日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
34 巻 , 3 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
  • 佐藤 雅美, 斎藤 泰紀, 中嶋 隆太郎, 相川 広一, 桜田 晃, 遠藤 千顕, 薄田 勝男, 白鳥 まゆみ, 佐藤 博俊, 藤村 重文
    1995 年 34 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1983年度から1989年度まで, 肺癌検診時の喀痰細胞診で要精査とされ, 肺癌が確定した症例のうち, 過去に喀痰細胞診を受診していた76例のべ137件を対象として, 過去の細胞像を検討した. その結果, 胸部X線無所見肺扁平上皮癌に限定した場合, 1年前には44例中2例がE判定, 21例がD判定, 7例がC判定と再判定された. 同様に, 2年前では27例中E判定が1例, D判定が9例, C判定が6例, 3年前では15例中5例がD判定, 3例がC判定, 4年前には6例中2例がD判定と再判定された. D判定の細胞像が1年前には約1/2の症例に, 2年以前では約1/3の症例にみられ, D判定とする細胞所見の重要性が示唆された. したがって, D判定の細胞像に注目してスクリーニングや診断を行うことが肺癌早期発見の一助となると考えられた. また, 本検討により, 従来, 見逃していたり, 要精査としていなかった細胞所見を知ることができ, より正確な診断基準の確立につながると考えられた.
    また, 全肺癌例で検討した場合, 見逃しと再判定された症例は7例あった. しかし, いずれも経年受診しており, 全例切除が施行された. うち5例は0~I期であり, 経年受診の重要性が示唆された.
  • 広川 満良, 松本 智穂, 伊禮 功, 櫻井 孝規, 坂元 和宏, 三上 芳喜, 森谷 卓也, 定平 吉都, 清水 道生
    1995 年 34 巻 3 号 p. 409-412
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    凝集コロイドは正常甲状腺の濾胞内にしばしば観察されるが, その病態的意義は明らかにされていない. われわれは術中迅速診断のために提出された正常甲状腺19例*腺腫様甲状腺腫34例, 濾胞性腺腫7例, 濾胞癌4例, 乳頭癌28例, 髄様癌4例, 悪性リンパ腫1例, 未分化癌1例の組織片から捺印塗抹標本を作製し, 凝集コロイドの出現頻度や形態学的特徴を検討した. 凝集コロイドは5~60μ大で, 境界明瞭な, 円形, 楕円形, 三日月形, 多稜形, ヘルメット形など種々の形態を呈し, 背景に散在してみられた. 凝集コロイドの出現率は正常甲状腺47.4%, 腺腫様甲状腺腫14-7%, 濾胞性腺腫28.6%, 乳頭癌3.6%で, その他の疾患では観察されなかった. 甲状腺の捺印塗抹標本においては凝集コロイドの存在は良性疾患を示唆する指標になると思われた.
  • 伊藤 仁, 宮嶋 葉子, 篠田 玲子, 梅村 しのぶ, 堤 寛, 長村 義之, 北村 隆司
    1995 年 34 巻 3 号 p. 413-419
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺細胞診における筋上皮細胞について抗smooth muscle actin (SMA) モノクローナル抗体を用いて, 免疫細胞化学的および免疫電顕的に検討した. その結果, 通常の組織標本, 細胞診標本ではみられない筋上皮細胞の突起状の細胞質が観察された. SMAは良性病変では主に上皮細胞集塊内に突起状に認められ, また, 上皮細胞集塊上および背景に散在性にみられる裸核状細胞, すなわち双極裸核にその核周囲を縁どるように陽性を示した. 突起状の陽性像は免疫電顕的に崩壊した長紡錘形細胞の細胞質内微細線維に一致して陽性を示しており, 筋上皮細胞の細胞質の断片像と考えられた. SMA陽性の裸核状細胞は, 免疫電顕的には細胞膜が消失した狭小の細胞質を有する筋上皮細胞であると考えられた. 双極裸核以外の胞体を有する上皮様細胞にも陽性を示し, 形態学的には認識されていない筋上皮細胞の存在が示唆された. また, 筋上皮細胞の存在部位の確認は組織構築を推定するうえで有用であると考えられた. 線維腺腫では良性病変に特徴的な陽性像が最も著明に認められるため, 癌との鑑別診断にきわめて有用であると考えられた.
  • 甲斐 俊一, 藤富 豊
    1995 年 34 巻 3 号 p. 420-423
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1988年4月から1993年3月までの間に当施設にて乳腺超音波誘導下穿刺吸引細胞診を施行し組織診断の確定した178例を対象に, 従来法 (77例) とわれわれが独自の工夫を加え考案したHand-Free method (101例) の細胞診断率を比較した. 正診率は従来法の85.7%(66/77例) に比べHand-Freemethodでは91.1%(92/101例) と高率であった. またTNM (日本乳癌研究会修正) 分類1) におけるT1 (最大腫瘍径2.0cm以下の癌) 以下の症例で両法の正診率は, それぞれ50.0%(4/8例), 93.8%(46/49例) でありHand-Free methodで高率を示した. さらにTO (腫瘤を全く触知しない癌) およびTis (組織学的非浸潤癌およびPaget病) 症例において従来法では確診不能であったのに比べHand-FreemethodではTO症例が80.0%(8/10例), Tis症例は100.0%(2/2例) であり, 小腫瘍における穿刺的中率および細胞診断率の向上に有用であった.
  • 味木 徹夫, 藤盛 孝博, 塚本 龍子, 渥美 亜紀子, 小野山 裕彦, 前田 盛, 斎藤 洋一
    1995 年 34 巻 3 号 p. 424-428
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    K-ras変異検出の診断への応用が膵液で報告されているが, われわれはPTCDから採取した胆汁中からK-ns変異を検討し, 胆道狭窄をきたす疾患の確定診断への一助となりうるかを考案した. 胆汁中細胞を使うにあたり, 胆汁には強い細胞障害性があるため, まず基礎的検討として, 培養細胞NOZを使って胆汁曝露時間による検体の使用の可否を検討した. 高分子DNA抽出は胆汁曝露後6時間まで可能で曝露12時間では不可能となり, PCR法によるDNA増幅は胆汁曝露後12時間まで可能で曝露24時間で不可能となった. したがって, 新鮮材料を使用し, 胆汁中の微量癌細胞検出の目的で高感度のK-ras検出法を組み合わせれば, K-ras変異が確定診断の一助となる可能性があると考えられた. 次に, 臨床材料として, 13例のPTCDから採取した新鮮胆汁のDNAを使用し, 高感度検出が可能なenriched PCR法でK-ras codon12の点突然変異を検討した. その結果, 画像や臨床経過から膵癌と診断された症例にはK-ras変異が検出でき, K-ras変異検討が膵癌確定診断の一助となる可能性が示唆された.
  • 三宅 康之, 大杉 典子, 鐵原 拓雄, 畠 榮, 忠岡 好之, 清水 道生, 広川 満良
    1995 年 34 巻 3 号 p. 429-433
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    4例のデスモイドの塗抹細胞像について述べる. その特徴は (1) 背景は顆粒状で, 少数のリンパ球を散在性に認めること,(2) 紡錘形の線維芽細胞が主体で, 膠原線維の混在を認めること,(3) 壊死物質や核分裂像は認められないこと,(4) 腫大した血管内皮細胞が目立つことなどであった. 腫大した血管内皮細胞は紡錘形で, 線維芽細胞とほぼ同じ大きさのため鑑別が困難であったが, 抗factor VIII抗体を用いた免疫細胞化学的検索にて血管内皮細胞は出現細胞の約20%を占めていたことが判明した. 細胞像より血管内皮細胞と線維芽細胞を鑑別するには, 血管内皮細胞はシート状に出現し, 核にコーヒー豆様の核溝がみられることに注目すべきと思われた.
  • 堀内 文男, 大木 昌二, 武田 敏, 米満 博, 清水 文七, 岩崎 秀昭
    1995 年 34 巻 3 号 p. 434-438
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回われわれは子宮頸部生検組織材料にて, 扁平上皮癌と診断された, 95例 (上皮内癌44例含む) にin situ hybridization (ISH) を行い, human papillomavirus (HPV) DNAの組織内における局在, 分布および頻度を検索したので報告する.
    1. 上皮内癌におけるHPV-DNAの出現頻度は61.4%(27/44) であった.
    2. 進行癌におけるHPV-DNAの出現頻度は49.0%(25/51) であった.
    3. 角化型, 非角化型におけるHPV-DNAの出現頻度は角化型26.3%(5/19), 非角化型62.5%(20/32) であった.
    4. ISH陽性反応は上皮内癌で均等分布型と不均等分布型が主体であった. 一方進行癌では不均等分布型が最も多く認められた. また, 頻度は少ないが, 表層集中型も2例8.6%に認められた.
  • 則松 良明, 香田 浩美, 浜崎 周次, 尾関 祐里, 中国 恭美, 古谷 満寿美, 梶谷 博則, 津嘉山 朝達
    1995 年 34 巻 3 号 p. 439-448
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回われわれは内膜増殖症以上の病変を拾い上げ, また内膜増殖症と高分化型腺癌との鑑別について高分化型腺癌22例, 腺腫性増殖症19例, 正常内膜25例の検体を用い, 細胞集塊形態として8項目 (normal glands surrounded by endometrial stroma;以下NGSES, シート状, 土管状, 拡張腺管, 不整形突出, 乳頭状, 腺密集増殖, 樹枝状), 付随所見として4項目 (小集塊異型細胞, 炎症細胞取り込み像, 扁平上皮化生細胞, 壊死性背景) の12項目を設定して検討を行った. その結果, 子宮内膜細胞診スクリーニングの指標として (1) 異常細胞集塊出現率が20%以上の場合, 内膜増殖症以上の病変を疑う,(2) 異常細胞集塊出現率が70%以上の場合, 高分化型腺癌の可能性を含め内膜増殖症以上の病変を疑う,(3) 不整形突出集塊, 腺密集増殖集塊, 乳頭状集塊が認められるときは腺腫性増殖症以上の病変の指標と成る,(4) 樹枝状集塊は高分化型腺癌の指標となり, さらに分岐数2回以上認める樹枝状集塊を認める場合は高分化型腺癌の可能性が高い,(5) 高分化型腺癌が疑われるときは, 標本を詳細に観察し癌の細胞個々の異型判定基準を満たす小集塊異型細胞や炎症細胞取り込み像, 扁平上皮化生, 壊死性背景をみつけることが重要であると考えた.
  • 岩谷 弘明, 上坊 敏子, 佐藤 倫也, 新井 正秀, 坂本 伊豆美, 大野 英治, 蔵本 博行
    1995 年 34 巻 3 号 p. 449-455
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診が陽性であった子宮体部明細胞腺癌4例と卵巣明細胞腺癌3例の子宮内膜細胞診所見を, 臨床事項ならびに組織所見を併せて検討し, 以下の成績を得た.
    (1) 子宮体癌, 卵巣癌中の明細胞腺癌の頻度はおのおの, 1.8%, 14.4%であった.
    (2) 子宮体部明細胞腺癌4例中3例では, 病巣は限局し正常内膜を伴っていた. solid, solid+glandular, tubulocystic patternがおのおの1例, 2例, 1例であった. 卵巣明細胞腺癌では, papillary patternも加わり, より多彩な所見であった.
    (3) 両者に共通する細胞所見は, 大型で大小不同が著明な細胞および核, 大型の核小体, 豊富で明るい細胞質であった.
    (4) 子宮体部明細胞腺癌では, 腫瘍性背景の中に, 大型の不整な辺縁を有する重積性著明な集塊またはシート状配列する細胞集団が多く出現していた.
    (5) 卵巣明細胞腺癌では, 背景は清で, 多数の正常内膜細胞とともに, 小型で集塊辺縁が平滑なmirror ball状集塊やシート状集団が出現していた.
    (6) 両者の鑑別の要点は, 背景の汚染, 正常内膜の混在, 細胞集塊 (集団) の最大径 (0.5mmが境界値), その辺縁, mirror ball patternである.
  • 宮本 壮, 篠塚 孝男, 村松 俊成, 平園 賢一, 村上 優, 黒島 義男, 伊藤 仁, 篠田 玲子, 赤塚 由子, 長村 義之
    1995 年 34 巻 3 号 p. 456-460
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣悪性腫瘍治療後症例に対する検査法として, 臨床的には再発兆候のみられない症例に, 繰り返し何度でも施行できる, 定期的なfollow-up Laparoscopy (LS) を応用してきた. その検査内容はLS下の肉眼診や, 腹水, ダグラス窩洗浄, および腹腔内洗浄などの細胞診, さらに異常所見部位からのねらい組織診である. 特に細胞診がLSにおける再発の診断に関して, 大きな力を発揮しているという結果が得られた. われわれは昭和58年より平成5年までに, 上皮性卵巣悪性腫瘍治療後1年以上経過をみた95症例に対して, 合計275回のLSを行ってきた. 275回の腹腔鏡検査結果は陰性215回, 疑陽性14回, 陽性46回であった. 細胞診または組織診のいずれか一方でも陽性となったものを腹腔鏡検査陽性とすると, 陽性46回の検討では, 腹腔鏡下肉眼診にて再発ないしは残存腫瘍を疑わせるものが35回 (76.1%), 組織診陽性が29回 (63%), 細胞診陽性は37回 (80.4%) であった. 治療後1年以上follow-upして腹腔内外に再発をみた41例について分析をすると, 41例の腹腔鏡検査にて陽性は26例, 疑陽性3例 (このうち, その後腹腔内再発陽性は2例, 1例は転医のため不明), 陰性12例であった. 陰性12例中, 剖検も含めて開腹手術を施行したものが11例で, 肝, 脾転移を除いて腹腔内に再発のあったものが4例, 肝, 脾の実質やリンパ節など腹腔外に病変をみたものが7例であった. つまり26例の腹腔内陽性例と疑陽性からの2例, 陰性からの4例を合わせた32例に腹腔内に陽性所見があり, そのうち4例 (12.5%) が腹腔鏡で陽性所見がみつからず偽陰性ということになった.
  • 松熊 晋, 秦 美暢, 安斎 幹雄, 遠藤 久子, 久良木 隆繁, 相田 真介, 玉井 誠一
    1995 年 34 巻 3 号 p. 461-465
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    喀痰中に腫瘍細胞が出現した悪性胸膜中皮腫の2症例を経験したので報告する. 症例1は胸部痛, 胸水貯留を呈した患者で, 喀痰中に結合性の強い上皮様腫瘍細胞の集塊が認められ, 腺癌との鑑別が困難であった. 経皮胸膜生検で得られた組織像, 免疫組織化学染色像および電顕観察により, 上皮型悪性胸膜中皮腫と診断された. 症例2は左胸腔内に多発結節性病変が出現した患者で, 喀痰細胞診にて大細胞癌, あるいは, 肉腫を疑わせる核の腫大や多核化の目立つ異型細胞が散在性に認められた. 全胸膜肺全摘術が施行され, その切除標本の組織像, 免疫組織化学染色および電顕観察から二相型悪性胸膜中皮腫と診断された. また, 症例2では, 組織学的に腫瘍細胞の末梢肺組織への浸潤が確認された. 以上の経験から, まれながら胸膜中皮腫細胞が喀痰中に出現することが確認され, その確定診断のためには, 種々の組織, 細胞学的検討を含む積極的な検索が必要と考えられた.
  • 阿部 明美, 堀江 靖, 杉原 千恵子, 永見 光子, 安達 博信, 井藤 久雄, 元井 信
    1995 年 34 巻 3 号 p. 466-471
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    喀痰中に腫瘍細胞の出現した胸膜限局性悪性線維性腫瘍の1例を報告する. 症例は77歳女性. 5年前に左肺舌区の臓側胸膜下に大きさ3.0×2.7cmの腫瘍が認められ摘出された. 組織学的には, 紡錘形腫瘍細胞が錯綜しながら密な束状増生を示していた. 今回, 同側胸腔内に巨大な腫瘍が認められ, 針生検が行われた. 組織学的に前回と同一像であり再発と考えられた. 酵素抗体法では腫瘍細胞はvimentinのみに陽性であった. 以上より胸膜限局性悪性線維性腫瘍と診断した。再発時に喀痰中に少数ながら腫瘍細胞が検出された. 喀痰に腫瘍細胞を認めた胸膜悪性中皮腫の報告はきわめてまれで, 文献上7例に過ぎずいずれもびまん型で, 胸膜限局性悪性線維性腫瘍の報告例は認めなかった。
  • 石井 賢治, 工藤 一弥, 片岡 良孝, 永田 一郎, 酒井 優, 相田 真介, 玉井 誠一
    1995 年 34 巻 3 号 p. 472-476
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本邦では欧米に較べて乳癌の罹患率, 死亡率ともいまだ低率であり, 乳癌の女性生殖器への転移に関する報告も少ない. また, 報告例の多くは, すでに骨, 肝, 肺など多臓器に転移を伴った症例が多く, 女性生殖器への転移の形で初再発をきたした例はきわめてまれである. 今回われわれは, 根治術後3年を経た後, 女性生殖器へのびまん性転移の形で初再発をきたした早期乳癌の1例を経験した. 局在性腫瘤を伴わないびまん性転移の場合, 画像検査による診断は困難であり, その診断には腫瘍マーカーの測定とともに細胞診が有用であった. この症例は乳癌既往症例における初再発を知るうえで婦人科細胞診を含む積極的な検索が必要であることを示唆する興味深い症例と思われた.
  • 伊佐山 絹代, 舟橋 幸子, 根岸 永和, 三田 健司, 兼子 耕, 諏訪 敏一, 斉藤 毅, 内ヶ崎 新也
    1995 年 34 巻 3 号 p. 477-481
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    多発性線維腺腫内発生乳癌の1例を報告する. 症例は35歳, 女性. 10年前に右乳腺症と診断され定期検診を受けていたが6年前からは放置していた. 職場検診で右乳腺腫瘤を指摘され当院外科を受診した. 超音波検査およびマンモグラフィーでは良性病変と考えられていたが穿刺吸引細胞診では重積性のある細胞集塊, 細胞の散在傾向, 半月核, 細胞質内小腺腔も認められ悪性と判定した. 乳腺広範囲切除術と術中迅速診断を施行したがsamplingした部位からは悪性像は見出し得なかった. その後, 全割組織標本で多発性線維腺腫の一結節に主として非浸潤性の乳管癌が認められた. 線維腺腫内発生乳癌は術前診断が困難であるが, 適切な検体が採取されれば診断は可能であると思われた.
  • 中村 雅哉, 柏瀬 芳久, 須永 義市, 藤崎 真人, 高橋 峰夫, 小島 勝, 城下 尚
    1995 年 34 巻 3 号 p. 482-484
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肉芽腫性乳腺炎の1例を経験したので報告する. 症例は42歳の女性で主訴は左乳房の長径6cmの腫瘤. 外来時の穿刺吸引細胞診で膿瘍が疑われたが臨床的に乳癌が否定できないため, 生検を行った. 生検時の捺印細胞標本では多数の類上皮細胞が小集団ないし散在性に出現していた. 背景には好中球, リンパ球, 組織球が散在性に認められた. 病理組織学的には乳腺の小葉内に多数の類上皮細胞肉芽腫が形成され, 中心には微小膿瘍を含むものも認められた. 結核菌, 真菌はみられなかった. 肉芽腫性乳腺炎は臨床的に大きな腫瘤を形成し乳癌との鑑別が問題となることがあり, 細胞診では結核, 真菌症など数々の炎症性疾患との鑑別が問題となるまれな乳腺疾患である. その治療にはステロイド内服が有用であるとする報告もあるのでその細胞所見を知っておくことは大事なことである.
  • 堀 隆, 若木 邦彦, 火爪 健一, 新保 京子, 金崎 照雄, 袖本 幸男
    1995 年 34 巻 3 号 p. 485-491
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胃原発の未分化大細胞型リンパ腫 (いわゆるKi-1リンパ腫) の1例を報告した. 患者は67歳の男性. 胃透視で異常を指摘され来院. 胃生検で悪性リンパ腫と診断され, 胃全摘時に胃粘膜およびリンパ節の捺印細胞診を行った. 腫瘍細胞は多数採取され, 孤立散在性に出現し, 細胞は大型で70μを超える大型多核, 一部花冠状核の腫瘍細胞が散見された. これらは一見Reed-Sternberg細胞様を呈し, 核分裂像もところどころにみられた. 以上の細胞所見から未分化大細胞型リンパ腫を疑った. 組織像では腫瘍細胞はリンパ濾胞周囲に集簇性あるいはびまん性に粘膜下層まで浸潤増殖し, 病巣内には線維化がみられ, 血管増生が豊富であった. 細胞診の所見をもとに免疫染色を行い, CD30, CD3およびUCHL-1が陽性の結果を得, 未分化大細胞型リンパ腫・T細胞型と診断した. 胃原発の未分化大細胞型リンパ腫は今までに10例の報告があり, 本例は11例目であるが, 確定診断にいたるきっかけが細胞診であったのは本例のみであった. 実地の診断面において, 未分化癌, 無色素性悪性黒色腫, ポジキン病との鑑別のうえで, 個々の細胞を詳細に観察し得る細胞診の併用は有用で, 免疫組織学的所見が参考になると思われた.
  • 中川 雄伸, 鶴田 潤二, 徳永 英博, 杉内 博幸, 工藤 信次, 大河原 進, 石丸 靖二, 松本 英世
    1995 年 34 巻 3 号 p. 492-495
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    結核性萎縮膀胱にて回腸膀胱拡大術を受け, 31年後に代用膀胱に腺癌が発生した症例を経験したので報告する. 症例は63歳の男性で, 32歳時に結核性萎縮膀胱にて回腸膀胱拡大術を受けた. 63歳時に下腹部痛で当院に入院し, 超音波検査, 膀胱腎孟造影にて移植回腸部に約10cmにわたる腸壁の肥厚と狭窄を認めた. 尿細胞診および組織診にて高分化腺癌と診断された. 細胞学的には比較的強い結合性を示す小型~中型の腺癌細胞の小集塊を認めた. 集塊には配列の乱れや重積性が観察された. 腫瘍細胞のN/C比は高く, 淡い胞体の一部にPAS染色陽性の粘液様物質を, 偏在傾向を示す類円形の核には腫大した好酸性の核小体, 軽度の大小不同および核縁肥厚を認めた. その他, 腺癌細胞との鑑別が困難な剥離した腸上皮細胞あるいは変性上皮細胞も観察された. まれではあるが, 膀胱拡大術後に腺癌が発生することがあるので, 尿細胞診による長期間の観察が必要であると考えられた.
  • 児玉 明子, 吉田 愛知, 三谷 穣, 辻 隆広, 家村 和千代, 吉永 光裕, 堂地 勉, 永田 行博
    1995 年 34 巻 3 号 p. 496-500
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸管ポリープに上皮内癌および微小浸潤扁平上皮癌を認めた各症例を経験したので報告する. 症例1は61歳. 人間ドックでの子宮頸部スメア異常を主訴として, 当科を受診. 外来受診時のスメアはclass IVであり, 径5mmの頸管ポリープを切除したところ, 組織学的に微小浸潤扁平上皮癌と診断された. 症例2は37歳. 集団検診にて子宮頸部スメア異常を指摘され当科を紹介初診となった. 初診時のスメアはclass III aであった. 径6mmの頸管ポリープ表面に白色上皮を認め, ポリープ切除を施行したところ, 組織学的に上皮内癌と診断された. 子宮頸管ポリープでは悪性の頻度は小さいが, ときに癌を合併することがあり, 頸管ポリープを切除した場合には組織学的診断を必ず行うことが必要であるといえる.
  • 加勢 宏明, 斉藤 麻里, 児玉 省二, 田中 憲一
    1995 年 34 巻 3 号 p. 501-505
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸管ポリープの生検で診断された微小浸潤腺癌3例, 浸潤腺癌2例を経験したので臨床病理学的に検討し, 治療方針に対する考察を加えて報告する.
    症例はいずれも頸管ポリープとして摘出され, 組織学的に浸潤腺癌と診断された. 妊孕性温存が望まれた2例に円錐切除術が行われたが, いずれも後に施行された準広汎子宮摘出術で腺病変の遺残を認めた. ポリープを大きな追加切除で診断した1例では, 準広汎子宮全摘出術後の摘出頸部に遺残病変はみられなかった. ポリープ断端に腺癌病変を認め広汎子宮全摘出術を施行した2例のうち1例には遺残病変はなく, 他の1例にはポリープ断端とは別の微小浸潤腺癌を認めた. ポリープに悪性病変が認められた場合は, 円錐切除診による正確な病変評価が必要とともに, 非連続性病変が存在することを考慮し, 最終的には子宮摘出が必要であることが示唆された.
    これら5例のうち3例だけが初診時の頸部細胞診で陽性であった. この細胞診による正診率の低さは, 1) 初期腺癌病変の細胞診所見が必ずしも明確にされていないこと, 2) 綿棒などでは細胞が十分に採取されないこと, 3) ポリープ表面から細胞が採取されていない可能性があることしがあげられる.
  • 木岡 寛雅, 藤井 恒夫, 谷本 博利, 谷岡 慶英, 福田 智, 戸田 環, 山根 哲実, 片山 正一
    1995 年 34 巻 3 号 p. 506-510
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部に内頸部型高分化腺癌を伴った体部癌肉腫例を経験したので報告する. 症例は62歳の5妊2産の主婦で, 不正性器出血を主訴に受診した. 術前, 子宮頸部擦過, 内膜吸引細胞診ともにクロマチンが粗顆粒状を示し, 核小体を有する核が不規則に重積する細胞集塊を認め, 頸部腺癌が疑われたが, 術前細胞診で癌肉腫病変を推定することは困難であった. 摘出物は子宮底部に2cm大のポリープ状腫瘤を認め, 病理組織像は癌肉腫であった. また, 子宮頸部に3cm大の潰瘍を形成した高分化型の内頸部型腺癌を認めた. 免疫組織化学的な検討では, 頸部腺癌はCEA, EMAが陽性であったが, 癌肉腫の腺癌部分はCEA陰性, EMA陽性であった. Keratin, Desmin, Vimentinについても検討したが, 頸部腺癌, 癌肉腫いずれの成分も陰性であった. 以上, 頸部腺癌を合併した体部癌肉腫例というまれな症例を経験し, 免疫組織化学的検討が診断に有用であった.
  • 塩谷 雅英, 濱西 正三, 小林 八郎, 阪井 胖, 真田 浩一, 須原 信子, 近藤 徹
    1995 年 34 巻 3 号 p. 511-515
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診標本に出現する内膜細胞集塊の構造異型の有無の観察が子宮体癌の診断に有用か否か検討する目的で, 平成2年から平成5年までの4年間で兵庫県立塚口病院で経験した19例の子宮体癌症例のうち初診時の細胞診検査で陰性と判定された高分化型子宮内膜型腺癌4症例の子宮内膜細胞診標本を再検討した. その結果3症例の内膜細胞診標本に, 乳頭状集塊, 腺腔構造のback to back配列を伴った集塊および樹枝状集塊などの構造異型を呈する集塊が1つ以上観察された. 他の1例の標本にはほとんど細胞集塊が見当たらず, 構造異型の有無に関しては判断できなかった. この結果から, 子宮内膜細胞診標本を観察する際には標本中に出現した内膜細胞集塊の構造に着目し, その構造異型の有無を検討することで子宮体癌の診断をより正確にできる可能性を示唆するものと考えられた. さらに子宮内膜細胞診検査に当たっては, 細胞集塊が得られるように十分に子宮内膜を吸引ないしは擦過することが重要であることが示唆された.
  • 村上 順子, 日浦 昌道, 重政 和志, 野河 孝充, 佐伯 俊昭, 万代 光一, 森脇 昭介
    1995 年 34 巻 3 号 p. 516-521
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    原発性卵管癌は婦人科悪性腫瘍のなかできわめてまれな腫瘍で, しかも臨床的に予後不良とされている. 今回われわれは卵管癌3症例の細胞像を検討し, 卵管癌の細胞学的特徴について考察した.
    (1) 細胞集塊は小型でし比較的大型の円形~楕円形の細胞がみられた.
    (2) 細胞は重積性あるいは房状配列をとることが多かった.
    (3) 核の大小不同は著しく, 核縁の肥厚が著明で, 核小体は明瞭で小型のものが多く, 一部では細胞質内空胞も認められた.
    術前に卵管癌と診断するのは困難であるが, 以上の細胞所見を念頭に入れ, まれではあるが卵管癌の可能性を考慮して, 臨床的に対処する必要があると思われた.
  • 杉下 匡
    1995 年 34 巻 3 号 p. 522-530
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1976年にMeiselsとFortinによって子宮頸部の異形成はHPVの病変であり, さらに注目すべきことにHPVに感染した基底層の細胞はウイルスの特殊な遺伝子の発動により中層細胞を刺激し, 増殖能を与え核分裂を起こさせると報告した. 当時はあまり注目を得なかったが, 1989年のBethesda会議以来にわかに脚光を浴び, 米国を中心に子宮頸部異形成とHPVの病変の電子顕微鏡的, 分子生物学的な研究が徹底的になされた. 1991年にAmerica Society of Clinical Pathologistsによって発行されたAlexander MeiselsとCarol Morinの共著Cytopathology of theUterine Cervixを翻訳された高濱素秀教授 (埼玉医大病理) のお手伝いをする機会に恵まれ, 翻訳書「子宮頸部細胞病理学」(医歯薬出版) を勉強することができた. 本論文の内容主旨はHPVの感染に際し, 直接感染部位と無限増殖能を獲得し得た感染部位をわけて考える必要性のあること, 軽度異形成の概念が病理学と細胞診断学では基準にdiscrepancyがあり, それを解決することである. またHPV自身の性格をよく理解し頸癌の発癌多段階説を理解することによって, 核異常細胞の発生理論が確立された. 上記翻訳本の内容と著者の経験を基に, 新しい軽度異形成の概念の解説を行っている.
  • 山口 豊, 広川 満良
    1995 年 34 巻 3 号 p. 531-532
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 小林 省二
    1995 年 34 巻 3 号 p. 533-544
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    術中迅速診断に出された206症例の脳腫瘍を対象として凍結切片のみによる診断と, 凍結切片と圧挫細胞診を併用した場合の診断結果について比較した. 凍結切片のみによる正診率は88%であるが, 圧挫細胞診を併用することにより96%に正診率をあげることができた. 術中迅速診断の補助診断として圧挫細胞診は有用であることが明らかである.
    脳腫瘍は圧挫標本をつくることによりそれぞれに特徴的な細胞像を示した. しかし星膠腫系腫瘍では凍結標本と圧挫細胞診を併用しても正診の得られない例があったが, 2カ所以上の部からの適切な試料採取によって解決可能と考えられた. また稀有症例でも圧挫細胞診を併用しても正診を得ることができない症例があったが, 細胞像の記載の充実がのぞまれる.
  • 柴 光年, 山口 豊, 山川 久美, 飯笹 俊彦, 尾辻 瑞人, 高野 浩昌, 小高 恵美子, 馬場 雅行, 堀内 文男, 大木 昌二
    1995 年 34 巻 3 号 p. 545-549
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺癌の外科治療に際して, 術前の画像解析では診断できず, 開胸時に発見された少量の胸水に対して術中迅速細胞診を施行した. 対象は最近10年間の開胸手術例321例で, 組織型の内訳は腺癌179例, 扁平上皮癌109例, 大細胞癌11例, 小細胞癌6例, その他16例である. その結果細胞診陽性と判定された症例は49例 (15.3%) で, 組織型は腺癌が46例 (94%) と大多数を占めた. 胸水とともに肉眼所見で胸膜播種巣が発見された症例は31例で, 残る18例 (37%) は細胞診のみで癌性胸膜炎が証明された. 切除標本による検討では細胞診陽性症例ではP1-2症例が84%, N2-3症例が65%と多数を占めた. 悪性胸水症例では標準的な肺葉切除術に加えてリンパ節郭清, 可及的胸膜播種巣切除, および閉胸時に抗癌剤による胸腔内洗浄を施行した. 胸水細胞診施行例の術後5年生存率は, 陽1生例20%, 陰性例60%で, 陽性例は陰性例に比較して有意に術後生存率が低下していた (p<0.01). しかし腺癌高分化型症例, 細胞異型性の軽度な症例では長期生存例も存在した. 胸水細胞診陽性症例は陰性例に比較して有意に予後不良であり, 癌性胸膜炎の治療も早期に開始する必要があるため, たとえ少量であっても, 積極的な術中胸水細胞診の意義を強調したい.
  • 小林 晏
    1995 年 34 巻 3 号 p. 550-556
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    甲状腺疾患で, 術中診断を施行した33例につきパラフィン標本による最終診断に対する術中捺印細胞診および凍結組織診による診断の一致例数と一致率, さらに両手法併用による一致率を比較し, 両者の相補的効果を認めた. 乳頭癌では, 14例中4例が石灰化・骨化により凍結標本作製が不可能であったり, 広汎な線維化のため腫瘍細胞が切片中になく, 9例しか凍結組織切片による診断ができなかったが, 捺印細胞診では特徴的な核所見から12例の診断ができた. 濾胞癌では細胞異型が強くないと細胞診の診断は不可能であり, 凍結組織診でも腫瘍被膜や脈管内浸潤を発見して初めて確診にいたる. 未分化癌では広汎な壊死のため凍結切片中に腫瘍細胞を認めない場合, 細胞診では広い領域から材料を採取すると未分化癌細胞を散見しうる. 微小癌では肉眼的に腫瘍結節を確認できないときでも細胞診で陽性細胞を発見できることが多い. 一般的に組織の挫滅・壊死, 凍結による人工的変化があるとき, 組織標本による診断は困難だが捺印細胞診の併用により偽陽性を減少させうる. 実際, 甲状腺の術中診断で, 捺印細胞診, 凍結組織診による正診率はおのおの, 75.8%, 69.7%であるが両手法を併用することにより正診率は87.9%まで上昇した.
  • 森谷 卓也, 広川 満良, 清水 道生, 真鍋 俊明
    1995 年 34 巻 3 号 p. 557-561
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺疾患の術中迅速診断575例について, 凍結切片と併用し利用した簡便H-E染色塗抹細胞診標本の再検討を行った. 主病変の良悪性の判定を行った444例では, 塗抹細胞診単独の正診率は96.4%で, 凍結切片の97.1%と差はなかった. また, 両者をあわせて診断したところ正診率は99.5%に上昇した. 癌のリンパ節転移の有無, 乳房温存手術時の温存乳房内の癌遺残の有無の判定では, 塗抹細胞診による正診率はそれぞれ98.4%, 95.6%で, いずれも凍結切片での正診率と有意差はなく, 誤陽性例もみられなかった. 塗抹細胞診の利点は, 組織の広い範囲から多量の細胞採取が可能なことで, 凍結切片の作製が困難な検体にも有効な手段である. また, H-E染色を用いることは凍結切片との対応が容易であった. 本法は凍結切片と同等の診断精度が期待できることより, 補助手段というよりも独立した診断方法として用いることができる可能性を有している. ただ, 細胞診のみでは診断しにくい病変も存在することから, 診断精度の向上のためにさらに工夫が必要であろう.
  • 山岸 紀美江, 當銘 良也, 川村 公彦, 吉川 英一, 野本 清明
    1995 年 34 巻 3 号 p. 562-567
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胃癌術中ダグラス窩洗浄細胞診の迅速標本作製法および迅速で見落としの少ないサイトスクリーニング方法を検討した. 標本作製は, 遠心塗抹器, サクラオートスメアを用いて, 2700rpm, 1~2分問で面積15×15mm2に塗抹する方法が標本作製時間とサイトスクリーニング時間とをともに短縮して有効であった. サイトスクリーニング経験年数 (1~30年) の異なる5名が, べつべつに, 標本を判定した結果, 5名全員判定の一致した割合は, パパニコロー染色標本で69%, アルシアンブルー染色標本で83%, 間接法免疫染色BerEP4標本で82%, 間接法免疫染色CEA標本で84%であった. 5名中4名の判定の一致した割合は, パパニコ'ローで90%, アルシアンブルー, BerEP4で93%, CEAで95%であった. パパニコロー染色標本のみからの判定から生じた誤陽性, 誤陰性は他の染色標本を同時に観察し総合判断をした結果かなり防げた. 胃癌術中洗浄細胞診サイトスクリーニングはパパニコロー染色標本のダブルチェック, またはパパニコロー染色と細胞鑑別に有用な他の染色を加えて施行する必要がある.
  • 山本 隆一, 黒川 彰夫, 森川 政夫, 橋本 和明, 植木 実
    1995 年 34 巻 3 号 p. 568-574
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    過去3年問の婦人科領域の迅速診断における細胞診の有用性を凍結組織診断に併用した捺印細胞診と術中の腹水・腹腔洗浄液の細胞診に分けて検討した. 迅速組織診断には全例で捺印細胞診が併用されていて, 捺印細胞診単独では凍結組織診断より正診率は劣るが, 併用によって凍結組織診断単独より正診率が上昇した. 捺印細胞診単独の誤診例では粘液産生腫瘍が半数を占めており, 粘液産生腫瘍では特に注意を要することが示唆された. 腹水・腹腔洗浄液の細胞診は腫瘍の漿膜因子との相関において特異性は問題がないが, 感受性に若干の問題があった. また捺印細胞診が行われた症例では確実な腫瘍細胞像を得ることができ, これは腹水・腹腔洗浄液の細胞診の判定にとっても有用であった.
  • 広川 満良, 鐵原 拓雄, 大杉 典子
    1995 年 34 巻 3 号 p. 575-578
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Diff-Quik染色を用いて穿刺吸引迅速細胞診を行った158例の成績を報告するとともに, 穿刺吸引迅速細胞診の適応や限界について述べる. 穿刺吸引細胞診における迅速診断の依頼率は9.7%で, 次第に増加する傾向にあった. 穿刺吸引の現場で行った仮判定の診断精度は感度98.1%, 特異性94.6%, 正診率95.7%であった. 迅速診断を行うことにより, 採取不良率を極端に低下させることができた. 本手法は, 患者の精神的負担を軽減し, 術者の穿刺吸引技術の向上に寄与すると考えられたが, その実施に際しては, 人的・時間的余裕と診断レベルの高さが要求される.
  • 畠 榮, 鐵原 拓雄, 広川 満良
    1995 年 34 巻 3 号 p. 579-580
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 有吉 啓子, 城崎 俊典, 石堂 統, 伊藤 以知郎, 半澤 儁
    1995 年 34 巻 3 号 p. 581-582
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 市田 起代子, 曽根 育恵, 松田 実, 倉田 明彦
    1995 年 34 巻 3 号 p. 583-584
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 望月 衛, 吉田 京子, 蛭田 道子, 森 菊夫, 浅野 重之
    1995 年 34 巻 3 号 p. 585-586
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 星 利良, 古田 則行, 都竹 正文, 佐藤 之俊, 山内 一弘
    1995 年 34 巻 3 号 p. 587-588
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 安部 陽子, 大杉 典子, 鐵原 拓雄, 広川 満良, 木山 みどり
    1995 年 34 巻 3 号 p. 589-590
    発行日: 1995年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
feedback
Top