日本臨床細胞学会雑誌
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43 巻 , 2 号
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  • 今井 律子, 夏目 園子, 橋本 政子, 高木 里枝, 深津 俊明, 佐竹 立成
    2004 年 43 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:小型移行上皮癌細胞と細胞異型度との関係および小型異型尿路上皮細胞の良, 悪性の鑑別点を明らかにする.
    方法:1. 移行上皮癌 (TCC), 細胞異型度 (C-G) 1, 2, 3各20例を対象として, 自然尿中の移行上皮癌細胞の核径 (長径, 短径) を調査した, 2. 自然尿中に小型異型尿路上皮細胞のみられた非癌症例24例 (27検体) と, C) Gl12例 (15検体) を用いて, 細胞所見 (核径計測, 核形の不整, 核小体の有無, 細胞の重積性) を比較した.
    結果:1. 移行上皮癌細胞の核径 (長径/短径) の平均はC.G1が7.9/5.9μmであった. C-G2, C) G3はそれぞれ10の/77, 11.4/8.8μmであり, それらの長径の最小値は8.8μmであった, 2. 非癌症例の小型異型尿路上皮細胞の核の長径は9μm以下で, C-G1の細胞とほぼ同様の大きさであった. 核所見では「核の立体不整」がC-G1細胞および非癌症例におのおの80, 19%認められた.
    結論:移行上皮癌の細胞異型度が高くなるほど核径が長径, 短径ともに長くなり, 細胞異型度1と2, 3の長径の境界は8.8μmである.「核の立体不整」は小型異型尿路上皮細胞がTCCG1由来の細胞か, 非癌細胞かを鑑別する重要な所見である.
  • 実原 正明, 伊藤 信夫, 北村 隆司, 千賀 脩, 土屋 眞一, 光谷 俊幸
    2004 年 43 巻 2 号 p. 104-110
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:今回われわれは, 乳腺invasive micropapillary carcinoma (以下IMPC) の細胞学的特徴を見出すことを目的とし, 細胞像を検討した. その細胞像から新たな亜分類を提唱したい.
    対象および方法:織学的にIMPCと診断された10例を用いて, 共焦点レーザー走査顕微鏡による立体構築像および超微細形態学的所見, 免疫組織学的所見について検討し, 細胞像との比較検討を試みた.
    結果:IMPCの細胞像は, 組織像を反映した立体的細胞集塊 (three-dimentional cell cluster;3DCC) の出現であると考えられた. また, これらの3DCCはその形状から腔形成型IMPC (lumen-forming type IMPC;L型) と充実型IMPC (solid type IMPC;S型) の2つに亜分類された. 10例中, 4例がL型で6例がS型であった. 両者の細胞像には若干の差異がみられた. すなわち, S型はL型に比して,(1) 細胞・核ともに大型で細胞異型が強い傾向がある,(2) 散在性細胞が多い,(3) 3DCC最外層の核配列は規則性を認めない症例が多く, さらに集塊辺縁の “けばだち状” 所見をみる3DCCの出現頻度が低く, IMPCのなかでもS型は予後が悪い可能性が示唆された. また, MIB-1 indexではS型に増殖能を示す細胞が高率に認められた.
    結語:IMPCの細胞学的特徴は, 結合性の高い3DCCの出現であった. 今回のわれわれの検討からIMPCは, L型とS型に細分類されることを明らかにした. L型は “けばだち状” の所見を呈する3DCCから構成される典型像を示すのに対し, S型では3DCCの出現頻度も少なく, 散在性細胞が目立つ症例の存在も認めた. したがって, 細胞診でのIMPCの診断はL型のほかに, S型の存在も考慮する必要があると考えられた.
  • 尾花 ゆかり, 前田 昭太郎, 細根 勝, 片山 博徳, 武内 俊次, 北川 泰之, 横山 宗伯, 内藤 善哉
    2004 年 43 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:淡明細胞型軟骨肉腫の発生頻度は全軟骨肉腫の2.2%と非常にまれであり, しばしばその鑑別診断が問題となる. 淡明細胞型軟骨肉腫の1例を経験したので報告する.
    症例:患者は30歳, 男性. 右股関節部痛を主訴に当院整形外科を受診した. 単純X線像上, 右大腿骨頭から頸部にかけて骨透亮像が認められた. 生検材料からの捺印細胞診では多数の破骨細胞様多核巨細胞と裸核状の類円形肥大核細胞を散在性に認め, 黄~緑色に濃染する類骨様物質やGiemsa染色で異染性を呈する軟骨基質も認められた. 組織標本でも同様に, 著明な骨・類骨を認め多数の多核巨細胞と分葉状に増生する腫瘍細胞を認めるほか, 軟骨形成も伴い, 多彩な像であったため骨肉腫の可能性も考えられたが, 細胞異型に乏しく骨肉腫等の高悪性度疾患にみられるような異型でないこと, また臨床・画像的には悪性よりむしろ良性が考慮され, 総合的に淡明細胞型軟骨肉腫と診断した.
    結論:骨病変において細胞組織学的に類骨・骨を著明に認め, さらに軟骨形成や多核巨細胞がみられるとき, 骨肉腫が考慮されやすい. したがって, 淡明細胞型軟骨肉腫の診断には, 臨床所見, 画像所見, 細胞・組織所見を加味した総合診断が不可欠である.
  • 田口 史子, 佐藤 之俊, 石川 雄一, 星 利良, 都竹 正文, 宝来 威
    2004 年 43 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:肺の淡明細胞癌はWHO分類 (1999年) では大細胞癌特殊型に分類されているが1), 本邦の肺癌取扱い規約では, 該当する症例が経験されるまで分類に加えないとされている2). われわれはこのまれな肺原発淡明細胞癌の1例を経験した.
    症例:39歳, 男性. 発熱と右頸部の腫脹があり, 頸部リンパ節の生検で淡明細胞癌と診断された. 胸部X線写真およびCTで, 右肺尖部に径2cm大の腫瘤と両肺野に多発する小結節陰影が認められた. 経気管支穿刺吸引細胞診で淡明細胞癌と診断され, 全身検索にて原発性肺癌と診断され, 化学療法を1コース施行されたが効果なく癌死した. 剖検でも肺原発淡明細胞癌と診断された.
    結論:肺淡明細胞癌の診断では腎細胞癌からの転移との鑑別が問題となるが, 本症例は臨床的および剖検にて肺原発と診断された. 細胞診の形態的所見として, 細胞の大きさ, 細胞質, 核小体の所見などで腎淡明細胞癌の肺転移の細胞所見と相違点を認めた.
  • 島田 啓司, 中村 光利, 石田 英和, 小西 登
    2004 年 43 巻 2 号 p. 121-124
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:扁平上皮癌成分が大部分を占める甲状腺未分化癌はきわめてまれで, その細胞, 組織病理学的特徴を検討した報告は乏しい.
    症例:83歳, 女性. 平成14年7月より嗄声を認めた. 頸部エコー検査により, 甲状腺右葉上極に径2cm大の嚢胞性腫瘤がみられたため, 穿刺吸引細胞診が施行された. 濾胞上皮細胞に混在して, N/C比大で多形性に富む異型細胞の集族がみられた. 一部には壊死性の背景を伴いオレンジG好性のghost cellsも出現しており, 扁平上皮癌が疑われたがすでに縦隔への浸潤も認められ, 原発巣は確定しえなかった. 病理解剖所見: 甲状腺右葉を中心に広範な壊死を伴う腫瘍塊が認められ, 組織学的に単細胞角化が散見され, 高分子cytokeratinならびにthyroglobulinに陽性を示したことから扁平上皮癌成分が大部分を占めた甲状腺未分化癌と診断した.
    結語:きわめてまれではあるが, 頸部扁平上皮癌の原発巣として甲状腺を念頭に入れる必要がある. Thyroglobulin染色はcytokeratin染色とともに原発巣の同定や鑑別診断に有効であり, 細胞診断の段階で採用すべきであると考えられた.
  • 豊島 将文, 新倉 仁, 八重樫 伸生, 阿部 一之助, 鎌田 真紀子, 杉田 暁大, 田勢 亨
    2004 年 43 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:上皮性卵巣癌の転移様式としてリンパ行性転移は播種性転移とならび重要であるが, 臨床的に浅鼠径リンパ節転移で卵巣癌が発見される例は非常にまれである
    症例:患者は52歳女性, 左浅鼠径リンパ節腫大を主訴に受診.リンパ節穿刺吸引細胞診にて卵巣原発腺癌が推定された.左鼠径リンパ節生検では卵巣由来の漿液性乳頭状腺癌のリンパ節転移が疑われたため開腹手術を施行した.卵巣は肉眼的に正常大であったが, 左卵巣実質の一部に小結節があり, 病理組織学的に癌細胞の増殖を認めた.免疫組織化学染色ではEMA・Ber-EP4・CK7は陽性, calretinin・vimentin・CK20は陰性であり, 卵巣原発の漿液性乳頭状腺癌の診断が確定した.
    結論:浅鼠径リンパ節転移で正常大卵巣癌症候群が発見された非常にまれな症例を経験し, その診断過程をretrospectiveに検討した, 画像上, 腹腔や骨盤内に明らかな病巣が存在せず, 浅鼠径リンパ節転移の腺癌が見つかった場合には卵巣癌の可能性も考慮する必要があると考えられた.
  • 宮本 朋幸, 西村 由香里, 服部 学, 柿沼 廣邦, 渡辺 純, 新井 正秀, 上坊 敏子, 蔵本 博行
    2004 年 43 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:まれな卵巣甲状腺腫性カルチノイドを経験した. 細胞所見, 組織像と免疫組織化学, 特に二重染色結果を報告する.
    症例:59歳, 女性.下腹部痛, 腹部膨満感, 便秘を主訴として来院し, 左卵巣に腫瘍を認めた.捺印細胞像では, 均一な小型細胞が軽度重積性を示す集塊, 索状集塊あるいは散在性に出現し, 一部にはコロイド様無構造物質も認めた. 細胞質はライトグリーンに淡染し, 核は大小不同に乏しく, クロマチンは粗顆粒状に増量していた. 組織学的には甲状腺腫, カルチノイドおよびそれらの移行部分から構成されていた.thyrogloblin, thyroid transcriptional factor-1は甲状腺腫と移行部分の小濾胞構造に, chromogranin Aは甲状腺腫, カルチノイドの両者に陽性を示した. peptide YYはカルチノイド部分に陽性を示した.
    結論:診断には, カルチノイドに特徴的な細胞配列と甲状腺腫に特徴的な濾胞構造の両者に着目することが大切であった. 免疫組織化学より, 甲状腺腫部分が神経内分泌細胞としての性格を有していることから, 本腫瘍は甲状腺腫濾胞上皮からカルチノイドが発生していると考えた.
  • 菊次 徹, 濱田 哲夫, 吉田 徳秀, 金澤 茂正, 久岡 正典, 栗田 智子, 斉藤 竜太, 柏村 正道
    2004 年 43 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 2004/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部擦過細胞診にて, 腫瘍細胞が多数出現したPNETを経験した.PNETは神経外胚葉性分化を呈するまれな軟部腫瘍で, 子宮頸部発生はきわめてまれである.
    症例:52歳, 女性.不正性器出血がみられたため, 前医を受診し筋腫分娩が疑われ, 当院産婦人科紹介受診となる.腟鏡診にて子宮頸管内より突出する有茎性の腫瘤が認められた.画像・血液生化学検査上, 異常は指摘されなかった.子宮頸管ポリープの臨床診断で頸部擦過細胞診施行後, ポリープ切除術が施行され, 病理組織学的・免疫組織化学的にPNETと診断された.擦過細胞診では, 多数の小型・類円形異型細胞が孤在性から集塊をなして出現し, 一部でロゼット構造を呈し神経内分泌あるいは外胚葉性腫瘍が疑われた.準広汎子宮全摘術が施行されたが, 腫瘍の残存は認められなかった.
    結論:本症例PNETは, 組織学的・免疫組織学的には典型的な組織像を示したが, 子宮頸管ポリープの形で腫瘤を形成し, きわめてまれな腫瘍発生部位・形態を呈した.子宮原発PNETの症例報告も増加しており, 子宮頸部擦過細胞診において, いわゆる悪性小円形細胞腫瘍の鑑別上重要である.
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