日本臨床細胞学会雑誌
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36 巻, 5 号
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  • 喜納 勝成, 石 和久, 奥山 直子, 岡崎 哲也, 風間 玲子, 古谷津 純一, 齊藤 啓, 鈴木 不二彦, 久保田 武美
    1997 年 36 巻 5 号 p. 473-477
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Southern blot hybridization法またはDot blot hybridization法によりHPV-DNAが検出されたが, ISH法ではHPV-DNAを検出できなかった27例の子宮頸部擦過細胞診材料 (Papanicolaou染色戻し標本) と同時期に採取された生検材料を用いin situ PCR法を行い以下の結果を得た.
    1) 細胞診材料においてin situ PCR法で27例中16例 (59.3%) からHPV-DNAを検出した.
    タイプ別HPVーDNAの検出率は, HPVpU-31Bでは, type6, 11群で5例中、3例 (60.0%), HPVpU-1Mでは, type16, 18群で14例中7例 (50.0%), type31, 33, 35群で8例中6例 (75.0%) であった.
    2) HPV-DNAの分布は, 異型細胞を中心に一部正常細胞の核内に散在性に認められた.ただし, 正常細胞に陽性シグナルを得た症例はCIN1 (1例), CIN2 (1例) の2例であった.
    3) 生検材料では27例中20例 (74.1%) でHPV-DNAを検出した.また細胞診材料との一致例は27例中24例 (88.9%), 不一致例は27例中3例 (11.1%) であった.
    in situ PCR法は, 細胞診材料においても応用が可能で, ISH法に比べ感度が優れていることは, 今後の細胞形態学的遺伝子解析に大きく貢献するものと考える.
  • 中山 裕樹, 土居 大祐, 小野瀬 亮, 河合 尚基, 加藤 久盛, 岡島 弘幸, 小松 祐子, 岩撫 成子, 中村 満美子, 早淵 洋子
    1997 年 36 巻 5 号 p. 478-483
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    頸癌一次検診における細胞診の問題点を検討するために, 神奈川県立がんセンター婦人科に紹介され, 子宮頸部異形成あるいは子宮頸癌と診断された383例について, 紹介医での細胞診を後方視的に調査し, 次のような結果を得た.
    (1) 93.7%に頸部細胞診が行われていた.
    (2) 最終診断との一致率は47.4%で, 二次・三次検診施設での成績と比較すると明らかに低率であり, 全体に低評価に傾いていた.
    (3) 高度異形成から頸癌Ia期に限ってみると, 一致率は29.5%と低下した.
    (4) 内頸部病巣では綿棒の一致率が高く, 外頸部病巣ではサイトピックの一致率が高かった.
    (5) 細胞診プレパラートの再鏡検では36.4%が過小評価であった.
    (6) 借用標本の27.2%は, 不良標本であり, 臨床医の塗抹・固定の技量向上が望まれた.
    (7) クラスIIIa例のうち, 16.5%では漫然と細胞診でフォローアップされていた.
    一次検診における細胞診の成績はさらに向上する余地があった. また, 臨床医は検体採取および固定に熟練し, 決められた検診の手順を順守すべきと考えられた.
  • 今井 律子, 夏目 園子, 佐竹 立成, 深津 俊明
    1997 年 36 巻 5 号 p. 484-489
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1990年から約2年間に当院で陰性と判定された子宮体部内膜細胞診標本514例中134例に「良性と考えられるが異型を示す細胞」(以下「良性異型細胞」と略す) を認めた.細胞診標本と同時に作製されたセルブロック標本を用いてこれらの由来する組織像を調査した. 細胞診標本中の「良性異型細胞」は1型, 2型, 3型と3つの形態に分類できた. 各良性異型細胞に対応する組織像は次の通りである. 1型;子宮体部内膜の被覆上皮細胞の増生であり, 細胞は乳頭状ないし非乳頭状に増生して認められた. 2型;子宮体部内膜の被覆上皮細胞の増生に由来するが, 1型と異なり細胞質が広く厚みを帯びている. 3型;正常の内膜腺管上皮の細胞に由来し, 細胞や核に大小不同が認められた. これらの細胞の中で特に1型細胞は高分化子宮内膜癌 (類内膜腺癌, Grade1) に由来する細胞との鑑別が必要であるが細胞集団の剥離形態と集団を構成する細胞の核の短径の長さに注目して観察すれば鑑別可能である.
  • 佐藤 雅美, 斎藤 泰紀, 鈴木 隆一郎, 関本 信, 岩波 洋, 高島 力, 中嶋 隆太郎, 藤村 重文, 金子 昌弘
    1997 年 36 巻 5 号 p. 490-497
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    厚生省がん研究助成金金子班の肺癌検診の精度管理に関するアンケート調査の一環として, 実際に喀痰細胞診の判定を行っている施設および細胞診指導医・細胞検査士などの個人を対象にカラー写真による判定基準の検証を試みた. その結果, 細胞異型の高度なものでは, ほぼ, すべての施設で要精査と判定していたが, 細胞異型の軽度な早期肺癌症例や異形成の症例では, 要精査と判定しない一部の施設もみられた. 日本肺癌学会編の肺癌取り扱い規約, 肺癌集団検診の手引きおよび集団検診における喀痰細胞診の判定基準と指導区分などにより用語などの統一がはかられているが, 実際の診断基準には施設によりばらつきがあり, さらに今後, 各施設での研鑽が必要と思われた. なお, 本アンケートの問題点として, 実際のプレパラートによるアンケートではなかったこと, 対象がすべての喀痰細胞診判定施設ではなかったことなどを保留する.
  • 尾野 緑, 椎名 義雄, 金本 淳, 菰田 照子, 坂内 久一, 西山 文朗
    1997 年 36 巻 5 号 p. 498-505
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Human line (HL) 細胞を用いChlamydia pneumoniae (C. pneumoniae) 感染細胞に出現する封入体の形態学的観察を行った.
    その結果, 封入体の染色性はPapanicolaou染色ではヘマトキシリン好性, Giemsa染色では好塩基性を示した.封入体は感染初期で核に隣接した一側に局在し, 感染力価の高い菌液を使用した場合は同部位に複数個観察された. さらに複数個の封入体は直径約6μmまでは融合することなしに増大し, その後融合して1つの大型封入体になった. しかし, それら封入体は部分的に核を圧排するものの, 核を完全に圧排して印環型を呈するものはなかった. 封入体周囲に膜様構造はみられず, 細胞質と封入体の間に不染間隙を認めた. 封入体の形は円形が主体であったが, 崩壊過程の所見として中心部に空洞化を示すものも観察された.
    以上の所見より, Papanicolaou染色およびGiemsa染色において, C. pneumoniae感染による封入体の検出は可能であるが, 宿主細胞によってはその形態が異なる可能性がある点と封入体を形成する感染細胞の出現率が低い点を考慮する必要があるように思われた.
  • 中澤 久美子, 弓納持 勉, 石井 喜雄, 早川 直美, 加藤 良平, 池上 淳, 須田 耕一, 尾崎 由基男, 久米 章司
    1997 年 36 巻 5 号 p. 506-511
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診断が確定した132例の体腔液細胞診標本を用いて免疫細胞化学的にp53蛋白の検出を試みた. 悪性細胞陰性例では, class I, class IIの中皮細胞を対象とし, 20例中4例 (20%) が陰性 (-), 15例 (75%) が10%以下の陽性 (1+), 残りの1例 (5%) が11%以上50%未満の陽性 (2+) を示した. すなわち, ほとんどが1+であった. これらの中皮細胞のp53蛋白の発現は遺伝子解析により変異型が認められず, 野生型の可能性が高いと考えられた.
    悪性細胞陽性例におけるp53の発現は112例中88例 (78.6%) にみられ, その染色性は15例 (13%) が1+, 40例 (36%) が2+, 残りの33例 (29%) が3+ (50%以上の陽性) であった. すなわち, 2+以上陽性が65%にみられた. このことより, 体腔液細胞診におけるp53の免疫染色で, 陽性細胞が多数認められる症例では悪性の可能性が高いと考えられた. 原発巣では膵癌89%, 子宮体癌88%, 肺小細胞癌75%, 肺腺癌70%などが特に高率であった. また, p53の発現と原発巣および予後との関係では, 統計学上明らかな相関は見出せなかった.
  • 橋本 茂, 可西 直之, 鈴木 綾子, 鈴木 信孝, 生水 真紀夫, 井上 正樹
    1997 年 36 巻 5 号 p. 512-516
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    卵巣原発ミューラー管混合腫瘍 (stage IIIc) 症例に対し, 腹水細胞の免疫細胞化学的検討を行い, 診断の補助たりえたので報告する. 症例は69歳で, 腹部膨満, 便秘, 頻尿を主訴に当科を受診し, 下腹部に腫瘤を触れ, CA125が異常高値であった. 手術療法後, 化学療法を施行した. 術後3年7ヵ月経過した現在, 再発兆候なく健在である.手術時摘出物の病理組織学的所見は, 腹腔内に広範な転移を伴う右卵巣原発のミューラー管混合腫瘍であり, 腹水穿刺吸引細胞診で出現した2種類の細胞に対して施行した免疫染色では, 腺癌様細胞でCA125染色, BerEP 4染色が陽性, かつVimentin染色が陰性, 肉腫様細胞では逆に, CA 125染色, BerEP 4染色が陰性で, かつVimentin染色が強陽性であった.ミューラー管混合腫瘍の細胞診断には, CA 125, BerEP 4, Vimentinの免疫化学的染色がきわめて有用であった.
  • 新井 正秀, 上坊 敏子, 佐藤 倫也, 渡辺 純, 岩谷 弘明, 蔵本 博行
    1997 年 36 巻 5 号 p. 517-520
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    多数のReinke crystalを有する卵巣間質性ライディク細胞腫を経験したので, その組織所見と捺印細胞所見を報告する.組織学的には, 線維腫様の腫瘍組織の中に, 好酸性の豊富な細胞質と多数のReinke crystalを有するライディク細胞が, 島状に増生していた. また, 小範囲の粘液性腺腫を合併していた. 捺印細胞診標本上に出現した細胞は,(1) 結合性が粗で, N/C比の高い長円形の核を有する紡錘状の細胞,(2) ライトグリーンのやや豊富な細胞質と類円形の核を有し, 重積性ある集塊を形成する細胞,(3) 核が偏在し, 柵状配列を示す細胞, の3種類である.(2) の細胞集塊の中にオレンジGに好染する細長い結晶 (Reinke crystal) が多数出現していた.
  • 植田 啓, 寺本 勝寛, 大久保 喜彦, 原 仁, 木村 正博, 小山 敏雄
    1997 年 36 巻 5 号 p. 521-525
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵管原発の絨毛癌はきわめてまれな疾患である. 今回われわれは, 最終妊娠 (正常分娩) 後19年, 閉経後2年を経て発症した, 卵管原発と思われる絨毛癌の症例を経験したので報告する.
    症例は49歳女性, 6妊4産, 47歳で閉経. 下腹部痛を主訴に来院した. CT, 超音波検査で右付属器腫瘍が疑われたが, 子宮内膜吸引細胞診でArias-Stella reaction (A. S. R.) の細胞所見を認め, それによって初めて妊娠関連疾患を疑い, 子宮全摘出術+両側付属器切除術を施行した. 腫瘍の大きさは7×4×4cm, その割面は出血と壊死が著しかった.組織所見は, 出血壊死のなかにラングハンス細胞由来の大小不同の著明な悪性細胞が増殖し, その細胞は多形性で, クロマチンは増量, 多核を呈していた. 絨毛形態は認めなかった. 腫瘍細胞は卵管筋層内にもみられ, 血管内増殖像も認められた. 子宮内膜はA. S. R. 所見のみで, 絨毛は認めなかった. 以上の所見より, 右卵管絨毛癌と診断した.
    卵管絨毛癌の術前診断はなかなか困難であるが, 子宮内膜細胞診のA. S. R. 所見から絨毛性疾患を疑うことができた点で, 細胞診の有用性が認められた症例であった.
  • 塚本 孝久, 大田 喜孝, 伊藤 園江, 中野 祐子, 大田 桂子, 楳田 明美, 伊藤 裕司, 中村 康寛
    1997 年 36 巻 5 号 p. 526-530
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺細胞診において, 免疫細胞化学的検索が診断に有用であった乳腺原発悪性リンパ腫2例を経験したので報告する.症例1は78歳女性.症例2は44歳女性で, いずれも乳房腫瘤を主訴に外科を受診. 2症例の穿刺吸引細胞診における腫瘍細胞は好中球と同大か, それよりやや大きく, 結合性を欠き, 核は円形~ 楕円形でN/Cが高く, 一部にcleavedな形状を認めた.May-Giemsa染色では好塩基性の細胞質と微細な核クロマチン構築を認めた. 以上の細胞所見より悪性リンパ腫を強く疑ったが, 低分化腺癌などとの鑑別が必要と考えられ, 免疫細胞化学的染色 (LCA, L26, UCHL1) を行った. 材料は症例1は穿刺吸引細胞診に使用した注射筒の洗浄液塗抹標本にて, 症例2では穿刺吸引塗抹乾燥標本と脱Papanicolaou標本を用いて行った. 結果は腫瘍細胞に一致して細胞表面に症例1ではLCAとL26に, 症例2ではLCAに陽性像を認め, 穿刺吸引細胞診の時点で悪性リンパ腫を積極的に推定することができた. 組織生検では症例1は非ポジキン悪性リンパ腫, びまん性, 大細胞型. 症例2は非ポジキン悪性リンパ腫, びまん性 (部分的に濾胞性), 中細胞型と診断され, いずれの症例にも化学療法が施行された.
  • 金子 隆子, 望月 衛, 箱崎 半道, 猪狩 咲子
    1997 年 36 巻 5 号 p. 531-536
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    58歳男性の胃に発生した絨毛癌の捺印細胞診所見につき報告する.黒色便を主訴に当院を受診.上部消化管内視鏡検査で, 胃噴門部に巨大な粘膜下腫瘍様病変を認めた. 胃全摘術・膵部分切除術・脾摘出術を施行. 手術中に横隔膜脚部浸潤部の腫瘍捺印細胞診を行い, さらに摘出胃腫瘍の腫瘍捺印細胞を観察した. パパニコロウ染色標本では, 出血・壊死を背景とし, 大型異型細胞が, 孤立散在性ないし小型細胞集塊を形成し多数出現していた. 腫瘍細胞は3つに大別することが可能であった. すなわち, 1) 類円形大型核, 大型明瞭な核小体, およびライトグリーン好染性で厚みのある細胞質をもつN/C比大の単核細胞, 2) 豊かな細胞質をもつ大型多核細胞, 3) 腫大した核と比較的豊かな細胞質を併せ持つ単核細胞, の3者であった. 1) は, 細胞性栄養膜細胞 (CT), 2) は合胞体栄養膜細胞 (ST), 3) は中間型栄養膜細胞 (IT) に類似の細胞形態であった. 本腫瘍は, 低分化型癌, 悪性黒色腫, 悪性リンパ腫との鑑別が問題となる. しかし, 1) 上皮性の細胞配列を示すこと, 2) 繊細かつ厚みを持った細胞質を持っこと, 3) CT, ST, ITに相当する3相性の細胞出現様式をとることに留意すれば本腫瘍の診断は可能と考えた.
  • 鐵原 拓雄, 広川 満良, 有光 佳苗, 成富 真理, 畠 榮, 桜井 孝規
    1997 年 36 巻 5 号 p. 537-540
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    透析歴を有する患者にみられた腫瘍状石灰化症様病変の穿刺吸引細胞診像を報告する.症例は53歳男性と57歳男性の2例で, いずれも多数の結晶物が観察された. 結晶の形は大部分がi類円形で, 同心円状構造を有し, 結晶内部は顆粒状でやや黄色調が強く, 結晶辺縁は淡明なライトグリーンで, 層状構造を示し, 光輝性であった. これらの結晶は偏光顕微鏡下の観察にて複屈折を示さなかった. 1例においては組織球や破骨型巨細胞もみられた. 腫瘍状石灰化症様病変にみられた結晶は特徴的な構造をしており, その認識は本疾患の診断に有用と思われる.
  • Raj K Gupta, SN Rao, Gary Picken
    1997 年 36 巻 5 号 p. 541-544
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    46歳のインド系女性の右磐部に突然発症した腫瘤に対して穿刺吸引細胞診が施行された.診断が不確定でしかも腫瘤の局在や局所の痛みが改善されないまま患者は抗結核治療を受けていた.穿刺吸引材料の量は豊富でその細胞像は嚢胞状を呈し核はおとなしく細顆粒状のクロマチンを示し細胞質の狭い単調な腺上皮細胞が粘液物質を取り囲むようにまた異染性を示す粘液球として認められた. この病巣の細胞診断は転移性腺様嚢胞癌であった. さらにこの診断は穿刺材料のセル46歳のインド系女性の右磐部に突然発症した腫瘤に対して穿刺吸引細胞診が施行された. 診断が不確定でしかも腫瘤の局在や局所の痛みが改善されないまま患者は抗結核治療を受けていた. 穿刺吸引材料の量は豊富でその細胞像は嚢胞状を呈し核はおとなしく細顆粒状のクロマチンを示し細胞質の狭い単調な腺上皮細胞が粘液物質を取り囲むようにまた異染性を示す粘液球として認められた. この病巣の細胞診断は転移性腺様嚢胞癌であった.さらにこの診断は穿刺材料のセルブロックまたは針生検にて確定診断がなされた. 後になってこの患者が約13年前に顎下腺腫瘤の摘出術を受けこれが腺様嚢胞癌と診断されていたことが判明した. 本症例は診断困難であった轡部腫瘤が穿刺吸引細胞診によって確定診断を可能にした興味ある症例と思われる.
  • 笠井 久豊, 前田 勝彦, 伊藤 真子, 中野 洋, 上森 昭, 石原 明徳
    1997 年 36 巻 5 号 p. 545-549
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    穿刺吸引細胞診にて診断が困難であった左頸部に発生した血管肉腫を経験したので報告する.症例は71歳女性. 左頸部腫瘤に気付き来院.穿刺吸引細胞診では出血性および炎症性背景の中に集塊状の腫瘍細胞が観察された. 細胞は小型で結合は強く, 一部でロゼット様の構造が認められた. 核は類円形から楕円形でN/C比は大きく, また一部の細胞に核溝が認められた.
    切除標本における免疫組織化学では第VIII因子関連抗原, 内皮細胞CD31が陽性であった.電子顕微鏡による検索ではWeibel-Palade小体が認められ, 血管肉腫と診断された.
    血管肉腫は分化度により多彩な像を呈し, 診断の困難なことがあるが, 検体の性状, 細胞の出現様式などから血管肉腫を念頭に置き, 確定診断のために免疫組織化学や電子顕微鏡による検索を行っていく必要があると考えられた.
  • 下田 昌司, 田路 奈津子, 松田 実, 上野 浩, 西 時男
    1997 年 36 巻 5 号 p. 550-551
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 尾關 祐里, 則松 良明, 古谷 満寿美, 沖野 毅, 津嘉山 朝達
    1997 年 36 巻 5 号 p. 552-553
    発行日: 1997/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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