目的:細胞転写法の所要時問の短縮化を目的として, その改良を行い, 免疫染色やFISH法への影響を検討した.
方法:胃腺癌11例の腹腔洗浄液, 同4例の腫瘍部擦過細胞および浸潤性乳管癌6例の腫瘍部擦過細胞を対象とした. 未転写スライドを比較対照とし, 細胞転写5方法で細胞転写スライドを作製した. 腹腔洗浄液と胃腺癌擦過細胞では, PAS反応, 免疫染色 (Ber-EP4, cytokeratin (CK) 5/6) を行い, 染色強度を比較した. また, 乳管癌擦過細胞では, HER-2DNAプローブを用いたFISH法を行い, シグナル強度を比較した.
成績:転写5方法 (A~E) での所要時間は, A: 2日, B: 2日, C: 1時間, D: 40分, E: 23分であった. PAS反応とBer-EP4免疫染色では対照スライドに比べ, 染色強度・シグナルの軽度減少がみられたが, 判定への影響はなかった. CK5/6免疫染色では対照スライドに比べ, 転写4方法 (A, C, D, E) のスライドで染色強度の増加がみられた. FISH法では転写5方法中, E法が最も良好であった.
結論:E法での細胞転写法はきわめて短時間で完了し, 日常の細胞診断に有用である.
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