日本臨床細胞学会雑誌
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44 巻 , 3 号
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  • 武井 英博, Bernardo RUIZI, 高橋 真紀, 鈴木 博義, 手塚 文明
    2005 年 44 巻 3 号 p. 111-117
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸部細胞診の日米 (日母分類1997と2001, 年ベセスダシステムに基づく) の診断の違いを検討した.
    方法:材料は米国で細胞診断医によって診断, 報告された頸部細胞診標本109例を用いた. 日本側の分類を日本の細胞検査士が担当し, 日米の診断を比較した. 完全一致 (complete agreement以下, CA) と部分的一致 (partial agreement以下PA) について検討を行い, さらに米国の意義不明異型扁平上皮細胞 (atypical squamous cells of undetermined significance以下ASC-US) が日本側でどのように分類されているかを調べた.
    成績:全体としてのCA, PA率はそれぞれ39.4%で, CAは高度扁平上皮内病変 (high-grade squamous intraepithelial lesion以下HSIL), 軽度扁平上皮内病変 (low grade squamous intraepithelial lesion以下HSIL), 反応性変化/陰性, それぞれ, 84.6, 41.4, 74.1%であった. ASC-USは日本側で, それぞれ, 約50, 40%が反応性変化, 軽度異型成 (mild dysplasia) に分類されていた.
    結論:両国の診断の一致率は比較的高く (CA+PAで約80%), HSILと反応性変化/陰性に関しては, 両国の診断の差異は少ないものと考える. 一方, この間の分類 (特にLSIL) の一致率は低く, 日米の診断システムの違いはこの差によるところが大きいものと考えられる.
  • 岸本 浩次, 北村 隆司, 鈴木 孝夫, 増永 敦子, 楯 玄秀, 光谷 俊幸
    2005 年 44 巻 3 号 p. 118-123
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:パパニコロウ (Pap.) 染色標本での濾胞性リンパ腫 (FL) Grade 1と反応性濾胞過形成 (反応性) との形態学的鑑別点について, および両者の鑑別に際してのbcl-2蛋白の有用性を検討した.
    方法:対象は反応性, 10例, FLGrade 1, 20例を用い, 対物40倍のスクリーニング所見, 対物100倍の同定所見, bcl-2蛋白の陽性率を算出した.
    結果: スクリーニング所見の検討では, 反応性に比べFL Gradelでは, 1) 2核様くびれ細胞の出現率が高率である. 2) tingible body macrophageはないか, ごくわずかである. 同定所見の検討では, 1) FL Grade 1の約半数が反応性に類似した各種細胞出現率を示した. 2) 1μm以上の核小体保有率, くびれ細胞保有率, bcl-2蛋白の陽性率がFL Grade 1で高値であった.
    結論:比較的鑑別が難しい反応性とFL Grade 1のPap.染色標本による鑑別に際しては, 対物40倍レンズにて観察可能な2核様くびれ細胞の出現数, あるいは小型リンパ球の核小体保有率などの所見に着目して判定することが有用であった.
  • 望月 裕夫, 梅村 しのぶ, 川口 正春, 谷口 正美, 寺田 忠史, 長村 義之
    2005 年 44 巻 3 号 p. 124-131
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳癌細胞診におけるgrade分類法を提案し, histological gradeとの対比, 組織型, ER, HER2, 組織学的リンパ節転移 (n), grade分類に用いられる因子や再発との関連性について検討した.
    方法:対象は原発性浸潤性乳管癌50例である. Cytological grade分類は, 核径, N/C比, 核の多形性, 核小体, 核クロマチン, 核分裂像数の因子をスコア化しgrade 1~3に分類した.
    結果:Cytological gradeと, histological grade, ER, HER 2, nに相関が認められた. 多家によるgrading法を含めた各因子とnとの関連性についての検討では, nとクロマチン, 細胞の解離に相関が認められた. 再発症例の検討では, 再発とER, HER 2, nに相関が認められた.
    結論:Cytological grade分類は, histological gradeやその他の予後因子と相関が認められた. Gradingに用いる因子の検討では, 核径, 核の多形性, 細胞の解離が再発や予後との関連性が認められ, 重要であると思われた.
  • 久山 佳代, Sisilia F. FIFITAI, 松本 敬, 遠藤 弘康, 高橋 久雄, 加藤 拓, 上原 敏敬, 山本 浩嗣
    2005 年 44 巻 3 号 p. 132-138
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:今回われわれは, 口腔カンジダ症のスクリーニング精度を上げることを目的として, 肉眼所見を主体とした臨床病理学的特徴を解析し, さらに細胞所見を詳細に検討した.
    対象および方法:臨床病理学的および細胞学的検討には口腔スメア中に酵母様真菌を認めた全258例を対象に, 年齢・部位・主訴・臨床診断およびPapanicolaouクラス分類について解析を加えた. 培養検査は臨床的にカンジダ症が疑われた50例に対して行った. 培養検査で陽性, 細胞診で陰性を示した症例は脱色後, PAS反応を施し, 再鏡検した. 培養および細胞所見いずれもカンジダ症が確認された13例に対し, 画像解析を施した. 対照として膣カンジダ症20例を用いた.
    成績:1. 口腔カンジダ症は60歳以上が744%を占め, 臨床症状の75.2%が紅斑であった. 2. クラスIII症例の14.2%に異形成がみられた. 3. 口腔カンジダ属は二形性真菌であり, 膣カンジダ属と比較して有意に幅径が大きかった. 4. 22.0%が培養検査で陽性だが細胞診で検出できなかった. これらの細胞診標本にPAS反応を施した後, 再鏡検した結果, 63.6%に酵母様真菌が確認された. 5. 同定により, 96.0%がCandida albicans であった.
    結論:細胞所見と口腔カンジダ症の多彩な臨床所見を熟知し, 適宜PAS反応を併用させながら, 慎重にスクリーニングすることにより, 正診率の向上は可能である.
  • 伊香 加納子, 笹 秀典, 高野 政志, 古谷 健一, 菊池 義公, 安齋 幹雄, 相田 真介, 山内 一弘
    2005 年 44 巻 3 号 p. 139-143
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部発生癌肉腫の報告はまれである. 術前診断に苦慮した1例を報告する.
    症例:58歳, 不正出血, 下腹痛を主訴に来院. 子宮頸部から筋腫分娩様に膣内に突出する, 易出血性の充実性腫瘍を認めた. 画像診断では子宮はほぼ一塊の腫瘤影, 頸部細胞診ではclass V・中分化程度の腺系悪性細胞の小集塊を多数認め, 頸部生検では扁平上皮, 腺系両方への分化が示唆される低分化癌と診断された. 摘出標本の病理組織所見では, 扁平上皮様の変化を伴う腺癌と, 一部に平滑筋肉腫, 骨肉腫, 軟骨肉腫の成分があり, 頸管腺領域を主体に漿膜直下まで浸潤していた.
    結論:診断に苦慮するような子宮悪性腫瘍診断の際には, 細胞診に癌肉腫細胞が出現していなくても, 本疾患の可能性を一考する必要があると考えられた.
  • 梅澤 敬, 野村 浩一, 山口 裕, 小林 重光, 安田 允
    2005 年 44 巻 3 号 p. 144-148
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 高カルシウム血症型小細胞癌は若年者に好発する予後不良の卵巣腫瘍であるが, その細胞像は十分理解されていない.
    症例: 25歳, 女性. 下腹部膨満感を主訴に来院した. 卵巣癌が疑われ, 右附属器摘出+左卵巣部分切除+大網切除+リンパ節郭清術が施行された. 右卵巣は19×11×95cm, 灰白~黄色調, 充実性部分と嚢胞状部分が混在していた. 腫瘍の捺印標本では, 核/細胞質比の高い小型細胞が孤在性に出現していた. 核は円~類円形で比較的均一, クロマチンは細~一部粗穎粒状で増量に乏しく核小体は小型であった. また, ライト緑淡染性で豊富な細胞質を有する大型多辺形細胞の結合性の弱い小集塊や少数の印環細胞がみられた. 一方, 腹水では核のmoldingを示す裸核様小型細胞がみられた. 組織学的に核/細胞質比の高い小型細胞が主としてびまん性に増生していた. 濾胞様構造がみられたが, 核溝やCall-Exner bodyはみられなかった. 大型多辺形細胞や印環細胞がみられた. 免疫組織化学的にcytokeratin陽性, epithelial membrane antigen陽性, α-inhibin陰性であった. 再発のため術後9ヵ月で死亡した.
    結論: 小細胞癌の細胞像の把握は, 若年女性の腹水細胞診やstagingのための術中腹膜捺印細胞診に有用である。
  • 小倉 加奈子, 石 和久, 中村 博, 岡崎 哲也, 古谷津 純一, 鈴木 不二彦, 野島 美知夫, 熊坂 利夫
    2005 年 44 巻 3 号 p. 149-152
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮外原発低悪性度子宮内膜間質肉腫 (Extrauterine low-grade endometrial stromal sarcoma) はきわめてまれな腫瘍であり, 本邦において細胞学的報告はない.
    症例:45歳. 2経妊1経産. 月経時の増強する腹痛, 腹部膨満感があり, 血性腹水の貯留を認めた. MRI検査において卵巣腫瘍が疑われたため, 開腹術を施行した. 両側卵巣とは別にその周囲に径8cm大と径4.5cm大の黄白色, 充実性の軟らかい腫瘍が認められ, また一部, 横行結腸と小腸の漿膜側にも同様の形態を示す小結節を認めた. 単純子宮全摘術, 両側付属器切除術に加え, 結腸および小腸部分切除術が施行された. 腫瘍からの捺印細胞診では, 細胞質の少ない小円形細胞がclusterを形成し, あるいは散在性に認められた. 核はクロマチンが細顆粒状で濃染するも核の大小不同は目立たず, 核分裂像もほとんどみられなかった. またER, PR染色が陽性であった. 病理組織学的に腫瘤形成部は, 増殖期子宮内膜の間質細胞に類似した細胞が充実性に増殖し, 核の大小不同が軽度みられたが, 核分裂像はほとんどなかった. また, 細胞診と同様にER, PR染色が陽性であった.
    結語:腹腔内に充実性に増殖する子宮外原発低悪性度子宮内膜間質肉腫を報告し, 細胞像/組織像より鑑別すべき疾患群について言及した.
  • 日浦 昌道, 岩成 治
    2005 年 44 巻 3 号 p. 153
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 野河 孝充, 日浦 昌道, 温泉川 真由, 伊藤 啓二朗, 大下 孝史, 山本 珠美, 亀井 孝子, 山内 政之, 西村 理恵子, 寺本 典 ...
    2005 年 44 巻 3 号 p. 154-160
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳癌術後タモキシフェン (TAM) 投与が2年から5年に延長されたことから, TAM長期投与の子宮内膜への影響を解析した.
    方法:1995-2000年のTAM内服患者を対象に, maturation index (MI), 内膜細胞像の推移, TAM内服中に診断された子宮内膜癌を臨床病理学的に検討した.
    成績:1995-2000年の対象は, 順に86, 76, 72, 107, 130, 147, 計618例あり, 頸管ポリープ11例 (1.8%), 子宮内膜ポリープ9例 (1.5%), 子宮内膜癌 (癌肉腫1例) 4例 (0.6%) が続発した. MIは小型から中型の中層細胞主体となった. TAM開始後の内膜細胞診は, 類円形で細顆粒状の核を有する分泌期類似の内膜細胞がシート状に出現, 4, 5年目は同所見に加え, 細胞や核の大小不同, 小型濃染核の萎縮細胞, 内膜細胞の重積や扁平上皮化生細胞が混在した. 子宮内膜癌は, Ia期類内膜腺癌 (G1) 3例と癌肉腫1例が2年以内に診断され, 前回細胞診で内膜細胞の3次元構造や土管様配列の強い増殖所見を認めた.
    結論:TAM開始後は, 早期からの子宮がん検診が重要で, 内膜細胞診では3次元細胞配列などの強い増殖像は注意を要する.
  • 丹羽 憲司, 田上 慶子, 下中 恵美子, 服部 高幸, 下川 邦泰, 玉舎 輝彦
    2005 年 44 巻 3 号 p. 161-167
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:若年性子宮内膜癌患者の妊孕性温存療法時における内膜細胞診の有用性とその臨床的対応を明らかにすることを目的とした.
    対象・方法:酢酸メドロキシプロゲステロン (MPA) と内膜全面掻爬による温存療法を施行した若年性子宮内膜癌12例中, 内膜細胞診・組織診を同時に施行した6例28回の検査時の細胞・病理学的変化と細胞診判定の正診率を検討した.
    結果: いずれの症例もMPA投与により異型増殖症, 内膜増殖症を経て, 萎縮状内膜へと変化した. 同時に施行した内膜組織診の正診率は25/28 (89%) であった.
    結論:若年性子宮内膜癌の診断・治療効果判定に, 細胞診判定のみによる対応では変性した複雑型内膜増殖症の誤判定があるものの, 内膜細胞診は大多数有用であった.
  • 則松 良明, 森谷 卓也, 和仁 洋治, 津嘉山 朝達
    2005 年 44 巻 3 号 p. 168-176
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診は組織診に比べ, 正診率は必ずしも高いとはいえないのが現状である. その理由として, 子宮内膜増殖症や異型増殖症が存在するために良悪性をクリアカットに診断しにくいことに加えて, 標準化された診断方式が存在しないことがあげられる. 診断の精度を向上させるためには, まず, 個々の細胞所見の観察に加えて上皮集塊の構造を観察することが望まれる. そのためには, 細胞採取法や標本作製法を一定に保つ努力が必要である. 具体的な判定法としては, 異常細胞集塊の出現数や出現頻度の把握が重要である. 異常細胞集塊の種類によってもある程度の疾患推定が可能である. しかし, 本方式を用いても, 非増殖性疾患のなかには子宮内膜増殖症・異型増殖症の鑑別が難しい疾患があり, 過剰に診断されがちであることも事実である. 限界を認識するとともに今後の検討課題と思われる. 判定に際しては, その後の臨床的取り扱いの観点から子宮内膜増殖症・異型増殖症は一括して疑陽性と判定しているが, 疑陽性またはクラスIIIの意味合いについては, 各施設において十分なコンセンサスを得たうえで使用するべきである.
  • 尾縣 秀信, 沼 文隆, 末岡 幸太郎, 滝口 修司, 境 一, 伊世 悦子, 権藤 俊一, 高橋 睦夫
    2005 年 44 巻 3 号 p. 177-180
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮内膜細胞診と組織診の結果を比較し, 細胞診結果に影響を与える因子について検討した. また子宮体癌, 子宮内膜増殖症症例において細胞診陰性となったものの, 組織診を行った動機について検討した.
    方法:当院で採取したClass III以上の102検体について組織診の結果, 臨床症状, 合併疾患の有無について検討した. また子宮体癌49例, 子宮内膜増殖症30例について細胞診の結果と細胞診誤陰性の場合の組織診検査動機を検討した.
    結果:子宮内膜細胞診のoverdiagnosis例では, 正診例と比較して粘膜下筋腫などの合併疾患の共存する例が多かった. 子宮内膜細胞診陰性で内膜病変を認めた誤陰性例では, 超音波検査での内膜肥厚や出血の持続などの臨床症状が組織検査の動機となっていた. また, 子宮内膜細胞診異常があり, 子宮内膜に病変のないもののなかに腹腔内の他臓器悪性疾患の存在する例があった.
    結論:内膜細胞診の解釈にあたっては, 臨床背景を十分に考慮する必要がある. また, 内膜細胞診より腹腔内の悪性疾患が発見されることもあり, 情報としての内膜細胞診の重要性は高い.
  • 小海 志津子, 河野 美江, 戸田 稔子, 安達 博信
    2005 年 44 巻 3 号 p. 181-182
    発行日: 2005/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of a 77-year-old woman with endometrial tuberculosis who had to abnormal changes in cervical or endocervical cytology. Endometrial cytological findings showed a number of epithelioid cell clusters with a few Langhans giant cells. A histological examination of the endometrium indicated chronic granulomatous inflammatory disease involving epithelioid cells, Langhans giant cellsand lymphocytes suggestive of tuberculosis. Culture and mycobacterium tuberculosis DNA tests (PCR assay) were positive. Endometrial cytology is thus a useful tool for diagnosing endometrial tuberculosis.
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