日本臨床細胞学会雑誌
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45 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 田口 明美, 柴 光年, 田島 ひとみ, 吉田 美紀子, 鴻池 克寛, 桑原 竹一郎, 廣島 健三, 渋谷 潔, 藤澤 武彦
    2006 年 45 巻 3 号 p. 177-183
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:下咽頭癌は早期に特異的な症状が発現しにくいため, 確定診断時に進行癌であることが多く早期発見が望まれている.早期下咽頭扁平上皮癌発見における喀痰細胞診の有用性の評価を目的とし, その細胞像について検討した.
    対象と方法:平成5-15年度の喀痰集検受診者11万237人からの発見癌201例のうち, 下咽頭扁平上皮癌が確定診断された8例を対象とした.同症例の蓄痰標本に出現した中等度異型以上の異型扁平上皮細胞, および扁平上皮癌細胞について細胞学的検討を行った.
    成績:発見された下咽頭癌の病期は, I期: 3例, III・IV期: 5例であった.喀痰中の異型上皮細胞および癌細胞数は, I期: 50.8個, III期: 333.3個, IV期: 427.4個で, I期癌では進行期癌と比較し有意に少数であった (P<O.05).さらに異型上皮細胞および癌細胞のタイプ別出現比率では, 傍基底型異型細胞の出現が特徴的であり, また病期が進行しても変性萎縮異型細胞の顕著な増加は認められなかった.
    結論:細胞量が十分に塗抹された喀痰標本をより詳細にスクリーニングすることで, 下咽頭癌が早期発見される可能性もあり, 喀痰細胞診の有用性が示唆された.
  • 熊木 伸枝, 鍛代 久美子, 佐藤 嘉洋, 小俣 芳彦, 相原 乃理子, 梶原 博, 梅村 しのぶ, 長村 義之
    2006 年 45 巻 3 号 p. 184-188
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 乳頭部を原発としそこに限局する浸潤性乳管癌はまれである.乳頭分泌を伴いその細胞診にて悪性細胞が認められた1例を報告する.
    症例: 75歳, 女性.左乳頭の腫瘤, 痛みおよび血性乳頭分泌物を自覚し当院を受診した.左乳頭は直径約2.5cm大に腫大.乳頭分泌物細胞診では, 壊死物質を背景に, 腫大した不整な核をもつ腫瘍細胞の集塊が認められた.配列の乱れや重積性も高度で核小体も目立った.腺癌と診断され, MRIで乳頭下乳管内への進展が疑われたため, 乳房切除術・腋窩リンパ節郭清が施行された.組織学的には壊死を認め, 細胞質は豊かで高度な異型核をもった腫瘍細胞の充実性増殖がみられた.他の乳腺組織に病変はなく, 乳頭限局の浸潤性乳管癌と診断した.
    結論:乳頭部やその表皮近傍に主座のある腫瘍または乳管内進展の著明な乳癌においては, 乳汁細胞診中に悪性細胞が出現する場合がある.乳頭部の限局性病変としては乳頭部腺腫の頻度が高く, 良悪の鑑別診断が重要とされる.悪性の場合でも組織型の推定は困難なことが多い.したがって肉眼および画像所見などを併せて総合的に判断し, 組織学的診断を行うことが望ましいと考える.
  • 長谷川 徹, 山川 義寛, 柴野 亜希子, 近谷 昌恵, 松井 一裕, 舘野 政也
    2006 年 45 巻 3 号 p. 189-193
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 性器結核はまれな疾患であるが, 付属器腫瘤を形成した場合, 付属器悪性腫瘍との鑑別が問題となる.今回, 悪性腫瘍との鑑別を要した性器結核・結核性腹膜炎を経験したので報告する.
    症例: 53歳, 女性.下腹部痛と性交時痛を認め近医受診し, 両側付属器腫瘤および腹水を指摘された.また子宮内膜細胞診にて結核性病変を疑われ, 精査加療目的にて当科紹介となった.画像診断では両側付属器腫瘤および腹水を認めた.子宮内膜細胞診では, 多数のリンパ球を背景にラングハンス巨細胞や類上皮細胞を認めた.子宮内膜組織診では類上皮肉芽腫, ラングハンス型多核巨細胞を認めた.結核菌検査では子宮頸管粘液培養および子宮内膜キャピリアTB陽性であり, 性器結核・結核性腹膜炎と診断したが, 付属器悪性腫瘍の可能性も念頭におき子宮全摘術および両側付属器摘出術を施行した.摘出標本では子宮内膜, 両側卵管およびその周囲には類上皮細胞肉芽腫があり, 一部のものは中心壊死を伴っていた.悪性所見は認められなかった.術後, 抗結核薬治療を6ヵ月継続し, 腹水貯留など再燃徴候は認めていない.
    結論: 付属器腫瘤を形成した性器結核・結核性腹膜炎では, 悪性腫瘍との鑑別が困難な場合があり十分な注意が必要である.
  • 佐藤 勝明, 上見 嘉子, 西田 靖昌, 谷本 一夫, 上田 善道, 勝田 省吾
    2006 年 45 巻 3 号 p. 194-198
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 集合管癌 (Bellini管癌) は, 腎細胞癌の特殊型に分類されるまれな癌で, 本邦における細胞学的文献報告例は少ない.今回, われわれは自然尿中に腫瘍細胞が出現した集合管癌の1例を経験したので, 細胞像における鑑別診断を中心に報告する.
    症例: 56歳, 女性.肉眼的血尿を認め来院した.自然尿細胞診で腺癌と診断され, 造影CTで右腎上極に径2.5cmの乏血管性腫瘤を認めたため, 腎癌の診断で右腎摘出術が行われた.自然尿細胞診では, 血管に沿った乳頭状小集塊を認め, 細胞はN/C比が高く, 偏心性の核と泡沫状の細胞質を認めた.腎杯洗浄尿では不規則に重積する結合性の弱い細胞集塊を認め, 印環型を呈する細胞もみられた.組織学的には, 腫瘍細胞は空胞状核と好酸性細胞質を有する異型細胞が乳頭状から管状に増殖し, 管腔内や細胞質内に粘液を認めた.癌細胞は腎孟粘膜および腎被膜に線維増生を伴い浸潤していた.レクチン組織化学および免疫組織化学的に集合管マーカーが陽性であることから集合管癌と診断した.
    結論:腎集合管癌の尿細胞診において, 細胞質内粘液を含む異型細胞の乳頭状集塊は一つの指標になりうると考えられた.
  • 大崎 博之, 香川 昭博, 中村 宗夫, 松永 徹, 羽場 礼次, 平川 栄一郎
    2006 年 45 巻 3 号 p. 199-202
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 今回, われわれはネフローゼ症候群を有した患者の尿中に, 良悪の鑑別を要する反応性尿細管上皮細胞が出現した症例を経験したので報告する.
    症例: 74歳, 女性.血1尿がみられたため尿細胞診を施行した.尿細胞診では, 類円形・ホブネイル状形態の腫大細胞が, 孤在性または放射状集団で出現していた.これら腫大細胞には, 大型核小体・核形不整・N/C比増大などの異型を認めたため良悪の鑑別が問題となった.しかし, 腫大細胞の円柱内包埋像を認めたこと, 後日施行された腎生検組織中の反応性尿細管上皮細胞と尿細胞診に出現した腫大細胞が, 形態学的, 免疫・糖組織化学的に類似していたことなどから, この腫大細胞は反応性尿細管上皮細胞と推定した.
    結論:ネフローゼ症候群などでは, 反応性尿細管上皮細胞が尿中に出現することもあるため, その細胞学的特徴を把握することが重要である.
  • 半澤 美代子, 星 利之, 橋本 優子, 渡辺 一男, 石田 卓
    2006 年 45 巻 3 号 p. 203-204
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of pulmonary basaloid carcinoma. A 73-year-old man was found in radiological and transbronchial endoscopic exami-nation to have a 40×30mm whitish tumor filling the right bronchus. Bronchial brushing cytology showed numerous tumor cells with a background of massive necrosis. Tumor cells had a hyperchromatic. rather uniform oval nucleus and scanty cytoplasm-cellular features resembling those of small-cell carcinoma. Histological examination showed a basaloid carcinoma with distinctive hyalinized stroma. Among differential diagnoses, the distinction from small cell carcinoma is most important because of the difference in their biological behavior and therapy.
  • 加地 澄子, 山下 展弘, 勝山 栄治
    2006 年 45 巻 3 号 p. 205-206
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of stromal sarcoma in a 53-year-old woman.
    Aspiration biopsy specimens showed atypical spindle cells with thin cytoplasm and irregularly contoured nuclei. Cytoplasmic borders were unclear and nucleoli prominent. We found spindle cell neoplasm without an epithelial component in the operative specimen and diagnosed this as stromal breast sarcoma. Pulmonary metastasis was found one month after surgery.
  • 行田 弥生, 小林 幸弘, 堀川 美栄子, 上原 剛, 細田 和貴
    2006 年 45 巻 3 号 p. 207-208
    発行日: 2006/05/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report recurrence adenoid cystic carcinoma (ACC) correctly diagnosed by imprint cytology of the biopsy specimen. Tracheal biopsy tissue was very limited, and almost all epithelial cells were exfoliated, so diagnosis could not be made histologically. Imprint cytology showed hyaline balls stained dark or light green, surrounded by clusters of atypical cells. Mucinous balls were seen in the center of atypical cell clusters, indicating ACC recurrence. The man was treated immediately by Algon plasma coagulation via bronchoscopy. Imprint cytology is sometimes more useful than the biopsy specimen itself, and it is recommended to make imprint specimens when a lesion is biopsied.
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