日本臨床細胞学会雑誌
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27 巻 , 6 号
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  • 竹村 正, 小笠原 忠利, 武田 守弘, 植松 邦夫, 山本 格士, 小川 隆文, 平良 信弘, 鳥居 良貴, 岡村 義弘, 三村 雅子
    1988 年 27 巻 6 号 p. 829-834
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体癌亜型の中, 予後が不良とされるserous adenocarcinoma 4例を経験したのでその細胞像と組織像につき若干の文献的考察を加えて報告する. 子宮内膜スメアで, 悪性細胞はその特徴的な細胞異型および乳頭状配列を示し組織構築を反映した. 加えて細胞標本でも組織標本でも, 硝子小球体が胞体内外に認められた. 従来serous adenocarcinomaの手掛かりとされている砂粒体が認められなくても, この硝子小球体がこの亜型の診断の手掛かりとなることが示唆された. 4例中, 2例はclear cell carcinomaとの移行が認められserous adenocarcinomaとclear cell carcinomaとの共通の組織発生が示唆された.
    われわれの経験ではこの亜型の予後がきわめて不良であったことから, 主治療前に分化型腺癌と正確に鑑別することが重要であり, また手術療法には大網切除を併せ行うことが望ましい.
  • 福田 耕一, 岩坂 剛, 蜂須賀 徹, 林 嘉信, 杉森 甫, 次富 久之, 武藤 文博
    1988 年 27 巻 6 号 p. 835-841
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    主に子宮頸癌の放射線治療施行例に対しBromodeoxyuridine (BrdU) を投与し, 抗BrdUモノクローナル抗体を用いDNA合成期細胞 (S期細胞) を免疫組織化学的に検出しBrdU標識率 (L.1) を求め照射効果との関連性を検討した. 今回のpilotstudyではBrdUを直接腫瘍部に局注し, 局注部位より細胞および組織標本を採取し, 酵素抗体法によりS期細胞を検出した. 研究対象となったのは子宮頸癌15例, 子宮体癌1例, そして膣癌1例の計17例であり, いずれも初回照射例である, 結果は照射前の細胞組織標本で多数のS期細胞を観察したが照射効果の出現に伴いS期細胞の減少がみられた. また放射線抵抗性を示した頸癌の1例では照射中多数のS期細胞を認めた. すなわち照射前に比し照射中BrdUのL. 1の減少は腫瘍のproliferativepotentia1の低下を反映しており, 照射効果との相関が十分示唆された. 以上BrdUの細胞組織化学的研究は頸癌放射線感受性の判定の一助となると考えられ, 特に細胞診レベルでS期細胞を検出し得たことは簡便であり, 将来臨床面での有用性が期待される.
  • 佐藤 重美, 高村 郁世, 桜庭 厚, 棟方 まろみ
    1988 年 27 巻 6 号 p. 842-848
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    昭和51年から昭和60年までの10年間に, 青森県成人病予防協会で取り扱った, 子宮頸腔部スメア463, 484件の中から, 異常を認め精査の結果, 子宮外原発腫瘍と診断された43例にっいて, 臨床的, 細胞診断学的検討を行った.
    1. 子宮頸膣部スメア標本上に異常を認めた子宮外腫瘍の割合は, 463, 484件中43例で0.0093%であった.
    2. 原発臓器としては, 子宮外性器が21例, 性器外臓器が22例で, ほぼ半々であった. 性器の中では卵巣が19例, 卵管が2例であった. 性器外臓器では, 胃が8例と最も多く, 次いで結腸が6例, 泌尿器が4例, 乳腺が3例, 不明が1例であった。これらのなかで子宮に転移があったものは23例で, 転移のなかったものは9例であった. 残りの10例は不明であった.
    3. 細胞診断上, 腫瘍性背景がみられたものは30例と多く, みられなかったものは13例にすぎなかった. これは子宮転移例が多かったためと考えられるが, 原発臓器の推定には子宮転移のないものの方がしやすかった.
    4. 頸膣部スメアに出現する腫瘍細胞は, 原発臓器に特徴的なものもみられたが, 一般的にはかなり困難と思われた.
  • 関口 勲, 鈴木 光明, 玉田 太朗
    1988 年 27 巻 6 号 p. 849-854
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部腺および扁平上皮癌を対象に, human keratin protein (ケラチン) の局在を正常頸部上皮をコントロールとして, 免疫組織化学的に研究した.
    正常頸部腺上皮では, ケラチンは腺上皮に一様な染色性を示し, 細胞内局在はbasa1およびbasolatera1側の細胞質に認められ, apica1側はほとんど陰性であった. これに対して, 頸部腺癌では個々の腺, また細胞間で免疫活性にばらつきがみられ, モザイク状の染色パターンを示した. また細胞内局在ではbasalおよびbasolateral側のみならず, apica1側の細胞質にも局在がみられた. 正常扁平上皮ではケラチンは表層から中層の細胞に局在し, 傍基底層の一部および基底層の細胞では陰性であった, これに対して, 扁平上皮癌では正常扁平上皮に比べ全体的に染色性の低下がみられ, また組織型別では非角化型に比べ角化型癌に強い免疫活性が認められた.
    一方, 細胞診を対象とした研究でも, 組織で観察された所見と同様のケラチンの局在様式の変化が認められた. これらの結果は, 癌化に伴い細胞骨格にも大きな変化が生ずることを意味するとともに, ケラチンの免疫細胞化学的染色が癌, 特に頸部腺癌の細胞診断の一助になりうることを示唆した.
  • 藤井 美穂, 工藤 隆一, 森若 治, 高階 俊光, 木村 滋子, 小田 由起子
    1988 年 27 巻 6 号 p. 855-859
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣癌症例37例中29例に対しsecond look operation (以下SLO) を施行し, SLO時の腹腔内洗浄細胞診の意義について検討した. SLO時残存腫瘍がみられたのは18例 (62.1%) で, 5年生存率は5.5%(1/18) であった. 肉眼的および組織学的に癌組織を認めなかった11例 (37.9%) の腹腔内洗浄細胞診成績は, 陰性例9例, 陽性例2例であった. 陰性例9例の5年生存率は77.7%(7/9) であり, 陽性例は2例とも5年以内に死亡した. 抗癌剤有効例では抗癌剤投与前は腹水細胞診において多数の細胞集団が観察されたが, シスプラチン腹腔内投与後は細胞集団が著明に減少するとともに細胞集塊は小型化し, 集積性はやや弱まり平面的になった, さらに癌細胞は変性所見を示唆させる形態学的変化を示し, SLO時残存腫瘍はなく, 腹腔内洗浄細胞診でも陰性であり予後は良好であった. 癌細胞の早期の減少は抗癌剤の反応および予後を判断する上での重要な指標と考えられるとともに, SLO時の腹腔内洗浄細胞診は残存腫瘍のない場合, その症例の予後をみる上で非常に有用であると推測された.
  • 千綿 教夫, 杉下 匡, 石田 礼載, 今井 博, 佐藤 伸子, 福富 毅, 渋谷 賢一, 天神 美夫
    1988 年 27 巻 6 号 p. 860-867
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    CISを合併せる子宮頸部HPV感染症で, コルポ診, 細胞診, 組織診の3者によって全経過を追跡しえた3例について, 経過中の細胞診所見を検討した. 同時に参考としてsevere dysplasiaを合併せる4例を観察した.
    1. CIS例: 年齢は42~46歳, 平均44歳, 観察期間は最短4ヵ月, 最長2年2ヵ月, 平均1年4ヵ月, 細胞診でmoderate/severedysplasiaと確認された後, 組織診でCISと診断されるまでの期間は最短4ヵ月, 最長1年8ヵ月, 平均11ヵ月であった.
    severedysplasia例: 年齢は36~38歳, 平均37.3歳milddysplasiaよりsevere dysplasiaまでの期間は4ヵ月~2年3ヵ月, 平均1年5ヵ月であった.
    2. koilocyteの出現は不定であったが, dyskeratocyteは経過中比較的安定して認められた. 2核, amphophilia, eosinophilic back ground, giant cellなどは経過中一定した所見を示さなかった.
    3-HPV感染症単独およびmilddysplasia合併例にしばしば認められる症例毎に経過中特徴的に出現する比較的恒常的な所見は, CIS合併例ではもはや明瞭には認めることはできなかった. 核の異型転換は経過中と異なりきわめて顕著で, 子宮頸部HPV感染症の本質的な病態の変化を細胞診上に予測せしめた.
  • 永井 宣隆, 木岡 寛雅, 勝部 泰裕, 上馬場 是美, 藤原 篤
    1988 年 27 巻 6 号 p. 868-874
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    外陰尖圭コンジローマの細胞診, 組織診の検討に加えて, ヒトパピローマウィルス (以下HPV) DNAの局在をビオチン標識したHPVDNAプロー-ブを用いて, 分子生物学的手法の1つであるDNA-DNAinsituハイブリダイゼーションから検索した.
    1. 外陰尖圭コンジローマの細胞診所見は, 核はほぼ正常でときに2核を有し, 細胞質は類円形か紡錘状でオレンジG好性のdyskeratotic cellが多く観察されるのに対し, koilocytosiの出現は少なかった.
    2. 今回, 検討した尖圭コンジローマ16例中15例 (93.8%) にHPV DNAが検出され, HPVDNAは細胞診, 組織診ともに主にkoilocytosisの核に検出された.
    3. HPVタイフ. 別では, 単独感染が9例みられ, 6型が16例中7例 (43。8%), 11型が16例中2例 (12.5%) であった. また6例 (37.5%) にHPVの混合感染を認め, 6例全例が6型+11型を含んでいた. そして6型と11型に加えて, 16型陽性を3例, 18型陽性を1例認めた.
    以上, insituノ・イブリダイゼーションの応用から尖圭コンジローマの細胞診, 組織診におけるHPVDNAの局在分布と, 感染したHPVタイプ分類が可能となり, 従来の細胞診, 組織診に加えて予後推定の指標となる可能性が示唆された.
  • 中林 洋, 高成 秀樹, 矢谷 隆一, 坂倉 康夫, 野田 雅俊, 白石 泰三, 伊藤 忠弘
    1988 年 27 巻 6 号 p. 875-881
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大唾液腺腫瘍の31例について, 組織像と対比し, 細胞診による組織型診断, 分化度判定の可能性を検討した. 多形腺腫では, 上皮性成分とともに問葉系成分が認められ, 後者は多染性を示す細線維状の基質を伴っていた. また, 筋上皮細胞の出現は, 多形腺腫に特徴的な所見と考えられた. Warthin腫瘍では, oncocytesと背景に多数のリンパ球が認められれば, 診断は比較的容易と考えられた. 腺様のう胞癌では, 球状の粘液塊を取り囲む小型細胞がみられ, 組織学的に分化度の低い例には, 細胞像でも高度の異型性が認められた. 粘表皮癌では, 表皮様細胞と粘液産生細胞がみられ, 大型の粘液産生細胞からなる球状の細胞集塊がみられる例もあった.
    上記のように, 各々の組織型を示唆する特徴的な細胞集団と細胞所見を呈する例では組織型の推定が可能であり, 腺様のう胞癌では, 細胞異型度と組織学的分化度がよく平行する結果が示された. 本報告は術中腫瘍割面の塗抹標本を基としているが, 穿刺吸引細胞標本でも6例中5例において組織型を推定し得た. 今後, この臓器の解剖学的位置から考えて, 穿刺吸引細胞診が適応される臓器の1つになると思われる.
  • 阿部 庄作, 中島 功雄, 小倉 滋明, 牧村 士郎, 川上 義和, 荒川 三紀雄, 遠藤 隆志, 清水 幹男, 井上 和秋
    1988 年 27 巻 6 号 p. 882-886
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診で肺小細胞癌細胞と判別しがたい低分化扁平上皮癌8例を, Neuronspeci且cenolase, Keratinに対する抗体を用いて免疫組織染色を行い, その染色性と臨床像について検討した. NSEのみ強陽性の症例は3例, Keratinのみ強陽性の症例も3例, NSEとKeratinがともに陽性のものは2例であった. NSEが染色される腫瘍の増大率は, Keratinのみ陽性の腫瘍の増大率に比して有意に高く (P<0.05), 患者の予後も不良であった (P<0.05). NSEが強く染色される低分化扁平上皮癌は臨床的悪性度も高く, 肺小細胞癌の性格を有する腫瘍と考えられた.
  • 佐竹 立成, 今井 律子, 夏目 園子, 新福 正人, 平野 みえ
    1988 年 27 巻 6 号 p. 887-893
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1. 良性病変として手術切除された184例の胆嚢のうち早期癌3例を含む4例の胆嚢癌が発見された. このうち3例には術中迅速スタンプ標本が作製され, いずれも腫瘍細胞が認められた. この方法は術中での, 早期を含めた胆嚢癌の発見のために有力な方法と考えられる.
    2. 胆汁細胞診よりスタンプ標本の方が確実に上皮細胞が採取され, スクリーニングを含めた細胞診断がより容易に行えると思われる.
    3. 肉眼的にほとんど異常を認めない胆嚢でも細胞診標本中に癌細胞が認められた場合は, 切除断端や胆嚢壁の迅速組織標本を作製する必要がある. 癌の進展度や深達度を調べ, 適切な外科的処置を行う必要があるからである.
  • 栗田 宗次, 杉浦 孝彦, 布施 清子, 奥田 克子, 蒲 貞行, 黒木 須雅子, 佐藤 初代, 小池 孝一, 鈴木 亮而, 須知 泰山
    1988 年 27 巻 6 号 p. 894-897
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    びまん性多形細胞型リンパ腫はしばしば病因としてATLウイルスの関与が認められ, 表面抗原CD3, 4を有しhelperT細胞由来である症例が多いが, 一部にATLウイルス感染の認められない例や, 表面抗原CD3, 8を有しsupPressorT細胞を示す例も認められる. 今回, 画像解析装置Magiscan2を用い, 本症15例のリンパ節捺印Papanicolaou染色標本における各例200個のリンパ球系細胞の核径, 核面積, 核周長, 核円形度を計測し, ATLA抗体, 表面抗原との関係を検した. ATLA抗体の陽性例に比し陰性例は核円形度が大きいことが認められた. 表面抗原のCD4陽性例に比しCD8陽性例は核が大きく核円形度は小さいことが認められた. CD3の陽性例に比し陰性例は核が大きく核円形度は小さいことが認められた. BLA-DRの陽性例と陰性例との間には核の大きさ, 円形度に差異はみられなかった. すなわち, ATLウイルス感染の有無や細胞由来により核計測値の異なることが推測された.
  • 入江 砂代, Fritz Lin, Marilee Means, Marilyn Davis, Susan Cook, Maureen E. ...
    1988 年 27 巻 6 号 p. 898-903
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    前立腺の経直腸的穿刺吸引細胞診を施行, 同時に病理組織診断が明らかとなった94例につき, 前立腺肥大症例および癌例の分化度別にみた細胞学的特徴を観察し以下の結果を得た.
    前立腺肥大症では中~ 大型のシート状集団として出現, 細胞質豊富で境界明瞭である. 核は平均6.8±0.71μmと小型で大小不同に乏しい. 核小体の出現頻度は26%と低く, 小型で不整形のものがみられた. 一部, 炎症性病変をともなった例において異型細胞の混在をみた.
    癌例では重積性集塊が出現, 腺腔様配列も頻出し, 分化の低下とともに結合性も緩くなり孤在細胞が混在する. 核は平均8.63±1.26μmと大型となり, 分化度別には高分化型8.15μm, 中等度分化型8.60μm, 低分化型9.36μmと低分化になるに従い大型化を示していた. 核小体は類円形のものが多く, 大きさ1<μm以上が85%を占め, 低分化型になると2<μm以上が61.7%と大型化する傾向にあり, 核小体が類円形で2μm以上の場合, 癌の可能性がきわめて高いと考えられた。癌3者間の分化度別特徴については細胞の出現状態, 個々の細胞の詳細な観察により病理組織像に近い診断が得られるものと考えられ, 穿刺細胞診の前立腺領域への適用は有用であると考える.
  • 上井 良夫, 中嶋 玉恵, 坂井 義太郎, 松岡 規男
    1988 年 27 巻 6 号 p. 904-909
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮癌細胞診自動化の観点から, 神奈川県予防医学協会の子宮癌集検 (受診者157,903名) で発見された138名の癌症例-頸癌137 (0期54, 1期64, II期11, III期2, 不明6), 体癌1の頸部綿棒擦過スミアを検討した.
    癌細胞と軽度異形成以上の異型細胞 (癌・異型細胞) を出現様式により遊離状, シート状, 集塊状に分けると, 病期の進行とともに遊離, シート状の癌・異型細胞が増加し, かつ, 癌・異型細胞集塊も増加する傾向がみられた. 遊離状, シート状の癌・異型細胞合わせて30コ未満の症例は14例 (0期6, I期6, II期1, 不明1) であった (最少数の症例は3コ). この中, 癌・異型細胞集塊をも認めなかった症例は10例 (0期6, 1期2, II期1, 不明1) であった. Papanicolaou染色標本の画像解析による細胞診自動化に際して, 一定数以下の癌・異型細胞しか存在しない症例は, 判定の対象から除外するような診断論理は再検討する必要があり, また, 細胞集塊をも判定の対象として取扱わねばならないことが判明した.
    頸癌病期と好中球数, 扁平上皮細胞数をも検討したが, 両者間に関連を認めなかった.
  • 石川 啓
    1988 年 27 巻 6 号 p. 910-918
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    パラフィンブロックを用いたフローサイトメーター (FCM) による核DNA測定の信頼性について基礎的検討を行った. ホルマリン固定により, 非固定時, エタノール固定時に比べ核の相対的螢光量は癌細胞もリンパ球も同じ割合で低下したが, 癌細胞においては細胞質非特異螢光が出現するために, 細胞全体としてはそのDNA Index (DI) 値は高値を示した. しかし, 裸核処理により, 細胞質非特異螢光が消失し, そのDI値は, 非固定時, エタノール固定時と良く相関した. したがって, 腫瘍内浸潤リンパ球を内部標準とした時, 正確なDI値を評価するためには, 裸核処理が必須であると考えられた. 1~9日間のホルマリン固定期間において, DI値には有意の変動を認めなかった. 42例の大腸癌摘除材料において, 腫瘍内浸潤リンパ球を内部標準とした時, 新鮮非固定時とホルマリン固定パラフィン包埋ブロックでのDI値は, 相関係数0.957で高い相関を示した. 以上の結果にもとついた236例の大腸癌パラフィンブロックを用いた検討ではDukes BCD症例において有意にDNA diploidyの生存率が良好であることが確認され, 本法は予後判定の上でも有用な手段となりうることを明らかにした.
  • 山岸 紀美江
    1988 年 27 巻 6 号 p. 919-925
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診断は受付から報告までの過程にいろいろな人が関与し, 各過程において, 誤診の原因となる操作, 判断が存在する.
    観察対象としての癌細胞の見落としは細胞診断の基本に関わる重大な問題である. 癌細胞を効率よく集めるような細胞採取法, 標本作成法の工夫がされている. しかし, いかによい標本を作成しても, スクリーニングにおいて見落とすと細胞診断の目的を果たし得ない.
    今回, 細胞検査士資格更新のための日本臨床細胞学会教育委員会主催のワークショップにおいて, 癌細胞を少数含む4枚の標本を, それぞれ3分間ずつで, 60名の細胞検査士にスクリーニングしてもらった. その結果, 検鏡面積, 50×24mm2, 40×24mm2では, 全員4例中2例の癌細胞を見落とし, 30×24mm2では約6割の人が4例中2例の癌細胞を見落とした.
    また, スクリーニングにおける癌細胞の見落としと細胞検査士資格取得後の年数との間には明確な関係はみられなかった.
  • 清塚 康彦, 今井 俊介, 野田 恒夫, 森本 純司, 森山 郁子, 一條 元彦, 螺良 義彦
    1988 年 27 巻 6 号 p. 926-935
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    2種類の腫瘍マーカーCA125およびTPA産生能を有する, ヒト卵巣漿液性嚢胞腺癌由来の培養細胞株 (SHIN-3) を新たに樹立し, その性状を解析した. 細胞は多稜形ないし短紡錐形を呈し敷石状配列を示しながら発育し, 容易にpileupする. 増殖曲線から計測された倍加時閲は, 第12代において48.3時間, 第20代で26.7時間であった. 第12代の細胞密度は9.3×104/cm2, 分裂指数は3.2%であった. 第14代の染色体分析では, 染色体数は58本から64本に分布し, そのモードは61本にあるpseudotriploidyを示した (61xx). その他, 8種類のtrisomyが確認された.1×105個の細胞を7目問培養したところ, 培養上清中にCA125が1,500U, TPAが37.5U産生された. 樹立細胞はnudemouse移植可能であり, 移植腫瘍は組織学的には分化度の低下がみられたものの, ほぼ原腫瘍に類似した腺癌像を呈した. S田N-3株は安定したマーカー産生能を有し, in vitroにおける細胞増殖とマーカー産生量についての検討では, CA125は全体的には総細胞数に依存して増加するが, 単個細胞あたり単位時間に産生されるCA125は細胞の対数曲線的増殖開始直前にpeakを有する.
  • Raj K. Gupta, Sarla Naran, Robert Fauck, Tadao K. Kobayashi, Andrew Bu ...
    1988 年 27 巻 6 号 p. 936-937
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    メラネシア女性の子宮頸部よリサイトブラシ洗浄によって検出できた一蜷虫症での特にブラシ洗浄法の有効性について報告する.
  • 森山 政司, 岩成 治, 都 仁哉, 木島 聡, 伊達 美江, 北尾 学
    1988 年 27 巻 6 号 p. 938-942
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1981年から1986年までの6年間に, 島根県の子宮癌集団検診を受診した30歳以上の婦人は178,768人であった. その中で子宮体部癌肉腫が2例, 子宮体癌が3例発見された.
    子宮体部癌肉腫の2例は56歳と64歳で, 2例とも閉経後の婦人であった. 子宮癌集団検診時に, 2例のうち1例は性器出血などの訴えは全くなかったが, 他の1例は茶褐色帯下の増加を訴えていた. この2例の集検時における子宮頸部綿棒擦過細胞診標本を検索したところ, 悪性細胞のうち, ほとんどが子宮内膜腺癌の剥離細胞を思わす細胞であったが, 一部子宮内膜間質肉腫を推測する非上皮性悪性細胞が認められた. 孤立散在性, 時に集簇的に出現する細胞は, 大型でレース状の細胞質を持ち, 核は紡錐状またはラグビーボール状で, クロマチンは繊細, 微細顆粒状であった.
    この2例にはそれぞれ, 準広汎子宮全摘出術および広汎子宮全摘出術が施行された. 病理学的診断は2例とも子宮体部癌肉腫であった.
  • 小山 敏雄, 須田 耕一, 三俣 昌子, 弓納持 勉, 石井 喜雄, 早川 直美, 中澤 久美子, 飯野 捷子, 谷中 誠
    1988 年 27 巻 6 号 p. 943-948
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腟および子宮頸部に原発した悪性黒色腫の2例を臨床細胞学的に検討した. 症例1は73歳主婦で腟壁に腫瘤があり, 同部の擦過細胞診で腫瘍細胞の胞体内に少数ながらメラニン顆粒と核内空胞を認め, 本症と診断し, 生検標本でこれと確認した, 症例2は80歳主婦で性器出血を主訴として受診. 当初臨床的にも細胞診および生検標本にても子宮頸部扁平上皮癌と診断され, 放射線の治療を受けていたが, その後腫瘍の擦過標本よりメラニン顆粒, 好酸性核小体および核内空胞が認められ, 子宮頸部原発の悪性黒色腫であることが判明した. 症例2の初回標本の腫瘍細胞の大部分はamelanoticであったが, その後のS-100蛋白の免疫染色により本症であることがさらに裏づけられた. 悪性黒色腫の診断におけるS-100蛋白などの免疫細胞化学の有用性についても考察した.
  • 松村 真理子, 松山 敏剛, 斎藤 俊章, 加来 恒壽, 嘉村 敏治, 松隈 敬太, 塚本 直樹, 中野 仁雄
    1988 年 27 巻 6 号 p. 949-952
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    上皮性卵巣癌の症例で, 治療前の子宮頸部細胞診で腺癌細胞を認める頻度は10%前後であり, それほど高率ではない. さらに, 10w potential malignancy (LPM) の症例で, 子宮頸部細胞診に異型腺細胞を認め, LPMが疑われることは非常にまれである.
    本症例は27歳の主婦で, 術前の子宮頸部細胞診でLPMを疑われ, 開腹によりserouscystadenomaofLPMと診断された. 細胞診所見は, 背景がきれいで, 細胞はまりも状の集塊をなしていた. 核は円形または楕円形で, 核クロマチンの増量や核縁の肥厚を認めたが, 大小不同は少なく, 核小体は目立たなかった. 細胞質はやや厚く, 一部には空胞を認めた. これらの所見より, 子宮以外のおそらく卵巣由来の異型腺細胞と考え, また, 異型性が比較的軽いことからLPMが推定された.
  • 藤田 昌宏, 松井 英夫, 加藤 志津夫, 友田 豊, 坂井 英一
    1988 年 27 巻 6 号 p. 953-958
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    稀な腫瘍であるolfactory neuroblastomaの1切除例について捺印細胞像による形態学的特徴を免疫細胞組織化学所見や電子顕微鏡所見を加味して検討した. 35歳の男性で右鼻腔内にポリープ状に嗅裂側面天蓋部に位置して腫瘤が認められ, 外科的に全摘出された. 捺印細胞像では, 円形核を主体とする小型裸核状細胞が孤立散在性に認められ, 淡いクロマチンをもつ核と部分的に泡沫状ないし線維状の細胞質を示すことから, 小円形細胞腫瘍群に属するものであり, 形態学的に神経原性を推測したが, 細胞の同定は困難であった. 捺印細胞においてPAP法でNSE, S-100蛋白が陽性を示し, 神経原性推定を裏づけたが, 組織切片においてはNSEは禰漫性に, S-100蛋白は腫瘍の辺縁に陽性所見がみられた. 組織像では胞巣状, 島演状に小円形細胞が増生し, 電子顕微鏡所見にて細胞突起や神経分泌穎粒を認め, 01factoryneuroblastomaの像に一致する所見が得られた. 鑑別診断に苦慮したが, 捺印細胞像や免疫細胞組織化学および電子顕微鏡的検索などが早期の確定診断に役立った.
  • 中村 淳博, 下中 恵美子, 石原 光雄, 金井 信行, 吉見 直己, 田中 卓二, 森 秀樹
    1988 年 27 巻 6 号 p. 959-962
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    穿刺吸引細胞診にて診断された51歳女性の甲状腺左葉に同時発生した髄様癌, 濾胞癌の症例を報告した. 患者は前頸部腫瘤を主訴として来院甲状腺左葉が腫大し, 大小の2つの結節が認められ, それぞれ穿刺吸引細胞診が施行され, パパニコロウ染色で前者は紡錘形ないし類円形核を有し, 粗顆粒状のクロマチンパターンを示す髄様癌と診断され, 後者は軽度の異型を示し, 時に核膜の陥凹を示す濾胞癌と診断された. 前者の腫瘍細胞は, Grirnelius染色陽性であった. これらの所見は甲状腺摘出後の組織学的検索で確認された.
  • 田村 元, 岩崎 琢也, 斉藤 純一, 飯島 仁, 川村 隆夫, 井上 幸男, 熊谷 千晶, 上中 雅文
    1988 年 27 巻 6 号 p. 963-967
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺のclinging carcinomaは導管上皮を置換するように増生し, 充実性増生を示さないことを特徴とする. したがって, 腫瘍の穿刺吸引細胞像も毎常みられる乳癌と異なることが想定される. 報告例は32歳の授乳期の女性で, 両側性原発性乳癌の症例で左側にclinging carcinomaを認めた. 右側はinvasive ductal carcinoma with a Predominant intraductal component (WHO) であった. 左側のclinging carcinomaの穿刺吸引細胞の塗抹では大型の腫瘍細胞が孤在性あるいは小さな集団としてみられ, 大きな集団を形成しないこと, 平面的に集籏し, 重積性を示さないことが特徴的であった. 摘出標本では腫瘍細胞の結合性は弱く, 導管の内腔に剰離, 脱落しやすく, 腫瘍細胞が乳頭分泌液中に出現する可能性の高いことが推測された. estrogen receptorはclingingcarcinomaが2.9fmol/mgp. 通常型が5.4fmol/mg p.であり, 免疫組織化学的にclinging carcinomaでは一部の腫瘍細胞の細胞質にCEA強陽性反応を認めた. なお, 対側のinvasive ductalcarcinomaではCEAは陰性であった.
  • 佐川 元保, 斉藤 泰紀, 佐藤 雅美, 永元 則義, 仲田 祐, 石木 幹人
    1988 年 27 巻 6 号 p. 968-973
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    擦過細胞診にて局在部位を同定し得た気管支鏡可視範囲外の胸部X線無所見肺癌を経験したので, 細胞所見と腫瘍の局在部位同定に関して報告する.
    症例は60歳, 男性で, 住民検診の喀痰細胞診でClass Vの診断を受け当科紹介となった. 胸部X線写真, 断層撮影, CTでは異常なかった. 気管支鏡可視範囲内にも所見はなかった. 鑑別的気管支全支擦過法を施行し, 病変の部位を右下葉と特定したのち, 末梢を意識した擦過を行い, 右B8末梢からライトグリーン好性の癌細胞の集団が繰り返し出現することを確認し, 右下葉切除を施行した. 病理所見では右B8bii末梢に扁平上皮癌が確認された.
  • 宮元 秀昭, 広瀬 敏樹, 土屋 みはる, 前川原 貴美子, 山村 はるみ, 小海 陽子, 西 常博, 早川 和志, 高梨 利一郎, 福島 ...
    1988 年 27 巻 6 号 p. 974-977
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Alveolar soft part sarcomaの臨床細胞学的な報告は少なく, その報告のほとんどは摘出標本による捺印細胞診の検索によるものであり, 穿刺細胞診で手術前に確定診断を得たという報告は1984年にNiebergが報告した1例のみである. われわれは今回肺異常陰影に対する経皮肺針生検 (穿刺細胞診) にて, 細胞の形態および数珠玉状配列よりAlveolar soft part sarcomaの肺転移ではないかと推定し, その後臨床的に原発巣を探究し原発巣・肺転移巣双方を切除し得た症例を経験した. 本腫瘍は血行性転移, 特に肺転移が多く発見時すでに肺転移を伴っていることが多いので, われわれの症例のように原発巣発見に先行して肺転移巣が発見されることも稀ではないと考えられる. その際経皮肺針生検による診断的アプローチは非常に有用である. われわれの穿刺細胞診の所見ではPAS陽性顆粒, 核内封入体を認めることはできなかったが, ライトグリーン淡染性で不明瞭な細胞質, 類円形大小不同の核, 顆粒状のクロマチン, 好酸性大型類円形の核小体, それに加えて, 腫瘍細胞の数珠玉状配列からAlveolar soft part sarcomaを疑った. 腫瘍細胞の数珠玉状配列があれば本腫瘍を積極的に疑いうる所見と考える.
  • 万代 光一, 森脇 昭介, 土井原 博義, 原 亨子, 中西 慶喜, 山内 政之, 山本 陽子, 亀井 孝子, 佐伯 逸子
    1988 年 27 巻 6 号 p. 978-983
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は42歳の女性嚥下困難を主訴とし来院. 前縦隔下方の腫瘍を指摘され, 穿刺生検細胞診にて当初悪性リンパ腫が疑われた. 再検査にてリンパ球優位型の胸腺腫と診断経過中に赤芽球瘍の合併を指摘され, また, 画像診断にて肝転移も疑われた. 化学療法や放射線治療にもかかわらず, 両側の肺炎などの全身感染症の増悪があり, 全経過5年7ヵ月で死亡した.
    剖検時, 前縦隔下方から右胸膜および横隔膜は胼胝性に肥厚し, 出血巣に混って灰白色の腫瘍の浸潤が認められ, 組織診断は上皮細胞優位型の悪性胸腺腫であった. 肝の実質内には胸腺腫の転移は認められず, 横隔膜への浸潤性増殖であったと解した.
    肺, 子宮・腟, 直腸, 膀胱, 舌および扁桃には巨細胞封入体感染症を伴う膿瘍形成が認められた. 脾は79であり, 組織学的にも低形成を示し, 患者の免疫不全状態に何らかの関与があったものと推定された.
  • 小谷 広子, 郡谷 裕子, 三原 勝利, 西田 雅美, 杉原 誠一, 松田 実
    1988 年 27 巻 6 号 p. 984-987
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性で宮崎県出身. 成人T細胞白血病 (ATL) の比較的早期に. 血痰および肺に異常陰影を認め, 喀痰, 気管支擦過および気管支洗浄液中に多数のATL細胞と思われる腫瘍細胞を認め, 感染を含む肺の合併症との鑑別に有用であった1例を報告する.
    喀痰, 気管支擦過および気管支洗浄液中に出現した腫瘍細胞は, Papanicolaou (Pap.) 染色では, 小型で細胞質は狭くライトグリーンに淡染し, 核形は不整で深いくびれや切れ込み, あるいは分葉状を呈していた. 核クロマチンは粗顆粒状で不規則に分布し, 核小体は不明瞭なものが多かった. リンパ節穿刺吸引中にみられた腫瘍細胞と比較すると大小不同性に乏しく, 比較的小型で核形不整の強い細胞が認められた.
    また末梢血中の腫瘍細胞とリンパ節構成細胞のモノクローナル抗体に対する反応は, 両者ともhelper/inducerのphenotypeを示し, 同一系のものと考えられた.
    剖検において, 肺を含むほとんどすべての臓器にATLと思われる腫瘍細胞の浸潤が認められた.
  • 伊藤 勉, 古賀 裕子, 楢橋 直美, 長尾 真理子, 古賀 俊彦, 中島 敏郎, 栗田 幸男
    1988 年 27 巻 6 号 p. 988-993
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    コクシジオイデス症 (Coccidioidomycosis) は北中南米にみられる疾患で, 本邦での報告はきわめて少ない. 今回, われわれは初感染コクシジオイデス症を経験した. 症例は23歳, 男性で米国 (カリフォルニア) での農業研修経験がある. 昭和61年9月の検診で胸部X線写真に異常陰影を指摘され, 精査のため当院を紹介され入院となった. 入院時, 胸部X線写真で左上葉舌区に径1.0×1.0cmの腫瘤状陰影を認めたが, 確定診断が得られず開胸肺生検を施行し同時に迅速組織診および捺印細胞診を行った. 細胞診で未熟な球状体 (spherule) と思われる円形構造物, 菌糸, および内生胞子 (endospore) を充満した球状体を認めた. 迅速組織診では, 未熟球状体は少数みられたが内生胞子を充満した成熟球状体は確認できなかった.
    電顕でも未熟球状体および内生胞子を持つ球状体を認めた. カリフォルニアでの農業研修経験のあることより, 肺にgranuloma (coccidioidoma) を形成した初感染コクシジオイデス症と診断した.
  • 堀部 良宗, 笠原 正男, 細田 洋一郎, 平野 剛, 是松 元子, 川村 貞夫, 椎名 栄一
    1988 年 27 巻 6 号 p. 994-1000
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    髄外造血を伴った肝血管筋脂肪腫 (angiomyo-myelolipoma) の1例を経験したので, 細胞像所見を中心に組織学的検索を行い, 文献的考察を加え報告した. 症例は48歳, 男性. 主訴は上腹部痛. 諸検査の結果, 肝腫瘍が認められため腫瘍摘出術が施行された. 組織学的に腫瘍は中小の血管が増生し, それらを中心に円形, 楕円形ないし紡錐形の平滑筋細胞が取り囲み, その間に脂肪細胞が埋めるように増生していた. さらに巨核球, 赤芽球, および顆粒球が血管内腔にみられた. 細胞所見は組織像をよく反映していた。出現細胞の主体は平滑筋細胞で, それらは楕円形ないし類円形で平面的集団もしくは孤立散在性に出現していた. 血管内皮細胞は管状または線維状形態を示し, 平滑筋細胞集団に混在していた. 脂肪細胞は大小の脂肪滴, 成熟脂肪細胞, および泡沫細胞として出現していた. また赤芽球, 骨髄巨核球が散見された. 本例でみられた平滑筋細胞の一部に核の大小不同, 核形不整, 大型の核小体などの異型性がみられたため肝細胞癌, 非上皮性悪性腫瘍との鑑別が必要であった. 細胞像から肝血管筋脂肪腫の診断は平滑筋, 血1管内皮細胞, 脂肪細胞, さらに造血細胞を得られれば診断可能と考えられた.
  • 晴山 仁志, 出店 正隆, 平畠 功二, 呉 盧恵, 川口 勲, 塩崎 正樹, 小泉 直美, 若原 幸枝, 山口 潤
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1001-1006
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    最近, われわれは妊娠中に, 膣壁上部外側に認められた充実性腫瘍を, 産後に摘除し, 骨盤線維腫症と診断した珍しい1例を経験したので報告する.
    症例は30歳の主婦で, 腫瘍は, 癒着性で, 恥骨, 膀胱, 尿道, 膣, 直腸の問に2個認め, 約233g (80×95mm) と約429 (50×30mm), 割面は黄白色, 線維状を呈していた. 腫瘍の捺印細胞診では, ライトグリーン淡染性の細胞質を有する紡錘形細胞が散在性に出現し, 一部交錯走行を示す配列を認めた. 核の大小不同はなく, 類円形, 楕円形で細網状のクロマチンと, 1個ないし2個の小さな, 明瞭な核小体を認めた. また, 2核をもつ辺縁不整な多角形細胞や, 裸核も混在していた. 以上から, 線維芽細胞の関連した良性腫瘍が示唆された. 電顕像では, 線維芽細胞と筋線維芽細胞類似の腫瘍細胞がみられた.
    骨盤線維腫症は再発率の高い疾患であるが, 本症例は術後7ヵ月を経過した現在, 著変なく外来的に経過観察している.
  • 谷村 晃, 川元 博之, 杉原 誠, 呉 達夫, 長岡 栄
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1007-1010
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腹痛, 腹部腫瘍を主訴とした18歳, 女性の小腸間膜に発生した小腸間膜線維腫症mesentericfibromatosisの1例を報告する.
    小腸間膜に発生した腫瘤は灰白色, 充実性で小腸を圧迫し, 横行結腸の一部を浸潤性に巻きこんだ線維腫症である.
    捺印細胞像では類円形~卵円形の核, 小型で明瞭な核小体を有した紡錘形, 多角形の細胞よりなり, 光顕的には紡錘形細胞が束状, あるいは渦巻状に増生し, 電顕的には粗面小胞体の発達した線維芽細胞類似の細胞よりなり, 代謝面での亢進を示唆していた.
  • 鈴木 君義, 木村 恒子, 大野 喜作, 丸山 正董, 本田 善九郎, 古川 俊隆, 田林 晃, 田久保 海誉
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1011-1015
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    59歳男性の左副腎皮質癌の1症例について, 細胞学的所見を中心に報告した. 腫瘍は8×6×8cmの大きさで, 2409の球形の腫瘤であった. 組織学的には大型で, 類円形の腫瘍細胞の髄様の増殖からなり, 静脈侵襲や多数の核分裂像を認め, 副腎皮質癌と診断された. 捺印細胞所見では, 腫瘍細胞は主に集塊で認め, 時に孤立散在性に出現していた. 細胞質はライトグリーン好性で辺縁は不明瞭であった. 核は大小不同が著しく, 核形不整も目立っていた・核クロマチンは微細穎粒状から穎粒状で増量し, 不均等分布を示していた. 核小体は1-3個認め, 類円形で目立っていた. また単核および多核の巨細胞が出現し, 時に核分裂像を認めた. 従来副腎皮質癌の細胞学的所見を中心とした報告は乏しいが, 今回の副腎皮質癌の捺印細胞診においては, 腺腫および腎腺癌との鑑別が容易であった.
  • 関本 弘, 木村 茂, 城下 尚, 山田 喬, 藤本 恭士, 横川 正之, 鈴木 滋, 土井 久平
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1016-1023
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    膀胱の胎児型横紋筋肉腫の3例について, 主としてその細胞学的所見について報告した. 3例はその肉腫細胞の尿中への剥離条件は著しく異なり, すべてに典型的な肉腫細胞が尿に多数剥離するとは限らなかった. しかし急速に増殖発育した1例では, この肉腫特有な細胞形態を見出すことができた.
    小型紡錘状の肉腫細胞には, 特徴の少ない細胞も多いが, 細胞外へ突出したような形態を示す核, ラケット型細胞像, そして細胞質内横紋, 連珠状に配列した多核細胞がこの肉腫に特徴的と思われた. 一部小型偏在核とライトグリーンに濃染した細胞質を示す円形の横紋筋芽細胞もみられた.
  • 竹林 克重, 長嶋 和郎, 佐藤 利宏, 鈴木 康弘, 鈴木 恵士郎, 辻比 呂志
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1024-1028
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    前立腺癌は今まで, 初期症状として骨転移, 尿路障害等を呈するといわれてきたが, 他の臓器転移なしに系統的なリンパ節腫脹のみで発見されることは比較的稀である. われわれは今回, リンパ節腫脹のみで発見され, 非特異的な進展形式をとった低分化型前立腺癌を呈示する. 症例は57歳男性. 家族歴, 既往歴に特記すべき事項なし. 現病歴では, 昭和62年9月より左側腹部痛が出現し, イレウス症状を呈したため, 病院受診に至った. 受診時, Computerized tomography (CT) とUltrasonography (US) で左腎臓の水腎症様拡張と骨盤腔から横隔膜の位置までの傍大動脈リンパ節が系統的に腫大しているのが認められた. 他の臓器に異常は認められなかった. 尿検査, 血清学検査等でも腫瘍マーカーを含め, 異常は認められなかった. 最初に, 経直腸的に粘膜下生検および, 腫大した鼠径部リンパ節と思われる組織を採取して検索したところ, 未分化な充実性の腫瘍で確定診断は困難であった。そのため再度, 鼠径部の組織から捺印細胞標本, 電顕用標本, 免疫染色用標本を採取した. これらの検索から前立腺癌が推定されたので, 経尿道的に前立腺生検を施行し, 低分化型前立腺癌と確定診断するに至った.
  • 藤 利夫, 手島 軍児, 金城 満, 鷺山 和幸
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1029-1033
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    59歳, 男性の尿道周囲前立腺組織に発生した前立腺乳頭状腺癌の1例を経験したので報告する. 主訴は排尿困難であった. 血清前立腺性Acid Phosphatase (PAP), γ-seminoprotein (γ-Sm) などの腫瘍マーカーは正常範囲であった. 自然尿および穿刺吸引細胞診 (FNA) において, 腫瘍細胞は淡明な細胞質と楕円形の核を有し, 不規則重積性で柵状配列を示した・クロマチンは細穎粒状で均等に分布し, 核小体の多くは不明瞭であった. 組織学的所見では, 高円柱状で淡明な細胞質を有する腫瘍細胞が乳頭状に増殖していた. 免疫組織化学では, PAP, 前立腺特異抗原 (PSA) は陰性であった. この前立腺乳頭状腺癌は本邦ではきわめて稀であり, 検索した限りでは5例の詳細な報告がみられるのみであった. 今回, 細胞学的所見に免疫組織化学的所見を加えて報告する.
  • 佐藤 明, 宇多 弘次, 高谷 直知, 門脇 照雄, 石井 徳味
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1034-1039
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    陰のう穿刺液細胞診で腺癌が疑われた微小精巣鞘膜悪性中皮腫を経験したので報告した.
    症例は60歳, 男性. 油脂類販売業 (アスベスト塵吸入歴なし).
    陰のう水腫を主訴として来院. 穿刺吸引細胞診施行. 細胞学的には, 細胞境界不明瞭な中~大型腫瘍細胞の立体的集団と, 中~大型腫瘍細胞が混在する異型中皮細胞のシート状集団が多数出現していた. 遊離腫瘍細胞は, パパニコロー染色でライトグリーンに濃染するが, 胞体辺縁部では全周性の不染部を認めた. 核小体は明瞭で, 核のくびれや多核のものが目立った. 睾丸摘出術施行, 副睾丸頭部に接して小指頭大腫瘤を認めた. 組織学的には, 乳頭状および乳頭管状を呈する上皮様成分と線維肉腫様成分の二相性を示す悪性中皮腫であった. 鞘膜上皮との移行部では, 中皮細胞が反応性に腫大していた.
    精巣鞘膜悪性中皮腫は, 現在までに31例の報告しかなく, きわめて稀であるが診断に際しては陰のう穿刺液細胞診が重要と考えられる.
  • 各務 新二, 勝田 浩司, 高成 秀樹
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1040-1044
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    良性軟部腫瘍の中で組織学的に肉腫と類似した像を示す結節性筋膜炎を穿刺吸引材料で経験したので細胞学的所見の検討および文献的考察を加え報告する.
    症例は54歳, 女性. 腫瘤は左大腿部に径1.5×1.5cm大で認められた. 本症例における細胞学的所見は以下のようであった. 1) 細胞は大小の束状集団および散在性に出現し, 背景には少数の炎症性細胞, 脂肪球および粘液様物質が混在していた. 2) 細胞および核の大小不同が強く, 細胞形は線維状, 紡錘状, 三角形および多辺形と多彩であり, 細胞の胞体は厚く染まっていた. 3) 核は円ないし楕円形で偏在しているものが多かった. 4) 核クロマチンは細顆粒状で均等に分布していた. 核小体は円ないし不整なものを1~4個認めた. 5) その他, 多核巨細胞, 核分裂像が所々にみられた.
  • 若林 淳一, 佐藤 昌明, 岸 誼博, 服部 淳夫, 薄井 正道
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1045-1049
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    若年者の骨に発生するmalignant lylnphomaはきわめて稀なものとされているが, 両側脛骨, 右大腿骨, 頭蓋骨および脊椎骨に多発した症例を報告した. 両側脛骨を病的骨折した21歳男性についてX線学的に検索したところ多発するosteolytic lesionが発見された. しかし種々の臨床検査所見に著変なく, 末梢血、にも異常細胞は検出されなかった. これら病変部位, X線所見, 年齢, 臨床所見などからEwing'ssarcoma, neuroblastomaまたはmalignant lymphomaなどが考えられたが, いずれとも鑑別が困難であったため, 診断の確定を目的として脛骨の開放生検を行った. この検体より作成したimprint smearで小型円形細胞よりなる腫瘍が認められ, これらの腫瘍細胞はPAS染色陰性, MT4免疫染色陽性でありmalignant lymphomaと考えられた. これらの染色所見は脱灰処理後のパラフィン標本でも同様の結果が得られ, さらに電顕的にもリンパ球系細胞であることが確認された. 骨あるいは硬組織では脱灰処理に時間を要することが多いため迅速に情報を得る目的で行った生検時のimprintsrnearが有効であった.
  • 谷村 晃, 橋本 裕信, 高橋 哲哉, 染矢 誠一郎, 佐藤 智彦
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1050-1053
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は67歳, 男性, 発語障害ならびに性格異常を主訴として来院. CT検査で左前頭葉に腫瘍陰影を認めた。
    髄液検査で髄液中に多数のロゼット様の多核巨細胞を認め, 多形膠芽腫, 髄芽腫が疑われ, 年齢, 部位より多形膠芽腫と考えられた.
    組織学的に腫瘍は髄液細胞診でみられたロゼット様多核巨細胞を混じた多形性に富む腫瘍細胞よりなり, GFAP (PAP法) で一部の腫瘍細胞を除いて陰性であり, ロゼット様多核巨細胞も同様に陰性であった.
  • 木寺 義郎, 尾上 一馬
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1054-1055
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 竹内 啓晃, 牧野 華子, 長富 隆子, 亀井 美由紀, 平田 祐子, 原田 美枝, 井町 正士, 土岐 尚之, 川元 博之, 杉原 誠
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1056-1057
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 船越 尚哉, 赤荻 栄一, 山部 克己, 塚田 博, 森田 理一郎, 小川 功, 石川 成美, 深沢 政勝
    1988 年 27 巻 6 号 p. 1058-1059
    発行日: 1988/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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