日本臨床細胞学会雑誌
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36 巻 , 3 号
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  • 安松 弘光, 田中 信利, 若林 信浩, 葛城 寿江, 信藤 肇, 林 雄三
    1997 年 36 巻 3 号 p. 261-267
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部細胞診標本においてまれに認められる, いわゆるCrystalline bodyまたはCockleburrs(以下Cockleburrs) について当院を受診した婦人3,500例 (1995年5月~1996年8月) を対象に検討し, 次のような結果を得た.
    1) 出現頻度は0.68%(24例/3,500例) で, この24例中11例 (45.8%) が妊婦であった.妊婦群および非妊婦群における頻度は, それぞれ2-39%(11例/460例) および0.42%(13例/3,040例) であった.ほとんどの症例 (23例/24例) の背景に好中球および組織球様細胞が多数みられ, 本物質は炎症性病変に由来すると思われた.2) その形態はパパニコロウ染色で淡黄榿色を呈し, 菊の花びら状あるいは木の葉状の物質が放射状に配列して, これが円形あるいは樹枝状など種々の形態を示し, その構造は立体的であった.大きさは長径で平均30.9μm, 出現個数は平均3.1個であった.3) 特殊染色, 電子顕微鏡的検索, X線分析の結果, 本物質はGlycogen以外の炭水化物を含み, カルシウムなどの無機物を含まない蛋白様物質が均質に濃縮したものであることが示唆された.
  • 田中 里美, 葛西 里美, 福島 成之, 田保 徹, 志田 しげの, 武田 善樹
    1997 年 36 巻 3 号 p. 268-272
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細小肝細胞癌の細胞像は多く高分化型肝細胞癌のそれであり非癌肝内小結節由来の細胞像と似るため, 計測学的手法を用いて両者を比較した.陽性13例, 疑陽性10例, 陰性12例について, 用手法と2次元画像解析法によって, 胞体長径, 核長径, N/C比, 核小体長径を測定した.胞体長径は, 陽性 (17.4μm) <陰性 (22.9μm).核長径は, 陽性 (7.8μm) <陰性 (8.9μm).N/C比は, 陽性 (0.50) >陰性 (0.40).核小体長径は, 陽性 (1.6μm) <陰性 (2.1μm) であった.陽性例における数値のばらつきは小さかった.高分化型肝細胞癌の特徴は, 均一な大きさの小型細胞でN/C比の増大にあるといえる.
  • 広岡 保明, 小西 伊智郎, 佐藤 尚喜, 山代 豊, 山口 由美, 貝原 信明
    1997 年 36 巻 3 号 p. 273-277
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    超音波誘導下穿刺吸引細胞診が施行された肝内小結節性病変42例を対象とし, 細胞診誤陰性例の検討を行った.対象の内訳は, 肝細胞癌20例 (高分化型6例, 中分化型13例, 低分化型1例), 転移性肝癌8例, 肝良性病変14例で, 全例腫瘍の長径2cm以下で孤立性病変であった.また, 高分化型肝細胞癌の細胞学的特徴について肝硬変症と比較検討した.
    42例中穿刺吸引細胞診で正診できなかったのは, 細胞異型が軽度で悪性と読めなかった高分化型肝細胞癌2例と, エコーでの描出が不明瞭で正確に穿刺できなかった高分化型肝細胞癌1例, 中分化型肝細胞癌1例および転移性肝癌1例の合計5例であった.
    高分化型肝細胞癌と肝硬変症の間で細胞学的所見に差があったのは, 核の大小不同性, 細胞質の大きさと大小不同性, N/C比, 細胞密度, 核クロマチン量などであった.
    以上より正診率向上のためには, 細胞採取技術を確実にすることと, 高分化型肝細胞癌の細胞学的特徴である小型でそろった核, N/C比が大, クロマチン量増加, 細胞密度が高度であるというような所見に注意して細胞判定を行うことが重要と思われた.
  • 近藤 福雄, 近藤 洋一郎, 堀内 文男, 今野 暁男
    1997 年 36 巻 3 号 p. 278-288
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肝内小結節性病変 (特に小肝細胞癌) の細胞診と, それと併用する組織診の有用性を1982年以降の成績をもとに調べた.小肝細胞癌の生検診断の診断において組織診の診断基準としては,(1) 核の過密化 (細胞密度の増加),(2) 細胞質の染色性の増加,(3) 小腺管形成が有用であり, 細胞診としては,(1) N/C比の増大,(2) 核の大きさの均一性,(3) 不整索状構造,(4) 小腺管形成が有用であった.正確な診断のためには, 生検の手順の工夫と鑑別診断の知識が必要であった.生検細胞診と組織診の一致率は, 全体で (89%), 径2cm以下の小肝細胞癌でも (72%) と良好であった.しかし, 小さな高分化型肝細胞癌の診断に改善の余地を認めた.
    現在, 生検細胞診と生検組織診は相補う有用な検査法であることが確認された.
  • 三宅 康之, 鐵原 拓雄, 畠 榮, 広川 満良
    1997 年 36 巻 3 号 p. 289-292
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺粘液癌10例を検討し, 全例において腫瘍細胞集塊の辺縁や背景の中に紡錘形細胞を確認した.免疫組織・細胞化学的に, 細胞集塊辺縁に出現する紡錘形細胞はCEAや, EMAに陽性で, 粘液に圧排された腫瘍細胞と考えられた.一方, 背景に散在する紡錘形細胞はvimentin陽性で線維芽細胞と考えられた.これら紡錘形細胞の存在は粘液癌の特徴の一つと考えられ, 良性疾患の指標として広く受け入れられている筋上皮細胞や双極裸核細胞と見誤らないよう注意すべきである.
  • 服部 学, 大野 英治, 横山 大, 小林 明子, 豊永 真澄, 柿沼 廣邦, 大部 誠, 内田 豊昭, 蔵本 博行
    1997 年 36 巻 3 号 p. 293-298
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    カテーテル尿中には, 良性であってもカテーテル挿入時の刺激により癌の特徴の一つである乳頭状増殖を思わせる細胞集塊が出現する.このため, 良・悪性の鑑別が困難な症例も少なくない.そこで, 組織診にて良性疾患 (慢性炎症) とされた10例と移行上皮癌 (G1=6例, G2=22例, G3=7例) とされた35例の膀胱カテーテル尿の細胞診について画像解析装置を用いて解析し, 特に組織学的異型度が軽度なG1移行上皮癌に対する診断基準の確立を試みた.その結果, 良性疾患とG1移行上皮癌を比較するとN/C比, 核面積および核大小不同性では有意差は認められなかったものの, 細胞面積および細胞大小不同性では良性疾患は小型から大型まで多彩な細胞が出現していたのに対し, G1移行上皮癌では小型で均一な細胞の出現が確認された.さらに, G1移行上皮癌は良性疾患に比べ核密度が有意に高い細胞集塊が特徴であった.以上より, 良性疾患とG1移行上皮癌の鑑別には出現する細胞の大きさ, 均一性ならびに核密度に注目することが重要であり, これを診断基準に加えることで良性疾患とG1移行上皮癌の鑑別は可能であると思われた.
  • 彼谷 裕康, 中村 忍, 池野 恒久, 服部 憲尚, 武島 稔, 中村 喜久, 大竹 茂樹
    1997 年 36 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    糖蛋白の発現による多剤耐性 (MDR) については種々の報告があるが, われわれは44人の未治療の白血病患者の骨髄あるいは末梢血の腫瘍細胞をAPAAP法を使い, C219モノクローナル抗体で染色した.各検体につきそれぞれ1000個の腫瘍細胞を観察し, 強陽性に染まる細胞の割合を求めた.急性非リンパ性白血病 (ANLL) のM4および急性混合性白血病 (AMixL) において発現頻度および平均陽性率が高かった.細胞表面抗原についてはCD7やCD34がMDRと相関があることは報告されてはいるが, 本研究では有意な相関はなかった.また, 細胞形態からも, 幹細胞から単球系にやや分化した段階で陽性となりやすいと推測された.染色体異常については7番染色体異常のある群で50%が, ない群で25%がP糖蛋白陽性であった.しかし, 有意な相関はなかった.
    MDRと病型および臨床経過に関しては種々の結果が報告されているが, 今回のわれわれのC219モノクローナル抗体を使った免疫染色法でも, これまでの報告と多少異なった結果となった.今後, 統一された方法で症例を蓄積し, 検討していくべきであろう.
  • 笹川 基, 松下 宏, 遠藤 道仁, 本間 滋, 高橋 威, 宇佐見 公一, 本間 慶一
    1997 年 36 巻 3 号 p. 305-308
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    54歳の患者に発生したextraovarian peritoneal serous papillary carcinoma (以下EPSPC) の1症例を報告した.下腹部痛で来院し, 初診時の子宮頸部細胞診と子宮内膜細胞診で腺癌細胞が認められ, 子宮内膜癌 (疑) の術前診断で開腹術を行った.直腸漿膜に灘慢性癌病巣があり, 子宮, 卵管, 卵巣などに肉眼的に認められる病巣はなかった.直腸漿膜主病巣からの生検病理組織検査では, 中分化型漿液性乳頭状腺癌であった.摘出した卵巣表層, 子宮外膜, 卵管外膜, 大網にも, 組織学的にきわめて微小な播種性病変がみられたが, 原発病巣と考えられる所見はなく, 直腸漿膜に発生したEPSPCと診断した.
    卵巣癌や卵管癌など子宮外の悪性腫瘍症例で, 子宮頸部細胞診, 子宮内膜細胞診に悪性細胞が出現することがあり, その細胞学的特徴の一つとして, 腫瘍性背景を欠如することがあげられているが, 今回の症例でも, 腫瘍性背景はみられなかった.きれいな背景の中に腺癌細胞集塊が観察され, 生検組織診などで子宮頸部, 子宮体部に病巣が確認できない場合, 卵巣癌, 卵管癌とともにEPSPCの可能性も念頭におく必要があると思われた.
  • 松田 実, 竹田 繁美, 樋口 富子, 飯島 宏, 井上 健
    1997 年 36 巻 3 号 p. 309-313
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    年2回の定期的な胸部検診で, 胸部X線写真に異常陰影は認められなかったが, 同時期に行われた喀痰細胞診で悪性細胞が認められ, 小細胞癌の疑いと判定された1例を経験したので報告する.喀痰中にみられた悪性細胞は, 小型で大小不同があり, 細胞質に乏しく裸核状で, 核型不整が著しく, クロマチンは細顆粒状密なもの, 粗顆粒状のものが混在していたが, 濃縮状のものもしばしば認められた.4ヵ月後の入院時には, X線写真で左肺門部に円形の腫瘤陰影が認められ, 肺門リンパ節腫脹を思わせた.気管支鏡検査では, 左上下幹分岐部から上幹外側壁にかけて隆起性病変がみられ, 同部の擦過細胞診および生検組織診にて, 小細胞癌燕麦細胞型と診断された.化学療法と放射線療法の併用により完全に寛解して退院したが, 1年後の現在, 再発の兆候はみられない.胸部X線像無所見の小細胞癌の報告は少なく, 自然史を知るうえに貴重な症例であると考える.
  • 国村 利明, 大池 信之, 宮坂 信雄, 荒川 昭子, 上倉 恵子, 永井 智子, 福田 ミヨ子, 諸星 利男
    1997 年 36 巻 3 号 p. 314-318
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺原発の悪性リンパ腫の一切除例を経験した.症例は59歳の女性で, 微熱と体重減少を主訴に来院した.胸部画像検査にて右肺上葉に内部が不均一な径5cm程度の腫瘤が確認され, 気管支内視鏡施行時に行われたブラッシング細胞診にて, リンパ球を背景に泡沫状の胞体を有する腫瘍細胞が散在性に認められた. 腫瘍細胞の核はきわめて大きく, 切れ込みを有しており, 大型の核小体が目立ち, クロマチン分布は不規則であった.これらの所見から腺癌が疑われ, 右肺全摘術が施行された.摘出標本の割面にて, B3に連続して径5cm程度の中心部壊死が著明な腫瘤が認められ, 組織学的にはびまん型, 大細胞型の悪性リンパ腫で, 免疫組織学的にはB細胞性と診断された.さらにin situ hybridizationにより腫瘍細胞へのEBウイルスの感染が確認された.
  • 鈴木 利昭, 社本 幹博, 新里 雅範, 正木 彩香
    1997 年 36 巻 3 号 p. 319-323
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    マクロファージの血球貧食現象は種々の感染症によって引き起こされることが知られている.今回われわれはhuman immunodeficiency virus (HIV), サイトメガロウイルス (CMV), Epstein-Barrvirus (EBV) の感染によるvirus-associated hemophagocytic syndrome (VAHS) の1例を経験したので報告する.症例は30歳, 女性.発熱, 前胸部痛, 体重減少 (6kg) を主訴に来院.血液検査で汎血球減少および肝機能異常を指摘された.ウイルス抗体価は, EBV-IgGおよびCMV-IgGが高値, C型肝炎ウイルス (HCV) は陰性であった.HIVは陽性であり, CD4は26.7%と低値であった.内視鏡検査で食道に潰瘍が認められ, 食道生検標本の潰瘍部には炎症性細胞浸潤が強く, 扁平上皮細胞は空胞化が目立ち腫大状で, スリガラス状のやや腫大した核がみられウイルス感染が示唆された.免疫染色でCMV, EBV, HIV-p24が陽性所見を示した.骨髄穿刺では3系統の造血細胞が減少し, マクロファージの集籏が散在性に認められた.食道生検と同様にCMV, EBV, HIV-p24が陽性であった.これらのことよりHIVによる免疫不全に多種のウイルス感染が加わったためにVAHSを引き起こした症例と考えられた.
  • 高橋 みどり, 山田 昭二, 清田 秀昭, 朝元 美利, 工藤 玄恵
    1997 年 36 巻 3 号 p. 324-329
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Gerstmann症候群を主症状として発症した57歳男性の悪性髄膜腫例の捺印細胞像を報告する.画像にて左頭頂後頭葉硬膜に付着し, 周囲に浮腫を伴う大きな孤立性腫瘤を認めた.髄膜腫の診断で摘出術施行.その捺印細胞診標本にて壊死背景に孤立性あるいは境界不明瞭な高密度の集塊状腫瘍細胞を多数認めた.核問距離は不均等で, 一部に二層程度の重積を認め, N/C比は高く, 細胞質は薄くレース状であった.大小不同のある核は円~類円形で, 核縁は薄く, 腫大した核小体と増量傾向を示す細穎粒状クロマチンを有していた.核分裂像も散見できた.渦巻形成を少数認めたが, 砂粒体や核内偽性封入体はなかった.異型ないし悪性髄膜腫を疑った.組織学的には髄膜上皮腫様髄膜腫を思わせたが, 多数の核分裂像や壊死巣を伴う, 無構造な富細胞巣が, 広範囲にみられた.核は大型類円形で, 明瞭な核小体を有していた.問質は細い血管結合織であった.脳実質内への広範な浸潤像があり, 強い浮腫と反応性グリア細胞の増生をひき起こしていた.Ki-67抗体免疫染色では高い増殖能を示した.以上, 異型髄膜腫の特徴を満たす上に, より強い細胞異型ならびに明らかな脳浸潤が認められたので, 悪性 (退形成) 髄膜腫と診断した.WHO分類における異型と悪性の鑑別根拠の最も大きな相違点は明らかな脳組織への浸潤の有無であるため, 細胞診標本で両者の鑑別を行うことは困難な点がある.それゆえ, 現時点における髄膜腫の細胞診断は, それが非定型例であるか否かの同定が大事であると考える.
  • 堀部 良宗, 佐野 真, 笠原 正男, 青山 久美子, 田代 和弘
    1997 年 36 巻 3 号 p. 330-331
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 奥田 敏美, 辻本 正彦, 黒川 和男, 滝 一郎
    1997 年 36 巻 3 号 p. 332-333
    発行日: 1997/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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