日本臨床細胞学会雑誌
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28 巻 , 6 号
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  • 栗田 宗次
    1989 年 28 巻 6 号 p. 739-744
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    白血病の臨床において骨髄, 末梢血以外の部位における細胞診の役割を検討した. 1例は骨髄や末梢血に白血病を示す所見がなく, 胸水細胞診にて診断された顆粒球性肉腫であった. 顆粒球性肉腫を除く白血病183例中細胞診は髄液41例, リンパ節20例, 胸水9例, その他8例に施行され, 陽性例は髄液24例, リンパ節16例, 胸水7例, その他4例であった. 髄液細胞診陽性例は病型別には急性リンパ性白血病に多く, 特に小児に多いが, その過半数は末梢血や骨髄の血液学的所見は寛解中であった. リンパ節細胞診陽性例はほぼすべての病型に各数例が認められ, 慢性リンパ性白血病の全例と急性例の多くは診断時に認められたが, 慢性骨髄性白血病はすべて経過中に認められ, その細胞所見は急性転化を示した. 胸水細胞診陽性例は成人に比し小児に多くみられた.
  • 山城 竹信, 手島 英雄, 八木 裕昭, 平井 康夫, 山内 一弘, 荷見 勝彦, 増淵 一正, 佐野 裕作
    1989 年 28 巻 6 号 p. 745-751
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体部の漿液性腺癌 (Uterine papillary serous carcinoma) 5例について, 内膜細胞診で診断が可能かどうかを検討した. 比較のため子宮内膜腺癌 (Adenocarcinoma) Grade1, Grade3, 明細胞腺癌 (Clearcellcarcinorna) 各々5例についても細胞学的検討を行った.
    (1) 漿液性腺癌では, clearな背景にぶどう房状や乳頭状の細胞配列が多く, 腫瘍細胞はNIC比が大きく粗顆粒状のクロマチンも増加し, 核小体は不整で大型化および複数化し, G1と比較して低分化な形態を示す.
    (2) 漿液性腺癌では, 細胞形態がG3と類似するので鑑別困難である. しかし漿液性腺癌はtu上mordiathesisが少なく, またpsammomabodyが出現しやすい.
    (3) 漿液性腺癌では, 核の形態が明細胞腺癌とほぼ類似している. 明細胞腺癌は, 背景にtumordiathesisが強く, 腫瘍細胞は空胞を伴った広い胞体を持ちシート状に出現しやすい.
    以上の結果より, 漿液性腺癌は, G1や明細胞腺癌とはおもに腫瘍細胞の形態に注目することで鑑別が可能であると思われた. G3とは腫瘍細胞の形態が類似しているので鑑別困難である. しかし, 背景において, 漿液性腺癌にtumor diathesisが少なく, psammoma bodyが比較的出現しやすいことを考慮することでG3との鑑別が可能と思われた.
  • 八木 裕昭, 塩川 滋達, 中山 一武, 平井 康夫, 山城 竹信, 山内 一弘, Ikuno FUJIMOTO, 荷見 勝彦, 増淵 一正 ...
    1989 年 28 巻 6 号 p. 752-757
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜吸引スメアに出現した子宮体部の明細胞腺癌6例の細胞像について, 細胞集塊の出現様式によりシート状配列を呈する細胞集塊と重積性配列を呈する細胞集塊とに分類して検討した.
    1) 組織学的にsolidpatternである症例の細胞像はシート状配列を呈し, papillary patternである症例の細胞像は重積性配列を呈する傾向が認められた.
    2) シート状配列を呈する細胞集塊の細胞所見は, 従来明細胞腺癌の特徴といわれている豊富で明調な細胞質, 類円形の核, 細顆粒状のクロマチン, 複数の著明な核小体が認められた. PAS反応強陽性をしめす細胞を多く認めた.
    3) 重積性配列を呈する細胞集塊の細胞はシート状配列を呈するものより, 細胞質径, 核径, 核小体径ともに小さかった. また, 細胞質, 核, 核小体の大小不同はシート状配列を呈するものより少なかった. 核小体は1, 2個のものが多かった.
    4) 子宮体部の明細胞腺癌の重積性配列を呈する細胞集塊の細胞像は子宮体部の内膜型腺癌G1の細胞集塊の細胞像と背景, 核クロマチン, 核小体数では類似するが, 核径, 核小体径は大きく, 有意差を認めた (p<0.01).
    以上, シート状配列を呈する細胞集塊が多数出現すれば, 明細胞腺癌の診断は容易であるが, 重積性を呈する細胞集塊が優勢な場合は診断がややむずかしい. しかし, 内膜型腺癌G1との違いを把握していれば, 重積性を呈する細胞集塊からも明細胞腺癌の推定診断は可能である.
  • 斉藤 淳子, 清水 廣, 中澤 愛子, 井上 正樹, 上田 外幸, 谷澤 修
    1989 年 28 巻 6 号 p. 758-763
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Human papillomavirus (HPV) 感染と組織診, 細胞診との関係をcervical intraepithelial neoplasia, gradem (CIN III) 24例について, 酵素抗体法 (PAP法), DNA hybridization法 (Southern blot法) を用いて比較検討した.
    組織診上では, 18例 (75%) にkoilocytosisを認めた. 細胞診では, 7例にkoilocyte, 12例に, dyskeratocyte, 10例に2核細胞を認めた. 酵素抗体法では, 1例にHPV antigenを認めた. DNA hybridization法にて検索すると, HPV16型7例, HPV unknown type 3例, 計10例 (42%) にHPV DNAを認めた. 残り14例は, HPV 6, 11, 18型いずれも検出されなかった.
    組織診上koilocytosisを認めた18症例のうち, DNA hybridization法にて, 悪性病変と関連の深い. HPV 16型6例, HPV unknown type 3例を認め, CIN IIIにおけるkoilocyteは悪性度の高いHPV DNAと関連が深いと思われる.
    細胞診では, HPV DNA陽性10例中, koilocyteは4例 (25%), dyskeratocyte 9例 (90%), 2核細胞7例 (70%) で, HPV DNA陰性14例のそれぞれ3例 (21%), 3例 (21%), 3例 (21%) と比較して, dyskeratocyte, 2核細胞が特に多く, HPV感染では, koilocyteだけでなく, dyskeratocyte, 2核細胞についても注意を要すと思われる.
  • 樋口 和良, 藪下 廣光, 安藤 高宣, 水野 義巳, 原 一夫, 中西 正美, 石原 実
    1989 年 28 巻 6 号 p. 764-768
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部細胞診IIIa以上の43例についてヒトパピローマウイルス (human papilloma virus, HPV) DNAのtype (6・11型DNAと16・18型DNAと31・33・35型DNA) をDNA-RNAhybridizationを用いて検討した. また, 組織診からの検討も加えた.
    1) classIIIaではHPVのtypeは6・11型DNAと31・33・35型DNAであったが, classIII b, classIV, classVでは16・18型DNAの存在が確認された.
    2) 組織診では, milddysplasia, moderatedysplasia, severedysplasiaの異形成上皮では31・33・35型DNAを認めた. しかし, C. I. S.やS. C. C.では31・33・35型DNAに加え, 16・18型DNAを認めた.
    3) 細胞診がclass IIIbでありHPVの16・18型DNAを確認できたものは, 4例中4例が組織診でC. 1. S.以上であった.すなわち3例がC. I. S.であり, 残る1例はS. C. C.であった.
    以上よりHPV感染は異形成や子宮頸癌と関連が深いことがわかったが, 特に16・18型DNAを認めた場合には, 注意深いフォローアップが必要であると考える.
  • 井筒 俊彦, 金子 重信, 小山 俊司, 松田 壮正, 利部 輝雄, 西谷 厳
    1989 年 28 巻 6 号 p. 769-774
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    近年, 細胞増殖の原動力ともいうべきDNA合成の態度を3H-thymidineと同じレベルで認識できる抗Bromodeoxyuridineモノクローナル抗体 (BrdU. Mab) が開発され腫瘍の成長解析に有力な手掛かりを与えるものとして注目されている.
    われわれは, このモノクローナル抗体を用いて婦人性器腫瘍細胞の増殖動態の解析を試みた.
    子宮頸癌19例にたいする酵素抗体法によるBrdU labelling index (B. L. I) は0.7-21.7%平均11.6%であり, Flow cytometry法によるBrdU陽性S-phase cellの割合 (S) は, 0.5-14.1%平均5.1%であった.
    子宮内膜癌11例におけるB. L. I. は2.6-18%, 平均11%であり, Sは0.9-23.2%, 平均8.1%であった.
    卵巣癌17例におけるB. L. I.は3.2-28.3%, 平均13.7%であり, Sは0.4-17.5%平均5.5%であった.
    それぞれの婦人科悪性腫瘍においては臨床進行期および組織型とB. L. I.あるいはS期細胞との間に明らかな相関は認められなかったが, 悪性度が高いといわれている子宮内膜漿液性腺癌や卵巣の胎児腺癌では高いB. L. I.およびS期細胞を認めた.
  • 塩川 滋達, 手島 英雄, 八木 裕昭, 横須賀 薫, 藤本 郁野, 山内 一弘, 荷見 勝彦, 増淵 一正, 南 敦子, 佐野 裕作
    1989 年 28 巻 6 号 p. 775-780
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜症の治療薬であるDanazolを, 子宮内膜増殖症患者9例に1日400mg, 6ヵ月間経口投与し, その病理組織学的, 細胞診断学的変化を検討した.
    1) 嚢胞性腺増殖症7症例中全例がDanazolに反応し, 投与開始後1-12ヵ月で嚢胞性腺増殖症が消失した。7症例中4症例に投与終了後3-9ヵ月で嚢胞性腺増殖症の再発をみたが, Danazolの再投与によって嚢胞性腺増殖症は消失した.
    2) 腺腫性増殖症2症例中1症例は, 投与開始後4ヵ月で腺腫性増殖症が消失した. 他の1症例は腺腫性増殖症が持続したため, 手術を施行した.
    3) 子宮内膜増殖症のDanazolによる病理組織学的変化は直接萎縮内膜像を呈するタイプと, 増殖期内膜像を経て萎縮内膜像を呈するタイプの2種類みられた. それは, 月経周期の有無に関係した.
    Danazolは子宮内膜増殖症に対し, 萎縮効果をもたらすことが病理組織学的, 細胞診断学的に裏付けられた.
  • 丹後 正紘, 渡辺 騏七郎
    1989 年 28 巻 6 号 p. 781-786
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体癌およびその前癌病変が通常の子宮頸部細胞診からどの程度診断可能であるか検討した. 子宮体癌76例中71例 (93.4%) が不正出血を訴えて来院し, その腔塗抹では67例 (88.2%) に内膜腺細胞集塊を認め, 44例 (57.9%) が陽性であった. 内膜の上皮内腺癌と異型増殖症を合わせて15例中, その膣塗抹では12例 (80.0%) に内膜腺細胞集塊を認め, 5例 (33.3%) が陽性または疑陽性であった. 腺腫様増殖症23例中, その腔塗抹では15例 (65.2%) に内膜腺細胞集塊を認め, 5例 (21.7%) が陽性または疑陽性と判定された.
    膣塗抹においてまず弱拡大で内膜の細胞集塊をみつけたら強拡大で核小体の有無に注目し, 核小体を有したら, 重積性の有無, 極性, 核の腫大, 細胞質の量や性状から, 正常内膜細胞や内膜の修復細胞と鑑別することが可能である.
    とにかく閉経後の膣塗抹に内膜細胞がみられたら, 十分注意を払うことによって膣塗抹による体癌の検出率を向上させることができると考えている.
  • 橋村 尚彦, 塚原 裕, 石束 嘉男, 戸田 せつ子
    1989 年 28 巻 6 号 p. 787-792
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部初期癌の診断における円錐切除術の意義を細胞診, 狙い組織診の正診率と比較し検討を加えた.
    円錐切除術による臨床進行期の診断は, 摘出子宮の組織学的検索から, 正診率100%であった. 細胞診では上皮内癌の42.9%, 微小浸潤癌の50.0%が正診できた. 狙い組織診では上皮内癌の77.1%, 微小浸潤癌の53.6%が正診できたが, UCF例では正診率が低くなる傾向にあった.
    細胞診と狙い組織診が同一の診断であったときの正診率をみると, 2検査法で上皮内癌と診断した例の78.9%, 微小浸潤癌と診断した例の91.7%が最終診断と一致していた.
    細胞診と狙い組織診による子宮頸部初期癌の正診率はかなり高いものであるが, 確定診断としては円錐切除術が最も正確であり, 過小評価による過小治療を避けるためにも, その省略は慎重にされねばならないと思われた.
  • 中西 慶喜, 土井原 博義, 万代 光一, 山内 政之, 山本 陽子, 佐伯 逸子, 日浦 昌道, 森脇 昭介
    1989 年 28 巻 6 号 p. 793-799
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    臨床的に診断し得た17例の性器外臓器を原発とする転移性子宮・膣癌について, 細胞診上の特徴およびその転移機序を中心に報告するとともに, 剖検例での検討を加えた.
    1) 原発臓器としては直腸7例と最も多く, 次いで胃5例, 結腸4例, 腎1例であった.
    2) 細胞診では扁平上皮系の異型細胞がなく, 印環細胞を主体とする腺系の異型細胞を認める場合には胃癌を強く疑い, 著明な柵状配列を示す細胞集団をみるときには大腸癌の可能性も考慮する. また腫瘍性背景, 腫瘍細胞の数および孤立性の形態に注目すれば, 鑑別診断上参考になると思われた.
    3) 転移機序を剖検例で検討してみると, 癌性腹膜炎を伴っている例が多く, 脈管行性転移は比較的少なかった.
  • 濱田 哲郎, 手島 英雄, 中山 一武, 佐野 裕作, 清水 敬生, 藤本 郁野, 山内 一弘, 平田 守男, 荷見 勝彦, 増淵 一正
    1989 年 28 巻 6 号 p. 800-805
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    Müllerian mixed tumor (MMT) は, 上皮性と非上皮性の腫瘍構成成分を有する悪性度の高いまれな疾患で, 治療前診断が困難である. 1950~1988年の39年間に44例の子宮体部原発のMMTを経験したので, これらの治療前における細胞診, 組織診について検討した. ただし, 標本不良による結果不明がそれぞれ7例と2例あった.
    1) MMTの治療前細胞診の陽性率は73.0%(27/37), 正診率は10.8%(4/37) であった.
    2) 治療前細胞診でMMTと診断し得た全例において, 非上皮性成分の由来組織は同定できなかった.
    3) MMTの治療前細胞診診断で最も多かったのは腺癌46.0%(17/37) であった.
    4) MMTの治療前細胞診で非上皮性成分を認めたものは13.5%(5/37) であった.
    5) 治療前組織診のMMT正診率は59.5%(25/42) であった.
    6) 治療前組織診でMMTと診断し, しかも, 非上皮性成分の由来組織まで同定できた症例は36.0%(9/25) であった.
  • 高村 邦子, 葉 清泉, 杉山 徹, 今石 清久, 平川 伸夫, 横田 大介, 牛島 公生, 田中 博志
    1989 年 28 巻 6 号 p. 806-817
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    実験化学療法のモデルとしてDMBA誘発ラット卵巣腺癌を同系ラットに腹腔内移植し, FIGOの臨床進行期分類III~IV期の腹水貯留した進行癌モデルを作成した. これにCDDPを腹腔内投与し, 投与後6日後まで経時的に屠殺し, 投与群と非投与群との腹水細胞および移植組織の変化を比較検討した結果, 投与群は次の所見を認めた.
    1) 腹水中有核細胞の増加が認められ, そのうちわけはリンパ球が増加し, 癌細胞は減少していた.
    2) トリパンブルー超生体染色による死細胞率が増加した.
    3) 癌細胞の形態変化として細胞の大型化, 単離化, 多核化, 細胞質内空胞が特徴的であった.
    4) 核内空胞, 核濃縮, 核破砕, 核融解, スリガラス状核, 泡沫状核, 細胞質エオジン好性などの変化も出現した.
    5) 組織においても類似した変化がみられた.
    これらの形態変化はCDDP投与において腹水細胞診による薬剤効果を知る一つの情報と成り得る可能性を示唆するものと思われた.
  • 太田 伸一郎, 斎藤 泰紀, Noriyoshi NAGAMOTO, Masami SATOU, 佐川 元保, 菅間 敬治, 高橋 里美, ...
    1989 年 28 巻 6 号 p. 818-823
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    臨床的悪性度別に擦過細胞形態の定量的解析を行い, 擦過細胞診上の予後推定因子を検討した、臨床的悪性度は, I期腺癌の予後と腫瘍陰影の増大速度で評価した.
    I期腺癌の絶対的治癒切除例中, 術後5年未満に癌死した10例を予後不良群, 術後5年以上の生存が確認された24例を予後良好群とした. 次に, 肺癌集検の胸部間接写真で発見し切除した末棺型腺癌のうち, 過去の間接写真にも腫瘍陰影が存在した20例を陰影増大速度小の群, 以前に腫瘍陰影は存在しなかった8例を陰影増大速度大の群とした. 予後不良群と陰影増大速度大の群を合わせたものを臨床的悪性度大の群, 予後良好群と陰影増大速度小の群を合わせたものを臨床的悪性度小の群とした。擦過細胞の,(1) 核小体数,(2) 核小体数の変動係数,(3) 核面積,(4) 核の大小不同性,(5) 核径,(6) 核円形度,(7) N/C比を画像解析装置で定量的に計測し, 両群で比較検討した.
    その結果, 臨床的悪性度大の群の擦過細胞像では, 核1個あたりの核小体数が多く (p<0.05), 核は正円形に近く (P<0.05), N/C比が大であった (P<0.001). 肺末梢型腺癌の擦過細胞像において核小体数, 核円形度, N/c比は予後推定因子となりうると考えられた.
  • 伊藤 仁, 篠田 玲子, 赤塚 由子, 覚道 健一, 長村 義之, 徳田 裕, 久保田 光博, 田島 知郎
    1989 年 28 巻 6 号 p. 824-829
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺組織の凍結切片, 捺印細胞標本を対象に免疫細胞化学的方法 (ICA法) を用いて悪性腫瘍および良性病変のEstrogen receptor (ER) について検討し, 同時に生化学的方法であるDCC法と比較した.
    ERは免疫細胞化学的に良性および悪性病変の上皮性細胞の核に局在した. またその染色性はさまざまであったが細胞標本は凍結切片をよく反映し穿刺吸引細胞診への応用が十分可能であると考えられた.
    DCC法との比較においては凍結切片, 細胞標本ともに90%以上の一致率を示し, さらにはICA法を併用することによりDCC法に起こりうる誤陰性を減らすことに有用と考えられた.
  • 石井 保吉, 藤井 雅彦, 長尾 緑, 若林 富枝, 張堂 康司, 佐久間 市朗, 伴野 隆久, 萩原 勁, 加藤 一夫
    1989 年 28 巻 6 号 p. 830-834
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳頭分泌物細胞診で常に問題となる乳管内乳頭腫と乳癌の鑑別点を明らかにするため, 各々10症例の蓄乳細胞標本を用い,(1) 標本の背景,(2) 標本上に出現している細胞集塊の大きさと集塊数,(3) 細胞集塊の形態として, マリモ状集塊および対細胞の出現頻度, 集塊の構築細胞層数,(4) 細胞個々の所見として, 核長径, 核形, 核小体数, 核小体の大きさについて検索し, 以下の結果を得た.
    1) 血性背景は乳頭腫, 乳癌ともに全例に認められた.
    2) 細胞集塊数に関して, 乳癌は乳頭腫に比較し2.5倍相当の量が得られた. 特に乳癌では30個未満の細胞からなる小型集塊が多く認められた.
    3) マリモ状集塊は乳頭腫で50%, 乳癌で90%の症例に出現した. 一方, 対細胞は乳頭腫で60%, 乳癌では80%の症例に認められた. また, 細胞の構築層数については乳頭腫で平均2層, 乳癌で平均3.4層という結果が得られ, 良・悪性の問に明らかな差が認められた.
    4) 細胞個々の所見については, 面庖型を呈する乳癌を除くと, 乳頭腫と乳癌との問に顕著な差は認められなかった.
  • 秋丸 琥甫, 庄司 佑, 清水 一, 片山 博徳, 枝川 聖子, 横田 隆, 大網 弘, 坪井 栄孝
    1989 年 28 巻 6 号 p. 835-841
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    粘性に乏しい細胞診材料では, 従来の湿アルコール固定後に免疫染色を行う過程で, 頻回の洗浄によりスライドグラスから多くの細胞が剥離脱落するおそれがある. そこで, われわれは細胞の剥離を防ぐ固定方法を見出すべく, 系代剖養されたCEA産生のヒト結腸癌細胞株C-1浮遊液を用いて, 種々の固定を施行後にCEAの免疫染色を試みた結果, 塗沫後ただちにドライヤー (冷風) 乾燥させ, 4%パラホルムァルデヒド (PF) で固定する方法が細胞脱落が少なく胞体のCEAも良好に染色される成績が得られた. この固定方法で手術標本 (43例) に対してCEA染色を行い, 同一例の組織標本でのCEA染色成績と比較した. 腺癌標本27例中17例が組織でCEAが陽性で, このうち12例 (71%) が細胞標本でCEA陽性であった. 一方, 同時に施行された湿アルコール固定細胞標本では9例 (53%) が陽性であった.
    免疫染色を行う細胞標本の性状 (粘性の有無) によっては, 従来の湿アルコール固定に加えて風乾PF固定も用い, 細胞の同定に役立てたい.
  • 伊藤 修, 加藤 浩, 村瀬 久, 小林 由樹, 近藤 明人, 柴田 偉雄
    1989 年 28 巻 6 号 p. 842-847
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Papanicolaou染色標本 (以下Pap. 標本と略) 下の細胞塊を選択的に剥離させ, 包埋, 薄切する, いわゆるPap. 標本からのもどしセル・ブロック法が行えるなら, 細胞診断上の利点は大きい.
    1. Pap-標本下の細胞塊の構築を, 組織診に準じて観察することができる.
    2. 同一細胞塊より多数の切片が得られるので, 特殊染色, 免疫化学染色を行って相互に比較, 検討ができる.
    3. カバーグラスを剥がした時点で細胞の透徹が完了しており, 従来のセル・ブロック法に比べて行程を大幅に短縮することができる.
    4. 使用した細胞以外は標本を封入し, 再度Pap. 染色での観察ができる.
    これらを実行すべく検討した結果, 大細胞塊から単離細胞にいたるまで, Pap。標本からのもどしセル・ブロック法が, 比較的容易に行いうるとの結論を得た.
  • 田中 恵, 伊東 英樹, 宿田 孝弘, 三好 正幸, 小泉 基生, 熊井 健得, 草薙 鉄也, 工藤 隆一, 橋本 正淑
    1989 年 28 巻 6 号 p. 848-855
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部に発生した腺癌・扁平上皮癌共存型を経験したので, その細胞学的, 組織学的, 電子顕微鏡的所見について検討し, 組織発生および細胞診断学に関して, 文献的に, またわれわれの経験した子宮頸管の正常・悪性腺細胞の, 同一細胞を試料とした, 光顕-走査型電顕-透過型電顕の連続観察所見とも比較検討し考察した.
    子宮頸部腺癌および扁平上皮癌の発生母地がreservece11である可能性が示唆された.
    またこの経路とは別に, 頸部腺癌では, precursorlesionを経過せずに, 癌化する過程も示唆された.
    子宮頸部上皮内腺癌および微小浸潤腺癌は, 細胞診断学上falsenegativeに陥ち入りやすい疾患とされているが, 同一細胞の走査型電顕一透過型電顕の連続観察を細胞診へ導入することにより, 診断精度が高まるものと思われた.
  • 清水 良明, 石田 禮載, 柳沢 弥太郎, 崎平 公子, 落合 和彦, 株本 和美, 天神 美夫, 寺島 芳輝
    1989 年 28 巻 6 号 p. 856-861
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮癌集団検診にてコルポスコープおよび子宮腟部細胞診を施行し, ホルモン産生腫瘍の存在を疑いえた症例を経験したので, 細胞標本のホルモン評価を加え報告した.
    症例は, 76歳の閉経後31年を経た婦人で, コルポスコープにて多量の頸管粘液と偽ビランを認め, 子宮腟部細胞診にてMIが右方移動を示し, なおかつ内膜細胞診では子宮内膜増殖症が疑われ, 何らかのestrogen活性の存在が示唆された. 術前のホルモン検査では, E252.1pg/mlと高値を示した. ホルモン産生腫瘍の診断のもとに手術が施行されたが, 左卵巣は多房性のendometrial cystが大半を占め, 一部間質の増殖が認められるのみで, いわゆるfunctioning tumorの所見とは異なっていた. また, 子宮内膜はcystic hyperplasiaの像を示し, estrogenの効果と思われた. 術後のホルモン検査ではE216.3pg/mlと低下しestrogenはやはり卵巣腫瘍より産生されていたと思われた.
    細胞標本のホルモン評価では, 本症例においてKPIとEIが高値を示し, 表層細胞の大きさは, 有意に小さかった.
  • 辻村 俊, 和田 昭, 石谷 智, 古田 美知子, 田中 育子, 橋野 義信
    1989 年 28 巻 6 号 p. 862-865
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胃癌が子宮頸部に転移することはまれであり, このため子宮頸部擦過細胞診で胃癌の転移を診断する機会はきわめて少ない. 今回, われわれは子宮頸部スメアーで転移性子宮癌と診断し, 胃癌の可能性を強く疑った症例を経験したので報告する.
    症例は36歳女性. 腹部膨満感, 下腹部の圧痛を主訴として来院. 子宮頸部スメアーでClass V, 転移性子宮頸部癌が疑われた. 臨床的には胃内視鏡検査および生検組織診で低分化腺癌と診断された. 治療の効なく腎不全で死亡後, 剖検にてBorrmann IV型の胃原発性低分化腺癌が確認された.
    子宮頸部スメアーは腫瘍背景に乏しいが, 少数の異型細胞が出現していた. これらの細胞は個々散在性にみられ, 胞体は空胞形成, 粘液貯留を示すものもあった. 核は核縁の不整, 肥厚を示しクロマチンの粗大凝集も認めた. 核小体はあまり目立たなかった. 一部の異型細胞は核の偏在が著しく印環型細胞であった. これらの所見から子宮頸部転移性癌, 特に胃癌からの転移が強く疑われた.
  • 五十嵐 信一, 真木 正博
    1989 年 28 巻 6 号 p. 866-871
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ミュレリアン混合腫瘍につき, 自験3例を報告するとともに, 臨床細胞学的検討, 特に酵素抗体法を用いた解析を行った.
    スクリーニングでの本症の診断は困難だが, 疑診と精査により正診率の向上が可能と思われた. Epithelial membrane antigen, ビメンチン, S-100蛋白のそれぞれの細胞での局在により, 由来組織を推定することがおおむね可能であり, 酵素抗体法は本症の診断に有用と考えられた. また, 分化度や組織型について, 細胞間の移行を示唆する所見が得られた.
    きわめて予後不良といわれる本症の予後改善のためには, 細胞診による早期診断と集学的治療が重要である.
  • 熊井 健得, 伊東 英樹, 岡崎 隆哉, 橋本 正淑, 藤沢 泰憲, 新井田 富子, 土橋 求
    1989 年 28 巻 6 号 p. 872-880
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣腫瘍において肉腫成分としてheterologous elementを有するmixed mesodermal tumorはきわめてまれで本邦では10数例の報告をみるにすぎない. 最近かかる症例を経験し, 細胞学的, 電顕的な検索を加えた. 症例は61歳, 2妊2産, 閉経51歳の主婦で下腹部腫瘤を主訴とし受診. 超音波診断CT診断にて骨盤内巨大腫瘍と腹水を認め, CA125 704U/mlにて悪性卵巣腫瘍を疑い, 両側付属器摘除術, 子宮全摘除術, 腫瘍と腸管癒着部切除・端端吻合術, 大網切除術を施行した. その後, 化学療法5クール施行後, CA125は正常値に復し, 現在術後12ヵ月で外来にて経過観察中である. 摘出物は下新生児頭大, 軟らかく壊死様の腫瘍でS字状結腸に癒着浸潤していた. 血性腹水約600mlを認めた. 捺印細胞診では, 孤立散在性の肉腫細胞と重積性で腺管様配列を示す類内膜腺癌細胞を証明した. 組織学的には類内膜腺癌と肉腫成分が混在する癌肉腫と考えられた. 肉腫成分についての組織の透過型電顕による検索では, 一部の細胞の細胞質内にthin filamentとthick filamentの2種類の細線維とZ帯の結合を認めたことにより, これについては横紋筋肉腫細胞と診断した. 腺癌成分についての同一捺印細胞の走査電顕, 透過電顕による観察では, 細胞はブドウの房状に集積し, 細胞表面の微絨毛が密な細胞と粗な細胞とを認め, 内部所見では巨大な核の辺縁性に核小体, 細胞間には接着装置を認め, 細胞内小器管は明らかではなかった. 以上の所見と文献とより本腫瘍のhistogenesisについて言及した.
  • 森田 恒之, 箱崎 半道, 金子 隆子, 古川 記志子
    1989 年 28 巻 6 号 p. 881-884
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣原発平滑筋肉腫はまれな疾患で, 文献上19例が報告されているにすぎない.
    70歳3妊3産婦, 右卵巣から発生した平滑筋肉腫の1例を経験したので, その捺印細胞像, 組織像所見および免疫組織化学的検索所見について報告する.
  • 坂本 伊豆美, 上坊 敏子, 蔵本 博行, 大野 英治
    1989 年 28 巻 6 号 p. 885-889
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌が心嚢に転移することは必ずしもまれではないが, 臨床的に心嚢転移が明らかになり, 細胞診により生前に診断される症例はきわめてまれである. われわれは生前に細胞診により診断し得た子宮頸癌の心嚢転移例を3例経験した. 3症例はすべてIb期の子宮頸癌で, 広汎性子宮全摘術, 骨盤リンパ節廓清を施行し, 3例ともに大細胞非角化型扁平上皮癌で, 多数のリンパ節転移, 著明な脈管侵襲を認めていた. 根治療法後, 1年, 2年, 5年を経過してから, 淡黄色または血性の心嚢液貯留を認めた. 細胞学的には, 血性背景の中に悪性細胞が集塊を形成し, または孤立性に出現している. 集塊の大きさは種々で, 重積性の著明なまりも状を呈するものが多く, 一部には柵状配列, 腺管様構造を認めるものもある. しかし, 腺癌とは異なり, 一見まりも状の集塊でも, 集塊を形成する細胞は扁平で同心円状に層状に配列していた. また細胞境界が明らかで, 細胞質内に層状構造を認めることより, 扁平上皮癌の転移と診断することが可能であった. 核クロマチンは増量し, 核の大小不同がみられ, 一部には奇形核も出現していた.
  • 山本 宏司, 渡部 直巳, 増子 栄, 阿部 庄作, 品川 俊人
    1989 年 28 巻 6 号 p. 890-893
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は39歳男性, 昭和59年に膀胱癌 (腺癌) の手術を施行した. 昭和61年より咳漱および血疾が出現した. 昭和62年より左半身マヒが出現した. 頭部CT写真では右前頭葉に腫瘤を認めた. 胸部X線写真では右上葉の無気肺および左下肺野の異常陰影を認めた. 気管支鏡検査では右上葉入口部および左B9, B10の入口部は腫瘤により完全に閉塞し, 右B10および左B8には小腫瘤を認めた. 擦過細胞診ではN/C比の大きい, 大小不同の目立つライトグリーンの胞体の細胞が一部で乳頭状の配列を示していた. 核の不整性および大小不同性が強く, 核小体も不整で大きいものが認められた.
  • 山田 章彦, 金澤 成道, 名方 保夫, 山口 桂, 平良 信弘, 山本 格士, 植松 邦夫, 藤岡 洋
    1989 年 28 巻 6 号 p. 894-897
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    きわめてまれな肺原発絨毛癌の1例について生前の気管支擦過細胞像と穿刺吸引細胞像が得られたので, 剖検時の腫瘍捺印細胞診を施行し, 組織像とともに比較検討を行った.
    症例は64歳の男性で, 主訴は左腋窩から背部の疹痛, 嚥下困難であった. 胸部レントゲン写真などから肺癌が疑われ, 経皮的肺生検により肺大細胞癌と診断された. 化学療法, 放射線療法を施行したが脳転移のため死亡した. 剖検では右肺上葉に原発と考えられる巨大な腫瘍があり, 肺, 肝, 脳などに転移を認めた. 組織学的にはLanghans細胞様およびsyncytium細胞様の2種類の細胞パターンを示し, 肺原発絨毛癌と診断した. 細胞像では, 変性が強く, 細胞診のみで組織型を決定するのは非常に困難と思われたが, Langhans細胞様細胞とsyncytium細胞様細胞が出現し, レトロスペクティブにみれば絨毛癌を示唆する細胞も認められており, 今回のように異型の強い2種類の細胞像が出現しているときは, 絨毛性腫瘍を疑うことが必要と考えた.
  • 小川 功, 赤荻 栄一, 村山 史雄, 石川 成美, 森田 理一郎, 塚田 博, 山部 克己, 船越 尚哉, 遠藤 俊輔, 神山 幸一
    1989 年 28 巻 6 号 p. 898-901
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺の炎症性偽腫瘍の2例の細胞像を報告した. いずれも肺癌が疑われたが, 術前診断は確定できなかった. 切除標本の割面より採取した細胞像を組織像と対比して検討した.
    切除標本割面から採取された細胞は, 線維化した胞巣内に種々の炎症性細胞が浸潤する組織像に一致して, 組織球, 形質細胞, リンパ球, 線維芽細胞などからなり, 特に多彩な組織球と形質細胞の出現が特徴的であった. 炎症性偽腫瘍に特異的な細胞は存在しないが, これらの細胞に注目することによって, 本症の推定が可能であると思われた.
  • 斎藤 誠, 原田 仁稔, 根本 浩, 立花 正徳, 吉田 初雄, 岩波 洋, 左近司 光明, 坪井 栄孝
    1989 年 28 巻 6 号 p. 902-909
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胸膜中皮腫自験6例の細胞標本を再検討し, 組織型別の細胞像の特徴を考察した. また, パラフィン包埋材料より得た組織標本から粘液および免疫組織化学的検索を試みた.
    悪性びまん性上皮型は, 立体的小型細胞集団と, 散在する大型細胞を含む平面的結合性疎な細胞集団からなり, 腺癌との鑑別が困難であった. この大型細胞は重厚な層状構造を示す細胞質を持ち, 細胞辺縁に微絨毛を認めた. また, 2, 3核までの多核細胞を含み, 特に2個の軸対称性の偏在核を持つ細胞は特徴的であると考えられた. 線維型あるいは混合型は, 類円形細胞と紡錘状細胞が混在し, 肉腫との鑑別が困難であった.
    粘液組織化学的検索では, 悪性びまん性上皮型の一部にのみ反応を認めた. 免疫組織化学的検索では, KeratinおよびVimentinに高い陽性率を認める一方, EMA (epithelial membrane antigen) およびCEA (carcinoembryonic antigen) に対する反応はほとんど認められなかった.
  • Raj K. Gupta, Tadao K. Kobayashi, Robert Fauck
    1989 年 28 巻 6 号 p. 910-913
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本論文では呼吸器材料から細胞診断を行い得たクリプトコッカス症の経験にっいて報告する. 細胞診所見および特殊染色を含むその他の検査所見にっいてもあわせて述べる. 臨床的に潜在する真菌症の診断において, 特に肺浸潤像を示す患者から得られた呼吸器材料の細胞診検査は有用性が高いことを強調したい.
  • 木村 多美子, 石原 明徳, 上森 昭, 小山 英之, 伊藤 英克, 矢谷 隆一
    1989 年 28 巻 6 号 p. 914-918
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は51歳, 女性. 右乳腺悪性葉状腫瘍にて単純乳房切除術施行. その後, 左腋窩, 左鎖骨下リンパ節, 右肺門部と転移を繰り返し, 17ヵ月後, 右胸水貯留を認めた. エコー下に胸水穿刺を施行し細胞診検査を行った. 患者は術後18ヵ月で呼吸不全のため死亡した.
    原発腫瘍巣から得られた細胞診標本では, 腫瘍細胞と乳管上皮とからなり, 腫瘍細胞は紡錘形で大小不同が著しく, 胞体がレース状で辺縁不明瞭, 不規則な突起が観察された. 核は紡錘形~楕円形のものが多く, クロマチンは粗顆粒状で不均等に分布し, 核縁の肥厚はみられなかった. 明瞭な大型の核小体 (円~不整形) が1, 2個観察された. 多数の多核細胞も認められ, 典型的な悪性葉状腫瘍の像を示した. 一方胸水中の腫瘍細胞は結合疎な平面状集塊として出現した. 細胞は小型化し, 核の円形化がみられ, 多核細胞の減少がみられた. 乳管上皮は観察されなかった. 電顕的, 免疫組織化学的検索の結果, 腫瘍細胞はmyofibroblastの特徴を示した.
    本症例の胸腔内転移の経路については, 臨床的に血行性転移や胸壁を介した胸腔への浸潤は認められず, リンパ節転移を繰り返していることから, リンパ行性に肺門あるいは縦隔リンパ節に転移し, 胸腔内に播腫したものと考えられ, まれな転移経路をたどった葉状腫瘍の1例である.
  • 譜久山 當晃, 田久保 海誉, 松井 武寿, 江良 英人, 高山 昇二郎, 東 靖宏
    1989 年 28 巻 6 号 p. 919-923
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    48歳女性の乳腺カルチノイドの1例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
    4ヵ月前からの乳腺腫瘤を主訴として来院し, 初診時左乳輪部に4.0×3.5cmの腫瘤を触知した. X線穿刺吸引細胞診にて, 悪性所見を得, 非定型的乳房切断術を施行した. ホルモンレセプター検査は, エストロゲンおよびフ. ロゲステロンレセプター陽性であった. 細胞所見は, 重積性に出現する比較的小型の細胞で, 細胞質は穎粒状でライトグリーンに淡染し, 泡沫状であった. 核は小型で類円形を示した. 核のクロマチンは穎粒状で中等度増量する異型性の乏しい腫瘍細胞であった. 病理組織学的所見としては, 腫瘍は充実性に増殖する大型の癌巣からなり, 腫瘍細胞は多角形を示し, 好酸性の細胞質と, 小型, 類円形の核を有していた. ときにロゼット様の配列を認めた. 腫瘍細胞は粘液染色陰性で, Grimelius法は, び慢性に陽性を示し, 酵素抗体CEA, NSE染色もまた陽性を示した. 電顕像では, 細胞質に多数の190~320nmの神経分泌型穎粒を認めた. 乳腺原発のカルチノイド腫瘍はまれで, 組織発生にも議論があるが, 上述の比較的異型の乏しい腫瘍細胞が得られた場合には, 乳腺の細胞診においても, カルチノイド腫瘍の存在を考慮する必要があると思われた.
  • 鏡 十代栄, 建部 勝彦, 山田 恭子, 浅野 ツヤ子, 関谷 政雄
    1989 年 28 巻 6 号 p. 924-929
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳頭分泌物の直接塗抹法により診断した1例および集細胞法 (蓄乳法) を併用しmicrodochectomyで確認した5例, 計6例のT0・Tis乳癌を用い乳頭分泌細胞診について検討した. 6例中3例は乳頭分泌物が唯一の自・他覚的症状であった.
    乳頭分泌物内には全例で赤血球がみられ, 4例で壊死物が認められた. 癌細胞の核長径は7~10μ と小型で, その細胞集塊は乳頭状構造を示す症例が多かった. 直接法と蓄乳法を比較すると後者では乾燥がなく良好な状態で観察でき, また得られた細胞集塊数は1~37倍と多く得られた. したがって直接法で判定不能であった3例が蓄乳法で陽性と判定できた. ただし1例は直接法で陽性であったが蓄乳法では疑陽性にとどまった. 組織学的には5例が非浸潤性乳管癌, 1例が浸潤性アポクリン癌であった.
    乳頭分泌物で陽性を示す症例では早期乳癌の頻度が高いことを考慮すると, 乳頭分泌細胞診, 特に蓄乳法は診断的意義が高く, また疑陽性例の存在などに対してmicrodochectomyの併用により診断率が向上できると考えた.
  • 藤本 恭士, 岡本 重禮, 永田 幹男, 蛇沢 晶, 斎木 茂樹, 伊藤 定子, 山田 喬
    1989 年 28 巻 6 号 p. 930-936
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    膀胱に低分化型移行上皮癌と, 一部に横紋筋への分化を示す肉腫が混在して発生したまれな1例を経験した.
    患者の尿中には低分化な異型細胞が発見されたが, 変性が強く術前に悪性の異型細胞を見出したが組織像の推定はできなかった. 術後切除標本を詳細に調べたところ, 大型な内腔へ隆起した腫瘍が2個あり, その多くは肉腫組織により占められており, 移行上皮癌は小部分であった.
    術後細胞像を再検討したところ, 異型細胞には大小2種類あり, 大型の紡錘型ないし不整形の細胞と, 小型円形細胞があった. 前者は, 横紋筋肉腫由来であり, 後者は, 低分化な移行上皮癌と横紋筋芽細胞であると推定されたが, 両者を剥離細胞像より区別することは困難であった.
  • 山上 修, 林 茂子, 中山 淳, 勝山 努, 金井 正光, 山口 建二, 岡根谷 利一, 井門 慎介, 丸山 雄造
    1989 年 28 巻 6 号 p. 937-942
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    検査所見, 病理所見, 免疫組織化学的染色所見から原発性精嚢腺癌と確診された41歳男性の症例を経験した. 本症例は尿中に多数の腺癌細胞が出現し, 諸検査の中で尿細胞診だけが悪性腫瘍の存在を示唆する陽性所見が続き, 細胞診が他臓器へ浸潤する前に発見されるきっかけとなった. 尿中に出現した異型細胞は核小体が明瞭な腺上皮系の細胞で, 核は偏在傾向が強く, 胞体は泡沫状, 多核白血球や組織球が多数認められる炎症性背景の中に, 辺縁明瞭な腫瘍細胞が平面的な細胞集団を形成する明細胞癌の特徴がみられた. 一部には乳頭状構造を有する細胞集団も認められたが, 腺管の形成は認められなかった. 手術材料の組織像は乳頭状腺癌で, 一部に明細胞癌の所見や靴鋲細胞の出現が認められた. 本症例は精嚢腺癌の組織発生を論ずるうえでも貴重な症例と考えられた. 尿中に出現する癌細胞の起源を的確に同定するために, 精管系上皮に由来する正常細胞あるいは腫瘍細胞の単に形態的な特徴だけではなく, 組織化学的に特徴的な反応を見い出す努力が, 今後必要であろう.
  • 谷村 晃, 長岡 栄, 赤尾 元一, 川元 博之, 杉原 誠
    1989 年 28 巻 6 号 p. 943-946
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    68歳女性の甲状腺原発悪性リンパ腫の1症例について報告した.
    本症例はエコー下で甲状腺穿刺吸引細胞診ではリンパ球に異型性乏しく, 各成熟段階を認めたため非腫瘍性病巣pseudolymphomaと考えた. 摘出時の甲状腺腫瘤の捺印標本では中型のリンパ球様細胞が多数を占めるも他の細胞成分の混在があり, 悪性リーンパ腫の診断はできなかった. しかし, 組織像では腫瘤は多数のリンパ組織よりなり, 大小のリンパ濾胞形成があり, 腫瘤中心部には中型リンパ球様細胞の増生がみられたことから, 悪性リンパ腫 (Follicular Lymphoma, 中細胞型) と診断した.
    濾胞型リンパ腫の診断はびまん型に比して困難であるが, 腫瘍形成性のリンパ組織の穿刺細胞診の際は常に念頭に入れて観察する必要性を痛感した.
  • 根本 充弘, 冨塚 幹男, 浅沼 勝美, 長山 礼三, 柏村 真, 大島 仁士, 田中 昇
    1989 年 28 巻 6 号 p. 947-952
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    無治療で経過中の慢性リンパ性白血病 (以下CLL) に, 肺癌が合併したきわめてまれな症例を報告する.
    症例は56歳, 男性で昭和56年7月, 他院にてCLLと診断され無治療で経過観察されていた. 昭和62年9月, 右鎖骨関節部腫瘤の出現などを主訴として入院.
    入院時の末梢血液所見は, 白血球数157,900/mm3, その96%は成熟リンパ球様細胞で占められ, また骨髄検査では同細胞が89.6%を占めていた. Flow cytometoryによる免疫学的リンパ球表面マーカーの検索でB細胞型CLLと診断された. また右鎖骨関節部腫瘤の穿刺吸引細胞診の結果, 腺癌細胞を認めた. さらに生検により転移性腺癌と診断され, その後の検索により原発巣は左肺下葉と確認された. 肺癌に対し化学療法による治療を開始したが, 呼吸困難増強し, 63年1月5日死亡, 病理解剖が行われた.
  • 杉島 節夫, 横山 俊朗, 吉田 友子, 金原 正昭, 自見 厚郎, 神代 正道, 亀山 忠光
    1989 年 28 巻 6 号 p. 953-956
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    尋常性天庖瘡の1例を報告した. 症例は38歳男性で, 口腔粘膜の発赤・びらんを主訴とし, 臨床的に多形性滲出性紅斑が疑われ, 口腔粘膜擦過細胞診が施行された. 多数の労基底~ 中層細胞に類似した異型細胞が孤立散在性あるいは平面的な細胞集塊で出現し, 核の腫大, N/C比の増加と単~3, 4個の著明な核小体を特徴とした. しかし核内は明るく核クロマチンの増加は認められなかった. これらの細胞は尋常性天庖瘡に出現するいわゆるTzanck cell (Acantholytic cell) に相当する細胞と考えられた. また, 免疫螢光抗体直接法にて口腔粘膜表皮有棘細胞間にIgGの沈着が認められ, 血中のIgG, IgA値も軽度上昇していた.
  • 根本 則道, 大井 富士郎, 長田 宏巳, 山田 勉, 稲庭 義巳, 桜井 勇, 藤井 司, 岡村 教生
    1989 年 28 巻 6 号 p. 957-962
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回われわれは胆汁細胞診所見から胆管癌を合併した肝吸虫症と診断された1例を経験したので報告する. 患者は66歳男性, 心窩部痛を伴う胸部不快感および軽度の肝機能異常を主訴に入院したが, 心電図上に虚血性心疾患の所見は認めなかった. 入院後閉塞性黄疸が出現し減黄のためのPTCDからの胆汁細胞診で多数の虫卵が認められ, その形態から肝吸虫症と悪性腫瘍の合併の可能性が示唆された. 手術を目的とした開腹所見では根治手術不能と判断され, 腫瘍部の試験切除, リンパ節摘出ならびに総胆管・空腸吻合術が行われた. 病理組織診断は低分化腺癌であり, リンパ節転移を伴っており, 下部総胆管原発と考えられた. 術後, PTCDチューブから成熟寄生虫体が採取され, その形態から肝吸虫Clonorchis sinensisと診断され, 肝吸虫症と胆管癌の合併が証明された. 従来から長期にわたる肝吸虫症の存在は肝内胆管癌発生の危険因子の一つにあげられている. しかし, 肝吸虫症感染は肝内・外を含めた胆道癌の危険因子の一つと考えるべきであり, 早期発見と適切な駆虫は本症の重大な合併症の一つである胆管癌の予防に重要であると考えられた.
  • 横山 繁生, 林田 蓉子, 長浜 純二, 岡田 和也, 多田 出, 小林 迪夫, 寺尾 英夫
    1989 年 28 巻 6 号 p. 963-969
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    2例の肝血管筋脂肪腫の捺印細胞診を検討する機会を得たので報告する.
    症例Iは41歳女性で, 肝右葉の血液に富む暗赤色調腫瘍であった. 細胞診では, 炎症細胞を背景に, 平滑筋由来と考えられる類円形・多角形から紡錘形の細胞がみられ, 多核細胞も散見されたが, 多くは2核で細胞異型は軽度であった. その他, 髄外造血に相当する巨核球・幼若顆粒球系細胞・赤芽球が混在しており, 脂肪細胞はわずかに認められた. 組織学的には, 発達した類洞内や上皮様の類円形・多角形細胞間に髄外造血を伴って, 血管・平滑筋・脂肪組織が混在していた. 脂肪組織はわずかで, 平滑筋組織優位の血管筋脂肪腫であった. 症例Hは39歳男性で, 肝尾状葉に存在する黄色調の腫瘍であった. 細胞診で採取された細胞はわずかで, 異型性に乏しい紡錘形細胞が少数みられ, 正常肝細胞の小塊が数ヵ所認められた. 組織学的には血管・平滑筋・脂肪組織よりなるが平滑筋組織はわずかしかみられず, 脂肪組織優位の血管筋脂肪腫で, 正常肝組織が散見された.
  • 井坂 晶, 渡辺 隆紀, 大森 勝寿, 箱崎 半道, 大槻 文子, 蛭田 道子, 吉田 京子, 益子 真由美
    1989 年 28 巻 6 号 p. 970-975
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本邦における悪性顆粒細胞腫の報告例は今だ20例にすぎない. 本症例は59歳の女性で胸部検診で異常影を指摘され精査の目的で入院し, 両側肺に腫瘤影があり特に右肺門に大きな数個の腫瘤があるため気管の圧迫による症状が出ている. 気管支擦過および経皮的肺生検を施行し悪性顆粒細胞腫を疑った. 症状改善の目的で左中下葉切除術を行い現在化学療法を継続中である. 組織診断は悪性顆粒細胞腫であった. また55歳および58歳のときに左大腿腫瘤を摘出しており, その組織標本の照合により当部位を原発巣と診断した. 細胞診, 組織診断の要点は, 細胞質内に多数の顆粒を認めた点で, 特に神経組織特異蛋白といわれるS-100蛋白染色を行い茶褐色に染まった顆粒を認めたことである.
  • 本山 悌一, 渡辺 隆夫, 田中 裕人, 飛田 賢一
    1989 年 28 巻 6 号 p. 976-977
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
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  • 林 和彦, 野坂 啓介, 飯田 智博, 浜田 宏, 向井 万起男, 藤沼 裕明
    1989 年 28 巻 6 号 p. 978-979
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
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  • 松本 敬, 山本 浩嗣, 大竹 繁雄, 加藤 拓, 松浦 千秋, 堀内 文男, 武田 敏
    1989 年 28 巻 6 号 p. 980-981
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
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  • 羽野 寛, 石川 隆之, 佐野 孝子
    1989 年 28 巻 6 号 p. 982-983
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
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  • 門馬 澄江, 塩森 由季子, 春間 節子, 堀 真佐男, 下田 忠和, 牛込 新一郎
    1989 年 28 巻 6 号 p. 984-985
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
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  • 松田 実, 松崎 幸子, 森本 好美, 藤川 茂樹
    1989 年 28 巻 6 号 p. 986-987
    発行日: 1989年
    公開日: 2011/11/08
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