日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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28 巻 , 3 号
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  • 米本 行範, 和田 裕一, 那須 一郎, 武田 セツ子, 鈴鹿 邁, 及川 洋恵, 伊藤 圭子, 涌坂 俊明, 森 俊彦, 東岩井 久
    1989 年 28 巻 3 号 p. 327-331
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    異型度の低い分化型子宮頸部腺癌の細胞像を検索するために, 細胞診上疑陽性であった分化型子宮頸部腺癌13例について, おもに核計測を中心として細胞診標本を検討し, 以下の結果を得た.
    1) 異型細胞にはside by side配列をなすところが認められ, クロマチンが増量していた.
    2) 核の大きさが増大していない異型細胞も認められた.
    3) 核の大きさが増大しているものも核の大きさが増大していないものも, 核の大小不同および多形性は軽度であった.
    4) 核の大きさが増大していないものでは, 核形がより細長いだ円の傾向を示した.
    以上のような異型を示す細胞の出現をみるときは, 分化型子宮頸部腺癌の存在を念頭におくことが必要と考えられる.
  • 鈴木 正明, 古堅 善亮, 宇津野 博, 高田 道夫
    1989 年 28 巻 3 号 p. 332-340
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    外陰と子宮頸部にHPV感染が合併した症例について, その子宮頸部病変を1年以上経過観察し細胞診を中心にその推移について検討した.
    1) 外陰と子宮頸部にHPV感染を合併した例は10~20歳代が76%(18/25) を占めた.
    2) 非妊娠群 (18例) における細胞診のkoilocytosisの初回, 3ヵ月, 6ヵ月後および1年後の出現頻度はそれぞれ33%, 16%, 11%および11%であった.しかしながらdyskeratosis, binucleationを加えると, これらの頻度はそれぞれ77%, 71%, 61%および22%となった.さらにコルポスコピー・組織診における1年後の経過観察における軽度増悪, 不変, 縮小, 消失の頻度はそれぞれ6%, 33%, 39%, 22%であった.
    3) 細胞診における経過観察中のコンジローマ由来細胞は免疫不全の合併症のない症例では非連続的な出現と消失を繰り返す傾向にあったがコルポスコピーでは比較的一定不変の傾向が認められた.
    4) 妊娠群 (7例) においては軽度増悪例が39%にみられた.
    以上のことより, HPV 6・11型が推定されうる子宮頸部病変の推移は1~1.5年後に縮小~消失する傾向が認められた.しかしながらこれら頸部病変に16型の例もあり, 不変例に関してはHPV型別成績を施行しながら, 長期の経過を観察する必要があると考える.
  • 樋口 和良, 川井 信, 藪下 廣光, 野口 昌良, 水野 義己, 原 一夫, 野竹 邦弘, 石原 実
    1989 年 28 巻 3 号 p. 341-345
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ヒトパピローマウイルス (humam papilloma virus, HPV) のRNAプローブ (No.6, 11, 16, 18, 31, 33, 35の混合RNA) を用いて子宮頸部異形成上皮および子宮頸癌患者におけるHPVの感染の有無について検討した.
    1) HPV-DNA陽性はclass IIIa 4例中2例 (50%), class IIIb 4例中2例 (50%), class IV 2例中1例 (50%), class V 6例中2例 (33%) に認められた.したがって, class IIIa以上の16例中7例 (44%) にHPV-DNA陽性を認めた.
    2) 組織診とHPV-DNA陽性の検討では, 軽度異形上皮が1例中1例 (100%), 上皮内癌が7例中3例 (43%), 扁平上皮癌が7例中2例 (29%) であった.
    3) HPV-DNA陽性7例のうち, 細胞診上の特徴とされているkoilocytesは3例に認められた.
    4) 子宮癌検診を行った86例では85例がHPV-DNA陰性で, 細胞診はclass IおよびIIであり, 残る1例はHPV-DNA陽性であり, かつ細胞診の結果もIIIaであった.
  • 手島 英雄, 古田 則行, 八木 裕昭, 陳 瑞東, 中山 一武, 浜田 哲郎, 藤本 郁野, 山内 一弘, 荷見 勝彦, 増淵 一正, 平 ...
    1989 年 28 巻 3 号 p. 346-351
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部病変とヒトパピローマウイルス (以下HPV) の関係をFilter DNA hybridizatioll法を用いて検討し, 細胞診および病理組織診に出現するHPV感染所見との相関を再検討した.
    1) 各種子宮頸部病変におけるFilter DNA hybridization法によるHPVゲノム陽性率は, condyloma acuminatum 66.7%(6/9), mild dysplasia 30.8%(4/13), moderate dysplasia 75%(3/4), severe dysplasia 50%(2/4), carcinoma in situ 80%(8/10), 正常婦人2%(1/50) であった.
    2) HPV感染を細胞診で診断する場合, 重要な所見は (1) parakeratosis,(2) koilocytosis,(3) smudged nucleusであった.
    3) Filter DNA hybridization法でHPVゲノム陰性であったmild dysplasiaの44%(4/9), severe dysplasiaの50%(1/2) に細胞診, 病理組織診上HPV感染所見を認めた.
    4) 病理組織学的にdysplasiaの段階ではHPV感染組織所見が認められるにもかかわらずcarcinoma in situでは近接dysplasiaにのみHPV感染組織所見が認められた.
    本邦におけるHPV感染においてはHPV 6, 11, 16, 18, 31, 33, および35型以外にも他のタイプのHPVが存在することが示唆された.病理組織学的にdysplasiaで認められるHPV感染組織所見がCISには認められず, この間にHPVの存在様式に何らかの変化が想定される.
  • 五十嵐 信一, 真木 正博
    1989 年 28 巻 3 号 p. 352-355
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    婦人科領域において, NCC-ST-439の臨床細胞学的意義について検討した.この新しく開発されたモノクローナル抗体は, 癌関連抗原を認識するもので, 免疫細胞化学的方法を用いて, 腫瘍細胞と正常細胞における対応抗原の局在を検索した.
    NCC-ST-439抗原は, 子宮頸癌で3/11例 (27%), 子宮内膜癌で6/11例 (55%), 卵巣癌で6/11例 (55%) の症例で陽性像を示した.また正常子宮頸部上皮, 内膜腺, 絨毛, 脱落膜には陰性であった.
    NCC-ST-439は, 婦人科領域で臨床細胞学的に興味深く, また偽陽性率が低く, 有用な腫瘍マーカーであることが示唆された.
  • 菅間 敬治, 斎藤 泰紀, 今井 督, 高橋 里美, 薄田 勝男, 須田 秀一, 仲田 祐
    1989 年 28 巻 3 号 p. 356-361
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    宮城県の肺癌検診において昭和57年から59年までの3年間に喀痰細胞診で陽性と判定したにもかかわらず, 癌が未確定であった受検者が14例あった.これらの喀痰標本を再検討した結果は, 陽性 (目本肺癌学会の判定基準ではE判定に相当) 3例, 疑陽性 (D) 10例, 陰性 (C) 1例と判定することが望ましいと考えられた.精査は, 拒否の2例を除く12例に施行され, 全例胸部X線写真無所見であり, 気管支鏡検査では, 1例で上皮内癌が疑われたが, その後の再検では異常を認めず脱落したものと考えられた.その他, 巨赤芽球性貧血によると考えられた異型細胞例が1例あった.精査を拒否した2例のうち1例は, 約2年後に癌死した.精査後のfollow-upにおいては8例が受診し, そのうち1例は約1年後に癌の局在が確定したTX肺癌であった.14例中10例が精査2年後癌未発見で健在であった.
  • 今井 督, 斎藤 泰紀, 永元 則義, 薄田 勝男, 太田 伸一郎, 佐藤 雅美, 須田 秀一, 仲田 祐, 佐藤 博俊, 橋本 邦久
    1989 年 28 巻 3 号 p. 362-371
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    気管支原発早期扁平上皮癌17切除例の術前擦過細胞所見 (細胞異型度, 核・細胞質の面積, 核/細胞質比, 角化細胞の出現頻) 度など) を定量形態学的に検討した.さらに光顕および電顕所見 (分化度, 深達度, 浸潤様式, 電顕上の細胞型など) と比較検討した.
    その結果, 擦過細胞所見上, 中~表層および深層の癌細胞の核面積, 核/細胞質比および細胞異型度の増加に伴い, 深達度や浸潤傾向の増加がみられ, さらに電顕上, 比較的明調な細胞質を有し細胞間隙が狭く比較的密に接した細胞が多くなる傾向がみられ, それぞれの問には, 良好な順位相関がみられた.また, 角化細胞の出現頻度と光顕および電顕上の分化度との間にも良好な順位相関がみられ, さらに表層角化細胞の擦過細胞像と, 電顕細胞像を対応させることが可能であった.なお, 核および細胞質の面積は中~表層細胞が最も大きく, 孤立散在性角化細胞が最小であった.
  • 馬嶋 恵子, 小金井 真理子, 中沢 久美子, 設楽 保江, 船田 信顕, 小池 盛雄
    1989 年 28 巻 3 号 p. 372-377
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    AIDS患者に合併するpneumocystis carinii (PC) 肺炎の早期診断における喀痰細胞診の有用性について, 細胞診が施行されたAIDS患者10例を対象に, それらの剖検肺組織所見との対比, さらにはPC肺炎を合併した血液疾患症例9例との比較を加え検討した.
    1) AIDS患者10例中1例は気管支肺胞洗浄液により, 他9例は自然喀出の喀痰によりPCが検索された.気管支肺胞洗浄液1例, 喀痰7例においてPCが検出され, 喀痰での検出率は9例中7例と高率であった.
    2) PC陽性の気管支肺胞洗浄液と喀痰のPapanicolaou染色においてlight green好性の泡沫状物質が特徴的に認められた.この物質はPC肺炎合併剖検例肺組織における肺胞内浸出物に対応するものであることが明らかとなった.またPCの嚢子はeosin, まれにlight greenに淡染する輪状の物質として認められ, 泡沫状物質の所見とあわせて注意深く観察すればPapanicolaou染色においてもPCの存在を予測することが可能と考えられた.
    3) 対照としたPC肺炎併発血液疾患症例9例においては, 全例細胞診によりPCが検出されているが, 9例中8例の患者では喀痰の喀出がほとんど認められず気管支肺胞洗浄液によりPCが検索・検出された.喀痰連続検査によりPCが検出された症例は1例のみであった.
    以上の結果から, 血液疾患などに合併した症例においては問題が残るものの, AIDS患者に合併するPC肺炎の場合は誘発法, 集シスト法を用いない自然喀出の喀痰により高率に診断し得ることが明らかとなった.
  • 小林 省二, 三木 洋, 大森 正樹, 舩本 康申, 岸田 不二夫, 河野 幸治, 荻野 哲朗
    1989 年 28 巻 3 号 p. 378-383
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    脳腫瘍の術中迅速診断は主として凍結薄切片によって行われているが, 圧挫標本の細胞診を同時に行うことによって診断の精度を高めることができる.今回は細胞診の材料としては取扱いにくいとされてきた髄膜腫と神経鞘腫について圧挫標本による細胞像の特徴的所見を記載するとともに, 鑑別診断として星状膠細胞腫の細胞像を比較検討した.
    核の形態については特徴はあまりないが神経鞘腫に長円形のものが多い.髄膜腫では細胞質は豊富で線維は硬く太さに差が著明で, 交叉するものが多いのに対して, 神経鞘腫では細胞質は薄く線維は細く軟らかく平行に走行している.
    細胞集団としてみた場合には, 髄膜腫では核の配列に規則性がなく細胞集塊の辺縁部へこぼれ落ちる傾向を示し, ときに渦巻状の配列を示す.これに対して神経鞘腫では長円形の核が平行にならび細胞の接着性が強いため集団の辺縁部に遊離してくることは少ない.両者ともに細胞の重積性が著明であるが星状膠細胞腫では重積性はほとんどなく, 細血管が縦横に走行しているのが鑑別点となる.薄切片で特徴的である髄膜腫の渦巻状配列, 神経鞘腫の柵状配列などは細胞診では表れないことが多い.
  • 藤井 雅彦, 加藤 一夫, 石井 保吉, 佐久間 市朗, 斎藤 博子, 高橋 正宜
    1989 年 28 巻 3 号 p. 384-388
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    各種脳腫瘍の細胞学的特徴を明らかにするため, 摘出材料の塗抹細胞標本を用い, 細胞個々の形態, 特に核長径, 核形, クロマチンの性状, 核小体の大きさ, 数について検索を行い, 以下の結果を得た.
    1.組織型ごとの核長径平均値は, 正常の星膠細胞および低悪性度の膠腫ではいずれも9μ以下と比較的低い値を呈したのに対し, 膠芽腫, 胚腫, 転移性腺癌など悪性例では著しく高値を示した.
    2.核形については, 低悪性度の膠腫や良性の髄膜腫, 下垂体腺腫では円形ないし楕円形のものが多くみられたが, 悪性例では不整形核を有する細胞が増加した.
    3.原発性脳腫瘍では転移性のものに比べて, 核縁が菲薄で, 細穎粒状のクロマチンを有する細胞が多く認められた.
    4.2μ以上の大型核小体, ないし3個以上の核小体を有する細胞の腫瘍細胞中に占める率は, 胚腫で最も高く, 膠芽腫や転移性腺癌でも比較的高い数値を示したが, 他の組織型ではいずれも10%以下であった.
  • 石井 保吉, 藤井 雅彦, 若林 富枝, 張堂 康司, 佐久間 市朗, 伴野 隆久, 萩原 勁, 長尾 緑, 加藤 一夫
    1989 年 28 巻 3 号 p. 389-393
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    蓄乳法における細胞像の特徴をより明確にすることを目的に, 乳管内乳頭腫8例と乳癌11例の計19例を用い, 直接塗抹法 (非蓄乳法) と蓄乳法にて得られた細胞標本について採取細胞量, 細胞形態および背景の所見を比較し, 以下の結果を得た.
    1) 赤血球など背景の所見は蓄乳法でより容易に観察できた.
    2) 細胞量については, 非蓄乳法に比較し蓄乳法の方が平均6.1倍の数の細胞集塊が得られた.
    3) 核長径は非蓄乳法に対し蓄乳法の方が平均0.5μ収縮して認められた.
    4) 核形, 核小体の数, 大きさおよび形については非蓄乳法と蓄乳法との問に大きな差はみられなかった.
    乳頭分泌物を認める患者に蓄乳法を取り入れることにより, 細胞についての情報量ははるかに増加し, 検鏡時間も短くなり, 疑陽性, 誤陰性が減少するものと思われた.
  • 工藤 浩史, 飯塚 保夫, 古賀 成昌
    1989 年 28 巻 3 号 p. 394-402
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胃癌治癒切除例125例について, 術前の生検材料塗抹細胞診標本を用い, 顕微分光測光法により, 核内DNA量を測定した.各症例のhistogram patternをdiploidy type (I型), aneuploidy type (II型) およびI型あるいはII型の優位なものをそれぞれIII型, IV型に分類した.さらに, 5c以上の細胞が全体の25%以上を占めるものをpoly ploidy typeとして, それぞれの亜型 (I', II', III', IV') とした.これら8型と進行程度すなわち深達度やリンパ節転移度, 組織学的分化度および予後からみた悪性度との関係について検討した.その結果, 進行程度が進むと, poly ploidy typeのものが多くなり, 再発例や癌死例ではaneuploidy typeのものが多かった.組織学的分化度別では, 低分化型で進行程度が進むと, aneuploidyやpoly ploidy typeが増加するが, 全体としてはdiploidy typeの占める割合が多かった.分化型ではstage Iや早期癌でdiploidyの占める割合が多いものの低分化型に比し, その比率は少なかった.% over 5cの割合をみると進行程度の進行とともに高くなる傾向にあった.以上より, DNA histogram patternを検討することは癌の悪性度を推測する指標となりうる.
  • 三浦 弘之, 加藤 治文, 小中 千守, 河手 典彦, 早田 義博, 三浦 玲子, 越川 真理子, 海老原 善郎
    1989 年 28 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    最近の中心型早期肺癌症例の増加により, 小病巣や生検鉗子の到達できない部位からの材料採取の必要性や, CISや高度異型化生との鑑別の重要性から, 気管支鏡施行医の巧拙による差の少ない, より細胞数が多く, よりよい細胞診標本が必要となってきた.
    そこで肺癌の細胞レベルでの診断率を向上させるため, 気管支ブラシの洗浄容器の改良と, それを用いた細胞診の有用性を検討した.直接塗抹標本と比較して, ブラシ洗浄標本は以下のような利点, 欠点が指摘された.利点:(1) 採取細胞量が多い:(2) 均一に塗抹される.(3) 固定状態がよい.(術者の巧拙による差が少ない.)(4) オートスメアの使用により, 塗抹範囲が一定しており, スクリーニングが効率的である.(5) 洗浄容器での材料保存が可能で, 必要に応じて他の染色法を用いることができる.欠点:(1) 遠心の操作が増える.(2) 容器代がかかる.
    気管支ブラシ洗浄細胞診は, 簡単で, 検査時間を延長させることなく, 弊害もなく, 肺癌の診断に寄与するところが大きい.
  • 清水 廣, 清水 千賀子, 斉藤 淳子, 井上 正樹, 上田 外幸, 谷澤 修, 桜井 幹己
    1989 年 28 巻 3 号 p. 409-414
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    きわめてまれな卵巣腺肉腫の1例を経験し, 細胞組織学的検討を加えた.患者は46歳の主婦で, 下腹部腫瘤にて他院で開腹手術を受け, 肉眼的に術不能の悪性腫瘍と考えられ, 組織生検のみが行れた.組織学的には, 間質の一部にやや異型性を認めるも核分裂像はなく, endometriosisが疑われた.各種治療後も腫瘍の縮小が認められないため, 約1年後, 当科にて悪性腫瘍の診断のもと, 腫瘍は子宮・両側附属器・一部大網とともに摘除された.肉眼的に, 両側卵巣は腫大し, それに連続して乳頭状腫瘤が多数あり, 全重量は500gに及んだ.割面は赤褐色充実性で, 一部は嚢胞状を呈していた.組織学的には, 内膜腺型の良性の上皮と, 細胞密度の高い異型性のある間質細胞から成っており, 問質腫瘍細胞には核分裂像は認められないが, 特に腺腔構造に沿って細胞密度が高くなっていることより, 腺肉腫と診断した.腹水中には腫瘍細胞は認められなかったが, 腫瘍の捺印細胞診では, 少数の腺上皮のほか, 異型性を示す間質細胞が認められ, 組織所見をよく反映していた.3年後骨盤内再発を来たしたが, 再発腫瘍は原発腫瘍と組織学的に類似するも, 間質細胞に若干の核分裂像 (11/10 HPF) が認められた.
  • 相澤 宥子, 頼永 八州子, 山本 嘉子
    1989 年 28 巻 3 号 p. 415-419
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Gartner管は中腎管の遺存物で, Gartner管が膣において嚢胞変化したものがGartner管嚢胞である.今回われわれは, きわめてまれなGartner管の悪性化とも考えられる類中腎 (明細胞) 癌を経験したので報告する.
    症例は46歳女性. 頻尿, 排尿痛を主訴として, 他院にて腟前壁の嚢腫を発見されている.嚢腫吸引細胞診でclass V, adenocarcinomaと診断され, 当院にて嚢腫摘出術を施行した.嚢腫は尿道をとり囲むようにして存在していた.
    嚢胞吸引細胞診では, 明細胞癌の組織学的特徴である, clear cell様の細胞, hobnail様の細胞, dark cell様の細胞がみられ, 球形中空な細胞集団であるmirror ball patternも散在した.
    病理組織像は, 明細胞癌であり, clear cellの胞体には, PAS陽性のグリコーゲン顆粒がみられた.また嚢胞の一部は単~多列立方円柱上皮よりなるGartner管に被れており, 腺癌に連続性に移行していた.腟粘膜, 尿道には浸潤はなかった.
  • 大野 喜作, 田久保 海誉
    1989 年 28 巻 3 号 p. 420-424
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    67歳女性にみられた食道原発粘表皮癌の1例を, 捺印細胞診所見を中心に, 病理組織学的および電顕所見を加え報告する.腫瘍は肉眼的にびまん浸潤硬化型の食道癌で, 組織学的には, 扁平上皮癌様の腫瘍細胞が主体をなす癌巣中に, 粘液染色陽性細胞を認め, 固有食道腺導管類似の形態も存在した.細胞学的に腫瘍細胞は3型に分類され, 高分化扁平上皮癌細胞類似の細胞, 細胞質が菲薄でときに核小体を認め, 粘液染色陽性を示す腺癌細胞類似の細胞, および両者の中間型と思われる細胞が認められた.腫瘍細胞の一部は, 細胞内に小嚢胞を有しており, 電顕的には腺癌と扁平上皮癌の双方の性格を有する腫瘍細胞が存在した.食道原発粘表皮癌の細胞診断には, 扁平上皮癌類似の腫瘍細胞, 粘液染色陽性の腫瘍細胞と中間型の腫瘍細胞の存在, さらに細胞内小嚢胞の存在が重要と思われた.
  • 畑 和則, 川上 一男, 山道 昇, 大森 正弘, 飯田 和質, 谷本 一夫
    1989 年 28 巻 3 号 p. 425-430
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    最近, きわめてまれな膵臓のsolid and cystic tumorの1例を経験し, その細胞像を中心に免疫細胞化学的検索を行ったので報告する.
    症例は13歳女児, 膵頭部に発生した腫瘤で, その肉眼形態, 組織所見, 電顕所見, 免疫組織化学的検索などからKlöppelら5) の提唱するsolid and cystic tumorと診断した.手術直後のcrush法による腫瘍細胞は小型円柱状で異型性に乏しく, ライトグリーンに好染する広い細胞質と偏在性の核が認められた.大部分の腫瘍細胞は細胞境界が不明瞭な円柱状の形態を示したが, 細胞境界明瞭な類円形から多辺形の細胞も少数認められた.また, 標本の一部にライトグリーン好性の粗大穎粒が集合してみられた.この顆粒はα1-antitrypsin, pancreatic-amylaseに陽性を示した.Neuro specific enolaseは細胞境界明瞭な細胞質で陽性所見を示した.以上より, ライトグリーン好性の粗大顆粒や2つの異なる所見を示す細胞などに注意し観察することは, solid and cystic tumorを推定するうえからも重要な所見であると思われた.
  • 亀谷 さえ子, 野田 愛司, 加藤 仁, 堀田 茂樹, 原 一夫, 杉浦 浩, 水野 義己
    1989 年 28 巻 3 号 p. 431-437
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    粘液産生膵癌の1例と粘液産生膵腺腫の1例を経験し, その細胞像を検討した.
    症例1は72歳, 男性.主訴は右季肋部痛, 腰背部痛.十二指腸ファイバースコープで副乳頭の開大と多量の粘液の排出をみ, 内視鏡的膵管造影では主膵管はびまん性に拡張していた.開大している副乳頭口からブラッシング細胞診を施行した.細胞は大集団で出現し, その多くは比較的小型で円形核を有し, 重積性, 大小不同は軽度であったが, そのなかに, 方向性の乱れた重積性のある集団が散見された.クロマチン増量にややかけ疑陽性と判定した.膵頭十二指腸切除術が行われ, 腫瘍は50×60mmで組織診断はintraductal papillary carcinomaであった.
    症例2は79歳, 男性.食道癌のため腹部CTを施行し, 主膵管のびまん性拡張を指摘され, 内視鏡的膵管造影でも同様の所見が得られた.原疾患のため1年5ヵ月後死亡.剖検時に十二指腸主乳頭の開大と粘液の排出, びまん性主膵管の拡張とその内腔には多量のムチン様粘液の充満がみられ, 尾側膵管に低い小隆起性病変が数個みられた.この部のスタンプ細胞診が行われた.細胞像は比較的小型で, 円形核を有した大細胞集団で, 大小不同, 重積性は軽度で, 細胞相互間のばらつきは少なく, 陰性と判定した.組織診断はmucinous cystadenomaだった.
  • 岩 信造, 田原 義孝, 今北 正美, 植田 初江, 由谷 親夫, 増田 一吉
    1989 年 28 巻 3 号 p. 438-443
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    褐色細胞腫5症例の捺印細胞像, 分泌顆粒検索の目的に酵素抗体法ならびに電子顕微鏡的観察を行った.
    1) 褐色細胞腫の特徴所見は上皮様の結合塊の配列がみられ, 連珠状の多核細胞および相互封入像が5症例中全例に認められ, 核内空胞は5症例中3例に認められた.
    2) 細胞質は広く, ライトグリーンで細顆粒状に染色された.
    3) 細胞, 核ともに大小不同が著明であったが, クロマチンの増量がみられるものの細顆粒状で, 均等分布を示した.
    4) 酵素抗体法では細胞質あるいは核内空胞にendocrine granule constituents (以下, EGC) が顆粒状に陽性を示した.
    5) 電子顕微鏡的観察で腫瘍細胞の細胞質に電子密度の高い分泌顆粒を確認した.
    以上のことから抗EGC抗体を細胞診に応用することは内分泌系腫瘍のスクリーニングに有用と思われた.
  • 森木 利昭, 橋本 真智子, 高橋 保, 大原 栄二, 宮崎 恵利子, 原 弘, 弘井 誠, 松崎 圭祐
    1989 年 28 巻 3 号 p. 444-449
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    上皮型の腹膜悪性中皮腫と考えられる1例を経験したので, その細胞病理学的所見を中心に免疫組織学的および電顕所見を加え, また, あわせて細胞動態についても検討したので報告した.症例は50歳, 男性.腹水を主訴として入院.腹水細胞診と右頸部, 左鼠径部に腫瘤を認め両部より穿刺吸引細胞診と生検施行.CTで後腹膜, 腸間膜の肥厚を認めた.腹水細胞診や穿刺吸引細胞診では多数の中皮様細胞がみられ, 多核の大型細胞を混じ乳頭状集塊を形成し核内封入体も散見された.一部の細胞の表面には長い微絨毛がみられた.免疫組織学的にはEMA, Vimentin, Keratinが陽性, CEAは陰性.電顕的には分岐を示す多数の細長い微絨毛 (MLDR=17~19) が特徴的であった.本例のBrdUによるS期細胞の標識率は7%で, 他の症例の腹水から得られた反応性中皮細胞やマクロファージに比べて高かった.細胞診で上皮型悪性中皮腫細胞を同定することは困難なときがあるが, 種々の粘液染色をはじめ免疫組織学的, 電顕検索を行い中皮腫細胞としての特徴を見出すことが大切である.また, 本例で認められた核内封入体の所見や, BrdUを用いる細胞動態の検索は, 反応性中皮細胞との鑑別に有用と思われる.
  • 長坂 徹郎, 中島 伸夫, 深津 俊明, 深田 伸二, 大岩 昇, 奈良 佳治, 竹内 純
    1989 年 28 巻 3 号 p. 450-454
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ節の捺印標本が迅速診断に有用であった悪性組織球症の1例を経験したので, その細胞像, 組織像との対比, 免疫組織化学, 細胞化学的所見を合わせ報告した.症例は, 6歳男児, 発熱, 両側頸部リンパ節腫脹を主訴として, 他院より診断と治療目的で, 当院へ転院した.問質性肺炎を併発, 状態の悪化のため, 早急な診断を要し, 頸部リンパ節生検が施行された.捺印標本においては胞体が比較的広く, 明瞭な核小体を数個有し, 異型の強い核を有する大型細胞が, 異型のない小型リンパ球に混じって認められ, 赤血球食食像も散見された.異型細胞の形態から組織球系の細胞を考えた.組織像では, 異型細胞は, 類洞, 傍濾胞領域で増生を示しており, 異型の核分裂像も散見された.以上より悪性組織球症と診断し, 化学療法が施行された.一時, 中枢神経系に再発を認めたが, 2年経過した現在, 完全寛解を維持している.増殖異型細胞は, 酸ホスファターゼ強陽性で, 免疫組織学的にはT, Bマーカー陰性, 分化傾向をみる細胞は, リゾチーム, α1アンチキモトリプシン陽性であった.こうした所見も組織球系の性格を示すものと考えられた.
  • 木村 雅友, 前倉 俊治, 門田 永治, 尾鼻 康朗, 酒谷 邦康
    1989 年 28 巻 3 号 p. 455-458
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    酵母様真菌の一つであるカンジダは口腔や膣などの常在菌であるが, 日和見感染として内臓諸臓器に膿瘍を形成することがある.この膿瘍内でのカンジダ形態の観察には, 組織標本よりも塗抹標本の方が優れていることを播種性深在性カンジダ症の2剖検例を用いて報告した.症例1は急性骨髄性白血病の再燃例で剖検では肺, 肝, 腎, 脾にカンジダ膿瘍が, 左心内膜にはカンジダ疵贅が認められた.症例2は急性心筋梗塞後の昏睡例で, 剖検で両側の腎と左心室前壁にカンジダ膿瘍が認められた.2例ともに膿瘍の組織標本ではカンジダが密に増殖していたり, 炎症細胞に囲まれていて, 真菌形態を観察しづらかったが, 塗抹標本ではカンジダに特徴的な仮性菌糸と出芽分生子が明瞭に観察できた.塗抹標本は新鮮材料からとホルマリン固定後の膿瘍組織から作製したものを比較したが, いずれでもカンジダ形態の観察は組織標本よりも容易だった.
    ホルマリン固定にかかわらず, 膿瘍の塗抹標本をつくることは有用であると考えられた.
  • 手島 英雄, 名城 嗣勝, 古田 裕行, 平田 守男, 森口 幸子, 田中 昇, 荷見 勝彦, 増淵 一正
    1989 年 28 巻 3 号 p. 459-461
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 池永 素子, 坂本 穆彦, 都竹 正文, 川口 智義, 平田 守男
    1989 年 28 巻 3 号 p. 462-463
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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