目的:子宮頸部腺上皮病変の拾い上げを容易にするため, 構造異型に着目し細胞学的解析を行った.
方法:東京顕微鏡院および東京都がん検診センターで発見された腺異形成3症例, 上皮内腺癌3症例, 高分化型の内頸部型粘液性腺癌 (以下高分化型腺癌) 5症例, 対照10症例を用い, 柵状集塊の核位置の不規則度や細胞の出現形態について検討を行った.
成績:1) 柵状集塊の核位置の差の平均値±S.D.は, 対照症例で1.9±1.2μm, 腺異形成症例で5.5±3.7μm, 上皮内腺癌症例で8.4±5.1μm, 高分化型腺癌症例で6.7±4.4μmであった.
2) 柵状集塊の重積層数は, 対照症例で1層~3層, 平均2.3層, 腺異形成症例2層~3層, 平均2.4層, 上皮内腺癌症例2層~6層, 平均3.3層, 高分化型腺癌症例では2層~6層, 平均34層であった.
3) 出現様式は, 腺異形成ではシート様集塊が多く認められ, 乳頭状集塊や腺腔を有する乳頭状集塊は高分化型腺癌で認められた.
結論:子宮頸部腺上皮病変の拾い上げには, 柵状集塊の核位置の不規則度や重積性, 細胞集塊の出現形態を詳細に観察することが重要であることが示唆された.
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