日本臨床細胞学会雑誌
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41 巻 , 6 号
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  • 笠井 孝彦, 宮崎 玲子, 小野寺 平, 杉本 果林, 有倉 一郎, 原武 譲二
    2002 年 41 巻 6 号 p. 381-387
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:腫瘍捺印細胞診によりクララ細胞・II型肺胞上皮型肺腺癌の組織亜型分類が可能かどうか検討した.
    対象と方法:肺異型腺腫様過形成2例, 非粘液型細気管支肺胞上皮癌 (野口分類AとB11例, 同分類C12例) の腫瘍捺印細胞診標本を再検討し, 各分類における出現腫瘍集団・核分裂像・核内封入体数を比較検討した.
    結果:異型腺腫様過形成と非粘液型細気管支肺胞上皮癌 (野口分類A・B) では, 線維化を伴う非粘液型細気管支肺胞上皮癌 (同C) に比較し, 腫瘍細胞は弧在性に出現し重積傾向に乏しいリボン状・単枝状の出現が目立ったが, 重積集団や多分枝状の集団の出現は少なかった. また核内封入体は目立ったが核分裂像はまれであった.
    結論:腫瘍捺印細胞診から細胞集団や核分裂の有無に着目すると, クララ細胞・II型肺胞上皮型の異型腺腫様過形成・非粘液型細気管支肺胞上皮癌 (野口分類A・B) と線維化を有する非粘液型細気管支肺胞上皮癌 (同C) との鑑別が可能であると思われた.
  • 谷口 恵美子, 吉村 吾郎, 楊 其峰, 鍵弥 朋子, 汪 筱娟, 布引 治, 中村 靖司, 森 一郎, 櫻井 武雄, 覚道 健一
    2002 年 41 巻 6 号 p. 388-393
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳癌における悪性度の術前評価が治療の決定に必要とされている. われわれは日常細胞診断業務に使っている乳腺穿刺吸引細胞の塗沫標本を用いて乳癌の悪性度を評価することを目的として細胞診Grade分類を試みた.
    方法:218例の浸潤性乳管癌から得られた術前穿刺吸引塗沫標本のパパニコロウ染色標本を用いた. その細胞像から, 背景の壊死の有無細胞の大きさ, N/C比, 核の大きさ, 核クロマチンの形状, 核クロマチンの濃度, 核の大小不同の7項目について0, 1~3に数値化, 評価しその和の6~19をスコアと命名した. それらをさらに3群に分け, I~IIIに分類した. これを細胞診のGradeと命名した.
    成績:われわれが行った細胞学的Gradeは組織学的なGradeと相関があり, リンパ節転移の有無とも相関があった. また免疫組織学的染色におけるER陽性との間には負の相関がみられた. Ki-67における増殖能の指標とも正の相関を示した.
    結論:乳腺穿刺吸引細胞材料を用いた細胞診Grade分類は日常の診断業務とともに臨床に有用な情報を提供することができる.
  • 森 一郎, 前川 観世子, 谷口 恵美子, 鍵弥 朋子, 布引 治, 唐 衛華, 中村 靖司, 覚道 健一, 吉村 吾郎, 桜井 武雄
    2002 年 41 巻 6 号 p. 394-398
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺小葉癌の細胞像を明らかにする.
    方法:409例の乳癌切除例を再検討し, 10例の浸潤性小葉癌を見出した. これらの術前穿刺細胞診パパニコロウ染色標本を再検討した.
    成績:今回の10例はすべてが悪性 (クラスIV, V) と診断されており, 細胞少数のため診断不能が1例あったが, クラスIIIや誤陰性例は認められなかった. 細胞像は, 教科書的な線状配列や細胞質小腺腔を確認できたものはそれぞれ1例, 2例と少なかった. しかし, 筋上皮が認められないこと, 細胞集塊の疎結合性と異常, 核クロマチンの増量と分布の異常を認めた.
    結論:細胞が多く得られた標本では, 核のクロマチンの異常に着目することと, 細胞集塊の異常と筋上皮の有無に着目することにより, 悪性の診断は, 多くの場合可能と考えられる. しかし, 小葉癌の典型的細胞所見はまれであり, 乳管癌との区別をすることは実際的には困難と考えた.
  • 萩原 聖子, 加来 恒壽, 丸山 智義, 小林 裕明, 平川 俊夫, 中野 仁雄
    2002 年 41 巻 6 号 p. 399-405
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮体部明細胞腺癌は比較的まれで予後不良とされている. われわれは当科で経験した子宮体部明細胞腺癌について細胞学的にその組織型の推定を行うのに有用な特徴像を抽出する目的で, 子宮体部内膜細胞診を検討した.
    方法:1993年~2000年の8年間に当科で経験した純粋型の明細胞腺癌4例の子宮体部内膜細胞診の細胞所見を検討し, さらに類内膜腺癌 (G1) 10例と比較検討した. 核および核小体についてはNIHimageを用いて細胞計測を行った.
    成績:明細胞腺癌では壊死性背景が著明で, シート状の細胞配列が特徴的であった. Mirror ballpatternは明細胞腺癌の2例で認めた. 明細胞腺癌の細胞質は豊富で明るく, 空胞を伴うものも認めた. 細胞計測の結果, 核は明細胞腺癌の方が類内膜腺癌 (G1) より有意に大きかったが, 核小体の大きさでは差を認めなかった. また明細胞腺癌では核膜の肥厚, 核の偏在, 粗穎粒状のクロマチンおよび核の大小不同が目立ち, 2個以上の核小体を持つ細胞を多く認めた.
    結論:今回子宮体部明細胞腺癌の細胞像の特徴を抽出した.これらの特徴に留意し細胞像を観察することで, 組織型の推定がある程度可能と思われる.
  • 長浜 純二, 佐藤 啓司, 棚町 啓之, 加島 健司, 駄阿 勉, 賀来 直美, 中山 巌, 横山 繁生
    2002 年 41 巻 6 号 p. 406-410
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:歯原性石灰化上皮腫 (CEOT) は, 扁平上皮様細胞の増殖とアミロイドおよびその石灰化をみるまれな良性歯原性腫瘍である. 今回われわれは, リンパ節転移を認めた悪性CEOTの穿刺吸引細胞診を観察する機会を得たので報告する.
    症例:56歳, 男性. 左下顎CEOT摘出後, 同部位に再発を繰り返し, 最終的にリンパ節転移を起こした. 悪性CEOTと組織診断された3回目再発腫瘍の穿刺吸引細胞診には, 大小の類円形腫瘍細胞が孤在性ないしは集塊状に出現していた. 小型細胞はN/C比が高く, クロマチンの増量や明瞭な核小体がみられた. 大型細胞は単核~多核で, クロマチンの増量, 腫大した核小体が認められた. 細胞質はライトグリーン好性で肥厚し, 層状構造や核周明量もみられ, 扁平上皮癌細胞に類似していた. 組織学的に, 原発腫瘍は典型的なCEOTの像であったが, 3回目再発以後の腫瘍には, 核分裂像や血管侵襲を認め, 悪性CEOTと診断した. その後, 右鎖骨上窩リンパ節転移が確認された.
    結論:良性CEOTにも異型扁平上皮様細胞が出現するので, 細胞診によるCEOTの良悪性の鑑別はきわめて困難と考えられる. むしろ, 良性CEOTを扁平上皮癌等の悪性腫瘍と誤診しないことが重要である.
  • 丸山 清聖, 松井 栄美, 津田 隆洋, 阿部 仁, 草刈 悟, 神山 育男, 亀山 香織, 向井 萬起男
    2002 年 41 巻 6 号 p. 411-414
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:傍神経節腫は副腎外のparaganglionsystemから発生する腫瘍であり, 縦隔に発生する頻度は少ない. 今回われわれは, 中縦隔に発生した傍神経節腫を経験したので報告する.
    症例:34歳の男性. 検診にて胸部異常陰影が認められ当院に入院. 経気管的穿刺吸引細胞診が施行された. 細胞像は, 多量の出血性背景に, 大小不同を示す結合性の認められない裸核状, または泡沫状や線維状のわずかな胞体を有する細胞が出現していた. 一部には紡錘形細胞も認められ, 非上皮性悪性腫瘍を疑った. その後縦隔鏡下生検術にて傍神経節腫と診断され, 縦隔腫瘍摘出術が施行された.
    結論:Paragangliomaの診断は上記の細胞所見や, 免疫染色を含めた解析が今後の術前診断に有用と考えた.
  • 保坂 典子, 荒井 健一, 櫻井 博文, 上垣外 明子, 内田 雅己, 岩原 彩子, 椎名 隆之
    2002 年 41 巻 6 号 p. 415-421
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:肺の類上皮血管内皮腫を気管支擦過細胞診で観察する機会を得たので報告する.
    症例:43歳, 男性. 人間ドックで左S6の異常陰影を指摘され, 病変部の気管支擦過が施行された. 気管支擦過細胞診では, 大型の巾広い厚みのある胞体や胞体内に腺腔様空胞をもった細胞が孤立または集塊状に出現していた. 精査施行後, 原発性肺腫瘍として下葉切除術が施行された. 摘出した手術検体での捺印標本, 腫瘍組織およびその免疫染色, 電顕から類上皮血管内皮腫と診断した.
    結論:気管支擦過細胞診でみられた細胞は, 摘出した腫瘍組織, 組織の免疫染色および電顕での所見とほぼ一致し, 本腫瘍の特徴を表していた. 肺類上皮血管内皮腫は術前診断は困難とされているが, 細胞診で類上皮血管内皮腫と診断可能と思われる.
  • 布村 眞季, 内野 芳晴, 鈴木 隆文, 高橋 典子, 小泉 順, 渡辺 美鈴
    2002 年 41 巻 6 号 p. 422-426
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:鼻咽頭癌 (Nasopharyngeal cancer: 以下NPC) は中国南部に多く, 頸部リンパ節腫脹で発見される機会の多い腫瘍であるが, 特に本邦では細胞診所見の記載は乏しい. 今回私たちは典型的な未分化型NPCを経験したのでその細胞像を中心に報告する.
    症例:38歳女性, 中国東北地方出身. 左頸部リンパ節腫脹を主訴に来院. 穿刺吸引細胞診では, 異型細胞とリンパ球の混在したclusterが多数認められるが, 特定の配列や分化傾向は見出し難い. 摘出リンパ節の捺印細胞診では, 異型細胞が散在性に出現し, 穿刺吸引の細胞像に比して, 結合性に乏しく核異型が目立つ. リンパ節生検の組織像は, 大型で明るい核を有する異型細胞が不明瞭な胞巣を形成する. 酵素抗体法ではcytokeratin陽性で, 未分化型のNPCを疑い, 鼻咽頭粘膜の生検で確定診断に至った.
    結論:本症例は年齢・出身地・症状ともに典型例であり, 細胞像からは-・見上皮性と判定し難かったが病理組織像からは典型的なNPCと考えられるす近年日本国内でも中国国籍の患者をみる機会が増加しており, 頸部リンパ節腫脹の鑑別としてNPCを念頭に置く必要がある.
  • 松本 一仁, 池崎 福治, 柿崎 寛, 吉岡 治彦, 八木橋 操六
    2002 年 41 巻 6 号 p. 427-432
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:褐色脂肪腫は褐色脂肪組織に由来するまれな腫瘍で, 臨床病理学的, 電顕的には多数の研究がなされているが, 細胞所見に関する報告はきわめてまれである.
    症例:63歳女性. 左肩甲部腫脹を主訴に当院を受診, 腫瘍部の穿刺捺印細胞診にて褐色細胞腫が疑われ腫瘍切除が施行された. 皮下脂肪組織内に大きさ8×8×3cm, 境界明瞭な黄褐色の腫瘍を認めた. 捺印細胞診では大型類円形ないし多辺形の細胞が集塊状に出現, 毛細血管の介在も認めた. 構成細胞は微細穎粒状胞体を有するもの, 多空胞状胞体を有するもの, 単空胞状の胞体を有し脂肪細胞に類似するもの, の3種類で, ときおり胞体に色素穎粒が観察された. いずれもN/C比は小さく核は小型類円形, 核縁は平滑で1個の核小体を有していた. 組織学的には典型的な褐色脂肪腫の所見を示し, ズダンIII染色陽性, 一部の細胞の胞体にはリポフスチン穎粒が認められた. 電顕的には腫瘍細胞胞体に豊富なミトコンドリアと種々の程度の脂肪空胞を認めた.
    結論:本腫瘍は異型性の乏しい3種類の細胞から構成され, しばしば胞体にリポフスチン穎粒を認めることから, それらの特徴が細胞学的診断にも有用と考えられた.
  • 大谷 方子, 清水 亨, 芹沢 博美, 海老原 善郎, 中沢 功, 樋口 佳代子
    2002 年 41 巻 6 号 p. 433-438
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:皮膚原発のアポクリン癌はまれで, さまざまな抗体を用いることにより組織学的診断が可能であるが, 細胞所見の報告は少ない.われわれは腋窩部原発アポクリン癌の2例を経験し, その細胞学的特徴を検討した.
    症例:症例1は49歳男性で5年前に左腋窩部腫瘍摘出術を受けたが, 局所再発をきたした.吸引細胞診ではほとんどが孤立散在性で, 一部に上皮性細胞集塊が含まれていた.腫瘍細胞は細胞質が厚くて広く, 断頭分泌を認めた.組織学的には充実性, 索状および腺管状構造を示し, 腫瘍細胞の細胞質は広く好酸性で, 断頭分泌, ジアスターゼ抵抗性PAS陽性顆粒が認められた.GCDFP-15が陽性であった.症例2は53歳の男性で, 15年前に左腋窩部腫瘤の診断を受け, 摘出術が施行された.リンパ節の擦過細胞診では比較的重積性の少ない上皮性細胞集塊が主体で, 腫瘍細胞は大型で広い細胞質, 円形から卵円形の偏在核と明瞭な核小体を持ち, 断頭分泌が認められた.組織学的には潰瘍を形成し, 腺管形成を伴い皮下脂肪織まで浸潤していた.細胞質は広く好酸性で断頭分泌が認められ, ジアスターゼ抵抗性PAS陽性顆粒を含んでいた.GCDFP-15が陽性であった.
    結論:腋窩部に発生するアポクリン癌は汗腺あるいは副乳由来のアポクリン癌や転移性腺癌が鑑別となる.皮膚原発アポクリン癌は細胞診でも特徴的な像を保持しており, 詳細な検討によって推定診断が可能であると考えられた.
  • 佐久間 暢夫, 渋田 秀美, 亀井 敏昭, 岡村 宏
    2002 年 41 巻 6 号 p. 439-442
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:上顎癌のスクリーニングとして, 鼻汁細胞診, 喀痰細胞診, 上顎洞穿刺洗浄細胞診の有用性が指摘されている.鼻汁の細胞診で異型扁平上皮細胞を認め, それを契機に右上顎癌と診断された1例を経験したので報告する.
    症例:患者は72歳, 女性.喫煙歴なし.1週間前から続く鼻汁, 血液を混じた後鼻漏および右頬部の痛みを主訴に受診した.経口的に後鼻漏を採取し細胞診検査を行った.多数の好中球や好酸球を背景に, 角化を示す中等度異型扁平上皮細胞を少数認め, 高分化扁平上皮癌を否定できない所見であった.耳鼻咽喉科にて上顎洞試験開洞術を行い, 右上顎癌 (T3NOMO, 高分化扁平上皮癌) と診断され, 放射線療法および手術療法にて加療された.
    結論:鼻汁の細胞診は患者に苦痛がなく, 上顎癌の診断において考慮すべき検査であると考えられた.
  • 新井 努, 上坊 敏子, 鈴木 泉, 渡辺 純, 岩渕 啓一, 蔵本 博行
    2002 年 41 巻 6 号 p. 443-447
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部リンパ上皮腫様癌 (Lymphoepithelioma-like carcinoma, LELC) はまれな腫瘍である.一般にリンパ節転移率が低く予後は良好であるとされている.
    症例:56歳, 不正出血を主訴に受診.子宮頸癌Ilb期の診断で広汎性子宮全摘出術, 両側付属器切除術, 骨盤リンパ節廓清を施行した.左傍結合組織, 左総腸骨節, 左外腸骨節, 左右内腸骨節に転移を認めた.肉眼的には腫瘍と正常部分の境界は明瞭で, 組織学的には未分化な角化傾向のない腫瘍細胞が, 周囲問質に多数のリンパ球の浸潤を伴って巣状に増殖浸潤していた.細胞診では, 多数のリンパ球浸潤を伴う腫瘍性背景のなかに, 腫瘍細胞が孤立性または大小の集塊を形成して出現していた.核は大小不同性に富み, 核クロマチンは増量し, 核縁への凝集を認めた.1~3個の明瞭な核小体を認めた.細胞質は淡く, 細胞境界は不明瞭で多形性に富んでいた.角化細胞や腺管構造様所見はみられなかった.
    結論:子宮頸部LELCはまれな腫瘍であるが, 特徴的な所見から細胞診断可能である.多発性リンパ節転移をきたす場合がある.
  • 西村 正人, 弘井 誠, 宮内 幹雄, 井沖 浩美, 崎本 奈津, 坂本 康紀
    2002 年 41 巻 6 号 p. 448-452
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部絨毛腺管状乳頭腺癌はYoungとScullyにより1989年に提唱された腫瘍で, 現在まで約50例程度の報告があるまれな腫瘍である.予後良好とされているが治療として子宮全摘術が施されていることがほとんどである.今回われわれは子宮頸部円錐切除術のみで長期寛解をえた貴重な症例を経験したので報告する.
    症例:38歳, 女性, 0妊0産.不正性器出血, 帯下増量を主訴に来院.子宮頸部には外向性に広がる易出血性の腫瘍を認めた.子宮頸部擦過細胞診では出血性背景に比較的小型で類円形のクロマチン増量した核をもつ乳頭状の細胞集塊を多数認めた.構造異型が著明であった.平成9年8月, 子宮頸部円錐切除術を施行.病理組織診断にて絨毛腺管状乳頭腺癌であり, 筋層浸潤は圧排性でごく軽度, 脈管浸潤は認めなかった.切除断端に癌細胞を認めなかった.本人が強く妊孕性温存を希望したため治療を終了し現在まで62ヵ月再発を認めていない.
    結論:円錐切除のみで治癒した絨毛腺管状乳頭腺癌の1例を報告した.細胞診では核クロマチンが増量した乳頭状の細胞集塊の出現が特徴である.
  • 新家 秀, 大浦 訓章, 株本 和美, 原田 徹, 清川 貴子, 河上 牧夫, 落合 和徳, 田中 忠夫
    2002 年 41 巻 6 号 p. 453-456
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:慢性腎不全による血液透析導入後の結核性子宮内膜炎を経験したので報告する.
    症例:44歳, 女性.慢性腎不全患者.持続する不正性器出血と鉄欠乏性貧血を認め, 精査目的で受診となる.子宮頸部細胞診では異常を認めなかったが, 子宮内膜細胞診にて, 高度のリンパ球浸潤を伴う炎症性背景の中にLanghans型と思われる多核巨細胞と類上皮細胞の集塊を認めた.子宮内膜の病理組織診では結核をはじめとする慢性炎症性肉芽腫性病変が認められた.結核菌DNA検査陰性であったが, 抗酸菌染色陽性, ツベルクリン反応陽性, 結核菌培養検査陽性であったため子宮結核と診断した.抗結核剤治療開始3ヵ月後, 子宮内膜細胞診では, Langhans型多核巨細胞は消失し, 軽度の炎症性背景の中に, 正常子宮内膜細胞が認められるようになった.
    結論:子宮結核はまれな疾患ではあるが, 血液透析患者には比較的高率に発症する.子宮内膜細胞診が診断のきっかけとなり, また治療効果の判定に有効な手段となることが示唆された.
  • 上垣外 明子, 櫻井 博文, 森 篤, 保坂 典子
    2002 年 41 巻 6 号 p. 457-458
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A 74-year-old wolnan was admitted becase of a large amount of ascites. The patient also pointed out the presence of a breast tumor. Aspiration cytology of the breast tumor and a cytology exalnination of the ascites were pcrformed.
    Cytologicaly, the tumor cells in the ascites were small. sized and uniform-In celis with a low N/C ratio, the chromatin pat. tern was fine and uniform. ICL was observed in the cytoplasm. The tulnor cells were individually dispersed.
    The cytological findings strongly suggested that these cells were reactive mesothelial cells.
    Histologlcally, the breast tumor was diagnosed as an invasive lobular carcinoma that was positive for CA19-9. The peritoneum biopsy was diagnosed as a metastasis of the invasive lobular carcinoma of the breast. Thus, the cells which had been regarded as reactivc mesothelial cells were in fact adenocarcinoma cells.
  • 鍛代 久美子, 梶原 博, 清水 透, 鴨志田 伸吾, 長村 義之
    2002 年 41 巻 6 号 p. 459-460
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of an extramedullary relapse of acute myelogenous leukemia [M2 t (8; 21)] in the parotid gland and parapharyngeal space of a 50-year-old male. A Papanicolaou stain, revealed scattered small blasts with enlarged. nuclei. The blast-like cells were difficult to definitively diagnose by Papanicolaou stain. but the clinical findings enabled a diagnosis of the extramedullary spreading of acute leukemia cells to be confirmed using immunohistochemistry for peroxidase as well as May Giemsa staining. The possibility of extramedullary extensions or relapses should be kept in mind during the cytological examination of solid mass lesions in patients undergoing chemotherapy for acute myelogenous leukemia.
  • 長嶋 洋治, 大沢 淳子, 高久 良子, 中村 宣子
    2002 年 41 巻 6 号 p. 461-462
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of chromophobe renal cell carcinoma in a 39-year-old woman. The squash cytological specimen showed tumor cell clusters composed of large-sized polygonal cells with a low nucleocytoplasmic ratio. The cytoplasm was characteristically cloudy and reticular or eosinophilic granular. Occasionally, a perinuclear halo was visible. The nuclei were spherical and contained small nucleoli. The unique clinicopathological and molecular biological characteristics of chromophobe renal cell carcinoma make cytology a very useful tool for its correct diagnosis.
  • 倉林 工, 加勢 宏明, 松下 宏, 永井 絵津子, 田中 憲一
    2002 年 41 巻 6 号 p. 463-464
    発行日: 2002/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of fetal abdominal cyst that was prenatally diagnosed using aspiration cytology. An abdominal cyst with a diameter of 6 cm was detected by ultrasonography in a 30-weekold female fetus in a twin pregnancy. Transitional cells were detected in a aspiration cytology specimen from the dilated ureter. The fetus was delivered at 34-weeks by Cesarean section, and she is presently alive, although she has some urogenital anomalies. Cytology is a useful method for prenatal diagnosis.
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