日本臨床細胞学会雑誌
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44 巻 , 5 号
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  • 西村 理恵子, 寺本 典弘, 山内 政之, 山本 珠美, 明比 一郎, 中矢 絵美, 森田 佐智子
    2005 年 44 巻 5 号 p. 273-278
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳房温存療法の断端判定に切除断端捺印細胞診が行われるようになってきた.そこで, 乳腺非浸潤癌における細胞像を組織像と比較して検討した.
    方法:乳癌手術例の捺印細胞診標本を作製し, 捺印部の組織像が非浸潤癌あるいは微小浸潤癌であった25例 (非浸潤癌16;微小浸潤癌9) の細胞像と組織像を比較した.
    成績:面庖型 (5例), 節型 (4例), 低乳頭型 (5例), 充実型の細胞異型の強いもの (2例) は, 個々の腫瘍細胞の核異型が明らかで, 癌との判定は容易であった.乳頭型 (6例), 低乳頭型 (1例) と充実型 (2例) の細胞異型の弱いものは, 細胞異型が乏しく良悪判定が困難であった.面庖型と節型の一部については組織型の推定が可能と思われた.乳管内病変の穿刺吸引細胞診では認められることの多い筋上皮は6例で確認されたが, 線維性の芯はみられなかった.
    結論:非浸潤性乳管癌を主体とする病変の捺印細胞像は, 悪性との判定が容易な組織型と良悪判定が困難な組織型に分けられた.捺印細胞診による組織像の推定は, 穿刺吸引細胞診よりも困難と思われた.
  • 石原 明徳, 小山 英之, 井原 慎二, 河合 美穂, 小川 朋子, 田中 浩彦
    2005 年 44 巻 5 号 p. 279-283
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:梗塞をきたした乳管内乳頭腫の経過と穿刺吸引細胞所見を検討した.
    方法:乳管内乳頭腫32例のうち梗塞を伴う7例について, 細胞診所見と組織所見を対比し梗塞の経過に伴う細胞診の特徴を検討した.
    成績:梗塞初期では, 濃縮核, smudged nuclei (ぼやけた核), 核消失のみられる円柱状, 線維状, 紡錘形および多角形を呈した変性細胞が多量に観察された. 中期では大量の壊死物質を背景に乳管上皮細胞が観察され, 後期 (修復期) では少量の壊死物質とともに乳管上皮細胞, 線維芽細胞が観察された.
    結論:梗塞をきたした乳管内乳頭腫は時間の経過とともに細胞像に変化がみられることを明らかにした. いずれの時期においてもviableな細胞が観察されない場合には, 良・悪性の判定は困難であり, このような場合は鑑別困難と判定して生検診断に委ねるべきである.
  • 石原 明徳, 小川 朋子, 田中 浩彦
    2005 年 44 巻 5 号 p. 284-290
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺穿刺吸引細胞診で観察される壊死物質について診断上の評価と問題点について検討した.
    方法:組織学的に診断が確定した乳腺細胞診症例906件 (悪性524件, 良性382件) を対象とした.
    成績:壊死物質が観察された標本の873%は悪性病変であり, 非浸潤性乳管癌と乳頭腺管癌 (ともに面庖癌) が多かった. 壊死物質とともに石灰化小体がみられた例はすべて悪性病変であり, 多数の石灰化小体を伴う例の95%は面庖癌であった. 良・悪性を問わず梗塞性病変では, 壊死物質とともに立方状, 多角形, 紡錘形など多様な形態を示す変性細胞や核濃縮細胞, ghost細胞が観察された. また壊死物質と鑑別の紛らわしい壊死様物質について述べた.
    結論:変性細胞や壊死物質を認める標本ではviableな細胞で診断する. 壊死物質および壊死様物質が観察される標本の判定と取り扱いについて乳腺細胞診新報告様式に基づく診断フローチャートを提案し, その評価法について述べた.
  • 佐野 順司, 吉本 尚子, 溝口 良順, 齊藤 みち子
    2005 年 44 巻 5 号 p. 291-297
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:アルギン酸ナトリウムを用いたセルブロック法と細胞診所見を併用することにより, 細胞診正診率の向上を目的とした.
    対象:当院の子宮内膜細胞診塗抹後のエンドサイトおよびブラシ洗浄液495検体, 穿刺針洗浄液67検体, 気管支ブラシ洗浄液14検体, 合計576検体を用いた. また, マウス白血病培養細胞L1210 (以下Ll210と略す) を微量遊離細胞の回収効果実験の対象検体とした.
    方法:(1) 一次遠心後, 洗浄し, 1%アルギン酸ナトリウムを加えた後, IM塩化カルシウムを加えて固めた. 固形物を通常の方法でパラフィン包埋した.(2) 培養液を希釈して, 全量5mlを用いてアルギン酸ナトリウム法および従来のキムワイプ法で標本を作製し, HE標本中100μm2の細胞数を比較した.
    結果: アルギン酸ナトリウムを用いたセルブロック法で作製したHE標本は, 細胞診と同様の所見が得られた. 塗抹細胞診の重積性細胞集塊はセルブロックによって組織構造所見が明瞭となり, 免疫染色結果も良好であった. 培養細胞希釈実験により, 少数遊離細胞検体を高率に回収できた.
    結論:アルギン酸ナトリウムを用いたセルブロック法は簡便であり, 細胞診所見と併用することにより細胞診正診率の向上に寄与できると考えた.
  • 鮫島 千恵, 北村 隆司, 根神 仁志, 津田 祥子, 楯 玄秀, 塩川 章, 光谷 俊幸, 太田 秀一
    2005 年 44 巻 5 号 p. 298-303
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:乳腺悪性腫瘍としてはまれな乳腺原発悪性リンパ腫5例の細胞像について報告した.
    症例:患者は52歳から84歳の女性で, 主訴は全例乳房腫瘤であり, 腫瘍径は2.1~8.7cm大であった. 同側リンパ節転移が5例中1例にみられ, この症例は最も腫瘍細胞が大型であった. 穿刺吸引細胞診では5例とも, 豊富な腫瘍細胞が孤立散在性に認められ, 背景にはlymphoglandular bodyがみられた. また個々の腫瘍細胞は比較的小型でN/C比が高く, 大型明瞭な核小体を持ち, クロマチンは細顆粒状で密に増量していた. 著しい核形不整を示す症例が5例中2例に認められた. 以上の所見から全例を細胞学的に悪性リンパ腫と診断し, 組織学的検索で, びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と確認された. 全例に外科的根治術が行われ, 5例中4例に追加化学療法, 3例に放射線療法が施行された.
    結語:今回報告した全例で, 細胞判定は悪性で, 悪性リンパ腫と推定診断されており, 穿刺吸引細胞診が乳腺原発悪性リンパ腫の摘出生検の縮小に一役を担う検査法になると思われた. 今後は, 乳腺原発悪性リンパ腫の予後を検討するには, 亜分類を含めた詳細な組織学的分類やCD5, bcl-2, p53などの免疫組織学的予後因子を踏まえた検討が必要であると考えられた.
  • 山田 真人, 清水 進一, 坂田 ふみ子, 澤木 由里香, 赤澤 康弘, 佐藤 圭美, 大月 寛郎, 小林 寛
    2005 年 44 巻 5 号 p. 304-308
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:体腔液中に腫瘍細胞が出現し, 診断が困難であった胞巣型横紋筋肉腫の1例を報告する.
    症例:16歳, 男性. 労作時の息切れを主訴に当院内科を受診し, 胸水, 心嚢液および腹水の貯留を認めた. 心嚢液, 胸水細胞診ではN/C比大の小型, 円形の腫瘍細胞からなる核密度の高い球形の細胞集塊が多数みられ, 一部に腺腔様構造や鋳型構造も認められた. 臨床所見, 細胞所見および生検組織所見から上皮性悪性腫瘍あるいは線維形成性小円形細胞腫瘍 (desmoplastic small round cell tumor, 以下DSRCT) の可能性を考えた. 剖検では腹膜, 胸膜, 心膜など漿膜主体に胞巣状増生を主体とする腫瘍細胞がみられ, いわゆる “つるし柿状” の像も認められた. 免疫組織化学的に腫瘍細胞はvimentin, desmin, myoglobin, myogeninなどに陽性を示し, 遺伝子解析でキメラ遺伝子PAX3-FKHRも認められ, 胞巣型横紋筋肉腫と診断した.
    結論:小円形細胞腫瘍の細胞診断では, 年齢や発生部位など臨床所見を念頭に置き, 総合的な判断をすべきであるが, 特徴的な腫瘍細胞, 細胞配列および背景所見などを認めない場合には細胞診のみでの診断は難しいと考える.
  • 斉藤 忠, 田丸 淳一, 栢尾 純子, 葛生 吉彦, 岡田 裕子, 小寺 美智子, 岸 宏久, 三方 一澤
    2005 年 44 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:上皮性悪性腫瘍との鑑別を要したde novo CD5 positive diffuse large B-cell lymphoma (de novo CD5+DLBCL) の1例を経験したので報告する.
    症例:症例は70代, 女性.数年来の易疲労感を主訴に近医を受診し, 全身のリンパ節腫脹が認められたため当院内科を紹介された. リンパ節捺印細胞診および骨髄の穿刺吸引材料標本において, 上皮様結合を有する異型細胞の集塊が認められた. 上皮性悪性腫瘍の骨髄浸潤およびリンパ節転移が考えられたが, 免疫染色において腫瘍細胞はCD5, CD20陽性, CD21, CD23, CyclinD1陰性であった.フローサイトメトリーによるリンパ球表面マーカー解析ではCD5, CDI9, CD20が高値を示しCD10およびCD23は低値であった. 以上の結果よりde novo CD5+DLBCLと診断した.
    結論:本症例における腫瘍細胞の形態および増殖パターンは上皮性悪性腫瘍との鑑別を要した. 正確な細胞診断および病理診断のためには, 腫瘍細胞形態の詳細な観察に加え免疫学的検討が肝要であると思われ, きわめて教示的な1例であった.
  • 佐藤 勝明, 上見 嘉子, 河村 常作, 谷本 一夫, 岡崎 恵子, 上田 善道, 勝田 省吾
    2005 年 44 巻 5 号 p. 314-318
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:胆管原発の腺内分泌細胞癌はきわめてまれで, 非常に予後不良な悪性腫瘍である. 今回, われわれは下部 (膵内) 胆管原発の大細胞神経内分泌癌成分を伴った腺内分泌細胞癌を経験したので, 細胞像を中心に報告する.
    症例:68歳, 男性.約1ヵ月前より食思不振と全身倦怠感を自覚し, 近医で黄疸を指摘された. CT検査で下部胆管に径2.Ocmの腫瘍を指摘され, さらに内視鏡的逆行性胆管造影時に行われた腫瘤擦過細胞診で腺癌と診断され, 膵頭十二指腸切除術が行われた. 細胞診では, 粗顆粒状のクロマチンと明瞭な核小体を有する空胞状に腫大した核と比較的豊富な細胞質をもつ重積性の強い異型細胞集塊と, 核所見は類似するが核問距離が不均一でより平面的にみえる異型細胞集塊の異なる二種類の集塊を認めた. 組織学的に, 腫瘍は, 大部分が免疫組織化学的にchromograninA陽性の大細胞神経内分泌癌で占められていたが, 表層部には腺腔形成が明瞭な高分化型管状腺癌成分を少量認め, 腺内分泌細胞癌と確定診断された.
    結論:下部胆管においても腺癌に加え, 内分泌細胞癌成分を含んだ腫瘍が発生する可能性を認識することは重要である.
  • 佐藤 勝明, 上見 嘉子, 西田 靖昌, 谷本 一夫, 上田 善道, 勝田 省吾
    2005 年 44 巻 5 号 p. 319-322
    発行日: 2005/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:甲状腺未分化癌の多くは分化癌からの未分化転化により発生するが, 転移巣でのみ未分化転化を呈した報告例は少ない. 今回, われわれは甲状腺乳頭癌が頸部リンパ節転移巣においてのみラブドイド形質を示す未分化転化を呈したと考えられるまれな症例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
    症例:77歳, 男性. Graves病のため外来通院中であったが, 約2週間前より疹痛を伴う右頸部腫瘤を自覚し受診した. CTでは, 甲状腺右葉上極と右側頸部にそれぞれ腫瘤を認めた. 腫瘍切除術が行われ, 後者の捺印細胞診では, 粗穎粒状のクロマチンと明瞭な核小体を有する核をもつ異型細胞を多く認め, 細胞質に封入体様構造物をもつラブドイド形質を伴う細胞もみられた. 組織学的には, 甲状腺腫瘍は高分化乳頭癌で未分化成分は確認されず, 所属リンパ節転移を伴っていた. 右側頸部腫瘍は紡錘形細胞あるいは多核巨細胞のほか, ラブドイド形質を伴う細胞を多数認める未分化癌であり, 乳頭癌のリンパ節転移巣における未分化転化により生じたと考えられた.
    結論:甲状腺癌においてもラブドイド形質を伴う未分化癌の一型が存在することを認識することは, 頸部腫瘤の細胞診において参考となる.
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