日本臨床細胞学会雑誌
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42 巻 , 6 号
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  • 山崎 博子, 横尾 英明, 平戸 純子, 中里 洋一
    2003 年 42 巻 6 号 p. 405-411
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:脳腫瘍のなかでも発生頻度の高い星細胞系腫瘍の捺印細胞所見を組織学的grade分類に対比させ, grade別の細胞所見をまとめて有用性を検討した.
    方法:材料は脳腫瘍迅速診断に提出された星細胞系腫瘍81例 (星細胞腫grade Iが6例, grade IIが28例, grade IIIが14例, grade IVが33例) の捺印細胞標本を用いた. 同一症例の組織標本と 対比し, 組織学的grade分類に対応する捺印細胞所見をgrade別にまとめた.
    成績:grade Iの細胞は毛様, 線維性で細胞質の保持が良い. grade IIでは細線維性基質上に類円形の核が並ぶ. grade IIIでは出現する集塊の細胞密度が高く, 軽度の核異型が認められる. grade IVでは巨細胞, 巨核・多核・多形性など高度の核異型と, 輪郭のはっきりした細胞質がみられる.
    結論:組織構築をみることに限界のある細胞診断はそれ独自では星細胞腫の確定診断となりにくいが, 迅速な標本作製が可能で細胞の全体像をみることに適しており, gradeの推定に有益な情報が得られることが明らかになった.
  • 金敷 真紀, 相馬 雅行, 松井 義博, 齋藤 洋子, 赤荻 栄一, 山本 達生
    2003 年 42 巻 6 号 p. 412-416
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:喫煙者の肺門部早期肺癌の発見に対する喀痰細胞診の有効性を評価する.
    方法:本協会は, 1995年度から2000年度に喫煙歴や症状のある住民50,905人に喀痰細胞診を施行した. 6年間に発見された肺癌症例の病期, 組織型, 発生部位について検討した.
    成績:要精検者は367人 (0.6%), 精検受診者数は306人 (83.3%) で, 肺癌は58例, 癌発見率は10万対114であった. 平均年齢は69.5歳, 65~74歳が62%を占めていた. 組織型は扁平上皮癌41例, 腺癌11例で, 病期は0期4例, I期19例であった.
    結論:6年間の喀痰細胞診発見肺癌の組織型は, 70%が扁平上皮癌であった. 胸部X線写真で異常なく, 喀痰細胞診で発見された肺癌のうち61%が0期とI期で, 胸部X線写真では発見できない早期肺癌が発見された. これらの胸部X線写真で発見されなかった肺癌の発生部位は, 陰影が認められたものと比較し, 区域支より中枢側の気管・気管支発生が有意に多かった. 本協会の喀痰細胞診は, 胸部X線で発見の困難な中枢発生肺癌の早期発見に有用であった. さらに発見率を上げるため, 高危険群および保健師への指導をすすめていく.
  • 寺内 利恵, 竹中 美千穂, 山下 学, 朝倉 善史, 中野 万里子, 田中 卓二, 黒瀬 望, 野島 孝之
    2003 年 42 巻 6 号 p. 417-422
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:胎児型および胞巣型横紋筋肉腫は小児や若年者に好発する高悪性度の腫瘍である. 今回われわれは成人の副鼻腔に発生した胞巣型横紋筋肉腫を経験したので報告する.
    症例:55歳, 女性. 右上眼瞼腫脹を主訴に来院し, CTにて右節骨洞から眼窩に径3×1.5cm大の腫瘤を認め, 生検が施行された. 生検材料の捺印細胞像では, N/C比大で類円形核をもつ小型の腫瘍細胞が粗な結合集塊様に出現していた. 細胞質は淡明, クロマチンは顆粒状を示し, 核小体は目立たなかった. 中高齢者であり, モールディング様 配列を認めたため小細胞癌が疑われたが, 滴状ライトグリーン好染性細胞質を有する細胞とグリコーゲンを認め, 横紋筋肉腫細胞と判定した. 免疫組織化学ではdesminに陽性を示し, 電子顕微鏡ではZ帯様構造を認めた. 分子生物学でも胞巣型横紋筋肉腫に特徴的なPAX3-FKHR変異遺伝子のpolymerase chain reaction (PCR) 産物を確認した.
    結論:小円形細胞腫瘍の鑑別はむずかしく, 特に横紋筋肉腫が鑑別診断にあげられる場合, 腫瘍捺印細胞診では滴状ライトグリーン好染性細胞質の観察と, グリコーゲンの有無を確認することが重要である.
  • 加戸 伸明, 伊藤 仁, 松井 成明, 宮嶋 葉子, 安田 政実, 梅村 しのぶ, 長村 義之
    2003 年 42 巻 6 号 p. 423-426
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:梗塞壊死をおこした浸潤性乳管癌 (充実腺管癌) を経験したので報告する.
    症例:72歳. 左乳房C領域に腫瘤が認められ, 穿刺吸引細胞診が施行された. 採取された細胞量は多く, 核は小型で濃縮状を呈し, 細胞質はライトグリーンに淡染していた. なお, 標本中にはこのような細胞のみが採取されていた. 組織像では, 広範な梗塞壊死巣が観察され, 大小の充実性胞巣を形成した腫瘍細胞が梗塞壊死をおこしたことがうかがわれた. また, 壊死周囲には腫瘍細胞が残存しており, 浸潤性乳管癌と診断された. 梗塞をおこした乳管内乳頭腫の細胞像との比較を行ったが, 両者の細胞像はほぼ同一のものであった.
    結論:穿刺吸引細胞診標本において, 小型の核濃縮をおこした裸核様の細胞のみが採取された場合, 良性と悪性の鑑別はきわめて困難であると考えられた.
  • 植田 庄介, 三谷 美湖, 一圓 美穂, 高橋 保, 大原 栄二, 森木 利昭, 前田 博教
    2003 年 42 巻 6 号 p. 427-430
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:乳腺分泌癌は主に若年者にみられるまれな腫瘍で, 高齢者の報告はきわめて少ない.
    症例:74歳, 女性. 主訴は左乳房腫瘤. 針生検で乳癌と診断され, 乳房部分切除とリンパ節郭清が行われた.捺印細胞標本では, 軽度異型を示す泡沫細胞類似の腫瘍細胞が集塊状, シート状に多数認められた. 核は中等大で類円形, クロマチンは細顆粒状にやや増加. 胞体内には小腺腔や大型の空胞を認めるものも多く, 印環細胞様細胞もみられた. 重積性を示す細胞集塊では粘液小球状構造やぶどうの房状構造もみられた. 組織学的には円柱~多稜形細胞が腺様, 胞巣状, 一部乳頭状に増殖し, 腺腔内にはコロイド様物質をいれ甲状腺濾胞様構造を呈していた.
    結論:乳腺分泌癌は特徴的な組織像のため, それを理解しておけば細胞診でも診断は可能と思われる.
  • 小林 弥生子, 手島 英雄, 宇津木 久仁子, 古田 則行, 南 敦子, 秋山 太, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    2003 年 42 巻 6 号 p. 431-434
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:稀少症例である非妊娠性卵巣原発絨毛癌の腫瘍割面捺印細胞診の細胞像について報告する.
    症例:16歳, 女性, 下腹部痛を主訴に受診. 成人頭大の卵巣腫瘍を認め右卵巣摘出手術を施行した. 肉眼所見では15.0×11.0×10.0cm大, 腫瘍中心部はほとんどが出血壊死であり腫瘍辺縁部にわずかに腫瘍実質が残存していた. 腫瘍捺印細胞診では, 出血壊死像を背景に, 異型の強い多核巨細胞syncytiotrophoblast, 多稜形で大型核を持つN/C比の高い単核細胞cytotrophoblast, それらの中間型のintermediate trophoblastが観察された.
    結語:非妊娠性卵巣原発絨毛癌の診断に捺印細胞診が有用であった1例について報告した.
  • 中島 亜矢子, 宇津木 久仁子, 小林 弥生子, 田村 和也, 中川 哲也, 川又 靖貴, 南 敦子, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    2003 年 42 巻 6 号 p. 435-438
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部粘表皮癌は, 1997年版の子宮頸癌取扱規約では項目が削除され, 腺扁平上皮癌の範疇に含まれるまれな腫瘍である. 今回, 特徴的な子宮頸部粘表皮癌の細胞像を呈した1例を経験したので報告する.
    症例:54歳. 集団検診時に, 子宮頸部細胞診陽性のため, 近医を受診した. 子宮頸部細胞診はclass V (扁平上皮癌), 子宮頸部組織診で腺扁平上皮癌と診断され, 7月上旬に当院紹介受診となった. 診察所見で, 子宮頸部に長径20mmの腫瘍を認めたため, 精査治療目的で入院となった.
    1998年7月中旬, 当院に入院. MRI断層撮影で子宮頸部後唇に30×20×23mmの限局した腫瘍が認められた. 集塊を構成する細胞は, 細胞質がやや豊富で厚く扁平上皮様形態を示す細胞と細胞質内に粘液を有し核偏在性を呈する腺系細胞が混在して認められた. 子宮頸膣部の細胞診所見は, 血性背景の中に, 腫瘍細胞が平面的な小集塊として出現. 子宮頸癌Ib1期と診断され, 7月下旬に手術を施行した. 病理組織学的所見は, 非角化型扁平上皮癌の胞巣と粘表皮癌の胞巣があり, 両者の間の移行像が認められた. 粘表皮癌の胞巣部分では, 組織構築および癌細胞の細胞質は扁平上皮癌の性格を示し, それらに混じって細胞質内に粘液を豊富に含んだ癌細胞が認められた.
    結論:子宮頸部原発の粘表皮癌は, 腺扁平上皮癌の範疇に含まれるが, そのなかで, 他の腺扁平上皮癌に比較して, 細胞病理学的に特徴的な像を示し, かつ, 臨床的にリンパ節転移頻度が比較的高いために, 細胞診による病変推定が必要であると考えられた.
  • 権田 厚文, 亀井 敏昭
    2003 年 42 巻 6 号 p. 439
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 広岡 保明, 大西 弘美, 大上 佳三, 上田 毅, 鈴木 一則, 山根 祥晃, 貝原 信明, 塩田 摂成, 西江 浩, 大谷 眞二
    2003 年 42 巻 6 号 p. 440-443
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:胃癌の術中腹腔洗浄細胞診において, 癌細胞数の多寡が予後に与える影響を検討した.
    方法:肉眼的腹膜転移陰性・腹腔洗浄細胞診陽性 (PO, CY1) の61例を, プレパラート上の癌細胞数によって少数群と多数群に分けた. それら癌細胞数の多寡, 術中・術後腹腔内補助療法施行の有無によって予後を比較検討した.
    結果:PO, CY1症例は肉眼的腹4膜転移陽性症例とほぼ同じ生存率であった. PO, CY1, 少数群とPO, CY1, 多数群の予後は同じであったが, PO, CY1, 少数群に腹腔内補助療法を施行した場合, 予後は肉眼的腹膜転移陰性・腹腔洗浄細胞診陰性症例に匹敵するぐらい良好となった.
    結語:腹腔洗浄細胞診における癌細胞数の多寡を計測することによって, 胃癌の術中・術後腹腔内補助療法の効果および予後を予測できる可能性があることが示唆された.
  • 落合 広美, 桜井 友子, 宇佐見 公一, 小林 由美子, 泉田 佳緒里, 佐藤 由美, 小池 敦, 太田 玉紀, 本間 慶一, 根本 啓一
    2003 年 42 巻 6 号 p. 444-452
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:胃癌の術中腹腔洗浄細胞診 (以下細胞診) について県立がんセンター新潟病院 (以下当院) における成績をまとめ, その意義と問題点について検討する.
    方法:過去10年間の当院胃癌手術例のうち, 術中細胞診が提出された698例を対象として, パパニコロウ染色細胞診の予後因子としての有用性を検証するとともに, 臨床病理学的諸因子との関連性について検討した. 最近の症例では, CEA, MOC-31の免疫染色を加え同様の検討を行った.
    成績:細胞診陽性例は癌深達度と無関係に予後不良であった (P<0.0001). 低分化型腺癌は深く深達する例が多く細胞診では単離性に出現する傾向があったが, ときに異型性軽度の場合があり, 細胞診では陽性と判定し, むずかしい症例も存在した. CEAまたはMOC-31免疫染色陽性例は陰性例に比べ有意に再発した. また, CEAまたはMOC-31陽性を腫瘍細胞陽性とした場合, 陽性率が約11%向上した.
    結論:当院材料の検討から細胞診の予後因子としての有用性が確認されたが, 細胞診のさらなる精度向上のためには, 免疫染色等の補助的診断法も考慮すべきである.
  • 岡崎 哲也, 石 和久, 喜納 勝成, 奥山 直子, 風間 玲子, 中村 博, 古川 丈子, 古谷津 純一, 齊藤 啓, 鈴木 不二彦
    2003 年 42 巻 6 号 p. 453-461
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:通常術中迅速細胞診断にはPapanicolaou染色, May-Giemsa染色などが用いられるが, ときにPAS染色あるいは免疫染色 (酵素抗体法) の必要性を感じる場合がある. 特に消化器系癌手術の際, 腹腔内洗浄液および術中腹水では癌細胞と反応性中皮細胞の鑑別が困難な場合がある. このため, マイクロウェーブ迅速試料処理装置 (MI-77型, 東屋医科器械) を用いてPAS染色および免疫染色を行い術中迅速細胞診断に有用かどうかを検討したので報告する.
    方法:材料は当院で得られた腹腔内洗浄液および術中腹水で95%エタノール固定標本を用い, MW照射装置を使用したPAS染色および免疫染色 (LSAB法, ChemMate ENVISION法; DAKO) を行った. 抗体はEMA, CEA, Ber-EP4, Calretininを使用した.
    結果:マイクロウェーブ迅速試料処理装置を使用することで, PAS染色および免疫染色において反応の増強と染色時間の短縮が認められた.
    結論:従来, 染色に時間を多く費やすと考えられていたPAS染色および免疫染色は, マイクロウェーブ迅速試料処理装置を用いることにより短時間で実施することが可能であり, また術中迅速細胞診断において有用であると考えられた.
  • 渋田 秀美, 岡村 宏, 亀井 敏昭, 安永 佳麻里, 寺田 佳美, 佐久間 暢夫
    2003 年 42 巻 6 号 p. 462-469
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:日本臨床細胞学会雑誌 (第40巻第1号) に掲載された「胃癌の術中腹腔内洗浄細胞診ガイドライン」の検体処理方法, および染色方法について, その操作性と細胞像を検討した.
    方法:ガイドラインで検体処理の際の注意点としてあげられた方法に従って標本を作製した.
    結果:シランコートされたスライドガラスを用いることにより細胞剥離は軽減され, 沈渣に血清を添加して標本を作製することにより細胞の膨化変性が抑えられた. 速やかに検体処理ができない場合には, 冷蔵庫に保存することで細胞変性が抑えられた. 血性検体は, 溶血法を行うことでスクリーニングが容易となった. 細胞成分が少ない場合や固定時間が短い場合は, サコマノ液を用いることにより細胞の変性や剥離が抑えられた. 迅速検査の場合の染色法としては, 迅速パパニコロウ染色が最も有用であった.
    結語:ガイドラインに記載された方法に沿って検体処理することにより, 良好な標本の作製が可能であった. 特に, 沈渣に血清を添加することは, 細胞変性の予防効果のみならず細胞変性の遅延効果, および細胞剥離の防止効果も期待されるため, 必ず行うべき操作である.
  • 加藤 利奈, 長谷川 清志, 宇田川 康博, 平沢 浩, 黒田 誠
    2003 年 42 巻 6 号 p. 470-471
    発行日: 2003/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a rare case of dedifferentiated liposarcoma with malignant granular cell tumor-like elements, this condition has not been previously reported. An 84-year-old woman had a large abdominal mass. CT and MRI examinations denmonstrated the presence of two masscs, both of which were subseguently excised. One of masses was a well-differentiated liposarcoma in the mesentry, whereas the other was a dedifferentiated liposarcoma that displayed dedifferentiation resembling a malignant grarnular cell tumor in the retroperitoneum, upon pathological examination. The latter mass was finally diagnosed as a late complication of a preexisting well-differentiated liposarcoma, not as de novo lesion, because of the coexistence of a component of well-differentiated liposarcoma.
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