日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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30 巻 , 1 号
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  • 山田 喬, 正和 信英, 吉武 淳郎, 浜島 秀樹, 三枝 圭, 輿石 匡司, 半澤 儁, 岡本 一也
    1991 年 30 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本総説の前編 (その一) として肺癌細胞診における細胞採取に関係のある実際的問題について論じた.
    その後編 (その二) として以下の諸点についての問題点を論じたい.
    1. 異常な肺の転移性腫瘍
    2. 肺門部扁平上皮癌の異時多発性
    3. 肺のKulchitzky細胞由来と考えられている一連の腫瘍
    4. 肺癌細胞診におけるfalse positive診断の原因
  • 森澤 孝行, 蔵本 博行, 大野 英治, 今井 忠朗
    1991 年 30 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腺腫性増殖症 (腺増殖) 31例およびコントロールとした正常増殖期20例より得られたEndocyte採取による内膜細胞標本を比較して, 腺増殖が細胞診断可能かどうかにつき検討した. 腺増殖で高頻度に認められた所見項目は, 集塊に関しては半島状突出, 乳頭状突出, 不整形小集塊, 最外層細胞の突出, 腺構造の増強・腺上皮の重層化の5項目, 核所見については腫大・大小不同, 不整形, 核縁肥厚, クロマチン増加, 核小体の出現, 配列不整の6項目, および背景の汚染を含めた合計12項目であった. これらの項目の陽性数から, 8項目以上を含む38.7%は腺増殖との推定診断が, 5~7項目を含む41.9%は細胞標本からスクリーニング可能と想定された. 一方, 4項目以下であった19.4%では検出不能と思われた. 12項目のうち8項目はx2検定にて有意と判定され, これらの陽性数から, 45.2%は推定診断が, また41.9%はスクリーニング可能と想定された.
  • 寺本 勝寛, 原 仁, 高見 毅司, 千島 史尚, 大久保 喜彦, 小平 博, 木村 正博, 石井 恵理, 高相 和彦, 小山 敏雄, 須田 ...
    1991 年 30 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜妊娠様変化, 特にArias-Stella reactionの細胞像を検索するために, 子宮内膜吸引細胞診と内膜全掻爬術を行い, 病理学的にArias-Stella reactionの診断がついた, 妊娠2ヵ月遷延流産2例 (過分泌型1, 再生増殖型1), 侵入奇胎1例 (再生増殖型), 右卵管の絨毛癌1例 (過分泌型) の子宮内膜細胞像を検討し, 以下の細胞学的所見を得た.
    (1) 核は大型核である.
    (2) 核型は円, 卵円形が多いが, 不整形や陥入像を有するものまである.
    (3) 核内所見は, 核膜に溝やしわをもち, 大小不同を認めるが, 核膜肥厚がなく, クロマチン顆粒が微細顆粒状で, 核小体のめだたない軽度異型をもつもの (過分泌型, 再生増殖型) から, 核膜肥厚, 明瞭な核小体を認め, クロマチン顆粒の増量のある悪性細胞と鑑別が必要な高度異型をもつもの (再生増殖型) まで出現する.
    (4) 細胞質は豊富でシート状または蜂巣状である.また, 軽度重積を示すものも認められるが, 細胞質境界明瞭なモザイク配列を示す.
    (5) 過分泌型では, 背景に赤色粘液顆粒が豊富にある.
  • 田中 博志, 田崎 民和, 高村 邦子, 蓮尾 泰之, 藤吉 啓造, 森 一朗, 福富 毅, 片岡 明生, 薬師寺 道明
    1991 年 30 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部病変とhuman papillomavirus (H.P.V.) の関連について, dot blo thybridization法およびsouthern blot法 (H.P.V.DNA診断キットFO-8830) を用いて検討して以下の結果を得た.
    1) 細胞診異常を示さない無症候患者におけるH.P.V.-DNAの検出率は2/100 (2%) であった.
    2) 細胞診異常を示した症例におけるH.P.V.-DNAの検出率は45/145 (31.0%) で, 若年者とくに20歳台に多い傾向を認めた.
    3) 子宮頸部病変におけるH.P.V.-DNAの陽性率は, condyloma acuminatum 2/2 (100%), mild, moderate dysplasia 27/66 (40.9%), severe dysplasia 6/15 (40.0%), carcinoma in situ 1/1 (100%), invasive cancer 7/10 (70%) であった.
    4) 子宮頸部病変とH.P.V.-DNAのtypeとの関係では, type 6, 11はdysplasiaおよび子宮頸癌には存在せず, condyloma acuminatumの2例にのみ陽性であった. type 16はdysplasia 14例, 子宮頸癌5例の計19症例に存在, type 31は, dysplasia 21例, 子宮頸癌6例の計27症例とH.P.V.-DNA陽性例の約60%と多数を占めていた.
    5) H.P.V.DNA診断キットFO-8830とVira Papの一致率は84.8%であった.
    H.P.V.の子宮頸部におけるnatural historyの解明には, 今後とも症例数を積み重ねてゆくと同時に, follow upすることによるprospectiveな研究が必要と思われた.
  • 田中 恵, 伊東 英樹, 工藤 隆一
    1991 年 30 巻 1 号 p. 35-46
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部からの扁平上皮系の剥離または擦過細胞を, 自家製フィルムスライドに塗抹し, 光顕 (LM) 観察し, 次に標的細胞部分を切り取り, これを臨界点乾燥 (CPD) し, 走査電顕 (SEM) 観察した. そのあと, 標的細胞をフィルムスライドに載物のままEpon包埋し, 超薄切片を作製し透過電顕 (TEM) 観察を行った.技法上次のような工夫を加えた.
    1) 電顕用の重固定がパパニコロウ (Pap.) 染色に著しい変色を生じ, LM観察が困難になるため, Pap.染色変法を開発した.
    2) SEM観察のためのCPDにより, Eponの浸透性が悪化し, TEM観察が困難であった. SEM観察後に, 一度完全に水和処理することにより, この問題を解決し, 同一細胞のLM-SEM-TEM連続観察が可能になった.
    その結果, 表層, 中層, 基底層型扁平上皮細胞, 中層型dyskaryotic cell, 扁平上皮癌の症例で, 変性した巨大細胞とみられる異常細胞, 尖圭コンジローム病巣からの異型細胞, Vira Pap陽性症例から採取された表層型異型細胞などについて, 従来の観察では得られなかった, 新たな知見を得た.
    剥離あるいは擦過細胞診におけるLM-SEM-TEM連続観察法をほぼ確立し, 本法による観察の有用性を示した.
  • 熊井 健得, 伊東 英樹, 工藤 隆一
    1991 年 30 巻 1 号 p. 47-58
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腹水中に出現する細胞の由来を同定するための基礎的研究として, 1) 種々の卵巣腫瘍組織と腹腔漿膜組織, 2) 各種卵巣腫瘍および腹腔漿腹よりの捺印細胞, 3) 卵巣腫瘍患者の腹水細胞について, それぞれ同一試料を, 光顕 (LM) 観察後走査電顕 (SEM) で観察し, またはLM-SEM-透過電顕 (TEM) で連続観察した.
    1.腹腔漿膜組織では, 最表層を覆う中皮細胞の表面は, 疎に分布する細長い微絨毛 (mv) を認めた.腹水中の中皮細胞のmvは, 先端が著しく膨化し, bleb様を呈していた.
    2.漿液性嚢胞腺癌と漿液性嚢胞性腫瘍組織では, 短小なmvが認められ, ときにciliaを認めた.腹水中の漿液性嚢胞腺癌細胞は, やや太いこん棒状のmvを有していた.
    3.粘液性嚢胞腺腫, 腺癌の捺印細胞では, mvの他にひだ状, 膜状, 粒状突出構造を認め, 直下に分泌顆粒の集合像が確認された.
    4.類内膜腺癌組織と腹水中癌細胞では, 比較的細長いmvが基本構造として示された.
    当研究により, 対象とした腫瘍組織, 細胞の表面微細構造には, それぞれに特徴的な所見が得られ, 本法は中皮細胞と腫瘍細胞の鑑別診断に有用なばかりでなく, それぞれの腫瘍の鑑別診断にも役立つことが示された.
  • 瀬尾 泰樹, 沢 裕幸, 三浦 弘之, 鬼頭 隆尚, 木下 孔明, 石井 正憲, Gita SAYAMI, 小中 千守, 島 英明, 加藤 ...
    1991 年 30 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    喀痰誘発における去痰剤使用の効果を検討した.去痰剤は現在臨床に広く使用されている気道潤滑去痰剤である塩酸アンブロキソールを用いた.本研究のためにボランティアで参加した健康人35名が研究対象とされた.全員男性で, 非喫煙者が16名, 喫煙者が19名で, 平均年齢は39歳であった. 検討はクロスオーバー試験法で行った. 対象者を, 無投与群, 去痰剤45mg投与群, 90mg投与群の3群に分類し, 投与期間は3日間で, それぞれの群間には4日間のwash out期間を置いた.検討項目は, 問診 (喀痰の切れ, 喀出回数), 喫煙の影響, 喀痰の性状で, 結果はWilcoxon検定により判定した.
    問診調査では, 喀痰の切れおよび量, 回数の増加が投与群に認められた. 喫煙の影響を細胞数, 肺胞マクロファージ細胞数で調べたが, 無投与群, 投与群間には有意の差は認められなかった. 喀痰性状に対する検討では, 肉眼的喀痰量の増加, および顕微鏡学的呼吸器系細胞 (繊毛円柱上皮細胞, 扁平上皮, 肺胞上皮, 扁平上皮化生, 炎症性細胞) 数, 肺胞マクロファージの増加が投与群に観察された. 塩酸アンブロキソールの使用は喀痰誘発に効果が認められるので, 肺癌検診の喀痰細胞診の精度向上に繋がるものと評価される.
  • 山川 義寛, 手島 英雄, 平井 康夫, 己斐 澄子, 藤本 郁野, 山内 一弘, 荷見 勝彦, 増淵 一正, 都竹 正文
    1991 年 30 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    原発性卵管癌は婦人科悪性腫瘍中0.12~1.6%ときわめてまれな疾患であり, その早期発見, 早期診断は非常に困難である.
    今回われわれは, 子宮内膜吸引細胞診にて検出された原発性卵管微小浸潤癌を経験したので報告する.この患者は54歳で, 子宮鏡子宮内膜全面掻爬では子宮内膜病変は否定され, 超音波検査, CT検査では異常を認めなかったが, 卵巣癌, 卵管癌は否定できないと考え積極的に手術を行い病理組織学的検索によって初めて原発性卵管微小浸潤癌と診断しえた.
    細胞所見では, きれいな背景にN/C比の大きい乳頭状, 一部腺腔形成のみられる細胞集塊が多数認められた.細胞質はレース状であり, 一部空胞形成が認められた.核は大小不同があり類円形ないし長楕円形で, クロマチンは細顆粒状, 核小体は大きく明瞭で2~3個認められた.術後病理組織所見は右卵管膨大部に内腔に向かって増殖する乳頭状腺癌の小病巣を認め, その一部は上皮内癌であり, 一部はほんのわずかに問質内に浸潤していた.
  • 安田 允, 青木 雅弘, 高梨 裕子, 山田 恭輔, 神谷 直樹, 猪又 出, 古里 征国
    1991 年 30 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    きわめてまれな腟壁のVerrucous squamous cell carcinomaを経験し, その細胞診, 組織学的特徴を透過型電顕, 光顕およびHPV感染を含めて検討した.
    腫瘍表面の擦過細胞診で, 腫瘍細胞はライトグリーン好性の細胞質, perinuclear haloを持つ中層型から旁基底型のdysplastic cellと軽度のクロマチン増量を示す裸核細胞を散在性に認めた.
    組織像では表層に軽度角化を伴った乳頭状の腫瘍細胞の増殖と核分裂像を多く認めたが, koilocytosisは少なかった.基底膜側の大部分は扁平の圧排像を示し, 一部に間質部への乳頭状侵入を認めVerrucous carcinomaと診断した.またin situハイブリッド法によるHPVの検索では6, 11型の陽性所見を認め, 本症とHPV感染が示唆された.
    電顕による観察では核の不整が目立ち, 細胞質organellaの発達は幼若型と成熟型の扁平上皮型細胞が混在していたが, viral particleは認められなかった.
    以上の所見より尖型コンジロームおよびパピローマとの鑑別が可能であった.
  • 南 修二, 大井 章史, 磨伊 正義
    1991 年 30 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣癌の脾臓転移例を経験したので, その穿刺細胞所見を中心に報告した.
    患者は74歳の女性で, 65歳時左卵巣癌のために, 両側付属器および子宮切除術をうけている.主訴は左側腹部痛.CTスキャン, MRIスキャン, 超音波では脾に10×9cm大の多房性嚢胞を認めた以外に著変はなく, 検査データではCEA, CA125の軽度上昇を認めた.脾のリンパ管腫の疑いで開腹を行った. 術中に行われた脾の穿刺細胞診では, 少数ながら乳頭状集塊もしくは散在性に異型細胞を認めた.核は偏在性で円形ないし楕円形, クロマチンは微細顆粒状で, 核小体は中心に1個もしくは非中心性に2~3個, 細胞質は淡緑色で空胞を有する腺癌の特徴をそなえていた.
    切除された脾臓は大きさ13×12×5cm, 重量220gであった. 割面をみると8.5×6.0×5.0cm大の嚢胞を認め, 脾門部を中心として6×4×4cm大の灰白色充実性の部分を認めた. 組織学的には乳頭状腺癌であり, 原発の卵巣癌 (乳頭状漿液性嚢胞腺癌) の組織像と類似の組織像であった.
  • 鳥居 良貴, 山本 格士, 植松 邦夫
    1991 年 30 巻 1 号 p. 83-87
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    顎下腺に発生した腺様嚢胞癌2例の穿刺吸引細胞像と組織像を検討し, 文献的考察を加えて報告した.
    症例1は23歳女性, 症例2は54歳男性で, ともに穿刺吸引細胞診標本において, 節状を中心に球状, 腺管状, シート状などを呈する種々の細胞集塊と多数の硝子性および粘液性物質が認められ, 本症を示唆する特徴的な所見がみられた.さらに, 集塊中の細胞配列によって観察されるalcian green染色 (山本法) の染色態度の違いから, 細胞診による本症の亜型分類も可能であると思われた
  • 丹野 正隆, 水口 国雄, 山村 彰彦, 鈴木 不二彦, 鈴木 節子, 石本 浩市, 宮野 武, 坂田 葉子, 松井 英雄, 白井 俊一
    1991 年 30 巻 1 号 p. 88-94
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは出生直後に摘出術を行った4例の先天性神経芽細胞腫を経験したので, その病理組織学的および臨床細胞診的な特徴について報告する.3例は副腎由来であり, ほかの1例は脊椎管由来のdumb-bell型であった.3例は花冠形成型の神経芽細胞腫であり, 1例は円形細胞型であった.迅速組織診時に作成された捺印標本では分化度の低い腫瘍細胞を認めた.この捺印標本では4例とも, 1) 細胞質の乏しい, 円形核を有する腫瘍細胞からなる, 2) 核の性状では1例を除き核クロマチンは顆粒状で, 核縁は薄い, 3) Homer-Wright型ロゼットを認める, 4) 核の大小不同と核分裂像を認めた, 5) 細胞突起と線維性基質が存在した, 点である.これらの所見はいままでの小児期の神経芽細胞腫の報告にほぼ一致するが, 異なる点は全例にHomer-Wright型ロゼットおよび線維性基質がみられること, これまでの報告にあるような多核の腫瘍細胞が今回の症例では存在しなかったことである.
  • 堀江 弘, 中山 茂, 岩井 潤, 江東 孝夫, 真家 雅彦
    1991 年 30 巻 1 号 p. 95-99
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Malignant rhabdoid tumor (MRT) は小児の腎臓に発生することよりみいだされたきわめて予後不良な腫瘍である. その後全く同様の組織像を示し腎外に発生するものもごくまれにみられextrarenal malignant rhabdoid tumor (ERRT) として報告されている. 今回われわれは傍脊椎より発生したと思われるERRTの乳幼児例を経験し, その細胞形態を観察し得たので報告する. 患児は4ヵ月の女児で, 下肢の動きが悪いとの訴えと背部の腫瘤にて発症. 諸検査により胸椎下部左前面より発生し脊髄管内にdumbbel1様に増殖した腫瘤との診断を得た. 脊髄は腫瘍により圧迫され両肢の麻痺をきたし, また背部皮下筋肉内への腫瘍の浸潤も認められた. 背部皮下の腫瘤の穿針吸引ならびに椎弓切除術時の摘出腫瘤の捺印細胞診が行われた. 腫瘍細胞は明瞭な核小体と偏在する核を有し, 比較的豊かな細胞質には淡明な封入体様構造が認められた. 病理組織学的には胞体内に淡好酸性の封入体様構造がみられ, それらは電顕的に束状に走行する中間径フィラメントからなることよりERRTとの診断を得た.
  • 藤原 正之, 飯塚 好伯, 山田 佐和子, 小松 昭博, 矢島 元雄
    1991 年 30 巻 1 号 p. 100-107
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    増殖性筋炎は骨格筋に生じる比較的まれな腫瘤で, 巨細胞の増殖がみられることから, 悪性腫瘍と誤診されることも少なくない. われわれは大腿部に発生した2例を経験し, うち1例では捺印細胞を得て細胞診断ならびに組織診断上の鑑別点について, また特徴的とされる神経節細胞様巨細胞の由来について検討したので報告する. 症例は46歳と56歳の女性で, 大腿外側広筋および大腿二頭筋に誘因なく腫瘤が発生した. 切除肉眼所見は, 筋膜と強く癒着し不規則浸潤様に横紋筋組織内で増殖している境界不鮮明な腫瘤で, 組織学的には線維芽細胞および大型の核・核小体と豊富な胞体を有する巨細胞の増殖から成り, 間質には毛細血管の増殖や漏出性出血, リンパ球浸潤を伴っていた. 捺印細胞や組織診断上の鑑別点は, 本症では特異な神経節細胞様巨細胞や線維芽細胞および筋細胞や炎症性細胞などが混在した多彩な像を示すが, 悪性腫瘍では比較的単一な細胞増殖から成る点が異なる. 本腫瘤の原因は不明であるが, しばしば外傷や筋組織の変性, 出血などを伴っているので, 何らかの外傷などの刺激により生じた反応性病変であることが推測される. また神経節細胞様巨細胞は線維芽細胞様に分化した筋膜由来の間葉系細胞と考えられた.
  • 岩井 幸子, 岡 春子, 小原 光祥, 藤原 仁, 佐藤 斎, 濱田 哲夫, 岩井 重寿, 近藤 義政, 稲富 久人
    1991 年 30 巻 1 号 p. 108-114
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腫瘍が多彩な組織像を呈し, 術前の尿細胞診検査においての組織型の判定が困難であった腎盂移行上皮癌の1例について報告する.
    症例は, 59歳男性. 肉眼的血尿を訴えて来院され臨床的には超音波検査, CT検査にて腎細胞癌が最も疑われたが, 細胞診的には, 移行上皮癌あるいは腺癌いずれとも診断し難い像であった. 術前の尿細胞診標本では, 壊死性背景に多数の異型細胞が孤在性あるいは集簇をなして出現していた. 胞体が, basophilicでhomogenousな細胞また泡沫状で粘液様空胞を有する細胞もみられた. 一方, 核は偏在あるいは中心性でクロマチンは粗網状から細顆粒状に増量し, 好酸性の明瞭な核小体をもつ細胞も出現していた. 摘出された腫瘍は, 肉眼的に腎盂から左腎上極に浸潤性に増殖し, 腎盂腔内への乳頭状病変はみられなかった. 組織学的には, 一部に高分化な移行上皮癌の像を認めるものの多くは, 肉腫様の部分, 扁平上皮化生を起こした部分よりなっていた. すなわち, 尿細胞診でみられた細胞は扁平上皮化生を起こした部分からのものと考えられた.
  • 加藤 拓, 藤田 道夫, 松崎 理, 佐久間 晃, 松本 敬, 武田 敏
    1991 年 30 巻 1 号 p. 115-120
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Bellini管起源が示唆された乳頭状腎細胞癌の1例を経験した. 症例は68歳, 男性で左腎下部腫瘤の穿刺吸引細胞診では多数の泡沫細胞を背景に乳頭状, ボール状, シート状および枝状配列を示す細胞集塊を認め, その細胞異型, 核異型は乏しかった.組織学的には乳頭状の増殖を示す腎細胞癌であった. 免疫組織化学的には近位尿細管系マーカーであるLM1, LTAと遠位尿細管系マーカーであるSBA, PNA, DBA, EMAが陽性を示し, Bellini管起源が示唆された. 電顕的に腫瘍細胞は明細胞と暗細胞よりなり, 暗細胞は円柱状で多数のミトコンドリアを含んでおり, 正常腎集合管からBellini管にかけての上皮によく類似していた.
  • 各務 新二, 一色 教幸, 白石 泰三, 矢谷 隆一
    1991 年 30 巻 1 号 p. 121-125
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    きわめてまれな乳腺原発扁平上皮癌の穿刺吸引細胞診症例を経験したので報告する.
    患者は28歳, 授乳期の女性. 主訴は左乳房の腫瘤. 穿刺吸引細胞像では, 壊死物質を背景に, 線維状, おたまじゃくし状, 類円形の多形性に富む細胞が散在性に出現し, 細胞質はオレンジGまたはライトグリーン好染性で重厚に染色されていた. 核クロマチンは濃染し, 角化細胞, 細胞相互封入像もみられた. これらの所見は扁平上皮癌の一般的特徴を満たしていた. 一方, 手術材料捺印細胞像では, 極少数であるが, 集合性に出現し, 細胞質がやや淡く, 顆粒状のクロマチンパターンを有し, 核小体著明な腺癌の性格を有する細胞がみられた. 手術材料では, 大きさは3.5×3.0cmで, 中心部に2.5×1.5cmの嚢胞形成を認め, 組織学的検索では扁平上皮癌であった.
  • 林田 蓉子, 長浜 純二, 横山 繁生, 寺尾 英夫, 多田 出
    1991 年 30 巻 1 号 p. 126-130
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性で肝硬変症の合併, α fetoproteinの軽度上昇が認められた. 肝尾状葉に1cm大, 左葉に2cm大の腫瘍が認められ, 組織学的に前者はFibrolamellar hepatocellular carcinoma, 後者はEdmondson I~IIの通常の肝細胞癌であった. 捺印細胞診でFibrolamellar hepatocellular carcinomaの細胞は大型多角形で, 著明な好酸性顆粒状の細胞質を有し, 細胞結合は疎で散在性に出現していた. 細胞質にはpale bodyや球状硝子体, 胆汁色素も認められた. 核はほぼ円形で, 中心性ないしは偏在性で, 核増大, クロマチンの増加と不均等分布, 著明な核小体, 核内細胞質封入体などがみられ, 明らかな異型性を示した. 腫瘍細胞間には線維細胞が介在し, 多核腫瘍細胞や裸核細胞も散見されたが, 核分裂や壊死細胞は認められなかった. 細胞学的には腫瘍は線維性被膜を有し, 結合織で分葉されていた. 腫瘍細胞は細胞診でみられたものと同様であったが, 細胞間に層状構造をとる線維束が介在していた.術後3年で, 右葉2ヵ所にEdmondson II~IIIの肝細胞癌の再発が認められたが, 再手術後6ヵ月を経過して, 再発は認められていない.
  • 手島 英雄, 名城 嗣勝, 古田 則行, 己斐 澄子, 山川 義寛, 荷見 勝彦, 増淵 一正
    1991 年 30 巻 1 号 p. 131-132
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 本間 富夫, 笹井 伸哉, 薄田 正, 中西 泉, 片山 勲
    1991 年 30 巻 1 号 p. 133-134
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
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  • 木村 雅友, 増田 一吉, 酒谷 邦康, 前田 光代, 蛭間 眞悟, 佐藤 隆夫
    1991 年 30 巻 1 号 p. 135-136
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
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  • 木村 雅友, 門田 永治, 佐藤 隆夫, 蛭間 眞悟, 前田 光代, 酒谷 邦康
    1991 年 30 巻 1 号 p. 137-138
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
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