日本臨床細胞学会雑誌
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38 巻 , 2 号
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  • 金城 満, 副島 朋子, 渡辺 寿美子, 濱野 克彦, 鷺山 和幸
    1999 年 38 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1995年1月から12月までに原三信病院泌尿器科から提出された7683件の尿細胞診標本で, 尿細胞診から2ヵ月以内に組織検査が行われた195症例のパパニコロウ染色された尿細胞診標本 (282件) を対象とし, 同心円状配列を示す細胞集塊をpair cell (PCと略) と定義し, それをさらにsingle PC, double PCとmulticellular PCの3種類に分類し, 組織学的診断を標準として, PC検出の尿中移行上皮癌診断における感度, 特異度, 陽性適中率, 陰性適中率を算出し, 比較検討した. カテーテル尿と膀胱洗浄尿についてもその臨床的意義を検討した. 尿中移行上皮癌診断におけるsingle PC検出の感度は28.2%で, 特異度, 陽性適中率はともに100%で, 陰性適中率は20.3%であった. double PCやmulticellular PCでもほぼ同様の結果が得られた. すなわち, pairce11検出の感度は28.2%とそれほど高くないが, 特異度および陽性適中率はきわめて高く, PCが検出された場合の尿路腫瘍診断の精度はきわめて高いが, 逆に, 陰性適中率が低いため, 尿中細胞診標本上でPCが検出できない場合は良性尿路疾患を否定することはできないという結果であった. 自然尿における尿細胞診標本上でのPC検出は尿路上皮腫瘍の細胞診断に特異度, 陽性適中率のきわめて高い有用な所見と思われる.
  • 沼本 敏, 宮内 洋一
    1999 年 38 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1986年から1997年の12年間に行った乳腺穿刺吸引細胞診4,641例の診断結果の分析と再検討を試みた. 判定不能706例 (15.2%), 陰性2,894例 (62.4%, Class I: 79例, Class II: 2,815例), 疑陽性83例 (1.8%), 陽性958例 (20.6%, Class IV: 30例, Class V: 928例) であった. 判定不能例の19.7%(139例), 陰性例の19.9%(577例), 疑陽性例の75.9%(63例), 陽性例の80.1%(767例), 計1,546例において組織診断が行われている. 組織診断との対比可能な症例から判定不能例を除き, 感度と特異度を求めると87.3%と95.9%であった. 誤陰性は109例で, 硬癌, 乳頭腺管癌, 浸潤性小葉癌の順に多く, 誤陽性は20例で, 線維腺腫, 乳腺症の順に多かった. これらの誤判定を含め, 疑陽性例の原因についても考察を加えた.
  • 杉山 裕子, 南 敦子, 手島 英雄, 片瀬 功芳, 秋山 太, 吉本 賢隆, 霞 富士雄, 横須賀 薫, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    1999 年 38 巻 2 号 p. 141-147
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳癌術後のtamoxifen (TAM) 投与が閉経子宮内膜に与える影響を細胞診および組織診より検討した.
    1980年1月から1990年12月に当院で乳癌の手術を受けた閉経後の症例中, TAM内服前, 中, 後にわたり定期的に細胞診を検討できた内服群80例を対象とし, 乳癌手術前, 後にわたり細胞診を検討できた非内服群145例と比較検討した. それぞれの群で組織学的にも検討した.
    TAM内服群の子宮内膜の特徴的変化: 細胞所見; 内膜腺細胞は2種類認められた. 分泌初期内膜像類似の比較的大型の細胞と, 萎縮した小型の細胞であった. 間質細胞も大型化し, 多数出現していた. この所見は子宮内膜癌や子宮内膜増殖症の所見と鑑別可能であった. 組織所見; 問質の増殖を伴った内膜の肥厚を認めた. 内膜腺は年齢不相応に小腺管が密に増殖する所と, 萎縮している所が混在していた. 間質の浮腫, 毛細血管の増生と拡張も認めた.
  • 鐵原 拓雄, 広川 満良, 有光 佳苗, 園尾 博司
    1999 年 38 巻 2 号 p. 148-150
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腋窩の穿刺吸引細胞診で副乳が疑われ, 組織診では線維腺腫であった1例を経験したので報告する. 症例は48歳, 女性で, 腋窩腫瘤および乳腺腫瘤の穿刺吸引細胞診が行われた. 腋窩腫瘤の標本では, 小型で類円形の上皮細胞がシート状, 一部偽乳頭状に出現していた. 核は類円形で, 大小不同に乏しく, 核間距離は密で, 核クロマチンは細か粒状を呈していた. 一部に小型の核小体が1-2個観察された. 集塊内には濃染する紡錘形細胞がみられ, 背景には双極裸核細胞が観察された. 乳腺腫瘤の標本でもほぼ同様の細胞像が観察された. 乳腺腫瘤および腋窩腫瘤の組織診断はともに線維腺腫であった. 副乳およびそれから発生する良性腫瘍の診断には穿刺吸引細胞診が有用と考えられた.
  • 清水 薫, 原田 章子, 大津 久美子, 甘利 保子, 野沢 昭典, 原 正道, 大石 公直
    1999 年 38 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    鼻腔に発生し上衣芽腫と診断した1例を報告した. 症例は77歳男性. 右鼻腔内に壊死性, 易出血性の腫瘤が認められた. 捺印細胞診は, 小型類円形で裸核状または細網状の淡い細胞質を持つ均一な細胞群からなり, 核は類円形で細か粒状のクロマチン像と小型の核小体を数個有していた. これらの中にはロゼット様配列も認められた. 組織診は, 細胞診と同様の所見を示す細胞の密な増殖と, 一部に明瞭な上衣芽腫型ロゼットを伴う腫瘍組織であり, 免疫組織学的にビメンチン, MIC2遺伝子産物抗体に陽性反応を示したが神経系抗体に対する反応は陰性であった. 電顕では細胞間接着装置, 小数のbasal bodies, microvilli, ciliaが認められた. 過去に中枢神経系以外の組織に発生した上衣芽腫の報告は2例に過ぎず, いずれにも細胞診所見は記述されていない. 本腫瘍の診断には上衣芽腫型ロゼットの同定や電顕所見が必要で, 細胞診での診断は限界があると思われる. しかし細胞診断学的にもこのような腫瘍の存在を認識し, 免疫染色などを加味し診断技術を向上させる必要があることを述べた.
  • 倉科 正徳, 越川 卓, 宇佐見 由加
    1999 年 38 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Wanらの提唱する甲状腺未分化癌の乏細胞変異型に相当すると考えられるまれな症例を経験したので報告する. 症例は58歳女1生で, 甲状腺右葉に硬い腫瘤あり, 初回切除標本でRiedel甲状腺炎と診断されたが, 再発後の切除標本から甲状腺未分化癌と診断された. 初発より1年5ヵ月で死亡した.Wanの報告した組織像とは,(1) 病巣部の強い線維化と硝子化, 一部の石灰変性,(2) 低異型性腫瘍細胞が主体,(3) 紡錘形異型細胞の存在,(4) 血管内侵襲,(5) 甲状腺周辺組織への腫瘍の浸潤は合致したが,(1) 胞巣内部の嚢胞-空隙の形成,(2) 初回標本で扁平上皮化生の存在,(3) 梗塞巣が微小である点は相違した. 免疫組織化学的には腫瘍細胞はcytokeratin, p53陽性で, MIB-1陽性率は初回標本7%, 再手術標本26.3%であった. 穿刺吸引細胞標本では, 異型細胞は (1) 比較的少数 (2) 異型の軽度な細胞が主体,(3) 細胞接着性の低下傾向,(4) 紡錘形核, 不整形核, 核小体の腫大, 大型核, クロマチンの密在や不均等分布を示す異型のやや強い少数の細胞, 背景所見では線維芽細胞集塊, 膠原線維束, 多数の好中球, 形質細胞などが認められた. 通常の未分化癌に比べ弱い異型細胞が主体で, 上記細胞所見と背景所見が合致した場合, 本症を疑う必要がある.
  • 杉原 綾子, 寺田 信行, 豊坂 昭弘, 辻村 亨, 名方 保夫, 中正 恵二, 窪田 彬, 山本 格士
    1999 年 38 巻 2 号 p. 162-165
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺間質肉腫の1例を報告する.
    症例は, 64歳の女性で, 左乳腺に皮膚の潰瘍を伴う, 18×16×17cmの腫瘤が形成されていた. 術中迅速組織診断では, 乳腺悪性葉状腫瘍または問質肉腫が疑われ, 非定型乳房切断術が行われた. 摘出腫瘍の捺印細胞診では, 明らかな上皮性配列のみられない多形性の著しい肉腫細胞様の腫瘍細胞が認められた. 腫瘍細胞は多辺形で, その細胞質は広く, 核は類円形ないし紡錘形であった. 核の切れ込みもみられた. 核のクロマチンは増量し核小体は大きく明瞭であった. 多核巨細胞も多数みられた. 以上の所見より, 悪性のしかも間葉系腫瘍であることが推定された. 組織学的には, 腫瘍は紡錘形細胞の束状, または, 花むしろ状配列を示す部分, 著明な多形性を示す細胞が充実性増生をみる部分および両者の像が混在する部分より構成されていた. 免疫組織化学的検索では, ビメンチンにしか陽性を示さず, 腫瘍は悪性線維性組織球腫様組織像を示す乳腺問質肉腫であった.
  • 田澤 賢一, 安田 政実, 梶原 博, 宮嶋 葉子, 篠田 玲子, 鴨志田 伸吾, 伊藤 仁, 堤 寛, 長村 義之
    1999 年 38 巻 2 号 p. 166-169
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは, 20歳男性に発症した, 著明な壁外性発育を示す大腸粘液癌 (以下, 粘液癌) を報告した. 術中に採取した腹水細胞診検体では, 腫瘍細胞は胞体内および細胞外に豊富な粘液基質を有し, 核の偏在化により印環細胞型を特徴とした. 組織学的に, 切除標本の表層部には通常の印環細胞癌の増殖が認められ, 浸潤に伴って大腸壁はびまん性に印環細胞型の腫瘍細胞と豊富な細胞外粘液基質が認められた. これら腫瘍細胞内外の粘液はシアロムチンが主体で, コンカナバリン-A染色, Galactose oxidase-Schiff (GOS) 染色, 免疫組織染色HIK-1083 (胃ムチン抗体) は陰性であったことから, 大腸粘膜上皮由来であると診断した. 粘液癌における壁外性発育に関して, その要因は明らかでなく, とくに本例のような若年発症型は文献上報告をみない. 転移性大腸癌との鑑別に対し, 粘液細胞学的および組織学的検討を行った. 術前大腸生検に比較し, 腹水細胞診の所見が, より原発病巣の組織像を反映していた点が診断上有用であった.
  • 岡田 真也, 工藤 玄恵, 平野 隆, 石川 章夫, 海老原 善郎
    1999 年 38 巻 2 号 p. 170-176
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺原発のOsteoclast-like giant cell (以下OCGCと略す) を伴う肉腫様未分化癌症例を経験した. 本腫瘍およびOCGCの生物学的性状について細胞学的ならびに病理組織学的に検討した.
    患者は胸部右上肺野の異常陰影を指摘された55歳の男性である. 気管支鏡下に右B2aにポリープ状腫瘍が認められた. ブラシによる擦過細胞材料の直接塗抹検体では異型細胞は肉腫細胞様で孤立性あるいはシート状に出現したが, その洗浄検体では明瞭な細胞質, 核小体と細胞の重積性から腺癌細胞の様相を示した. 背景には数十個の小型の濃染性核が細胞の中心に集合し, 境界明瞭な厚い細胞質と突起を特徴とする30~180μm大のOCGCが多数認められた. 免疫組織化学的に肉腫様細胞は上皮性マーカーに陽性であったが, OCGCは酒石酸耐性酸性フォスファターゼ, lysozyme, CD68に強陽性で, 電顕的にrERが豊富でlysosomeも認められた. OCGCは組織球系由来であることが示唆された.
    本稿において, 病巣の直接塗抹細胞診では診断困難な場合, 採取器具からの洗浄液標本が診断に役立つことがあることを強調した.
  • 福田 利夫, 斉藤 まさ子, 佐野 孝昭, 柏原 賢治, 小山 徹也, 中島 孝, 篠崎 哲也
    1999 年 38 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    捺印細胞診標本にて細胞質内結晶構造を明瞭に観察し得た胞巣状軟部肉腫の1例について報告する。
    症例は22歳女性, 腰部の腫脹で発症し, 5年後に局所の痺痛が生じたため, 画像診断で胞巣状軟部肉腫が疑われ, 大腰筋下の径約10×5cmの腫瘤が摘出された. 捺印細胞標本では大型で粗顆粒状の細胞質を有する腫瘍細胞が遊離性ないし集塊を形成して出現し, 明瞭な核小体が認められた. 細胞質内結晶構造はPapanicolaou染色では不明であったが, Giemsa染色標本では細胞質内に多数の赤紫色の針状の結晶が認められた. アルコール固定後のPAS染色では細胞質がび漫性ないし滴状に陽性となり, 結晶構造が不明瞭であったが, 乾燥固定標本のPAS染色ではGiemsa染色と同様の形態を示す結晶が明瞭に認められた.
    組織学的には胞巣状構造と, PAS染色陽性の細胞質内結晶構造を有する定型的な形態を示し, 結晶内には電顕的に長軸方向に配列する格子状構造が認められた.
    胞巣状軟部肉腫の捺印細胞像はその組織学的特徴を反映し, 胞巣状構造を示唆する集塊形成, 粗顆粒状で豊富な細胞質とともに, その結晶構造を確認することが必要であり, この結構造の確認にはGiemsa染色あるいは乾燥固定材料のPAS染色が有用と考えられる.
  • 野首 光弘, 鈴木 良夫, 佐藤 良重, 林 光雄, 及川 剛宏, 松嵜 理
    1999 年 38 巻 2 号 p. 183-186
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Paget病で10年前に単純外陰切除術を受け外来通院中の67歳女性. 排尿時痛を主訴とし, 尿道口部腫瘍が認められた. 外陰腟部の擦過細胞診ではクロマチン細顆粒状で密に増量し, 核縁薄く, 核小体著明な大型類円形核を有する淡い細胞質の異型細胞が認められ再発が推定された. 一方, 腫瘍の切除生検の組織診は上皮内癌で, 当初, 移行上皮癌が考えられていた. 後に施行された外陰生検はPaget病であり, また膀胱に悪性所見はなかった. 結局, 細胞像・粘液染色所見などを総合して, 尿道口部腫瘍も再発の一部と結論された.
  • 望月 衛, 高橋 勝美, 江尻 晴博
    1999 年 38 巻 2 号 p. 187-188
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We compare the features of tumor imprint cytology (TIC) with those of fine needle aspiration cytology (FNAC) in a case of anaplastic malignant peripheral nerve sheath tumor. A 56-year-old female patient with von Recklinghausen's disease presented with a subcutaneous tumor, measuring 3×3cm, in her back. TIC yielded from the surgically resected tumor containing mainly MFH-like large neoplastic cells which possessed bizarre nuclei; however, FNAC showing an admixture of large bizarre cells and spindle-shaped cells. We suggest that this discrepancy is caused by the difference in exfoliation between anaplastic bizarre tumor cells and spindle-shaped ones.
  • 小林 久仁子, 福永 真治, 本間 隆志, 山田 直子, 佐藤 俊
    1999 年 38 巻 2 号 p. 189-190
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Cytological findings of a case of elastofibroma dorsi are described. A 58-year-old female presented with a slowgrowing mass in the left subscapular region. The excised lesion measuring 6×4×3cm was an ill-defined white elastic mass. Scraping cytological specimens showed benign-appearing spindle cells and light-green stained, bead string-like or globular structures, which were intensely stained with elastic fiber staining. Ultrastructurally, the structures were composed of electron-dense materials with cores of thin filaments. The spindle cells showed fibroblastic differentiation with intermediate filaments.
    Immunohistochemically, the cells were positive for vimentin, α-smooth muscle actin and desmin, indicating mvnfihrnhlastir or fibroblastic differentiation.
  • 今井 律子, 夏目 園子, 橋本 政子, 深津 俊明, 佐竹 立成
    1999 年 38 巻 2 号 p. 191-192
    発行日: 1999/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A 72-year-old male was found to have an abnormal shadow in the right lung. FNA smears showed several clusters of atypical columnar cells, some of which had hyperchromatic nuclei with irregular nuclear margin and large nucleoli. These cells were diagnosed as adenocarcinoma but the resected lung tumor was diagnosed histologically as organizing pneumonia.
    In order to avoid a false-positive diagnosis of the hyperplastic bronchiolo-alveolar cells, it was thought to be important to note not only the low cellularity of atypical cells but also the presence of benign columnar cells which bear some resemblance to severe atypical cells.
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