日本臨床細胞学会雑誌
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29 巻 , 4 号
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  • 石井 保吉, 藤井 雅彦, 糸数 りさ, 張堂 康司, 佐久間 市朗, 小宮山 京子, 深堀 世津子, 後藤 昭子, 杉下 匡, 石田 禮載
    1990 年 29 巻 4 号 p. 487-492
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    体内膜細胞診の判定に際しては, 細胞異型のみならず細胞集塊の構築, 特に細胞集塊からの分岐の状態の観察が重要であることを組織レベルで立証するため, 組織標本の連続切片を用いて組織構築の三次元的解析を行った.解析には正常体内膜5症例の体内膜腺25本, 腺腫性増殖症4症例の腺管25本, 高分化型体内膜腺癌 (G1腺癌) 3症例の腺管14本および6症例の絨毛様集塊30群を用いた.
    腺管500μ の長さに換算した分岐数の平均は, 正常体内膜腺では一次分岐が2.2ヵ所, 腺腫性増殖症では一次分岐が3.5ヵ所, 二次分岐が0.2ヵ所に認められた.一方, 癌の腺管については一次分岐が16.0ヵ所, 二次分岐が1.9ヵ所, 三次分岐が0.2ヵ所, 四次分岐が0.2ヵ所に認められた.また, 絨毛様増殖を呈する癌組織については, 五次以降の分岐まで多岐にわたる分岐が観察された.以上の成績は, 内膜細胞診におけるこれまでの観察結果とよく一致しており, 細胞標本においても, 集塊の分岐の状態に十分注目する必要があることが示唆された.
  • 古田 則行, 手島 英雄, 平田 守男, 山内 一弘, 荷見 勝彦
    1990 年 29 巻 4 号 p. 493-499
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診でヒトパピローマウイルス (HPV) 感染を推定するための細胞所見について検討した.
    HPVゲノムの証明にはDot blot hybridization法を用い, HPVゲノムの証明された72症例について検討した.
    結果: HPV感染細胞所見の出現率はparakeratosis 100%(72/72), koilocytosis 60%(43/72), smudge様濃染核60%(43/72), giant cell 21%(15/72), multinucleation 63%(45/72), condylomatous parabasal cell 28%(20/72), amphophilia 55%(40/72) であった.
    HPV感染細胞の出現率, 特異性, 細胞所見の組み合わせによる推定率を検討した結果, HPV感染を細胞診で推定するにはparakeratosis, koilocytosis, smudge様濃染核, giant cellの出現を重視することが肝要である.
  • 植木 実, 黒川 彰夫, 森川 政夫, 日下部 正, 木附 公介, 植田 政嗣, 御前 治, 清木 康雄, 安 行方
    1990 年 29 巻 4 号 p. 500-508
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部tissue repair cell (TR) の特徴と起源を明らかにするためにCINに対する1aser conization後の創傷治癒時の剥脱細胞を材料とし, 1枚はPap.染色とEMA, Vimentinのrestaining methodによる同一標本の免疫染色を行い, 他の1枚はPTAH染色標本で観察・検討した.これをすでに報告したlaser創傷治癒過程の組織所見とあわせて考察を加えた.
    その結果, TRはPap.染色の形態から間質起源 (STR), 上皮起源 (ETR), 起源不明 (UTR) に分類された.これらはEMAとVimentin免疫染色によって, その分類の妥当性が示唆された.またこれらは第1週から第8週に出現し, 特に大型核を有するTRを異型TR (ATR) とすると, それらはそれぞれのTRの最も多い時期 (2~5週目) に出現した.TRの起源に関しては, ETRは細胞形態と組織所見により扁平上皮の幼若細胞或は円柱上皮下予備細胞の増殖細胞と考えられた.一方, STRと比較的多くのUTRは, PTAH染色によって胞体内にmyofibrileが証明されたことから, それらは肉芽組織に存在するmyofibroblastであることが強く示唆された.このことにより, Bibboが推察したTR中の上皮以外の問質起源細胞の存在をほぼ証明したと考えられた.
  • 加藤 一夫, 吉見 直己, 篠田 徳郎, 岩田 仁, 原 明, 西川 秋佳, 藤井 雅彦
    1990 年 29 巻 4 号 p. 509-515
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ヒト肺の大細胞未分化癌の手術摘除材料から細胞株 (C-1509) が樹立され, 5年にわたって150代以上の安定した継代培養がなされている.
    G1509の細胞倍加時間は25~38時間で, 細胞の飽和密度は1cm2あたり16×105であった.ヌードマウスに皮下移植されたC-1509細胞は腫瘤を形成し, 手術摘除材料とほぼ同様の組織学的形態を示した.
    C-1509細胞は試験管内で糖蛋白CA54/61を産生し, その産生量は細胞増殖に従って増加し, 細胞の定常増殖期にはいる直前に最大値に達した.
  • 水野 義己, 杉浦 浩, 原 一夫
    1990 年 29 巻 4 号 p. 516-521
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    頬部の皮膚に原発し, 頸部リンパ節へ転移したMerkel cell carcinomaの1例を経験したので, その細胞像を中心に, 免疫組織学的, および電顕的検索を行い検討した.
    患者は66歳の女性, 近医で右頬部皮膚腫瘤を切除され, 病理組織学的に悪性リンパ腫と診断された.3ヵ月後右頸部リンパ節を触知し本院にてリンパ節摘出術および捺印細胞診を施行した.
    捺印細胞診Papanicolaou染色では腫瘍細胞は類円形で小リンパ球の1.5~2倍大で大部分は散在性に, また一部分には上皮様配列を思わしめる小集団も認めた.胞体に乏しくN/C比大で, 核は円形, クロマチンは細顆粒状で小さな核小体を数個認めた.電顕的には胞体に少数の直径100nmくらいのdense-core granulesを認めた.免疫組織学的には, keratin, neuron specific enolaseが陽性, vimentin, leukocyte common antigen, S-100蛋白, epithelial membrane antigenは陰性であった.
  • 中村 栄男, 蒲 貞行, 鬼頭 邦吉, 須知 泰山, 栗田 宗次, 谷口 祐博, 越川 卓, 原 一夫
    1990 年 29 巻 4 号 p. 522-525
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Interdigitating cell sarcomaの1例を経験したので, その捺印標本による細胞学的所見について報告する.症例は58歳男性で左頸部リンパ節に初発し, 3年後に空腸腫瘍を形成し切除された.組織学的, 免疫および酵素組織化学的, 電顕的検索によりinterdigitating cell sarcomaと診断された.捺印標本では単核あるいは多核腫瘍細胞が好中球, リンパ球に混じて認められ, 腫瘍細胞を特徴づける脳回様, 胎児様, まがたま様とも表現される特異な不整形核がより明確に認められた.また, 一部の細胞に細胞質内顆粒構造 (azur顆粒) が認められた.顆粒構造はGiemsa染色のみで観察可能であり, その生物学的意味については今後の検討を要すると考えられた.
  • 安達 博信, 吉田 春彦, 南崎 剛, 八島 正司, 森本 兼人, 古瀬 清夫
    1990 年 29 巻 4 号 p. 526-529
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    17歳男性の右大腿骨遠位端に発生し, 細胞学的に癌と鑑別を必要とした骨肉腫を報告した.
    腫瘍捺印標本では類円形の核を持つ腫瘍細胞がシート状配列を示し上皮様性格を示す部と多核巨細胞の混在する多形性の強い腫瘍細胞の孤在性の出現がみられたが, 類骨を疑わせる物質は認めなかった.捺印標本での酵素組織化学的検索では両細胞群ともアルカリフォスファターゼ強陽性であった.病理組織学的には捺印部の腫瘍組織は類骨形成を認めず, 細血管を問質とする多角形の腫瘍細胞が胞巣状構造を示し, 腎癌あるいは肝細胞癌を疑ったが, 手術時の大割切片で類骨を形成する骨芽細胞様の腫瘍細胞を認め骨肉腫と診断した.
    骨肉腫の細胞診標本においては類骨が不明瞭で細胞配列からも癌と鑑別を必要とする場合があり, 患者の年齢, 腫瘍の発生部位, レントゲン所見, 酵素組織化学的所見などを参考にして診断する必要がある.
  • 加藤 拓, 高橋 久雄, 佐藤 裕俊, 武田 敏, 窪沢 仁, 山本 浩嗣
    1990 年 29 巻 4 号 p. 530-534
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    85歳女性の胃に発生したMalignant leiomyoblastomaの1例を経験した. 腫瘍は肉眼的に胃噴門部大彎側に位置し, 大きさ6×5×4cmで, 粘膜面に大小5個の潰瘍形成を伴う粘膜下腫瘍の形態を示していた. 細胞学的に腫瘍細胞は孤立散在性で, 小円形~楕円形を示し, 核異型は強く, わずかにライトグリーンの細胞質を有する細胞と裸核状の細胞がみられた. 組織学的に腫瘍は固有筋層より発生し, 充実性配列を示した. 108/50HPFの核分裂像を有し, 血管侵襲と粘膜筋板への破壊性浸潤が時にみられた. PAS染色, グリメリウス染色陰性で, 免疫組織化学的にはEMA, Keratin, S-100, Desmin陰性であったが, Vimentinには部分的に陽性像を認めた. 電顕的に暗細胞, 明細胞, その中間細胞の3typeの細胞がみられ, 暗細胞には平滑筋細胞由来を示唆するpinocytotic vesicles, basal lamina, hemidesmosomeなどがわずかに認められた.
  • 及川 守康, 笹生 俊一, 菅井 有, 佐々木 淳子, 高山 和夫, 小池 博之
    1990 年 29 巻 4 号 p. 535-538
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    副腎皮質癌から捺印して得た細胞所見を述べ, 副腎皮質癌の形態学的診断基準について考察した.
    症例は40歳, 女性.腫瘍は560g, 13.5×12.0×7.5cmで被膜を有する副腎皮質癌であった.捺印細胞は, 散在性または塊状を示していた.細胞は類円形から卵円形で13μ 大の細胞で8μ 大の核を有するものと20μ 大の大型円形細胞で8μ 大の核を有するものがみられた.細胞質は泡沫状で, 大型細胞に融解状の細胞質をみた.核は類円形で, 切れ込みや不整な形を有するものがみられた.クロマチンは細胞から粗穎粒状で増量していた.2核のものもみられた.核分裂像は少数みられた.Vimentin, cytokeratinが陽性であった.組織学的に, 壊死巣, 被膜内静脈侵襲を認めた.細胞所見での核不整, 核分裂像と壊死性変化および免疫組織化学所見は副腎皮質癌を示唆するものと考えられた.
  • Gita Sayami, 海老原 善郎, Hiromi Serizawa, Harubumi Kato, Yoshihiro Hayata
    1990 年 29 巻 4 号 p. 539-543
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A 17-year-old male with effusion in the pleural cavity and a tumor on the left 7th rib was diagnosed by exfoliative cytological and histological examination of pleural fluid and biopsy specimen from the chest wall tumor.
    In the pleural effusion, small round cells with nuclear atypia were demonstrated as a mixture of monolayered clusters and single cells, with scanty and indistinct cytoplasm. The nucleus was round, supported by thin and smooth nuclear membrane, and hyperchromatic, showing finely granular chromatin pattern with one or two small but distinct nucleoli. PAS stain demonstrated intracellular glycogen. Histologically, biopsy specimen from the chest wall tumor yielded a diagnosis of round cell tumor, compatible with Ewing's sarcoma.
    Differential diagnosis of small round cell tumors was discussed from a morphological point of view.
  • 桜井 博文, 山上 修, 中山 淳, 勝山 努, 金井 正光, 浜 善久, 菅谷 昭, 伊藤 信夫, 本田 孝行
    1990 年 29 巻 4 号 p. 544-547
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    最近, 吸引細胞診が適切な治療に貢献できた, きわめてまれな正中頸嚢胞由来の扁平上皮癌症例を経験した.
    症例は57歳男性, 前頸部腫脹を主訴に近医受診, 正中頸嚢胞として吸引治療を数回受けた.当院初診時の超音波検査で正中頸嚢胞あるいは異所性甲状腺腫が疑われた.しかし, 吸引細胞診で核異型をともなう多形性著明な角化型扁平上皮癌細胞 (Class-V) が認められたため, 正中頸嚢胞由来の扁平上皮癌の診断のもとに, 術前放射線治療後, 摘出手術が行われた.
    腫瘍は嚢胞様で頸部正中, 舌骨前面に位置し, 甲状舌管と連続して存在していた.組織診で中分化型扁平上皮癌と診断された.癌組織周囲の嚢胞壁には繊毛上皮細胞と上皮内進展と考えられる癌組織が認められた.手術所見および病理所見より正中頸嚢胞由来の扁平上皮癌と考えられた.嚢胞壁には正常扁平上皮組織は認められていない.癌発生の少ない正中頸嚢胞においても癌細胞の出現を念頭におき検索する必要があると思われた.
  • 佐藤 賢一郎, 工藤 隆一, 水内 英充, 岡崎 隆哉, 佐藤 智子, 橋本 正淑, 塚本 勝城, 小森 昭, 古場 峰明
    1990 年 29 巻 4 号 p. 548-554
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診, 組織診にて子宮内膜明細胞癌と診断し, 走査型電顕, 透過型電顕観察を行った.
    細胞診: 1) 好塩基性で明るく豊富な細胞質. 2) 核の大小不同は軽度で偏在傾向を示し, クロマチンは微細穎粒状. 3) Eosinophilicな核小体を1~2個有する核. 4) 細胞の重積性は軽度で敷石状, 菊座型.5) Hobnail cellの形態を示す細胞の混在, などが特徴であった.
    走査型電顕所見: hobnail型の細胞はmicrovilliが短く, 粗で, 隣接細胞との問に間隙が認められ, 腺腔に向って直立していた.類球状の癌細胞の表面は比較的長く, 密なmicrovilliが観察された.
    透過電顕所見: hobnail型の細胞では糸粒体を囲む粗面小胞体, 脂肪滴, ライソゾーム, 狭いグリコーゲン野が特徴的な所見であった.
  • 市田 起代子, 久芳 俊幸, 中元 伊知郎, 井上 和明, 佐々木 健司, 奥平 吉雄, 松井 義明, 加納 英男
    1990 年 29 巻 4 号 p. 555-561
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    原発性卵管癌は, 婦人科悪性腫瘍の中でもきわめてまれな腫瘍である.今回, 術前の細胞診において膣部頸管スメア中に腫瘍細胞を認め, それが臨床診断に大きな役割を果たした卵管低分化腺癌を経験したので報告する.
    患者は46歳, 水様性帯下を伴う不正性器出血を主訴とし来院.エコー, CT, 細胞診の結果, 卵管腫瘍を疑い, 手術を施行した.術中腹水細胞診は陽性 (adenocarcinoma) を示し, 術後組織診断は, 右卵管原発の低分化腺癌であった.捺印標本ではPASおよびアルシアン青陽性物質をいれた小腺管様構造がみられたが, これは電顕観察所見におけるultramicroscopic alveolar spaceに相当するものと考えられた.
  • 宮川 智幸, 小泉 勉, 稲庭 義己, 絹川 典子, 桜井 勇
    1990 年 29 巻 4 号 p. 562-567
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    捺印標本にて推定し得た膣原発と考えられるendodermal sinus tumorの1例を経験したので, 免疫組織化学的, 電顕的観察を加えて報告する.症例は9ヵ月女児, 性器出血を主訴に入院, 直腸診, 腹部エコー, CTにて膣前壁の腫瘤が認められた.腫瘍が自然排出され, 割面より捺印標本を作成した.壊死背景の中にシート状または不規則な細胞集団を形成する腫瘍細胞がみられ, 類円形ないし不整形の核とライトグリーンに淡染するレース状の境界不明瞭な細胞質を有していた.細胞質内外には淡青色で無構造のhyaline globuleもみられた.病理組織像では類洞様, 細網様およびシート状配列を示す腫瘍細胞の増殖がみられ, PAS染色陽性を示す好酸性hyaline globuleを認めた.免疫細胞化学では, AFP, alpha-1-antitrypsinが陽性を示した。電顕的には, 豊富なグリコーゲン, 発達した粗面小胞体, ミトコンドリアが認められ, 自由面に微絨毛を持つacinar lumenを形成し, 細胞間にデスモゾーム結合もみられた.
    小児の膣に発生する腫瘍の多くは横紋筋肉腫であるが, まれにendodermal sinus tumorやclear cell carcinomaがみられ, これらの鑑別に捺印細胞診が有用であると考えられた.
  • 堀部 良宗, 笠原 正男, 平沢 浩, 船橋 正範, 是松 元子
    1990 年 29 巻 4 号 p. 568-569
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 中込 才, 川村 良, 松島 弘充, 印牧 義孝, 遠藤 誠
    1990 年 29 巻 4 号 p. 570-571
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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