日本臨床細胞学会雑誌
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31 巻 , 4 号
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  • 藤吉 啓造, 小田 瑞恵, 柳沢 弥太郎, 石田 禮載, 石井 保吉, 藤井 雅彦, 杉下 匡, 天神 美夫
    1992 年 31 巻 4 号 p. 571-576
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    サイトブラシによる頸管内擦過細胞診の特徴を綿棒擦過法と比較検討した.
    対象は綿棒擦過法にてClass Iと診断された497例で, 臨床的副作用, 細胞所見について比較した.特に細胞所見は円柱上皮細胞に注目し, その出現形態を詳しく観察し, 以下の結果を得た.
    1) 臨床的副作用としてサイトブラシによる細胞採取後やや出血がみられる症例があり, コルポ診との併用には綿棒擦過法の方が影響が少ないと思われた.
    2) 細胞所見では綿棒法に比較し, サイトブラシによる標本には円柱上皮細胞の出現率がきわめてたかく, また, 集塊状またはシート状の細胞集団として出現していることが特徴で, 細胞個々の所見のみならず, 細胞構築を観察することにより腺系病変の診断に有用であると思われた.
    3) 扁平上皮系細胞の出現頻度は両法に大きな差は認められなかったが, その出現形態の違いにより, 診断には注意を要すると思われた.
  • 黒川 賀重, 井筒 俊彦, 松田 壮正, 利部 輝雄, 西谷 巌
    1992 年 31 巻 4 号 p. 577-583
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸癌前駆病変の進行過程におけるEGF (epidermal growth factor) の関与について免疫組織化学的および画像解析装置により検討することを目的として研究を行った.
    1. 正常扁平上皮では表層, 中層細胞の多くはEGF陽性であったが, 傍基底, 基底細胞ではEGF陰性細胞が大多数を占めた.
    2. 予備細胞, 扁平上皮化生細胞の多くはEGF陽性であった.
    3. 異形成では異型度が進むにつれてEGF陽性細胞の頻度は減少した.
    4. 異形成におけるEGF陽性細胞は, EGF陰性細胞に比し, 有意にN/C比が低く細胞面積が広く, circular shape factor (細胞のゆがみ度) が低い値を示した.
    このことより子宮頸癌前駆病変においては異形成の程度が進むにつれてEGF陽性細胞の頻度が減少することが判明した.
  • 小野寺 博義, 桑島 一郎, 武田 鐵太郎, 中村 克宏, 小室 邦子, 大沼 眞喜子, 村田 孝次
    1992 年 31 巻 4 号 p. 584-590
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    宮城県立成人病センターの症例で, ポリペクトミーあるいは手術により摘出され組織学的に大腸腺腫と診断された24例, および腺腫内癌11例について, 大腸腺腫および腺腫部分の細胞所見を検討した.
    細胞集塊は3つの型に分類することが可能であった. すなわち, 核が細長く著明な多層性重積像を示し, 核の極性が保たれているI型, 部分的に核の軽度円形化と散在傾向があり, 極性に若干の乱れを呈するII型, 核の円形化が著明で散在傾向が著しく, 極性の乱れも著明なIII型である. これらが全例に認められるわけではなく, 大腸腺腫24例中1型のみがみられるもの8例, II型のみ1例, I型とII型が8例, II型とIII型が2例, すべての型がみられるもの5例であった. 大腸腺腫24例での核長径 (μ) は, I型14.6±2.9, II型13.1±2.4, III型12.3±2.7であった. 核長径・核短径比は, I型3.6±1.0, II型2.5±0.7, III型1.8±0.6であった.
    腺腫内癌11例の腺腫部分にも, 大腸腺腫と同じ1型, II型, III型の細胞集塊がみられた. III型の細胞集塊は全例にみられたが, I型, II型の細胞集塊は症例により含まれていないものもあった. 核長径 (μ) は, 1型16.4±3.0, II型14.0±2.2, III型11.0±1.9であった. 核長径・核短径比は, 1型3.8±1.0, II型2.6±0.5, III型1.6±0.3で, いずれの型も癌を含まない大腸腺腫とほぼ同じ値を示した.
    以上の結果および胃異型腺腫の細胞像との比較から, 1型の細胞集塊は軽度異型, II型は中等度異型, III型は高度異型と考えられた. 症例としてみれば, 1型のみでuniformな細胞所見を呈するものが軽度異型の腺腫, III型のほかにI型やII型の集塊もみられ多彩な細胞所見を呈するものが高度異型の腺腫, III型がなくII型がみられるもの (1型の有無は問わず) が中等度異型の腺腫と考えられた.
  • 平野 隆, 鬼頭 隆尚, 池田 徳彦, 内田 修, 勝海 東一郎, 梶原 直央, 原 恵理子, 加藤 治文, 海老原 善郎
    1992 年 31 巻 4 号 p. 591-598
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    最大腫瘍径2cm以内の乳癌切除材料を37例 (リンパ節転移陰性例20例, リンパ節転移陽性例17例) を対象に新しい定量顕微鏡システムCAS 200 Image Analysis System (以下, CAS 200System) を用い, 核DNA量の測定・PCNA (proliferating cell nucler antigen)/cyclinおよびHER-2/neu蛋白に対する免疫染色の評価を行った.
    核DNA量の測定ではリンパ節転移陽性例にaneuploidを示す症例が有意に多かった (p≦0.05). またaneuploid症例の方が再発までの期間がやや短い傾向を示したが, 有意差は認められなかった.
    PCNA/cyclinの解析ではリンパ節転移陽性例の方が陰性例に比べ有意に陽性率が高かった (p≦0.05).
    HER-2/neu蛋白の解析ではリンパ節転移陽性例と陰性例との間にはHER-2/neu蛋白過剰発現に関し有意な関係は認められなかった. しかしHER-2/neu蛋白過剰発現症例は再発までの期間が正常例に比べ有意に短かった (p≦0.05).
    これらの腫瘍細胞の生物学的特性を示すパラメーターの解析は治療方法の選択, 早期再発の推測に有力な情報を与えるものと考える.
  • 伊藤 仁, 篠田 玲子, 赤塚 由子, 堀 貞明, 堤 寛, 長村 義之, 平薗 賢一, 篠塚 孝男, 藤井 明和
    1992 年 31 巻 4 号 p. 599-603
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    体腔液中に出現する癌細胞と中皮細胞を鑑別するためにモノクローナル抗体Ber-EP 4を用いてその有用性について検討し, 同時にCEAについても行い比較検討した. その結果, Ber-EP 4は中皮細胞では陰性で, 癌細胞では陽性を示した. また卵巣癌症例を除いた癌症例29例の体腔液を用いた検討では, Ber-EP 4の陽性率は48%で, CEAにおける76%よりも低い結果を示した. しかし卵巣癌例の場合, Ber-EP 4の陽性率は高く, 卵巣癌患者29例の体腔液を用いた検討では, Ber-EP 4は93%の陽性率を示した. また卵巣癌組織46例のパラフィン切片を用いた検討では, Ber-EP 4は87%の陽性率を示し, 同時に行ったCEAにおける20%よりも著明に高かった. これらの結果よりBer-EP 4は中皮細胞と癌細胞の鑑別に有用であり, 特に卵巣癌で高い陽性率を示すため, 体腔液中の卵巣癌細胞と中皮細胞の鑑別には有用であることが示唆された.
  • 岡田 嘉右衛門, 山田 喬, 正和 信英, 井上 成史, 谷垣内 由之
    1992 年 31 巻 4 号 p. 604-612
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1976年から1990年までの14年間に獨協医科大学において経験した皮膚および粘膜の悪性黒色腫24例の剥離細胞像を検討した. 悪性黒色腫の細胞型を類上皮型, 紡錘型, 円型, 混合型 (類上皮型+紡錘型) の4型に分け, それぞれの型に特に本腫瘍に特徴的と思われるメラニン色素, 核内空胞, 巨大核小体, 細胞相互封入あるいは類上皮性配列の出現頻度を求めた.
    上記の細胞学的特徴と思われる4項目は, 類上皮型に最も出現頻度が高く, 紡錘型ないし混合型は低かった. 粘膜の悪性黒色腫の細胞型は, 腔のそれを除くと, 類上皮型の出現頻度が高かった. それに比し皮膚の悪性黒色腫は紡錘型ないし混合型の出現頻度が高かった. 膣の悪性黒色腫はその中間型を示した. 以上のことは文献240例によっても裏付けられた. したがって粘膜の悪性黒色腫は, 膣の一部を除くと, 皮膚のそれより細胞学的診断がより容易であると思われる.
  • 布引 治, 潘 静, 甲斐 一郎, 野田 貴代, 嚴 孟禄, 野田 定, 植木 実
    1992 年 31 巻 4 号 p. 613-620
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診の判定は, 細胞個々の示す異型だけでなく, 病理学的な「組織構築」の異常を観察することも大切である. 著者らは細胞採取から標本作製に至る手技について改良を加え, 子宮腔内での組織構築が可能な限り推定しうる標本作製法を開発した.
    すなわち従来の直接塗抹標本作製法に対して組織構築が保たれた状態で観察できるように, 以下の3項目について工夫および改良を行った.
    1) 細胞採取後, ただちに塗抹することなく器具に付着する細胞および細胞集塊を生理的食塩水中に洗い落とし液状検体とする.
    2) 上記液状検体にメンブレンフィルターを用い判定の障害となる赤血球を除去する.
    3) 赤血球除去後のメンブレンフィルター上の細胞集塊の上にさらにほかのメンブレンフィルターを重ねて圧挫し, 固定後クロロホルムでフィルターを溶解. 残された細胞集塊を染色し2枚のカバーガラスで挟むように封入することにより顕微鏡下, 集塊の裏表の観察を可能とした.
    この結果, 3次元的な細胞診標本の作製が可能となった. 本法を多くの症例に応用することにより, 子宮内膜細胞診の診断精度向上をはかりたい.
  • 木村 隆, 今井 督, 佐藤 達資, 金川 佳弘, 貝森 光大, 菅 三知雄, 小野寺 庚午
    1992 年 31 巻 4 号 p. 621-627
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    気管支腺原発の唾液腺型悪性混合腫瘍と考えられる1切除例を経験したので, 細胞, 組織所見を中心に, 核DNAヒストグラムの検討を加えて報告する. 症例は57歳の女性で, 胸部X線異常で当科を受診した. 気管支内視鏡検査で左B3b+cに表面平滑な腫瘍を認めた.擦過細胞診, 生検組織診にて気管支腺由来の腫瘍が考えられ, 左上葉切除術が施行された. 気管支擦過細胞診では主に, 胞沫状の広い細胞質を持った, 異形性の軽度な腫瘍細胞を認めた. 捺印細胞診ではさらに, ライトグリーン好染の多辺型の細胞質を有する扁平上皮化生細胞も認めた.また硝子様の構造物から軟骨成分の存在も疑われた. 組織像では, 間質の硝子化と線維化が目だち, 主に多辺型の扁平上皮化生細胞と粘液細胞が混在していた. また紡錘型や, 好酸性で小型の腫瘍細胞が索状, 腺房状に配列し, 軟骨成分も認められた. 気管支腺原発悪性混合腫瘍と診断されたが, 本腫瘍の悪性度を検討するため, 顕微蛍光側光法を用いて核DNAヒストグラムを作成した. ヒストグラムはDNAdip-loidパターンを示し, 生物学的に低悪性度の腫瘍であることが示唆された.
  • 薄田 勝男, 斎藤 泰紀, 遠藤 千顕, 高橋 里美, 藤村 重文, 穴沢 予識, 高橋 徹
    1992 年 31 巻 4 号 p. 628-633
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Pulmonary hyalinizing granuloma (PHG) は, きわめてまれな肺の線維化病変であり, 多発性腫瘤状陰影を呈することが多いため, 転移性肺腫瘍との鑑別が重要である. 症例は37歳の男性で, 検診にて胸部X線写真上両側性多発性腫瘤状陰影を指摘された. 気管支鏡下の末梢病巣擦過細胞診で確診つかず, 経皮肺吸引細胞診でも炎症性疾患を示唆する所見のみであったので, 開胸肺生検を施行した. 経皮肺吸引細胞診および捺印細胞診の両標本で, 多数の異物を取り込んだ組織球, 多数のリンパ球, 散在性の形質細胞・好酸球とともにオレンジGに好染する重厚な不規則無構造物質が散見された. これらの細胞配列にstoriform patternを認めなかった. 結核菌・真菌を含めた微生物の検索は陰性であった. 病理組織学的にpulmonary hyalinizing granulomaと診断された. 多発性肺腫瘤状陰影の細胞診で慢性炎症性細胞浸潤を認めた場合, PHGを鑑別診断の一つとして考慮すべきである.
  • 安保 淳一, 笹生 俊一, 及川 守康, 高山 和夫, 高野 長邦
    1992 年 31 巻 4 号 p. 634-638
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫の一型で, 腫瘍細胞がKi-1 (CD30) 陽性であるKi-1 lymphomaの1例を経験し報告した. 症例は4歳の男児で, 主訴は発熱と右頸部腫脹であった. 右頸部皮膚病変の生検時に捺印細胞診を行った. 捺印された腫瘍細胞は, 大型で淡い豊富な細胞質を有しており, 核は類円形のほか, 腎形, 環状などの形もみられた. このうち, 環状の核は約1割を占め, 特徴的な所見であった. 多核の細胞もみられた. 核小体は, 大型, 明瞭で2~5個認めた.免疫組織化学的に, Ki-1, EMA, HLA-DRとIL-2Rが陽性で, LCAは一部の細胞に陽性であった. 細胞所見は特徴的であり, 本疾患の疑われる際には, 免疫組織化学的検索を行うことが必要であると考えられた.
  • 品川 俊人, 田所 衛, 竹内 英子, 相田 芳夫, 天本 大輔, 星川 咲子, 森脇 友子
    1992 年 31 巻 4 号 p. 639-643
    発行日: 1992年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は1歳2ヵ月の女児の頸部に発生した脂肪芽腫で, その捺印細胞像を報告するとともに, 代表的脂肪性腫瘍との比較検討も行った. 脂肪芽腫に関する細胞診の報告は本邦ではみられなかった. 脂肪芽腫にみられた細胞像は次のようであった.(1) 40~60μ 大の類円形単一空胞状脂肪芽細胞,(2) 多空胞状脂肪芽細胞,(3) 脂肪性細胞集団中に出現する短紡錘形核を有する集簇性の紡錘形細胞,(4) クモの巣状脂肪芽細胞,(5) 小型で核縁平滑で類円, 楕円, 紡錘形の核,(6) 裸核細胞をみる粘液腫状背景,(7) 成熟脂肪細胞などで, 全体的に単調な出現形態を示し, 良悪性の鑑別は容易であった. 良性脂肪性腫瘍では, むしろ通常の脂肪腫に類似していたが, 未熟な脂肪芽細胞の存在が脂肪芽細胞の診断に重要であると思われた.
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