日本臨床細胞学会雑誌
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40 巻 , 5 号
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  • 梅澤 敬, 春間 節子, 金綱 友木子, 加藤 弘之, 山口 裕, 安田 允, 福永 真治, 根本 淳, 宇都宮 忠彦
    2001 年 40 巻 5 号 p. 439-444
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸部および膣に原発する明細胞腺癌の細胞形態の特徴と類似病変との鑑別点を中心に検討した.
    方法:1996~2000年の5年間に, 慈恵医大柏病院産婦人科で摘出された子宮頸部原発5例, 腟原発1例の明細胞腺癌を対象とし, 術前の擦過細胞診標本を細胞学的に検討した.
    成績:明細胞腺癌の細胞学的特徴は,(1) 裸核状腫瘍細胞の出現.(2) hobnail細胞の出現.(3) 核形は円形~卵円形で核縁の肥厚は認めない.(4) クロマチンパターンは細顆粒状で密に均等分布.(5) 核小体は大型明瞭, 形状は円形で単一が主体.(6) 細胞質は豊富で顆粒状~淡明.(7) 硝子様物質の出現.(8) 少数例だがbizarreな多核巨細胞が混在するものや逆に多形性の乏しい例が存在するであった. 組織学的に腫瘍表層部で3例は乳頭状, 3例は充実性増殖を示し, 胞体は淡明から好酸性で顆粒状, 細胞異型の乏しいものから多形性の著しいものまで明細胞腺癌のバリエーションは多彩であった.
    結論:上記の細胞学的所見を認識することにより, 細胞診による明細胞腺癌の診断は可能であると考えられる.
  • 本田 志寿恵, 藤吉 啓造, 大田 俊一郎, 牛嶋 公生, 杉山 徹, 西田 敬, 嘉村 敏治, 江口 加寿子, 藤吉 りさ
    2001 年 40 巻 5 号 p. 445-449
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:今回われわれは子宮内膜細胞診における細胞集塊の形態的特徴と, 子宮内膜癌の組織分化度や筋層浸潤の程度との関連性について, とくにStromalAに注目して検討を行った.
    方法:対象は当科において子宮内膜癌と診断され, 子宮摘出を受けた症例のうち術前に子宮内膜細胞診の直接塗抹および生食洗浄法により子宮内膜細胞を得た49例である.これらの検体に対し, プレパラートあたりのStrornal Aを有する樹枝状集塊の出現数, Stromal Aを構成する細胞束数, Stromal Aにおける分岐数を観察し, 組織分化度や浸潤度との関係について検討を行った.
    結果:(1) Stromal Aを有する細胞集塊の出現頻度とStromal Aの分岐数は, 組織分化度ならびに筋層浸潤の程度との相関はみられなかった.(2) Stromal Aを構成する細胞束は, 高分化型腺癌において層数の多い大きな細胞束が出現する傾向を認めた.(3) 筋層浸潤の程度が深いほど, 出現するStromal Aの細胞束が層数が大きい傾向を認めた.
    結論:子宮内膜細胞診における細胞集塊内のStromal Aの観察は, 組織の構造異型を反映する重要な情報であると考える.
  • 杉島 節夫, 安倍 秀幸, 山口 知彦, 河原 明彦, 横山 俊朗, 吉田 友子, 鹿毛 政義, 渡辺 次郎
    2001 年 40 巻 5 号 p. 450-456
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:体腔液中に出現する悪性中皮腫細胞と癌細胞, 反応性中皮細胞との鑑別に, HBME-1抗体とEMA抗体を用いた免疫細胞化学が有用であるか検討を行った.
    方法:対象は悪性中皮腫6例と体腔液の細胞診で陽性と診断された50例の癌腫および反応性中皮細胞と判定された10例の塗抹細胞標本にHBME-1抗体とEMA抗体を用い免疫染色を行った.
    成績:悪性中皮腫6例の免疫細胞化学的検索ではEMA抗体とHBME-1抗体ともに陽性像を示した. 癌細胞では, EMA抗体に対しては50例中47例 (94.0%) が陽性, HBME-1抗体に対しては50例中4例 (8.0%) が陽性を示した. 背景に出現していた中皮細胞では, EMA抗体に対し疑陽性を示した1例を除き50例中49例 (98.0%) は陰性, HBME-1抗体に対しては50例中44例 (88.0%) が陽性で疑陽性が5例, 陰性は1例であった. 他方, 反応性中皮細胞10例ではEMA抗体は9例が陰性であったが, 1例に疑陽性症例がみられた. HBME-1抗体の発現性については, 悪性中皮腫症例では細胞膜に沿って認められたが, 癌腫症例では細胞膜にとどまらず細胞質全体に発現性が認められた. EMA抗体は, 癌腫症例では細胞質全体に発現性を認めるが, 悪性中皮腫症例では細胞質全体に発現性を認める症例と細胞膜に沿って発現性を示す症例が認められた.
    結論:体腔液中に出現した悪性中皮腫の細胞と癌細胞との鑑別にはHBME-1抗体が, また, 悪性中皮腫細胞と反応性中皮細胞の鑑別にはEMA抗体が有用と思われた. HBME-1抗体とEMA抗体を併用した免疫細胞化学は悪性中皮腫の診断に有用と思われた.
  • 山中 雅之, 九島 巳樹, 津田 祥子, 山崎 勝雄, 太田 秀一
    2001 年 40 巻 5 号 p. 457-462
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺の乳頭状病変の細胞診断においてLaserScannig Cytometer (LSC101, オリンパス社製) を補助的に使用する有用性にっいて検討した.
    方法:乳管内乳頭腫8例, 乳頭腺管癌10例の穿刺細胞像, 摘出材料の組織像を検討した後, LSCで塗抹細胞標本上の腫瘍細胞核のDNA量を測定し, 通常の光学顕微鏡像との比較を行った.
    成績:DNA量は乳管内乳頭腫症例のすべての症例で2峰性のdiploidpatternを示し, 乳頭腺管癌症例は2峰性のdiploidまたは多峰性のaneuploid patternを示した. 細胞学的に乳癌との鑑別がときに困難な乳管内乳頭腫症例において, aneuploidpatternとはいえないものの, 少数のDNA量の異常を示す核をモニター上で観察すると, 扁平上皮化生細胞に類似していた. しかし, 乳頭腺管癌の細胞より核・細胞質比が低い傾向にあった.
    結論:通常の細胞診断では乳腺乳頭腫は良性と判定しているが, LSCによるDNA量の解析では少数ながら乳癌細胞と類似したDNA量の異常を示す細胞が含まれていることがわかった. これらの結果より今後はLSCを活用することによりDNA量の異常を示す細胞を含む乳頭腫症例の中に生物学的な悪性病変が併存している可能性や, 乳腺乳頭状病変の鑑別診断, 治療方針の決定などに役立てることが望まれる.
  • 大森 樹美枝, 弓納持 勉, 石井 喜雄, 中澤 久美子, 大井 章史
    2001 年 40 巻 5 号 p. 463-466
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部腺癌は近年増加傾向にあり, その前駆病変と考えられている上皮内腺癌はしばしば臨床的に無症状で, かっコルポ診で所見が乏しいので, その早期発見が困難なことが多い. さらに, 上皮内腺癌は腺異形成や良性変化および浸潤腺癌との鑑別が必要とされ, 細胞診が行われてもその診断は難しい. われわれは子宮頸部細胞診で杯細胞を混じた上皮内腺癌の1例を経験したので報告する.
    症例:症例は38歳で, 33歳時に両側卵巣子宮内膜症で両側卵巣嚢腫核出術を施行された後, 経過観察中に行われた子宮頸部細胞診で杯細胞を混じた腺系の異型上皮を認め, 羽毛状の集塊の出現, 粗いクロマチンの増量から悪性細胞と考え, 背景に壊死がないことから上皮内腺癌 (腸型) を強く疑い, 円錐切除術を施行した. 病理組織診断で上皮内腺癌 (腸型) の診断であり, その後子宮全摘出術を施行した.
    結論:子宮頸部細胞診で診断し得た子宮頸部上皮内癌 (腸型) の1例を報告した. 細胞診の所見は組織像とよく一致し, 粘液空胞を混じていた. 子宮頸部細胞診は子宮頸部上皮内腺癌の早期発見に有用であると考えられる.
  • 中野 正行, 大森 正樹, 白石 誠, 塩岡 忠夫, 小原 昌彦, 木内 茂巳, 平川 栄一郎, 竿尾 光祐
    2001 年 40 巻 5 号 p. 467-470
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部に発生したコンジローマ様癌の1例を経験したので細胞所見を中心に報告する.
    症例:45歳, 頸部の肉眼所見で乳頭状隆起病変を認めた. 細胞像: 細胞壊死がみられる背景に角化型の異型細胞, 核異型のあるkoilo cytes, HPV感染が考えられる細胞変化が著明な細胞群, および核腫大と核濃染を示す傍基底型の異型細胞が, 集合性あるいは散在性に認められ, 多彩な細胞像を呈した.
    結論:コンジローマ様癌の細胞像を熟知することにより, 細胞診標本上で診断することが可能である.
  • 佐々木 隆之, 櫻木 範明, 蝦名 康彦, 岡元 一平, 斎藤 千奈美, 清水 道生, 荒川 三紀雄, 藤本 征一郎
    2001 年 40 巻 5 号 p. 471-475
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:卵管癌は発見が難しく, 上皮内癌の報告はこれまでに30数例がなされているにすぎない. 今回, われわれは内膜細胞診を契機に発見された卵管上皮内癌の1例を経験したので報告する.
    症例:56歳, 女性, 4経妊2経産. 下腹痛のため近医を受診したところ内膜細胞診が陽性であった. 精査のため当科を受診し内膜組織診を施行したが上皮に異型性を認めなかった. そこで, 子宮鏡による内膜の観察とそれに引き続き全面掻爬を行ったが異常は見出せなかった. その後の経過観察中も内膜細胞診陽性が続いたため, 子宮と両側附属器を摘出し病理検査したところ右卵管采に微少な上皮内癌を認めた. また, 上皮内癌を含む切片を抗p53抗体で免疫染色するとその核はびまん性に強く陽性に染まった. なお, 開腹時の骨盤腔内洗浄細胞診は陽性であった.
    結論:卵管上皮内癌が内膜細胞診を契機として発見されることがある.
  • 赤羽 智子, 国村 利明, 九島 巳樹, 大西 司, 永井 智子, 荒川 昭子, 笠原 慶太, 足立 満
    2001 年 40 巻 5 号 p. 476-481
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:分娩4ヵ月後の母親検診にて発見され, 胸部画像上石灰化を伴い臨床的および胸部画像診断的に良性腫瘍との鑑別に苦慮した肺粘表皮癌の一切除例を経験したので報告する.
    症例:31歳, 女性. 自覚症状はなく, 胸部単純X線写真にて右中肺野に境界明瞭な腫瘤が認められ本院紹介となった. 胸部CT所見にて径約2cmの境界明瞭な結節性腫瘤を認め, 腫瘤内部の明らかな石灰化所見より肺過誤腫などを強く疑った. 気管支鏡検査では右B4bにポリープ様の腫瘤を認めた. 気管支擦過細胞診標本では背景に多量の粘液および石灰化小体を認め, その中に明調な胞体を有する異型細胞集塊およびレース状の胞体を有し, 核が偏在性を示す細胞が混在して出現していた. 気管支生検組織では硝子様の問質を伴い, foamyで弱酸性の多稜形の細胞質を持つ細胞の充実性増殖と粘液産生を示す細胞の腺腔形成像がみられた. 以上の所見より粘表皮癌が疑われ, 右肺中葉切除術が施行された. 病理組織学的にもp0, pm0, br (-), pa (-), pv (-), n0の粘表皮癌であった.
    結論:臨床的および画像診断学的に良悪性の鑑別に苦慮した粘表皮癌の切除例を経験し興味ある細胞所見を認めたので報告した.
  • 諏訪 朋子, 加藤 拓, 高橋 久雄, 上原 敏敬
    2001 年 40 巻 5 号 p. 482-485
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:顆粒細胞腫は舌, 皮膚, 消化管などあらゆる部位に発生するが, 耳下腺に発生した顆粒細胞腫の報告はきわめてまれである. 今回, 耳下腺腫瘍の穿刺吸引細胞診にて好酸性腺腫を疑い, その後, 組織診にて顆粒細胞腫と診断された症例を経験したので, 両腫瘍の鑑別に必要な細胞学的特徴について比較検討した.
    症例:症例は66歳女性, 左耳下腺に1.5cm大の腫瘤を認め, 穿刺吸引細胞診を施行した. 顆粒細胞腫の特徴的所見は,(1) 腫瘍細胞が不定配列を示すこと,(2) 腫瘍細胞の結合性が弱く, 細胞が壊れやすいこと,(3) 細胞境界が不明瞭であること,(4) 核は偏在性で円形ないし類円形で軽度の大小不同を示すこと,(5) 細胞質内に豊富な顆粒を持つことなどで, 特に (1)~(4) の細胞所見は好酸性腺腫との重要な鑑別点と考えられた.
    結語:顆粒細胞腫はあらゆる部位に発生する腫瘍で, 耳下腺にも発生することを念頭におき, その細胞学的特徴を把握しておけば, 唾液腺に発生した顆粒細胞腫の診断も困難ではないと考えられた.
  • 入江 太朗, 立川 哲彦
    2001 年 40 巻 5 号 p. 486-489
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:口腔領域における好酸球性肉芽腫の細胞診報告例は皆無である. 今回上下顎歯槽骨に多発性に生じた好酸球性肉芽種の1例を経験したので報告する.
    症例:症例は23歳男性で, パノラマX線像では上下顎両側歯槽骨に多発性の骨吸収像がみられ, 臨床的に高度の歯周炎を思わせる像を呈していた. 動揺著明な歯牙を抜歯した際に抜歯窩を鋭匙にて擦過し, 塗抹標本を作製した. 細胞像では好中球, リンパ球, 少量の好酸球と壊死物質を背景とし, リンパ球の2~3倍の大きさを有する組織球様細胞を認めた. これらの細胞には, 核にコーヒー豆様の核溝や切れ込みがみられ, 少数の核分裂像が認められた. 一部には多核巨細胞の出現がみられた. 同部の歯肉生検材料では, 病変部には好酸球性腫瘍・壊死がみられ, 核溝や核に切れ込みを伴った組織球様細胞の増殖が認められた. 組織球様細胞には, 核分裂像が目立ち, 一部には異型核分裂像もみられた. 免疫組織学的には, 組織球様細胞は, S-100蛋白陽性, CD 68陰性を示していた.
    結論:本症例のごとく歯槽骨に多発性に生じた好酸球性肉芽腫の場合, 臨床的に歯周炎との鑑別が困難であり, 細胞診もその診断の一助となると考えられる.
  • 森 隆弘, 大島 孝平, 館野 みちる, 奥村 英雄, 宮地 努, 薮下 竜司, 社本 幹博
    2001 年 40 巻 5 号 p. 490-494
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:腹水中に幼若顆粒球, 骨髄巨核球, 赤芽球の出現を認め腹膜における髄外造血が示唆された原発性骨髄線維症の1例を経験したので報告する.
    症例:症例は82歳女性. 貧血と白赤芽球症が認められ, 骨髄生検はdrytapであり原発性骨髄線維症と診断された. その後, 腹部膨満と息切れが出現したため腹水細胞診を施行し, その中に幼若砂粒球, 赤芽球と考えられる細胞および骨髄巨核球と思われる大型細胞の出現を少数ながら認めた.
    結論:通常, 体腔液の検査をする場合, 中皮細胞および腫瘍細胞などに注目してしまいがちであるが, 背景に出現する血液系の細胞にも注意を払い骨髄巨核球のような大型細胞が出現することを認識しておく必要があると思われた. このような場合Papanicolaou染色では幼若血液細胞の判定は困難であるので, May-Giemsa染色は必須である. また, 同時に臨床検査結果の推移を検討し, 病態の把握に努めることが大切である.
  • 鈴木 美那子, 阿部 仁, 草刈 悟, 丸山 清聖, 永井 俊弘, 亀山 香織, 向井 萬起男, 秦 順一
    2001 年 40 巻 5 号 p. 495-498
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:まれな精巣カルチノイドの1例を経験したのでその捺印細胞所見を中心に報告する.
    症例:症例は64歳, 男性.肉眼的血尿を主訴とし当院受診となった.左精巣に3cm大の腫瘤を触知, 画像検査にて精巣腫瘍を疑い左高位除睾術を施行した. 捺印細胞像としては, 腫瘍細胞は孤立散在性あるいは疎な結合を示す平面的な集団として認められた.核は円形でクロマチンは細穎粒状で均等に分布したものが多く, 裸核の細胞や, 細穎粒状の豊富な細胞質を持つ細胞が多数認められた. こうした所見よりセミノーマあるいはカルチノイドが疑われたが確定には至らなかった. その後, 組織学的な検索によりカルチノイドと診断された.
    結語:まれな精巣カルチノイドを経験した. 精巣腫瘍の大部分を占めるセミノーマとの鑑別には, 核小体の有無, 細胞質の性質に注目することが重要であると考えられた.
  • 垣花 昌彦, 土屋 眞一
    2001 年 40 巻 5 号 p. 499
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 森園 英智, 大石 陽子, 山本 嘉子, 森山 美樹, 坂田 泰子, 大橋 健一, 岩井 武尚, 長瀬 慈村
    2001 年 40 巻 5 号 p. 500-504
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:乳腺疾患において穿刺吸引細胞診は有用な検査であり, 画像診断でそれぞれ推定した組織型が細胞診で推定した組織型とすべて一致したときには, 細胞診が最終診断となりうる.細胞診において, 組織型推定をし得る診断をするためには, 細胞量が十分で, かつ構造を保たれていることが必要である.
    乳腺の穿刺細胞診において, 組織型を推定し得る診断をするために, 適した針を選択する.
    方法:5種類の穿刺針 ((1) 27G2.5cm,(2) 27G30cm,(3) 22G 3.8cm,(4) 22G 7.5cm,(5) 21G 4.3cm) を用いて摘出標本の割面から採取した細胞診の検体を4段階に分けて評価した.
    A: 組織型を推定し得る十分な細胞量が採取され, かつ構造が保たれているもの.B: 細胞量がやや少なく構造を保った細胞集塊も少ないもの.C: 細胞数過少のため判定困難なもの.D: 細胞が取れていないもの.
    結果:(1) 27G 2.5cm, A: 1例, B: 5例, C: 4例, D: 5例.(2) 27G30cm, A: 2例, B: 6例, C: 3例, D: 4例.(3) 22G 3.8cm, A: 8例, B: 2例, C: 3例, D: 2例.(4) 22G 7.5cm, A: 12例, B: 2例, C: 1例, D: 0例.(5) 21G 4.3cm, A: 12例, B: 3例, C: 0例, D: 0例.
    結語:針の径と長さが細胞採取量を左右することが示され, 今回の検討では, 径は22G, または21Gが適しており, 長さは長い方が有利であった.乳腺穿刺吸引細胞診に最も適した針は, 22G 7.5cm (カテラン針) であると考える.
  • 難波 清
    2001 年 40 巻 5 号 p. 505-511
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    近年のわが国における乳癌の診断学の進歩は著しい. 視触診から切開生検という従来の診断過程は, 画像診断からより非侵襲的な細胞診, 針生検に置換されてきた. 良悪性の鑑別診断のみならず治療や経過観察の決定までもが細胞診に求められるようになり, その診断学は複雑高度化した. その中で, 乳腺腫瘍の病理組織型を形態学の基本として, 画像診断と細胞診断の両者が組織型の推定を念頭に置いてアプローチするという考え方が重要性を増している.
    ブレストピアの超早期乳癌診断システムにおける約12,000件の乳腺細胞診と画像診断や病理診断の経験をもとに, 臨床医の立場から画像診断と細胞診における組織型推定の現状と問題点を具体的に検討した. 形態パターン分類から組織型を念頭に置いた画像診断を行う. 得られた組織型推定をもとに, 検体採取の工夫や細胞検査士への情報提供, フィードバックなどを行うことで, 画像, 細胞両者の診断精度の向上が達成できる. そのためには, 相互の往来のある診断システム作りが重要である.
  • 安田 政実, 伊藤 仁, 宮嶋 葉子, 久保田 光博, 梶原 博, 梅村 しのぶ, 廣谷 和枝, 望月 裕夫, 川口 直美, 長村 義之
    2001 年 40 巻 5 号 p. 512-517
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:組織学的に確定診断された乳腺良性病変のなかから無作為抽出した56例を対象として, それらの穿刺細胞診標本を再評価し組織像推定の観点から「細胞診の可能性と限界」に着目して検討した.56例は以下の通りである.
    症例:線維腺腫25例, 乳管内乳頭腫7例, 増殖性管内病変4例, 乳腺症12例, Mucocele-liketumor2例, 顆粒細胞腫1例, 炎症性腫瘤5例.
    結果:再評価の結果, 評価不能は6例, 推定不可は15例であった (推定率70%=35/50). 評価不能例の内, 5例が線維腺腫であった. 推定不可は線維腺腫8例, 乳腺症4例, 乳管内乳頭腫1例, 炎症性腫瘤2例.主な病変の組織推定率は, 線維腺腫40%(8/20), 乳腺症63.6%(7/11), 乳管内乳頭腫85.7%(6/7), 炎症性病変60%(3/5). 評価不能・推定不可の半数以上 (61.9%=13/21) が線維腺腫であった. その多くが間質優勢型のために採取細胞量が少量であった.
    超音波診断との整合性でみた場合, 超音波診断: 線維腺腫とされた症例の “細胞診評価不能率” は約6割で, 同じく乳管内乳頭腫約4割, 嚢胞性病変約4割, 癌約2割であった. このような「評価不能」はときに臨床診断を支持することがある.
    考案:組織推定率を左右する最も大きな要因として, 細胞摂取量の多寡が挙げられ, とりわけ線維腺腫では間質が相対的に優勢な場合にその組織推定が困難であると思われる. また, さまざまな良性病変のvariants-比較的まれな病変あるいは特徴的な形態変化をとるもの-に対しては細胞所見の記載を明確にし, いくつかの可能性の高い病変を列記するのが望ましい.
  • 石原 明徳, 上森 昭, 小山 英之, 中村 豊
    2001 年 40 巻 5 号 p. 518-522
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺穿刺吸引細胞診による浸潤性乳管癌の組織型推定の診断精度について検討した.
    方法:原発性浸潤性乳管癌/44例に特殊型乳癌19例を加えた163例を対象とした. 細胞診標本はパパニコロウ染色標本で観察し, 細胞診の推定組織型と主診断組織型との一致率を検討した.
    成績:浸潤性乳管癌の穿刺吸引細胞診の推定組織型と主診断組織型の一致率は74%であった. 硬癌が83%で最も高く, 乳頭腺管癌72%, 充実腺管癌64%であった. また, 腫瘍を構成する組織型が10%以上を占める組織型の一つと細胞診の推定組織型との一致率は87%であった. 特殊型の粘液癌, 髄様癌, アポクリン癌は全例診断されたが, 浸潤性小葉癌の一致率は60%であった.
    結論:穿刺吸引細胞診による浸潤性乳管癌の組織型推定と主診断組織型は高い一致率を示し, 穿刺吸引細胞診の診断精度の信頼性が示された.
  • 是松 元子, 清水 健
    2001 年 40 巻 5 号 p. 523-530
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺穿刺吸引細胞診において非浸潤性乳管癌 (NIDC) の診断精度を向上させるために, 細胞出現パターンの分類と組織像との比較を行い, とくに良性疾患との鑑別が困難とされる異型性の乏しいNIDCの特徴について検討し鑑別診断を試みた.
    方法:組織診断の確定しているNIDC56例, 良性対照として乳管内乳頭腫 (IDP), 線維腺腫 (FA) 各10例の術前穿刺吸引材料を用いた.
    成績:NIDCは4群に分類された. このうち異型性乏しい2群は, 細胞学的にIDPあるいはFAにi類似する出現パターンを示していた. IDP型NIDCでは, IDPに比べ上皮集団の大きさが様々で, 集団における不規則配列・結合性低下・細胞密度の上昇が目立った. 一方FA型NIDCでは, 上皮・筋上皮細胞の2相性の欠如と一見平面的な集団における不規則重積を適確に把握することが重要であった.
    結論:異型性乏しいNIDCの細胞判定にあたっては, IDP型, FA型という分類が有効で, 出現細胞集団の大きさと核の重積性が最も重要な鑑別点と考えられた.
  • 森谷 卓也, 秋保 信彦, 三浦 弘守, 喜多見 路世, 遠藤 希之, 八重樫 弘, 渡辺 みか, 平川 久, 木村 道夫, 笹野 公伸
    2001 年 40 巻 5 号 p. 531-539
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳管内に発生する種々の上皮増殖性病変について, 穿刺吸引細胞診の診断能および細胞所見の特徴を検討した.
    方法:中等度以上の乳管過形成, 異型乳管過形成 (ADH), 非浸潤性乳管癌 (DCIS) について, 細胞診断能の検討を行った. 細胞所見に関してはBibboら, およびMasoodらによる二種類のスコアを用いて比較した.
    成績:超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診では, いずれの病変においても十分な細胞量が得られた. 腫瘤触知例が非触知例に比して細胞診の正診率が高い傾向にあった. 乳管過形成では診断不適検体は少ないが, 疑陽性例も認められた. DCISの診断感度は66.7%で, 浸潤性乳管癌の82.4%より低かった. 細胞所見については, 二種類のスコアいずれも非浸潤性乳管癌が高い値を示した. 具体的所見として, 非浸潤性乳管癌では集塊の結合性が低下していること, 筋上皮介在の程度が少ないこと, 細胞構成がより均質であることなどが特徴だが, 個々の所見のみによる鑑別は困難であった. ADHについては2例とも陰性判定となり, スコアも低値であった.
    結論:乳管内増殖性病変の良悪性判定は多くの所見を総合して行う必要がある. 異型乳管過形成については本来微小な病変であり, サンプリングの問題も含め今後の検討を要す.
  • 町田 智恵, 渡辺 達男, 土屋 眞一
    2001 年 40 巻 5 号 p. 540-547
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:近年増加している乳房温存療法の可否に, 大きな影響を及ぼすとされる小葉癌について, その細胞学的特徴と硬癌との鑑別点を検討した.
    方法:浸潤性小葉癌 (ILC) 18例, 狭義の硬癌 (PSC) 23例の計41例を対象に, 1. 細胞配列, 2. 核形および核の配列, 3. 明調・暗調細胞, 4.核クロマチン分布, 5.細胞特性 (GCDFP-15; gross cystic disease fluid protein-15) の5項目について, 細胞像を中心に組織, 免疫組織化学および微細形態学的に比較検討した.
    結果:1. 細胞配列は線状配列に特徴がみられ, ILCは細胞質辺縁が丸みを帯び, 数珠状形態を呈することが多く, PSCは細胞質辺縁が直線状であった. 2. 核形および核の配列はILCは円形-楕円形, 核間距離はほぼ均等であったが, PSCは圧排され不整形, 縦並び状を呈していた. 3. 明調・暗調細胞に関してはILCの細胞質の染色性がほぼ明調, 均一であるのに対し, PSCでは明調・暗調を示す細胞が混在していた. 4. 核クロマチン分布はILCは正染色質が, PSCでは異染色質がその主体を占めていた. 5. GCDFP-15の免疫染色では, ILCで40.0%, PSCでは20.0%で, 特にILCのvariant typeが高い陽性率を示した.
    結論:組織学的類似性の高いILCとPSCの細胞学的鑑別点として, 上記の5項目でほぼ目的が達成できると思われた.
  • 秋山 太
    2001 年 40 巻 5 号 p. 548-551
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺疾患の病理組織学的特徴は, 第一には組織像の多彩さにある. このことは組織型の種類の多さにあらわれているが, 同じ組織型に分類される病変でもその組織像は決して一様ではない. 第二には良悪性鑑別診断の難しさにある. 多彩な組織像を示す病変の中には, 非常に似た組織像を呈する良性病変と悪性病変が存在する. 全くの良性である硬化性腺症や乳管腺腫は浸潤性乳管癌との鑑別が問題となる. 乳管内病変に関しては常に良悪性の鑑別診断が問題となり, そこには本質的な難しさが存在する. 病理診断の整理棚として組織型は大切であるし, 誤診を防止するためにも多くの整理棚を持つ必要がある.
    これらの特徴は, 当然のことながら画像や細胞像に反映される. したがって, マンモグラフィ, 超音波, MRIなどの画像診断や細胞診は組織型診断まで行ったうえで, 良悪性鑑別診断あるいはカテゴリー診断を行うべきである. それぞれが診断した組織型間の整合性の有無を確認することで, 精度の高い臨床診断を得ることができる. この際, 細胞診は画像診断を確証する立場にある.
  • 渡辺 昌俊, 前田 勝彦, 中山 剛, 中野 洋, 白石 泰三
    2001 年 40 巻 5 号 p. 552-553
    発行日: 2001/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of lymphoepithelioma-like carcinoma (LELC) of the uterine cervix in a 72-year-old woman. Cytologically, tumor cells had swollen round nuclei, a high N/C ratio, some cells having prominent nucleoli and indistinct cell borders, and associated with lymphocytes, leading to a diagnosis of nonkeratinizing squamous cell carcinoma or CIS. Histologically undifferentiated cancer cells spread from mucosa to the muscle layer with lymphocytes. A high N/C ratio, prominent nucleoli, indistinct cell borders, and lymphocyte accumulations are thus important findings for distinguishing LELC from other tumors.
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