日本臨床細胞学会雑誌
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28 巻 , 4 号
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  • 羽田 均, 磯部 宏, 宮本 宏, 川上 義和
    1989 年 28 巻 4 号 p. 477-482
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    原発性肺腺癌の手術患者go例を分化度別, 組織亜型別および細胞亜型別に分類し, それらと核DNA量, 患者予後との関連性について検討した. DNA aneuploidyは90例中, 72例 (80%) に認められ, DNA index (DI) のmean±SDは1.76±0.56であった. 核DNA量は肺胞上皮型で少ない傾向であったが有意差はなかった. 患者予後は, 分化度別で高分化型が, また組織亜型分類で肺胞上皮型が良好であった. Cuboidal cell type (立方状型) の患者群では, 他の群よりも早期からリンパ節転移をおこしやすい傾向であった. Columnar cell type without mucus (粘液を含まない高円柱状型) では核DNA量が他の群よりも大きく (平均DI=2.25), またsmoking indexが平均1,300と高かった. 細胞亜型別にDIを比較すると, smoking indexの分布と同じ傾向を示し, 喫煙が一部の肺腺癌の発生や核DNA量に影響を及ぼしている可能性がある.
  • 山田 喬, 佐々木 英夫, 谷ケ城 力, 柴田 敏弘, 斉藤 芳晃, 岡本 一也, 小澤 享史, 半澤 儁
    1989 年 28 巻 4 号 p. 483-493
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    過去8年間に16例の患者の喀痰, および気管支洗浄液からアスベスト小体, およびその類似構造物を発見した. その発見率は珪肺病を専門に治療する病院では0.0015%であり, 一般病院ではそれ以下である. アスベスト小体は, アスベスト線維に含鉄蛋白質が付着して形成され, その形態は長幹骨の形に類似を求められる. その形態には種々の型があり, それぞれの形態の光学的, ならびに相差型顕微鏡的特徴を示した. アスベスト類似構造物の核心の大部分は炭素粉であった. これらの構造物の多くは, 大食細胞に食食された状態で発見され, なかには数個の大食細胞が奪い合うように, この構造物を負食している形態もみられた.
    16例の患者は, 鉱山労働者以外に一般の工場従事者もあり, 純粋なアスベストを扱った人は2名のみであった. 患者の疾患は肺癌が最も多く (7例), 次に珪肺であった (5例).
  • 深沢 政勝, 吉田 明, 重光 貞彦, 田中 秀行, 牛尾 浩樹, 植野 映, 相吉 悠治, 菅間 博, 小形 岳三郎
    1989 年 28 巻 4 号 p. 494-500
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    組織診断の確定している乳腺疾患101例について, その細胞所見17項目の重要度を多変量解析の数量化H類を用いて検討した.
    その結果はクロマチンの分布状態, 核形, クロマチンパターンなどの核所見と双極裸核の有無結合性, 対細胞の有無などが偏相関係数で高値を示し, 良性・悪性の鑑別に重要な因子と考えられた.
    また対象例において, 17項目でのカテゴリー数量の合計点による分布は, 良性例と悪性例では異なった分布を示し, 一部重複するものの比較的良好な判別が可能であった.
    さらに得られたカテゴリー一数量を用い, 新たに経験した20症例 (良性10例, 悪性10例) にっいてexternalcheckを行ったところ, 全例を正しく判別することができた.
    このことは, 乳腺穿刺細胞診における細胞所見の数量化が可能であることを示唆するとともに, その診断レベルの向上に寄与するものと考えられる.
  • 井筒 俊彦, 高橋 利成, 片島 淳巨, 川村 知正, 佐藤 健, 利部 輝雄, 西谷 巌
    1989 年 28 巻 4 号 p. 501-504
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1) 子宮頸部擦過細胞標本10万403検体中21検体 (0.02%) にいわゆるヘマトイジン結晶を認めた.
    2) 21例中19例の標本は炎症所見が認められ, 7例では背景に出血を認めた. また21例中7例は, 妊娠または分娩後1年以内の症例であった.
    3) ヘマトイジン結晶は, 黄褐色または赤褐色で直径2u~100uの放射状の結晶であり・標本中には1~28個の結晶が散在し, その周囲には組織球や好中球がロゼット様に分布していた.
    4) ヘマトイジン結晶の認められた21例中16例の標本に特殊染色を行った結果・PAS染色陽性, アルシアン青陰性, スタインのヨード法陰性, ベルリン青染色陰性, 酵素抗体染色 (フェリチン) 陰性であった. また, PAS染色陽性であったヘマトイジン結晶は, ジアスターゼ・アミラーゼによっても消化されないことより, この物質は血液中の蛋白物質の結晶であることが示唆された.
    5) 以上のことよりヘマトイジン結晶という呼称は適当ではなく, 再検討が必要である.
  • 各務 新二, 勝田 浩司, 矢谷 隆一
    1989 年 28 巻 4 号 p. 505-509
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    遠隔転移を示した胸腺腫の1例を経験したので細胞学的所見の検討および文献的考察を加え報告する.
    症例は78歳, 男性. 臨床経過は右臀部腫瘤に気付き精査のため当院紹介され, 胸部X線像で縦隔腫瘍が認められた. 本症例の細胞学的所見は, 小型で細胞質の乏しい円~ 楕円形, 短紡錐形細胞が集合性ないし散在性に出現し, 細胞および核の大小不同は乏しかった. 核クロマチンはやや増量し, 細顆粒状で均等に分布し, 核小体は不明瞭であった. 核分裂像はほとんどみられなかった. 病理解剖所見では, 胸腺腫瘍は肉眼的には出血壊死が強く, 周囲臓器への浸潤および胸腔内播種はみられなかったが, 遠隔転移として両肺, 肝, 左鎖骨, 第6肋骨, 腸骨に認められた. 本症例で悪性を示唆する細胞所見としては, 上皮細胞 (主として円~楕円形) 優位であること, 出血壊死がみられること, 一部の細胞で核クロマチンが増量し, 粗顆粒状を呈することがあげられた.
  • 加藤 拓, 高橋 久雄, 遠藤 富士乗, 武田 敏, 堀内 文男, 大木 昌二, 桑原 竹一郎, 松本 敬
    1989 年 28 巻 4 号 p. 510-515
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    表皮下より発生し, びまん性の発育形式をとる皮膚Merke1細胞癌を経験した. その腫瘍細胞像は小円形細胞により構成されており, 細胞学的には腫瘍細胞の細胞質に1個の小円形状物質を認めた. 免疫組織化学的にはEMA, keratin, NSE, およびneurofilamentに陽性を示し, 電顕的にはdense-core granulesとintermediate filarnentsが細胞質内に存在することが特徴的所見であった. また細胞学的に認められた小円形状物質は免疫細胞化学的にneurofilament陽性を示し, 電顕所見におけるintermediate fi1amentSと一致する部位に存在していた. この物質の存在が他の小円形細胞腫瘍との鑑別点になると考えられた. しかしneurofilamentをもたないタイプのMerke1細胞癌もある. この腫瘍は特に肺小細胞癌と細胞形態, 免疫組織化学的所見がよく類似し, その鑑別には電子顕微鏡所見に頼らざるを得なかった.
  • 森川 政夫, 中原 栄子, 中塚 裕之, 石崎 幸恵, 日下部 正, 水岡 靖子, 坂本 洋子, 黒川 彰夫, 稲井 真弥
    1989 年 28 巻 4 号 p. 516-521
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    仙骨部で発生した8歳, 男性および尾骨部に発生した40歳, 女性の脊索腫2例の捺印細胞で, その腫瘍細胞を形態学的に分類し, 免疫細胞化学的に検討した.
    いずれの脊索腫も腫瘍細胞はphysalipherous cell, stellate cellおよびその移行像を示すintermediatecellの3種類の細胞で構成されていた. 免疫細胞化学的な検索で上皮性を示すマーカーであるEMA, cytokeratin, keratinおよび非上皮性を示すマーカーであるS-100蛋白, NSE, vimentinはいずれの腫瘍細胞でも陽性を示した-CEAはstellate cell, intermediate cellで陽性を示した.
    脊索腫を構成する腫瘍細胞には, それぞれの細胞形態に差が認められるが, 免疫細胞化学的な染色の結果, これらは同一細胞由来であることが示唆された. また脊索腫の腫瘍細胞は上皮性, 非上皮性の両方の性格を有しているため, その細胞診断に際し免疫化学的な検索が有用と考えられた.
  • 畠山 重春, 後藤 恵子, 高桑妃 佐子, 熊谷 智子, 渡辺 哲弥, 塩田 敬, 辻本 志朗, 三浦 妙太
    1989 年 28 巻 4 号 p. 522-528
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    筋上皮細胞の異常増殖を伴っていた乳腺導管内乳頭腫の1例について, 吸引細胞診所見を中心に, 文献より得た筋上皮腫例 (myoepithelioma) との考察を加え報告した.
    症例は81歳, 女性。左乳輪下部に2.5×2.0cmの腫瘤が認められ, 諸検査の結果, 癌が疑われたため腫瘤摘出術が施行された. 組織学的には広い立方状~ 円柱状細胞質を有する導管上皮の乳頭状~ 管状増生像と, その直下に密に増殖した小型紡錐形細胞を認めた. 後者の細胞はABC法によってS-100protein, actin, keratin抗体に陽性反応を示し, 筋上皮細胞と考えられた. 吸引細胞診で筋上皮細胞と思われた細胞は, 紡錐形の細胞から構成される密な結合を示す大型で不規則な帯状~ 渦巻状配列を示して出現していた. 楕円形の核内には細顆粒状クロマチンが均等に分布し, 核小体は目立たなかった. その他乳頭状増生を疑わせた細胞, アポクリン化生を伴う導管上皮細胞が出現していた. 筋上皮細胞増生像の細胞学的推定は可能と思われるが, 細胞診的な検討の集積が望まれる.
  • 増田 諮, 奥井 勝二, 花輪 孝雄, 堀中 悦夫, 足立 武則, 宮内 充
    1989 年 28 巻 4 号 p. 529-533
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    32歳主婦の肛門部に発生したEndometriosisを経験したので, 臨床像・細胞像を中心に検討を加え報告した. 主訴は肛門部痛であり, 肛門部11時に示指頭大の腫瘤を触知した.
    術前診断はむずかしく詳細な既往歴等の問診と, ていねいな現症把握が必要である. その際, 穿刺細胞診は有力な診断法となり得る. 捺印細胞診では, 主として2種類の細胞がみられた. ひとつは, 上皮性細胞集団である. 細胞質は豊富で好塩基性, 粘液産生性を示唆し, 核はシート状に配列し, 核径は12~14ミクロン, 核クロマチンは中等度に増量し, 核内構造は微細穎粒状であった. 核小体は1, 2個有する. 他方は, 核径は5ミクロン程度, 円形ないし楕円形の細胞で, 核クロマチンは中等度で均一であり, リンパ系細胞を中心とした間質細胞群であった. これらの細胞像は, 組織像をよく反映している.
    術前診断を正しくつけて, 過大な手術侵襲を避け肛門機能の温存を心掛けることが肝要であることを強調した.
  • 岩 信造, 田原 義孝, 今北 正美, 植田 初江, 由谷 親夫
    1989 年 28 巻 4 号 p. 534-536
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    尿細胞診にてhuman papilloma virus (HPV) 感染細胞を認め, その細胞像ならびにHPV抗原の検索を行ったので報告する.
    患者は56歳の主婦で, 尿沈渣の検査中に異常細胞が出現し, 細胞診でHPV感染細胞を認めた. 尿中のHPV感染細胞は子宮頸部スミァに出現する細胞と同様にkoilocytosis, dyskeratosissmudged nucleusの特徴所見を認めた. 核は腫大し, クロマチンは粗大穎粒から核内構造が不明瞭なものまでみられ, 多岐にわたっていた.
    酵素抗体法にてkoilocyteの核にHPV抗原陽性を認めた.
  • 加藤 拓, 高橋 久雄, 清川 尚, 武田 敏, 堀内 文男, 松本 敬
    1989 年 28 巻 4 号 p. 537-542
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    50歳女性で単頸双角子宮の左角に発生した体部粘液癌のきわめてまれな1症例を経験した. 子宮頸部細胞診所見は小皮縁部または細胞質内にオレンジG好染を示す変性した異型腺系細胞を認めた. 内膜細胞診では異常重積を示す細胞集塊が多数採取されたが, 個々の細胞異型は乏しく, その中に杯細胞様 (または印環細胞様) の細胞が混在して認められた. 腫瘍は単頸双角子宮の左角内腔全周に発生した6.0×3.5cmの乳頭状の腫瘍で組織学的には粘液産生性の乳頭腺管癌の像を示した. 腫瘍細胞はPAS-alcian blue染色に陽性を示し, 免疫組織化学的にはCEA陽性, alkaline phosphataseは局部的に陽性を呈した. 電顕的には腸上皮の吸収細胞に類似する細胞が主体を占め, その間に分泌穎粒を有する子宮頸管細胞類似の細胞と杯細胞が混在して認められた.
  • 土岐 利彦, 森 俊彦, 中名生 裕子, 矢嶋 聰
    1989 年 28 巻 4 号 p. 543-546
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    “Morule”と思われる細胞集団が, 子宮内膜細胞診で認められた, 29歳子宮体部腺棘細胞癌の1例を報告する. 細胞診上は, 腺癌細胞の集団が多数出現しており, これらの一部に成熟した扁平上皮細胞が散在性に認められた. その他に, シート状配列を示す, 比較的未熟な扁平上皮化生細胞の集団が認められ, これは, いわゆるmoruleに相当するものと思われた. 摘出標本では, 子宮後壁から外向性の腫瘍が発育しており, 病理組織学的には, 多数のmoruleを伴う, 腺棘細胞癌と診断された.
  • 木村 雅友, 佐藤 隆夫, 門田 永治, 丹司 紅, 蛭間 真悟, 前田 光代, 橋本 重夫, 高橋 学, 酒谷 邦康
    1989 年 28 巻 4 号 p. 547-551
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    脾カンジダ症を伴った気管支肺アスペルギルス症の1剖検例を報告し, それを用いて, 内臓真菌症の中でも原因菌属としてカンジダに次いで最も多いアスペルギルスの同定を, 菌糸のみの形態的特徴から試みた.
    症例は43歳, 女性. 急性前骨髄球性白血病の再燃例で右肺中・下葉および左上葉にアスペルギルスによる肺炎をきたし, 右中・下葉の一部は横隔膜に癒着し, 右出血性胸膜炎を呈していた.左上葉では空洞を形成していた. 脾には結節状のカンジダ感染が認められた. 剖検時に右肺・横隔膜癒着部および左上葉空洞内の壊死物の塗抹標本を作製したところ, アスペルギルスの菌糸の特徴すなわち, Y字状に2分岐しながら一方向へ向かって増殖するようすがきわめて明瞭に見い出され, 組織標本で観察できた菌糸形態よりも真菌の同定に役立つと考えられた.
  • 立花 亨, 山田 良太郎, 村田 賢, 大間知 祥孝, 由谷 親夫
    1989 年 28 巻 4 号 p. 552-554
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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