日本臨床細胞学会雑誌
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29 巻 , 3 号
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  • 丹羽 憲司, 吉見 直己, 田中 卓二, 西川 秋佳, 加藤 一夫, 下中 恵美子, 坂本 寛文, 林 博文, 長谷部 正仁, 玉舎 輝彦, ...
    1990 年 29 巻 3 号 p. 363-368
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは, 電子結合素子 (charge-coupled device), いわゆる電子カメラを用いた画像解析装置 (rapid image sensor analytical system) を開発し, 子宮頸部スメア標本のうち, 複数の細胞診指導医により診断された4例のクラスIII b (54個の細胞) および3例のクラスIV (37個の細胞) を基準標本として, マハラノビスの汎距離による判別管理図を作製した. この判別管理図にスクリーナーが判定したクラスIII bの細胞81個 (14例), クラスIVの細胞33個 (11例) をそれぞれプロットすることにより, 細胞診の診断の標準化について検討した.スクリーナーにより判定された細胞はそれぞれ判別管理図の同じクラスのエリアにほぼ分布し, 細胞判定の精度は高かった.電子カメラを用いた画像解析装置は細胞診スクリーナーの細胞の判定をよく反映し, 細胞判定の精度管理に応用可能と考えられた.
  • 佐々木 恵子, 小西 二三男
    1990 年 29 巻 3 号 p. 369-373
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺良悪性病変の捺印細胞標本, 組織標本についてCA15-3を認識する115 D8とDF3, および抗Epithelial membrane antigen (EMA) 抗体を用い, これらの抗体が認識する抗原の局在部位, 陽性率, 陽性細胞数について検討し, 他臓器の良悪性病変との比較を行い, 以下の結果を得た.
    1) MAM-6 (115D8が認識する抗原), DF3抗原 (DF3が認識する抗原), EMAは, 乳腺良悪性病変の細胞標本, 組織標本ともに100%陽性であり, いずれの染色も乳腺良性疾患では一側の細胞膜縁に局在し, 乳癌では細胞膜縁と胞体内に強く陽性を示した.この局在様式の違いから良性・悪性の鑑別は可能と思われた.
    2) MAM-6, DF3抗原, EMAは, 他臓器の良悪性病変の細胞標本, 組織標本ともに陽性率が低く (40~70%), 良性・悪性での局在様式の違いも乳腺の場合ほど明らかでなく, 補助診断には不適当と考えられた.
  • 三浦 弘之
    1990 年 29 巻 3 号 p. 374-382
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳癌の生物学的特性をみるべく, 乳癌細胞の核内DNA量および核内タンパク量を顕微分光測光機を用いて測定した.DNAヒストグラムをI型 (2C pattern), II型 (2C・4C pattern), III型 (2C・4C serial pattern), IV型 (aneuploid pattern) に分類し, DNAヒストグラムおよび核内タンパク/DNA比が2.25 (2.0) 以上を示す細胞割合 (P/C>2.25 (2.0) 細胞割合) を検討し, 以下の結果を得た.
    1) 予後との関係: 3年6ヵ月以内の短期死亡例にはI型がなく, III型, IV型の割合が多かった.P/C>2.0細胞割合は, 短期死亡例に有意に高く, 7年以上の長期生存例でも高値を示す症例の大部分は6年目以降に再発し, 担癌生存中であることを認めた.
    2) 病期との関係: stage IにはI型が多く, stage IIIにIV型が多かった.
    3) 組織型との関係: 有意な関係は認められなかった.
    4) ERとの関係: 陽性例にI・II型が多く, 陰性例にIII・IV型が多かった.
    5) 閉経との関係: 閉経前症例にI・III型が多く, 閉経後症例にIV型が多かった.P/C>2.25細胞割合は閉経後に有意に多かった.
    DNAヒストグラムおよびP/C>2.25細胞割合は, 乳癌の生物学的悪性度, 予後推定に有用であると考えられた.
  • 上田 順子, 岩田 隆子, 横田 忠明, 山下 勝, 村上 喜信
    1990 年 29 巻 3 号 p. 383-390
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    第一報では, 胸, 腹水中の中皮細胞を培養し, その組織化学的所見および走査電顕像について報告した.そこで, 今回は培養中皮細胞の持っている各種マーカーに着目し, 免疫組織化学的手法によって経時的に検索を行い, in vitroでの中皮細胞の性格を検討した.
    1) 培養中皮細胞は増殖の盛んな培養初期では上皮性マーカー [高分子ケラチン (ker), EMA] は, 陰性を示した.しかし, monolayerを形成するころになると, まずEMAが陽性となり, 高分子kerも陽性化するものが認められた.低分子ケラチン (ck) については培養初期から陽性細胞が認められ, 培養経過とともに陽性細胞が増していった.
    2) 非上皮性マーカーであるVIMは, 培養中皮細胞では常に陽性を示した.
    3) CEAは培養の全経過を通じて陰性であった.
    以上の結果より, 培養中皮細胞は初期には非上皮性マーカーが陽性であるが, 培養経過中に形態変化を起こすとともに上皮性マーカーも陽性となり, 形態像だけでなく免疫組織化学的にも二相性の性格を示してくることが明らかとなった.
  • 林田 蓉子, 横山 繁生, 松尾 武, 穴見 正信
    1990 年 29 巻 3 号 p. 391-401
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌を細胞異型度によりgrade I~IVに分類し, 各gradeの細胞学的特徴について検討した.Grade Iの細胞は異型性に乏しく単調な細胞像を呈するが, 良性異型細胞と比較すると結合性が強く, 索状ないしはシート状の大型集団で出現していた.細胞は大型多角形で, 好酸性穎粒状の豊富な細胞質を有し, 核は円形で軽度増大し, 核小体も腫大していた.ときに胆汁色素や脂肪滴などがみられ, 核内細胞質封入体が目立つ症例があった.Grade IIでは腫瘍細胞の出現はさらに多くなり, 好酸性穎粒状の細胞質, 核・核小体の腫大, クロマチンの増加, N/C比の増大が著しく, ときに球状硝子体もみられ, 典型的な肝細胞癌の像を呈した.Grade IIIでは細胞の結合性は比較的疎となり, N/C比の増大や多核巨細胞の出現など異型性・多形性は最も著明であるが, 肝細胞としての特徴は減少していた.Grade IVの細胞は結合性のある細胞集団として出現し, 細胞質に乏しいN/C比の高い小型細胞で, 肝細胞の特微は全く消失していた. 以上のような各gradeの細胞像の特徴に加え, 肝細胞癌にときに出現する特殊型細胞についても検討した.
  • 平沢 浩, 舟橋 正範, 黒田 誠, 溝口 良順, 堀部 良宗, 笠原 正男
    1990 年 29 巻 3 号 p. 402-408
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    膀胱腫瘍のBacillus Calmette-Guerin (BCG) 膀胱内注入療法における尿細胞診所見について検討したので報告する.経尿道的腫瘍切除 (TUR) により移行上皮癌, G1~G3 (pT1) と診断された8症例のBCG投与前, 投与中の自然尿を対象とし, 細胞像, 癌細胞の出現様相, および背景所見について検討を行い, 以下の結果を得た.
    1. BCG投与前の細胞像, 出現様相, 背景所見はBCG投与有効例, 無効例との問に著明な差を認めなかった.
    2.BCG投与中の癌細胞は変性所見および特徴的所見に乏しく, 自然尿における細胞像のみからは治療効果の推定は困難であった.BCGが直接癌細胞に及ぼす影響は少ないものと考えられた.
    3.BCG投与有効例では投与中の背景所見として, 好中球の増加, 多核巨細胞, 類上皮細胞を認め, これら細胞の出現は治療効果の推定に有用な可能性があるものと考えられた.
  • 杉本 敬三郎, 藤本 郁野
    1990 年 29 巻 3 号 p. 409-416
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    パパニコロウ染色法は, 核染色後, 流水水洗色出しを行ない, 細胞質染色はOG-6液, EA液の2液を使用, 全行程約30分間を要する.今回われわれは, 迅速染色法の開発を目的に検討し, 以下の結果を得た.
    1) 核染色液をGill's処方に基づき作製した.
    2) 分別に0.5%塩酸・0.9%塩化ナトリウム水溶液を使用, 流水水洗色出しを省略した.
    3) 細胞質染色は, OG-6液とEA-50液の2液の中から3色素を選び, 95%エチルアルコール溶液中にリンタングステン酸ナトリウムと混合使用することにより, 従来のパパニコロウ染色法と色調は類似し, 十分染色可能であった.
    4) 流水水洗色出しの省略に伴い, 水道水のない場所での染色診断が可能となった.またそのような条件で使用可能な染色キャリヤートレイセットを開発した.
    5) 槌色の程度は, 約2年間暗室保存において従来のパパニコロウ染色法と比べ差はなかった.
    6) 両染色液とも作製後2年聞は染色可能であった.
    7) 200ml染色槽で両液とも最低400枚, 1週間染色可能であった.
    8) 染色全行程約5分間で, 迅速染色法として十分使用可能であった.
  • 株本 和美, 佐々木 寛, 寺島 芳輝, 椎名 義雄, 沢田 好明
    1990 年 29 巻 3 号 p. 417-423
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診にレクチン免疫染色を応用するために, プアン液中での固定時間と70%エチルアルコール液での保存時間の検討をした.
    使用した細胞はヒト卵巣漿液性嚢胞腺癌由来培養細胞HRAであり, ラブテックチェンバー中で単層培養を行い実験に用いた.レクチン免疫染色はCon A, SBA, PNAビオチン化レクチンを用い, ABC法を行った.プアン固定時間の検討では, 0.5, 1, 3, 6, 24, 48時間, 1, 2週間の各固定時間での染色性の比較を行った.その結果, プアン固定を24時間行う方法が最も良好な染色性を示した.次にプアン液中で24時間固定した後, 70%エチルアルコール液中での保存時間について検討した.保存時間は2, 48, 72時間, 1, 2週間と変化させ, 各保存時間での染色性の比較をした.70%エチルアルコール中で48時間保存した場合が最も局在の明瞭な染色が得られた.しかし, 1週間以上の保存時間では染色部位の局在がやや不明瞭となった.以上の成績より, レクチン免疫染色を行うための単層培養細胞の固定, 保存法としては, プアン液で24時間固定後, 70%エチルアルコール液に2~7日間の保存が有用と示唆された.
  • 宮平 良満, 岩井 宗男, 岡部 英俊, 吉田 吉信
    1990 年 29 巻 3 号 p. 424-428
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回, われわれは扁平上皮内癌を伴った子宮頸部カルチノイド腫瘍の1症例を経験し, その細胞所見および組織所見を中心に免疫組織学的検討を加えたので報告する.
    症例は34歳の女性で, 細胞診で小細胞非角化型扁平上皮癌と判定され, 生検材料でも同様の診断が得られたため, 手術および治療目的で当産婦人科へ入院した.摘出標本の組織像は, 小型の異型細胞が胞巣状, 柵状, リボン状の配列を示しており, Grimelius染色では多数の好銀性顆粒がみられ, また電顕所見においても神経分泌顆粒を認めたため, カルチノイドと同定された.また扁平上皮内癌も認められたため最終的にカルチノイド腫瘍と扁平上皮内癌の重複癌と診断された.剥離細胞所見では, 円形~類円形の裸核状の異型細胞が出現しており, 核クロマチンは細~粗穎粒状を呈していた.当初これらの細胞は小細胞非角化型扁平上皮癌と判定されていたのだが, 小細胞非角化型扁平上皮癌は核クロマチンが粗顆粒状を呈することが多く, 核小体が比較的目立つという点などに注意すれば鑑別は可能であったと考える.また子宮頸部カルチノイドを診断するうえで, NSE, Leu 7が神経内分泌マーカーとして有用であった.
  • 麦倉 裕, 工藤 隆一, 久田 孝司, 岡崎 隆哉, 伊東 英樹, 北崎 光男, 小森 昭人
    1990 年 29 巻 3 号 p. 429-433
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    外陰部に発生する比較的まれな乳頭状汗腺腫・papillary hidradenomaの1症例についてそれらの細胞像, 電顕所見を中心に報告する.腫瘍割面擦過細胞像では2種類の細胞集団の形態が認められた. それらは平面的に配列するシート状の集団と軽度の重積性に配列し腺管構造を有する細胞集団である.個々の細胞は軽度核の大小不同, 小型の核小体も認められ軽度細胞異型を認めるが, 大型の核や肥大核小体は認められず, 核の重積性が著明でないことより腺癌との鑑別診断の補助所見となると考えられた.電顕所見では細胞質が細胞より離脱するような所見と筋上皮細胞 (myoepithelial cells) が認められ, アポクリン汗腺への分化過程を示す所見と考えられた.
  • 石原 明徳, 小山 英之, 上森 昭, 木村 多美子
    1990 年 29 巻 3 号 p. 434-438
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    11歳女児の乳房に発生した乳頭部腺腫の穿刺吸引細胞像について報告した.細胞像の特徴を以下に示す.
    1) 吸引細胞量が多い.
    2) 大部分は結合性の強いシート状配列を示す細胞集塊からなり, 散在性に乳頭状集塊および孤立散在細胞がみられる.また細胞集塊の辺縁に乳頭状突出像が観察される.
    3) 核は類円形, 均一であり, 核クロマチンは繊細または微細顆粒状で核小体は目立たない.
    4) 筋上皮細胞が認められる.
    5) 背景に液状物が観察される.
    細胞診では良性の特徴を示すが, 乳頭状突出部や乳頭状集塊はN/C比の大きい小型細胞からなり, 核は濃染性で, 核形不整がみられ, 判定に際し注意が必要である.
  • 岡田 仁克, 中西 功夫, 吉田 稔, 道券 亮子, 谷本 一夫
    1990 年 29 巻 3 号 p. 439-444
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    穿刺吸引細胞診の塗抹標本の免疫細胞化学的検索が診断に有用であった乳腺原発悪性リンパ腫の1症例を経験したので, その細胞像と免疫細胞学的所見, 摘出標本の肉眼および組織像, 免疫組織学的所見および腫瘍細胞の電顕的所見をあわせ報告し, 種々の乳癌の免疫組織学的所見との差異を比較検討した. 症例は44歳の女性で左乳腺腫瘍を主訴として入院, 腫瘍の穿刺吸引細胞診では大小不同のあるリンパ球様細胞が多数, 孤立散在性にみられ, 悪性リンパ腫が疑われた. ついで塗沫標本のパパニコロー染色を0.5%塩酸アルコールで脱色後, leukocyte common antigen (LCA) に対する抗体を用いた酵素抗体法による免疫染色を行い, 腫瘍細胞膜に一致して陽性所見が得られたので, リンパ腫と診断された. 摘出標本の病理診断は非ポジキン悪性リンパ腫, びまん性, 大細胞型 (LSG分類) であった.本症例は免疫組織学的にリンパ球関連抗原 (LCA, MB-1, MT-1) が陽性であったが, 上皮性細胞マーカー (EMA, cytokeratin) は陰性で, 乳癌症例と明瞭に区別され, 乳腺原発悪性リンパ腫の診断に免疫細胞化学が有用であると考えられた.
  • 堀 隆, 平尾 喜美子, 藤元 里美, 稲本 和男, 矢野 由佳, 若田 泰, 山本 隆一, 高橋 健司, 宮岡 和子, 安田 廸之
    1990 年 29 巻 3 号 p. 445-451
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    寛解期の白血病患者の婦人科細胞診から白血病細胞を認めた1例を報告する. 症例は72歳, 女性.老人健診にて微熱と排尿痛および白血球減少を認めた.精査にて急性骨髄単球性白血病 (FAB分類M4E0) と診断され, 化学療法が施行された. 一時再発を認めたが, 診断から1年半後には, 完全寛解を維持されていた.完全寛解中に不正出血を認めたため婦人科を受診した.Colposcopyでは, 出血以外は年齢相応の所見であったが, 同時に施行した子宮膣部・頸管・体部の細胞診で, 単核の異型細胞が散在性にみられた.それらは円形ないし楕円形で大小不同がみられ (10~30μ), 細胞質はリンパ球のそれに比し豊富で淡い.核も大小不同がみられ核形不整が強くくびれや捻じれが目立つ. 大型で好酸性の核小体も数個みられた. Esterase二重染色にて骨髄系および単球系の細胞と同定され, 白血病細胞の子宮への浸潤と診断した.
    婦人科細胞診で白血病細胞がみられた症例は文献的にも少なく, 本例は寛解期に細胞診標本に白血病細胞が出現した非常に稀な症例と考えられた.
    女性の白血病患者には日常的に婦人科細胞診を行う必要があると思われる.
  • 園部 宏, 真辺 俊一, 大朏 祐治, 高橋 保, 宮崎 恵利子, 岡林 恵美子, 高橋 秀行, 川下 哲
    1990 年 29 巻 3 号 p. 452-456
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Clear cell sarcoma (CCSa) がまれな軟部腫瘍であるので, これまで細胞診に関する報告は少ない.その由来に関しては, 現在メラノサイトとする説が最も有力であるが, 必ずしも一致した見解は得られていない・このたび, 喀痰および胸水細胞診中に腫瘍細胞が観察されたCCSa例で, その細胞診ならびに免疫染色所見に, 原発腫瘍の組織学的および免疫組織学的検討結果を加えて報告する.
    39歳男性.右膝窩部に小指頭大の結節を生じ, 11ヵ月後に摘出した。病変は比較的境界明瞭, 弾力性硬, 2×3cm大で, 腓腹筋外側頭部腱膜に起こり, 割面は灰白色, 充実性, 分葉状を呈し, 組織診断はCCSaであった.以後経過良好であったが, 4年後に肺転移あよび胸水貯留をきたし, 喀痰および胸水中に上皮様腫瘍細胞が小集簇性~ 散在性に出現した.腫瘍細胞は, メラニン顆粒は認めなかったが, 大型類円形で淡明豊富な胞体を有し, 厚い核縁, 明るい核質を示し, 偏在する類円形核の中央にはきわめて明瞭な核小体を認めた.パパニコロー染色脱色後の胸水細胞診標本を用いた検討では, 腫瘍組織脱パラフィン切片での検討結果と同様に, 腫瘍細胞はPAS反応陽性, S-100蛋白陽性, HMB-45 (抗メラノーマ特異抗体) 陽性であった.以上のように, 本例における腫瘍細胞所見は, amelanotic typeの悪性黒色腫細胞の所見によく合致しており, CCSaのmelanocyte由来説を支持するものであった.
  • 三枝 圭, 正和 信英, 山田 喬, 川根 一哲, 岡本 一也, 室久 敏三郎
    1990 年 29 巻 3 号 p. 457-462
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    悪性の1例を含む6例のインスリノーマについて, その細胞像と組織像を形態学的に比較検討した.細胞像は症例により差違がみられたが, 全体として最も特徴的所見はクロマチンの所見であり, 明るい核質の中に細顆粒状ないし粗大顆粒状の凝縮がみられた.細胞の大小不同の少ない例は上皮様結合を示し, 大小不同のみられる例は細胞異型がより著しく, より散在性であった.組織像との相関をみると, その細胞異型は剥離細胞像と相関を示した.組織構築は, 充実胞巣状, リボン状, 腺腔形成状とそれらの混合型に分類されたが, その組織学的構築と剥離細胞像には直接の相関はなかった.悪性の1例は他の報告例にみられる細胞像とはかなり異なっていた.組織について酵素抗体法によりホルモン産生 (インスリン, ソマトスタチン, グルカゴン) を検討したがインスリンのみ全例に陽性であり, その染色性の程度と剥離細胞像にも相関がなかった.
  • 石原 明徳, 小山 英之, 上森 昭, 木村 多美子
    1990 年 29 巻 3 号 p. 463-467
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    患者は62歳, 女性.左上腹部の腫瘤を訴え来院した.CT検査にて膵体部の嚢胞性腫瘍と診断され, 腫瘍摘出術が行われた.腫瘍は組織学的に漿液性嚢胞腺腫と診断された.術中捺印細胞診では, 腫瘍細胞は結合性の強い, シート状に配列する集塊として出現し, 細胞質は広く, Pap.MGG染色では淡染または不染性であった.小型類円形の核は均一大で, 核縁は整であった.クロマチンは細顆粒状であり均等に分布し, 小型の核小体が認められた.PAS染色は本腫瘍の診断に有用であり, 細胞質は顆粒状に強染し, PAS陽性顆粒はジアスターゼで消化された.電顕的に豊富なグリコーゲン顆粒が観察され, ヒト胎児膵の腺房中心細胞に近い形態を示した.免疫組織化学的にEMA, MAM6, CA19-9, keratin, α1-AT, α1-ACTが陽性であった.
  • 川井 俊郎, 久保野 幸子, 斎藤 達也, 北村 諭, 斎藤 建
    1990 年 29 巻 3 号 p. 468-473
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    先天性嚢胞4例, リンパ管腫2例の縦隔嚢胞性病変の穿刺細胞像を報告した.
    胸腺嚢胞はリンパ球を背景に少数の上皮細胞, 気管支嚢胞は繊毛円柱上皮細胞, 心嚢嚢胞は中皮細胞, リンパ管腫は多数の成熟小型リンパ球により特徴づけられた.
    嚢胞性病変の診断にあたっては, まず肉眼的に嚢胞液を観察することが重要である. 良悪の鑑別は容易であるが, 細胞成分が乏しいことも多く, 丁寧に診断的細胞を検索することが必要である.
  • 半藤 保, 藤田 純子, 脇 睦恵, 斉藤 央
    1990 年 29 巻 3 号 p. 474-475
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 園部 宏, 真辺 俊一, 大朏 祐治, 岡田 雄平, 河合 凱彦, 西原 幸一
    1990 年 29 巻 3 号 p. 476-477
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 門馬 澄江, 塩森 由季子, 春間 節子, 二階堂 孝, 下田 忠和, 牛込 新一郎
    1990 年 29 巻 3 号 p. 478-479
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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