日本臨床細胞学会雑誌
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38 巻 , 5 号
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  • 杉山 裕子, 平井 康夫, 南 敦子, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    1999 年 38 巻 5 号 p. 379-384
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腫瘍径1.0cm以下の小さな子宮体癌の細胞診および組織診所見の特徴を検討することで, 発見の難しい早期子宮体癌発見の手がかりを細胞診上みつけることを目的とした.
    1986~1992年の7年間に, 癌研究会附属病院婦人科で, 手術が施行された子宮体癌367症例中, 腫瘍径1.0cm以下の小さな癌で, 細胞診, 組織診ともに検討できた46症例を対象とした.細胞診は, 増淵式吸引スメア法, 組織診は細胞診と同時期に施行された内膜生検標本および, 手術標本を検討した. 手術標本は, 全例で子宮体部全割標本を作成し, 腫瘍径1.Ocm以下であることを確認した. 臨床背景も検討した.
    1) 対象症例の年齢は42~75歳 (中央値53歳) で, 手術進行期分類 (FIGO1988年) は, Ia期19例, Ib期15例, Ic期1例, IIa期1例, IIIa期10例であった. 子宮体部全割標本による最終組織診断は, 類内膜腺癌G1: 34例, G2: 5例, G3: 3例, 腺扁平上皮癌1例, 腺棘細胞癌1例, 漿液性腺癌2例であった. 2) 初回細胞診で, 疑陽性以上と診断されたのは, 46例中32例 (70%) であった. 初回組織診で子宮体癌と診断されたのは, 46例中33例 (72%) であった. 3) 初回細胞診を再検討した結果10例が誤陰性であり, 46例中42例 (91%) が疑陽性以上となった. 4) 誤陰性10例の内訳は, 類内膜腺癌G1: 6例, G2: 1例, G3: 2例, 漿液性腺癌1例であった. G1症例以外は少数ではあるが癌細胞が出現しており, 陽性と診断できた. G1症例6例には, はっきり陽性とは診断困難だが, 疑陽性とすべきだった所見を認めた. その細胞所見の特徴は, 乳頭状に増殖し胞体が合胞状に出現し, 軽度ではあるが核異型を伴い, 集塊中に好中球のとり込みを認めることであった.
    細胞診上, 乳頭上に増殖し胞体が合胞状に出現し, 軽度ではあるが核異型を伴い, 集塊中に好中球のとり込みを認める細胞集塊の出現に注意すれば子宮体癌の早期発見に役立つ.
  • 尾野 緑, 椎名 義雄, 阿部 由香理, 大村 峯夫, 福岡 貢
    1999 年 38 巻 5 号 p. 385-392
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腫瘍細胞の増殖に血管新生は不可欠である. そこでわれわれは子宮内膜細胞標本に出現する内皮細胞の形態と血管の走行性について検討した.
    検索には正常15例, 増殖症10例, 癌40例の子宮内膜標本を用いた. 内皮細胞の核の大きさとその形態を観察し, 主となる血管の幅を測定した.
    内皮細胞の核は血管が直線走行している部位では楕円形, 曲線部位や血管吻合部では楕円形に加え, しずく型や円形を呈した. 核クロマチンは通常微細穎粒状均一であったが, 癌では正常や増殖症に比べてクロマチンの増量や核小体の増加がみられた. 血管の走行性に関しては, 高分化型腺癌に出現した樹枝状集塊の先端部に新生血管と思われるフォーク状の血管が観察された.
    以上のことから, 細胞標本における内皮細胞や血管の形態学的観察を行うことは内膜腺癌の鑑別診断に有用と思われた.
  • 穴見 正信, 林 徳真吉, 佐藤 典子, 井関 充及, 田丸 直江, 津田 暢夫
    1999 年 38 巻 5 号 p. 393-402
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは当院病理部に1990年から1996年までの7年間に登録された27例の唾液線腫瘍例の細胞像を再検討し, 推定した組織型と術後の組織診断とを比較検討し, 細胞診による組織型推定の可能性を検討した. 検討した症例には多形性腫瘍, Warthin腫瘍, 筋上皮腫, 扁平上皮癌, 粘表皮癌, 腺癌, 腺様嚢胞癌, 腺房細胞癌およびpolymorphous low grade adenocarcinomaが含まれていた.
    唾液腺腫瘍の細胞診をすすめる上で重要な因子は1) 背景の所見, 2) 細胞質内穎粒などの特徴的な上皮細胞の形態, 3) 問質細胞所見, 4) 上皮細胞とリンパ球のtwo cell pattern, 5) 組織型を示唆する特徴的な悪性細胞で, これらの因子に着目して鑑別を行った.
    細胞診の有用性は非常に高いと考えられるが, 細胞診単独では微小な病変などで十分細胞が採取できないと診断が困難であることや, 組織が多彩な際に細胞像にすべての組織所見が反映されない可能性があるなどの問題点があげられる. しかし, 術中診断へ細胞診を積極的に取り入れることにより互いの欠点を補い成果をあげている.
  • 玉田 祐里, 広川 満良, 則松 良明, 香田 浩美, 沖野 毅, 津嘉山 朝達
    1999 年 38 巻 5 号 p. 403-407
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    唾液腺多形腺腫にみられる筋上皮細胞は多彩な形態を示すといわれているが, パパニコロウ染色では, 明確に同定できないことも多い. われわれは組織学的に多形腺腫と確定診断された7症例の術前穿刺吸引細胞診標本について, 免疫細胞化学染色を行い, 筋上皮細胞と同定される細胞の形態を検討した. その結果, 筋上皮細胞は, 形質細胞様型, リンパ球様型, 有尾型, 星芒状型, 紡錘形型の5型に分類でき, すべての型の細胞がいずれの症例にもみられた. これらの細胞形態を念頭において, パパニコロウ染色標本を再鏡検すると, 筋上皮細胞の認識が容易であり, 多形腺腫の細胞診断成績が向上すると期待される.
  • 河野 公成, 宮山 東彦, 西村 令喜, 馬場 敏夫, 島本 浩二, 松本 律男, 梅田 かおり, 兼本 真由美
    1999 年 38 巻 5 号 p. 408-415
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    術前の乳腺穿刺吸引細胞診 (FNAs) で早期再発群と非再発群を比較することで, 両者間の細胞所見に相違が見出せるかどうかを検討した. 対象は1990~1996年に根治的手術が行われた症例の中から, 術前にFNAsが施行された58症例を抽出し, リンパ節転移および再発の有無により4群に分類し, 細胞学的に12の形態的項目 (核長・短径, 核形, 核面積, 核の大小不同, 核小体長・短径, 核小体面積, N/C比, 2.5μm以上の核小体出現率, 核分裂指数, 壊死の有無) に関して検討した. その結果9項目でリンパ節転移の有無に関係なく早期再発群の方が非再発群に比べ有意に大きい値を示した (P<0.001).その項目を中心に細胞学的異型度のスコア化 (各項目0~1, 0~3) を試み, スコア合計を5以下, 6以上で区切ると有意に早期再発群の推定が可能となった (P<0.001). またこの再現性をrnodified Blackのnuclear gradingsystem (NGS) と比較検討した結果, modified Black法によるNGSを用いた場合の一致率は13/58 (22.4%) だったのに対し, われわれのscoring systemを用いた場合は, 45/58 (77.6%) と高い一致率が得られた (P<0.001). つまり細胞学的異型度はn因子から独立した予後因子であり, われわれのscoring systemは早期再発群の推定に有用である.
  • 松浦 祐介, 柏村 賀子, 菊次 徹, 徳藤 真一郎, 柏村 正道
    1999 年 38 巻 5 号 p. 416-420
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    子宮体部悪性腫瘍のうち, 子宮肉腫の占める割合は約5%と比較的まれな疾患であるが, 術前に正確な診断を得ることが困難なことも多い. 今回われわれは, 過去1年間に癌肉腫3例 (肉腫成分同所性2例, 肉腫成分異所性1例) を経験したので細胞診による術前診断の可能性について検討した. 症例は54歳, 56歳, 64歳ですべて閉経後に認められ, 全例不正出血の症状があったが, 子宮頸部擦過細胞診が陽性であったのは非上皮性異型細胞が出現していた1例のみであった. 内膜細胞診では腺癌・肉腫細胞ともに出現していたのが1例, 肉腫成分のみが出現していたのが1例, 腺癌のみ出現していたのが1例であった. また, 術前の内膜組織診と最終診断が一致したのは3例中1例のみであった. 摘出子宮における捺印細胞診ではそれぞれ組織像に類似した悪性細胞が出現していた. また, 特殊染色を各症例に施行したが, 肉腫細胞に上皮性のマーカーが陽性になることもあり, 必ずしも有用とは判断されなかった.
    子宮体部非上皮性悪性腫瘍の診断にあたっては, 臨床所見や腫瘍の肉眼的所見を含めて慎重に対処することが必要である.
  • 藤澤 武志, 大野 英治, 服部 学, 横山 大, 渡辺 純, 秦 宏樹, 蔵本 博行
    1999 年 38 巻 5 号 p. 421-426
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは高悪性度子宮内膜問質肉腫の1例を経験し, その細胞像と核分裂像の出現頻度にっいて検討したので報告する. 症例は65歳, 主訴は不正性器出血, 下腹部痛であり, 臨床的に子宮肉腫が疑われ手術が施行された. 手術標本から採取した捺印細胞診における細胞学的特徴は (1) 内膜問質細胞に類似した細胞の多数出現,(2) 比較的均一な小型から中型の腫瘍細胞,(3) 細穎粒状で増量するクロマチン,(4) 切れ込みやくびれのある不整形核の出現,(5) 一定の分化傾向を示さない,(6) 多数の核分裂像, であり, 子宮内膜問質肉腫 (ESS) と細胞診断された. また, 本症例は免疫細胞・組織化学でVimentinが陽性であった. 組織所見では高悪性度子宮内膜問質肉腫と診断された. さらに, 捺印標本においても組織標本と同様にESSの悪性度を判定できるか否かの検討を行った結果, 核分裂像の出現率は組織診標本0.42%(76±8.0/10HPF), 細胞診標本0.49%(19±0.0/10HPF) とほぼ一致した. このことより, 捺印標本の核分裂像数を計測することはESSの悪性度の推定に有効であると考えられた.
  • 鈴木 淳, 牧田 和也, 宮坂 美奈津, 石森 弘孝, 池田 栄二, 宇田川 康博, 太田 博明
    1999 年 38 巻 5 号 p. 427-430
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    癌肉腫は子宮悪性腫瘍の中でも発生頻度は低いものの, 予後がきわめて悪く, しかも術前に癌肉腫と診断される頻度は低い. 今回われわれは, 術前に子宮体部癌肉腫と診断しえた症例を経験したので報告する. 症例は62歳女性で, 下腹部痛を主訴に当科を受診した. 初診時膣腔を占拠する壊死状の腫瘍を認めたが, 子宮頸部および内膜細胞診はclassII, 子宮内膜組織診でも壊死組織を認めるのみであった. 入院後腫瘍が自然脱落し, その病理組織学的検索によって癌肉腫と診断され, 手術時の摘出標本により子宮に通常存在しない骨肉腫成分を含んだ異所性癌肉腫と最終診断した. 手術による摘出標本の捺印細胞診では, 腫瘍細胞は重積性を示す細胞集団と孤立散在性を呈する細胞の二つのパターンで出現した. 重積性を示す細胞は, N/C比大で核クロマチンは細顆粒状, 核小体は明瞭にて腺癌細胞と同定した. 孤立散在性を示す細胞は, 円形ないし類円形で, 核は大型類円形で大小不同, 核型不整, 増量したクロマチンと著明な核小体を有し, 非上皮性腫瘍細胞と同定した. 癌肉腫は組織構築上, 術前診断としては癌腫成分のみ診断されることが多いが, 今回われわれは肉腫成分をも診断しえた1例を経験した.
  • 原 喜与一, 吉岡 高広, 桂 栄孝, 里中 和廣
    1999 年 38 巻 5 号 p. 431-435
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    気管支擦過および気管支洗浄液細胞診標本において多くの結晶成分が認められ, それが契機となって肺アスペルギルス症の確定診断ができた症例を経験したので報告する.
    症例は64歳男性・糖尿病. 咳, 発熱, 血疾があり胸部X線写真で肺結核が疑われ, 入院治療開始したが増悪傾向となり気管支鏡検査が施行された.気管支擦過細胞診標本では, 異型細胞・真菌などの異常物質は認められなかったが, 針状結晶を束ねたような無色のバタフライ状~ ロゼット状, 松葉状の結晶を多く認めた. 結晶は偏光顕微鏡下において重屈折性を示し, 組織化学的に蓚酸カルシウム結晶であることが推定された. 以上の所見より, 真菌の存在が疑われ再度気管支鏡検査を施行した結果, 真菌菌糸が検出され, 培養でAspergillusnigerと同定された. さらに, 培養培地にて細胞診標本と同一の形態, 化学的性状を示す結晶の産生を確認した. 呼吸器細胞診標本における蓚酸カルシウム束状様結晶の検出は, 菌糸が認められなくてもアスペルギルス感染を疑うべき重要な指標になると考えられた.
  • 羽場 礼次, 小林 省二, 三木 洋, 野間 勝之, 矢野 好人, 串田 吉生, 平川 栄一郎, 大森 正樹
    1999 年 38 巻 5 号 p. 436-440
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Gardner's syndromeに合併して発生するmesenteric fibromatosisは, 非常にまれな疾患で術前診断は困難である.
    今回, 術中迅速細胞診断が確定診断に有用であったmesenteric fibromatosisの1例を経験したので報告する. 症例は, 家族性大腸ポリポーシスを家族歴にもつ29歳の男性で, 粘血下痢を主訴に来院した. 術前の内視鏡検査で, 大腸全体のポリポーシスと直腸のBorrmann 2型の進行癌が認められた. またCT検査で小腸壁に径約10cmの球状腫瘤がみられたため, 小腸腫瘤摘出術, 小腸部分切除術, 大腸全摘出術が施行された. 小腸の腫瘍は小腸壁から腸間膜にかけて増殖している直径約14cmの球状腫瘤で, 術中の迅速組織診断ではmesenteric fibromatosisが疑われた. また同時に行われた術中細胞診により他の悪性腫瘍が否定されたため, 臨床像と肉眼像も考慮してmesenteric fibromatosisと診断された. 術中の迅速組織診断では, 切片のartifactが強いため肉腫を否定することが困難であり, 術中細胞診の併用が診断に有用であった.
  • 羽場 礼次, 小林 省二, 三木 洋, 野間 勝之, 矢野 好人, 串田 吉生, 竿尾 光祐, 大森 正樹
    1999 年 38 巻 5 号 p. 441-444
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    十二指腸に発生するBrunner's gland hamartomaは, 十二指腸球部に好発するまれな疾患である. 今回, 迅速細胞診断が組織型の推定診断に有用であったBrunner's gland hamartomaの1例を経験したので報告する.
    症例は70歳の男性で, 上部消化管X線検査による定期健診時に, 偶然十二指腸球部のポリープ様隆起性病変を発見された. 上部内視鏡検査では, 十二指腸球部前壁に約3~4cmの巨大な有茎性ポリープ病変が認められた. 先端部の可動性は良好で, 時に胃の内部に陥入し, 胃角小弩に達することもあった. 発生部位と特異的な肉眼像からBrunner's gland hamartomaが疑われたが, 腺腫と腺癌も完全には否定できなかった. 術前の生検では確定診断には至らなかったので, 内視鏡的ポリープ切除が行われた.
    腫瘤割面の迅速細胞診では, Brunner's gland hamartomaが推定できる細胞像が認められ, 腺腫や腺癌は否定された. また腫瘤の割面を広く擦過することにより, 組織型の推定だけでなく, 腺腫や腺癌の合併を否定することができた.
  • 中村 雄太, 佐竹 立成, 中澤 三郎, 夏目 園子, 橋本 政子, 深津 俊明
    1999 年 38 巻 5 号 p. 445-448
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胃粘膜下腫瘍の穿刺吸引細胞診で腺癌細胞が認められた膵癌の1例を経験したので報告する.
    症例は69歳, 男性. 胃粘膜下腫瘍の精査を目的に受診した. 胃体部後壁に約20mm大の粘膜下腫瘍を認め, 超音波内視鏡検査では腫瘍は胃壁第3層 (粘膜下層) から4層 (固有筋層) に存在する嚢胞性病変であった. 同部位から内視鏡下穿刺吸引細胞診を実施した. 腺細胞の小集塊が散在性に認められ, 細胞は比較的小型円形であった. 核の偏在, 核クロマチンの濃染がみられ, 核小体の肥大する細胞も認められた. PAS染色標本では細胞質が陽性を示した. 以上より腺癌細胞と診断された. 胃の悪性腫瘍の診断で手術を行ったが, 術中, 膵に硬結を触れ膵癌と診断された. 腫瘍は膵体部にみられ, 直接胃壁に浸潤し, 胃壁を融解し嚢胞を形成していた. 嚢胞底部には膵癌が露出し, 一部の嚢胞内面にも一層に並ぶ腺癌細胞がみられた. 細胞診標本中の腺癌細胞は, これらの組織から剥離脱落し, 吸引されたものと考えられた.
  • 西村 理恵子, 辻本 正彦, 黒川 和男, 築山 あゆみ, 奥田 敏美, 浦岡 孝子, 郡司 有理子, 滝 一郎
    1999 年 38 巻 5 号 p. 449-454
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    術前穿刺吸引細胞像の診断では悪性葉状腫瘍を考えた, 軟骨肉腫様成分が主体を占めた乳腺化生癌の1例を報告する. 患者は47歳女性で, 急速に増大する左乳房腫瘤のため当院を受診した. 左乳房外側上方の6×7cmの腫瘤と左腋窩リンパ節腫大が認められた. 腫瘤の術前穿刺吸引細胞診では, 軟骨基質を背景に, 軟骨肉腫様異型細胞と少数の異型を示さない乳管上皮細胞のシート状集団をみたが, 上皮系異型細胞は認めなかったため, 悪性葉状腫瘍を考えた. 乳腺悪性腫瘍の診断のもとに, 乳房切除術と腋窩リンパ節郭清術が施行された. 切除標本では, 8×4×11cmにわたる, やや硬く白色不透明で境界不明瞭な病変をびまん性に認め, 病変は脂肪織および皮膚にもおよんでいた. 腫瘍組織像は, 軟骨基質を伴う異型軟骨細胞からなる軟骨肉腫様成分が主体をしめ, 一部で浸潤性乳管癌に移行していた. 細胞像と組織像を比較して考えると, 軟骨肉腫様成分が既存の乳管構造を破壊することなく, その問を主としてリンパ管侵襲を思わせる形態をとり浸潤していたため, 穿刺吸引細胞診では, 前記のような像を示したと考えた.
  • 山口 直則, 今村 好章, 嶋本 知子, 河田 尚子, 中山 啓三, 安田 迪之
    1999 年 38 巻 5 号 p. 455-461
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳頭状腎細胞癌 (Papillary renal cell carcinoma; PRCC) の2例を経験したので報告する.症例1は60歳男性で左腎下極に1.5cm大の腫瘍を2個認め, 症例2は62歳男性で左腎上極に壊 死を伴う5.0cm×4.0cm大の腫瘍を認めた. 色調はいずれも黄茶褐色で被膜を有していた. 細胞像では, 泡沫細胞を背景として異型細胞の乳頭状集塊を認めた. 腫瘍細胞の核は小型, 円~類円形でクロマチン増量を示し, 核溝も散見された. 核小体は小型もしくは認めず, 胞体は穎粒状を呈し細胞形は類円~長円形であった. 症例1では細胞質内穎粒を認めた. 組織学的には, いずれも好酸性細胞からなる乳頭状腫瘍で乳頭内への泡沫細胞浸潤を伴い, 症例1では, neuromelaninと考えられる細胞質内穎粒を認めた. 免疫組織学的にはいずれの腫瘍も遠位尿細管系マーカーに優位な染色性を示した. また, in situ hybridization (ISH) 法では, いずれの腫瘍にも17番染色体のtrisomyが認められた. 2例とも術後1年余り経過しているが, 再発・転移の徴候はない. PRCCは通常の腎細胞癌と比べ, 予後良好であることが知られており, 本腫瘍を正確に診断することは臨床的あるいは予後判定に重要であると考えられる.
  • 春田 磨美, 松井 成明, 北村 隆司, 滝本 雅文, 塩川 章
    1999 年 38 巻 5 号 p. 462-466
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    地中海貧血患者の後縦隔に発生した髄外造血巣 (Extramedullary hematopoiesis; 以下EMH) の1例を経験したので報告する.
    患者は47歳, 女性. 入院2年前の健康診断時, 胸部X線にて後縦隔に限局性腫瘤を指摘されていた. 次第に腫瘤が増大傾向を示し入院となった. MRI検査では後縦隔胸椎右縁に約4cm大の腫瘤が認められ腫瘤摘出術が施行された.
    腫瘤捺印標本におけるGiemsa染色での細胞像は, 正常骨髄像に類似し, 骨髄巨核球, 赤芽球, 穎粒球系細胞が認められた. 一方, Papanicolaou染色での骨髄巨核球は, 広い胞体で分葉核を有する巨細胞あるいは裸核状巨細胞として観察された. また, ライトグリーンあるいはオレンジG好性の胞体と濃縮状の核をもつ正染性赤芽球, 馬蹄形核の桿状核球やそれらの核にくびれを有する分節核球が認識可能であった. その他, 多くの細胞は大小のリンパ球様細胞として観察され, 個々の細胞識別は困難であった.
    後縦隔より発生するEMHは, きわめてまれな病変であるが, 基礎疾患に地中海貧血などの重篤な造血機能障害がある場合, 診断のひとつとして本腫瘍を念頭におくことが肝要と思われた.
  • 木口 英子, 石川 由起雄, 赤坂 喜清, 石黒 芝輝, 日下部 民美, 岩上 正義, 箕輪 久
    1999 年 38 巻 5 号 p. 467-471
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    LE細胞試験は, 全身性エリテマトーデス (SLE) などの自己免疫疾患で抗核抗体であるLE因子を, 人為的方法で好中球の核と反応させ, 形成されたLE細胞を観察する方法である. 本来LE細胞はin vitzoでの反応であるため, 生体の体腔液などにおいて観察されることはきわめてまれである. 本症例は66歳の男性に発症した重症のSLEで, 精神神経症状を呈した中枢神経ループス (CNSループス) であり, 年齢・性別・初発症状などが非定型的であったが, 胸水の細胞診でLE細胞が観察されたことが, その後の検査・治療に有用であった. 患者検体の胸水では多数の好中球や反応性中皮による炎症所見があり, この中に多数のLE細胞がさまざまな形態で出現していた. 典型的なLE細胞以外に, 破砕したLE小体を貧食したLE細胞もみられ変性細胞と誤診断される可能性が考えられた. また, 好中球の小集塊の中では, 中心にLE小体を有するロゼットを見逃さないよう注意すべきである. 実際には細胞診での診断機会が非常に少ないLE細胞であるが, 検出できた場合には診断的意義が高いため, スクリーニングにも十分な注意を払う必要がある.
  • 河原 邦光, 元井 信, 岸本 人美, 牧田 智子
    1999 年 38 巻 5 号 p. 472-475
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    患者は86歳, 女性. 20年前より甲状腺疾患 (詳細不明) を指摘されていた. 右側頸部に急速な増大傾向を示す腫瘤が出現したため, 鳥取市立病院を受診し, 入院となった. 入院時の穿刺吸引細胞診では大部分が未分化癌の像であったが, 一部には乳頭癌を示唆する乳頭状の重積性細胞集塊が存在した. 以上の所見より, 本症例を乳頭癌から発生した未分化癌と診断した. 剖検材料の検索では, 病変の大部分は未分化癌であったが, 腫瘍の一部には, 肉眼にも明らかな乳頭癌の結節性病変が形成されていた. この結果は, 上記の穿刺吸引細胞像を裏付けるものであった.
  • 木屋 千恵子, 若木 邦彦, 室坂 千鶴子
    1999 年 38 巻 5 号 p. 476-481
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    上眼瞼に発生したメルケル細胞癌の1例を経験し, サイトケラチン20の有用性について他の2例のメルケル細胞癌を加えた3例で検討したので報告する. 症例は74歳, 女性, 農業. 上眼瞼腫瘍の捺印細胞診では, 小円形の均一な腫瘍細胞がシート状に多数出現していた. 核は円形~類円形で, N/C比大, クロマチンは細顆粒状で, 小さな核小体が数個認められた. 頸部腫瘤の吸引細胞診では, 小円形の腫瘍細胞はインディアンファイル様配列やモールディングをなし, 核の大小不同や核分裂像が認められた. なおcytoplasmic button-like globulesは明らかでなかったが, CK20による免疫染色では核近傍に滴状ならびに核周囲性の陽性所見を認めた. 免疫染色ではサイトケラチン (CK20, AE1), NSE, Chromogranin A, EMAが強陽性, Neurofilament, Synaptophysinは一部陽性, S-100蛋白, Vimentin, サイトケラチン (AE3), CEA, HMB 45, LCAは陰性だった。電顕像では細胞質内に少量の神経内分泌顆粒と, 核の傍に中間系フィラメントを, 細胞膜の一部にデスモゾーム様構造を認めた. 以上の所見からメルケル細胞癌と診断した. メルケル細胞癌と鑑別を要する他の8組織型の腫瘍における免疫組織学的検討の結果, CK20がび慢性に陽性を示すことがメルケル細胞癌の診断, 鑑別上有用であった.
  • 荒井 祐司, 手島 英雄, 秋山 太, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    1999 年 38 巻 5 号 p. 482-483
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    The present study was undertaken to explore the characteristics of yellow or yellowish brown mucin by Pap. staining in Adenoma malignum. A histochemical study on this tumor has revealed that the mucus of this tumor was different in nature from the normal cervical glands and well differentiated adenocarcinoma of the cervix.
    Histochemical staining-(periodic acid schiff, PAS; alcian blue, AB; high iron diamine-alcian blue, HID-AB) was done using paraffin-embedded sections from 5 cases of adenoma malignum, 8 cases of well differentiated adenocar cinoma and 21 cases of normal cervix. A positive PAS reaction was observed in all normal controls, while all patient samples were positive but the intensity was weaker than the controls in adenoma malignum. A positive AB reaction was observed in all normal controls, but not in four cases of adenoma malignum and one case showed only a weak positive reaction. In HID-AB staining, both sulphomucin and sialomucin were predominant in well differentiated adenocarcinoma but both were negative in adenoma malignum, which is supposed to be neutral mucin on histochemical staining.
  • 岡田 誠, 柳野 和雄, 高橋 正国, 皆川 幸久, 紀川 純三, 寺川 直樹
    1999 年 38 巻 5 号 p. 484-485
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A case of malignant lymphoma, who could be diagnosed by cervical smear, is presented. A 43-year-old patient complained of genital bleeding and presented herself to Tottori University Hospital. Biochemical examination and blood analysis results were within normal limits. No lymph-node swellings were observed. Bone marrow biopsy revealed no abnormal cells. Cervical smear showed abnormal lymphocytes including immature lymphocytes. Immunochemical staining for cervical smear revealed positive LCA and L 26, and negative UCHL-1. Tissue diagnosis was malignant lymphoma, diffuse small cell type (B cell). She underwent radical hysterectomy followed by 6 courses of chemotherapy. She has been followed up without any evidence of recurrence.
  • 佐藤 義暢, 黒滝 日出一, 上杉 政寿, 八木橋 操六
    1999 年 38 巻 5 号 p. 486-487
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of a 73-year-old woman with mucinous carcinoma of the breast mimicking cytological characteristics of secretory carcinoma. Fine needle aspiration (FNA) disclosed dispersed tumor cells with occasional aggregations consisting of “mucous globular structures (MGS) ” and “bunches of grapes”. There was only a small amount of mucinous materials in the background. Vacuoles or mucoid materials were often encountered in the cytoplasm showing signet-ring cell features. The findings in the present case suggest that FNA of mucinous carcinoma, especially mixed type, may present the formation of “MGS” and “bunches of grapes” previously described as a hallmark of secretory carcinoma.
  • 1999 年 38 巻 5 号 p. e1
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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