日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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29 巻 , 6 号
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  • 山田 喬, 正和 信英, 吉武 淳郎, 大久保 幸俊, 浜島 秀樹, 長井 千輔, 半澤 儁, 岡本 一也
    1990 年 29 巻 6 号 p. 793-805
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺癌の細胞学的診断の実際において, 種々な臨床病理学的な問題を取りあげて, 総合的に論じた.とくに本編では細胞採取の問題を中心に以下の点について実際例の臨床像, 細胞像そして病理組織像を対比しながら考察を加えた.
    1.癌細胞採取上の問題点
    i) 肺巨細胞癌の壊死
    ii) 細気管支肺胞上皮癌の肺葉間を超えた進展
    iii) 予期しない悪性腫瘍が気管支内に侵入
    2.多種類の癌細胞の出現
    i) 小細胞癌の化生
    ii) 大細胞癌のparadoxicalな細胞所見
    iii) 肺芽腫と癌肉腫
  • 加藤 拓, 高橋 久雄, 金 弘, 桶田 理喜, 武田 敏
    1990 年 29 巻 6 号 p. 806-812
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    脳腫瘍45例における細胞塗抹標本を免疫細胞化学的に検討してみた.GFAPではependymomaを含めたglia系腫瘍に陽性であり, それ以外の腫瘍との鑑別に有用と思われた.またgliomaにおいては悪性度が高くなるにしたがい不均一性となり減少傾向を示した.NFPはglioblastomaの一部の症例とpituitary adenomaに陽性であり, glioblastomaにおいては異分化への発現が示唆された.VimentinはgliomaにおいてGFAPと逆相関する形で陽性となり, glioma細胞の脱分化が示唆された.Cytokeratinはmetastatic carcinomaとpituitary adenomaのみに認められ, 他の脳腫瘍との鑑別に有用と思われた.NSEは特異性を示さず多くの脳腫瘍に陽性であった.S-100はmetastatic carcinomaのみに陰性を示した.また染色性の違いにより細胞像がよく類似するmeningiomaとneurinomaとの鑑別にも有用と思われた.
  • 松田 実, 山登 直美, 和田 昭
    1990 年 29 巻 6 号 p. 813-818
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    甲状腺疾患の穿刺細胞診標本の中から, 摘出手術により組織診の行われた, 乳頭癌48例, 非乳頭癌5例, 良性疾患47例をat randomに選び, 1枚の標本より, 細胞集団を中心とした視野を10視野選び, 各々の視野内に出現した, 核内封入体, nuclear grooveおよびpsammoma bodyの数をすべて数えるという, 半定量的な観察を行った.その結果, 核内封入体は, 乳頭癌48例中35例72.9%に観察されたが, 非乳頭癌5例および良性疾患47例には観察されなかった.Nuclear grooveは乳頭癌48例全例, 非乳頭癌5例中4例80%, 良性疾患47例中36例76.6%に認められたが, nucleargrooveが, 10視野に10個以上出現した症例は, 乳頭癌48例中24例50%, 良性疾患47例中4例8.5%であった.すなわち, 甲状腺乳頭癌の診断には, 核内封入体の出現は, nuclear grooveの出現よりもはるかに特異的で診断的価値が高いが, nuclear grooveは, 標本中に多数出現した場合のみ診断に役立ち, 少数しか出現していない場合の診断的価値は低い.核内封入体の認められなかった乳頭癌13例中4例30.7%に, nuclear grooveが10視野に10個以上出現しており, このような症例では, nuclear grooveの診断的価値があると考えられた.Psammoma bodyの出現頻度は低かった.
  • 村田 晋一, 糸井 啓純, 浦田 洋二, 土橋 康成, 松塚 文夫, 芦原 司
    1990 年 29 巻 6 号 p. 819-828
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    私達の近年の開発研究に基づく顕微測光と画像解析の結合解析法を応用し, 顕微蛍光測光法による細胞増殖動態の解析単独では鑑別の困難な, 甲状腺の腺腫様過形成5例濾胞腺腫12例および濾胞癌12例を検索した.単離採取した一つひとつの細胞について, 細胞測光による核DNA定量と細胞核の形態解析 (面積, 周囲長, 核DNA濃度, 形状係数など) を対応させて行った.各症例について細胞周期の全ての時期の細胞 (全細胞) 群に対して形態解析を行うとともに, 細胞周期に基づく形状変化の影響を除外して客観的に形態学的特性を評価するために, 2倍体細胞 (G0-G1期細胞) 群に限定した解析も行った.その結果, 検索した腺腫様過形成, 濾胞腺腫および濾胞癌の核DNA量分布パタンは類似していたが, 2倍体細胞の核形態の不規則さは, 腺腫様過形成や腺腫よりも腺癌において有意に高度であることが定量的に示された.以上より, 本法が, 甲状腺腫瘍の良・悪性鑑別に, 細胞測光法や画像解析法単独による解析よりも, 有用であると考えられた.
  • 宮本 宏, 磯部 宏, 遠藤 隆志, 清水 透, 原田 真雄, 石黒 昭彦, 羽田 均, 秋田 弘俊, 井上 和秋, 川上 義和
    1990 年 29 巻 6 号 p. 829-834
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺扁平上皮癌 (63例) の擦過された癌細胞形態像と, フローサイトメトリーによって測定された核DNA量が患者の予後と関連があるかどうか検討した.細胞質のライトグリーン好染性および角化癌細胞の出現頻度と, 患者の予後の問に有意な関係はなかった.平均核径が11um以上の大型核優勢例の5年生存率は71%, 10μm以下の小型核優勢例は20%であった (p<0.001).Diploid腫瘍 (DNAindex, DI=1.0) の5年生存率は63%, aneuploid腫瘍 (DI≧1.1) は29%であった (P<0.01).平均核径とDNA量の組合せでみると, 大型核優勢で, かつDIが1.0の症例の予後は最もよく (5年生存率100%), 次に大型核優勢で, かつDIが1.51以上の症例 (71%) であった.しかし, 小型核優勢で, かつDIが1.51以上の症例は全例30ヵ月以内に死亡した.以上より, 扁平上皮癌を構成している細胞の平均核径と核DNA量の組合せをみることは, 肺癌の悪性度や, 患者の予後を推測する手段として有用である.
  • 坂本 寛文, 田中 卓二, 立松 輝, 杉江 茂幸, 吉見 直己, 稲葉 成基
    1990 年 29 巻 6 号 p. 835-838
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺腫瘍20例 (乳腺症6例, 線維腺腫7例, 乳癌7例) の細胞材料を用いて, コロイド銀染色によるAg-NOR (nucleolar organizer region) 染色を行い, 染色されたNORを画像解析装置にて検討した.その結果, NORの数および面積 (μm2) はそれぞれ, 乳腺症では1.74±0.69, 3.26±1.79, 線維腺腫では1.66±0.77, 3.79±2.20, 乳癌では4: 20±2.29, 12.5±7.10であり, 良性病変13例と悪性病変7例の問に統計学的有意差を認めた (P<0.05).以上の結果より, 乳腺細胞診材料にAg-NOR染色を応用し, NORの数および面積を測定することが良悪の判定に有用であり, また画像解析により, より客観的に判定できプレスクリーニングとしても応用できる可能性が示唆された.
  • 夏目 園子, 新福 正人, 佐竹 立成, 西川 英二, 大下 博史
    1990 年 29 巻 6 号 p. 839-844
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腎孟と尿管のみに腫瘍の限局していた8症例 (A群) と膀胱にも腫瘍が認められた8症例 (B群) を対象に, 自然尿と腎盂尿 (カテーテル尿, 腎瘻尿, 腎穿刺尿) における, 腫瘍細胞の出現頻度を調査し, 腫瘍の占拠範囲の大きさとの関係についても調査した.
    腎孟尿およびA群の自然尿中にはおのおの69%, 75%と高率に腫瘍細胞が認められた.
    腫瘍の占拠範囲の大きさは尿中の腫瘍細胞の出現頻度に影響するものと考えられた.
    上部尿路腫瘍の診断率を向上させるためには腎盂尿と自然尿の両者の細胞診を行い, 自然尿では4回以上の検査が必要と思われた.
  • 森 俊彦, 及川 洋恵, 伊藤 圭子, 那須 一郎, 米本 行範, 佐藤 滋, 金田 尚武, 東岩井 久, 佐藤 信二, 矢嶋 聰
    1990 年 29 巻 6 号 p. 845-850
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    宮城県の津山町では, 昭和41年からモデル地区として子宮頸癌検診を実施しており, 初年度は対象人口1596名中, 受診者数397名の24.9%で, 精検該当者数は10名であった.そのうち浸潤癌は1名, 上皮内癌2名, 異形成1名が検出された.検診受診率は47年以降30%以上を維持している.精検該当率は最近は1%台を示し, 精検受診率はいずれの年も全例受診し, 100%である.浸潤癌例は48年以降発見されておらず, 上皮内癌例は時に検出され, 異形成例はほとんど毎年数名ずつ発見されている.初回受診者数の割合をみると, 2年目の42年では46%であり, 最近は2ないし6%程度を示している.さらにこの子宮頸癌検診のモデル地区において10年間の検診未受診者の割合は44.0%, 20年間の未受診者数の割合は33.5%に達することがわかった.
  • 今野 良, 佐藤 信二, 堀口 正之, 鹿野 和男, 八重樫 伸生, 遠藤 敦, 千葉 英俊, 矢嶋 聰
    1990 年 29 巻 6 号 p. 851-857
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    当科STD外来にて診断, 加療したコンジローマ症例を対象にHPV (human papillomavirus) の検出を行った.10%緩衝ホルマリン固定後, パラフィン包埋により保存された生検組織標本 (外陰コンジローマ16例, 子宮頸部コンジローマ6例, male sexual partnerの陰茎コンジローマ13例) を対象にビオチン標識プローブを用いたin situ DNA hybridization (Vira Type in situ) により, HPV-6/11型の局在性を検討した.
    その結果, HPV-6/11型DNAは外陰コンジローマで68.6%, 頸部コンジローマで66.7%, 陰茎コンジローマで84.6%に検出された. sexual partnerにおいては, 12組中7組 (58.3%) でHPV-6/11型が男女ともに検出された.
    HPV DNAの局在をみると, 扁平上皮の表層で強いsignalが, 基底層では弱いsignalが得られ, 上皮の分化に伴うHPV DNAの増加が認められた.
    また, 組織学的検討の結果, HPV-6/11型によるコンジローマで悪性病変に至ったものはなく, 男女ともにmild dysplasiaが認められたに過ぎなかった.
  • 石原 浩, 金森 康展, 森下 嘉一朗, 皆川 幸久, 紀川 純三, 永見 光子, 松井 克明
    1990 年 29 巻 6 号 p. 858-862
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜癌, 子宮内膜増殖症, 正常子宮内膜の細胞診による鑑別を客観化する目的で, 細胞診標本の数量的検討を行った. 対象は組織検査で確定診断された内膜癌 (G1) 19例, 内膜増殖症 (腺腫性増殖症) 10例, 正常内膜10例 (増殖期5例, 分泌期5例) であった. 内膜細胞の採取はエンドサイトを用いた. 内膜癌の核径と核間距離の変動係数は大であり, 正常内膜では小であった. 一方, 内膜増殖症では核間距離の変動係数は, 核径のそれに比べて大であった. また, 内膜癌では, 核小体の増加, 大型核小体の存在, 総細胞集塊数の増加, 細胞集塊最外層核の突出, 3層以上の細胞重積, 出血性背景がみられること, 正常内膜細胞の混在頻度が少ないことが特徴的であった. 以上のことから, 子宮内膜細胞診における数量的検討は有意義であることが示唆された.
  • 横田 栄夫, 馬渕 義也, 細道 太郎, 木村 雅紀, 今井 秀彰, 吉田 恵
    1990 年 29 巻 6 号 p. 863-868
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胞状奇胎 (奇胎) 分娩後の管理における子宮腔内細胞診の意義について検討を行うために, 奇胎分娩後経日的に子宮内腔の吸引細胞診を施行し, trophoblast細胞の消退過程を尿中HCG値の経過とともに観察した.
    対象は胞状奇胎13例, 侵入奇胎4例である. 奇胎分娩後のtrophoblast細胞の検出率は1週目では13例中10例 (76.9%), 2週目では5例 (38.5%), 3週目では3例 (23.1%) と検出率が減少し, 4週目には全く検出されなくなる。Trophoblast細胞の検出されなくなった症例ではかわって子宮内膜修復細胞の出現をみた。またいずれの症例も尿中HCG値の消退に先立ってtrophoblast細胞の消失をみた.
    侵入奇胎の症例では4例全例に奇胎分娩後4週をこえても多数の異型性を有するtrophoblast細胞が検出され, 尿中HCG値も高値を示した。さらに化学療法の治療経過に伴いtrophoblast細胞の消失と子宮内膜修復細胞の出現, それに引き続く尿中HCG値の低下により病態の把握がより的確にでき得た。
    したがって奇胎分娩後の子宮腔内細胞診によるtrophoblast細胞の検出は奇胎分娩後の管理上大変有意義であり, 特に奇胎分娩後4週をこえてtrophoblast細胞が検出される場合には続発性変化を強く疑う必要性が示唆された.
  • 岩成 治, 都 仁哉, 中山 理, 柳光 寛仁, 吉野 直樹, 伊達 美江, 北尾 学, 三浦 弘資, 中西 慶喜, 森脇 昭介
    1990 年 29 巻 6 号 p. 869-876
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    老人保健法の検診対象になっている不正子宮出血のある症例から, 非腫瘍性内膜, 子宮内膜増殖症, 子宮内膜癌を細胞診により早期に, より正確に診断する目的で, 子宮内膜擦過細胞診所見をscore化して, scoringによるscreenigを試み検討したので報告する。
    1) retrospectiveに, 30歳以上の122例 (正常子宮内膜97例, 子宮内膜増殖症8例, 子宮内膜異型増殖症5例, 子宮内膜癌12例) の得点数のmean±2SDを算出した結果より, 0~6点を正常内膜, 7~12点を増殖症, 13~18点を内膜癌と推定することができた (18点満点).
    2) prospectiveにscoringした嚢胞性腺増殖症3例, 腺腫性増殖症9例, 異型増殖症9例, 子宮内膜癌 (G1) 11例, 子宮内膜癌 (G3) 3例の正診率は, 73.3%, 66.7%, 71.5%, 72.7%, 93.3%であり, 検出可能率 (7点以上の割合) はそれぞれ73.3%, 80.0%, 88.6%, 100%, 100%だった.
    3) scoring使用による子宮内膜増殖症以上 (含子宮内膜癌) のfalse negativeは6.2%, 子宮内膜癌だけのfalse negativeは0%であった. 一方正常子宮内膜のfalse positive (7点以上) は7.5%で, さらに13点以上で正常子宮内膜症例であったものは1.2%と低率であった.
    4) 従来におけるscoring未使用の細胞診結果は, 子宮内膜増殖症以上 (含子宮内膜癌) のfalse negativeは7.0%, false positiveは17.2%であった.嚢胞性腺増殖症・腺腫性増殖症の検出可能率は10%(1/10), 異型増殖症は50%(4/8), 子宮内膜癌は80%(16/20) であった.
    以上の結果より子宮内膜病変のscreeningにおいて, scoringによる細胞診が有効であることが示唆されたので報告する.
  • 井門 明, 清水 哲雄, 坂井 英一, 藤田 結花, 辻 忠克, 佐々木 正美, 小野寺 壮吉, 藤田 昌宏
    1990 年 29 巻 6 号 p. 877-882
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    きわめてまれな肺原発の良性線維性組織球腫の1例を経験したので報告した.
    症例は52歳女性で, 健康診断にて胸部X線写真上異常陰影を指摘され入院した. 右下葉に径30mm×25mmのだ円形で辺縁鮮明・均一な濃度を有するcoinlesionを認め, 諸検査の結果, 悪性腫瘍の疑いが否定できなかったので, 腫瘤摘出術を施行した. 腫瘤は表面平滑・弾性硬で, 組織学的にBFHと診断した. 細胞所見は, 核異型に乏しい線維芽細胞様細胞と組織球様細胞が混在して認められ, 細胞集塊はstoriform patternに類似した細胞配列を呈していた.
    本疾患は, 肺に原発することはきわめてまれで, さらに術前診断は容易ではないと考えられるが, 細胞診にてstoriform patternを呈する線維芽細胞様細胞および組織球様細胞を認めた場合, 本症の可能性を考慮して細胞所見を検討する必要があると考えられた.
  • Yasuhiro Nakamura, Takeo Yaguchi, Kozue Masaike, Hideaki Yanai, Yoshin ...
    1990 年 29 巻 6 号 p. 883-885
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    糞線虫症を喀啖細胞診で偶然診断しえた1症例を報告した. ラブジチス型とフィラリア型の両方の幼虫が多数喀啖中にみられた. 患者は珪肺, 結核, 胃癌で治療中で免疫機能の低下した状態にあった. 多くの糞線虫幼虫が肺にみられたのは, この寄生虫に特有の自家感染によるものと考えられた.
  • 設楽 保江, 馬嶋 恵子, 塩沢 由美子, 川口 研二, 船田 信顕
    1990 年 29 巻 6 号 p. 886-892
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    反応性中皮細胞との鑑別が困難で, かつ, 細胞質内に特異な結晶様構造を認めたきわめてまれな悪性中皮腫の1例を経験したので報告する.
    症例は61歳男性. 胸水貯留を主訴とし, 精査目的のため当院に入院. CTにて軽度の右胸膜肥厚を認めるのみで, 胸水細胞診, および胸膜生検行うも確定診断にいたらなかった. 他院で胸水穿刺排液にて経過観察されていたが, 穿刺部が徐々に膨隆してきたため再入院した。胸水は著しく粘稠となり, 胸水細胞診, 腫瘤部生検により上皮型悪性中皮腫と診断された.
    初回入院時, 胸水細胞診所見では多数の中皮細胞が出現しており, 一部乳頭状集塊を作る傾向があるものの, 個々の細胞に異型はほとんど認められなかった. しかし, 多数の細胞の細胞質内に特異な結晶様構造を認めた. これらは電顕的に, 12.2nmの周期を有する細線維をいれた粗面小胞体の渦巻状構造物であり, この構造は再入院時に摘出された生検腫瘍細胞にも認められた. 2回目入院時, 胸水の粘稠性が高度であり, 大型の乳頭状集塊を形成する細胞が認められることから, 中皮腫と診断したが, 初回入院時胸水と同様細胞異型はほとんど認められなかった.
    悪性中皮腫の診断において, 細胞異型の他に, この症例で認められたような結晶様構造物を, 悪性を診断するうえでの指針の一つとして検討する必要があると考えられた.
  • 園部 宏, 真辺 俊一, 大朏 祐治, 大原 栄二, 宮崎 恵利子, 植田 庄介, 高橋 保, 森木 利昭
    1990 年 29 巻 6 号 p. 893-897
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    これまで類上皮肉腫の細胞診に関する報告は数少ない. われわれは, 29歳男性で8年前に左前腕皮下小結節として発症し, 治療にもかかわらず, 再発および四肢, 躯幹皮下に多発性転移をきたした類上皮肉腫の典型例について報告する.
    組織学的には, 核異型を示し, 好酸性豊富な胞体を有する上皮様腫瘍細胞が, 中央部に壊死巣を, また周辺部で強い線維化を伴ってシート状ないし索状に増殖していた. 電顕的には, 腫瘍細胞は正染色質に富み, 核小体糸の明瞭な核小体をもつ類円形核を有し, 細胞質には不規則に走行する多数の中間径フィラメントをみ, 一部で少数の短い絨毛や貧飲空胞を認めた.
    捺印細胞診では, 腫瘍細胞は多角形から瘡類円形でシート状に認められ, むしろ薄く平滑な核縁, 粗に分布するか粒状クロマチン, 1~2個の明瞭な核小体を有する類円形核と淡明ないし濃染性豊富な胞体を有していた。少数の核分裂像も認めた. 腫瘍細胞は免疫染色法ではKeratin, Vimentin, EMA陽性, S-100蛋白陰性であった. したがって, このような腫瘍細胞の特徴的所見が得られれば, 本腫瘍を細胞診によって判定することは十分可能と考えられた.
  • 太田 秀一, 九島 巳樹, 風間 和男, 津田 祥子, 鈴木 孝夫, 斎藤 多紀子
    1990 年 29 巻 6 号 p. 898-902
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    睾丸原発の悪性リンパ腫の1剖検例を経験した. 陰嚢穿刺吸引細胞診では, セミノーマを疑ったが睾丸の手術材料で混合細胞型の悪性リンパ腫と診断された. 細胞診でセミノーマ細胞とリンパ腫細胞をいかに鑑別するかを検討したので報告した. 症例は82歳の男性で熱発および右陰嚢腫大を主訴として入院.入院時, 表在のリンパ節の腫大はない. 右陰嚢は鵞卵大に腫脹しており, 穿刺吸引細胞診では大型の円形細胞と小型のリンパ球様細胞が, 結合性なくみられた. 当初はセミノーマを疑ったが, 睾丸摘出材料でびまん性混合細胞型の非ポジキンリンパ腫, Bcelltypeと診断された.剖検で, リンパ腫細胞の浸潤を左睾丸, 心臓, 大腸, リンパ節 (左鎖骨窩, 気管周囲, 腸間膜) に認めた.
    セミノーマと混合細胞型非ポジキンリンパ腫の細胞診での鑑別上重要な点は, セミノーマでは一部に集合性がみられ, 大型の腫瘍細胞とともに小リンパ球がみられる. それに対し悪性リンパ腫では大型のリンパ腫細胞と中型のリンパ腫細胞がみられる. また高齢者の睾丸腫瘍では悪性リンパ腫の方が頻度が高いこと, 免疫染色が有効であることなどである.
  • 佐藤 泰, 三浦 敏也, 長谷川 清美, 葛西 巳智子, 岡田 妙子, 三浦 ヨウコ, 石岡 国春, 東岩井 久, 木村 伯子
    1990 年 29 巻 6 号 p. 903-907
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    穿刺吸引細胞診にて診断された多形細胞型腎細胞癌の1例を報告する. 本症例の患者の主訴は異常な体重の減少と, 高度の食欲不振であった. CT-scanにて腎腫瘍を認めたが自然尿細胞診にては, 腫瘍細胞の確認はされ得ず, 腫瘍からの直接穿刺吸引細胞診を施行した. Papanicolaou染色で, 細胞の高度の大小不同性や, 多形性, 核内所見の多彩性などにより, 多形細胞型腎細胞癌と診断された.
    本症例の摘出標本では, 肉眼的には, 原発部位が特定し得ないほどに広範囲に腫瘍が浸潤し, その組織像も, 紡錘形細胞が充実性増殖や索状配列を示し, 巨細胞が混在するなど, 非上皮性の腫瘍を思わせた. その所見は, 穿刺吸引細胞診の細胞像にもそのまま反映していた. 多形細胞型腎細胞癌はまれな腫瘍でもあり細胞診断は一般的には困難なものと思われる. 本症例は細胞診で確定を診断し得たが, その細胞所見を文献的な検討を加えて報告する.
  • 大朏 祐治, 真辺 俊一, 園部 宏, 岡田 雄平, 河合 凱彦, 中川 秀和, 西原 幸一
    1990 年 29 巻 6 号 p. 908-911
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは転移を認めた膵の類破骨細胞型巨細胞癌症例の捺印細胞, 免疫細胞学的ならびに走査電顕所見について検索したので報告する.
    症例は71歳女性で, 昭和63年10月末に閉塞性黄疸のため入院し, 胆嚢・膵頭部に腫瘍が見出された. 手術材料では, 径5×5.5cm大の膵頭部腫瘍, 径3cm大の胆嚢腫瘍ならびに総胆管周囲リンパ節腫大を認めた. いずれも灰白ないし赤褐色で壊死を伴っており, 境界は比較的明瞭であった. 捺印細胞所見は膵と胆嚢腫瘍は同様で, 胞体豊富な多核細胞と単核細胞が認められ, 明瞭な核小体を有し, 核質は明るい. 多核巨細胞は, 破骨細胞に類似していた. S-100蛋白α亜分画抗体とMB+抗体が多核巨細胞胞体に陽性であった. 走査電顕所見では, 大型から小型のものが区別され, 核に対応する部での陥凹や表面にPitsを認め, 互いに不規則な突起をのばして混在していた.
    これらの所見は, 病理組織学的検索結果に支持された膵の類破骨細胞型巨細胞癌の捺印細胞像であり, 本腫瘍はまれではあるが, 通常の巨細胞癌に比し予後はよく, 特徴的な所見を有しているので, 膵十二指腸部腫瘍の診断に際して十分に留意すべき疾患と考える.
  • 竹原 正輝, 伊東 英樹, 早川 修, 水内 英充, 佐藤 賢一郎, 宿田 孝弘, 工藤 隆一, 橋本 正淑
    1990 年 29 巻 6 号 p. 912-919
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは当教室で経験した4例の腟原発悪性黒色腫 (以下, 悪性黒色腫) に関して, 細胞診, 組織診の観察を施行し検討した. 細胞診はPapanicolaou染色後, 200倍, 400倍にて観察し, その特徴に関して検討した. また, 最近経験した症例に関しては, 組織の特殊染色の他に剥離細胞における光顕 (LM)-走査電顕 (SEM)-透過電顕 (TEM) 同一資料連続観察を施行した. 観察結果は以下のとおりである.
    1) 核内空胞は見当たらなかった. また細胞相互封入, 組織球細胞質内のメラニン顆粒の存在は1例のみであった.
    2) 細胞配列は大部分, 散在性であったが, 一部グループ形成を認めたがその結合性は疎であった.
    3) 核縁は切れ込みを持ち, いわゆる馬蹄型を呈することが多かった.
    4) 細胞計測の結果, 平均細胞長径は16.5μ, 平均短径は12.8μであり, 小型で卵円形から紡錘形の細胞であった.
    5) 剥離細胞におけるLM-SEM-TEM同一資料連続観察にて, メラノソームが確認され, その直径は0.2~0.3μであった.
    以上の結果より, われわれはメラニン顆粒の存在しない症例に対しては細胞診上, 小型で卵円形から紡錘形を示す細胞で, その細胞配列が肉腫と上皮系悪性腫瘍の中間に位置するような場合, 諸家が提示した特徴を参考にし, その存在を疑うべきと考える. さらに今回, われわれが施行した剥離細胞におけるLM-SEM-TEM同一資料連続観察は生検を必要とせず, メラノソームの確認ができ, 非常に有効な診断法と考える.
  • 堀本 江美, 小泉 基生, 山川 康, 寒河江 悟, 福島 道夫, 田中 昭一, 工藤 隆一, 橋本 正淑
    1990 年 29 巻 6 号 p. 920-924
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮原発の悪性リンパ腫を経験したので報告する. 症例は70歳。主訴, 性器出血. 水腎症, LDH高値, 精神症状を認めた. 病理組織診ではLSG分類のnon-Hodgkin lymphoma diffuse, mediumsizedcell, B cell type, 子宮頸癌臨床進行期分類IV b期, Ann Arbor分類II E期であった. 子宮頸部細胞診では出血を背景にN/C比がきわめて大で, 裸核状にみえる円形の細胞が散在性に出現していた.
  • 佐藤 明正
    1990 年 29 巻 6 号 p. 925-926
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 北沢 荘平, 佐藤 清
    1990 年 29 巻 6 号 p. 927-928
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 古谷津 純一, 喜納 勝成, 川島 徹, 霜多 広, 石 和久, 八木 義弘
    1990 年 29 巻 6 号 p. 929-930
    発行日: 1990/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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