日本臨床細胞学会雑誌
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37 巻 , 5 号
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  • 佐々木 麻弥, 中嶋 隆太郎, 中村 繁子, 山崎 寿美子, 佐藤 博俊, 佐藤 信二, 佐藤 雅美, 藤村 重文, 菅間 敬治, 斉藤 泰 ...
    1998 年 37 巻 5 号 p. 449-454
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    宮城県肺癌検診で昭和57年度から平成5年度までに胸部問接X線写真で発見され, 原発性肺腺癌が確定した461例のうち, 喀痰細胞診の受診歴を有した80例を対象として喀痰標本のRetrospectiveな検討を行った. その結果, X線発見年に喀痰細胞診の受診歴を有し陰性とした34例のうち6例 (18%) がE判定, 1例 (3%) がD判定に再評価された.また, X線発見年以前に喀痰細胞診の受診歴を有した57例 (延べ110件) のうち, 再評価により, E判定とした症例が2件, D判定とした症例が3例 (4件) 認められた.4件中3件は病理病期1期の高分化型腺癌であった. X線発見年に誤陰性とした7例の主な原因としては, 出現する細胞数が少数でクロマチンの増量軽度など細胞異型に乏しいことに起因していた. また喀痰細胞診の肺腺癌における陽性率を, 集検時喀痰でDまたはEとしていた14例を含めてみてみると, 発見時判定で29%, 再判定時で44%であった. 集検時喀痰細胞診において肺腺癌を診断する場合には, 少数であっても, クロマチンの増量に乏しい異型の軽度な小型腺細胞集塊に注意することが必要である. また, 腺癌が確定した症例の過去の喀痰標本の再評価は, 精度向上のためには重要である.
  • 川井 俊郎, 藤井 丈士, 櫻井 信司, 鄭 子文, 久力 権, 海崎 泰治, 久保野 幸子, 本望 一昌, 栗原 克己, 斎藤 建
    1998 年 37 巻 5 号 p. 455-459
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    膵癌に対するPTCD胆汁細胞診の陽性率に関与する因子を知ることを目的に, 膵癌163例, 検査回数1010回の検討を行った. 特に手術的切除55例においては, 腫瘍の膵内胆管への浸潤度, 組織型などの諸因子と陽性率との相関の有無を検討した.
    1. 膵癌に対するPTCD胆汁細胞診の陽性率は52.8%であった.
    2. 検査回数が多いほど陽性率が高くなる傾向を示した.
    3. 偽陰性例の検査回数は陽性例に比べ少なかった.
    4. 担癌患者において1回の検査で陽性となる確率は21.8%であった.
    5. 膵内胆管に露出しない膵癌の細胞診は陰性で, 膵内胆管への浸潤度が高いほど陽性率が高くなる傾向を示した.
    6. 血清ビリルビン値も閉塞の強さに相関する傾向を示し, 膵癌が胆管に露出しなくとも黄疸をきたす症例が含まれた.
    7. 組織型では, 高分化型管状腺癌に比べ中分化型管状腺癌の陽性率が高かった.
    8. 腫瘍の大きさ, 間質の量と陽性率には相関がみられなかった.
  • 高岡 勝之, 鈴木 良夫, 松嵜 理
    1998 年 37 巻 5 号 p. 460-464
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    前立腺細胞診における核径の計測の意義にっいて検討した.
    材料は細胞診と組織診が同時に施行された200人の患者について行った. 計測細胞の抽出方法は, 細胞診陰性かつ組織診良性の1群 (良性群) と, 細胞診陽性かつ組織診で腺癌と診断された症例を分化度別 (高分化群, 中分化群, 低分化群) に分類した3群を加えた計4群について, それぞれの集団の中から各10人合計40人の細胞診標本で組織診の結果に相当する細胞の核径 (長径+短径/2) を計測した.
    良性群の核径 (10.6±1.8μm) は, 中分化群および低分化群の核径 (それぞれ16.0±1.9μm, 16.1±18μm) より有意に小さかった (p<0.01).しかし高分化群の核径 (11.3±1.6μm) とは有意差がみられなかった. 以上より高分化型腺癌では核径は良悪性判定の指標にならないことが示唆された.
  • 齊藤 みち子, 坪井 丈典, 林 吉枝, 湯藤 恭子, 鹿渡 あつ子, 山岡 ふみ子, 深津 俊明, 中島 伸夫
    1998 年 37 巻 5 号 p. 465-468
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部乳頭状扁平上皮癌はまれな疾患である. 今回われわれは, 老人保健法に基づく子宮がん検診で近医を訪れ, 発見された乳頭状扁平上皮癌の症例を経験した.
    細胞診標本では, 出血・壊死を伴う腫瘍性背景の中に軽度異形成から扁平上皮癌までを示唆する異型細胞が多数認められ, さらに膀胱の移行上皮癌に類似した乳頭状の異型細胞集塊が認められた.生検組織診では, 乳頭状扁平上皮癌と診断されたが, 浸潤の有無は確認できなかった. 術後の組織診では浸潤が認められた.
    乳頭状扁平上皮癌の症例においては, 術前の生検組織診では浸潤を確認できない例が多いが, 細胞診では浸潤の推定が可能な例が多く, 細胞診は術前の病期診断に有用である.
  • 野田 雅也, 伊東 英樹, 山下 智子, 芥川 典之, 黒木 勝円, 工藤 隆一, 水野 均, 宍戸 健二
    1998 年 37 巻 5 号 p. 469-474
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部カルチノイド腫瘍 (以下カルチノイド) は比較的まれな疾患で, 予後は不良といわれている. 今回われわれは本1症例を経験したので報告する.症例は30歳, 3回経妊2回経産.不正性器出血を主訴に来院した. 初診時診察では子宮頸部に直径約8cmの腫瘍と7cmの左卵巣嚢腫を認めた. さらに子宮頸部細胞診および, 組織診ではsmall cell carcinomaまたは未分化癌の所見と考えた. ここで細胞診のGrimelius染色を行ったところ細胞質に好銀穎粒が認められ, 免疫染色ではクロモグラニン, NSEが陽性であった. さらに摘出物の組織検査ではロゼット状, 索状配列を示し, カルチノイドに特徴的なnsetsやbandsを認めた. 電顕では細胞質内に200~440nmの神経分泌顆粒を認めたため, カルチノイドと確定診断した. 本症例はneoadjuvand chemotherapy後根治手術, さらに放射線療法を施行したが, 初診から9ヵ月間で再発により死亡した. このように小型で分化度の低い小細胞癌の所見を認めた場合, カルチノイドの可能性を考慮し診断することが, 予後改善につながるものと考える.
  • 今井 愛, 上坊 敏子, 今井 雅夫, 金井 督之, 豊永 真澄, 大野 英治, 蔵本 博行
    1998 年 37 巻 5 号 p. 475-480
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳癌の子宮への転移は非常にまれである.今回われわれは乳癌由来の転移性子宮癌の2例 (症例1は浸潤性乳管癌, 症例2は浸潤性小葉癌) を経験したのでその内膜細胞診所見を報告する.2症例の内膜細胞診の細胞学的特徴は以下のごとくである.
    1.多数の正常子宮内膜細胞の中に少数の腫瘍細胞が出現.
    2.背景の汚染は軽度.
    3.核クロマチンは増量し微細穎粒状で, 1~2個の核小体を有する.
    4.集塊は小型である.
    5.intracytoplasmic luminaを認める.
    6.症例2ではindian fileを認める.
    他臓器癌の子宮転移においては, その細胞学的特徴から, しばしば原発巣を推定することが可能である.われわれの経験した2症例では, intracytoplasmic lumina, indian fileの出現が乳癌原発の転移性子宮癌を診断するのに有用な所見であった
  • 小山 芳徳, 麻生 晃, 菅野 勇, 長尾 俊孝, 石田 康生, 貝原 学, 棟方 滋, 長尾 孝一
    1998 年 37 巻 5 号 p. 481-485
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣の成熟嚢胞性奇形腫の一部から皮脂腺癌への悪性化を示したまれな症例を報告した.症例は76歳の女性, 主訴は腹部膨満感で10年にわたり徐々に腹部の腫脹を来した. 卵巣は径19cmの脂肪, 毛髪を入れた嚢胞で一部に径5cm大の結節性病変を認めた.捺印細胞には壊死の背景に大型細胞と基底型細胞が絡まるようにして集塊状, 孤立散在性に認められた.大型細胞は空胞状, 泡沫状の細胞質と核異型を伴っていた. 組織学的には, 大部分を占める嚢胞壁は皮膚付属腺を伴った扁平上皮で被覆され, 結節性部位では核異型を伴い浸潤性増殖を示す基底細胞が胞巣中心に向かって明るく豊富な細胞質の大型細胞 (類皮脂腺細胞) への分化を呈していた. 電子顕微鏡検索においても癌細胞の細胞質内に脂肪滴を認めた. 基底細胞型細胞の存在と豊富な細胞質が空胞状, 泡沫状を示した大型細胞の細胞像から皮脂腺細胞癌が考えられた.
  • 中屋 佳子, 有賀 美紀子, 岩佐 和典, 黒川 泰資, 今村 好章, 赤祖父 美和, 河原 栄
    1998 年 37 巻 5 号 p. 486-489
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    耳下腺および口蓋小唾液腺より発生した腺房細胞癌2例を報告する. 症例1は25歳女性. 耳下腺再発腫瘍にて術中迅運組織診と同時に捺印細胞診が行われた. 症例2は67歳女性軟口蓋再発腫瘍にて生検材料採取時に捺印細胞診を施行した. 両症例で乳頭状細胞集塊が認められ, 特に症例1では, 毛細血管周囲の葡萄の房状細胞集塊が特徴的だった. 腫瘍細胞の核は偏在性で, 小空胞状または泡沫状の淡明な細胞質を有していた. 両症例とも核異型は弱かった. これらの所見はこの腫瘍の組織学的特徴と一致し, 細胞診で腺房細胞癌を推定できる所見と考えられた.
  • 片岡 健, 後藤 孝彦, 春田 るみ, 尾田 三世, 小川 勝成, 有広 光司, 岩本 俊之
    1998 年 37 巻 5 号 p. 490-494
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    妊婦に乳腺腫瘤を認めた場合, 特に妊娠初期は胎児への影響から確診が得られない限り手術も躊躇され, しばしばその診断・治療に苦慮する. 最近われわれは妊娠初期に認めた乳腺腫瘤に対する細胞診で, 乳癌と鑑別困難であったまれな乳管腺腫の1例を経験したので報告する.
    症例は39歳女性 (妊娠6週), 両側乳腺腫瘤を主訴として来院. 右乳腺腫瘍はφ2.5c大, 境界明瞭で容易に線維腺腫と診断し得たが, 左乳腺腫瘍は境界不明瞭な硬結として存在し, 細胞診にて異型細胞を認めたため, 胎児器官形成期後 (妊娠14週) を待って摘出術を行った. 細胞診上, 細胞境界が明瞭で類円形核を有し, 一部アポクリン化生を認めたが, 核異型とクロマチン増量がみられ核小体の腫大と不規則な細胞配列パターンがみられた.また櫛状構造を示す細胞増殖が高度であることから異型乳管過形成あるいは乳管内癌を疑った. しかし摘出腫瘍は淡赤褐色顆粒状の腫瘤であり, 病理組織学的には良性疾患である乳管腺腫と診断された
  • 堂本 英治, 安斎 幹雄, 寺畑 信太郎, 佐藤 仁哉, 玉井 誠一
    1998 年 37 巻 5 号 p. 495-499
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺glycogen-rich clear cell carcinoma (以下GRCCと略す) は, 腫瘍細胞全体の90%以上が胞体内に多量のグリコーゲンを含んだ淡明細胞からなる乳腺腫瘍と定義され, 発生頻度は乳癌全体の約0.9~3.0%とまれである. 今回われわれはGRCCの1典型例を経験したので, その穿刺吸引細胞診像の特徴について報告する.
    症例35歳女性.平成8年1月初旬左乳房腫瘍を自覚し当院受診. 触診にて乳腺A領域にφ2×2cm大の硬い腫瘤が触知され, 画像診断上悪性が疑われた. 穿刺吸引細胞診でClass 4と診断され, 3月9日乳房扇状切除および腋窩リンパ節郭清術が実施された.組織学的には乳管内および浸潤部で, 胞体内に豊富なグリコーゲンを貯留する淡明細胞の増殖が認められ, GRCCと診断された.
    本例の穿刺吸引細胞診では, 境界が明瞭, 胞体は淡明で泡沫状から細穎粒状, 核は大小を示すが類円形, また単個で大型, 赤みを帯びた核小体の出現などが認められ, GRCCの典型とされる細胞診像に一致していた.GRCCの疾患独立性や分類の意義を疑問視する意見も存在し, その発生頻度の低さも加わって, GRCCの穿刺吸引細胞像はあまり一般には認識されていない.穿刺吸引細胞診によるGRCCの術前診断は不可能ではないと考えられるが, 今後さらに症例の積み重ねによりGRCCの診断意義, および独立性に関して検討する必要がある.
  • 中村 智次, Masahiko Shimomura, Motoo Yajima, Asako Yagi, Kanji Karaki, Hir ...
    1998 年 37 巻 5 号 p. 500-504
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Background: Atypical parathyroid adenoma is a borderline neoplasm defined by histological findings, while its cytological characteristics have not been described so far.
    Case: A 43-year-old man was diagnosed as primary hyperparathyroidism due to parathyroid tumor by medical check-up as a momentum. Although the extirpated tumor was welldemarcated by fibrous capsule, a few small tumor nests were observed in the capsule, which fulfilled the histological diagnostic criteria of atypical adenoma. Some of the tumor cells had giant and/or hyperchromatic nuclei, with intranuclear cytoplasmic inclusions in part, which may be used in favor of an estimation of adenoma rather than carcinoma. In addition, there were few mitotic figures in the tumor tissue and Ki-67 labeling index was as low as that in the conventional parathyroid adenomas.
    Conclusion: It is suggested that the present case is biologically akin to the conventional adenoma and that nuclear atypy and low proliferative activity are useful findings to estimate parathyroid neoplasms to be benign in the cytological specimens.
  • 佐藤 仁哉, 寺畑 信太郎, 安斎 幹雄, 堂本 英治, 玉井 誠一
    1998 年 37 巻 5 号 p. 505-509
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    まれな副腎の褐色細胞腫-神経芽腫群腫瘍混合腫瘍の1例を経験し, その擦過捺印細胞像を検討する機会を得たので報告する.症例は64歳女性. 血中, 尿中カテコールアミン高値を伴う高血圧とともに, CTにて左副腎に腫瘤が認められ, 褐色細胞腫疑いにて腫瘍摘出術を受けた.新鮮標本割面で, 出血を伴う褐色~灰白色の結節状部分, 黄白色のmyxoidな部分および血性内容を入れる嚢胞状部分が認められ, 肉眼所見の異なる充実性部分から細胞を得た. 褐色~灰白色部分ではクロマチン微細穎粒状の類円形~卵円形核と顆粒状の豊富な細胞質を有する多角形細胞がゆるい結合を伴って, シート状に出現する像が認められた. 黄白色部分では核小体明瞭な偏在核を有する神経節細胞様の大型細胞が小型紡錘状細胞と混在する異なる細胞像が認められ, 褐色細胞腫-神経芽腫群腫瘍混合腫瘍が疑われた. 病理組織学的には褐色細胞腫と神経節腫からなる混合腫瘍で, 両者の中間的な細胞も散見された.
  • 提嶋 眞人, 藤田 彬, 藤原 登美子, 伊藤 智, 渡邊 精子, 村上 正代, 南條 博, 阿部 一之助
    1998 年 37 巻 5 号 p. 510-514
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    自然尿中に異型細胞が出現した尿膜管遺残由来の腺癌症例3例を経験したので報告する. 尿膜管由来を含め膀胱の腺癌は, 大半が血尿を主訴とするが, ときに無症状であり, 検診時にみつかることがあり, その発見に細胞診は重要である. 今回報告する, いずれの症例も血尿を主訴とし膀胱頂部に腫瘤を認めた.組織学的にはいずれも大腸の腺癌と区別できない高円柱状細胞質をもつ乳頭腺管型の腺癌で, 症例1では胞体内粘液産生著明な部分が混在していた. 今回の3症例中, 2例 (症例2, 3) では術前細胞診で腺癌を推定したが, 1例 (症例1) では移行上皮癌と誤推定した. 誤推定の原因として, 核偏在性高円柱状形態を保つ細胞の出現がごく少数だったこと, 変性のため細胞質が不明瞭となり, 高円柱状形態を読み取りにくかったことがあげられた. 一般に移行上皮癌では組織推定のための細胞学的特徴が他の組織型と比べて乏しいため, 移行上皮癌と推定しがちとなる. したがって自然尿検体での膀胱腺癌の推定には常に腺癌の可能性を念頭に置くこと, およびわずかであっても核偏在性の高円柱状配列形態, あるいは印環細胞様細胞を見逃さないことが重要と考えられる.
  • 佐々木 政臣, 若狭 研一, 八幡 朋子, 伊倉 義弘, 田川 進一, 青山 泰孝, 山根 孝久, 巽 典之
    1998 年 37 巻 5 号 p. 515-519
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    脳脊髄液細胞診にみられたLarge granular lymphocytic leukemia (LGL白血病) の1例を報告する.腫瘍細胞は弱塩基性で広い細胞質を有し, 一部に明瞭なアズール穎粒がみられた. 核は比較的小型で核形不整もほとんどみられなかった.また出現細胞数の増加も認められなかったため, 反応性リンパ球との鑑別に苦慮した.
    本症例は肝生検におけるEpstein-Barr virus encoded small RNA (EBER/1, 2) のin situhybridization (ISH) が陽性であったことから, 脳脊髄液のパパニコロウ脱色標本を用いてEBER-1, 2のISHを行ったところ, 異常リンパ球がすべて陽性を示し, 腫瘍細胞の脳脊髄膜への浸潤と考えられた.
  • 栢尾 純子, 田丸 淳一, 角南 勝介, 佐藤 武幸, 斉藤 忠, 福本 泰彦, 三方 淳男, 田中 昇
    1998 年 37 巻 5 号 p. 520-524
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1987年にリンパ節穿刺吸引細胞診により早期診断され, 病理組織学的検査によって確認されたBurkitt's lymphomaについて, 免疫組織化学, フローサイトメトリーによる表面マーカー解析, 染色体検索と若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は6歳男子, 右腋窩リンパ節穿刺吸引細胞診でBurkitt's lymphomaと診断された.
    腫瘍細胞の細胞質は好塩基性で, 中性脂肪滴からなる小空胞を有しており, 免疫形質の検索でB細胞由来の細胞であった. そしてBurkitt's lymphomaに特異的な転座t (2;8) の染色体異常が証明された. 血清学的検査では, アフリカ以外で発見される症例と同様に, Epstein-Barr Virus (EBV) 抗体価の上昇は認められなかった. 発症後10年の現在なお異常を認めず, 経過観察中である.
  • 古谷 能祥, 山田 和昭, 前田 昭太郎
    1998 年 37 巻 5 号 p. 525-529
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    髄液細胞診にて診断に苦慮した悪性黒色腫の1例を報告する.
    症例は56歳男性.記銘力・自発性の低下, 頭痛を主訴とし, 頭部CT, MRI, 血管撮影にて, 転移性脳腫瘍の所見を得た. しかし腫瘍摘出術を施行した結果, 病理組織診断で悪性黒色腫と診断された. 術後の髄液細胞診では, 大型でN/C比の高い異型細胞を認めたが, melaninの分泌に乏しく細胞量も少ないため, 細胞診で悪性黒色腫と診断することに苦慮した. その後, 化学療法により患者の状態は改善されたが, 髄液細胞像は, 著明なmelanin分泌, 明瞭な核小体が出現し, 細胞診においても悪性黒色腫と診断できた.
    剖検時の髄液細胞所見は, 化学療法時とほぼ類似する所見であった.しかしV-Pshantによる腹膜播種と思われた腹水細胞のほとんどがmelaninを貧色した組織球で, 黒色腫細胞はダグラス窩内にごくわずかであった.
  • 植田 庄介, 高橋 保, 和田 匡代, 一圓 美穂, 宮崎 恵利子, 森木 利昭
    1998 年 37 巻 5 号 p. 530-536
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    非常にまれな松果体細胞腫・松果体芽腫混合型の細胞病理学的所見を中心に, 細胞増殖能についても検討したので報告する. 症例は9歳, 女児.先天1生小頭症のため経過観察中, 松果体腫瘍が認められ摘出術が行われた. 圧挫標本や捺印細胞診では比較的均一な小型の腫瘍細胞がロゼット様構造を伴いシート状にみられた.クロマチンが増量し核異型のやや強い大型細胞も一部に認められた. 腫瘍摘出10ヵ月後, 脊髄転移が疑われ髄液細胞診を施行. 髄液中には松果体芽腫に相当する細胞が孤立散在性, 小集籏性に出現していた. 腫瘍細胞は胞体が乏しく, やや大型核を有しクロマチンが著明に増量. 切れ込み核や分葉核など多形性がみられた. 組織学的には松果体細胞腫部分では細胞密度はやや低くPineocytomatous rosetteが, 芽腫部分では細胞密度は非常に高くHomer Wright rosetteが認められた.MIB-1による細胞増殖能の検討では, 松果体細胞腫部分の陽性率2.5%に対し芽腫部分では36.7%ときわめて高い増殖能を示し, 本例の髄液播種, 脊髄転移の要因の1つと考えられた.
  • 和田 匡代, 高橋 保, 植田 庄介, 一圓 美穂, 宮崎 恵利子, 松浦 喜美夫, 森木 利昭
    1998 年 37 巻 5 号 p. 537-540
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    良性脂肪芽腫は乳幼児に発生するまれな腫瘍で, 細胞診の報告はほとんどみられない. われわれは穿刺吸引細胞診で診断することができた生後6ヵ月の男児例を経験したので報告する. 多数の成熟脂肪細胞とともに多房性空胞を有する脂肪芽細胞が混在して採取された. 毛細血管も豊富で線維性隔壁様の構造も含まれていた. 脂肪肉腫とは核の異型性, 多形性やクロマチンの増加がみられないこと, 褐色脂肪腫とは典型的な細穎粒状好酸性胞体をもたないこと, 通常の脂肪腫とは豊富な脂肪芽細胞の存在から鑑別可能と考えられる. また, 発症年齢も参考になると思われる.
  • 安松 弘光, 田中 信利, 若林 信浩, 立山 義朗, 林 雄三
    1998 年 37 巻 5 号 p. 541-542
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Curschmann's spirals are frequently found in sputa of patients with lung cancer, bronchitis and pulmonary tuberculosis. It is extremely unusual to see the spirals in cervical smears. We report a case showing Curschmann's spiral in cervical smear.
    A 47-year-old women, gravida two, para two, had a routine cervical smear, which showed the presence of a Curschmann's spiral with no dust-containing histiocytes. Morphologically, this spiral was indistinguishable from that found in sputum. We conclude that Curschmann's spirals in cervical smears are formed from endocervical mucus.
  • 野崎 正行, 小林 克己, 中村 厚志, 吉川 郁子, 深澤 雄一郎
    1998 年 37 巻 5 号 p. 543-544
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of retinoblastoma in an adult male without any family history. A 23-year-old man came to our hospital complaining of myiodesopsia in his right eye.
    Funduscopic examination demonstrated a tumor on the periphery of the right fundus in the optic area.
    Fine needle aspiration cytology revealed many clusters of small round cells and necrotic debris. Rosette-like formation was also present.
    Immunocytochemical study of the smear showed that the tumor cells were positive for neuron-specific enolase (NSE) and synaptophysin. Extraction of the eyeball was performed and histological examination confirmed the presence of retinoblastoma.
  • 清水 進一, 山田 哲司, 坂田 ふみ子, 澤木 由里香, 小林 寛
    1998 年 37 巻 5 号 p. 545-546
    発行日: 1998/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report the cytologic features of chondroblastoma of the right patella in a 15-year-old boy. Imprint cytology specimen, prepared from frozen sections, contained many mononuclear cells and multinucleated giant cells. Mononuclear cells had round to ovoid shaped bland nuclei with fine chromatin and inconspicuous nucleolus. The characteristic features of these cells were irregular indentation of nuclei, nuclear grooves, and only a few intranucicar pseudoinelusions. Mitoses were absent. Chondroid matrix could not be identified in cytologic specimen, but these nuclear findings were considered to be highly suggestive of chondroblastoma.
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