日本臨床細胞学会雑誌
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38 巻 , 3 号
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  • 小林 陽一, 斎藤 馨, 香西 洋介, 野田 誠子, 庄司 潔, 水原 浩, 雨宮 章, 中 英男, 田所 衛, 星川 咲子
    1999 年 38 巻 3 号 p. 201-204
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    妊婦の子宮頸癌スクリーニングにおけるサイトピックの有用性について, 綿棒との比較検討を行った. 1992年1月から1997年12月末までに当院を受診した妊婦4749人のうち, 子宮膣部擦過細胞診にてクラスIIIaと診断された症例は83例であり, このうち十分な精査を行い得た53例にっいて解析を行った. 綿棒にて細胞診採取を行った29例中 (綿棒採取群) 組織診との結果が一致した症例は12例 (41.4%) であった. 一方サイトピックにて細胞診採取を行った24例中 (サイトピック採取群) 組織診との結果が一致した症例は18例 (75%) であり, 綿棒採取群と比較して組織診との一致率は有意に高率であった (p=0.0140, x2検定). 特に上皮内癌以上の症例における一致率は綿棒採取群で33.3%にとどまったのに対し, サイトピック採取群では100%と高率であった. 以上のことから, 妊婦における子宮頸癌スクリーニングにおいては綿棒よりもサイトピックの方が病変をより正確に反映する可能性が示唆された.
  • 星 利良, 都竹 正文, 佐藤 之俊, 西田 一典, 石川 雄一
    1999 年 38 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺切除材料の組織診にて肉腫様変化を伴う原発性肺癌と診断され, かつ術前細胞診が施行された8例について細胞診での確定診断を目的とする細胞学的検討を行った.
    対象とした8例は組織学的に,(1) 扁平上皮癌の成分を伴うもの2例,(2) 腺癌の成分を伴うもの4例,(3) 肉腫様細胞のみからなるもの2例の3つの亜型に分けられた.(1) の扁平上皮癌を伴う2例は, いずれも細胞診で角化型扁平上皮癌細胞が認められ,(2) の腺癌を伴う4例中1例で, 細胞診で腺癌細胞を認めた.(3) 肉腫様細胞のみからなるもの2例では, 癌成分を伴う (1)(2) にはみられなかった出血性背景を認めた.次に, 肉腫様細胞の細胞形態は, 多形性細胞型と紡錘形細胞型に大別された.(1) では両方の細胞型が,(2) では紡錘形細胞型のみが, さらに (3) では多形性細胞型のみがそれぞれ認められた.
    肉腫様変化を伴う原発性肺癌は, 背景, 分化傾向を示す癌細胞の出現の有無, 肉腫様細胞の形態を総合的に観察することにより, 細胞診から肉腫様変化を伴う肺癌であること, および亜型の推定診断が可能であると考えられた.
  • 河原 明彦, 横山 俊朗, 杉島 節夫, 原田 博史, 鹿毛 政義, 林 逸郎, 島松 一秀
    1999 年 38 巻 3 号 p. 213-220
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    筋上皮系細胞が関与する唾液腺腫瘍の細胞像を明らかにする目的で, 24症例の唾液腺腫瘍 (pleomorphic adenoma15症例, myoepithelioma1症例, basal cell adenocarcinoma2症例, adenoid cystic carcinoma4症例, epithelial-myoepithelial carcinorna2症例) の捺印細胞診を用いて細胞学的検討を行った.その結果, 小型で円形から類円形の裸核状細胞が集塊または弧在性に出現する傾向がみられ, これらの細胞はさまざまな形態を示す筋上皮系細胞であると考えられた。また, May-Giemsa染色では各組織型で異なるmetachromasiaが観察された.
    唾液腺腫瘍には数多くの良・悪性腫瘍が存在するので細胞診では鑑別疾患を正確に行うことが重要であり, 類似する出現形態を示す腫瘍群に関しては, metachromasiaの分布と染色態度が組織型の推定に有用と思われた.
  • 金城 満, 副島 朋子, 渡辺 寿美子, 濱野 克彦, 鷺山 和幸
    1999 年 38 巻 3 号 p. 221-225
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    膀胱腫瘍患者の自然尿における“pair cell (PC)”の形成機序を解明するために, 尿の細胞診検査後, 2ヵ月以内に組織学的検査を受けた膀胱良性疾患群21例, 膀胱移行上皮癌69例の合計90例について細胞学的, 病理組織学的, 免疫組織化学的検討を行った. 移行上皮癌では組織標本に渦状の構造が14.5%にみられたが, GO, G1, G2, G3と移行上皮癌の異型度が高くなるにつれて, 0%, 6.3%, 11.1%, 29.4%と渦状構造の出現率も高くなることが判明し, 尿中細胞診上のPCとほぼ同様の傾向を示した. 移行上皮癌の組織学上の渦状構造の出現と尿細胞診上のPC検出についてはX2検定では特別な関連はみられなかった. Ki 67免疫染色で17例から得られた64個のPCの中心細胞と外側細胞の増殖の程度を検討してみると, 陽性細胞は内側細胞に比して外側細胞の方が統計学的に有意に多いという結果となった (X2P値: 0.0005). すなわち, 尿路上皮腫瘍細胞は尿中に剥離したあとも増殖活性がみられ, しかも外側細胞に増殖活性が高いことを示唆された. 今回の検討の結果, PCは組織中で形成されているのではなく, 尿中に剥離したあと, 細胞相互の何らかの増殖活性の差によってもたらされるものではないかと考えられた.
  • 丸田 淳子, 山下 裕人, 野口 志郎
    1999 年 38 巻 3 号 p. 226-230
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    甲状腺穿刺吸引細胞診の所見の判定における客観化の一助として, 細胞集塊の周縁部の凹凸度を指数化して検討した. 乳頭癌20例, 濾胞腺腫20例, 腺腫様甲状腺腫20例からおのおの10ヵ所以上の細胞集塊の面積および周囲長をcomputerで計測し, それらから細胞集塊の周縁部の凹凸を表す指数 (凹凸度指数=2-1×(π×面積) -0.5×周囲長) を求めた. 乳頭癌の平均細胞集塊面積および平均周囲長はそれぞれ2970μm2, 376μmであり, 濾胞腺腫, 腺腫様甲状腺腫より大きい傾向にあった. 乳頭癌の平均凹凸度指数は2.02±0.09 (mean±s.e.) であり, 濾胞腺腫および腺腫様甲状腺腫に比して, 高度な有意水準で差を認めた. 症例内の集塊形状の多様性を表す標準偏差も, 乳頭癌で1.4±0.1と最も大きかった. 本検討症例集団でのLogistic回帰分析による乳頭癌である確率は, 凹凸度指数が2.2以上の細胞集塊であれば90%以上であった. odds ratioでは, 指数が0.1大きくなると乳頭癌のoddsは1.96倍大きくなった. 凹凸度指数は, 値が大きいほど乳頭癌である確率が高く, 同疾患を判定する際の補助的手段に利用できると思われた.
  • 小池 綏男, 寺井 直樹, 土屋 眞一, 渡辺 達男, 町田 智恵, 松山 郁生, 石井 恵子
    1999 年 38 巻 3 号 p. 231-238
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    最近, 9年間に長野県がん検診センターの乳腺外来で穿刺吸引細胞診を施行した1,787例を対象とした. その成績をA医師が施行した1,136例と穿刺手技が異なるB医師の651例に分けて比較検討した. 悪性病変をclass V・IV, 良性病変をclass II・Iと診断した割合はA・Bともに80数%で差がなかった. 誤陰性 (class II・I+判定不能) 率と誤陽性 (class V・IV・III b) 率にも有意差を認めなかった. 判定不能率のみAが6.1%とBの9.1%より統計学的に有意に低かった. 感度, 特異度, 陽性予知度, 正診率はA・B間に差を認めなかった. また, 乳癌症例に対するABCの成績を他の診断法による診断および癌の組織型別に比較したが, A・B間に著しい差を認めなかった. 誤陰性の要因の中で最も多かった採取細胞量不十分例の割合は, AはBより多かった. 細胞量が十分で誤陰性となった因子は手技上の問題, 線維腺腫内癌, 小葉癌などであった. 誤陽性の要因はA・B間に差がなかった. 採取細胞量が十分で誤陽性となった因子は細胞の過大評価, 上皮増生が著明な病変, 乳頭状病変であった. 熟練した医師が穿刺吸引を行えば, ABCの成績は手技によって差がないことが示唆された.
  • 真野 佳典, 豊泉 長, 藤井 和之, 菊池 義公, 永田 一郎, 堂本 英治, 寺畑 信太郎, 玉井 誠一
    1999 年 38 巻 3 号 p. 239-243
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部扁平上皮癌のまれな一亜型である子宮頸部乳頭状扁平上皮癌の1例を経験したので, その細胞学的特徴を, ヒト乳頭腫ウイルス (HPV) の検索結果を含め報告する. 症例は36歳女性. 肉眼的には, 子宮頸部からカリフラワー状に外向性発育を示す, 易出血性な腫瘍がみられ, 強く悪性が疑われた. しかしながら細胞学的には, 高度異型成から上皮内癌程度の細胞所見で, 浸潤癌を示唆する細胞所見は得られなかった.
    摘出標本による組織学的検討では, 狭細な血管線維性間質を伴い, 乳頭状に外向性発育を示すとともに, 一部に間質浸潤がみられ, 乳頭状扁平上皮癌 (FIGO Stage Ib 2) と診断された. またPCR法によりHPVの検索を行ったところHPV 16型 (High-risk type) が検出された. 同症例では細胞診および生検で, 浸潤癌の術前診断が困難な例が多く, 上皮内癌とunderdiagnosisされる可能性が想定される. しかしながら肉眼像およびコルポスコピー所見で, 子宮頸部乳頭状扁平上皮癌を鑑別にあげることができれば, 細胞診における豊富な腫瘍細胞量, 細胞集塊, 個々の細胞異型などの所見と生検を併用することで, 術前に確診に至ることも可能と思われる.
  • 道又 敏彦, 山川 義寛, 宮崎 聡美, 長谷川 徹, 結城 浩良, 藤村 正樹, 伏木 弘, 泉 陸一
    1999 年 38 巻 3 号 p. 244-248
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診が診断のきっかけとなり, 薬物療法が奏功した骨盤内放線菌症の1例を経験した. 患者には14年間のIUD装着歴がある.
    1996年5月上旬より, 突然両下肢の浮腫と発熱が出現し, 近医受診. 両側水腎症を認め, 腎後性腎不全と診断され, 婦人科悪性疾患を疑われ当科紹介となった. 双合診では, 骨盤内に子宮とともに一塊となった弾性硬の可動性不良の腫瘤を触知した. MRIでは腫瘤は辺縁不明瞭でT1・T2強調像にてともに高~低信号領域の混在した像を呈した. 注腸造影ではS状結腸から直腸Ra領域にかけて不整な高度の狭窄を認めた. 入院後, 細胞診および子宮内膜組織標本の再検討を行い, 硫黄顆粒 (sulfur granule, 菌塊) を認めたため, 放線菌症と診断し, 抗生剤 (PCG) 点滴静注を行った. 以後, 骨盤内腫瘤は次第に縮小, 9週目には消失し, 両側の水腎症および直腸の狭窄も改善した. 現在, 再発の徴候は認めていない.
    IUD使用者に, 骨盤内腫瘤を認める場合は, 鑑別診断として放線菌症を念頭におき, 外頸内頸および内膜細胞診, 内膜組織診標本を, 注意深く検索する必要がある. 本症が疑われる場合には外科的療法を考慮する前に薬物療法を行い, 治療に抵抗を示す場合には外科的療法を併用するのが良いと考える.
  • 羽原 利幸, 広川 満良, 藤村 紀行, 橋口 正大, 三上 芳喜, 小池 秀爾
    1999 年 38 巻 3 号 p. 249-253
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    多数の肥満細胞が認められた肺硬化性血管腫について報告する. 症例は59歳, 女性で胸部異常陰影を指摘され, CT検査にて右肺S10に約1.8cm大の結節が認められ悪性も完全には否定できなかったため, 胸腔鏡下右肺下葉部分切除術が施行された. 術中の捺印細胞診では, 比較的小型で均一な類円形から多稜形の細胞が集塊状, 一部孤立散在性に多数出現し, 血管結合織を芯として乳頭状に配列する細胞集塊も認められた. 出現細胞には, 核の溝が高頻度に出現し, 核内封入体も少数みられた. Diff-Quik染色では肥満細胞が多数認められ, それらの多くは細胞集塊内に観察された. 組織学的には, 充実性増殖が主体の肺硬化性血管腫と診断され, 増殖細胞巣内には多くの肥満細胞が認められた. 本例では高分化乳頭状腺癌との鑑別が困難であったが, 肺腺癌では肥満細胞は間質内に少数しか出現しないことから, 細胞診において細胞集塊内に多くの肥満細胞が認められた場合には, 肺硬化性血管腫を疑う有用な所見になるものと推測された.
  • 宮山 東彦, 馬場 敏夫, 河野 公成, 島本 浩二, 松本 律男, 梅田 かおり, 兼本 真由美
    1999 年 38 巻 3 号 p. 254-258
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    性器外に原発する絨毛癌の中で, 肺原発の男性絨毛癌はまれである. 最近, その発生起源を腺癌の異分化に求める説も唱えられている.
    本症例は, 76歳, 男性で背部痛と血疾で来院. 喀疾細胞診で, class V肺腺癌が疑われたが, 胸部X線写真, CT検査にて両肺野に腫瘍陰影はなく, 入院精査中に肺出血で死亡, 剖検された.
    剖検にて, 右下肺S9に血腫状の鳩卵大の腫瘍があり, 縦隔, 後腹膜, 睾丸には異常なく, 肺原発の男性絨毛癌であることが判明した. 組織学的に, 異型性のあるcytotrophoblasts (CTs) およびsyncytiotrophoblasts (STs) にきわめて類似した腫瘍細胞から成る絨毛癌の形態をとり, とくに塊状に増殖したCTsを取り囲むように, 合胞性のSTsが被覆した部位もみられた. 免疫組織化学でSTsはβ-hCGが強陽性であった. 本例では, 明らかな腺癌部分はなく, 増殖したCTs細胞塊に混じって, ごく少数ながら, 上皮性膜抗原 (EMA) に陽性を示す細胞がみられた.
    肺原発絨毛癌の組織発生に関して, 原始胚細胞の迷入ではなく, 気管支上皮の異分化ないし脱分化によって発生することを示唆する興味ある症例である.
  • 佐々木 陽一, 垣花 昌彦, 浦崎 政浩, 野原 キクエ, 横田 勝正, 村上 俊一, 山田 喬, 金田 竜真
    1999 年 38 巻 3 号 p. 259-267
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    まれな直腸肛門部類基底細胞癌について生検捺印細胞学的所見を生検組織所見と対比して報告する. 患者は76歳, 女性, 主訴は排便時肛門出血. 大腸X線検査, 内視鏡検査にて直腸肛門移行部を中心に, ほぼ全周性の隆起性病変による狭窄を認めた. 生検捺印細胞像は多彩な像を示し, 少数の炎症性細胞とメラニン細胞を背景に, 1. 小類円形細胞パターン, 2. 紡錘形細胞パターン, 3. 扁平上皮細胞パターンの3種類のパターンの腫瘍細胞所見がみられたが, 小類円形細胞パターンがきわめて優勢であった. また, これらのパターン間の移行型もみられた. 生検組織診で類基底細胞癌と診断された後, 細胞像と組織像と対比検討した. 生検組織像で, 細胞質の乏しい小類円形細胞を主とする組織部分, 細長形ないし紡錘形細胞からなる部分, 一部で角化を伴った部分など, 細胞所見と対応する所見がみられ, 細胞像は良く組織像を反映していた. 肛門管腫瘍の細胞診においては, この類基底細胞癌をも考慮に入れて細胞像の観察が必要との示唆が得られた. また, 腫瘍細胞の周囲のメラニン細胞の存在は悪性黒色腫との鑑別に留意が必要であった. 切除標本で, 直腸肛門移行部に4×3.5cmの大きさの腫瘍で, 組織学的診断は類基底細胞癌であった. 電顕的には腫瘍細胞の細胞膜間に大小のデスモゾームが不規則に散在し, 細胞質にはトノフィラメントが数本の疎な束を形成して認められた.
  • 中澤 功, 塩澤 哲, 久保田 理彦, 碓田 恭子, 平嶋 早百合, 村松 さゆり
    1999 年 38 巻 3 号 p. 268-271
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    食道原発の小細胞癌の1例を報告する. 症例は78歳女性, 嚥下時の胸部違和感を主訴に受診した. 中央に浅い潰瘍を形成する中部食道後壁のポリープ状の隆起性病変を認め, 外科的切除術が行われた. 腫瘍の捺印細胞診では, 細胞相互の結合性は弱く, 胞体の乏しい裸核状の異型細胞が散在性に出現し, 境界不明瞭な重積性のある細胞集塊や一部ではロゼット状構造を示す部位を認めた. 核は円形ないし楕円形で, クロマチンは細顆粒状で著明に増量し, 肺の小細胞癌と同様の所見であった. 組織学的には, 大部分は核の濃染した小型の腫瘍細胞から成り, 免疫染色ではクロモグラニンAが陽性で, 電顕では細胞質内に限界膜を有した高電子密度分泌顆粒を認めた. 腫瘍の一部には, 角化を伴う重層扁平上皮への分化と基質の硝子化を伴った基底細胞への分化を示す領域を認め, 類基底細胞-(扁平上皮) 癌への分化を伴ったまれな小細胞癌の症例であった. 生検標本では挫滅が強くリンパ球との区別が困難であったが, 食道における小細胞癌の存在さえ念頭におけば, 腫瘍の捺印細胞像が組織型の推定に非常に有効と考えられた.
  • 谷口 恵美子, 中村 美砂, 荊 雪楓, 中村 靖司, 横井 豊治, 覚道 健一, 尾浦 正二, 桜井 武雄
    1999 年 38 巻 3 号 p. 272-275
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 骨軟骨形成を伴う乳腺の悪性腫瘍のうち, 骨肉腫の1例を経験したので, 細胞所見とともに報告する. 症例は57歳女性, 平成8年12月右乳房腫瘤に気付き受診. 穿刺吸引細胞診が実施された. 細胞像は散在性, またはゆるやかな結合性を示す細胞集塊が認められた. 核クロマチンは中等度に増量していたが, 比較的均一であり, N/C比の増加も著明ではなかった. しかし核分裂像が多数認められたため悪性の疑いと診断した. 背景には多核巨細胞が散見され, 炎症も考えられた. 手術標本では腫瘤は単一の病変で組織学的には乳管上皮の悪性像を示す部分はなく, 腫瘍は, 骨, 軟骨を形成する紡錘形問質細胞と多核巨細胞の2種の細胞より構成されていた. 葉状腫瘍や癌との移行が認められないことから骨肉腫と診断した. 免疫組織化学的には紡錘形細胞は, ケラチン陰性, ビメンチンが陽性であった. また背景にみられた多核巨細胞は酒石酸耐性酸フォスファターゼ陽性で破骨細胞への分化を示していた.
  • 杉島 節夫, 河原 明彦, 横山 俊朗, 林 逸郎, 島松 一秀, 矢原 敏郎, 弥永 浩, 古賀 稔啓
    1999 年 38 巻 3 号 p. 276-280
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺原発扁平上皮癌の穿刺吸引細胞診の2例について報告した. 症例1は62歳女性で腫瘤は左乳房C領域に発生し, 腫瘤の大きさは3.0×2.5cmであった. 症例2は48歳女性で腫瘤は左乳房BD領域に発生し, 腫瘤の大きさは4.5×4.0cmで2症例ともに腫瘤は充実性であった. 穿刺吸引細胞診では症例1, 症例2ともに扁平上皮癌と診断したが, 症例1では重積性の細胞集塊を示す腺癌成分 (乳頭腺管癌) の混在が認められた. 病理組織学的には, 症例1では腫瘍は扁平上皮癌成分に腺癌成分 (乳頭腺管癌) が10%程度含まれており, 症例2では腫瘍のほとんどが扁平上皮癌で占められていた. 症例1, 症例2ともに腋窩のリンパ節への転移がみられ, その組織型はいずれも扁平上皮癌であった.
  • 田澤 賢一, 梅村 しのぶ, 梶原 博, 宮嶋 葉子, 伊藤 仁, 安田 政実, 長村 義之
    1999 年 38 巻 3 号 p. 281-286
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    慢性甲状腺炎を合併した甲状腺乳頭癌4例の細胞診所見について, 病理組織像を含めて検討した. 症例は, 全例女性, 年齢は49~53歳 (平均50.5歳), 主訴はいずれも頸部腫瘤であった.穿刺吸引細胞診検体に, 多量のリンパ球が採取され, 術前に慢性甲状腺炎の診断を得られたのは1例であった. 細胞診所見としては, 多量のリンパ球の中に比較的小型の細胞集塊が散見され, 慢性甲状腺炎の所見が目立った. しかし, 個々の細胞・核所見の観察により, 化生性濾胞上皮細胞との鑑別は可能であった. 残りのリンパ球採取量が中等量であった3例は, 慢性甲状腺炎非合併乳頭癌と細胞診断上ほぼ同様の所見であり, 乳頭状細胞集塊, 核切れ込み像, スリガラス状核, 核内細胞質封入体が全例に確認された. 組織学的に慢性甲状腺炎に合併した乳頭癌は, 全4例とも高分化型, 被膜形成 (被膜浸潤3例) を認め, うち2例が多発例であった. 甲状腺腫瘍本体への的確な穿刺により, 化生性濾胞上皮細胞数を上回る十分な腫瘍細胞数の採取が可能であり, 正診率向上に寄与すると考えられた.
  • 森 菊夫, 浅野 重之, 吉田 京子, 蛭田 道子
    1999 年 38 巻 3 号 p. 287-288
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    An 87-year-old Japanese man, who had suffered from pneumoconiosis because he worked for over 25 years as a coal miner, visited the hospital with the chief complaint of dullness of chest and back. Chest X-ray revealed bilateral abnormal multiple nodules and calcification of hilar nodes. The fine needle aspiration biopsy cytology from the right supraclavicular lymph node revealed black fine carbon granules. silic acid salts and carbon-laden macrophages. These findings showed silicoanthracosis of the lymph node. We must be aware that cervical lymph node swelling can indicate not only carcinoma metastasis and tuberculosis but also nodal involvement of pneumoconiosis.
  • 加藤 雅子, 堀江 靖, 永見 光子, 杉原 千恵子, 八島 正司
    1999 年 38 巻 3 号 p. 289-290
    発行日: 1999/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of a 73-year-old man with inflammatory pseudotumor of the left renal pelvis. The tumor was histologically composed of spindle-shaped cells with mild atypia and some multinucleated giant cells, lymphocytes and plasma cells. Cytological features revealed spindle-shaped fibroblast-like cells with enlarged oval nuclei with slight atypia. These cells had thin nuclear membranes and a fine chromatin structure. Imprint smears also contained lymphocytes and foreign-body type multinucleated giant cells. Immunostaining was positive for α-SMA and vimentin. These features were thought to be compatible with those reported for inflammatory pseudotumor. Its cytological differential diagnosis was briefly discussed as well.
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