日本臨床細胞学会雑誌
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37 巻 , 1 号
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  • 石谷 敬之, 南 敦子, 手島 英雄, 梅澤 聡, 永井 公洋, 清水 かほり, 平井 康夫, 山内 一弘, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    1998 年 37 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体部の明細胞腺癌は子宮体癌全体の約4%を占めるまれな組織型であり, 予後は不良とされている.当科では過去17年間に854例の子宮体癌症例を経験し, うち11例 (1.3%) が明細胞腺癌であった.明細胞腺癌をふくむ混合癌は4例 (0.47%) であった.摘出標本で病理組織学的に再検討可能であった純粋型明細胞腺癌8例と明細胞腺癌をふくむ混合癌4例の計12例について, その臨床像を検討するとともに, 明細胞腺癌部分を病理組織学的に亜分類し, その細胞像を検討した.細胞所見ではリンパ球と好中球を主体とする炎症性背景と壊死性背景を認めた.solid typeでは腫瘍細胞は主としてシート状配列で, tubularあるいはpapillaryをふくむmixed typeでは乳頭状配列あるいは重積性をもつ腫瘍細胞集塊も認めた.核は類円形で大型であった.しかし, solid typeでは一部に小型で大小不同も軽度な核を認めた.全例に裸核細胞の出現を認め, 多核細胞も半数に認めた.内膜増殖症の細胞像は全く認められなかった.混合癌3例に明細胞腺癌の成分が出現しており, 純粋型と同様の細胞所見を認めた.
  • 広川 満良, 数田 亜希子, 鐵原 拓雄
    1998 年 37 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    甲状腺の穿刺吸引細胞診が2回行われていた137例を対象に, 再検の目的や穿刺吸引行為が次回の細胞像に及ぼす影響を検討した.再検理由として最も多かったのは経過観察 (56.2%) であった.約70%の症例は1ヵ月以内に再検査がなされていた.特に, 悪性腫瘍, 採取不良, 診断困難例では再検査までの期間が短かった.再検時には炎症細胞の出現率が高く, 初回の穿刺吸引操作による影響の可能性が示唆された.また, 再検例の背景には9.6%の頻度で孤在性に紡錘形細胞が観察された.再検標本を観察する際には, 初回時の穿刺吸引操作の影響を考慮し, 初回時の標本と比較しながら観察することが重要と思われた.
  • 広川 満良, 小田原 由佳, 鐵原 拓雄
    1998 年 37 巻 1 号 p. 10-12
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭癌の組織標本にみられる核重畳に対応する細胞所見を明らかにすることを目的に, 甲状腺乳頭癌23例と腺腫様FP状腺腫22例において, 術中迅速診断時に作製された捺印塗抹標本を対象に核の形態像を比較検討した.乳頭癌の核は, 腺腫様甲状腺腫の核と比べて大きく, 核間距離は狭かった.乳頭癌の核は腺腫様甲状腺腫よりも卵円形化が目立った.甲状腺乳頭癌にみられる核重畳に対応する細胞所見として, 核腫大, 狭い核間距離, 核の卵円形化の3所見が関与していると思われた.
  • 原島 三郎, 都竹 正文
    1998 年 37 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    良性例50例と悪性例50例を含む乳腺疾患の穿刺吸引細胞診標本について, 立体的核異型を加えた細胞所見の評価を多変量解析を用い検討した.
    24項目の乳腺細胞所見のなかで良・悪性を区別する偏相関係数が高かったのは, 立体的核構造不整, 細胞層の厚さ, 核構造不整, 核の大小不同, 対細胞, 細胞質内小腺腔.粘液の存在, 細胞の結合性の弱いこと, 立体的核小体不整と核増大であった.
    カテゴリー数量得点では, 24項目または偏相関係数の比較的高い0.250以上の10項目の細胞所見を用いると良性例と悪性例とを区別できたが, 偏相関係数0.285以上の6項目の場合2例の良性例が悪性例と区別できなかった.
  • 金子 千之, 社本 幹博, 舟橋 正範, 加藤 一夫, 野村 七夫
    1998 年 37 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回, われわれは男性乳癌7例を経験し, Yクロマチンの有無細胞学的および免疫学的特性, さらに乳癌の予後推定や術後の内分泌治療の指標として用いられているホルモンレセプターについて検討した.Yクロマチンの存在については女性化乳房症と診断された15例, ホルモンレセプターの測定が可能であった31例について比較検討を試みた.
    RIA法におけるERおよびPGRの陽性率では男性乳癌が女性乳癌に比べ高い傾向を示した. 一方, パラフィン切片によるERおよびPGRの免疫染色では男性乳癌と女性乳癌における陽性細胞の出現様相に差はなかった.女性化乳房症ではER, PGRともに13/15症例がそれぞれ陽性を示した.
    男性乳癌のYクロマチンは7症例すべてにみられ, その数も1~3, 4個認められた. 一方, 女性化乳房症ではYクロマチンは15例すべてにみられたが, その数は1~2個であった.以上の結果より男性乳癌例と女性化乳房症例との間において明らかにYクロマチンの数に有意差 (P<.0001) が認められた.男性乳癌例が女性化乳房症例に比しYクロマチンの数が多いのは癌細胞における細胞周期の回転が活発に活動しているものと推察される.
  • 辻下 亜紀子, 八代 享, 深沢 政勝, 池沢 剛, 鈴木 悦, 相吉 悠治, 野口 雅之, 渡辺 照男, 畠山 美智子
    1998 年 37 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    組織学的に木村病と診断された4例を経験したので, その細胞学的特徴について検討した.症例はいずれも頸部腫瘤を主訴に来院し, 悪性リンパ腫が疑われ穿刺吸引細胞診が施行された.4例中3例は, 多数のリンパ球の出現とともに多くの好酸球が認められ, 木村病を疑うことができた.しかし, 1例は, 多数のリンパ球が出現するのみで, 好酸球はほとんど認められず, 反応性リンパ節炎を疑ったが, 再鏡検により, 木村病の特徴の一つであるWarthin-Finkeldey typeの多核巨細胞 (以下, W-F巨細胞) が認められた.
    以上より, 主に頸部腫瘤の穿刺吸引細胞診でリンパ球とともに多数の好酸球を認めた場合木村病を疑うことが可能であり, 術前診断としての穿刺吸引細胞診はきわめて有用な補助診断法と考えられる.しかし, 組織学的にも好酸球の浸潤の程度は部位により種々であるため, 頸部腫瘤をみた場合には木村病の存在を念頭に置き, 穿刺吸引は部位を変えて数回行うことが重要と考えられる.また, リンパ濾胞の胚中心に存在するW-F巨細胞も木村病の特徴とされており, 好酸球の出現とともに本巨細胞の出現にも注意を払う必要があると思われた.
  • 畑中 栄次郎, 田村 哲太朗, 奥野 真紀, 山本 康晴, 有馬 良一
    1998 年 37 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ルーチンの子宮内膜細胞診検査を施行する際に膜フィルターを利用することで, 採取器具に付着残存する小組織片のみならず, 微小組織片, 単個細胞をも効率よく回収し, 容易にセルブロック (以下MFCB) 標本を作成する方法を考案した.これを子宮内膜細胞診に併用し, その有用性について当院婦人科を受診し, 内膜細胞診を施行した427例を対象とし検討を行った.内膜細胞診のみでは出現する細胞数が少なく判定困難であった72例 (17%) のうち, 24例 (6%) はMFCB標本を併用することで判定可能となった.細胞診, MFCB標本の併用で上皮性腫瘍および関連病変が推定された症例は28例 (6.6%) であり, このうち12例は内膜掻爬や子宮摘出術により確定診断が得られた.そのうちわけは, 子宮内膜増殖症9例, 子宮内膜異型増殖症2例, 内膜癌1例であった.ブラシ洗浄細胞診との比較では, 1) 赤血球が多い場合でも溶血残渣の細胞被蓋の影響がない.2) 頸管腺と内膜腺の鑑別, 内膜周期の判定がより明確である.3) 子宮内膜増殖症の診断とその分類, 内膜癌の場合にその分化度の推定が容易である.4) MFCB標本では連続切片により, 特殊染色や免疫組織学的検索が可能といった利点がみられた.膜フィルターを利用することにより, 簡単な操作で細胞の回収率のよいMFCB標本の作製が可能となり, 細胞診の診断精度の向上に役立つものと考えられた.
  • 岩原 実, 田口 勝二, 藤田 正志, 村石 佳重, 渋谷 和俊, 高橋 啓, 若山 恵, 直江 史郎
    1998 年 37 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    コロイド鉄染色の細胞診検体における染色性について検討を行った.本染色では, 酸性粘液多糖の他, 核内に類円形の構造物が染色された.この構造物のコロイド鉄染色に対する染色性について, 体腔液検体40例ならびに上皮性悪性腫瘍55例の捺印細胞標本を用いて検討した.
    コロイド鉄染色陽性の核内構造物は, 類円形で個々の核内に0~数個観察され, 癌細胞で特に大型のものが多かった.Ag-NORs染色と比較すると, その大きさ・形態ならびに数は, 検索したすべての細胞でほぼ一致した.また, これらの構造物はウンナ・パッペンハイム染色での核小体 (RNA) と類似した染色性を示す.しかし, コロイド鉄染色ならびにAg-NORs染色陽性の核内構造物は, リボヌクレアーゼ消化に抵抗性を示す点で異なっていた.
    以上の結果から, コロイド鉄染色がAg-NORs染色と同様に核小体形成領域を染め出す可能性が示唆された.さらにコロイド鉄染色では, 酸性粘液多糖も染色することから, 細胞診検体の染色法としてより多くの情報を抽出しうるものと考えたい.
  • 梅澤 聡, 南 敦子, 石谷 敬之, 平井 康夫, 手島 英雄, 山内 一弘, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    1998 年 37 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部扁平上皮癌の診断で化学療法後, 開腹手術時に行われた腹水細胞診で腺癌細胞を認めた1症例を経験したので報告する.
    症例は64歳女性で, 子宮頸部組織生検による治療前の診断は, 扁平上皮癌 (大細胞非角化型) であった.抗癌剤による化学療法後, 手術開腹時の腹水細胞診にて扁平上皮癌, 腺癌両方の悪性細胞を認めた.治療前のヘマトキシリン-エオジン染色 (H-E) 組織標本では, 腺管構造は認めなかった.しかし, PAS/Alcian-Blue染色を行った結果, 少数であるが陽性細胞を同定できた.この結果から本症例が, 組織学的には腺管構造のない粘液産生能を有する腺癌成分を有する腺扁平上皮癌であると考えられた.本症例は子宮頸部擦過細胞標本での腺癌成分の混在が推定され, 術中腹水細胞診では明らかな粘液産生細胞が同定された.組織標本では腺管構造をもたないが粘液産生能のある腺癌成分の診断に細胞診が有用と思われた.
  • 山浦 英一, 根本 則道, 横田 知夫, 水谷 敏郎, 関 利美, 小松 京子, 竹川 義則, 山田 勉
    1998 年 37 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部の高度異形成を伴った体部原発同所性癌肉腫症例を経験したので, 内膜擦過細胞像を中心に報告する.患者は53歳, 女性.不正性器出血と下腹部痛を主訴に来院し, 内膜増殖症ないし体部癌の疑いで内膜ならびに内頸部擦過細胞診が施行された.頸部i擦過では高度異形成が疑われたが, 癌の存在の可能性を完全には否定できなかった. 一方, 内膜擦過細胞診では扁平上皮様分化を一部に伴う腺癌要素に加え, 比較的小型の未分化細胞集簇や短紡錘形核を有する異型細胞が混在することから癌肉腫が疑われた.子宮頸部病変と体部病変の関係については出現細胞像の違いから, 独立病変の存在が考えられたが確定は困難であった.その後, 自然排出された腫瘍塊ならびに手術材料の組織学的検索から, 子宮頸部の高度異形成を伴った体部原発同所性癌肉腫の診断が確定した.
  • 藤井 和晃, 佐藤 俊作, 冨山 眞弓, 金森 康展, 入江 隆, 皆川 幸久, 紀川 純三
    1998 年 37 巻 1 号 p. 52-55
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体部に発生する癌肉腫は比較的まれな疾患であるため, 細胞診の判定基準は確立されていない.今回, 癌肉腫の3症例を経験したので報告する.症例の年齢は52歳から70歳であり, 主訴は全例不正性器出血であった.3例中1例は低分化腺癌と間質肉腫とからなる同所性癌肉腫であり, 2例は異所性癌肉腫 (1例は低分化腺癌と横紋筋肉腫, 間質肉腫および平滑筋肉腫, 1例は低分化腺癌と横紋筋肉腫) であった.同所性癌肉腫の内膜細胞診では腺型悪性細胞のみがみられたものの, 異所性癌肉腫の内膜細胞診では2例とも非上皮性悪性細胞と腺型悪性細胞が混在して出現し癌肉腫の推定が可能であった.内膜細胞診で上皮性悪性腫瘍を認めた場合, 詳細に標本を検索することにより癌肉腫の推定が可能であることが示唆された.
  • 結城 浩良, 山川 義寛, 高橋 美貴恵, 前田 宜延
    1998 年 37 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診が診断のきっかけとなり, 抗結核剤治療により寛解した78歳の結核性子宮留膿症の症例を経験した.子宮頸部細胞診では異常を認めなかったが, 子宮内膜細胞診にて高度のリンパ球浸潤を伴う炎症性背景の中にラングハンス巨細胞と類上皮細胞の集塊を認めた.抗酸菌染色は陰性であったが, 子宮腔内より採取され分泌物の結核菌培養検査および結核菌DNA検査は陽性で, ツベルクリン反応陽性と合わせ, 結核性子宮留膿症と診断した.抗結核剤治療開始1ヵ月目には, 結核菌DNA検査は陰性となり, 子宮内膜細胞診ではラングハンス巨細胞は消失したが, 炎症性背景のなかに少数の類上皮細胞の集塊を認めた.治療開始3ヵ月目の子宮内膜細胞診では, 背景はきれいになり, 類上皮細胞も消失し, 正常の子宮内膜細胞や扁平上皮化生細胞がみられるようになった.
    閉経後における結核性子宮留膿症はまれな疾患であるが, 子宮内膜細胞診が診断や治療効果の判定に有効な手段となる可能性があることが示唆された.
  • 中野 孝之, 沼田 ますみ, 小野田 登, 竹内 廣, 新井 宏治, 田中 淳, 大鶴 洋, 和泉 滋
    1998 年 37 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    横紋筋肉腫は, 小児悪性腫瘍の中では代表的な疾患の一つであり, 組織学的には胎児型, 胞巣型, 多形型に分類されている.その中で胞巣型は10~25歳に多く, 頭頸部や四肢に好発する.今回われわれは15歳の女性の会陰部皮下に発生した胞巣型横紋筋肉腫の症例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.腫瘍の穿刺吸引細胞診では, 腫瘍細胞は一部孤立散在性に, 一部ロゼット様に出現していた.細胞質は乏しく泡沫状で, N/C比は増大していた.核の多くは類円型で, 大きさはリンパ球の2~3倍であった.核縁の不整や切れ込みは散見されたが, 核縁の肥厚はみられなかった.核クロマチンは粗大顆粒状に増量しており, 核小体は小型だが複数のものも認められた.鼠径リンパ節の生検で得られた組織像では, 小型, 類円型の異型核を有する腫瘍細胞が胞巣状に配列し,「つるし柿」様の構造を呈しており, これらは細胞診におけるロゼット様の配列と対応していると考えられた.また, 免疫組織化学的にはデスミン, 横紋筋アクチンが陽性でケラチン, EMAが陰性であったため, 非上皮性の腫瘍であることが示唆された.また, フローサイトメトリーではDNA Index: 1.88の位置にDNA異数体が検出された.
  • 木屋 千恵子, 若木 邦彦, 前田 宜延
    1998 年 37 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    小児の右副咽頭にまれに発生する胎児型横紋筋肉腫の捺印細胞診を経験したので報告する.患者は1歳1ヵ月の男児で主訴は喘鳴.生検時の捺印細胞診Papanicolaou (Pap.) 染色では, 多数の腫瘍細胞が散在性にみられ, その多くは紡錘形および卵円形で, 一部にラケット状, おたまじゃくし状, 細胞質の不明瞭なものが存在した.クロマチンは増量し, 細胞質は厚みのあるライトグリーン好染色性で, ごく一部の腫瘍細胞に横紋構造が認められた.PAS染色では細胞質内に陽性穎粒を認め, H-E染色ではエオジン好性の細胞質がみられた.組織標本では, 大多数の細胞は紡錘形および卵円形で, それらに混じってラケット状の好酸性細胞質を有する細胞が散在性に出現し, 渦巻き状の流れをもって密に増殖していた.リンタングステン酸ヘマトキシリン (PTAH) 染色では一部の腫瘍細胞に横紋構造を認めた.免疫組織学的に腫瘍細胞は, デスミン, ミオグロビンが強陽性を示し, α-平滑筋アクチン, ビメンチンは一部陽性, ミオシン, アクチン (HHF 35, sarcomeric) は陰性だった.電子顕微鏡的所見では横紋筋芽細胞やZ帯を有するミオフィラメントの所見を認めた.以上の所見より, 比較的低分化の胎児型横紋筋肉腫と診断し, 化学療法および放射線照射後の生検から4ヵ月目に腫瘍摘出術を施行.手術標本では腫瘍細胞は紡錘形, 卵円形のものが消失し, 横紋筋芽細胞からなる分化型のものだけになっていた.
  • Chimangul WUSHUR, 海老原 善郎, Bijayee SHRESTHA, 柴沼 弘行, 工藤 玄恵
    1998 年 37 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    定期検診にて右肺上葉に2ヵ所の異常陰影を指摘された61歳の男性の喀痰に杯細胞癌と考えられる重積性のある大型細胞集団が認められた.各病巣の穿刺細胞診が行われ, 1つからは壊死物質とともにN/C比の高い濃染核とレース状の細胞質を特徴とする重積性のある異型細胞の集団が, そしてもう1つからは, シート状配列を示す多角形異型細胞が採取され, それぞれ腺癌と診断されたため, 右肺上葉切除が行われた.組織学的には3ヵ所で組織型の異なる腺癌が認められた.S2bに高分化粘液産生性乳頭状腺癌.そしてS2aに非連続性の低分化腺癌および高分化乳頭状腺癌があった.さらに, その他多数の微小な異型腺腫様過形成病巣および腺腫様過形成病巣が認められた.3ヵ所の癌と異型腺腫様過形成病巣のうち10ヵ所に対しCEA, EMA, p53の免疫染色を行ったが, 癌ではいずれの異型腺腫様過形成巣より強く反応が認められた. 一方, CAS-200を用いた核DNAの測定結果では, 癌巣のすべてがAneuploidyであったが, 異型腺腫様過形成巣では3ヵ所がAneuploidyで, 7ヵ所がDiploidyであった.この結果は, 形態学的に異型腺腫様過形成と診断した病巣にも, 腫瘍性病変が含まれることを示唆するものである.
  • 長田 憲和, 高橋 憲太郎
    1998 年 37 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    44歳の男性に発生した胸腺原発非定型的カルチノイドの1例を経験したので報告する.症例は左上背部痛を主訴とし, CT検査にて前縦隔腫瘍を指摘され, 手術が施行された.腫瘍の周囲リンパ節や右肺 (小結節) への転移が観察された.術中に採取された心嚢水の細胞診では, カルチノイドを示唆する細胞もみられたが, 核形不整や核の大小不同もあり, 診断は困難であった.腫瘍組織は, 小型~中型細胞から成り, 一部にカルチノイドを疑うorganoid patternを呈していたが, 壊死巣の多発や核異型を伴っていた.免疫染色の結果は, chromogranin A弱陽性, NSE強陽性, p53陽性を示し, 非定型的カルチノイドと診断された.本例のような胸腺原発の神経内分泌腫瘍はまれであり, 今後も症例の蓄積と臨床病理学的な検討が必要と考えられる.
  • Ravi Mehrotra, M. Singh
    1998 年 37 巻 1 号 p. 79-81
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A case of pericardial effusion in which cytologic examination revealed numerous sheathed microfilariae of Wuchereria bancrofti is described. The patient had no symptoms suggestive of filarial infection in the past. Following antifilarial therapy, the effusion resolved and the patient became asymptomatic. The possible etiologic role of the microfilariae in the genesis of the effusion is discussed.
  • 望月 衛, 片寄 功一, 江尻 晴博, 高橋 勝美, 比佐 純孝
    1998 年 37 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    前立腺原発平滑筋肉腫の1例につき, 原発巣と再々発病巣の腫瘍捺印細胞像を比較検討したので報告する.症例は72歳, 男性.今回入院の9年前に, 患者は前立腺原発巣の切除術を受けている.その4年後に膀胱後部に再発し, 直腸切断術・膀胱全摘術を施行されている.今回は腸閉塞の診断で開腹.右内腸骨動脈近傍に回腸を巻き込む腫瘍を認めた.原発腫瘍と, 再々発部腫瘍双方の腫瘍捺印細胞診標本を観察した.前者には, 紡錘形の腫瘍細胞が小型~ 大型の細胞集塊を形成し, 数多く出現していた.後者では, 同じく紡錘形細胞より構成される細胞集塊の他に孤立散在性に出現する腫瘍細胞や裸核状細胞の出現, および壊死巣の混在をみた.核形不整・核クロマチンの増量が前者に比し目立った.核分裂像は両標本ともにみられなかった.既往標本の再評価を含む検討により, 前立腺原発平滑筋肉腫の再々発と最終診断した.本例は, 捺印細胞診において標本中に多くの腫瘍細胞が採取されていることが, 平滑筋系腫瘍の良悪性判定に重要な現象であることを示唆する好例と考えた.
  • 岡 ハル子, 小原 光祥, 岩井 幸子, 濱田 哲夫, 久岡 正典, 橋本 洋, 岩田 康
    1998 年 37 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    アポクリン腺癌はまれな皮膚付属器腫瘍の1つであり, 細胞学的にもその報告はきわめて少ない.今回われわれは, 腋窩原発のアポクリン腺癌と診断され, 両肺と縦隔リンパ節に転移した1例を経験したので報告する.症例は63歳男性.14年前, 右腋窩腫瘍摘出.組織診断はアポクリン腺癌であった.5年後, 両肺に転移.以来, 3度にわたり腫瘍摘出術が施行された.縦隔リンパ節転移の内容液細胞診では, 壊死性背景に軽度重積性を示す乳頭状の大型細胞集塊を多数認めた.細胞質は明るく豊富で顆粒状を呈していた.核は類円形~楕円形, 一部の核に搬壁を認め, 明瞭な核小体を1個有していた.細胞集塊内には粘液塊が多数みられ, 特に乳頭状突出部で顕著であった.組織学的には, 好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が主として乳頭状に増殖し, 部分的に管状あるいは充実性に増殖する部分が認められ, 多様な像を呈していた.乳頭状増殖を示す腫瘍細胞には断頭分泌像を認めた.細胞質内や管腔内にジアスターゼ抵抗性PAS反応陽性物質を認めた.免疫組織化学所見では, GCDFP-15, EMA, S-100蛋白陽性, CEA陰性であった.本腫瘍は長年にわたる前駆病巣の存在が指摘されており, この時期に早期発見, 治療することが望ましいと思われた.
  • 立山 尚, 多田 豊曠, 中村 隆昭, 加藤 浩, 伊藤 修, 西尾 淳, 杉浦 浩, 栄本 忠昭
    1998 年 37 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.左前耳部の腫脹に気付き受診した.頭部CTにて左側頭骨から発生し周囲組織に浸潤した結節性病変を認め, 悪性腫瘍が疑われた.穿刺吸引細胞診では, 小型類円形細胞と多核巨細胞が混在して認められ, 一部にアルシアンブルー陽性の軟骨基質が証明され, 軟骨芽細胞腫を疑った.腫瘍細胞の核も特徴的で, 不整な陥凹, コーヒー豆様の切れ込み, 核内偽封入体がみられ, これらを確認することが鑑別診断に重要と考えられた.病理組織学的にも同様な所見がみられた.軟骨芽細胞腫は比較的まれな良性骨腫瘍で側頭骨に発生するのは珍しく, また浸潤を示した本症例は非常にまれである.
  • 飯原 久仁子, 植草 正, 松田 聡, 青木 明恵, 秋間 道夫
    1998 年 37 巻 1 号 p. 96-99
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肝あるいは肺が原発と思われる類上皮血管内皮腫 (Epithelioid hemangioendothelioma, EH) で, 頭皮転移もきたし, コントロール不能の胸水貯留のため, 呼吸不全にて死亡した症例を経験したので報告する.症例は69歳, 男性.定期検診の腹部超音波検査で肝臓に最大径3cmの多発性の結節が認められた.ほぼ同時期に肺にも多発性の結節がみられ, 3年後に頭皮にも同様の腫瘍が認められた.肝, 肺, 頭皮ともに組織学的には, 硝子様の基質の中に紡錘形の細胞がみられ, 細胞質内空胞が認められた.それらの細胞は免疫組織化学的に血管内皮マーカー (factor VIII-related antigen, CD34) が陽性であり, EHと診断された.その後, 胸水が増加し, 胸水の穿刺吸引細胞診にてEH細胞と思われる細胞がみられた.臨床的には悪性の経過がみられたが, 細胞の異型性に大きな変化はみられなかった.胸水中にEH細胞がみられることは比較的まれだが, 今回は臨床経過, 免疫組織化学的検索により診断可能であったので, 細胞診像の検討が可能となった.
  • 広川 満良, 坂元 和宏, 清水 道生, 鐵原 拓雄, 畠 栄, 藤原 恵一
    1998 年 37 巻 1 号 p. 100-102
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    後腹膜に原発した漿液性腺癌の1例を報告する.症例は54歳, 女性で, 後腹膜腫瘍のCTガイド下穿刺吸引細胞診にて腺癌と診断されたが, 原発巣を見出すことができず, 試験開腹により後腹膜原発の漿液性腺癌と診断された.穿刺吸引細胞診では, 核小体が目立つ大型の異型細胞が小集塊状に出現し, 細胞質はレース状であった.背景には多数のリンパ球が観察されたが, 砂粒体はみられなかった.
  • 松本 一仁, 池崎 福治, 柿崎 寛, 高谷 彦一郎, 吉岡 治彦
    1998 年 37 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    類上皮肉腫は若年成人の手指や前腕に好発するまれな軟部腫瘍で, 細胞診に関する報告は少ない.われわれは再発を繰り返した会陰部原発の本症の1例を経験したので, 再発時の捺印細胞像を中心に報告する.症例は45歳男性で, 4年前右会陰部の腫瘤に気付き切除術を施行したが, 半年後に再発, その3年半後に再々発を来した.再発時の捺印細胞像では大型類円形~多角形の腫瘍細胞が散在性, 一部は疎に結合して出現.腫瘍細胞は胞体が比較的豊富でライトグリーン好性, 核は類円形でやや偏在し, 1~2個の明瞭な核小体を有するものが多かった.スリガラス様の細胞質内封入体を有するラブドイド細胞がしばしぼ観察され, また紡錘形細胞が乏しかったことから, 細胞診上, 悪性ラブドイド腫瘍との鑑別が困難であった.組織所見では好酸性の胞体を有する細胞が結節状に増殖していたが, 再発時では核小体がより目立った.免疫組織学的に腫瘍細胞はEMA, CEA, keratin, vimentin, CD 34が陽性で, 電顕的には細胞質に中間径フィラメントが豊富であった.ラブドイド細胞の出現する腫瘍は滑膜肉腫, ラブドイド腫瘍など多数あるが, 本腫瘍の診断にはCD 34を含めた免疫組織化学的検索が有用と考えられた.
  • 板持 広明, 金森 康展, 皆川 幸久, 紀川 純三, 寺川 直樹
    1998 年 37 巻 1 号 p. 109-110
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 小林 博久, 鐵原 拓雄, 畠 榮, 広川 満良, 藤原 恵一
    1998 年 37 巻 1 号 p. 111-112
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 広川 満良, 北岡 里美, 鐵原 拓雄
    1998 年 37 巻 1 号 p. 113-114
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 森 正也, 堀内 啓, 岡 輝明, 石田 剛, 山内 直子
    1998 年 37 巻 1 号 p. 115-116
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
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  • 有次 耕三, 大矢 良之, 薄田 康広, 濱谷 次郎
    1998 年 37 巻 1 号 p. 117-118
    発行日: 1998/01/22
    公開日: 2011/11/08
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