日本臨床細胞学会雑誌
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45 巻 , 1 号
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  • 阿部 和子, 高島 且統, 五十嵐 司, 大友 圭子, 木村 伯子
    2006 年 45 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:悪性中皮腫の組織診断に高い特異性と感度をもつポドプラニンが, 体腔液中の反応性中皮細胞や悪性中皮腫, および腺癌の鑑別に有用であるか検討を行った.
    方法:体腔液に腫瘍細胞が出現している肺癌10例, 乳癌10例, 胃癌10例, 卵巣癌5例の計35例と悪性中皮腫3例, および反応性中皮細胞が出現している非癌症例30例にポドプラニンに対する特異抗体を用いて免疫染色を行った.
    成績:ポドプラニンはすべての非癌症例の中皮細胞に陽性で, 特に反応性中皮細胞がより強く陽性を示した.癌症例では35例中33例 (94%) が陰性だったが, 2例の卵巣明細胞腺癌で腫瘍細胞の一部が弱陽性を示した.悪性中皮腫では3例すべてが陽性を示した.
    結論:ポドプラニンは反応性中皮細胞と悪性中皮腫で陽性を示すが, 大部分の腺癌では陰性でそれらの鑑別に有用である.しかし卵巣の明細胞腺癌が一部, 陽性を示すことを念頭におく必要がある.ポドプラニンによる反応性中皮細胞と悪性中皮腫の鑑別は困難であった.
  • 澁木 康雄, 蔦 幸治, 野本 清明, 前澤 直樹, 栃木 直文, 前島 亜希子, 笹島 ゆう子, 松野 吉宏
    2006 年 45 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:原発性肺腺癌の同定に有効な免疫組織化学的マーカーであるSurfactant apoprotein A (SP-A), Napsin A, Thyroid transcription factor-1 (TTF-1) を用い, 細胞検体における有用性を検討した.
    方法:原発性肺癌80例 (腺癌67例, 扁平上皮癌10例, その他3例), 転移性肺腫瘍20例 (大腸癌9例, 腎癌4例, 膀胱癌3例, 月刊蔵癌2例, 乳癌2例), 胸膜悪性中皮腫2例, 胃癌10例, 乳癌10例の切除材料からの捺印標本をアルコール固定し, SP-A, Napsin A, TTF-1の各抗原に対する抗体を用いた免疫染色を行った.
    成績:原発性肺腺癌において, SP-Aは68.7%, Napsin AおよびTTF-1は76.1%の陽性率であった. そのうち非粘液産生型腺癌に限れば, SP-Aは73.7%, Napsin AおよびTTF-1では82.5%とより高い陽性率であった.その他の原発性肺癌, 転移性肺腫瘍, 胸膜悪性中皮腫, 乳癌, 胃癌はすべて陰性であった.なおNapsin AとTTF-1陽性症例はすべて一致し, SP-A陽性全症例を含んでいた.
    結論:Napsin AおよびTTF-1は細胞検体における原発性肺腺癌の同定に有用である.
  • 多比良 朋希, 内藤 嘉紀, 河原 明彦, 横山 俊朗, 岡部 義信, 鹿毛 政義
    2006 年 45 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診にて膵内分泌腫瘍と診断し, 病理組織学的に非機能性膵内分泌癌と診断された1例を経験したので報告する.
    症例:50歳代の女性.腹部超音波にて膵体部に23×29mm大の腫瘍を認めた.血液生化学検査および膵液細胞診に異常所見はなかったため, 超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診が施行された.腫瘍細胞は集塊状および散在性に多数出現し, 血管内皮細胞を伴う集塊も散見された.腫瘍細胞は小型円形を呈し, N/C比の増加, 穎粒状の核クロマチンが観察された.これらの細胞像により膵内分泌腫瘍と診断し, 腫瘍摘出術が施行された.腫瘍は病理組織学的にリボン状および索状に配列し, 毛細血管が介在していた.電子顕微鏡で神経内分泌穎粒が認められ, 免疫組織化学にて神経内分泌への分化が確認された.腫瘍は部分的に周囲膵組織へ浸潤し, 血管侵襲もみられたため, 非機能性膵内分泌癌と診断した.
    結論:膵腫瘍における超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診は細胞変性を最小限に抑え, 細胞採取量も確保されるため診断的価値は高い.
  • 高橋 信二, 佐藤 祐嘉子, 波多野 吉治, 田中 昇, 遠藤 太嘉志, 春日 孟
    2006 年 45 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:アポクリン化生細胞の存在は, 良性の化生性変化においてみられることが多く, したがってアポクリン癌の診断には慎重を要するといわれている. 細胞診にて術前に推定しえた乳腺アポクリン癌の3例を報告する.
    症例:3例すべては胞体内にアポクリン顆粒が豊富で, 特に核小体が大きく明瞭 (3μm以上が大部分) であることなどから, 細胞診および病理組織学的にアポクリン化生よりは, アポクリン癌と診断された. いずれも細胞診が有用であった症例である.
    結論:手術材料の免疫組織学的検索では, gross cystic disease fluid protein-15 (以下GCDFP-15) が陽性を示し, 電顕的検索ではホルマリン固定材料のため詳細は不明であったが, 多数の空胞化した壊れの著しいミトコンドリアや分泌顆粒様構造を有する細胞が混在し, 核異型の著しいことなどアポクリン癌の診断に有用な所見が得られた.
  • 甲斐 俊一, 佐藤 美帆, 後藤 英貴, 加島 健司, 横山 繁生, 近藤 能行
    2006 年 45 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:Cystic hypersecretory duct carcinoma (CHDC) は, 好酸性分泌物を容れた多数の嚢胞状乳管内に, 異型性に乏しい腫瘍細胞の乳頭状増殖をみるきわめてまれな乳癌である. 今回われわれは, 典型的なCHDCを経験したので報告する.
    症例:59歳, 女性. 乳癌健診時, 触診と超音波検査で右乳房の多嚢胞状腫瘤を指摘され, 超音波誘導下穿刺吸引 (Hand-Free Method) 細胞診が行われた. 細胞所見は, 好酸性分泌物を背景に, シート状ないしは乳頭状の細胞集塊が散見された. 腫瘍細胞の細胞異型は軽度であったが, 細胞が単一で細胞集塊に腺管状の配列や不均一な重積などの構造がみられたことより乳管癌を疑った. その後の針生検でも確定診断に至らず, 腫瘤切除術が施行された. 切除標本の割面はスポンジ状で, 前述の特徴的な組織所見を呈し, CHDCと診断された.
    結論:CHDCはきわめてまれな腫瘍ではあるが, 特徴的な超音波所見と細胞像より, 細胞診でも診断可能と考える.
  • 土井 貴司, 羽場 礼次, 舩本 康申, 河野 幸治, 松永 徹, 岸田 不二夫, 串田 吉生, 門田 球一
    2006 年 45 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:乳腺原発の紡錘細胞癌は非常にまれな悪性腫瘍である. 今回, われわれは2例の乳腺原発紡錘細胞癌を経験したので, 細胞像を中心に報告する.
    症例:症例1は46歳, 女性. 右乳房しこり. 穿刺吸引細胞診では孤立散在性の紡錘形や多稜形の異型細胞がみられた. 組織学的に腫瘍は肉腫様細胞からなり, cytokeratin (wide spectrum screening) に一部が陽性であった. 腫瘤辺縁のごく一部に癌細胞の乳管内進展像がみられた. 症例2は53歳, 女性. 左乳房の嚢胞性病変. 結合性の強い重積性の異型細胞集塊と少数の多稜形を示す大型異型細胞がみられた.組織学的には嚢胞内面を肉腫様細胞と腺癌細胞が裏打ちしていた.
    結論:紡錘細胞癌は細胞診では肉腫様細胞がみられること, 肉眼的には嚢胞状を呈する場合があることを念頭に置くべきである.
  • 赤松 節, 姫路 由香里, 長澤 優子, 山田 美弥子, 板垣 由香里, 筑後 千得子, 本間 慶一
    2006 年 45 巻 1 号 p. 32-34
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:乳腺穿刺細胞診にて肉芽腫性乳腺炎 (granulomatous mastitis, 以下GMと記す) を推定しえた症例を経験したので報告する.
    症例:患者は38歳, 右乳房の腫脹, 発赤を主訴に来院.画像上, 右乳房皮膚の肥厚と乳腺濃度の上昇がみられたが, 明らかな腫瘤は認められなかった.しかし, 炎症性乳癌の疑いもあり穿刺吸引細胞診とneedle biopsyが行われた.穿刺吸引細胞診では, 多核白血球の多い炎症性背景に, 類上皮細胞と思われる紡錘形細胞集塊や多核の組織球が多く認められたが, 乳管上皮細胞は認められなかった.組織学的にはリンパ球, 組織球, 多核巨細胞による肉芽腫性病変がみられ, 病巣周囲の乳腺小葉にリンパ球の浸潤があることからGMと診断された.
    結論:GMは臨床的に乳癌との鑑別が困難なまれな疾患であるが, ステロイド剤による治療が有効であることから, 穿刺吸引細胞診が有用であると思われた.
  • 廣川 満良, 高橋 睦夫
    2006 年 45 巻 1 号 p. 35
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 三宅 真司, 長尾 俊孝, 清水 亨, 芹澤 博美, 岩屋 啓一, 若槻 よしえ, 横山 明子, 小池 悦子, 向井 清
    2006 年 45 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:多形腺腫は上皮性成分と問葉系成分からなる多彩な組織像を示す. その多彩性は主にさまざまな形態を示す腫瘍性筋上皮細胞に起因している. 今回われわれは, 多形腺腫における腫瘍性筋上皮細胞の細胞診上の特徴像を把握する目的で組織像と細胞像の対比を行った.
    対象:当院にて組織学的に診断され, 細胞診標本が得られた唾液腺多形腺腫症例30例 (耳下腺22例, 顎下腺8例) について比較検討を行った.
    成績:組織標本上, 腫瘍性筋上皮細胞の基本的な細胞形態は, 類上皮細胞型・淡明細胞型・類形質細胞型・紡錘形/星状細胞型の4種類の型に分類できた. そのほかに特殊な形態を示す腫瘍性筋上皮細胞として, 類軟骨細胞型・扁平上皮化生細胞型・大型奇怪細胞型・類基底細胞型・類脂肪細胞型などが認められた. これら各型の腫瘍性筋上皮細胞は, 細胞診標本においても確認できた. 特に組織像をよく反映し, 細胞診標本上認識しやすかった腫瘍性筋上皮細胞は, 類形質細胞型・紡錘形/星状細胞型であったが, 淡明細胞型および類脂肪細胞型を明らかな腫瘍性筋上皮細胞として同定することは困難であった.
    結論:組織像と比較対比することにより, 多形腺腫にみられる多彩な腫瘍性筋上皮細胞の細胞学的特徴を詳細に把握することができた. この多彩な腫瘍性筋上皮細胞の形態を把握することが, 多形腺腫の細胞診断には重要であると考える.
  • 加藤 拓, 松本 敬, 高橋 久雄, 徳泉 美幸, 諏訪 朋子, 清水 辰一郎, 上原 敏敬, 久山 佳代, 山本 浩嗣
    2006 年 45 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:多形腺腫の特に筋上皮細胞の多様性を確認するために, 電子顕微鏡的および免疫組織化学的検討を行った.
    対象:細胞学的および組織学的に多形腺腫と診断された5例に, 電子顕微鏡的観察および免疫組織化学的染色 (cytokeratin, GFAP, vimentin, S-100, SMA) を行った.
    結果:(1) 多形腺腫の構成細胞は腺管細胞とそれ以外の細胞に分類でき, 腺管細胞は正常唾液腺の介在部腺管細胞に, それ以外の細胞は正常筋上皮細胞と所見が類似した.(2) 腺管以外の細胞は多様な細胞変化がみられ, 結合性の類円形~ 短紡錘形細胞はdesmosome結合が多く観察され, またcytokeratinに弱陽性を示し上皮性性格をもっていた.(3) 結合性が乏しく, 剥離性の紡錘形~ 扁平化生様細胞は正常筋上皮細胞と所見が最もよく一致した.(4) 粘液腫様背景にみられる星状~小円形細胞はpinocytotic vesiclesやglycogenなどが発達し, proteoglycan穎粒の産生がみられ, 軟骨化生様細胞に類似した.またGFAP, vimentin, S-100が陽性を示し多様な問葉系性格を呈した.(5) 時に腺管細胞の一部にglycogen, intermediate filamentの豊富な予備細胞または筋上皮細胞と思われる細胞が観察された.
    考察:この腫瘍の発生由来には唾液腺介在部の細胞が関係していると考えられた.特に多様な細胞変化は腫瘍性筋上皮細胞が主体を占め, この細胞は形態の多様性とともに性格の多様性もみられた.
  • 河原 明彦, 原田 博史, 横山 俊朗, 鹿毛 政義
    2006 年 45 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    筋上皮系細胞が関与する唾液腺腫瘍は, 多形腺腫や腺様嚢胞癌がよく知られているが, 上皮筋上皮癌に対する細胞学的所見やその考え方などは必ずしも一致していない.したがって, 本稿では本腫瘍の構成成分である導管上皮細胞と淡明筋上皮細胞の出現形態およびその関係を明らかにした.さらに, 鑑別診断および淡明細胞を伴う悪性唾液腺腫瘍の診断的留意点についてまとめた.淡明細胞優位の上皮筋上皮癌の質的診断を行う際には, 他の唾液腺腫瘍との違いを理解しておくことが重要であり, α-smooth muscle actinあるいはP63抗体を用いた免疫細胞化学を併用するほうがよい.
  • 塚本 徹哉, 坂 久代, 小林 雅子, 上山 勇二, 谷田部 恭, 中村 栄男, 稲田 健一, 立松 正衛, 越川 卓
    2006 年 45 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 2006/01/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:唾液腺腺様嚢胞癌の形態学的および免疫組織学的解析を行い, 穿刺吸引細胞診においてその診断補助となるようなマーカーの検索を行った.
    方法:唾液腺腺様嚢胞癌24例について, 上皮系細胞のマーカーとして, cytokeratin (CK), epithelial membraneantigen, carcinoembryonic antigen, 筋上皮系細胞のマーカーとして, P63, α-smooth muscle actin, S100蛋白, CD44 variant 6, maspin, c-KIT, glial fibrillary acidic protein, vimentin, および細胞増殖のマーカーとして, Ki-67, 粘液染色として, periodic acid-Schiff, Alcian blueを行った.また, 細胞診の検体を用いて, CKとp63の免疫染色を施行した.
    結果:上皮系細胞のマーカーとしてCKが, 筋上皮系細胞のマーカーとしてP63が, 感度, 特異性ともに最も優れており,(1) tubular typeでは, 内側が上皮系で, 周囲に筋上皮系が存在し,(2) cribriform typeでは, 筋上皮系が偽腺腔を覆い, 上皮系がその間を介在しており,(3) solid typeは, 筋上皮系細胞が主体に増殖する像が得られた.細胞学的にも, cribriformtypeでは, p63陽性の筋上皮細胞が偽腺腔を覆い, その周囲にCK陽性の上皮細胞が存在すること, また, tubulartypeでは, CK陽性の上皮細胞集塊の周囲をp63陽性の細胞が取り巻くことが示され, 診断に有用であった.
    結論:唾液腺腺様嚢胞癌は, 非常に多彩な組織像を示すが, 穿刺吸引細胞診において診断困難例については, CKとp63の免疫染色による対比が有効であることが示唆された.
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