日本臨床細胞学会雑誌
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39 巻 , 1 号
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  • 鶴田 誠司, 野本 豊, 新保 千春, 根岸 春美, 早川 千津子, 飯島 美砂, 小島 勝, 伊藤 秀明, 城下 尚, 鈴木 豊
    2000 年 39 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    血管免疫芽球型リンパ腫10例の捺印細胞像を検討し以下の特徴所見を得た.(1) 胚中心の消失はtingible body macrophageの有無により推定できる.(2) 類円形で時にくびれや脳回状を示す核と, 広く淡染する細胞質を有する中型の細胞が主体をなす.免疫芽球を含む大型の芽球も散見される.両者ともに核分裂像が認められる.(3) アズール顆粒を有する細胞が混在する.(4) Giemsa標本にて強塩基性の細胞質を有する細胞が散見される.(5) 反応性細胞は10%以上出現し, 好酸球, 好中球, 類上皮細胞などを3種以上認め多彩であった.(6) 明細胞の出現が12%以上の症例は診断が容易である.明細胞の集簇 (Clusterを3視野以上もしくは1ヵ所以上のIsland) をみた症例は臨床像および (1) ~ (5) の細胞所見と総合することで診断が可能である.4%以下の3例は他のT細胞性リンパ腫や反応性病変との鑑別が困難である.
    血管免疫芽球型リンパ腫は反応性病変との鑑別が困難な場合がある.特徴的な臨床情報と上記のポイントを総合することである程度の細胞診断が可能になると考えられた.またリンパ節は穿刺吸引細胞診の対象となり捺印細胞像を理解することは穿刺吸引細胞診を行ううえで重要である.
  • 前原 大介, 上坊 敏子, 佐藤 倫也, 池田 泰裕, 関本 僚平, 蔵本 博行
    2000 年 39 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    明細胞腺癌は子宮内膜症と関連のあることが報告されているが, 内膜症の好発部位であるダグラス窩に発生することはまれである。われわれは, ダグラス窩に発生した明細胞腺癌の1例を経験し, その診断に細胞診が有用であったので, 細胞所見・病理所見を臨床経過とともに報告する.
    症例は54歳, 不正性器出血を主訴に平成10年2月6日近医を受診したところ, 膣癌と診断され, 当院を紹介受診.子宮・両側付属器は正常で, 膣後方に発生した腫瘍により膣は膨隆していたが, 膣粘膜は平滑だった.膨隆部を穿刺し, 腫瘍内溶液および内腔の擦過細胞診を施行した.大型の核・豊富な明るい細胞質を有する細胞が, シート状・乳頭状に出現し, hobnail patternを示唆する集塊もあった.組織学的には, 腫瘍細胞は明るく豊富な細胞質を有し核小体が目立つ異型性の強い細胞からなり, 腫瘍は充実性・乳頭状または小腺管を形成しっっ発育していた.hobnail patternを呈する部分も多く, 核は大型で大小不同性・多形性に富み, 1~2個の明瞭な核小体を有していた.ダグラス窩腹膜に子宮内膜症の所見を認めたことから, 内膜症に由来する明細胞腺癌の可能性が示唆された.
  • 川井 俊郎, 藤井 丈士, 高屋敷 典生, 久保野 幸子, 大和田 倫孝, 斎藤 建
    2000 年 39 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 子宮内膜に発生したmicroglandular adenocarcinomaの1例を経験したので報告する.症例は65歳女性, 不正性器出血を主訴とし受診した.超音波検査にて内膜増殖症が疑われ内膜細胞診, 組織診が施行された.その細胞像は, 小型でやや大小不同を示す微小腺管構造が特徴的で, 粘液貯留により嚢胞状に拡張した腺管内には好中球がみられ, 一部で集籏し微小膿瘍状を呈した.腺管周囲の重積性の構成細胞は円形核, 細顆粒状のクロマチン, 明瞭な核小体をもち核問距離は不均等であった.細胞内粘液による核圧排像やシート状配列にみられた豊富な細胞質から, 高分化な粘液性腺癌と診断された.
    生検組織診でも, 頸部に発生するmicroglandular hyperplasiaに類似した組織像であったが, 内膜から得られた検体であること, 細胞異型がみられることから診断確定のため子宮内膜全面掻爬が行われた.その組織像もほとんど生検と同様であったが, 一部に類内膜腺癌の組織像が得られ, microglandular adenocarcinomaと診断, 子宮が摘出された.手術標本では, 腫瘍の大部分はrnicrogladularな構造を有する乳頭状増殖であったが, 深部の腫瘍は定型的な類内膜腺癌 (G1) で, 子宮筋層に浸潤していた.
  • 神尾 多喜浩, 須古 修二, 田上 圭二, 一門 美江, 吉田 慎一, 平山 統一, 中島 昌道
    2000 年 39 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    癌や肉腫にはときに破骨細胞型巨細胞 (以下, OGCと略す) が出現することがある.今回, われわれは多数のOGCの出現を認めた肺動脈原発の肉腫を経験したが, 細胞学的, 組織学的に悪性線維性組織球腫 (以下, MFHと略す) との鑑別が困難であったので報告する.
    症例は66歳, 男性.右心不全症状で来院し, 精査にて肺動脈血栓塞栓症が疑われ手術となった.腫瘍は肺動脈内膜に連続した隆起性病変であり, その割面は粘液腫様であった.捺印細胞診では出血性背景に紡錘形細胞が孤立散在性ないし集籏性に出現し, 1ないし数個の明瞭な核小体とライトグリーンに淡染する泡沫状胞体が観察された.核は楕円形ないし類円形で, 核の大小不同や不整が目立ち, クロマチンは細顆粒状で均一に分布していた.これらの腫瘍細胞以外に, しばしば数個の核を有する多核巨細胞が観察された.組織学的には紡錘形細胞が分葉状に増殖し, 一部では間質が粘液腫様な腫瘍集塊も認めた.その分葉状集塊には, 紡錘形細胞以外に細胞異型に乏しく多数の核を有するOGCが多数出現していた.免疫染色では紡錘形細胞はdesmin, vimentin陽性で, α-smooth muscle actin, S-100 protein, KP-1などは陰性であった.OGCはKP-1のみ陽性であった.
  • 高橋 保, 森木 利昭, 和田 匡代, 植田 庄介, 一圓 美穂, 小松 直樹
    2000 年 39 巻 1 号 p. 26-29
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    多房性の巨大ブラと無気肺の臨床診断のもと気管支擦過細胞診を施行し, 正常の中皮細胞を多数認めた66歳の男性例を経験したので報告する.細胞はシート状の集団で出現し, 核はコーヒー豆様の皺が目立つものの, クロマチンは細顆粒状で増加は認められず, 胸腹腔洗浄細胞診で日常的に経験する正常中皮細胞に類似していた.細胞診標本からのHBME-1の免疫染色に陽性を示し, さらに免疫組織学的にもAE1/AE3に陽1生, EMAとvimentinはともに陰性, MIB-1 (Ki-67) の陽性率は0.2%と増殖性はきわめて低く非反応性の正常中皮細胞と考えられた.
    気管支擦過細胞診で臓側胸膜上の中皮細胞が採取されたものと考えられた.まれながらもこのような事例が存在することを認識しておく必要があると思われた.
  • 神崎 由佳, 稲本 和男, 林 孝俊, 平尾 喜美子, 布村 眞季, 藤田 葉子, 藤田 琢史, 若田 泰
    2000 年 39 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    多数の異型アポクリン化生細胞が穿刺吸引標本に出現し, 良悪の診断に苦慮した乳癌の2症例を報告する.組織標本では, 症例1は腫瘍の大部分が非浸潤性のアポクリン分化を示す乳癌で占められており, ごく一部に浸潤性乳頭腺管癌の像がみられた.症例2はアポクリン癌であった.良悪の鑑別を要する異型アポクリン化生細胞が認められる場合は, 積極的な再検や組織検査が必要であると考えられた.
  • 島崎 英幸, 安斎 幹雄, 遠藤 久子, 関塚 久美, 相田 真介, 緒方 衝, 加藤 圭, 玉井 誠一
    2000 年 39 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    経過中に尿, 膀胱洗浄液および乳慶腹水中に腫瘍細胞が出現し, その原発巣組織型推定が困難であった肝細胞癌・胆管細胞癌の混合型 (以下cHCC-CC) の1例を経験したので報告する.症例は65歳, 男性.1993年5月, 肝機能異常を指摘されたが放置.1994年9月, 全身倦怠感などが出現し, 1995年1月, 肝硬変と多発性肝癌の診断にて当院紹介入院.多発性肝癌は治療適応なく, その病理組織学的診断は確定していなかった.経過中, 乳靡腹水, 尿および膀胱洗浄液の細胞診にて, 異型性の強い大型の核とライトグリーン好染性ないしは空胞状所見を伴うレース状胞体を有する悪性細胞の出現が認められ, 腎細胞癌もしくは腺癌と考えられたが, その原発巣組織型特定は困難であった.その後肝性脳症を併発し死亡.剖検でcHCC-CCと診断され, 前立腺転移, 全身のリンパ節転移を含む広範な転移がみられた.尿中に出現した腫瘍細胞はcHCC-CCの前立腺転移によるものと考えられた.乳慶腹水の原因は, 傍大動脈リンパ節への腫瘍転移によるリンパ管閉塞に起因するものと考えられた.
  • 酒井 優, 渡辺 伸一, 津田 富夫, 佐藤 仁哉, 桑原 紀之
    2000 年 39 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳頭状腎細胞癌の1例を経験した.症例は42歳女性で, 食欲低下, 体重減少を主訴に精査入院.腹部超音波検査で左腎に巨大腫瘍が指摘された.腎血管造影では, hypovascularで辺縁不整な像を示した.根治的腎摘除術が施行され, 15×10×10cm大の腫瘍が認められた.腫瘍の穿刺吸引細胞像は, ごく少数の泡沫細胞を背景に, 乳頭状配列を示す腫瘍細胞集塊が多数認められた.孤立散在性に出現する細胞は, 核が偏在し, オタマジャクシ状あるいはラケット状の形態を示していた.組織学的には, 血管間質を軸に乳頭状構築を示しつつ増殖し, ごく一部の間質に泡沫状組織球の集籏が認められた.免疫組織化学的に遠位尿細管系マーカーに陽性を示し, high molecular weightcytokeratinに陰性で乳頭状腎細胞癌として矛盾しない結果であった.また, ビメンチンが基底側の細胞質に極在して陽性を示し, 電顕的にも同部位に一致して中間フィラメントが確認された.細胞学的に, 乳頭状細胞集塊の出現とともに, オタマジャクシ状あるいはラケット状細胞の出現は乳頭状腎細胞癌の一つの特徴と考えられた.
  • 加藤 哲子, 殿岡 幸一, 遠藤 泰志, 本山 悌一
    2000 年 39 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2000/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    捺印細胞診の所見から多発を推定しえた甲状腺髄様癌の1例を報告する.症例は64歳, 女性.甲状腺左葉の腫瘤を偶然発見され, 超音波検査でさらに右葉にも小結節が認められた.髄様癌の臨床診断のもとに甲状腺全摘術が施行され, 術中, 両病巣から捺印細胞診が行われた.左病巣では豊かな胞体を有する多角形細胞が疎結合性の細胞集塊として認められたのに対し, 右病巣ではN/C比の高い小型の類円形細胞が強い結合性を示す細胞集塊として認められた.病理学的にもそれぞれ上記のような細胞形態上示す腫瘍細胞が, 左病巣ではアミロイド沈着を伴いながら胞巣状~ 索状に増生していたのに対して, 右病巣ではシート状に密に増生しており, 両者で大きな違いがみられた.また両病巣とも周囲にC細胞過形成巣上伴っていた.
    最終的にはクロナリティー解析および遺伝学的検索の結果から両葉の病巣は多中心性発生と結論したが, 細胞診の段階からすでにその顕著な細胞像の違いより多発を推定しえた症例であった.同一臓器に複数の病巣が存在するような場合, 転移か多中心性発生かの相互関係の推定においても, 細胞診はスクリーニングとして有用であると考えられた.
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