日本臨床細胞学会雑誌
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41 巻 , 1 号
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  • 稲川 初美, 石澤 圭介, 島田 哲也, 茅野 秀一, 小倉 弘章, 西川 亮, 松谷 雅生, 広瀬 隆則
    2002 年 41 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:中枢性神経細胞腫 (central neurocytoma, CN) は脳室内に発生するまれな神経細胞性脳腫瘍である. 今回, 左側脳室に発生した本腫瘍の1例を経験したので細胞像を中心に報告する.
    症例:26歳, 女性. 副鼻腔炎の精査中, 左側脳室内に長径3cmの腫瘍が偶然発見され, 摘出術が施行された. 術中の塗抹細胞診では, 小型円形の腫瘍細胞が繊細な血管網を伴いながら多数認められた. 細胞質は網目状で明るく, 辺縁から細長い線維状突起が伸びていた. 核は円形でよく揃っており, 核縁は整, クロマチンは微細穎粒状であった. 組織学的にも, 円形腫瘍細胞の敷石状配列からなり, synaptophysin, CD56およびNSE免疫染色に陽性であった. 電顕的にも多数の神経突起が観察され, CNと診断された.
    結論:CNの細胞像の特徴として, 均一な円形核, 繊細なクロマチンパターン, 細線維状突起などがあげられ, 術中細胞診が鑑捌に有用であると考えられた. 確定診断には免疫染色, 電顕による神経細胞性分化の確認が必要である.
  • 淀縄 聡, 平野 稔, 小川 功, 後藤 行延, 有川 良二, 高谷 澄夫, 福島 美穂, 下山田 博明
    2002 年 41 巻 1 号 p. 6-9
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:腹部大動脈近傍に発生した褐色細胞腫の1例を経験したので捺印細胞像を中心に報告する.
    症例:患者は52歳女性, 頭痛を主訴に当院を受診し, 高血圧, カテコラミン分泌増加のため褐色細胞腫が疑われた. CTで腹部大動脈近傍 (下大静脈と腎静脈の間) に径18mm大の腫瘤を認め, 副腎外褐色細胞腫と診断し腫瘤摘出術を行った. 腫瘤は被膜に覆われ周囲への浸潤はなかった. 捺印細胞像では壊死性背景に腫瘍細胞がシート状配列および孤立性で多数出現し, 豊富で多彩な形状の細胞質をもち, 細胞質は泡沫状, 穎粒状を呈した. 細胞質内穎粒はギムザ染色で好酸性に染まった. 核は円形ないし楕円形でクロマチンは細穎粒状に均等分布しでいたが, 孤立散在する細胞では核形不整強くクロマチンも粗穎粒状に増量していた. 組織像では腫瘍は充実性, 腫瘍細胞は大小不同, 多形性著明で豊富な細胞質の中に好酸性穎粒を含んでいた. 核分裂像, 被膜浸潤, 血管浸潤は認めなかった.
    結論:褐色細胞腫の良悪性の鑑別は細胞像では困難で, 自験例では細胞像で異型が強いものの組織像において核分裂像, 被膜浸潤, 血管浸潤を認めず臨床所見上転移がないため良性と診断した.
  • 西村 理恵子, 万代 光一, 山内 政之, 中脇 珠美, 亀井 孝子, 大住 省三, 佐伯 英行, 高嶋 成光
    2002 年 41 巻 1 号 p. 10-13
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:乳腺invasive micropapillary carcinoma (IMC) は, 近年提唱された浸潤性乳管癌の1亜型で, 乳頭状構造が周囲の空隙を介して細い膠原線維に囲まれる特徴的な組織像を示す. IMCはリンパ管侵襲とリンパ節転移の頻度が高い組織型として知られており, 術前の組織型推定が治療方針決定に重要と思われるが, 細胞像の報告はまれである.
    症例:患者は65歳の女性で, 5~6年前から左乳房に存在する3cm大の腫瘤を主訴として当院を受診した. 穿刺吸引細胞像は, 壊死・出血がなく少数の間質細胞をみる背景に中等量の乳頭状細胞集団をみる. 細胞集団は, 線維血管性の芯をもたず上皮細胞のみからなり, それらの上皮細胞の核は比較的均一で類円形を呈し, 核クロマチンは繊細で核小体は小型で目立たない. 乳房切除標本の腫瘍組織像は, 95%は典型的なIMCの像を呈し, 通常型浸潤性乳管癌の成分を一部にみる. リンパ管侵襲像が目立ち, 腋窩リンパ節14個中5個に転移をみる.
    結論:乳腺腫瘤の穿刺吸引細胞診で, きれいな背景に, 線維血管性の芯をもたない乳頭状細胞集団をみた場合に, IMCも鑑別として考える必要があると思われた.
  • 内藤 善哉, 横山 宗伯, 杉崎 祐一, 前田 昭太郎, 永井 祥子, 浅川 一枝, 松原 美幸, 渡會 泰彦
    2002 年 41 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:神経内分泌細胞への分化neuroendocrine features (以下NEF) を伴う浸潤性乳癌は比較的まれであるが, 細胞診が診断に有用であった3症例を経験したので報告する.
    症例:全例女性, 症例1は28歳, 右前胸部打撲後腫瘤形成, 血性分泌が持続し来院. 症例2は45歳, 右乳房に約2cm大の腫瘤に気づき来院. 症例3は右乳房に自潰する約10cm大の腫瘤を認めた. これらの腫瘤の細胞診では, 結合性の比較的緩い小-中集塊ならびに不完全なロゼット様構造がみられた. 腫瘍細胞は軽度の大小不同を伴う中型の類円型細胞が主体で, クロマチンは細顆粒状で増量しN/C比大, 核型は軽度不整, 核小体は腫大していた. 細胞質は比較的豊富で重厚感と細顆粒状変化, 混濁したライトグリーン好染性を特徴とし浸潤性乳癌の所見とともにNEFを疑った. しかし, 各症例では, 多数のOsteoclast様多核巨細胞の出現, 背景に粘液成分を認めるなど, 多彩な所見もみられた. 組織所見でも, 同様な所見を認め, さらに, 腫瘍細胞では, Grimelius染色陽性, 免疫組織化学的に, Chromogranin AなどのNEFのマーカーが陽性となり, NEFを伴う浸潤性乳癌と診断された.
    結論:乳癌の細胞診においてもNEFの存在とその組織型の多彩さを念頭に置き診断することが必要と思われた.
  • 湊 宏, 広川 満良
    2002 年 41 巻 1 号 p. 21
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 加藤 拓, 九十九 葉子, 諏訪 朋子, 徳泉 美幸, 高橋 久雄, 上原 敏敬
    2002 年 41 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:唾液腺腫瘍の中で最も発生頻度の高い多形腺腫 (pleornorhic adenoma: PA) は多彩な細胞形態を示すため, 穿刺吸引細胞診で的確に診断することに難渋したり, 他の腫瘍と誤診することがある. 今回われわれは, PAの穿刺吸引細胞診と組織診との相関性およびそのpitfallsについて検討した.
    対象:組織学的にPAと診断された63例中56例が穿刺吸引細胞診でもPAと正診された. PAの細胞学的形態について検討した. さらに, PAと正診できなかった7例, および他病変をPAと誤診した3例についても細胞学的・組織学的に検討した.
    成績:PAの細胞像として粘液腫様間質性粘液 (96.2%), 紡錘形細胞 (88.5%), 形質細胞様細胞 (80.8%), 腺細胞 (50.0%), 石肖子小体 (23.1%), 多核巨細胞 (23.1%) および扁平上皮化生細胞 (15.4%) がみられた. PAと正診できなかった7例の細胞診断は基底細胞腺腫3例, 嚢胞性変化2例, 腺様嚢胞癌1例および腫瘍細胞を認めなかった1例であった. 他病変をPAと誤診した3例の組織診断は唾石症1例, 腺様嚢胞癌1例, 多形腺腫内癌1例であった. 感度90.3%(56/62), 特異度94.9%(56/59) であった.
    結論:PAを含めた唾液腺腫瘍の穿刺吸引細胞診のポイントは以下に要約できた. 1. 穿刺吸引にて嚢胞内容液のみ, または腫瘍細胞の採取量が少ない場合には場所を変えての複数回の穿刺を行う. 2. 鏡検時に臨床所見 (年齢, 性別, 発生部位, 腫瘍の大きさ) を参考にする. 3. Papanibolaou染色およびMay-Giemsa染色標本で, 背景にみられる物質および腫瘍細胞など極少数の出現も見逃さず観察し, 採取されたすべての細胞の種類および物質を把握する. 4. これらをもとに総合的に判断し, 組織型を推定する.
  • 河原 明彦, 横山 俊朗, 原田 博史, 鹿毛 政義, 安倍 秀幸, 山口 知彦, 杉島 節夫, 矢野 博久, 有馬 信之
    2002 年 41 巻 1 号 p. 28-37
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:唾液腺領域にみられる扁平上皮細胞の形態を明らかにしようと考えた.
    方法:唾液腺領域の穿刺吸引および捺印細胞診を施行し, 扁平上皮細胞がみられた20症例 (非腫瘍性病変2例, 良性腫瘍8例, 悪性腫瘍10例) の背景物質, 核および細胞質の大きさと良・悪性細胞の形態について検討した.
    成績:(1) 壊死背景は, 低悪性度粘表皮癌を除く, 悪性腫瘍にみられ, しばしば非腫瘍性病変や良性腫瘍にも認められることがあった.(2) 核および細胞質の大きさに関しては, N/C比による良・悪性判定が困難な場合があり, N/C比小の悪性細胞やN/C比大の良性細胞の存在が明らかとなった.(3) 良・悪性判定所見は細胞境界, 細胞質変化, 核の緊満感と核小体腫大が重要であった.
    結論:唾液腺領域にみられる扁平上皮細胞の中には, 異型の乏しい悪性細胞や変性を伴う良性細胞を認めることがある. そのため, 扁平上皮細胞の評価において重要なことは, 背景物質や他の構成細胞を含めた総合的な良・悪性判定を行うことである.
  • 渋田 秀美, 光野 彩子, 岡村 宏, 佐久間 暢夫, 日吉 正明, 亀井 敏昭, 越川 卓
    2002 年 41 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:唾液腺穿刺吸引細胞診の有用性について検討し, さらに穎粒状細胞質を示す病変について, 細胞学的鑑別点を明らかにする.
    対象および方法:1994年から1999年に山口県立中央病院で唾液腺穿刺吸引細胞診を行い, 組織像との比較が可能であった73例を対象にした.(1) 細胞診での推定病変と組織診断の不一致例の細胞像を再検討し, 不一致の原因を検討した.(2) 顆粒状細胞質を示す病変については, 出現細胞を好酸性細胞と腺房細胞に大別し, その鑑別点について検討した.
    結果:(1) 推定病変と組織診断の一致率は84.9%, 良悪性の一致率は97.3%であった. 不一致の原因は細胞像把握ミスが6例, 病変推定困難が5例であった.(2) 好酸性細胞と腺房細胞の鑑別において, 前者で細胞質内顆粒が大きく, 分布が均等で密であった. 後者では細胞境界が明瞭で, 出現細胞間で細胞質所見に差がみられた.
    結論:唾液腺穿刺吸引細胞診は, 高い精度をもって, 病変推定が可能である. 顆粒状細胞質を示す病変の推定に関しては, 好酸性細胞と腺房細胞を, 細胞質の詳細な観察により鑑別することで, より正確な病変推定が可能である.
  • 小野寺 清隆, 長尾 俊孝, 麻生 晃, 小山 芳徳, 石田 康生, 菅野 勇, 長尾 孝一
    2002 年 41 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:近年, 唾液腺腫瘍の術前診断において穿刺吸引細胞診 (fine-needle aspiration cytology 以下FNACと略) は, その正診率の高さから広く受け入れられている.唾液腺腫瘍は特徴的な細胞像を示すものが多く, 通常その特徴像をとらえることにより診断を行っている. しかし, 特徴像は一つの疾患に限ってみられる所見ではなく, ほかの疾患の部分像として現れることもあり, それがしばしば唾液腺腫瘍のFNACにおけるピットフォールとなる. 唾液腺腫瘍の細胞診上の特徴像として硝子球hyaline globulesと飾状構造cribriform structuresがあげられる. これらの細胞像は, 腺様嚢胞癌を特徴付ける所見であるが, 基底細胞腺腫, 基底細胞腺癌, 多形態低悪性度腺癌, 上皮一筋上皮性癌, 唾液導管癌, 多形腺腫および筋上皮腫でも出現頻度に差があるもののみられることがある所見である.これをみてもわかるように生物学的態度がかなり異なる疾患が含まれるため, それらの疾患を鑑別することは臨床的に重要な意味を持つ.
    目的:実際の唾液腺腫瘍のFNACにおいて硝子球と節状構造が認められた場合には安易に腺様嚢胞癌と断定せずに, 他の疾患の可能性を念頭において診断を進めていく必要がある. そのためには臨床所見を把握することもさることながら, 硝子球と節状構造にのみとらわれることなく, おのおのの疾患の細胞学的な特徴像を捉えて診断すべきであると考えられる. 本稿では, 唾液腺腫瘍の細胞診上の特徴像の一つである硝子球と箭状構造に焦点を当てて, これらの像を示す唾液腺腫瘍のFNACにおけるピットフォールについての総説的な解説を行った.
  • 鐵原 拓雄, 伊禮 功, 広川 満良, 工藤 浩史
    2002 年 41 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    唾液腺の嚢胞性病変を下記の4項目, つまり1) 粘液性嚢胞液がみられる場合, 2) 硝子球がみられる場合, 3) 基底細胞様細胞がみられる場合, 4) 扁平上皮細胞がみられる場合, に分類して穿刺吸引細胞診の鑑別診断およびピットフォールについてまとめた. 嚢胞性病変では診断可能な材料が十分に採取されないことが多く, 充実部の再吸引, あるいは後日再検が望まれる. 誤陰性の原因として, 粘表皮癌に代表される低悪性度群の存在があり, 臨床所見を加味し, 細胞量, 背景, 細胞形態を詳細に観察することが大切であると同時に, その存在を認識していることが重要である. また, 炎症による修飾が加わった場合, 充実性病変と思われている病変に非定型的に嚢胞が形成された場合, 異所性の唾液腺に嚢胞性腫瘍が発生した場合などもピットフォールとして留意すべきであろう.
  • 谷田部 恭, 上山 勇二, 小林 雅子, 伊藤 緑, 市村 浩一, 中村 栄男, 越川 卓
    2002 年 41 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    唾液腺におけるリンパ増殖性疾患は診断が難しいにもかかわらず, 実地臨床ではまれならず遭遇し, 鑑別に苦慮することは少なくない. われわれの施設で体験した症例を検索した結果, リンパ球増殖性疾患のほとんどはMALT型リンパ腫, びまん性大細胞型リンパ腫, 濾胞性リンパ腫であった. そこで, 反応性リンパ球増殖との鑑別を含めその留意点について各疾患ごとに解説を試みた.
  • 福島 万奈, 中山 淳, 三谷 美幸, 加藤 良平, 土屋 眞一
    2002 年 41 巻 1 号 p. 68-69
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A 59-year-old woman who had undergone hemodialysis for chronic renal failure for more than 21 years was found by aspiration cytology to have bilateral amyloid breast tumors, demonstrated by amyloid deposition in fat and fibrous tumor tissues. Histological examination showed the amyloid matea rials to be surrounded by foreign-body reaction and immunohistochemically positive for β2-microglobulin.
  • 倉田 厚, 室田 由里, 高澤 豊, 鹿島 健司, 石田 剛
    2002 年 41 巻 1 号 p. 70-71
    発行日: 2002/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We describe a rare case of laryngeal chondrosarcoma. A 55-year-old man with a right cervical mass was found in computed tomography (CT) to have an expansive lesion projecting from cricoid cartilage. Cytology showed round or polygonal cells with slight nuclear atypia dispersed in loose aggregates against an amorphous cartilaginous background. Histological examination of the surgical specimen showed proliferation of neoplastic chondrocytes with mild atypia forming a chondroid matrix. Cytological findings from aspiration specimens were helpful in preoperative diagnosis.
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