背景:子宮体部のprimitive neuroectodermal tumor (PNET) はきわめてまれな腫瘍である. 今回われわ れは, その1例について文献的考察を加え報告する.
症例:80歳, 女性, 不正性器出血と下腹痛を主訴に受診. 子宮腫大, 子宮頸部より腫瘍組織の排出, 子宮膣部前唇に腫瘍の浸潤を認め, 経膣超音波断層像にて子宮内膜肥厚像が認められた. 細胞診にて小円形の悪性細胞が散在性に認められ, 組織診では小型な円形細胞がびまん性に増殖し, 核異型が強く, 核分裂像も散見され, 特定の組織構築パターンに乏しい像を呈した. 免疫組織化学的所見ではkeratin陰性, vimentin陽性であったものの, LCA, CD3, CD79a, α-SMA, desminは陰性, NSE, CD99 (MIC-2) 陽性であったことから, 最終的にPNETと診断した. CT上, 肝, 肺に転移巣を認めたため, 化学療法を施行した. 治療により, 腫瘍の縮小が得られたが, その後は全身状態悪化のため, 治療を中止し, 診断後5ヵ月で死亡した.
結論:本疾患は, 発生がまれであること, 進行した状態で発見されることが多いことから,
治療方針に一定の見解がない.
細胞診を含め多数例の集積が必要と考えられた
抄録全体を表示