日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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45 巻 , 2 号
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  • 池田 聡, 木村 博, 本間 恵美子, 横溝 早苗, 船越 尚哉
    2006 年 45 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:診断上問題となる細胞に免疫染色を再染色したり, 細胞診標本よりDNAを抽出して細胞の由来の推定や良悪性の鑑別診断を行う技術が普及しつつある. 今回われわれはこれらの新しい技術に対する封入剤の影響を調べた.
    対象と方法:4種類の封入剤で未染色のまま封入したものと, 対照としてアルコール固定のみの未封入標本の5種類の標本を検討した. 60件 (6例×5種類×2抗原) の細胞診標本, 薄切組織標本それぞれについて4日間封入後免疫染色を行った. さらに3例×5種類の計15件の細胞診標本について, 1ヵ月間封入した後, Ki-67免疫染色を行って同様に観察した. また30件 (6例×5種類) の標本よりDNA抽出を行いPCRにてβグロビンの検出を行い, DNAの保存状態を調べた.
    結果: 免疫染色の染色強度やDNAの保存状況は封入剤の種類により差がみられ, 特に一つの封入剤では検出不能となった.
    結語: 細胞診標本からの再染色やDNA抽出に対し, 封入剤の影響を考慮する必要のあることが明らかになった.
  • 平 紀代美, 松林 聡, 東 学, 中島 真奈美, 今井 直樹, 鈴木 宏明, 田村 元, 竹原 めぐみ, 山城 勝重
    2006 年 45 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺穿刺細胞診で, 従来法塗抹標本にLiquid-based cytology (LBC) による針洗浄液細胞診標本を追加することの有用性を検討した.
    方法:塗抹標本とLBC標本を作製した乳腺穿刺細胞診症例を検討した. 標本上の細胞数, 乾燥・挫滅などを基準に適正標本数の変化を検証した. またそれらの細胞診断と病理診断との比較を行い, さらにLBC標本の細胞の特徴を明らかにした.
    成績:564例中, LBCの実施により126件で細胞数が増加していた. また50件の塗抹標本では細胞数が十分であったが, 乾燥・挫滅がみられた. 総合的には塗抹標本のみでは248件 (44%) が適正検体であったが, LBC標本を追加することにより411件 (73%) と増加した. 塗抹標本とLBC標本の診断内容に大きな差はみられなかったが, LBC標本を追加したことにより正常・良性検体の多くが診断可能となった. LBCの細胞所見にはいくつかの注意すべき点もあった.
    結論:塗抹標本にLBCによる針洗浄液細胞診を追加することによって明らかに適正標本が増加した. またLBC標本の細胞所見の特徴を把握すれば適切な細胞診断が可能である.
  • 山田 裕子, 越川 卓, 菅沼 良規, 長谷川 泰久
    2006 年 45 巻 2 号 p. 84-90
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:甲状腺および頸部リンパ節の非吸引穿刺細胞診 (NAC) について検体の評価と診断率を検討した.
    方法:検討は過去5年間に超音波ガイド下に非吸引穿刺細胞診を施行した1044例 (甲状腺928例, リンパ節116例) について行った. 最終的に病理組織を確認できた176例 (甲状腺145例, リンパ節31例) と長期観察されたリンパ節病変の76例は細胞診の診断率, 偽陽性率, 偽陰性率, さらに細胞診の推定診断と病理診断との関係について検討した.
    成績:検体の適正については甲状腺症例の6例 (0.7%), リンパ節の12例 (10.3%), 全体で1.7%が検体不適正と評価された. 甲状腺細胞診の正診率, 感度, 特異度は89.5%, 85.0%, 95.6%, リンパ節は98.1%, 96.6%, 98.7%であった.細胞診の推定診断と病理診断の一致率は甲状腺とリンパ節でそれぞれ72.4%, 93.9%であった.
    結論:通常の穿刺吸引細胞診 (FNA) と比較して, 超音波ガイド下で行うNACは甲状腺とリンパ節において検体採取と診断率の両者からみて優れた検査方法であるといえる.
  • 赤松 節, 姫路 由香里, 長澤 優子, 山田 美弥子, 板垣 由香里, 筑後 千得子, 丸岡 央, 児玉 省二
    2006 年 45 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸がん検診受診歴による発見病変について, 細胞採取器具の綿棒とCervexブラシ (以下ブラシ) の比較を検討した.
    対象: 1999年から2004年までの間, 当施設で行った検診受診者2万6344人を対象とした.
    方法:綿棒採取とブラシ採取によるそれぞれの2年および3年連続受診者 (以下2年連続, 3年連続) と1年おき受診者 (以下隔年) の要精検率および精検で発見された病変を比較検討した.
    成績:綿棒採取では, 2年連続の要精検者は32人 (0.62%) で発見病変は, 軽度異形成 (以下軽度) 4人中等度異形成 (以下中等度) 5人, 上皮内がん (以下CIS) 2人であった. 3年連続の要精検者は23人 (0.24%), 発見病変は軽度2人, 中等度2人, CIS2人, 浸潤がん1人であった. 隔年の要精検者は8人 (0.38%), 発見病変は軽度3人であった. ブラシ採取では, 2年連続の要精検者は24人 (0.61%), 発見病変は軽度4人, 中等度3人, 高度異形成1人CIS2人であった. 3年連続の要精検者は4人 (0.09%) で軽度1人が発見された. 隔年の要精検者は3人 (0.33%) で軽度1人が発見された. 要精検率はいずれの器具とも2年連続は3年連続に対し有意に高率であったが, 隔年では有意差はなかった. 採取器具比較では3年連続の要精検率で綿棒がブラシに有意に高率であった. 発見病変では, 綿棒からは2年連続と3年連続に差はなかったが, ブラシでは3年連続からは軽度異形成のみであった.
    結論:隔年検診を実施する場合は2年以上連続受診歴があり, 採取器具をブラシに限定することが望ましい.
  • 藤原 章, 寺嶋 紘美, 宍戸 明美, 錦 淳子, 吉田 恭太郎, 宮内 啓輔, 眞舘 亜矢子, 松浦 成昭
    2006 年 45 巻 2 号 p. 96-102
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:乳腺細胞診断の向上を目的にCEAの免疫染色に着目して検討を行った. あわせて, 分子生物学的解析との比較検討を行った.
    方法:乳腺穿刺吸引細胞診および乳房摘出術を行った208例中, 細胞採取不良等で検索できなかった症例を除いた176例についてCEAの免疫染色を行った. さらに, 摘出症例36例と培養細胞6株についてmRNAを抽出しReverse Transcription Polymerase Chain Reaction法による分子生物学的解析を行い, CEAのmRNA発現と免疫染色による蛋白発現の比較検討を行った.
    成績:良悪鑑別困難症例においてCEA陽性を示したことにより, より適切な診断, 処置を行うことができた. さらに, 外科的摘出術により組織学的診断のついた130例 (悪性119例, 良性11例) のCEA発現の特異度, 感度はそれぞれ64.7%, 90.9%であった.
    免疫染色と分子生物学的解析の比較検討の結果, 一致率は培養細胞100%, 摘出症例83.3%であった.
    結論:判定困難症例においてCEAの免疫染色を用いることにより細胞診断の向上に寄与することを確認した. 近年取り入れられている分子生物学的解析は, 従来の免疫染色と高い相関を示し, 今後の診断向上に期待する.
  • 佐藤 勝明, 竹中 美千穂, 中野 万里子, 寺内 利恵, 上田 善道, 勝田 省吾
    2006 年 45 巻 2 号 p. 103-105
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: WHO分類では, 細気管支肺胞上皮癌は, 肺胞上皮置換性に増殖する腫瘍で, 間質浸潤を伴わないと定義され, さらに粘液非産生性と粘液産生性に大きく分類されるが, その両者の細胞が同一の腫瘍にみられる混合型はきわめてまれである. 今回われわれは, 細気管支肺胞上皮癌 (粘液産生性・非粘液産生性混合型) の1例を経験したので報告する.
    症例: 57歳, 男性. 胸部CTで右肺S6末梢に径3.0cmの腫瘤を認めた. 喀痰細胞診は陰性であった. 胸腔鏡下に右肺下葉部分切除術が行われ, 術中に捺印細胞診を行った. 多量の粘液を背景に, 細胞質に粘液を有する細胞集塊と, 粘液をもたない細胞集塊を認めた. いずれの集塊も重積性は少なく, 異型細胞は, 核の大小不同や核形不整は軽度で, クロマチンは微細で, 核小体は明瞭であった. 組織学的には, 異型肺胞上皮が肺胞壁に沿って増殖し, 異型肺胞上皮には, 細胞質に粘液をもつものともたないものを認め, 両者の移行像がみられた. 間質や胸膜への浸潤は認めず, 細気管支肺胞上皮癌 (粘液産生性・非粘液産生性混合型) と確定診断した.
    結論: 粘液産生性細胞と粘液非産生性細胞が混在した細気管支肺胞上皮癌は, 細胞像からも診断できる可能性がある.
  • 青木 章乃, 谷山 清己, 加太 武, 空 久美, 泉 佳恵, 河岡 久美子, 奥村 真紀子, 石田 克成
    2006 年 45 巻 2 号 p. 106-110
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 乳頭分泌物細胞診で扁平上皮癌との鑑別が困難であった乳腺Pagetoid癌を経験したので, その細胞所見を報告する.
    症例: 患者は84歳, 女性. 乳頭分泌物標本では, 角化扁平上皮細胞やライトグリーンに染まる上皮性細胞集塊が出現し, 背景には多数の好中球が認められた. 細胞集塊内では細胞境界が明瞭で, 個々の細胞は比較的厚い細胞質を有し, 大型円形核小体あるいは複数の小型核小体が目立っていた. 細胞質が明るく泡沫状で核小体が目立つ細胞を見出した点より腺癌も考慮したが, 角化を示す異型紡錘形細胞など異型重層扁平上皮細胞を多数認めたことから扁平上皮癌と報告した. 組織診断は充実腺管癌によるPagetoid癌であり, 異型重層扁平上皮は表皮内病巣の反応性変化であった. 乳頭分泌物標本を転写して抗HER2ヒト化モノクロナール抗体を用いた免疫染色を行ったところ, 異型扁平上皮細胞部分は陰性, ライトグリーン好性異型細胞集団では免疫活性陽性所見が認められた.
    結論:乳頭部びらんを主訴とする症例の乳頭分泌物細胞診においては,異型重層扁平上皮よりも異型腺上皮に重点を置いた慎重な判定が不可欠であり,免疫染色も応用して診断する必要があると考えられた.
  • 山下 展弘, 加地 澄子, 勝山 栄治
    2006 年 45 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 乳腺紡錘細胞癌は乳癌の特殊型に分類されるまれな腫瘍で, その細胞所見の報告は少ない.
    症例: 52歳, 女性. 平成15年9月より左乳房のしこりに気づき, 近医を受診. 10月, 当院に紹介受診. 左乳房ACDE領域に4cm大の比較的境界明瞭な腫瘤を認めた. 術前穿刺吸引細胞診を2回施行した. 1回目: 泡沫細胞を散見する血性背景に, 多核のものを含む大型異型細胞が少数出現していた. その核は類円形で細胞質はライトグリーンに淡染, 腫大し明瞭な核小体をみた. 2回目: 多数の中~大型の異型細胞が不規則重積性から散在性にみられた. 上皮結合を思わせる部分が多かったが, 散在性の部分では紡錘形あるいは胞体の厚い細胞も認めた. 同年12月, 左乳房切除術施行. 組織所見では, 紡錘形の肉腫様腫瘍細胞が増生し, そのなかに上皮性腫瘍細胞が巣状となり散在していた. 多核巨細胞型の腫瘍細胞もみられたが, 軟骨あるいは類骨形成はなかった. 一部で上皮性腫瘍細胞から肉腫様腫瘍細胞への移行像を認め, 紡錘細胞癌と診断した.
    結論: 術前細胞診では組織型の推定は困難であったが, 細胞異型の強い大型細胞や胞体の厚い細胞, 多核細胞など多彩な像を示す場合には紡錘細胞癌も鑑別に入れる必要があると思われた.
  • 大久保 和俊, 九島 巳樹, 狩野 充治, 外池 孝彦, 福田 ミヨ子, 津田 祥子, 矢持 淑子, 岡井 崇
    2006 年 45 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 子宮肉腫は通常, 術後の病理組織検査で診断され, 術前に細胞標本が得られることはまれである. 今回, 画像検査などで原発巣が不明であった腹腔内腫瘍で, 術前の腹水中に腫瘍細胞を認めた症例を経験したので報告する.
    症例: 38歳, 女性. 巨大腹部腫瘍を指摘され当院紹介となり, 画像検査上は子宮, 卵巣ともに正常に描出され原発巣が不明であったが, 腹水細胞診でN/C比の高い, 多核のものを含む大型異型細胞を認め, 非上皮性悪性腫瘍と診断された. 開腹手術により, 子宮から有茎性に発育する充実性腫瘍と腹膜播種病変を認めた. 術中捺印細胞標本では結合性が弱い大型の異型細胞がみられ, 組織所見では壊死像と多数の核分裂像が認められ, 免疫組織化学的染色を加え, 低分化平滑筋肉腫と鑑別が必要であるが, 未分化子宮肉腫と診断した.
    結論: 子宮肉腫では腹水中に腫瘍細胞が検出されることはまれであるが, 本症例は腹水中に大型の異型の強い腫瘍細胞が出現し, 非上皮性悪性腫瘍の推定が可能であり, 発生部位や病理診断の推に役立った.
  • 平野 耕一, 仲村 佳世子, 向野 晶, 奥野 知子, 白瀬 智之, 鳥居 貴代, 鷹巣 晃昌
    2006 年 45 巻 2 号 p. 121-124
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 子宮頸部小細胞癌は子宮頸癌の1~6%とまれな腫瘍である. ことに抗利尿ホルモン異常分泌症候群 (SIADH) を伴った症例を経験したので報告する.
    症例: 41歳, 経産婦. 突然の異常行動のため近医を受診. 血液生化学検査により, 低Na血症と診断された. 精査目的で当院紹介され受診. MRIにて子宮頸部全体を占める隆起性病変を指摘された. 術前子宮頸部擦過細胞診ならびに生検が施行され, 細胞診クラスV, 小細胞型扁平上皮癌, 組織診にて扁平上皮癌成分を伴う小細胞癌と診断した. 広汎性子宮全摘出術が施行され, 術中捺印細胞診では鋳型状細胞配列や核線を伴い小細胞癌と診断した. 組織学的には小細胞癌であり, 部分的に扁平上皮への分化を示した. 免疫組織学的検索ではNSE, Chromogranin A, Synaptophysinがいずれも陽性, 電子顕微鏡的検索にて細胞質内に神経分泌顆粒を認めた.
    結論: 予後不良な本疾患の早期診断上, 細胞診が果たす役割は大きい. 臨床情報も参考に精細に観察する必要がある. この観点から擦過細胞診と腫瘍捺印細胞診の併用は本腫瘍の診断に有用でった.
  • 本山 悌一, 中山 裕樹
    2006 年 45 巻 2 号 p. 125
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 端 晶彦, 弓納持 勉, 村田 晋一, 近藤 哲夫, 奈良 政敏, 中澤 久美子, 端 圭子, 大森 真紀子, 加藤 良平, 星 和彦
    2006 年 45 巻 2 号 p. 126-133
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    目的:分葉状頸管腺過形成(Lobular endocervical glandular hyperplasia; LEGH)と悪性腺腫(Minimaldeviation adenocarcinoma; MDA)の細胞学的・組織学的検討を行い, 術前細胞診の意義を検討した.
    方法:LEGH11例, MDA2例の13例の術前細胞診標本および摘出病理標本を用いて細胞学的・組織学的に検討した.
    結果: 細胞質の黄色調粘液は, LEGHとMDAとの鑑別には有用ではないが, 胃型形質発現の病変を検出するのには有用と考える. LEGHの細胞診では細胞集塊は平面的な出現形態を示し, 核の重積性はなく, 核小体は目立たない. MDAでは細胞集塊は立体感があり, 核の重積性, 核小体の大型化が認められる. 核内空胞(核内細胞質封入体: Intranuclear cytoplasmiac inclusion(INCI))の出現はLEGHに特徴的な所見である可能性がある. LEGHに腺癌を合併する症例では, LEGH特有の細胞に混じって腺癌が示唆される細胞が認められる場合がある.
    結論:細胞診検査はLEGHとMDAの検出に有用であり, また両者の鑑別にもきわめて重要である.
  • 畠 榮, 三上 芳喜, 秋山 隆, 定平 吉都
    2006 年 45 巻 2 号 p. 134-140
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:悪性腺腫と鑑別を要する分葉状頸管腺過形成lobular endcervical glandular hyperplasia(以下LEGH)の細胞学的特徴を明らかにするため, 正常頸管腺, 腺異形成, 上皮内腺癌などの子宮頸部腺系病変の細胞像と比較検討した.
    方法:頸部スメアで異型腺細胞が認められた85例の子宮頸部腺病変を対象として, 背景, 細胞の出現形態,核所見ならびに細胞質内粘液の染色性などを検討した. また, Ioffeらによるスコアリング・システムによる半定量的な異型腺病変の評価法の意義についても検討した.
    結果: 全集塊中のシート状大型集塊の出現頻度は腺異形成50%, LEGH42%, 悪性腺腫21%であった. 2, 3層の核重積を示す柵状集塊は上皮内腺癌17%, 微小浸潤腺癌11%, LEGH5%, 悪性腺腫12%であった. 4層以上の重積は上皮内腺癌9%, 微小浸潤腺癌35%の頻度で認められたのに対して, LEGH, 悪性腺腫では03%, 2%にすぎなかった. 核異型はLEGHでは認められなかったが, 悪性腺腫では明らかな核形不整, クロマチン構造の粗造化, 核小体の明瞭化が認められた. 核内細胞質内封入体はLEGHの1/3, 悪性腺腫の2/3の症例で認められた. LEGHと悪性腺腫では細胞質内粘液が黄色から淡黄色の色調を呈していたのに対して, 他の病変ではヘマトキシリン好性であった. Ioffeらの基準に準拠すると腺異形成, LEGH, 悪性腺腫, 上皮内腺癌および浸潤腺癌のスコアの平均値はそれぞれ3.5, 3.8, 4.2, 6あった.
    結論:LEGHならびに悪性腺腫は黄色調を呈する細胞質内粘液と核内細胞質内封入体がみられる点で他の頸部腺病変から区別される. 両者の判別には細胞集塊の形態と核の異型性, すなわち核形不整および大小不同, クロマチン構造の粗造化,核小体の明瞭化,などが重要であると考えられた.
  • 小野瀬 亮, 宮城 悦子, 加藤 久盛, 杉浦 賢, 山田 隆, 井畑 穰, 佐治 晴哉, 三田 俊二, 亀田 陽一, 中山 裕樹
    2006 年 45 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸部悪性腺腫症例の診断の問題点と臨床的取り扱いを検討した.
    方法:神奈川県立がんセンターで過去に悪性腺腫と診断した症例を津田らが提唱した定義に準じて臨床病理学的に再検討した.
    成績:過去に悪性腺腫と診断した6例を病理学的に再検討すると, 今回, 定義で悪性腺腫と診断できる症例は1例だけであり, 同時期に取り扱った子宮頸癌の0.1%に相当した. 悪性腺腫を疑った症例では診断的円錐切除術では全病巣が必ずしも評価できていなかった. また, 細胞診所見では一定の傾向を認めることはできなかった.
    結論:悪性腺腫の診断には診断的円錐切除術の併用が望ましい. その頻度は非常に少ないと思われるので病態の解明には多施設共同研究が望まれる.
  • 津田 均, 三上 芳喜, 加耒 恒壽, 秋山 太, 笹島 ゆう子, 長谷川 匡, 大石 善丈, 笠松 高弘
    2006 年 45 巻 2 号 p. 147-153
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:悪性腺腫 (MDA) と分葉状内頸部腺過形成 (LEGH) に関する病理診断の現状を把握し, 再現性の高い両者の鑑別診断の可能性を検討する.
    方法:1. 4名の診断者がMDAやLEGHと診断された52例につき各施設の基準で病理診断を行った. 2. 異型のない頸管腺増殖のみの病変をLEGH, このなかに浸潤腺癌の成分が混在する病変をMDAとし, さらにLEGH+上皮内腺癌 (AIS), 通常の腺癌, の4群を設定し, 各組織像を学習後7名の診断者が独立に44例の診断を行った.
    結果: 1. 診断者間の診断一致の程度はわずかな一致 (κ=0.115) にとどまり, MDAとされた例の死亡率は13~60%と診断者間で大差があった, 2. 診断一致の程度は4群問でかなりの一致 (κ=0.618) に改善し, 非浸潤群 (LEGHとLEGH+AIS), 浸潤群 (MDAと通常の腺癌) 2群間ではほぼ完全な一致 (κ=0.928) を示した. 非浸潤群22例, 浸潤群14例の5生率は各100%, 54%であった.
    結論:MDAとLEGHの病理診断はいまだ混同があるが, 適切な基準の採用と学習により, 再現性が高く予後と関連する病理鑑別診断が十分可能と考えられた. 標準化や普及, 術前診断の検討が課題と考えられる.
  • 三上 芳喜
    2006 年 45 巻 2 号 p. 154-159
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部に発生する悪性腺腫は高分化型粘液腺癌の一亜型であり, 現在のWHO分類 (2003年) では最小偏椅腺癌として記載されている. 近年, HIK1083によって免疫組織化学的に示される胃型形質の発現や, 高度の水様帯下, MRIやCTで描出される多数の嚢胞, 頸部スメアにおける黄金色の細胞質内粘液を有する腺細胞の出現, などが悪性腺腫に特徴的であるとの報告が相次いだが, 特異性についての十分な検証がなされないまま, 診断的意義が過度に強調される傾向にあった. その結果, 分葉状頸管腺過形成 (LEGH) などの良性腺増殖性病変が悪性腺腫と誤認されるなどの問題が生ずるにいたった. LEGHが悪性腺腫の発生母地である可能性が示唆されているが, 治療を前提とした場合, 両者は厳密に区別される必要がある. 鑑別の基本はあくまでも組織形態の注意深い観察であり,(1) 増生腺管の形と配列の仕方,(2) 細胞異型,(3) 破壊性浸潤に伴う問質反応の有無, を評価することが重要である. 免疫あるいは粘液染色は補助的手段にすぎない.
  • 長谷川 満, 橋村 正人, 長坂 徹郎
    2006 年 45 巻 2 号 p. 160-161
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a rare case of cervical ectopic thymoma. A 54-year-old man was found in computed tomography (CT) to have a nodule below the lower pole of the left lobe of the thyroid. Fine-needle aspiration cytology showed spindle cell clustersintermingled with small lymphocytes. The tumor was resected together with the left thyroid lobe and diagnosed histologically as cervical ectopic thymoma. Giventhe rarity of this tumor, fine-needle aspiration cytology assists in correct diagnosis.
  • 佐久間 貴彦, 高水 竜一, 三村 明弘, 大橋 寛嗣, 川野 潔
    2006 年 45 巻 2 号 p. 162-163
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    The case of a 67-year-old woman with a solid breast neuroendocrine carcinoma is presented. Cytological findings for breast neuroendocrine carcinoma have rarely been described. Cytopathologic examination using a fine needle aspiration (FNA) sample of the tumor revealed clusters of relatively uniform tumor cells. The tumor cells had round to oval nuclei with little to mild atypia, fine granular chromatin, and showed rosette formation. These features strongly suggested a neuroendocrine tumor, which was confirmed by a histopathologic examination of the resected specimen. The diagnosis of neuroendocrine carcinoma was further confirmed by immunostaining for neuron-specific enolase/chromogranin A/synaptophysin. Preoperative FNA successfully predicted this special type of breast carcinoma.
  • 根津 幸穂, 今野 良, 榎本 明美, 大和田 倫孝, 鈴木 光明
    2006 年 45 巻 2 号 p. 164-165
    発行日: 2006/03/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We evaluated the feasibility of cervical cytology and human papillomavirus (HPV) testing, analyzing 67 patients cytologically diagnosed with at least mild dysplasia. Positive criteria of cytology, histology, and HPV tests were class HSIL or greater, CIN2 or more, and HPV index >1. The gold standard was punch biopsy histology. The sensitivity of cytology was 47.7%, 86.4% HPV testing and both 89.3%. The negative predictivity of cytology, was 67.6%, 87.0% HPV testing and both 83.3%. Cervical screening with both cytology and HPV testing effectively distinguishes the disease requiring treatment.
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