日本臨床細胞学会雑誌
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37 巻 , 6 号
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  • 森 隆弘, 大島 孝平, 館野 みちる, 谷 浩子, 奥村 英雄, 社本 幹博
    1998 年 37 巻 6 号 p. 555-559
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    N/C比の高い変性した移行上皮細胞が, 糖尿病患者の自然尿中に認められることがある. 臨床的に糖尿病と診断された54症例を用いて, 変性細胞の出現比率について検討した. 対照には糖尿病患者および悪性腫瘍患者を除いた尿検体1662症例を用いた. 糖尿病患者症例では17例 (出現率31.5%) に, 対照症例では118例 (出現率7.1%) にそれぞれ変性細胞が認められた. すなわち, 糖尿病患者の尿中には明らかに高頻度に変性細胞が出現していた. 大部分の変性細胞はウイルス感染を示唆するような所見を呈していたが, 一部腫瘍細胞との鑑別が困難な細胞も認められた. しかし, 認められた変性細胞がすべてウイルス感染によるものであるか否かは確定できなかった.
    糖尿病患者の尿については臨床診断を考慮に入れ, スクリーニングする必要があると考えられた.
  • 清水 かほり, 加藤 友康, 手島 英雄, 荒井 祐司, 佐藤 恒, 平井 康夫, 都竹 正文, 山内 一弘, 荷見 勝彦
    1998 年 37 巻 6 号 p. 560-566
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体部腺癌に初回治療として放射線療法を施行した症例について, 癌細胞の急性変化を検討した. 当科で過去13年間に749例の子宮体癌症例を経験し, うち21例に初回主治療として放射線療法を行った. 放射線照射の前, 中, 後に検体を採取し, 細胞標本が評価可能であった10例を再検討した. また, 10例中, 組織学的にも再検討可能であった8例につき細胞所見と比較した. 細胞所見では照射線量の増加に伴い, 1) 核縁の不整, 細胞質腫大, 2) 多空胞型細胞質内空胞, クロマチン構造の粗大顆粒化, 3) 核破砕, の順に広範性変化を認めた. また散在性にみられた変化では, 1) 核小体の腫大と不整, 核腫大, 2) 印環細胞型細胞質内空胞, 奇形細胞, 3) 核濃縮, 核内空胞の順に認めた. 組織像との対比では, 核内構造を細胞像でより詳細に観察できた. また, 組織像での癌胞巣の変化, 崩壊の時期に一致して細胞像で中, 大型集塊の減少と変性小集塊の増加の傾向を認めた. また組織学的効果は治療途中での予測が難しく, 癌細胞の消失にはfulldoseの照射が必要であった.
  • 稲村 千佳子, 石井 保吉, 一瀬 圭子, 岡 俊郎, 中島 弘一, 石田 禮載, 大村 峯夫, 佐藤 伸子, 小田 瑞恵, 藤井 雅彦
    1998 年 37 巻 6 号 p. 567-576
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診において, 高分化型腺癌 (以下G1腺癌) 6症例と複雑型異型増殖症 (以下異型増殖症) 6症例に出現する樹枝状集塊中のStromalAに関して比較し, どのようなStromalAが出現するとき, 癌である可能性や癌への移行の可能性が高いかを検討し, 以下の結果を得た.
    1) StromalAの平均出現数は, G1腺癌で41.8個, 異型増殖症で18.5個であった. 6層以上: 6層未満のStromalAの出現比は, G1腺癌で6: 4, 異型増殖症で3: 7であった.
    2) StromalAの層数は, G1腺癌で平均7.5層 (出現範囲3~32層), 異型増殖症で平均4.8層 (2~10層), StromalAの太さ (幅) は, G1腺癌では平均31.6μm (5~180μm), 異型増殖症では平均16.5μm (5~45μm) であった.
    3) StromalAを構成する個々の細胞の核径を計測した結果, 6層未満のStromalAの核径が大であれば, G1腺癌である可能性が高かった.
    G1腺癌と異型増殖症の鑑別は, StromalAの出現数, 層数, 太さ (幅) を観察することに加え, 6層未満のStromalAを構成する細胞の核の大きさに注目することも有用な所見と考えた.
  • 鐵原 拓雄, 広川 満良, 清水 道生, 有光 佳苗, 藤原 恵一
    1998 年 37 巻 6 号 p. 577-582
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣の粘液性腫瘍27例と漿液性腫瘍25例の捺印塗抹細胞像を形態的に比較検討した. 粘液性腫瘍は高円柱状で, 細胞質内に粘液を有し, 三日月状核が特徴的であった. 一方漿液性腫瘍は立方状を呈し, 細胞質はライトグリーンに好染する傾向がみられた. 核の縦溝は粘液性腺腫に特徴的であった. 砂粒体は漿液性腫瘍だけではなく, 粘液性腫瘍にもみられること, 背景の粘液は漿液性腫瘍でも出現する場合があること, 腸上皮型の粘液性腺腫や粘液性境界悪性ではcribriform様配列がみられること, 漿液性腺腫や漿液性境界悪性では乳頭状の集塊から突出する核がみられるが, 腺癌ではみられないことなどが明らかになった. 上記の結果から粘液性腫瘍や漿液性腫瘍を細胞診にて診断することは可能と思われる.
  • 清水 恵子, 小椋 聖子, 村田 匡好, 高尾 由美, 豊國 伸哉, 桜井 幹己
    1998 年 37 巻 6 号 p. 583-590
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣腫瘍は良悪性の術前診断が困難なことが多く, 当院では術中腫瘍捺印細胞診を積極的に施行している. 1990年から1997年の8年間に術中腫瘍捺印細胞診が施行された卵巣粘液性腫瘍は34例で, 良性が16例, 境界悪性が12例, 悪性が6例であった. 術中腫瘍捺印細胞診の正診率は, 良性と悪性に関しては100%であったが, 境界悪性では75%で誤判定例はすべて良性と判定していた. 今回, われわれは境界悪性例を中心とした細胞像と, 誤判定を防ぐための新しい圧挫標本の併用について検討したので報告する.
    境界悪性腫瘍の細胞像の特徴は, 背景が比較的きれいで, 良性例に比べて重積性が増し, 乳頭状の集団やボール状の集団が出現していることであった. 個々の細胞異型に関しては, 良性例に比べてN/C比の増大や, 核クロマチン増量, 核小体の肥大が部分的に観察されるものの著明ではなく, 悪性例とは区別が可能と思われた. 良性と誤判定した例については, 上皮性成分の出現i数の少なさがその最大の原因と思われ, 圧挫標本の作製を加えることにより正診率の向上が期待できるものと思われた.
  • 清久 泰司, 宮崎 恵利子, 三谷 美湖, 中山 宏文, 弘井 誠, 植田 庄介, 高橋 保, 森木 利昭
    1998 年 37 巻 6 号 p. 591-597
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺の大細胞神経内分泌癌の1剖検例を経験したので報告する. 症例は62歳, 男性. 労作時呼吸困難, 胸部痛を主訴に近医受診. 右上肺野に異常陰影を指摘され, 当院紹介となり, 気管支鏡下擦過細胞診が施行された. 壊死を背景に多数の腫瘍細胞が認められ, 孤立散在性のものが多いが, 胞巣状, ロゼット状, インディアンファイル状に配列する像もみられた. 核は卵円形で, 中等大~大型であった. クロマチンは繊細あるいは粗顆粒状で増加しており, 核小体の目立つ細胞も認められた. 大型の腫瘍細胞が混在しているものの小細胞癌 (中間細胞型) が疑われた. 以後, 化学療法を受けたが, 肺炎を合併し, 亡くなり, 病理解剖が施行された. 組織学的に腫瘍はTravisらの提唱する肺の大細胞神経内分泌癌の典型像を呈していた. 本疾患の鑑別診断には小細胞癌や低分化扁平上皮癌, 腺癌, 大細胞癌などが考えられるが, 細胞の詳細な観察に加え, 積極的に特殊染色や免疫組織染色を行い, 総合的に判定することが重要と考えられる.
  • 出射 由香, 釜田 里江, 南 香織, 平手 ゆかり, 北澤 荘平, 前田 盛
    1998 年 37 巻 6 号 p. 598-602
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部に発生した小細胞癌を経験したので報告する. 症例は68歳女性で, 平成9年3月に心窩部痛出現, 当院外科入院し, 各種検査の結果十二指腸乳頭部癌との診断にて手術施行された. 術中迅速診断に提出された膵周囲リンパ節からの捺印標本ではN/C比の大きい小型の腫瘍細胞がきめ込み細工状の配列を呈しており, 核形は円形ないし類円形で, クロマチンは細顆粒状であり, 小細胞癌を疑わせる所見であった. 組織学的には胞体に乏しく濃染する核を有するやや小型の腫瘍細胞が充実性に増生しており, 高度のリンパ管侵襲を認めた. 免疫組織化学にて腫瘍細胞はNSEに陽性を示し, 電顕にて腫瘍細胞の胞体内に内分泌顆粒を認めた. 以上の所見より十二指腸乳頭部原発の小細胞癌と診断した. 乳頭部原発の小細胞癌は非常にまれであるが, その診断には腫瘍の捺印細胞診にて得られる細胞学的所見は非常に有用であると思われた.
  • 清山 和昭, 栗林 忠信, 谷口 正次, 高橋 敏弘, 峰松 映子, 浅田 祐士郎
    1998 年 37 巻 6 号 p. 603-607
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性. 喉の圧迫感と呼吸困難を訴えて受診した. 入院時検査での血清CEAは1.5ng/m1, カルシトニン値は32pg/ml と異常は認めなかった. 胸部X線写真にて気管の狭窄を, 超音波検査とCT検査で大きな甲状腺腫を指摘された. 穿刺吸引細胞診では壊死性背景は認めず, 紡錘形ないし多稜形の細胞は疎結合性から孤立散在性に出現し, 一部に濾胞状集塊を認めた. また, 細胞質に乏しい裸核状の細胞も散見され, 核は類円形で偏在性を示し, クロマチンは細穎粒状で大きな核小体を認めた. 個々の細胞異型は目立つものの単調な細胞出現であることから, 乳頭癌ないし髄様癌を疑ったが, DAPIV活性染色が陰性であることより髄様癌と推定した. 組織学的に腫瘍細胞は充実性ないし濾胞状に増生し, 免疫組織学的に充実部, 濾胞構造領域ともに, サイログロブリンは陰性, カルシトニン, クロモグラニンAは陽性であり濾胞型髄様癌と診断された.
  • 松原 美幸, 横山 宗伯, 渡会 泰彦, 杉崎 祐一, 前田 昭太郎
    1998 年 37 巻 6 号 p. 608-612
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    上腕骨のsmall cell osteosarcomaの1例を報告した. 症例は22歳男性で, 主訴は左肩関節痛である. X線写真上, 左上腕骨近位骨幹端部を中心に, 骨膜反応を伴う骨融解像と骨硬化像を認めた. 穿刺吸引細胞診像は, 細胞境界不明瞭な類円形~短紡錘形の小型細胞で, 核の偏在性と細胞質のライトグリーン好染性が特徴であった. 組織学的に, 腫瘍性類骨形成を伴う小円形細胞からなる充実性腫瘍で, small cell osteosarcomaと診断した. 免疫組織化学的にvimentin, osteonectin, osteocalcinが陽性を示し, 電顕像では腫瘍細胞胞体内の豊富なミトコンドリアと粗面小胞体, 間質膠原線維上のハイドロキシアパタイトの沈着が特徴的であった. 細胞診で腫瘍性類骨を認めない場合でも, 細胞所見と臨床所見を併せ総合的に判断すればsmallcell osteosarcomaの推定診断は可能と思われる.
  • 品川 美和子, 前田 陽子, 清水 雅子, 石井 真由美, 三宅 洋子, 三浦 妙太, 秋間 道夫, 後藤 昌三
    1998 年 37 巻 6 号 p. 613-617
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    髄液中に腫瘍細胞を認め組織型の確定が困難であった神経皮膚黒色症 (Neurocutaneus melanosis, 以下NCMと略) の1例を報告する.症例は1歳10ヵ月, 男児.出生児より全身に有毛性巨大色素性母斑を認める.生後1ヵ月より無呼吸発作を起こし始め, 臨床的にNCMと診断された.その後水頭症を併発し化学療法を施行するも効果はなかった.腫瘍は急速に増大, 脳死状態後, 死亡した.初回髄液細胞診では少数のリンパ球を背景に緩い結合性を示す上皮様配列および孤立散在性に腫瘍細胞を認めた.これらは小型類円形, 細胞質はきわめて狭小で淡く辺縁不明瞭, 核形不整が目立ち, 明瞭な核小体を1~2個認めclassVとしたが組織型の確定には至らなかった.2回目以降の髄液にも腫瘍細胞は継続してみられた.髄液の腫瘍細胞はmelanosisというよりmalignant melanomaへの移行を疑った.しかし明らかなメラニン穎粒はみられず, amelanotic melanomaを考えた.腫瘍細胞はHMB-45, S-100で陽性を示した.皮膚組織診ではjunctional nevus, 脳生検はmelanosisと診断された.本症例は硬膜下生検の診断であったが, メラノサイトの増生は腫瘍性であり画像的にも悪性へ移行していると考えられ, 髄液中の腫瘍細胞はそれらの存在を示唆するものと考えられた.
  • 九島 巳樹, 国村 利明, 小野塚 精子, 津田 祥子, 諸星 利男, 太田 秀一
    1998 年 37 巻 6 号 p. 618-622
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部の乳頭状扁平上皮癌 (papillary squamous cell carcinoma) と腺様基底癌 (adenoid basal carcinoma) はどちらもまれな子宮頸部悪性腫瘍である. 今回, 子宮頸部に両方の病巣が, 同時に認められた1症例を経験したので報告する.
    症例は71歳, 女性で, 子宮頸部細胞診で扁平上皮系と移行上皮類似の異型細胞集塊がみられ, さらに小型で細胞質の乏しい腺様基底癌に由来すると思われる異型細胞集塊が認められた.
    組織診では一部, 乳頭状に増殖する扁平上皮癌がみられたが, 生検組織標本では採取された材料が小さく, 問質浸潤が不明瞭だったので, 円錐切除で明らかな間質浸潤を確認した後, 広汎子宮全摘術が施行された.
    手術材料の組織学的検索により子宮頸部に限局して乳頭状扁平上皮癌と腺様基底癌の像がみられた.
    本症例では乳頭状扁平上皮癌に相当する部分と腺様基底癌に相当する部分がみられたが, これは2種類の子宮頸癌が別々に発生したことも否定できないものの, 一方の癌細胞の形質に変化が起こった可能性も考えられ, 特殊な組織型の子宮頸癌の発生に関して興味深い. 今後, さらにこのような症例を集めて, 予後, 臨床的取り扱いなどの検討が必要と思われる.
  • 川合 信行, 石川 茂, 社本 幹博
    1998 年 37 巻 6 号 p. 623-626
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    迅速組織検査に加え, 捺印細胞診を併用することにより術中診断を容易にしえた直腸内膜症の1例報告である. 症例は, 家族性ポリポージスを家族歴にもっ21歳の女性. 便秘と下血を主訴に近医受診し大腸ポリープを指摘され, 手術目的で当院に紹介入院となる. 術前検査では, 直腸に集簇性のポリープ様病変と粘膜下腫瘤を認め, さらに左卵巣嚢腫と左尿管閉塞による水腎症がみられたため, 直腸腫瘍疑いおよび子宮内膜症疑いの両面から, 直腸の低位前方切除術ならびに左卵巣摘出術を施行した. 直腸ポリープ様病変部と粘膜下腫瘤の術中迅速組織検査では, いずれも悪性所見は認めず, 間質を伴う腺管上皮組織が確認された. 同時に行った捺印細胞診では, 結合性に乏しい問質細胞と, シート状あるいは重積性に腺腔構造を有する細胞集塊を認め, それが増殖期に相当する子宮内膜腺細胞であることを確認し, 直腸子宮内膜症と診断した. 術後の組織検査でも直腸子宮内膜症と確定診断され, 左卵巣および左尿管周囲組織にも同様にその存在が確認された.
  • 進藤 久仁子, 堂本 英治, 安斎 幹雄, 相田 真介, 佐藤 仁哉, 島崎 英幸, 遠藤 久子, 玉井 誠一
    1998 年 37 巻 6 号 p. 627-631
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腫瘍全体が嚢胞化を示し, 他の嚢胞性卵巣腫瘍との鑑別が問題となるcystic struma ovariiは, 1994年Szyfelbeinらによって報告された疾患概念である. 今回われわれは術中迅速細胞診が確定診断に有用であったcystic struma ovariiの1例を経験したので報告する. 症例は16歳・女性, 腹部膨満感を主訴に他院を受診し, 卵巣腫瘍を指摘された. 当院紹介受診ののち, 卵巣腫瘍摘出術が実施された. 腫瘍は長径20cmにおよぶ多房性腫瘍で, 一部に小嚢胞が集簇する結節部が認められた. 迅速組織診にてstruma ovariiが疑われ, また多数箇所からの捺印細胞診により他の腫瘍成分の混在も否定されたため, 肉眼所見を含め, cystic struma ovariiと診断された. 結節部が非常に少量の時には, 標本作成部位や個数によって甲状腺濾胞の発見が困難となる可能性もあり, 術中捺印細胞診の併用が診断に有用と考えられた.
  • 平野 博嗣, 前田 環, 岡田 仁克, 指方 輝正, 高橋 満智子, 長谷川 和男, 東田 太郎
    1998 年 37 巻 6 号 p. 632-635
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部に発生した小細胞癌の1例を経験したので報告する.
    症例は46歳, 女性. 持続する不正性器出血があるため, 子宮頸部の擦過細胞診が施行された. 細胞診では裸核状の小型細胞が散在性または小集塊を形成している. この細胞の核小体は目立たず, 細胞質に乏しく, 細胞境界も不明瞭であった. 組織学的には小型の円形ないし卵円形で, 細胞質に乏しく, 核小体が不明瞭な腫瘍細胞が充実性に配列していた. 免疫組織学化学的にはneuronspecific enolase (NSE), chromogranin, S-100タンパクが陽性であり, ケラチンが陰性であった. 電子顕微鏡的には腫瘍細胞は互いに近接しており, desmosomeによる細胞相互間の結合がみられ, 細胞質内には神経内分泌顆粒が認められた. 以上より子宮頸部原発の神経内分泌小細胞癌と診断した. われわれは子宮頸部擦過細胞診にて子宮頸部原発小細胞癌の診断が可能であることを示唆した.
  • 井上 芳樹, 蔵本 博行
    1998 年 37 巻 6 号 p. 636
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 倫也, 上坊 敏子, 今井 愛, 大河原 聡, 蔵本 博行, 大野 英治, 横山 大, 豊永 真澄, 柿沼 廣邦
    1998 年 37 巻 6 号 p. 637-642
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    本邦においても子宮体癌は増加傾向にあるが, 内膜増殖症はその前癌病変として注目されている.また, 早期体癌は高率に内膜増殖症を合併していることから, 前癌状態での発見のみならず, 体癌の早期発見のためには, この増殖症を細胞診断する意義はきわめて高い.
    一方, 1996年に改訂された子宮体癌取り扱い規約で, 子宮内膜増殖症は単純型, 複雑型, 単純型異型, 複雑型異型の4型に分類されることとなった.そこで, この複雑型増殖症と複雑型異型増殖症の細胞所見について検討したところ, 複雑型増殖症では (1) 背景に出血はあっても壊死物質は出現しない,(2) 多くの場合正常増殖期内膜の共存を認めるが, 正常増殖期よりは集塊の出現数が多い,(3) 細胞集塊辺縁の乳頭状突出, 半島状突出を認める,(4) 有端集塊, 分枝集塊の頻度が高い,(5) 腺細胞の重層化・腺管の増生back to back,(6) 集塊辺縁の柵状配列の乱れが特徴的であった.複雑型異型増殖症ではさらに,(7) 重層性の強化,(8) 核の大小不同・著明な核小体を伴っていた.
  • 阿部 州雄, 山本 嘉一郎, 小畑 孝四郎, 星合 昊, 野田 起一郎, 井上 芳樹
    1998 年 37 巻 6 号 p. 643-649
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜増殖症における, 子宮内膜吸引細胞診成績およびその標本上にみられる内膜腺細胞の核所見, 細胞集団の出現形式および辺縁像を検討し, 次の結論を得た.(1) 子宮内膜吸引細胞診で陰性であったものは, 単純型子宮内膜増殖症では63.6%, 複雑型子宮内膜増殖症では49.5%, 単純型子宮内膜異型増殖症では44.4%, 複雑型子宮内膜異型増殖症では33.3%であった.(2) 核異型は単純型子宮内膜増殖症ではなく, 複雑型子宮内膜増殖症ではないか, あったとしても軽度のものであった. 子宮内膜異型増殖症では, 単純型より複雑型でその異型度は増強するようになるが, Grade 1腺癌のそれと比べて低い傾向にあった.(3) 細胞集団における細胞異型, 構造異型について検討してみると子宮内膜増殖症よりは子宮内膜異型増殖症で構造異型の頻度が高く, それは単純型よりも複雑型で高い傾向がみられた.(4) 細胞集団単位mm当たりの突起数は増殖症病変が高度になるほど増加する傾向がみられた. 各増殖症ではいろいろな形態の突起がみられるが複雑型子宮内膜増殖症は整の棍棒状が多く, 単純型子宮内膜異型増殖症では整の棍棒状, 乳頭状が多く, 複雑型子宮内膜異型増殖症では不整の棍棒状の突起が増加する傾向がみられた.
  • 則松 良明, 森谷 卓也, 香田 浩美, 尾関 祐里, 津嘉山 朝達
    1998 年 37 巻 6 号 p. 650-659
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回われわれは子宮内膜増殖症と瘡類内膜腺癌G1の細胞像について, 細胞集塊形態8項目, 付随所見4項目の12項目を用いて, 細胞集塊の形態異常を中心にその意義について検討した. その結果, 出現細胞集塊の20%以上が異常集塊からなる症例は内膜増殖症以上, 70%以上では異型増殖症以上の病変を疑う指標となりえることが明らかになった。具体的な異常所見としては, 1) 腺管の最大幅が最小幅の2倍以上の拡張腺管集塊が主体を占める場合, 単純型内膜増殖症を, 2) 不整形突出集塊, 乳頭状集塊, 腺密集増殖集塊, 樹枝状集塊が主体を占める場合, 複雑型内膜増殖症以上の病変を推定することが可能と思われた. 3) 樹枝状集塊は類内膜癌G1推定の指標で分岐数2回以上の樹枝状集塊が特徴的であった. 4) 小集塊異型細胞や壊死性背景は類内膜癌G1推定の指標となった. 炎症細胞取り込み像, 扁平上皮化生細胞は異型増殖症以上の病変推定の一助となった. 5) 核の腫大や大小不同傾向は異型増殖症以上の病変推定の一助となった.
  • 今井 忠朗, 横野 秀樹, 泉 貴文, 源田 辰雄, 本告 匡, 蔵本 博行
    1998 年 37 巻 6 号 p. 660-665
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    複雑型子宮内膜増殖症 (以下, 複雑増殖) に出現する細胞は異型性に乏しいため, 個々の細胞のみの判定では, 正しく細胞診断するには限界がある. そのため, 細胞集塊に着目して, その診断精度を向上させる努力がなされている. そこで, われわれも無病正常者に出現する細胞集塊である内膜腺細胞塊の基本的な形態の把握をすることから始め, 複雑増殖に出現する内膜腺細胞塊の形態的相違を無病正常者と比較検討した. そして複雑増殖に出現するものを異型内膜腺細胞塊と呼称し, その形態的変化・特徴を次の4項目として提唱したい.
    (1) 最外層辺縁の凸凹.(2) 外側柵状配列の不規則性.(3) 柵状配列内側と中心域の境界.(4) 集塊中心域の重積性.
    いずれの項目も, 腺管を構成する細胞の増殖に伴う偽重層による腺細胞塊の変化といえる所見であろう.
  • 紀川 純三, 金森 康展, 入江 隆, 皆川 幸久, 寺川 直樹, 佐々木 陽子, 中本 周
    1998 年 37 巻 6 号 p. 666-669
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診による子宮内膜増殖症細分類の可能性を知ることを本研究の目的とした. 内膜増殖症の細胞診標本を定量的ならびに定性的に解析するとともに, セルブロック法による増殖症の細分類を試みた.
    核径は類内膜型内膜癌で有意に大であったが, 増殖症と異型増殖症の間に差はなかった. 核の大小不同は病変による差を示さなかった. 核小体数は内膜癌で有意に多いものの, 増殖症と異型増殖症との間に差はなかった. 核間距離の不整は複雑型増殖症で著明であった. 3層以上の核重積は複雑型増殖症でのみみられた. 内膜増殖症に対する正診率は複雑型増殖症で高かった. 細胞診所見の数量化ならびにscoringの成績から, 増殖症病変の細胞異型を判定することは困難であるものの, 構造異型の判定は可能であることが示された. また, セルブロック法によっても増殖症病変の細分類は困難であった.
    以上の成績から, 細胞診判定による子宮内膜増殖症病変の細分類には限界があることが示唆された.
  • 小田 瑞恵, 石井 保吉, 大村 峯夫, 石田 禮載, 武田 智子, 佐々木 寛, 田中 忠夫
    1998 年 37 巻 6 号 p. 670-676
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診で構造異型を伴った乳頭状集塊が出現する場合, 内膜増殖症を推定して疑陽性-class IIIと判定している. 今回classIIIと判定された138症例, 146検体に出現する乳頭状集塊, 樹枝状集塊の構造異型を検討し以下の結果を得た.
    1) 腺腔のbacktoback様構造を認める乳頭状集塊の出現率は, 組織診が著変なし17%, endometrial hyperplasia, complex 30%, atypical endometrial hyperplasia, complex 59%, 高分化型腺癌100%であった.
    2) 樹枝状集塊の出現率は組織診が著変なし3%, endometrial hyperplasia, complex 4%, atypical endometrial hyperplasia, complex 46%, 高分化型腺癌100%であった.
    以上よりback to back様構造などを認める乳頭状集塊を主体に, 数個でも樹枝状集塊の認められる症例は, atypicalendometrial hyperplasia, complexまたは子宮体癌が存在する可能性が高い. この様な細胞所見の認められる症例の75%がatypical endometrial hyperplasia, complex以上の病変であり, 臨床的に厳重な対応が望まれる.
  • 安田 政実, 伊藤 仁, 宮嶋 葉子, 川田 みどり, 梶原 博, 平澤 猛, 村松 俊成, 宮本 壮, 篠塚 孝男, 長村 義之
    1998 年 37 巻 6 号 p. 677-682
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    242病変 (203名) の子宮内膜増殖症 (以下, 増殖症) の細胞診および組織診標本を, 子宮体癌取扱い規約の改訂に伴って修正された “増殖症分類 (4つのカテゴリー)” に沿ってretrospectiveに再評価した.
    単純型増殖症は, 細胞診を主体にした場合の一致率は92.6%(組織診/細胞診) であったが, 組織診を主体にすると一致率は8.3%(細胞診/組織診) であった. 複雑型増殖症では双方の一致率に有意な差はなく (組織診/細胞診: 41.5%, 細胞診/組織診: 35.4%), 単純型異型増殖症は細胞診では1例も診断しえなかったため (組織診では6例), 一致率は0%であった. 複雑型異型増殖症の一致率は, 組織診を主体にした場合が80.6%(細胞診/組織診) であったのに対して, 細胞診を主体にみると43.9%(組織診/細胞診) であった.
    体癌の前癌病変あるいは境界病変としての観点から, 増殖症を細胞診においても特定診断することは, 臨床実地的にきわめて重要なことである.すなわち, 従来から一般に用いられている細胞診のパパニコロウ分類, とりわけ “classIIIを組織学的な病変のランクづけに照らして亜分類していくこと” は, そのような課題に取り組んでいく際の一つの試みと思われる. ここでは, 提言として「単純型増殖症: class Em-II, 複雑型増殖症: class Em-IIIa, 単純型異型増殖症および複雑型異型増殖症: class Em-IIIb」を示す.
  • 木口 英子, 石川 由起雄, 岩上 正義, 石黒 芝輝, 日下部 民美
    1998 年 37 巻 6 号 p. 683-684
    発行日: 1998/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A case of ameloblastoma of the maxilla is presented. Its incidence is high in the mandible, but extremely low in the maxilla. Needle aspirates of the tumor revealed some dyskeratotic cells and tight clusters of squamous-like cells. Histopathogically, the tumor was characterized by abundant densely collegenous stroma with small nests and strands of odontogenic epithelium. Odontogenic epithelium of ameloblastoma differentiated into squamous epithelium. The cytologic features of ameloblastoma are diagnostic, and incorrect diagnosis may be prevented if sufficient attention is paid to determining the benign squamous differentiation of odontogenic epithelium.
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