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赤荻 栄一, 村山 史雄, 三井 清文, 遠藤 俊輔, 神山 幸一, 山部 克己, 塚田 博, 船越 尚哉, 小川 功, 石川 成美, 森田 ...
1988 年 27 巻 3 号 p.
337-342
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
11例の早期気管支扁平上皮癌を対象にして, 特に腫瘍の最表層の組織像と擦過細胞像を比較検討した.
全例角化型扁平上皮癌で, 腫瘍の表層は核濃縮した角化型の癌細胞で覆われていた.
この細胞の擦過細胞像は, 核濃縮傾向がありOG好性の細胞質をもつことが特徴で, その核は小型で核縁が肥厚し不整形のものが多かった.
腫瘍の最表層を覆う角化型異型細胞は, 喀痰中に最も剥離しやすい細胞であると思われるので, 早期気管支扁平上皮癌の喀痰細胞診によるスクリーニングにおいては, この核形不整のある濃縮核をもつ角化型細胞に注意することが重要であると思われた.
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小松 彦太郎, 田島 紹吉, 川村 光夫, 佐藤 紘一, 米田 良蔵
1988 年 27 巻 3 号 p.
343-349
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
肺腺癌切除例42例を対象に核内封入体の頻度および形態を細胞診所見, 組織所見, 電子顕微鏡所見について検討し, 核内封入体観察の意義について考察した.
核内封入体は, 細胞診で71%, 組織診で67%, 電顕で76%とかなり高率にみられた. その大部分は, 単に核膜が核内に彎入したもの (偽核封入体) で, 細胞診59%, 組織診40%, 電顕73%であり, 微小管状封入体および微細顆粒状物質のみられるもの (真の封入体) は, 細胞診27%, 組織診40%, 電顕9.8%とやや少ない. 分化度別にみると, 細胞診で高分化32%, 中分化22%, 低分化18%, 組織診で高分化59%, 中分化11%, 低分化27%とあまり差はみられないが, やや高分化腺癌で多くみられた. 真の封入体の起源に関しては不明な点が多いが, II型肺胞上皮型またはクララ型との関係が示唆されており, 予後との関係もみられている.
以上より, 核内封入体を, 切除標本, 気管支生検および擦過細胞診などで観察することは, 組織亜型および予後の推定のうえからも重要であると思われる.
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藤井 雅彦, 石井 保吉, 後藤 昭子, 張堂 康司, 佐久間 市朗, 長尾 緑, 萩原 勁, 加藤 一夫
1988 年 27 巻 3 号 p.
350-355
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
硬癌ならびに小葉癌における細胞学的特徴を明確にすることを目的に, 狭義の硬癌15例, 混合型硬癌20例, 浸潤性小葉癌3例, および対照として良性腫瘍20例 (線維腺腫5例, 乳管内乳頭腫15例) の捺印細胞標本を用いて, 核長径の計測, 核小体所見の比較, 核DNA量の測定を行った.
1. 核長径の平均値は狭義の硬癌で9.7μ, 混合型硬癌で10.0μ, 小葉癌で9.0μ, 良性腫瘍で9.4μであった. 15μ以上の大型核は良性腫瘍や小葉癌ではほとんどみられなかったが, 硬癌, 特に混合型硬癌でいくらか目立つ傾向にあった.
2. 2.5μ以上ないし5個以上の核小体を有する細胞の出現率はそれぞれ, 狭義の硬癌で0.8, 0.1%, 混合型硬癌で1.0, 0.2%, 小葉癌で0.1, 0.03%, 良性腫瘍では0.3, 0.1%であった.
3. 核DNA量については, 混合型硬癌ではモードの4倍体方向への移動, polyploid, aneuploidの細胞増加を示す症例が多数を占めた. 狭義の硬癌ではそのような症例が減少し, 小葉癌ではむしろ分散傾向に乏しく, 4倍体を越える細胞もわずかで, 良性例と類似したヒストグラムを呈した.
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下垂体腺腫の細胞診への応用
森脇 友子, 平野 三重子, 星川 咲子, 田所 衛, 屋代 隆, 新井 基央, 鈴木 卓朗, 牛込 新一郎
1988 年 27 巻 3 号 p.
356-363
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
下垂体前葉細胞がPapanicolaou (以下Pap. に略) 染色でどのように染色されるかを免疫組織化学的に検索し, Pap. 染色による下垂体腺腫の細胞同定が可能であるかを検討した.
各種前葉細胞の細胞質全体はライトグリーン色に染色され, さらに以下のような穎粒の染色性の差が確認できた.
成長ホルモン産生細胞 (GH細胞) ではエオジンY色とオレンジG色の混合色顆粒が密在していた. 副腎皮質刺激ホルモン産生細胞 (ACTH細胞) では茶色穎粒が密在し, 甲状腺刺激ホルモン産生細胞 (TSH細胞), 黄体形成ホルモン産生細胞 (LH細胞) ではヘマトキシリン色の穎粒がまばらに分布していた. 泌乳刺激ホルモン産生細胞 (PRL細胞) ではライトグリーン色のみのもの, エオジンY色とオレンジG色の混合色穎粒がまばらに分布するもの, 密に分布するものの3種類が認められた.S-100蛋白陽性細胞ではライトグリーン色に淡染する傾向がみられた.
以上のことから, Pap. 染色でも下垂体腺腫における腫瘍の構成細胞の同定が, ある程度可能であると思われた.
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三田 健司, 伊佐山 絹代, 兼子 耕, 諏訪 敏一, 大和田 文雄, 竹内 弘幸
1988 年 27 巻 3 号 p.
364-370
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
1978年1月から1985年8月の間に328例の症例に対し, 経直腸的穿刺吸引細胞診を行った. Papanicolaou分類では, Class I・IIが256例, Class IIIが24例, Class IV・Vが48例であった.
これらのうち同時に, 組織診が施行され比較することができた症例は95例であった. 細胞診でClass I・IIと判定された41例中過形成が36例, 癌が5例 (偽陰性率10%) であった. またClass IIIと判定された12例のうち過形成が6例, 癌が6例であった, Class IV・Vは42例あり, 過形成は4例 (偽陽性率9%), 癌は38例であった.
穿刺吸引された前立腺癌細胞を細胞学的異型度から低異型度癌細胞をGrade 1, 中異型度癌細胞をGrade 2, 高異型度癌細胞をGrade 3, の3段階に分類し, 組織学的分化度との比較を行ったところ, 76%の一致率をみた。Grade 1は, 癌細胞の異型度が低く, 過形成細胞との鑑別が困難な症例が多いため, われわれは12のチェック項目について検討を加え, 両者の鑑別を試みた. さらに偽陽性, 偽陰性を示した症例について, 鑑別を誤る細胞診所見をRetrospectiveに検討した.
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杉森 甫, 岩坂 剛, 大塚 桂子, 本田 敦子, 古賀 順子
1988 年 27 巻 3 号 p.
371-374
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
子宮頸部のHPV感染症について細胞学的ならびに組織学的診断を比較検討した.
1. 佐賀県総合保健協会における1985~86年の2年間に取り扱った子宮がん集団検診受診者81,995名のうち, koilocytotic atypiaを示したものは48名 (0.06%) であった.
2. 佐賀医科大学産科婦人科学教室において治療した頸部境界病変41例中, 組織標本に, koilocytosisを認めたものは21例 (51%) であり, 軽度異形成から上皮内癌へと病変が進行するにつれて, koilocytosisの出現頻度は少なくなっていた.
3. HPV感染症の細胞学的表現としてdyskeratosisは組織標本よりも細胞診標本に, koilocytosisは細胞診標本よりも組織標本の方により多く出現する傾向が認められた. したがって, 細胞診におけるkoilocytosisを指標としてHPV感染症を検出しようとすると, その検出率は必ずしも高くなり得ないことが推定された.
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鈴木 正明, 松田 静治, 吉沢 幸子, 安間 嗣郎, 鈴木 節子
1988 年 27 巻 3 号 p.
375-380
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
機能性子宮出血59例について, 子宮内膜細胞診と同時に施行した子宮内膜組織診を比較し, その臨床的意義について検討した.
1. 子宮内膜細胞診にて増殖期型で子宮内膜組織診にて増殖期像を示したものは92%であり, 分泌期像は1例もなかった.
2. 子宮内膜細胞診にて分泌期型で子宮内膜組織診にて分泌期像を示したものは93%であり・増殖期像は1例もなかった.
3. 子宮内膜細胞診にて混合型で子宮内膜組織診にて増殖・分泌期混合像つまり子宮内膜剥脱不全を示したものは25%のみで, 増殖期像が50%, 分泌期像が25%であった.
4. 子宮内膜細胞診で問質細胞集塊像と拡張腺腔形成が組み合わされた症例の87%は腺嚢胞性内膜増殖症であった.
以上のことより機能性子宮出血における子宮内膜細胞診は一般的に予後良好な排卵性分泌期出血か再発傾向があり比較的予後不良な無排卵性増殖期出血かの鑑別に組織診より迅速に診断できるのでそのホルモン療法をするうえで有用であると思われる. また腺細胞および問質細胞の量的・形態学的変化から腺嚢胞性内膜増殖症を予測することはある程度可能であると考える.
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高村 邦子, 葉 清泉, 蓮尾 泰之, 有松 直, 田中 博志, 薬師寺 道明, 加藤 俊
1988 年 27 巻 3 号 p.
381-387
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
婦人科細胞診は出現する細胞や背景から組織病変の推定診断まで求められるようになり, 細胞診の果たす役割も非常に大きく, キメ細かい診断を行うには判定に十分な細胞を採取する必要があることは論ずるまでもない. 細胞採取の時点で診断が大きく左右されるため, 従来の採取法で満されない点,(1) 細胞が器具に接着しやすく, 採取された細胞を損なうことなくスライド面に載せることができる,(2) 上皮を必要以上に損傷することなく目的の細胞を採取できる.(3) サンプリングエラーによる偽陰性の解除, を満足させる採取器具が要求される. そこでわれわれは従来法cotton swabと新しい採取器具Cyto-Pickを当科外来患者60名を対象同時に使用し, その作成標本の評価および正診率, コルポスコピーへの影響などについて比較検討し, 次の結果を得た.
1. Cyto-Pickはcotton swabより細胞量が豊富で保存性, 染色性, 頸管円柱上皮細胞の出現量も多い.
2. 最終診断との一致率はCyto-Pick 75%, cotton swab 74%と差はなく前者にover diagnosis (20%) の傾向がみられたが, under diagnosisは少なかった.
3. Cyto-Pickによる細胞採取後の肉眼的出血は62%に出血を認めず, 33%に微量出血がみられ, 明らかに出血した残り5%は浸潤癌で, 易出血状態であった. ゆえにコルポスコピーの観察に支障はなかった.
以上のことからCyto-Pickはよい標本の作製に役立ちコルポスコピーの観察に支障をきたさず, 診断精度も勝るとも劣らず, 婦人科細胞診の向上に有用であると思われた。
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その捺印細胞像
山口 潤, 小泉 直美, 若原 幸枝, 塩崎 正樹, 長内 忍, 永井 達夫, 塩野 恒夫, 佐藤 昌明, 水無瀬 昂
1988 年 27 巻 3 号 p.
388-392
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
比較的まれな肺良性腫瘍である, いわゆる硬化性血管腫の1例を経験し, 腫瘍割面の捺印細胞診により細胞像を観察しえたので報告する.
症例は52歳女性, 右肺S5に発生した孤立性腫瘤で, 硬化性血管腫と診断された. 組織学的には立方状の細胞が乳頭状に増生し, 腔を形成していた. これに接してやや明るい胞体を有する細胞が充実性に増生していた. 一部では. 血管腔様空隙が認められこの内腔面は上皮様細胞で覆われ硝子化した結合組織で囲まれていた. 捺印細胞診では泡沫細胞と肥腔細胞が孤立散在性に存在し, 立方状細胞も集塊状に認めた. また紡錘形細胞を芯として, これに沿って上皮様の細胞が単層ないし多層状に乳頭状配列を示している集塊も観察された. これらは細胞診で本症を診断するうえで有力な所見であると考えられた.
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佐藤 之俊, 都竹 正文, 土屋 永寿, 翁 秀岳, 平田 守男, 原島 三郎, 松原 敏樹, 中川 健, 木下 巌
1988 年 27 巻 3 号 p.
393-398
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
術前経皮的針生検スメアにて診断しえた肺硬化性血管腫の1例を報告する. 患者は胸部異常陰影を指摘された60歳女性. 経皮的針生検スメアにて得られた細胞像は次の4種類に分けることができた.
1) 腫瘍の乳頭状部分の被覆細胞と考えられる1層ないし多層のリボン状配列を示す異型に乏しい肺胞II型上皮細胞類似の細胞群.
2) 腫瘍の主体といわれる淡明細胞に相当する, 核のやや小型で未分化な細胞群.
3) 硬化性部分に存在する間質系細胞と考えられる, 紡錘形の核をもつ細胞群.
4) 組織球の出現. 一部にヘモジデリン貧食像がみられた.
以上のような特徴的細胞像より術前に肺硬化性血管腫と診断し, これらの細胞像は手術摘出材料の病理組織学的所見とよく一致した.
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松尾 武, 梶原 義史, 岩崎 啓介, 木下 真吾, 柴田 正則, 牛尾 利裕, 川田 信吾, 五反田 照三
1988 年 27 巻 3 号 p.
399-403
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
悪性胸腺腫の約1/3は気管や肺に浸潤するが, 肺細胞診で腫瘍細胞を認めた報告はきわめて少ない. われわれは胸腺癌と思われる症例で, 気管支ブラッシングと喀痰の細胞診に腫瘍細胞を認めた.
症例は47歳, 女性. 胸部X線写真と胸部CTにて右前上縦隔に腫瘤と肺野の小円形腫瘤がみつかり入院. テレコバルト療法にて一時縦隔腫瘤は縮小したが肺野の腫瘤の増大と血疾の出現にて再入院. 気管支ブラッシングと喀痰の細胞診が陽性となった. 肝転移も発見され死亡, 剖検された.
気管支ブラッシング細胞診で腫瘍細胞は緩い結合性を示し, 紡錘形でN/C比大・核は不整形で核質は粗網状. 喀痰細胞診では高度の壊死と多核白血球を背景として, 大型多角形の腫瘍細胞が散在性にみられ, N/C比大. 核は大小不同で不整. 核質は粗顆粒状で1, 2個の核小体がみられた. 剖検病理所見では異型性の著しい腫瘍細胞が大小不整の胞巣に分けられ, 胞巣中心部に壊死がみられた. 電顕所見も合わせ胸腺癌と診断された. 本例では肺大細胞癌との鑑別が難しいが臨床的所見や放射線診断が確定診断の重要な助けとなった.
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九島 巳樹, 宮島 仁, 小室 ヨシ子, 小倉 享子, 風間 和男, 関谷 雅博, 津田 祥子
1988 年 27 巻 3 号 p.
404-408
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
末梢血液中に白血病細胞が出現する以前の膣細胞診および子宮筋腫で摘出された子宮の組織標本に白血病細胞を認め, 3ヵ月後に末梢血液中にも白血病細胞が出現し, 骨髄生検などにより急性骨髄性白血病と診断された非常にまれな症例を報告した.
52歳女性, 50歳で閉経. 昭和61年10月9日, 他医にて子宮筋腫の診断で単純子宮全摘術を受け, 組織診で「小円形細胞肉腫」とされた. このときの術前の膣スミアおよび内膜スミァを見直すと組織標本と同様の異常細胞があった. 同年12月24日当院産婦人科入院時の膣断端スミァに穎粒球系由来と思われる異常細胞を認めたが, 末梢血液像は昭和62年1月7日まで異常なかった. 昭和62年1月9日以降, 末梢血液中に骨髄芽球がみられ, 同年1月20日の骨髄穿刺で白血病細胞の増殖が確認された. 1月23目死亡したが, 剖検は行っていない.
膣スミアは末梢血液中に白血病細胞が出現する以前に施行したもので, 穎粒球系由来と考えられる白血病細胞を多数認め, 核は類円形~楕円形, N/Cは大, 核内クロマチンは変性のため不明瞭だが, 1~3個の核小体を認めるものもあり, 細胞質は類円形, 一部裸核状や紡錘形であった. 摘出子宮にはASD-クロロアセテート・エステラーゼ陽性, LCA陰性の白血病細胞の浸潤が子宮頸部を中心に一部子宮体部にもみられた.
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岡崎 恵子, 上妻 喜勝, 松能 久雄, 小西 二三男, 武川 昭男, 紺田 進, 中村 忍
1988 年 27 巻 3 号 p.
409-413
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
症例1では, 腹水中に巨大異型細胞を認めたが, Papanicolaou染色上その細胞質は繊細な網状で, 中心部は好酸性に染まり, 辺縁部は好塩基性に染まった. 核は偏在性で, 多核あるいは過分葉を示した. 核縁は薄く, クロマチンは繊細, 網状で一部に凝集塊を認めた. また, 細胞質が乏しく, 核中心性で渦巻状を呈する細胞もみられた。May-Giemsa染色で骨髄巨核球であることが確認された.
Papanicolaou染色においては, 癌細胞やReed-Sternberg巨細胞, その他の肉腫細胞との鑑別が必要となる症例であった.
症例2では, 小型の異型細胞が散在性に多数認められたが, Papanicolaou染色では細胞質は乏しく, 裸核に近いものもみられた. 核は類円形で, 核縁は薄く, クロマチンは繊細で濃染していた. 核小体も認められ, 分裂像も散見された. May-Giemsa染色では, これらは顆粒球系および赤芽球系のさまざまな成熟段階の細胞であることが確認された. Papanicolaou染色においては, 悪性リンパ腫との鑑別が重要と考えられた.
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その捺印細胞像を中心に
福田 正彦, 清水 一, 枝川 聖子, 片山 博徳, 山本 泰一, 沓沢 菊雄, 大網 弘
1988 年 27 巻 3 号 p.
414-418
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
副腎皮質癌はまれな腫瘍で, 全腫瘍中0.17%を占めるにすぎない. また本腫瘍は内分泌活性型と非活性型があり, 前者は分泌されるホルモンによりいろいろな臨床症状を呈するが, 後者は腹部腫瘤のみで他は不定愁訴の場合が多い. 今回われわれは両側下肢の浮腫のみを主訴とし, 画像診断で後腹膜腫瘍が疑われた38歳男性の内分泌非活性型副腎皮質癌の1剖検例を経験したので, その捺印細胞所見を中心に若干の文献的考察を加えて報告する. 捺印標本上の腫瘍細胞はルーズな結合性を有し, その形態は不整形で細胞および核ともに大小不同が強く, クロマチンはやや増加し穎粒状不均等分布していた. ほとんどの腫瘍細胞は核膜と細胞膜が一部で接し, 核の偏在傾向がみられた. また核分裂像や腫瘍細胞の壊死なども散見された. 組織所見では小血管から放射状に索状配列を示し, 副腎皮質類似細胞からbizarreな細胞までの多様性がみられた. 免疫組織化学的にはVimentinが胞体内に陽性を示した. 電顕所見ではsteroid合成細胞の特徴である豊富な細長い管状の滑面小胞体, 絨毛状クリステをもつミトコンドリアが観察され副腎皮質細胞として矛盾しないと思われた.
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安達 博信, 八島 正司, 前田 直人, 永見 光子, 松井 克明, 西田 秀樹, 宮川 征男
1988 年 27 巻 3 号 p.
419-422
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
尿膜管癌はまれな腫瘍で, 病理組織学的には粘液産生性腺癌が多いが, 詳細な細胞診的報告は少ない. また, 免疫細胞化学的および免疫組織化学的に検討した報告も少ない. 今回, われわれは血清CEA高値を伴う尿膜管癌を経験し, 免疫化学的に検討したので報告した.
症例は57歳女性. 血尿を主訴とし, 膀胱鏡で頂部に小指頭大, 有茎性非乳頭状の腫瘍を認め, CT scanでは膀胱頂部から前壁にかけて壁内および壁外に発育する腫瘍を認めた. 洗浄尿で認められた腫瘍細胞は類円形で粘液空胞をもち, クロマチンに富む核と小型の核小体を認めた. 組織学的には乳頭状腺癌で, PAS, Alcian blue染色陽性の粘液産生像を認めた. また, 免疫細胞化学および免疫組織化学的検討で腫瘍細胞はCEA陽性であった.
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特にその細胞像について
譜久山 當晃, 松井 武寿, 江良 英人, 松沢 真澄, 田久保 海誉, 高山 昇二郎
1988 年 27 巻 3 号 p.
423-427
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
62歳, 女性の子宮体部原発の悪性線維性組織球腫 (MFH) を経験したので, その細胞像を中心に報告する. 約1ヵ月前からの不正性器出血を主訴とし, 当センター婦人科を受診した. 体部肉腫を疑い, 広範性子宮全摘術を施行した. 術後6ヵ月目に, 胸部X線検査で肺転移を認め, 化学療法を行ったが, 術後11ヵ月目に, 全身転移で死亡した. 術前の細胞診所見としては, 線維芽細胞様細胞, 組織球様細胞, 単核および多核の異型細胞を認めた. 線維芽細胞様細胞は, 異型の弱いものから強いものまで存在し, 少数出現していた. 小型の核異型の乏しい組織球様細胞は, 高頻度にみられ, また単核および多核異型巨細胞は, 多数出現し, それらの一部は細胞質内に, 貧食能を示唆する黄緑色の顆粒状物質を認め, 鉄染色陽性で, ヘモジデリン顆粒と思われた. 病理組織学的所見としては, 線維芽細胞様細胞を主体とし, 組織球様細胞, 単核または多核巨細胞が混在し, storiform patternを認めた. 電顕的にもMFHを支持する所見が得られ, 酵素抗体間接法で, α1-antichymotrypsin, S-100蛋白染色陽性であり, MFHを支持する所見であった. 子宮体部細胞診において, これらの臨床細胞学的所見が存在するときには, まれであるがMFHの存在を考慮する必要があると思われた.
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山田 喬, 渡辺 覚, 浜島 秀樹, 藤本 恭士, 佐藤 豊彦, 佐々木 英夫
1988 年 27 巻 3 号 p.
428-429
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
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須田 耕一, 茂垣 雅俊, 石井 喜雄, 中澤 久美子, 弓納持 勉, 早川 直美, 小山 敏雄
1988 年 27 巻 3 号 p.
430-431
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
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萩本 美都子, 坪井 多恵, 田中 房代, 松田 実
1988 年 27 巻 3 号 p.
432
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
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富松 功光, 杉田 直道, 林 恵子, 寺田 督, 西田 悦郎
1988 年 27 巻 3 号 p.
433-434
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー
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岩 信造, 田原 義孝, 植田 初江, 今北 正美, 由谷 親夫, 伊藤 信也, 尾蔵 美樹, 吉原 渡
1988 年 27 巻 3 号 p.
435-436
発行日: 1988/05/22
公開日: 2011/11/08
ジャーナル
フリー