日本臨床細胞学会雑誌
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45 巻 , 6 号
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  • 杉島 節夫, 是松 元子, 及川 洋恵, 岩崎 常人, 市原 清志, 佐藤 雅美, 亀井 敏昭, 金城 満
    2006 年 45 巻 6 号 p. 313-317
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:細胞検査士の鏡検業務による種々の身体的症状の特徴の把握のために行った.
    方法:顕微鏡による鏡検業務を行っている細胞検査士 (以下細胞検査士) 男性49名, 女性53名の計102名および, 対照として鏡検業務を行っていない臨床検査技師 (以下対照) 男性27名, 女性72名の計99名, 合計201名 (対象年齢は50歳未満) に対して健康調査票を作成し比較調査を行った. なお, 身体症状に対する回答は2-5段階で設定し数値化した.
    眼性疲労度スコアとして, 眼痛, まぶしさ, 眼瞼痙攣, 眼の乾きに関する回答の合計値, 視調節障害スコァとして, 近くが見づらい, 遠近調節力低下に対する回答の合計値を, 身体疲労度スコアとして, 頭痛, 肩こり, 肩痛, 上腕痛, 肘痛, 手首痛, 腰痛に関する合計値を算出し, それらと関連する要因について重回帰分析を用いて検討した. 一方, 細胞検査士かどうかを目的変数として, 多重ロジスティック分析で, 細胞診従事者で頻度の多い身体症状について解析を行った.
    結果: 重回帰分析により, 眼性疲労度スコアは女性で高く, 細胞検査士でより強くみられた. また, 視調節障害スコアは, 加齢とともに高くなるが細胞検査士でより高かった. 身体疲労度スコアは, 眼痛等の眼症状と強い相関を示し, 細胞検査士であることも強い要因であることが示された. 一方, 多重ロジスティック分析により, 細胞検査士では, 近視の頻度が高く, 身体症状のなかでも, 肘痛や肩こり, 近くが見づらいなどの頻度が有意に高いことが明らかとなった.
    結論:細胞検査士では, 一般臨床検査技師に比べ, さまざまな健康障害がより高頻度に発生していることが明確になった.
  • 今井 律子, 夏目 園子, 大池 里枝, 田中 瑞穂, 氏平 伸子, 佐竹 立成
    2006 年 45 巻 6 号 p. 318-322
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:(1) 尿路上皮癌細胞異型度 (C-G) 1の細胞が平坦に発育する病変 (G1平坦病変) の尿路上皮癌に合併する頻度,(2) 自然尿細胞診標本中にGl平坦病変由来の細胞が出現する頻度と細胞像,(3) G1平坦病変のCytokeratin20 (CK20) 陽性頻度と陽性所見を検討した.
    対象:(1) 膀胱尿路上皮癌47例の生検組織標本 (HE標本),(2) G1平坦病変が確認された18例の術前自然尿細胞診標本 (Pap.標本),(3) G1平坦病変43切片, 尿路上皮内癌 (CISと略す) 44切片.
    方法:(1) H.E.標本の顕微鏡的観察,(2) Pap.標本の顕微鏡的観察,(3) CK20モノクローナル抗体 (DAKO社) を用いた免疫染色標本の顕微鏡的観察.
    成績:(1) G1平坦病変の合併頻度は57%であった.(2) G1平坦病変由来の細胞が出現する頻度は61%であった.細胞の出現数は平均19個と少なく, 細胞は核の長径9μm以下と小型であった.(3) G1平坦病変のCK20陽性率は56%でCISと同様な染色形態を示した.
    結論:G1平坦病変に由来する細胞は主病変を切除しても, 標本中に出現する可能性がある.G1平坦病変は膀胱癌取り扱い規約やWHO分類の尿路上皮異形成 (dysplasia) に相当する病変と考えられる.
  • 石井 美樹子, 宮田 佳奈, 小島 貴, 赤嶺 亮, 河野 純一, 島田 智子, 小坂井 守, 田中 文彦
    2006 年 45 巻 6 号 p. 323-328
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:日常的には鏡検する機会の少ない副甲状腺腫瘍の細胞診を経験したので, 副甲状腺過形成および他に鑑別を要する甲状腺疾患の細胞像との比較検討を試みた.
    症例:49歳, 女性.46歳時に人工透析に伴う腎性副甲状腺機能亢進症を指摘され, 副甲状腺全摘が行われた際, その一部が甲状腺周囲筋肉内に自家移植された.3年後, 甲状腺右葉から峡部にかけて鶏卵大の低エコー領域を認めたため穿刺吸引細胞診を施行, 小型円形核に粗顆粒状の核クロマチンを有する細胞のシート状または重積性のある集塊が得られた.既往所見等から副甲状腺関連病変の再発を疑ったが, 細胞像のみからは良悪性の鑑別は困難であり, 手術材料の組織学的所見および免疫染色所見より, 自家移植された過形成組織を母地として発生した副甲状腺腫瘍と考えられた.
    結論:副甲状腺疾患の良悪性の細胞診での判定は困難であるが, 副甲状腺疾患の既往や甲状腺疾患細胞の鑑別点に注意することにより診断が可能と思われた.
  • 吉田 桂子, 宮平 良満, 岩井 宗男, 宮本 敬子, 石田 光明, 小島 史好, 九嶋 亮治, 岡部 英俊
    2006 年 45 巻 6 号 p. 329-332
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: トルコ鞍斜台部に発見された蝶形骨洞原発扁平上皮癌のまれな1例を報告する.
    症例: 49歳, 男性.右方注視時の複視を主訴とする.画像診断では斜台部に破壊性増殖を示す腫瘤が認められ, 脊索腫が疑われた.腫瘍捺印標本では, 細胞質の少ない小型紡錘形細胞が結合性の弱い集塊や孤在性細胞として出現し, 上皮性腫瘍が疑われた.免疫染色の結果, 扁平上皮癌が推定された.病理組織標本では, 分化の乏しい小型紡錘形細胞からなる充実性胞巣で占められていたが, 一部で扁平上皮への分化傾向がみられた.しかし, 通常の組織所見のみでは最終分類にはいたらず, 免疫染色の結果と他臓器からの転移は検索により否定されたことで, 最終的に蝶形骨洞原発の扁平上皮癌と診断された.
    結論:斜台部を侵襲する原発性腫瘍としては脊索腫が一般的であるが, まれに直下の蝶形骨洞からの癌の直接浸潤の可能性も一考する必要があると考えられた.
  • Joji SEKINE, Katsumi HIDESHIMA, Shuichi FUJITA
    2006 年 45 巻 6 号 p. 333-336
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Background: We report a case of polymorphous low-grade adenocarcinoma (PLGA) of the palate showing features similar to adenoid cystic carcinoma (ACC) in smear cytology.
    Case and Conclusion: Imprint specimens from the cut surface of biopsied tissue in a 78-year-old woman with a painless mass in the palate contained many neoplastic cells arranged in tight clusters, and mucous ball-like structures, pseudopapillary, tubular, and solid patterns were observed. Cells forming these clusters varied in size and had abundant eosinophilic, granular cytoplasm. Nuclei were round to oval and had a relatively smooth configuration. Although ACC was suspected cytologically, PLGA was confirmed by histopathological section. As opposed to imprint specimens obtained from resected tumors, no indian file arrays or concentric targetoids were detected in the imprint from the biopsied specimen, which thus led to diagnostic failure.
  • 西山 尚子, 西 國広, 西山 憲一, 八反田 洋一, 加来 恒壽
    2006 年 45 巻 6 号 p. 337-340
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:Stage IVの胃癌 (中~ 低分化型腺癌) 症例の術中に提出された腹腔洗浄液細胞診にて, 砂粒小体を伴った無数の乳頭状集塊を認め, 卵巣癌が疑われたserous adenofibromaの1例を経験したので報告する.
    症例:59歳, 女性.12ヵ月前より腹痛あるも放置していたが, 症状増悪のため当センター受診, 入院となる.精査の結果, 胃癌と診断され胃全摘術となった.術中の腹腔洗浄液細胞診にて, 卵巣腫瘍の存在が疑われたため, 1ヵ月後再度開腹術となり単純子宮全摘出術, 両側付属器切除術が施行された.洗浄腹水の細胞像は胃癌の細胞像とは明らかに異なっており, 細胞異型, 核異型は軽度ながらも無数の砂粒小体を伴った乳頭状集塊を認め, serous papillary adenocarcinomaの存在を否定できなかった.
    結論:術中腹腔洗浄細胞診においては他臓器に由来する悪性腫瘍の存在も考慮しなければならないが, 良性腫瘍においても多量の腫瘍細胞が洗浄液中に出現する可能性を一考する必要があると考えられた.
  • 中元 剛, 溝上 友美, 生田 明子, 斉藤 淳子, 神崎 秀陽
    2006 年 45 巻 6 号 p. 341-345
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:大量腹水を伴った卵巣島状カルチノイドの1例を経験し, 腹水細胞像, 組織像, 免疫組織化学的な検索を行った.
    症例:72歳の女性. 腹部膨満感を主訴とし, 腫瘍マーカーは, CA125366. 6U/ml, CA19-963. 5U/ml, SLX84U/ml, CEA7. 5ng/mlと上昇を認めた. 画像診断で多量の腹水を認め, 右成熟奇形腫, 左卵巣癌が疑われ, 開腹手術を施行. 右卵巣腫瘍は成熟奇形腫, 左卵巣腫瘍は島状カルチノイドと診断された. 腹水細胞診は, 小型で, 細胞質の狭いほぼ均一大の腫瘍細胞が軽度重積性を示す集塊, ロゼット様あるいは散在性に出現し, 細胞質はライトグリーンに淡染し, 核は大小不同に乏しく, クロマチンは粗穎粒状に増量していた. 左卵巣腫瘍の手術材料の免疫組織染色では, Grimelius, Chromogranin A, NSE, AE-1, Serotoninが陽性を示しCD56, CEAは, 弱陽性であった. 一方, Peptide YYは陰性であった. 腹水細胞も同様にChromogranin Aが陽性であった.
    結論:卵巣島状カルチノイドの病理診断には, カルチノイドに特徴的な細胞所見と免疫組織化学の併用が有用と思われた.
  • 阿部 徳子, 眞田 照一郎, 原田 智子, 佐竹 立成, 中島 伸夫
    2006 年 45 巻 6 号 p. 346-347
    発行日: 2006/11/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report cytological features in a case of ovarian transitional cell carcinoma. A 60-year-old woman seen for irregular genital bleeding was found in MRI to have a left ovarian tumor accompanying ascites. The uterus and bilateral ovaries were resected. Cytological examination of ascites showed many small round or oval cells with a relatively high N/C ratio and conspicuous irregular nuclei as clusters or single cells. The average nuclear size of 50 nuclei was 9μm on the long axis and 6.4μm on the short axis. Our case underlines the need to consider the possibility of ovarian transitional cell carcinoma when observing the cytological features described above in ascitic smears.
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