう胞としてとり扱われ, まれに癌化することがある.発生する癌は文献上すべて扁平上皮癌であるが, 最近, 粘表皮癌の1例も報告されている.しかしながら, 現在までのところ, 鰓のう胞の良性上皮性腫瘍の記載はいまだないようである.したがって, ここに報告した19歳男子左側頸部の鯉のう胞に認められた乳頭腺腫が最初の症例と思われる.本例の吸引細胞診では孤在性の扁平上皮由来の異型細胞と, ほぼ円形, 均一な細胞からなる軽度重積性の細胞塊とがみられた.組織学的に乳頭腺腫はのう胞の一部に限局し, 石灰沈着, 扁平上皮化生を伴っていたが悪性所見はみられなかった.腺腫の一部は管状でありこの部には酸性粘液が証明された.腺腫以外の部は表層に異型上皮をもつ扁平上皮と, 1~2層の立方上皮に覆われていた.吸引細胞診ではこれらの細胞が出現していた訳である.
    鰓のう胞癌にはこれまで報告されてきた扁平上皮癌あるいは粘表皮癌のみならず, 本例の存在から考えて, 腺癌あるいは腺扁平上皮癌の発生する可能性が指摘された.
  • 太田 博明, 木村 高, 菊池 和子, 藤田 俊之, 野沢 志朗, 秋葉 琢磨, 栗原 操寿, 細田 泰弘
    1985 年 24 巻 3 号 p. 539-547
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    72歳7回経妊経産婦が淡血性帯下および下腹部重圧感を主訴として来院した. 術前反復細胞診では異型細胞は検出されなかったが, 内診所見およびCT-scan像などにより卵巣癌を疑い, 開腹手術を施行した. 術後の病理学的検索にて原発性卵管癌であることが判明した症例を経験したので, その病変部捺印細胞所見・組織所見・電顕所見を報告するとともに若干の考察を加えた.
    1) 従来よりいわれているごとく, 腺癌細胞の同定は可能であったが, 卵管癌の特徴的な細胞所見はみいだせなかった.
    2) 進行例にもかかわらず, 卵管癌の特徴所見といわれている樹枝状構築を示す乳頭状発育を認めたことから, 卵管癌を疑った. その連続切片より, 悪性との移行像ともいうべき所見と病変部が卵巣部よりも卵管部が広範囲であること, 卵管より卵巣への連続性が確認されたことなどにより, 原発性卵管癌と診断した.
    3) 卵管癌の超微形態学的特徴所見とされているultramicroscopic alveolar spaceをみいだした.
    4) 本症例のoriginとして, ciliaおよびsecretory granuleの存在をみいだし得なかったことから, peg cellないしはindifferent cellより発生したものと推察した.
  • 草薙 鉄也, 工藤 隆一, 山内 修, 橋本 正淑, 成松 英明
    1985 年 24 巻 3 号 p. 548-553
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    婦人科細胞診標本に性器外由来の悪性細胞が出現する頻度は, 10万検体に5例から10例程度である.その由来臓器として, 本邦では胃癌が大部分を占め, 乳癌の子宮転移の報告は極めて少ない.今回われわれはこの極めてまれな乳癌の子宮転移症例 (papillotubularcar cinoma with scirrhous type) を経験したので, その臨床経過と剥離細胞診について文献的に比較検討を行い, 以下の結果を得たので報告する.
    乳癌の子宮転移がある場合, 多くは局所再発や他臓器への転移を伴い, 症状として不正性器出血を認める.そのため細胞診では出血性背景を呈することが多い.本症例の細胞像の特徴は, 均一な小型類円形悪性細胞が主としてシート状に小集塊を形成したり, 線状配列を呈して出現し, 核長径8~12μm (平均9.4μm), 核短径6~11μm (平均8.4μm) の小型核で明瞭な1個の核小体を認めることである.この細胞像は原発巣の乳頭腺管癌とは異なり, 間質にscirrhousに浸潤している細胞と一致し, さらに乳癌組織型中, 小葉癌の穿刺吸引細胞診所見と一致していた.以上より子宮へ転移した乳癌細胞は, 病理組織標本で典型的な小葉癌とはいえないが, これに極めて類似した細胞性格を有することが細胞診所見から推測可能であった.
  • 堀 保彦, 工藤 隆一, 寒河江 悟, 岡和田 昌弘, 神谷 博文, 磯松 保史
    1985 年 24 巻 3 号 p. 554-562
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    53歳の婦人に認められたosteoclast-like giant cellを含む子宮癌肉腫について, 剥離細胞像と, 電顕所見を中心に報告した.
    細胞学的には, 紡錘形~線維形の細胞形態で, 円形~類円形の核を有し大小不同が著明で, クロマチンパターンは粗顆粒状, 赤染肥大した核小体を有する細胞, 核が連珠状配列を示す細胞, 巨大裸核, 多核巨細胞, を認め非上皮性由来の腫瘍細胞と診断し, Sarcomaを疑った.しかし組織学的には, 紡錘形~線維形の腫瘍細胞がpalisading arrangementを示し増殖する腫瘍組織内にosteoclast-likegiant cellが不規則に配列するのが認められ, さらに一部に中等度分化型腺癌が認められた.このため非上皮性腫瘍成分としてheterologousなelementから構成される中胚葉性混合腫瘍も想定したが, 特殊染色, ならびに電顕的観察から本症例のosteoclast-like giant cellには平滑筋細胞由来を強く示唆する所見が認められたため, homologousなelementから構成されるcarcinosarcomaと診断した.
  • 大橋 浩文, 畠山 重春, 三浦 妙太
    1985 年 24 巻 3 号 p. 563-569
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    婦人科領域悪性腫瘍中, 極めてまれな原発性卵管癌に性器結核を合併した1症例を経験した.患者は37歳の未産婦で不正子宮出血を主訴とし, 家族歴, 既往歴に肺結核を有す.
    頸管細胞診で腺系の異型細胞が出現し, 子宮内膜細胞診および内膜組織診を施行したが異常を認めず, 左付属器領域に腫瘤を触知したため, 左卵巣癌の疑いで開腹手術を施行した.腫瘍は左卵巣および右卵管に存在し, 術中迅速細胞診にて腺癌と判定し, 単純子宮全摘術兼両側付属器切除術を施行した.術後病理組織所見では右卵管が原発の乳頭状腺癌で, これが左卵管, 左卵巣また子宮へ転移したと推定された.さらに, 両側の卵管および子宮内膜に結核の病巣の併存を認めた.
    頸管細胞診を再検討したところ, 卵管癌由来の悪性細胞と認めた.
  • 佐々木 貴子, 佐々木 寛, 北村 隆, 光永 忍, 土田 正祐, 岩田 正晴
    1985 年 24 巻 3 号 p. 570-574
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは, 淋疾とトリコモナス膣炎との合併の1症例を経験した.
    患者は, 25歳女性, 初診時, 発熱, 下腹部痛, 帯下増加の主訴にて受診.骨盤腹膜炎症状を呈し膣分泌中にトリコモナス原虫, かつ頸管粘液中に双球菌を認めた.そこでグラム染色を行ったところ白血球に取り込まれたグラム陰性球菌を認め, さらにMicrocult GC培養にて陽性であることより, 淋疾トリコモナス合併例と診断した.
    膣スメァ (Pap.染色) では, 細胞質は, 細胞質空胞, 核周囲空胞, 細胞質好酸性化の変化を認め, 同時に核に軽度の変化がみられた.すなわち, 2核, 核腫大, 核小体増加, 核縁不整, 軽度クロマチンの増加が出現した.背景は炎症性細胞特に双球菌を食食した白血球ならびにトリコモナス原虫の出現をみた.
    膣スメァ (Pap.染色) では, 細胞質は, 細胞質空胞, 核周囲空胞, 細胞質好酸性化の変化を認め, 同時に核に軽度の変化がみられた.すなわち, 2核, 核腫大, 核小体増加, 核縁不整, 軽度クロマチンの増加が出現した.背景は炎症性細胞特に双球菌を食食した白血球ならびにトリコモナス原虫の出現をみた.
  • 佐藤 英五, 松信 堯, 長島 義男, 室谷 哲弥, 杉田 道夫, 杉下 匡, 天神 美夫
    1985 年 24 巻 3 号 p. 575-581
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    初診時, コルポ診にて疣贅状に発育した子宮頸部扁平上皮癌浸潤型と診断されたが, 同時に採取された細胞診では, 悪性細胞は認められなかった.初回の病理組織検査においては円形細胞の浸出を著明に認める慢性頸管炎と診断され, 第2回目の深く切除された組織の病理組織検査で, 高分化型扁平上皮癌と診断された極めてまれなverrucous carcinomaの1例を報告する.さらにverrucous carcinomaの細胞診所見の特徴について文献的考察を加え, 検討した.
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